JP2007042516A - X線発生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 マイクロフォーカス型X線管におけるリーク電流に起因するX線管の劣化等についても判定可能としたX線発生装置を提供する。
【解決手段】 管体10内にカソード12と第1、第2グリッド電極13、14と、ターゲット15とを有し、カソード12から発せられた電子を第1、第2グリッド電極13、14により放出量の調整と収束を行い、ターゲット15へと衝突させてX線を放出させるX線発生装置1において、カソード12に対向する第1グリッド電極13に流れる電流(グリッド電流)を電流検出回路21により測定し、予め設定した電流しきい値と比較して比較結果を通信端子3等から出力することで、X線管1の劣化を判定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、X線発生装置に関し、特に、X線検査機器等に組み込まれて用いられるX線発生装置に関する。
製品の非破壊検査等にX線検査装置が用いられている。こうしたX線検査装置では、X線の発生源としてX線管を利用したX線発生装置が使用される。X線管は、長期間利用していると管体内部の真空度の劣化や電極等の劣化によりX線量が少なくなったり、あるいは所定以上のX線量になる。製品の製造ライン中にこうしたX線検査装置が組み込まれている(インライン)場合、X線管が劣化すると、検査精度が低下してしまううえ、その交換のために製造ライン自体を停止させる必要が生ずる。そこで、使用中のX線管の劣化や寿命を判定する技術が検討されている(例えば、特許文献1参照。)
特許文献1記載の技術は、一定量の電子放出量を得るように調整される制御格子電圧をモニタリングすることで劣化度合いを判定する。つまり、モニタリングした格子電圧値と予め設定した所定電圧値を比較することで、X線管の交換や寿命判定の判断材料とするものである。この場合、電子源の電子放出能の低下を制御格子電圧の変動によって判定していることとなる。
特許第2594200号明細書
ところで、近年、マイクロフォーカス型といわれるX線発生装置の需要が増えてきている。このマイクロフォーカス型のX線発生装置においては、X線焦点を微小化し、また、X線焦点(X線発生点)から被検体までの距離(FOD:Focus-Object-Distance)を短くすることによって低出力でも所望の拡大率を得られ、かつ、解像度が高い鮮明なX線画像を取得できるようにして、X線検査装置の小型化と被検体の被爆量低下とともに遮蔽設備の小型化を実現するものである。
この種のマイクロフォーカス型X線発生装置に用いられるX線管においては、X線焦点の微小化、あるいはFODを短くするため電子銃部を小型化する必要がある。そのため、電子源であるカソードと電子流調整電極であるグリッド電極の中でもカソードと直接対向して配置されるグリッド電極(カソードと最も近接配置されるグリッド電極)との間および各グリッド電極相互間の距離が近接することとなり、わずかな電気的変動によってでも各電極間で放電しやすくなったり、リーク電流が発生しやすくなっている。そのため、各電極間における所望の電位差の保持ができなくなることがあり、電子銃部において所望の電子放出能を得ることが困難になる。
発明者らは、上述した制御格子電圧をモニタリングする手法では、このリーク電流によるX線管の劣化および寿命を判定することが困難であることを見出した。というのも、上述した制御格子電圧をモニタリングする手法では、電子源の電子放出能の低下を補うために、管電流情報を制御格子電圧制御にフィードバックしており、そのフィードバックに基づいて変動される制御格子電圧をモニタリングしている。一方、一般の電源においては、X線源への電圧の安定供給のために、所定の電流値に到るまでは、所望の大きさの電圧の出力を維持するような回路構成をとっている。そのため、電圧変更の指示がない限りは、リーク電流が前述の所定の電流値に到るまでは、制御格子電圧は一定となるように構成されている。つまり、リーク電流の発生を制御格子電圧から判断可能なのは、前述の所定電流値以上のリーク電流が発生してからとなる。一方、リーク電流に伴なって電圧が変化するように回路を組んだ場合、リーク電流の発生は検出できるが、印加電圧が変動してくるために、より高圧を発生できるような電源が必要になったり、所望のX線源出力が得られない。そのため、装置の大型化や、動作安定性に欠けるといった問題が新たに生じる。
そこで本発明は、装置の小型化や動作安定性を保ちつつ、X線管の電子銃部の小型化に伴うX線管の劣化および寿命について判定可能としたX線発生装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明に係るX線発生装置は、電子源から出射された電子のターゲットへの入射を調整する電子調整電極を少なくとも一つ有するX線管と、このX線管を制御する制御部とを備えるX線発生装置において、この制御部は、電子調整電極のうち電子源と直接対向する位置に配置される電極の電流値を検出する電流検出手段と、この電流検出手段で検出した電流値を所定の電流しきい値と比較する比較手段と、比較手段の判定結果を出力する出力手段と、を備えていることを特徴とする。
本発明においては、電子源に直接対向する電子調整電極に流れる電流(電子調整電極電流)を検出し、これを予め定めた所定の電流しきい値と比較している。電子銃部を小型化したX線管においては、電子源であるカソードと電子調整電極とを近接して配置しているため、当該電極間でのリーク電流が発生しやすい。加えて、X線管の使用に伴い、蒸発したカソード構成物質がカソードと電子調整電極間に徐々に堆積していくことで、カソード−電子調整電極間の絶縁が保持しづらくなってくることによっても生じやすくなる。これらのリーク電流によってカソードと電子調整電極間に保持されるべき電位差が保てなくなり、電子銃部における電子放出能に影響が生じるが、電子調整電極電流を検出して電流しきい値と比較することで、リーク電流の増大について検出できる。なお、電子源から出射された電子のターゲットへの入射の調整とは、ターゲットへの電子入射量の調整や、ターゲットへの電子入射位置及びターゲット上での電子の収束程度の調整等を指す。
この比較手段は、所定の電流しきい値を複数かつ段階的に設定するか、所定の電流しきい値を段階的に変更することが可能であるとよい。これにより、検出した電子調整電極電流値を段階的に比較して、現在のX線管の状況を詳細に判別する。
出力手段は、判定結果に応じて所定の表示を行う表示部を備えているか、判定結果に応じて所定の音声出力を行う音声出力手段を備えているとよい。あるいは、出力手段は、制御部の制御入出力手段を兼ねており、外部の制御装置と有線あるいは無線により接続して、制御情報と比較結果を通信可能であるものでもよい。
判定結果に応じて例えば交換や点検を促すメッセージを文字・数字・記号・画像等により表示するか、同種のメッセージを音声により通知することで操作者によるX線管の寿命や劣化状態の把握が容易になる。また、制御情報や比較結果を外部の制御装置と通信可能に構成することで、例えば、接続したコンピュータ等から判定を行うことにより、複数のX線検査装置を集中管理してもよい。
さらに、X線管は、電子調整電極を複数備えており、制御部は、これら複数の電子調整電極のうち、電子源と直接対向する位置に配置される電極以外の電子調整電極の電流値を検出する第2の電流検出手段と、第2の電流検出手段で検出した電流値を所定の第2の電流しきい値と比較する第2の比較手段と、第2の比較手段の判定結果を出力する第2の出力手段と、をさらに備えていてもよい。これにより、個々の電子調整電極と隣接した電極との電位差の保持状態を判定しうる。なお、第2の出力手段は、第1の出力手段と共通であってもよい。
本発明によれば、電子源に直接対向する電子調整電極の電子調整電極電流を検出して、予め設定した電流しきい値と比較することによりリーク電流の増大によるX線管の劣化および寿命を総合的に判定することができる。このため、X線管の交換時期や点検時期を適切に判定することができる。例えば、X線検査装置が製造設備にインラインで組み込まれている場合には、X線管の劣化および寿命による検査精度の低下を抑制し、交換を計画的に行うことができ、交換に伴う製造設備の停止といった事態を回避することができる。さらに、他の電子調整電極の電子調整電極電流を検出することで、収束機能の劣化等も判定することが可能となる。
電流しきい値との比較を段階的に行うことで、X線管の状態を詳細に判定することができ、必要な精度に応じて点検、交換等の時期を適宜設定することができる。
表示出力や音声出力を備える場合には、文字や記号の表示や音声により劣化状況を操作者が容易に認識できる。さらに、外部の制御装置と情報通信可能に構成されている場合には、コンピュータ等によって管理することが可能となり、特に、多数のX線発生装置を集中的に管理することができるという利点を有している。
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の参照番号を附し、重複する説明は省略する。
図1は本発明に係るX線発生装置の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。このX線発生装置100は、X線管1を中心に構成されており、X線管1は、内部が真空に保持された管体10の一端側に、電子銃部EGを備えている。電子銃部EGはヒータ11と、カソード12、第1電子調整電極としての第1グリッド電極13、第2電子調整電極としての第2グリッド電極14とからなる。具体的には、管体10の一端側に電源Vhに接続されたヒータ11と、カソード12からなる熱陰極を有し、管体10の中央部にはカソード12に対向して第1グリッド電極13と第2グリッド電極14が配置されている。他端には、陽極であり、電子入射によりX線を放出するターゲット15が配置される。
陽極となるターゲット15は、接地電圧に対してVTなる高い電圧が印加されている。第2グリッド電極14への印加電圧は、ほぼ接地電圧に等しい。第1グリッド電極13には、電源Vkと可変電源VG1により所定の負電圧値が印加されている。一方、カソード12には、電源Vkにより所定の負電圧値が印加される。つまり、カソード12に対する第1グリッド電極13の印加電圧は負であり、その値はVG1であって、カソード12に対する第2グリッド電極14の印加電圧は正であり、その値はVkである。カソード12に対するターゲット15の印加電圧は正であり、その値は|Vk|+VTとなる。ヒータ11には電圧Vhが印加される。
第1グリッド電極13の電流(グリッド電流)値は、制御部としての制御装置2の電流検出回路21で検出されている。電流検出回路21は、電流検出手段としてのIG1および比較手段としての後述する比較器25(図示せず)を含むものであり、その出力は、制御装置2内の主制御部22へ入力される。主制御部22は、可変電源VG1の電圧を調整する機能等のX線発生装置100としての主要な制御能を有するとともに、出力手段としての通信制御部23、通信端子3を通じて外部機器等と接続する機能を有する。通信端子3としては、コンピュータ機器等と接続可能な各種の外部接続端子を用いることができる。なお、電流検出回路においては、グリッド電流のみならず、図1中にIkで示されるカソード電流検出回路や、その他の電子調整電極の電流検出回路および各電極の電圧を検出する回路を備えていてもよい。
図2は、X線管1の詳細構成図である。第1グリッド電極13は、2枚の中央に開口を有する円盤状のプレート130、131を重ね合わせたような構造を有しており、プレート130と131の間の空間にともに円盤状の絶縁セラミック16と、金属スペーサ17が配置されている。金属スペーサ17は、中央に開口を有しており、絶縁セラミック16の金属スペーサ17側の表面に載置されるカソード12が、この開口内に収容されている。この金属スペーサ17により、カソード12とこれに対向する第1グリッド電極13との間隔を所望の間隔に維持することが可能な構成になっている。これにより、第1グリッド電極13はカソード12に対して直接対向するような位置に配置され、第1グリッド電極13を構成する円盤状のプレート131の開口は、カソード12から放出された電子に対する最初の電子ビーム通過アパーチャとなる。
第1グリッド電極13と第2グリッド電極14の間にも中央に開口を有する円盤状の絶縁セラミック18を配置することで、第1グリッド電極13と第2グリッド電極14の間隔も所定の間隔に維持することが可能な構成となっている。ターゲット15のカソード12へ対向する面15aは、カソード12とターゲット15とを結ぶ軸線に対して、例えば45°傾斜しており、ターゲット15の軸線上の管体10の側壁には、X線を通過させる窓19が設けられる。
このX線発生装置100は、各電源Vh、Vk、VG1、VTにより、ヒータ11、カソード12、第1グリッド電極13、第2グリッド電極14、ターゲット15にそれぞれ所定の電圧を印加する。ヒータ11で熱せられたカソード12から電子が放出されてターゲット15へと入射し、X線が放射される。
ここで、第1グリッド電極13により形成される電界によりカソード12から発せられた電子は一部が第1グリッド電極13の開口を通過し、残りは、再びカソード12へと戻る。つまり、第1グリッド電極13で形成する電界を調整することで、カソード12から取り出す電子の量を調整する。この調整により、ターゲット15へ入射する電子の量を調整し、X線量を調整することができる。この電界調整は、第1グリッド電極13へ印加される電圧(グリッド電圧)を調整することで可能であり、具体的には電源VG1の電圧を調整することで行われる。
また、第2グリッド電極14により形成される電界により、第1グリッド電極13の開口を通過した電子が拡散するのを抑制し、これを加速・収束させてターゲット15へと入射させる。これにより、焦点の微小化を可能としている。
ここで、微小焦点を達成するためには、カソード12と第1グリッド電極13の間隔を狭める必要がある。例えば、カソード12と第1グリッド電極13の距離は、100μm以下、第1グリッド電極13−第2グリッド電極14間の距離は300μm以下に設定される。さらに、カソード12と第1グリッド電極13の電位差は300V以上に達することもあり、第1グリッド電極13−第2グリッド電極14の電位差は、1kV以上に達することもある。つまり、微小な間隔を保持した電極間に高い電圧が印加されることになる。
さらにFODを短くするために、電子銃部EGにおいて、図2のY方向の寸法を小さくしたり、X線焦点の微小化のために第1グリッド電極13の電子ビーム透過アパーチャー径を小さくすると、カソード12と第1グリッド電極13の絶縁距離(空間絶縁距離および沿面絶縁距離)が通常のX線管に比べて短くなる。そのため、わずかな電気的影響によってでも、第1グリッド電極13とカソード12の間の絶縁保持に影響を及ぼし、結果としてリーク電流が発生したり、第1グリッド電極13とカソード12との間で放電してしまうことがある。特に、X線管1の使用にともない、カソード12から蒸発した易電子放射物質、例えば酸化バリウム等がカソード12および絶縁セラミック16と第1グリッド電極13の間に堆積するにつれて、第1グリッド電極13とカソード12の間のリーク電流が増加していく。絶縁セラミック16表面を粗面化する等のリーク電流の増大を抑制する工夫は可能であるが、リーク電流の増大を完全に抑制することは困難である。そして、第1グリッド電極13−第2グリッド電極14間にも同様なことが起きる可能性がある。
そこで、本発明においては、第1グリッド電極13に流れる電流を調べて、このリーク電流の増大を調べ、X線管1の劣化を警告するようにしている。図3は、第1グリッド電極13の電流検出のための電流検出回路21の構成例を含む回路図であり、各種電源や、カソード12に対しての回路も含んでいる。電流検出回路21のうち、IG1は電流検出抵抗214および検出器215とを含み、比較部25は比較器250と基準電源251を含む。以下、図中の各構成を説明する。カソード12に対して交流電源211a、トランス212a、ダイオード・ブリッジ213aからなる高圧発生手段210aが、第1グリッド電極13に対して交流電源211b、トランス212b、ダイオード・ブリッジ213bからなる高圧発生手段210bがそれぞれ設けられており、高圧発生手段210aの直流出力端の負側を接地し、正側をカソード12と高圧発生手段210bの直流出力端の負側に接続する。高圧発生手段210bの直流出力端の正側は、電流検出抵抗214を介して第1グリッド電極13へと接続されている。さらに、電流検出抵抗214の両端が差動アンプ等の検出器215に接続され、検出器215の出力が比較器250の負入力端に入力されている。比較器250の正入力端には、基準電源251から電流しきい値に対応する電圧が入力されており、グリッド電流と電流しきい値との比較が行われる。比較器250の比較結果は、主制御部22へと出力される。
この電流検出回路21では、設定された基準電流値(電流しきい値)に応じた電圧が比較器250の一端に付与され、他端には、グリッド電流に応じた電圧が付与される。このため、グリッド電流が電流しきい値を下回る場合には、比較器250の出力はローレベルであるが、グリッド電流が電流しきい値を超えると、比較器250の出力はハイレベルとなる。なお、基準電源251の出力を調整することで、電流しきい値を変えることもできる。
図4は、第1グリッド電極13への印加電圧の出力電流(リーク電流)依存性を示したものである。本回路はカソード12と第1グリッド電極13との間での電位が必要以上に上昇することによって放電等が発生しないように、所定の最大電圧を超えないような回路としている。また本回路の電流容量を増加させると回路が大型になるため10mA程度の電流容量を持たせている。つまり、リーク電流が10mA以上に増大すると、印加最大電圧の絶対値が低下していくことがわかる。
図5は、特定のカソード電圧Vkにおけるカソード電流のカソード12と第1グリッド電極13間の電位差依存性を示している。電位差が小さくなるほどカソード電流が大きくなるが、これは、第1グリッド電極13のリーク電流が増えるほど、電位差が小さくなるために、カソード電流を小さくする制御が難しくなること、つまりX線発生量を少なくする制御が難しくなることを意味する。つまり、図4で示したように、リーク電流の増大によって、X線発生量を少なくする制御が難しくなることがわかる。
前述した図4、図5をもとに具体例を挙げて説明する。正常動作可能なX線管1の作成直後は、第1グリッド電極13とカソード12との間の抵抗は、ヒータ11作動時には、10MΩ以上であったので、第1グリッド電極13に−110V印加した際にもリーク電流は1μA以下であった。
しかし、長期間X線管1を動作させると、前述したようなX線管1の劣化により、第1グリッド電極13とカソード12間の抵抗は10kΩ以下まで低下してしまう。この結果、電源容量を超えた電流が第1グリッド電極13とカソード12間に流れてしまい、第1グリッド電極13に印加できる電圧が低下してしまう。
例えば第1グリッド電極13とカソード12間の抵抗が8kΩに低下すると、リーク電流は13.6mAに達し、図4に示されるように第1グリッド電極13に印加できる電圧は−92Vに低下する。この場合、図5に示されるようにカソード電流は最低でも40μAとなり、これより小さく制御することできなくなる。なお、第1グリッド電極13−第2グリッド電極14間にリーク電流が生じた場合には、第2グリッド電極14側への電子の引き出しに加え、電子流の収束(微小焦点化)への影響が考えられる。
そこで、電流検出回路21により、現在のリーク電流を複数の電流しきい値と比較して主制御部22がリーク電流のレベルを判定し、そのレベルを通信制御部23、通信端子3を通じて外部へ出力する。このレベルは、例えば、新品と同等のレベル、リーク電流は増えているが、実用上問題のないレベル、リーク電流増大により交換品の用意を促すべきレベル、即座に交換を要するレベル等に設定しておくとよい。出力結果をコンピュータにより集中的に管理するようにすれば、複数のX線管1の状態を集中管理することができるとともに、インライン検査に用いられている場合に、定期点検に合わせて交換を行うことができ、ラインを予定外に停止させることがなく、また、ライン停止を防ぐために充分な性能を有するX線管を事前に交換する必要もなく適切な頻度での交換が行える。
なお、リーク電流の検出は、第1グリッド電極13に対し、絶対値において、できる限り大きな電圧を印加した状態で検出するのが好ましい。つまり、本実施形態においては、可能な限りマイナス高圧を印加しての検出が好ましい。
電流検出回路21は、図3の構成に限られるものではなく、例えば、図6に示されるように、図3の高圧発生手段210bの交流電源211に代えて2個のMOSFET216a、216bと直流定電源217を用い、トランス212bのMOSFET216a、216bの中段から分岐した配線上に電流検出抵抗214を配置してもよい。この場合には、グリッド電流を直接検出するのではなく、間接的に検出することになる。
あるいは、図7に示されるように、図3に示される回路に電圧検出抵抗218a、218bと、差動アンプ等の検出器219を配置することで、第1グリッド電極13への印加電圧を合わせて検出することも可能である。これにより、カソード12自体の消耗度も直接的に判定することが可能となり、リーク電流の検出と合わせてより詳細なX線管の劣化および寿命の判定が可能となる。また、第2グリッド電極14に対しても第1グリッド電極13と同様の回路を有してもよい。
本発明に係るX線発生装置のX線管は、図1、図2に示される構成のものには限られない。図8は、第2の実施形態におけるX線管1aの構成を示すブロック図である。この実施形態では、ヒータ11を電子源としてのカソード12とし、カソード12(ヒータ11)に対して第1グリッド電極13への印加電圧を正電圧としている。このような構成とすることで、カソード12からの放出電子の初速度分散を少なくして、さらに焦点を小さくすることができる。
第1の実施形態の場合と同様の回路を作成した場合の、印加最大電圧の出力電流(リーク電流)依存性を図9に示す。リーク電流が増大すると、印加最大電圧が低下していくことがわかる。
図10は、カソード電流のカソード12と第1グリッド電極13間の電位差依存性を示している。傾向としては、図5に示される第1の実施形態のX線管1の場合と同様に、電位差が増大するほどカソード電流が大きくなる。
例えば、リーク電流が12mA流れてしまうと、図9に示されるように第1グリッド電極13には、最大83Vまでしか印加できなくなり、図10に示されるようにカソード電流は160μA以上流せなくなってしまう。この場合には、第1の実施形態とは逆に、カソード12へ流すべき最大電流が抑制されるために、最大X線出射量が小さくなってしまう。
なお、本実施形態においても、リーク電流の検出は、第1グリッド電極13に対し、絶対値において、できる限り大きな電圧を印加した状態で検出するのが好ましい。ただし、本実施形態においては、当該状態は電子を最大限引き出す状態になるため、カソード12となるヒータ11を非加熱状態にし、電子を放出しないような状態にしておくのが好ましい。
この場合もリーク電流を把握することで、このような問題の発生を事前に予測して通信手段を通じて操作者に交換を促すなど、必要な措置を講じるよう警報することができるため、同様の効果が得られる。
ここでは、通信制御部23、通信端子3を通じて、外部機器にグリッド電流の比較結果を出力する例を説明したが、例えば、X線発生装置100自体に液晶パネル等の表示装置を設けて比較結果に応じたレベルあるいは操作者へのメッセージを表示するようにしてもよい。また、ここでは、比較器250からの出力を主制御部22へと入力しているが、主制御部22を介さずともよい。あるいは、LED、ランプ等の発光している数、色、点滅状態等を変化させることで、比較結果に応じたレベルを表示するようにしてもよい。この場合は、取扱説明書や本体に貼付可能なラベル等にレベルに対応するX線管の状態を記載しておくとよい。あるいは、汎用のモニターやテレビ等に判定結果を表示しうる映像出力端子を備えてもよい。
さらに、このように視覚的に認識可能とするのではなく、スピーカ等によって音等によりレベルやメッセージを伝えるようにしてもよい。この場合には、メッセージ自体を音声として発する場合のほか、音の高低やその長短、発信音の間隔等によりレベルを伝えるようにしてもよい。この場合も取扱説明書や本体に貼付可能なラベル等にレベルに対応するX線管の状態を記載しておくとよい。あるいは、汎用のスピーカー等に音声出力可能な音声出力端子を備えていてもよい。
もちろん、ここで説明した通信機能と表示出力機能、音声出力機能の複数あるいは全部を組み合わせて構成してもよい。
本発明に係るX線発生装置の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。 図1のX線管の詳細構成図である。 電流検出回路の構成例である。 図2のX線管において、第1グリッド電極への印加電圧の出力電流(リーク電流)依存性を示したグラフである。 図2のX線管において、特定のカソード電圧Vkにおけるカソード電流のカソードと第1グリッド電極間の電位差依存性を示すグラフである。 電流検出回路の別の構成例である。 電流検出回路のさらに別の構成例である。 第2の実施形態におけるX線管の構成を示すブロック図である。 図8のX線管において、第1グリッド電極への印加電圧の出力電流(リーク電流)依存性を示すグラフである。 図8のX線管において、カソード電流のカソードと第1グリッド電極間の電位差依存性を示している。
符号の説明
1、1a…X線管、2…制御装置、3…通信端子、10…管体、11…ヒータ、12…カソード、13…第1グリッド電極、14…第2グリッド電極、15…ターゲット、16、18…絶縁セラミック、17…金属スペーサ、19…窓、21…電流検出回路、22…主制御部、23…通信制御部、100…X線発生装置、130、131…プレート、210a、210b…高圧発生手段、211a、211b…交流電源、212a、212b…トランス、213a、213b…ダイオード・ブリッジ、214…電流検出抵抗、215、219…検出器、217…直流定電源、250…比較器、251…基準電源。

Claims (7)

  1. 電子源から出射された電子のターゲットへの入射を調整する電子調整電極を少なくとも一つ有するX線管と、前記X線管を制御する制御部とを備えるX線発生装置において、
    前記制御部は、前記電子調整電極のうち電子源と直接対向する位置に配置される電極の電流値を検出する電流検出手段と、
    前記電流検出手段で検出した電流値を所定の電流しきい値と比較する比較手段と、
    前記比較手段の判定結果を出力する出力手段と、
    を備えていることを特徴とするX線発生装置。
  2. 前記比較手段は、前記所定の電流しきい値を複数かつ段階的に設定することが可能であることを特徴とする請求項1記載のX線発生装置。
  3. 前記比較手段は、前記所定の電流しきい値を段階的に変更することが可能であることを特徴とする請求項1記載のX線発生装置。
  4. 前記出力手段は、判定結果に応じて所定の表示を行う表示部を備えていることを特徴とする請求項1記載のX線発生装置。
  5. 前記出力手段は、判定結果に応じて所定の音声出力を行う音声出力手段を備えていることを特徴とする請求項1記載のX線発生装置。
  6. 前記出力手段は、前記制御部の制御入出力手段を兼ねており、外部の制御装置と有線あるいは無線により接続して、制御情報と比較結果を通信可能であることを特徴とする請求項1記載のX線発生装置。
  7. 前記X線管は、電子調整電極を複数備えており、
    前記制御部は、前記複数の電子調整電極のうち、電子源と直接対向する位置に配置される電極以外の電子調整電極の電流値を検出する第2の電流検出手段と、
    前記第2の電流検出手段で検出した電流値を所定の第2の電流しきい値と比較する第2の比較手段と、
    前記第2の比較手段の判定結果を出力する第2の出力手段と、
    をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載のX線発生装置。
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