JP2004342360A - X線発生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、X線発生装置において、プリフラッシュの初期加算電流値を最適値に近似させることにある。
【解決手段】本発明のX線発生装置は、X線管装置2と、X線管装置の陽極陰極間に印加する管電圧を発生する管電圧発生部3,8と、X線管装置の陰極フィラメントに供給するフィラメント加熱電流を発生するフィラメント加熱電流発生部4,9と、X線管装置の管電流を検出するための抵抗6a,6bと、検出された管電流の時間波形を表すディジタルデータを発生するアナログディジタル変換器11と、ディジタルデータを記憶するメモリ12aと、記憶されたディジタルデータに基づいてフィラメント加熱電流に対する次回撮影時の初期加算電流値を決定する演算器12とを具備する。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明のX線発生装置は、X線管装置2と、X線管装置の陽極陰極間に印加する管電圧を発生する管電圧発生部3,8と、X線管装置の陰極フィラメントに供給するフィラメント加熱電流を発生するフィラメント加熱電流発生部4,9と、X線管装置の管電流を検出するための抵抗6a,6bと、検出された管電流の時間波形を表すディジタルデータを発生するアナログディジタル変換器11と、ディジタルデータを記憶するメモリ12aと、記憶されたディジタルデータに基づいてフィラメント加熱電流に対する次回撮影時の初期加算電流値を決定する演算器12とを具備する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線診断装置やX線コンピュータ断層撮影装置等に装備されるX線発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線発生装置では、陰極フィラメントに電流を流して加熱し、それにより放出された熱電子を陰極陽極間に印加した高電圧(管電圧という)により加速して陽極のターゲットに衝突させることによりX線を発生させる。このX線の強度は、周知のとおり、管電流に比例して決まる。この管電流を調整するには、フィラメント加熱電流を増減することにより行われる。フィラメント加熱電流を増減させることによりフィラメントの温度が変化して、フィラメントから放出される熱電子の量が変化する。それに応じて管電流も変化する。
【0003】
X線管装置のフィラメント温度を加減するにはフィラメント加熱電流を増減するが、フィラメントには熱慣性があるので、フィラメント加熱電流の供給を開始してから実際に管電流が立ち上がるまでにある程度の時間遅延が生じる。この時間遅延を短縮して管電流の立ち上がり時間を短縮するために、予備加熱やプリフラッシュ技術が使われている。プリフラッシュとは、フィラメント温度を急激に上昇させるために、フィラメント加熱電流を、予定した管電流値に対応するフィラメント加熱電流値より高い値で立ち上げる技術である。なお、プリフラッシュにおいて、予定した管電流に対応するフィラメント加熱電流に対してその立ち上げの初期期間に加える電流を初期加算電流(プリフラッシュ電流ともいう)という。
【0004】
多くの装置では、据付時に実測した結果に従って、当該初期加算電流値が好適な値に調整される。この初期加算電流値の調整作業は非常に手間と時間を要するものである。また、そのように手間と時間を要して調整した初期加算電流値であっても、フィラメントの経時劣化等を原因として、その調整値が好適値から外れてしまうことがある。例えば、初期加算電流値が低すぎた場合には、予定している立ち上がり期間では、管電流が予定値まで達しないし、初期加算電流値が高すぎた場合には、管電流が一時的に予定値を超過するいわゆるオーバーシュートが発生してしまう。このような場合には、初期加算電流値の再調整が必要とされる。
【0005】
【特許文献1】
先行文献がございましたらご記入又はご連絡ください。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、X線発生装置において、プリフラッシュの初期加算電流値を最適値に近似させることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1局面によるX線発生装置は、X線管装置と、前記X線管装置の陽極陰極間に印加する管電圧を発生する管電圧発生部と、前記X線管装置の陰極フィラメントに供給するフィラメント加熱電流を発生するフィラメント加熱電流発生部と、前記X線管装置の管電流を検出する手段と、前記検出された管電流の時間波形を表すディジタルデータを発生する手段と、前記ディジタルデータを記憶する手段と、前記記憶されたディジタルデータに基づいて前記フィラメント加熱電流に対する次回撮影時の初期加算電流値を決定する手段とを具備する。
本発明の第2局面によるX線発生装置は、X線管装置と、前記X線管装置の陽極陰極間に印加する管電圧を発生する管電圧発生部と、前記X線管装置の管電圧を検出する手段と、前記X線管装置の管電流を検出する手段と、前記検出された管電圧の時間波形を表すディジタルデータを発生する手段と、前記検出された管電流の時間波形を表すディジタルデータを発生する手段と、前記検出された管電圧の時間波形を表すディジタルデータと、前記検出された管電流の時間波形を表すディジタルデータとを記憶する手段と、前記記憶された管電圧の時間波形を表すディジタルデータと前記記憶された管電流の時間波形を表すディジタルデータとに基づいて前記管電圧と管電流との少なくとも一方がゼロ又はゼロ付近まで降下したとき、前記管電圧発生部の故障を告知する手段とを具備する。
本発明の第3局面によるX線発生装置は、X線管装置と、前記X線管装置の陽極陰極間に印加する管電圧を発生する管電圧発生部と、前記X線管装置の管電圧を検出する手段と、前記X線管装置の管電流を検出する手段と、前記検出された管電圧の時間波形を表すディジタルデータを発生する手段と、前記検出された管電流の時間波形を表すディジタルデータを発生する手段と、前記検出された管電圧の時間波形を表すディジタルデータと、前記検出された管電流の時間波形を表すディジタルデータとを記憶する手段と、前記記憶された管電圧の時間波形を表すディジタルデータと前記記憶された管電流の時間波形を表すディジタルデータとに基づいて前記検出された管電圧が一時的に所定電圧値より降下する事態と、前記検出された管電圧が一時的に所定電流値を超える事態との少なくとも一方の事態が発生したとき、前記管電圧発生部又は前記X線管装置で一時的に放電現象が発生したことを告知する手段とを具備する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明によるX線発生装置を好ましい実施形態により説明する。X線発生装置は、医用分野、非破壊検査分野等の様々な分野で適用されている。さらに、X線発生装置は、医用分野の中でも、X線診断装置やX線コンピュータ断層撮影装置等様々な装置に装備される。本発明に係るX線発生装置は、医用分野、非破壊検査分野のいずれの分野においても適用可能である。ここでは、本発明に係るX線発生装置は、医用分野の特にX線診断装置への適用を例に説明する。
【0009】
X線診断装置について簡単に説明すると、X線診断装置では、X線発生装置のX線管が、フラットパネル又はイメージインテンシファイアとTVカメラとの組み合わせで構成されたX線検出器に対して被検体を挟んでアーム又はスタンドにより保持されている。X線検出器で検出された入射X線強度を反映した電気的信号に基づいて画像データが生成され、表示される。
【0010】
図1は本実施形態に係るX線発生装置の構成を示す図である。X線発生装置は、X線管装置2と、高電圧発生装置1とから構成される。X線管装置2は、内部が高真空に保持されているガラスバルブ2dを有する。ガラスバルブ2dには、一般的には回転式の陽極2aと、大焦点用と小焦点用との2系統の陰極2b、2cとが収容される。もちろん、1系統の陰極2b又は2cを装備するものであってもよい。なお便宜的に、大焦点用の陰極2bを第1陰極、小焦点用の陰極2cを第2陰極と称するものとする。第1陰極2bは、第1フィラメントと、第1集束電極カップとから構成される。同様に、第2陰極2cは、第2フィラメントと、第2集束電極カップとから構成される。
【0011】
高電圧発生装置1は、陽極2aと陰極2c、2cとの間に印加するための高電圧を発生するために、二次巻線が陽極2aと陰極2c、2cに接続された高電圧トランス3と、高電圧トランス3の一次巻線に印加する一次電圧を発生する高電圧電源制御回路8と、高電圧トランス3の二次電圧を整流するための図示しないが例えばブリッジタイプの整流器とを有している。高電圧電源制御回路8としては、例えばインバータタイプであれば、整流回路で交流電源を直流に変換し、その直流を電圧制御用トランジスタで例えば数kHzの方形波パルスに変換し、フィルタで平滑化した後に、例えばブリッジインバータで数kHzの一次電圧波形を形成する。電圧制御用トランジスタでパルス幅を変えることにより、管電圧を調整することができる。電圧制御用トランジスタのパルス幅は演算器12からの制御信号に従って変化される。
【0012】
高電圧発生装置1は、第1陰極2bにフィラメント加熱電流を供給するために、二次巻線が第1フィラメントに接続された高電圧絶縁されたトランス4と、トランス4の一次巻線に印加する一次電圧を発生するフィラメント制御回路9とを有している。フィラメント制御回路9は、交流電源に接続された整流回路、管電流制御用トランジスタ、整流平滑された直流を高速スイッチングにより高周波化するインバータ回路からなる。管電流制御用トランジスタでパルス幅を変えることにより、フィラメント加熱電流を調整することができる。管電流制御用トランジスタのパルス幅は演算器12からの制御信号に従って変化される。同様に、第2陰極2cに対しても、高電圧絶縁されたトランス5と、トランス5の一次巻線に印加する一次電圧を発生するフィラメント制御回路10とを有している。
【0013】
管電圧検出用抵抗7a乃至7dは、管電圧を検出するために陽極2aと陰極2b、2cとの間に配置される分圧抵抗である。管電圧検出用抵抗7a乃至7dで検出された管電圧は、アナログディジタル変換器11に送られる。管電流検出用抵抗6a,6bは、管電流を検出するためにトランス3と陰極2b、2cとの間に設けられる。管電流は管電流検出用抵抗6a,6bで電圧に変換されてアナログディジタル変換器11に送られる。
【0014】
アナログディジタル変換器11は、図2に示すように、管電圧検出用抵抗7a乃至7dで検出された管電圧Vpを一定周期で繰り返しディジタルデータに変換する。ある期間内にアナログディジタル変換器11から出力されるディジタルデータのセットは、当該期間における管電圧の時間変化を表している。同様に、アナログディジタル変換器11は、図2に示すように、管電流検出用抵抗6a、6bで検出された管電流Ipを一定周期でディジタルデータに変換する。ある期間内にアナログディジタル変換器11から出力されるディジタルデータのセットは、当該期間における管電流の時間変化を表している。
【0015】
演算器12は、典型的には不揮発性を有するメモリ12aを有している。メモリ12aには、アナログディジタル変換器11から出力される管電圧の時間変化を表しているディジタルデータのセットが、時刻コードとともに記憶される。同様に、メモリ12aには、アナログディジタル変換器11から出力される管電流の時間変化を表しているディジタルデータのセットが、時刻コード及び第1,第2陰極2b、2cを識別するための識別コードとともに記憶される。
【0016】
入出力器13は、管電圧値や管電流値を入力するためのダイヤルスイッチ、数値キー等の入力デバイスと、後述するメッセージ、管電圧の時間波形及び管電流の時間波形を表示するためのモニタとを備えている。演算器12は、入出力器13を経由して入力された管電圧設定値又は装置本体のシステムコントローラから供給された管電圧設定値に応じて高電圧電源制御回路8に対してパルス幅制御信号を発生する。そのためにメモリ12aに管電圧設定値とパルス幅との対応表が予め記憶されている。また、演算器12は、入出力器13を経由して入力された管電流設定値又は装置本体のシステムコントローラから供給された管電流設定値に応じてフィラメント制御回路9又は10に対してフィラメント加熱電流値調整のためのパルス幅制御信号を発生する。そのためにメモリ12aに管電流設定値とパルス幅との対応表が予め記憶されている。
【0017】
演算器12は、プリフラッシュ機能を有している。プリフラッシュ機能は、フィラメント温度の上昇時間を短縮することで管電流の立ち上がり時間を短縮するために、図2に示すように、フィラメント加熱電流の初期値を、設定された管電流値に対応するフィラメント加熱電流値Ifより高い値に設定する技術である。なお、ここでは、設定された管電流値に対応するフィラメント加熱電流値Ifに対して加える電流を初期加算電流(プリフラッシュ電流ともいう)といい、その加える電流振幅を初期加算電流値(プリフラッシュ電流値ともいう)Ipfという。なお、典型的な動作としては、撮影準備開始時刻t0でフィラメント加熱電流の供給を開始し、撮影開始時刻t1で管電圧の印加を開始する。それにより両極間に管電流が流れる。撮影開始時刻t1から、予定した立ち上げ利期間を経て、時刻t2において、管電流が予定値に達する。
【0018】
演算器12は、プリフラッシュにおける初期加算電流値の最適値との差異を経時的、ここでは撮影を繰り返すに応じて徐々に減少させていくための特徴的な機能を有している。なお、初期加算電流値が最適値である場合、フィラメント加熱電流を投入開始してから管電流が予定した管電流値に達するまでに要した立ち上がり時間が、所定の時間に一致又は所定の時間を中心とした±数パーセントの許容幅以内に収まる。この機能によると、装置据付時に調整した初期加算電流値が多少誤差を含んでいたとしても、撮影を繰り返すうちに、徐々に最適値に近似されていく。また、フィラメントの経時劣化により初期加算電流の最適値それ自体が変化していくが、その変化に対して追従することができ、初期加算電流値の再設定作業を不要又はその頻度を減らすことができる。
【0019】
図3に示すように、今回の撮影時の初期加算電流値がIpfであると仮定する。今回の撮影において検出した管電流の時間変化を表すデータはメモリ12aに記憶されている。演算器12は、今回の撮影後に、今回の撮影時のつまり最新の管電流時間変化を表すデータから立ち上がり時間を特定する。特定した立ち上がり時間と所定の立ち上がり時間との差異を計算する。差異がしきい値を超過しているとき、つまり今回の撮影時の立ち上がり時間が所定の立ち上がり時間より所定時間を超えて長いとき、今回の撮影時の初期加算電流値Ipfに対して、1.0超の所定の調整係数、例えば1.05を乗算することにより、次回の撮影時の初期加算電流値Ipf´を求める。求めた次回の撮影時の初期加算電流値Ipf´のデータは、メモリ12aに記憶され、次回撮影時にはそのデータに従って初期加算電流値が設定される。
【0020】
逆に、初期加算電流値Ipfが高すぎる場合には、図4に示すように、管電流がオーバーシュートを起こしてしまう。演算器12は、今回の撮影後に、今回の撮影時の管電流時間変化を表すデータから、所定の初期期間内の管電流の極大値を特定する。管電流の設定値に対する極大値と管電流の設定値との差異の割合(オーバーシュートレベル)がしきい値を超過しているとき、つまり今回の撮影時のオーバーシュートレベルがしきい値を超過して過剰に大きいとき、今回の撮影時の初期加算電流値Ipfに対して、1.0未満の所定の調整係数、例えば0.95を乗算することにより、次回の撮影時の初期加算電流値Ipf´を求める。
【0021】
このように今回撮影時の立ち上がり状況に応じて今回の初期加算電流値を基準として、その5パーセントの幅で次回の初期加算電流値を増減していくことで、累積的な調整効果を発揮して、初期加算電流値を徐々に最適値に近似させることができる。
【0022】
演算器12は、入出力器13からの要求に応じて、過去の任意数回分の撮影における管電圧時間波形及び管電流時間波形を、メモリ12aに記憶されているデータから作成すると共に、作成した管電圧時間波形及び管電流時間波形を入出力器13のモニタに表示させる機能を有している。この機能は、サービスメンテナンスに際して初期加算電流値を再設定するときに効果的である。
【0023】
演算器12は、初期加算電流値の最適化機能、過去の管電圧時間波形及び管電流時間波形の表示機能とともに、波形異常時の告知機能を有している。波形異常は、主にその発生要因の相違で2種類ある。その一方は、主に高電圧電源制御回路8内で発生する故障に起因して起きるものである。他方は、主に高電圧電源制御回路8内又はX線管装置2内で発生する放電現象に起因して起きるものである。演算器12は、管電圧時間波形及び管電流時間波形から、これら2種類の異常の発生の有無及びその区別を判定し、それぞれに応じたメッセージを、そのときの管電圧時間波形及び管電流時間波形とともに、モニタに表示する。
【0024】
高電圧電源制御回路8内で故障が発生したとき、図5に示すように管電圧と管電流との少なくとも一方が急激に降下し、それが継続する。演算器12は、メモリ12aに記憶されているデータから、管電圧と管電流との少なくとも一方がゼロ又はゼロ付近まで降下、実際的にはそれぞれの設定値の半値未満に降下する条件と、管電圧と管電流との少なくとも一方がそれぞれの設定値の半値未満に降下した状態が所定時間を超過して継続する条件との両方を満たしたとき、演算器12は、高電圧電源制御回路8内に故障が発生したことを判定するとともに、その発生個所と対処とを含む例えば図6に示すように「高電圧電源制御回路内で故障が発生しました。メンテナンスサービスに修理をご依頼ください。」とのメッセージを、そのときの管電圧時間波形及び管電流時間波形とともに、モニタに表示する。
【0025】
高電圧電源制御回路8内又はX線管装置2内で放電現象が起きたとき、図7に示すように管電圧は急激に降下し、管電流は急激に上昇するとともに、そのいずれも短期間のうちに正常値に回復する。演算器12は、メモリ12aに記憶されているデータから、管電圧が設定値の半値未満に降下し、しかもその状態の継続時間が所定時間未満である条件と、管電流がその設定値に所定パーセントを乗算した値を当該設定値に加えた値を超えて上昇し、しかもその状態の継続時間が所定時間未満である条件との少なくとも一方を満たした場合、演算器12は、高電圧電源制御回路8内又はX線管装置2内で放電現象が起きたことを判定するとともに、その発生個所と対処とを含む例えば図8に示すように「一時的に放電が発生しました。使用上は重大な支障はありませんが、なるべく早いうちにメンテナンスサービスで高電圧電源制御回路、X線管装置の診断を受けてください。」とのメッセージを、そのときの管電圧時間波形及び管電流時間波形とともに、モニタに表示する。
【0026】
メンテナンスサービスマンが入出力器13から時間波形表示を要求すると、過去の任意数回分の撮影における管電圧時間波形及び管電流時間波形が、メモリ12aに記憶されているデータから作成され、作成された管電圧時間波形及び管電流時間波形を入出力器13のモニタに表示される。メンテナンスサービスマンは、過去の任意数回分の撮影における管電圧時間波形及び管電流時間波形から、波形異常の状況を把握して、その原因を特定し、修理や部品交換等の適切な処置を迅速に行うことができる。
【0027】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、X線発生装置において、プリフラッシュの初期加算電流値を最適値に近似させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態によるX線発生装置の構成を示す図。
【図2】図1のメモリに記憶される管電圧の時間波形を表すディジタルデータと管電流の時間波形を表すディジタルデータとを示す図。
【図3】図1の演算器による次回撮影時の初期加算電流値を示す図。
【図4】図1の演算器による次回撮影時の初期加算電流値を示す図。
【図5】図1の高電圧発生装置で放電現象が発生したときの管電圧及び管電流の時間波形を示す図。
【図6】図5の高電圧発生装置で故障が発生したときに図1の入出力器のモニタに表示される表示画面の例を示す図。
【図7】図1の高電圧発生装置内又はX線管装置内で一時的な放電現象が発生したときの管電圧及び管電流の時間波形を示す図。
【図8】図7の一時的な放電現象が発生したときに図1の入出力器のモニタに表示される表示画面の例を示す図。
【符号の説明】
1…高電圧発生装置、2…X線発生装置、2a…X線管陽極、2b…第1X線管陰極(第1フィラメント)、2c…第2X線管陰極(第2フィラメント)、3…高電圧トランス、4…第1フィラメント用トランス、5…第2フィラメント用トランス、6a…管電流検出用抵抗、6b…管電流検出用抵抗、7a…管電圧検出用抵抗、7b…管電圧検出用抵抗、7c…管電圧検出用抵抗、7d…管電圧検出用抵抗、8…高電圧電源制御回路、9…第1フィラメント制御回路、10…第2フィラメント制御回路、11…アナログディジタル変換器、12…演算器(マイクロコンピュータ)、12a…メモリ、13…入出力器。
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線診断装置やX線コンピュータ断層撮影装置等に装備されるX線発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線発生装置では、陰極フィラメントに電流を流して加熱し、それにより放出された熱電子を陰極陽極間に印加した高電圧(管電圧という)により加速して陽極のターゲットに衝突させることによりX線を発生させる。このX線の強度は、周知のとおり、管電流に比例して決まる。この管電流を調整するには、フィラメント加熱電流を増減することにより行われる。フィラメント加熱電流を増減させることによりフィラメントの温度が変化して、フィラメントから放出される熱電子の量が変化する。それに応じて管電流も変化する。
【0003】
X線管装置のフィラメント温度を加減するにはフィラメント加熱電流を増減するが、フィラメントには熱慣性があるので、フィラメント加熱電流の供給を開始してから実際に管電流が立ち上がるまでにある程度の時間遅延が生じる。この時間遅延を短縮して管電流の立ち上がり時間を短縮するために、予備加熱やプリフラッシュ技術が使われている。プリフラッシュとは、フィラメント温度を急激に上昇させるために、フィラメント加熱電流を、予定した管電流値に対応するフィラメント加熱電流値より高い値で立ち上げる技術である。なお、プリフラッシュにおいて、予定した管電流に対応するフィラメント加熱電流に対してその立ち上げの初期期間に加える電流を初期加算電流(プリフラッシュ電流ともいう)という。
【0004】
多くの装置では、据付時に実測した結果に従って、当該初期加算電流値が好適な値に調整される。この初期加算電流値の調整作業は非常に手間と時間を要するものである。また、そのように手間と時間を要して調整した初期加算電流値であっても、フィラメントの経時劣化等を原因として、その調整値が好適値から外れてしまうことがある。例えば、初期加算電流値が低すぎた場合には、予定している立ち上がり期間では、管電流が予定値まで達しないし、初期加算電流値が高すぎた場合には、管電流が一時的に予定値を超過するいわゆるオーバーシュートが発生してしまう。このような場合には、初期加算電流値の再調整が必要とされる。
【0005】
【特許文献1】
先行文献がございましたらご記入又はご連絡ください。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、X線発生装置において、プリフラッシュの初期加算電流値を最適値に近似させることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1局面によるX線発生装置は、X線管装置と、前記X線管装置の陽極陰極間に印加する管電圧を発生する管電圧発生部と、前記X線管装置の陰極フィラメントに供給するフィラメント加熱電流を発生するフィラメント加熱電流発生部と、前記X線管装置の管電流を検出する手段と、前記検出された管電流の時間波形を表すディジタルデータを発生する手段と、前記ディジタルデータを記憶する手段と、前記記憶されたディジタルデータに基づいて前記フィラメント加熱電流に対する次回撮影時の初期加算電流値を決定する手段とを具備する。
本発明の第2局面によるX線発生装置は、X線管装置と、前記X線管装置の陽極陰極間に印加する管電圧を発生する管電圧発生部と、前記X線管装置の管電圧を検出する手段と、前記X線管装置の管電流を検出する手段と、前記検出された管電圧の時間波形を表すディジタルデータを発生する手段と、前記検出された管電流の時間波形を表すディジタルデータを発生する手段と、前記検出された管電圧の時間波形を表すディジタルデータと、前記検出された管電流の時間波形を表すディジタルデータとを記憶する手段と、前記記憶された管電圧の時間波形を表すディジタルデータと前記記憶された管電流の時間波形を表すディジタルデータとに基づいて前記管電圧と管電流との少なくとも一方がゼロ又はゼロ付近まで降下したとき、前記管電圧発生部の故障を告知する手段とを具備する。
本発明の第3局面によるX線発生装置は、X線管装置と、前記X線管装置の陽極陰極間に印加する管電圧を発生する管電圧発生部と、前記X線管装置の管電圧を検出する手段と、前記X線管装置の管電流を検出する手段と、前記検出された管電圧の時間波形を表すディジタルデータを発生する手段と、前記検出された管電流の時間波形を表すディジタルデータを発生する手段と、前記検出された管電圧の時間波形を表すディジタルデータと、前記検出された管電流の時間波形を表すディジタルデータとを記憶する手段と、前記記憶された管電圧の時間波形を表すディジタルデータと前記記憶された管電流の時間波形を表すディジタルデータとに基づいて前記検出された管電圧が一時的に所定電圧値より降下する事態と、前記検出された管電圧が一時的に所定電流値を超える事態との少なくとも一方の事態が発生したとき、前記管電圧発生部又は前記X線管装置で一時的に放電現象が発生したことを告知する手段とを具備する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明によるX線発生装置を好ましい実施形態により説明する。X線発生装置は、医用分野、非破壊検査分野等の様々な分野で適用されている。さらに、X線発生装置は、医用分野の中でも、X線診断装置やX線コンピュータ断層撮影装置等様々な装置に装備される。本発明に係るX線発生装置は、医用分野、非破壊検査分野のいずれの分野においても適用可能である。ここでは、本発明に係るX線発生装置は、医用分野の特にX線診断装置への適用を例に説明する。
【0009】
X線診断装置について簡単に説明すると、X線診断装置では、X線発生装置のX線管が、フラットパネル又はイメージインテンシファイアとTVカメラとの組み合わせで構成されたX線検出器に対して被検体を挟んでアーム又はスタンドにより保持されている。X線検出器で検出された入射X線強度を反映した電気的信号に基づいて画像データが生成され、表示される。
【0010】
図1は本実施形態に係るX線発生装置の構成を示す図である。X線発生装置は、X線管装置2と、高電圧発生装置1とから構成される。X線管装置2は、内部が高真空に保持されているガラスバルブ2dを有する。ガラスバルブ2dには、一般的には回転式の陽極2aと、大焦点用と小焦点用との2系統の陰極2b、2cとが収容される。もちろん、1系統の陰極2b又は2cを装備するものであってもよい。なお便宜的に、大焦点用の陰極2bを第1陰極、小焦点用の陰極2cを第2陰極と称するものとする。第1陰極2bは、第1フィラメントと、第1集束電極カップとから構成される。同様に、第2陰極2cは、第2フィラメントと、第2集束電極カップとから構成される。
【0011】
高電圧発生装置1は、陽極2aと陰極2c、2cとの間に印加するための高電圧を発生するために、二次巻線が陽極2aと陰極2c、2cに接続された高電圧トランス3と、高電圧トランス3の一次巻線に印加する一次電圧を発生する高電圧電源制御回路8と、高電圧トランス3の二次電圧を整流するための図示しないが例えばブリッジタイプの整流器とを有している。高電圧電源制御回路8としては、例えばインバータタイプであれば、整流回路で交流電源を直流に変換し、その直流を電圧制御用トランジスタで例えば数kHzの方形波パルスに変換し、フィルタで平滑化した後に、例えばブリッジインバータで数kHzの一次電圧波形を形成する。電圧制御用トランジスタでパルス幅を変えることにより、管電圧を調整することができる。電圧制御用トランジスタのパルス幅は演算器12からの制御信号に従って変化される。
【0012】
高電圧発生装置1は、第1陰極2bにフィラメント加熱電流を供給するために、二次巻線が第1フィラメントに接続された高電圧絶縁されたトランス4と、トランス4の一次巻線に印加する一次電圧を発生するフィラメント制御回路9とを有している。フィラメント制御回路9は、交流電源に接続された整流回路、管電流制御用トランジスタ、整流平滑された直流を高速スイッチングにより高周波化するインバータ回路からなる。管電流制御用トランジスタでパルス幅を変えることにより、フィラメント加熱電流を調整することができる。管電流制御用トランジスタのパルス幅は演算器12からの制御信号に従って変化される。同様に、第2陰極2cに対しても、高電圧絶縁されたトランス5と、トランス5の一次巻線に印加する一次電圧を発生するフィラメント制御回路10とを有している。
【0013】
管電圧検出用抵抗7a乃至7dは、管電圧を検出するために陽極2aと陰極2b、2cとの間に配置される分圧抵抗である。管電圧検出用抵抗7a乃至7dで検出された管電圧は、アナログディジタル変換器11に送られる。管電流検出用抵抗6a,6bは、管電流を検出するためにトランス3と陰極2b、2cとの間に設けられる。管電流は管電流検出用抵抗6a,6bで電圧に変換されてアナログディジタル変換器11に送られる。
【0014】
アナログディジタル変換器11は、図2に示すように、管電圧検出用抵抗7a乃至7dで検出された管電圧Vpを一定周期で繰り返しディジタルデータに変換する。ある期間内にアナログディジタル変換器11から出力されるディジタルデータのセットは、当該期間における管電圧の時間変化を表している。同様に、アナログディジタル変換器11は、図2に示すように、管電流検出用抵抗6a、6bで検出された管電流Ipを一定周期でディジタルデータに変換する。ある期間内にアナログディジタル変換器11から出力されるディジタルデータのセットは、当該期間における管電流の時間変化を表している。
【0015】
演算器12は、典型的には不揮発性を有するメモリ12aを有している。メモリ12aには、アナログディジタル変換器11から出力される管電圧の時間変化を表しているディジタルデータのセットが、時刻コードとともに記憶される。同様に、メモリ12aには、アナログディジタル変換器11から出力される管電流の時間変化を表しているディジタルデータのセットが、時刻コード及び第1,第2陰極2b、2cを識別するための識別コードとともに記憶される。
【0016】
入出力器13は、管電圧値や管電流値を入力するためのダイヤルスイッチ、数値キー等の入力デバイスと、後述するメッセージ、管電圧の時間波形及び管電流の時間波形を表示するためのモニタとを備えている。演算器12は、入出力器13を経由して入力された管電圧設定値又は装置本体のシステムコントローラから供給された管電圧設定値に応じて高電圧電源制御回路8に対してパルス幅制御信号を発生する。そのためにメモリ12aに管電圧設定値とパルス幅との対応表が予め記憶されている。また、演算器12は、入出力器13を経由して入力された管電流設定値又は装置本体のシステムコントローラから供給された管電流設定値に応じてフィラメント制御回路9又は10に対してフィラメント加熱電流値調整のためのパルス幅制御信号を発生する。そのためにメモリ12aに管電流設定値とパルス幅との対応表が予め記憶されている。
【0017】
演算器12は、プリフラッシュ機能を有している。プリフラッシュ機能は、フィラメント温度の上昇時間を短縮することで管電流の立ち上がり時間を短縮するために、図2に示すように、フィラメント加熱電流の初期値を、設定された管電流値に対応するフィラメント加熱電流値Ifより高い値に設定する技術である。なお、ここでは、設定された管電流値に対応するフィラメント加熱電流値Ifに対して加える電流を初期加算電流(プリフラッシュ電流ともいう)といい、その加える電流振幅を初期加算電流値(プリフラッシュ電流値ともいう)Ipfという。なお、典型的な動作としては、撮影準備開始時刻t0でフィラメント加熱電流の供給を開始し、撮影開始時刻t1で管電圧の印加を開始する。それにより両極間に管電流が流れる。撮影開始時刻t1から、予定した立ち上げ利期間を経て、時刻t2において、管電流が予定値に達する。
【0018】
演算器12は、プリフラッシュにおける初期加算電流値の最適値との差異を経時的、ここでは撮影を繰り返すに応じて徐々に減少させていくための特徴的な機能を有している。なお、初期加算電流値が最適値である場合、フィラメント加熱電流を投入開始してから管電流が予定した管電流値に達するまでに要した立ち上がり時間が、所定の時間に一致又は所定の時間を中心とした±数パーセントの許容幅以内に収まる。この機能によると、装置据付時に調整した初期加算電流値が多少誤差を含んでいたとしても、撮影を繰り返すうちに、徐々に最適値に近似されていく。また、フィラメントの経時劣化により初期加算電流の最適値それ自体が変化していくが、その変化に対して追従することができ、初期加算電流値の再設定作業を不要又はその頻度を減らすことができる。
【0019】
図3に示すように、今回の撮影時の初期加算電流値がIpfであると仮定する。今回の撮影において検出した管電流の時間変化を表すデータはメモリ12aに記憶されている。演算器12は、今回の撮影後に、今回の撮影時のつまり最新の管電流時間変化を表すデータから立ち上がり時間を特定する。特定した立ち上がり時間と所定の立ち上がり時間との差異を計算する。差異がしきい値を超過しているとき、つまり今回の撮影時の立ち上がり時間が所定の立ち上がり時間より所定時間を超えて長いとき、今回の撮影時の初期加算電流値Ipfに対して、1.0超の所定の調整係数、例えば1.05を乗算することにより、次回の撮影時の初期加算電流値Ipf´を求める。求めた次回の撮影時の初期加算電流値Ipf´のデータは、メモリ12aに記憶され、次回撮影時にはそのデータに従って初期加算電流値が設定される。
【0020】
逆に、初期加算電流値Ipfが高すぎる場合には、図4に示すように、管電流がオーバーシュートを起こしてしまう。演算器12は、今回の撮影後に、今回の撮影時の管電流時間変化を表すデータから、所定の初期期間内の管電流の極大値を特定する。管電流の設定値に対する極大値と管電流の設定値との差異の割合(オーバーシュートレベル)がしきい値を超過しているとき、つまり今回の撮影時のオーバーシュートレベルがしきい値を超過して過剰に大きいとき、今回の撮影時の初期加算電流値Ipfに対して、1.0未満の所定の調整係数、例えば0.95を乗算することにより、次回の撮影時の初期加算電流値Ipf´を求める。
【0021】
このように今回撮影時の立ち上がり状況に応じて今回の初期加算電流値を基準として、その5パーセントの幅で次回の初期加算電流値を増減していくことで、累積的な調整効果を発揮して、初期加算電流値を徐々に最適値に近似させることができる。
【0022】
演算器12は、入出力器13からの要求に応じて、過去の任意数回分の撮影における管電圧時間波形及び管電流時間波形を、メモリ12aに記憶されているデータから作成すると共に、作成した管電圧時間波形及び管電流時間波形を入出力器13のモニタに表示させる機能を有している。この機能は、サービスメンテナンスに際して初期加算電流値を再設定するときに効果的である。
【0023】
演算器12は、初期加算電流値の最適化機能、過去の管電圧時間波形及び管電流時間波形の表示機能とともに、波形異常時の告知機能を有している。波形異常は、主にその発生要因の相違で2種類ある。その一方は、主に高電圧電源制御回路8内で発生する故障に起因して起きるものである。他方は、主に高電圧電源制御回路8内又はX線管装置2内で発生する放電現象に起因して起きるものである。演算器12は、管電圧時間波形及び管電流時間波形から、これら2種類の異常の発生の有無及びその区別を判定し、それぞれに応じたメッセージを、そのときの管電圧時間波形及び管電流時間波形とともに、モニタに表示する。
【0024】
高電圧電源制御回路8内で故障が発生したとき、図5に示すように管電圧と管電流との少なくとも一方が急激に降下し、それが継続する。演算器12は、メモリ12aに記憶されているデータから、管電圧と管電流との少なくとも一方がゼロ又はゼロ付近まで降下、実際的にはそれぞれの設定値の半値未満に降下する条件と、管電圧と管電流との少なくとも一方がそれぞれの設定値の半値未満に降下した状態が所定時間を超過して継続する条件との両方を満たしたとき、演算器12は、高電圧電源制御回路8内に故障が発生したことを判定するとともに、その発生個所と対処とを含む例えば図6に示すように「高電圧電源制御回路内で故障が発生しました。メンテナンスサービスに修理をご依頼ください。」とのメッセージを、そのときの管電圧時間波形及び管電流時間波形とともに、モニタに表示する。
【0025】
高電圧電源制御回路8内又はX線管装置2内で放電現象が起きたとき、図7に示すように管電圧は急激に降下し、管電流は急激に上昇するとともに、そのいずれも短期間のうちに正常値に回復する。演算器12は、メモリ12aに記憶されているデータから、管電圧が設定値の半値未満に降下し、しかもその状態の継続時間が所定時間未満である条件と、管電流がその設定値に所定パーセントを乗算した値を当該設定値に加えた値を超えて上昇し、しかもその状態の継続時間が所定時間未満である条件との少なくとも一方を満たした場合、演算器12は、高電圧電源制御回路8内又はX線管装置2内で放電現象が起きたことを判定するとともに、その発生個所と対処とを含む例えば図8に示すように「一時的に放電が発生しました。使用上は重大な支障はありませんが、なるべく早いうちにメンテナンスサービスで高電圧電源制御回路、X線管装置の診断を受けてください。」とのメッセージを、そのときの管電圧時間波形及び管電流時間波形とともに、モニタに表示する。
【0026】
メンテナンスサービスマンが入出力器13から時間波形表示を要求すると、過去の任意数回分の撮影における管電圧時間波形及び管電流時間波形が、メモリ12aに記憶されているデータから作成され、作成された管電圧時間波形及び管電流時間波形を入出力器13のモニタに表示される。メンテナンスサービスマンは、過去の任意数回分の撮影における管電圧時間波形及び管電流時間波形から、波形異常の状況を把握して、その原因を特定し、修理や部品交換等の適切な処置を迅速に行うことができる。
【0027】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、X線発生装置において、プリフラッシュの初期加算電流値を最適値に近似させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態によるX線発生装置の構成を示す図。
【図2】図1のメモリに記憶される管電圧の時間波形を表すディジタルデータと管電流の時間波形を表すディジタルデータとを示す図。
【図3】図1の演算器による次回撮影時の初期加算電流値を示す図。
【図4】図1の演算器による次回撮影時の初期加算電流値を示す図。
【図5】図1の高電圧発生装置で放電現象が発生したときの管電圧及び管電流の時間波形を示す図。
【図6】図5の高電圧発生装置で故障が発生したときに図1の入出力器のモニタに表示される表示画面の例を示す図。
【図7】図1の高電圧発生装置内又はX線管装置内で一時的な放電現象が発生したときの管電圧及び管電流の時間波形を示す図。
【図8】図7の一時的な放電現象が発生したときに図1の入出力器のモニタに表示される表示画面の例を示す図。
【符号の説明】
1…高電圧発生装置、2…X線発生装置、2a…X線管陽極、2b…第1X線管陰極(第1フィラメント)、2c…第2X線管陰極(第2フィラメント)、3…高電圧トランス、4…第1フィラメント用トランス、5…第2フィラメント用トランス、6a…管電流検出用抵抗、6b…管電流検出用抵抗、7a…管電圧検出用抵抗、7b…管電圧検出用抵抗、7c…管電圧検出用抵抗、7d…管電圧検出用抵抗、8…高電圧電源制御回路、9…第1フィラメント制御回路、10…第2フィラメント制御回路、11…アナログディジタル変換器、12…演算器(マイクロコンピュータ)、12a…メモリ、13…入出力器。
Claims (8)
- X線管装置と、
前記X線管装置の陽極陰極間に印加する管電圧を発生する管電圧発生部と、
前記X線管装置の陰極フィラメントに供給するフィラメント加熱電流を発生するフィラメント加熱電流発生部と、
前記X線管装置の管電流を検出する手段と、
前記検出された管電流の時間波形を表すディジタルデータを発生する手段と、
前記ディジタルデータを記憶する手段と、
前記記憶されたディジタルデータに基づいて前記フィラメント加熱電流に対する次回撮影時の初期加算電流値を決定する手段とを具備することを特徴とするX線発生装置。 - 前記初期加算電流値を決定する手段は、前記検出された管電流の立上がり時間が所定時間を超えているとき、前記次回撮影時の初期加算電流値を今回の撮影時の初期加算電流値より所定割合増加することを特徴とする請求項1記載のX線発生装置。
- 前記初期加算電流値を決定する手段は、前記検出された管電流の最大値がしきい値を超えているとき、前記次回撮影時の初期算電流値を今回の撮影時の初期加算電流値より所定割合低下することを特徴とする請求項1記載のX線発生装置。
- 前記記憶されたディジタルデータに基づいて前記検出された管電流の時間波形を表示する手段をさらに備える特徴とする請求項1記載のX線発生装置。
- X線管装置と、
前記X線管装置の陽極陰極間に印加する管電圧を発生する管電圧発生部と、
前記X線管装置の管電圧を検出する手段と、
前記X線管装置の管電流を検出する手段と、
前記検出された管電圧の時間波形を表すディジタルデータを発生する手段と、
前記検出された管電流の時間波形を表すディジタルデータを発生する手段と、
前記検出された管電圧の時間波形を表すディジタルデータと、前記検出された管電流の時間波形を表すディジタルデータとを記憶する手段と、
前記記憶された管電圧の時間波形を表すディジタルデータと前記記憶された管電流の時間波形を表すディジタルデータとに基づいて前記管電圧と管電流との少なくとも一方がゼロ又はゼロ付近まで降下したとき、前記管電圧発生部の故障を告知する手段とを具備することを特徴とするX線発生装置。 - 前記記憶された管電圧の時間波形を表すディジタルデータと前記記憶された管電流の時間波形を表すディジタルデータとに基づいて前記検出された管電圧の時間波形と前記検出された管電流の時間波形とを表示する手段をさらに備える特徴とする請求項5記載のX線発生装置。
- X線管装置と、
前記X線管装置の陽極陰極間に印加する管電圧を発生する管電圧発生部と、
前記X線管装置の管電圧を検出する手段と、
前記X線管装置の管電流を検出する手段と、
前記検出された管電圧の時間波形を表すディジタルデータを発生する手段と、
前記検出された管電流の時間波形を表すディジタルデータを発生する手段と、
前記検出された管電圧の時間波形を表すディジタルデータと、前記検出された管電流の時間波形を表すディジタルデータとを記憶する手段と、
前記記憶された管電圧の時間波形を表すディジタルデータと前記記憶された管電流の時間波形を表すディジタルデータとに基づいて前記検出された管電圧が一時的に所定電圧値より降下する事態と、前記検出された管電圧が一時的に所定電流値を超える事態との少なくとも一方の事態が発生したとき、前記管電圧発生部又は前記X線管装置で一時的に放電現象が発生したことを告知する手段とを具備することを特徴とするX線発生装置。 - 前記記憶された管電圧の時間波形を表すディジタルデータと前記記憶された管電流の時間波形を表すディジタルデータとに基づいて前記検出された管電圧の時間波形と前記検出された管電流の時間波形とを表示する手段をさらに備える特徴とする請求項7記載のX線発生装置。
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