JP2007042299A - 試料イオンの飛行時間測定用装置,飛行時間型質量分析装置,飛行時間型質量分析方法 - Google Patents

試料イオンの飛行時間測定用装置,飛行時間型質量分析装置,飛行時間型質量分析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 測定用ビームば照射された試料から散乱した試料イオンの質量にかかわらず均一な質量分解能を実現し,且つ,コンパクトな装置でありながら長い飛行距離を確保して長時間試料イオンを飛行させることにより高い質量分解能を実現すること。
【解決手段】 測定用ビームHが試料Sに照射されることにより該試料Sから散乱した試料イオンの飛行時間に基づいて上記散乱イオンの質量を分析する飛行時間型質量分析装置において,試料Sにおける上記測定用ビームHの照射部を通る所定の基準軸Gに沿った所定領域に,その基準軸Gに平行な磁場をソレノイドコイル35で発生させ,発生された磁場中を旋回飛行する試料イオンをイオン検出器21で検出し,検出された試料イオンの所定距離における飛行時間を測定し,測定された飛行時間に基づいて上記散乱イオンの質量を分析する。
【選択図】図1

Description

本発明は,イオンビーム(荷電粒子ビーム)やレーザビームなどの測定用ビームを試料に照射させることにより該試料から散乱されたイオン(試料イオン)の飛行時間を測定するのに用いる試料イオンの飛行時間測定用装置,及びそれを備えて上記試料イオンの質量を分析する飛行時間型質量分析装置,並びにこれら装置を用いて上記試料イオンの質量を分析する飛行時間型質量分析方法に関するものである。
試料表面の組成を高精度に分析する方法として,一般に数百eVから25keV程度の運動エネルギーを持つ一次イオンビーム(荷電粒子ビームに相当)を試料表面に照射させ,該試料表面から散乱(飛散)する二次イオン(散乱イオンに相当)の質量を分析することにより,試料の表面元素の分析を行う二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry;SIMS)が広く知られている。
一般に,上記二次イオン質量分析法を用いた二次イオン質量分析装置は,イオンビームを生成して出射するイオン源と,上記イオン源から出射されるイオンビームが試料表面に照射されることにより試料表面で散乱した二次イオン(散乱イオン)を取り込む入射レンズ部と,上記入射レンズ部の後方に設けられ,上記入射レンズ部を通過した二次イオンを検出するイオン検出器(散乱イオン検出手段に相当)と,該イオン検出器で検出された散乱イオンの質量を分析する質量分析計算機とを有して構成されている。
このような二次イオン質量分析装置の一例として,非特許文献1には,いわゆる,飛行時間型二次イオン質量分析法(Time-of-Flight SIMS;TOF-SIMS)による質量分析装置(以下「TOF−SIMS装置」と称す)が開示されている。このTOF−SIMS装置は,イオンの質量に応じて飛行時間が異なる性質,即ち,重いイオンほど遅く飛行し長い時間でイオン検出器に到達し,軽いイオンほど速く飛行して短い時間でイオン検出器に到達するという性質を利用したものであって,一次イオンビームを試料に照射させ,これにより試料表面から散乱した二次イオンの飛行時間を測定し,その測定値に基づいて上記二次イオンの質量を分析するものである。この装置を用いれば,質量の異なる二次イオンを分離し,分離された二次イオンそれぞれのスペクトルから組成分析などを行うことができる。このTOF−SIMS装置は,オージェ電子分光法(AES法)などの他の表面分析法と比較して,質量分解能が高く,加えて分析範囲が広いという特徴があるため,近年注目されている。
一方,上記試料表面から散乱するイオンを生成させる方法としては,マトリックス試薬中に試料を均一に分散させ,表面に紫外光である窒素レーザービーム(波長:337nm)などをパルス照射することにより,試料をイオン化するマトリックス支援レーザ脱離イオン化法(Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization;MALDI)などがある。これにより,レーザビームが照射された部分の試料が散乱してイオン化し,イオン化した試料をイオン検出器で検出するとともに,その検出結果に基づいてイオン化した試料の飛行時間を測定すれば,上述したTOF−SIMS装置による質量分析と同様に,イオン化した試料の質量を求めることができる。
以下,試料に照射されるイオンビームやレーザビームを総称して測定用ビームといい,その測定用ビームの照射により試料から散乱される二次イオンやイオン化した試料を総称して試料イオンという。
村瀬 篤,「豊田中央研究所R&Dレビュー」Vol34 No.2,「TOF−SIMSによる材料表面の有機物の分析」,P11〜P18,[online],1999年6月発行,株式会社豊田中央研究所,[平成17年6月17日検索],インターネット<http://www.tytlabs.co.jp/japanese/review/rev342j.html>又は<http://www.tytlabs.co.jp/japanese/review/rev342pdf/342#011murase.pdf>
ところで,上記非特許文献1に記載のTOF−SIMS装置では,上記二次イオンの質量mは以下のようにして求められる。
まず,試料表面から散乱した二次イオンに一定の加速電圧Vo(例えば3keV)を印加して上記散乱イオンを加速させる。印加された加速電圧Vは,加速後の二次イオンの運動エネルギー1/2mv2(ただしmは二次イオンの質量,vは加速後の二次イオンの飛行速度)に等しいことから,下記式(1)に示す如く二次イオンの飛行速度vが求められる。二次イオンの飛行時間tは,二次イオンの飛行距離Loを式(1)で求められた飛行速度vで除算することにより,下記式(2)に示すごとく表されることから,飛行距離Loを飛行した二次イオンの飛行時間を実測することにより,式(2)を満足する質量mを求めることができる。なお,式中のzは二次イオンの電荷数,eは二次イオンの電荷を示す。
Figure 2007042299
Figure 2007042299
しかしながら,上記式(2)から容易に理解できるように,上記非特許文献1に記載のTOF−SIMS装置では,飛行時間tは図6の破線P2に示すようにm/zの平方根((m/z)1/2)に比例するため,言い換えれば,質量mは飛行時間の2乗に比例するため,質量mが大きくなるほど,単位質量変化当たりの飛行時間の変化が小さくなる。従って,分析装置の時間分解能が一定であるとすると,質量mが大きくなるほど,二次イオンの質量分析の分解能(精度)が低下するという問題がある。
また,一般に,TOF−SIMS装置の質量分解能は飛行時間に比例するため,十分高い質量分解能を得るためには散乱した二次イオンが長時間飛行するに足りる飛行距離を確保しなければならない。しかしながら,それほど長い飛行距離(十分高い質量分解能)を確保するとなると,装置のサイズが大きくなるという問題がある。これらの問題は,イオンビームを測定用ビームとして用いて二次イオン(試料イオンの一例)を分析する場合も,レーザビームを測定用ビームとして用いてイオン化した試料(試料イオンの一例)を測定する場合でも同様である。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,飛行時間にかかわらず均一な質量分解能を確保し,且つ,コンパクトな装置でありながら長い飛行距離を確保して高い質量分解能を確保することが可能な試料イオンの飛行時間測定用装置,及びそれを備えた飛行時間型質量分析装置,並びに飛行時間型質量分析方法を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は,荷電粒子ビーム若しくはレーザビームからなる測定用ビームが試料に照射されることにより該試料から散乱した試料イオンの飛行時間を測定するのに用いる試料イオンの飛行時間測定用装置であって,上記試料における上記測定用ビームの照射部を通る所定の基準軸に沿った所定領域に,その基準軸に平行な磁場を発生させる磁場発生手段と,その磁場発生手段により発生された磁場中において上記基準軸の周りを旋回飛行する上記試料イオンを検出するイオン検出手段と,を具備して構成される。
試料から散乱した試料イオンが磁場を通過すると,磁場の影響を受けてローレンツ力が作用することにより試料イオンが螺旋軌道を描きながら旋回飛行する。これは,いわゆるサイクロトロン運動と呼ばれている。この旋回飛行する試料イオンの飛行時間tは,後述するように試料イオンの質量mに比例する。このため,従来の方式のように質量の平方根に比例する場合に較べて,試料イオンの質量の大小にかかわらず,均一な質量分解能を実現することが可能となる。
また,試料イオンは上記イオン検出手段まで直線的に飛行するのではなく,上述したようにサイクロトロン運動しながら移動するため,試料と上記イオン検出手段までの離隔距離(直線的な飛行距離)が短くても,高い質量分解能を得るに十分な時間だけ試料イオンを飛行させることができる。そのため,従来のように横長の大規模な装置を構成する必要はない。即ち,装置規模をコンパクトにすることが可能となる。
また, 上記磁場発生手段により発生される磁場領域の外に配置された上記試料から上記磁場領域に至るまでの非磁場領域に所定の加速電圧を印加することにより上記試料イオンを上記磁場領域に向けて加速させるイオン加速手段が設けられたものであれば,より多くの試料イオンを磁場領域に引き込むことができる。また,上記加速電圧により試料イオンをその質量に応じた速度に加速させる(質量が小さいものほどより高速に加速される)ことになり,質量差に応じた加速後の速度差が生じるため,試料イオンの質量分離が容易化される。具体的には,上記イオン加速手段としては,上記試料から上記磁場領域に至る非磁場領域に,上記試料の電位(例えば,試料が載置される試料台の電位)に対して所定の電位差をもって電圧が印加された電極を含んでなるものが該当する。
また, 上記磁場発生手段により発生される磁場領域の外に配置された上記試料から散乱した上記試料イオンをその試料から上記磁場領域に至るまでの非磁場領域と上記磁場領域との境界近傍に収束させる試料イオン収束手段を設けておくことにより,四方に散乱したイオンを磁場領域の入口付近で一点に収束させることができる。これにより,多くの試料イオンを磁場領域へ導くことができる。このとき,上記イオン検出手段で検出され得る試料イオン数が増加するため,即ち,多数の試料イオンが短時間で検出されるため,質量分析に要する時間を短縮することができる。
一方,上記磁場発生手段により発生される磁場領域内に上記試料を配置し,その試料から散乱した上記試料イオンを,上記基準軸方向以外の所定方向に指向させる指向性付与手段が設けられたものも考えられる。この指向性付与手段により,試料から散乱した試料イオンの飛び出し方向を上記基準軸の方向(即ち,磁場領域の磁界に平行な方向)に対して所定角度傾斜した方向に導けば,飛び出した試料イオンが磁界の影響を受けてサイクロトロン運動するためである。
上記指向性付与手段としては,例えば,上記磁場領域内において上記試料が載置される台であって該試料が載置される面の法線方向が上記基準軸に対し傾斜するよう配置された試料台に,上記試料イオンと同極性の所定の電位を印加するものが考えられる。これにより,試料から散乱した直後の上記試料イオンが,上記試料台の試料載置面に垂直な方向,即ち,上記基準軸に対し傾斜した方向に導かれる。
ここで,上記試料台の上記基準軸に対する傾斜角を自在に変更する傾斜角変更手段が備えられておれば,上記試料イオンの指向方向(散乱方向)を自在に変更することができるため好適である。
また,上記磁場領域内において旋回飛行する上記試料イオンのうち特定のもののみを上記イオン検出手段側へ通過させる特定イオン通過手段を更に備えていることが望ましい。これにより特定の散乱イオンだけを質量分析に供することができ,分析対象を限定することが可能となる。
ここで,上記特定イオン通過手段の具体例としては,上記磁場領域内において上記試料と上記イオン検出手段との間に配置されるとともに上記基準軸との交点を含む所定範囲に開口部を有し,その開口部を通過する上記試料イオンのみを上記イオン検出手段側へ通過させるアパーチャが該当する。
また,上記イオン検出手段における上記基準軸との交点を含む所定範囲に上記試料イオンを検出しない非検出部(例えば,開口部等)が設けらたものが望ましい。これにより,試料から直線的に(サイクロトロン運動をせずに)上記基本軸に沿って飛行する上記試料イオン,即ち,本発明において検出対象とすべきでない上記試料イオンが上記イオン検出手段により検出されることを防止できる。
また,本発明は,上述した試料イオンの飛行時間測定用装置を備えた飛行時間型質量分析装置として捉えたものであってもよい。
即ち,荷電粒子ビーム若しくはレーザビームからなる測定用ビームが試料に照射されることによりその試料から散乱した試料イオンの飛行時間に基づいて上記試料イオンの質量を分析する飛行時間型質量分析装置であって,上述した試料イオンの飛行時間測定用装置と,これ(試料イオンの飛行時間測定用装置)が備える上記イオン検出手段により検出された上記試料イオンの所定の飛行空間における飛行時間を測定する飛行時間測定手段と,上記飛行時間測定手段により測定された上記飛行時間に基づいて上記試料イオンの質量を算出する質量算出手段と,を具備する飛行時間型質量分析装置である。
なお,この場合,上記質量算出手段が,上記飛行時間をt,上記試料イオンの旋回回数をN,磁場強度をB,上記試料イオンの電荷数をz,上記試料イオンの電荷をeとした場合に,次式(3)を満足する上記試料イオンの質量mを算出するものであることが考えられる。
Figure 2007042299
同様に,本発明は,飛行時間型質量分析方法として捉えたものであってもよい。
即ち,荷電粒子ビーム若しくはレーザビームからなる測定用ビームが試料に照射されることにより該試料から散乱した試料イオンの飛行時間に基づいて上記試料イオンの質量を分析する飛行時間型質量分析方法であって,上記試料における上記測定用ビームの照射部を通る所定の基準軸に沿った所定領域に該基準軸に平行な磁場を発生させた状態で,その磁場中において上記基準軸の周りを旋回飛行する上記試料イオンをイオン検出手段により検出するイオン検出ステップと,そのイオン検出ステップによる検出結果に基づいて上記試料イオンの所定の飛行空間における飛行時間を測定する飛行時間測定ステップと,その飛行時間測定ステップにより測定された上記飛行時間に基づいて上記試料イオンの質量を算出する質量算出ステップと,を有してなる飛行時間型質量分析方法である。
このような飛行時間型質量分析装置或いはその方法によっても,上述した試料イオンの飛行時間測定用装置の説明で述べた作用効果を達成できる。
本発明によれば,サイクロトロン運動する試料イオンの飛行時間tは散乱イオンの質量mに比例するため,試料イオンの質量の大小にかかわらず,均一な質量分解能を実現することが可能となる。また,散乱イオンは散乱イオン検出手段まで直線的に飛行するのではなく,上述したようにサイクロトロン運動しながら移動するため,試料と上記散乱イオン検出手段までの離隔距離(直線的な飛行距離)が短くても,高い質量分解能を得るに十分な時間だけ散乱イオンを飛行させることができる。そのため,従来のように横長の大規模な装置を構成する必要はなく,装置をコンパクトすることが可能となる。
以下添付図面を参照しながら,本発明の一実施形態について説明し,本発明の理解に供する。なお,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施形態に係る飛行時間型質量分析装置Xの主として測定室を中心にした概略構成を示す断面図,図2は上記飛行時間型質量分析装置Xの制御部の概略構成を示すブロック図,図3は上記飛行時間型質量分析装置Xが備える加速器X1の構成を示す断面図,図4は本発明の実施例に係る測定室の構成を示す断面図,図5は試料が載置される試料台に電位を印加させたときの電位分布を示す模式図,図6は二次イオンの飛行距離と質量との関係を示すグラフ図である。
本発明の実施形態に係る飛行時間型質量分析装置Xは,荷電粒子ビーム或いはレーザビームである測定用ビームが試料に照射されることにより,その試料から散乱した試料イオン(二次イオンやイオン化した試料)の飛行時間に基づいてその試料イオンの質量を分析するものである。
以下に示す実施形態では,測定用ビームとしてイオンビームを用い,そのイオンビームの照射により試料から散乱される二次イオンの飛行時間を測定する場合の例について示すが,イオンビームを生成させる加速器X1をレーザビームを発生させるレーザ出力装置に置き換え,そのレーザビームの照射により試料から散乱されるイオン化した試料の飛行時間を測定する場合(いわゆるレーザ離脱イオン化法に基づく測定)であっても同様の作用効果を実現できる。このレーザ離脱イオン化法に基づく測定により,タンパク質のような分子量の大きな有機化合物(試料の一例)までも,分解せずに効率よくイオン化させ,そのイオンの質量分析を行うことができる。
図1に示すように,飛行時間型質量分析装置Xは,大別すると,イオンビーム(測定用ビームの一例)を生成する加速器X1(図3参照)と,超電導スペクトロメータ部(以下「スペクトロメータ部」と略す)X2と,図外の制御部100(図2参照)とを備えて構成される。
図3に示すように,上記加速器X1は,ガリウム,セシウム,ネオン若しくはヘリウム等のイオン(一次イオン)を生成するイオン源11と,生成されたイオンに高電圧を印加して該イオンを加速させて単一エネルギーを有するイオンからなるイオンビームHにする加速管12とを備えている。この加速器X1で生成されたイオンビームHは,ビームダクト13を通って,四重極レンズ14や図示しない対物コリメータなどを通じて出射され,上記スペクトロメータ部X2の測定室20内に配置された試料Sに照射される。
ここで,この加速器X1は,図示しない電源部が後述する電源制御部104(図2参照)によって制御されることにより,パルス状のイオンビームが出射される。このようにパルス状のイオンビームを試料Sに照射させることにより,試料Sの最表面の組成構造のみをスパッタすることができるため,装置の深さ分解能を高める上で好ましい。
一方,上記スペクトロメータ部X2は,図1に示すように,試料Sが載置される試料台22を内部に備えた測定室20と,円筒状の測定室20内にその中心軸方向である所定の基準軸Gの方向において対向配置された2つの磁極31,32と,これら2つの磁極31,32に挟まれる範囲内(収容室20内)に上記基準軸Gに対して平行且つ均一な磁場(磁界)を発生させる超伝導ソレノイドコイル(以下「ソレノイドコイル」略称する)35及び補正コイル36(磁場発生手段の一例),並びに,基準軸G方向等を備えて構成される。以下,2つの磁極31の間に磁場(磁界)が生じる領域を磁場領域20aという。
ここで,基準軸G方向において,試料Sに近い側に配置された磁極32には,測定室20内における磁場領域20aの外の非磁場領域20bに配置された試料Sから散乱した二次イオンを,磁場領域20a内に通過させるための開口32aが設けられている。
この図1に示される構成要素の他,スペクトロメータ部X2は,ソレノイドコイル35及び補正コイル36を覆うようにその外側に設けられたマグネットヨークや,上記測定室20内の空気を排出して略真空状態にするターボ分子ポンプ,さらには上記試料台22上に試料Sを搬出入するトランスファーロッド等も備えている。
このように構成されたスペクトロメータ部X2では,入射したイオンビームHが試料Sに照射されると,スパッタリング現象によって試料表面の組成元素が弾き飛ばされて正又は負の電荷を帯びた二次イオン(試料イオンの一例)となる。この二次イオンには上記ソレノイドコイル35による磁場の影響を受けてローレンツ力が作用されるため,かかる作用を受けた二次イオンは上記測定室20内で螺旋軌道(サイクロトロン軌道)に沿って,試料Sから遠ざかる方向(磁界の方向)へ向けて旋回飛行を行う。このような二次イオンの旋回飛行を一般に二次イオンのサイクロトロン運動という。
次に,図1を参照しつつ,上記測定室20の構成について詳細に説明する。
上記測定室20は,略円筒形をしており,その円筒中心軸が上記基準軸Gとなるように配置されている。この測定室20は,上記ソレノイドコイル35や補正コイル36によって包囲されることにより磁場が発生する磁場領域20aと,磁極32を介して上記磁場領域20aの下方(磁場領域20aの外)に位置する領域であって上記ソレノイドコイル35などによる磁場の影響をほとんど受けない非磁場領域20bとに分けられる。
上記磁場領域20aは,ソレノイドコイル35の上下方向の両端部近傍で上側の磁極31と下側の磁極32により囲まれて形成されている。
この磁場領域20a内には,基準軸G上における磁界方向の下流側(磁極31に近い側)に配置されたアパーチャ23(特定散乱イオン通過手段の一例)と,磁界方向においてこのアパーチャ23の更に下流側(上方)に配置されたイオン検出器21(イオン検出手段の一例)が配設されている。
上記アパーチャ23は,上記磁場領域20a内を旋回飛行する二次イオンのうち特定の二次イオンのみを上記イオン検出器21側(磁界方向下流側)へ通過させる略円盤状の金属などで構成されている。即ち,上記アパーチャ23の基本軸Gとの交点を含む所定範囲を占める部分には,そのアパーチャ23が配置された位置(試料Sから基本軸Gに沿って距離だけ離れた位置)において,基本軸Gと交差する若しくは基準軸G近傍を通過する二次イオンのみを上記イオン検出器21側へ通過させる開口23aが形成されている。
ここで,アパーチャ23は,試料Sから散乱して基準軸Gの周りを旋回飛行する二次イオンのうち,イオン検出器21に至るまでに基準軸Gに対して予め定められた回数Nだけ旋回する二次イオン(特定の試料イオンの一例)のみが,基準軸Gと交差する或いは基準軸G近傍を通過する位置に配置されている。このアパーチャ23の配置位置は,磁場領域20aにおける磁場強度,検出しようとする二次イオン(試料イオン)の質量/電荷(=m/z)及び旋回回数Nが与えられれば特定できる。
なお,この実施形態では特定散乱イオン通過手段の一例として上記アパーチャ23を例示して説明するが,同様の機能を有するものであれば,これに限定されるわけではない。
また,上記イオン検出器21としては,上記ソレノイドコイル35などにより発生された磁場中を旋回飛行する二次イオンを検出する二次元PSDや二次元CCDなどが該当する。このイオン検出器21は後述する制御装置100と接続されており,検出された二次イオンの情報(例えば検出タイミング,検出数など)は全て上記制御装置100へ転送されて,該制御装置100における質量分析処理に供される。
本実施形態における飛行時間型質量分析装置Xでは上記アパーチャ23が配設されているため,上記イオン検出器21では,上記アパーチャ23を通過した二次イオンのみが検出される。
また,上記イオン検出器21における基準軸Gとの交点を含む所定範囲には,その範囲に到達した二次イオンが検出されないよう開口部21a(非検出部の一例)が設けられている。これにより,試料Sから直線的に(サイクロトロン運動をせずに)基本軸Gに沿って飛行する二次イオン,即ち,本装置において検出対象とすべきでない二次イオンが,上記イオン検出器21により検出されることを防止できる。なお,このように開口部21aを設けることの他,上記開口部21aに対応する部分に,二次イオンを遮蔽する遮蔽部材を設けた構成等,他の構成も考えられる。
上記非磁場領域20bには,試料Sを載置する試料台と,該試料台22の上方(試料Sと磁場領域20aの入口との間)に配置された電極25と,この電極25の更に上方(電極25と磁場領域20aの入口との間)に配置されたイオンレンズ24(散乱イオン収束手段の一例)と,上記電極25と試料台22との間に,二次イオンを当該電極25側に引き寄せる方向の電位差を与えるような所定の電圧(加速電圧に相当)を印加する電源26とが配設されている。
上記電極25には,二次イオンを磁場領域20a側へ通過させる開口が略中央部に形成されたドーナツ形状の導電体で形成されている。試料Sから散乱した二次イオンは,上記電源26によって電位が印加されることによって上記電極25と試料台22との間に上記基準軸Gに平行に生じた電界により,上記磁場領域20aへ向かう方向(図3の上方向)へ加速される。上記電界が存在しない状態では,試料Sで散乱した二次イオンは四方八方に飛び散るため,上記磁場領域20aは進入する二次イオンは必然的に少なくなるが,本飛行時間型質量分析装置Xでは上記電極25と試料台22との間に生じた電界により二次イオンの散乱方向が上方向(上記磁場領域20aへ向かう)へ指向されるため,比較的多数の二次イオンが上記磁場領域20aへ進入することになる。
被検体である試料Sが複数の元素からなる組成構造をしている場合は,試料Sで散乱する二次イオンには質量(又は質量数)の異なる種々の元素からなるものが含まれることになる。質量数の異なる二次イオンが上記電極25と試料台22との間に生じた電界を通過した場合は,該電界から付与されたエネルギーによって,各二次イオンの質量に応じた速度に加速される(質量が小さいものほどより高速に加速される)。
このように,上記二次イオンを上記磁場領域20aに向けて二次イオンの質量に応じた速度に加速させるための電極25,電源26がイオン加速手段の一例に相当する。
上記イオンレンズ24は,上記非磁場領域20bに配置された上記試料Sから散乱した二次イオンを上記磁場領域20aと上記非磁場領域20bとの境界付近に電磁気的に収束させる周知のイオンレンズである。このイオンレンズ24により収束された二次イオンは上記磁極32の開口32aを通過した後に,上記磁場領域20aの入口付近で一点に収束され,その後発散する。
このように測定室20において,上記ソレノイドコイル35及び補正コイル36に励磁電流が印加されて測定室20内に磁場を発生させた状態で,上記加速器X1から上記測定室20にその測定室20の側壁に設けられた窓部20cを通じてイオンビームHが入射されると,そのイオンビームHは,基準軸Gに対して所定の鋭角をなす斜め方向から試料Sに照射される。イオンビームHが照射された試料Sからは二次イオンが発生し,この二次イオンは電極25によって加速された後に磁場領域20aに進入し,さらに磁場によってサイクロトロン運動しながら上方向へ向けて旋回飛行する。その後,特定条件にある二次イオンのみがアパーチャ23の開口23aを抜けてイオン検出器21に到達する。そして,このイオン検出器21で検出された二次イオンのみが質量分析に供される。なお,上記イオン検出器21で検出された二次イオンの検出出力を,図示しないアンプによって増幅させ,マルチチャンネルアナライザ等によって計数(カウント)させてもかまわない。
このように,本飛行時間型質量分析装置Xでは,二次イオンがサイクロトロン運動により旋回飛行するため,試料Sとイオン検出器21との離間距離を長くとることなく,二次イオンをその質量分析に十分なだけ長時間飛行させることができる。
次に,上述の如く構成された飛行時間型質量分析装置Xを制御する制御装置100について,図2のブロック図を用いて説明する。
上記制御装置100は,上記イオン検出器21から転送されてきた情報或いは上記イオン検出器21をモニタリングすることにより得られた情報を用いて上記イオン検出器21で検出された二次イオンの質量分析(質量計算)を行う装置であり,典型的には,CPUやRAMなどの制御デバイスで構成された電子計算機である。
この制御装置100は,図2に示すように,上記加速器X1の電源部を制御するチョッパ回路などを有する電源制御部104と,上記イオン検出器21から得られた検出タイミングを用いて二次イオンの実際の飛行時間をカウントするタイマなどを有する飛行時間測定部105(飛行時間測定手段の一例)と,質量分析に用いられる解析プログラムを記憶するプログラムROM103と,データの記憶領域或いは演算等の展開領域として使用されるRAM102と,上記各部を統括的に制御するCPU101とを有して構成されている。
上記電源制御部104は,前記した加速器X1から出射されるイオンビームHの出射タイミングを制御するものであって,例えば,上記チョッパ回路による電源部への供給電流のON/OFFのタイミングを変更することにより,上記イオンビームHの出射のON/OFFを制御する。この電源制御部104により上記加速器X1の電源部が制御されることにより,上記加速器X1からパルス状のイオンビームが出射される。なお,上記加速器X1から出射されるパルス状のイオンビームの出射タイミングは上記電源制御部104から上記飛行時間測定部105に提供される。
なお,測定ビームとしてレーザビームを用いる場合も同様であるが,この場合,レーザビームを周期的に遮るチョッパにより,試料Sに照射されるレーザビームをパルス状にする構成も考えられる。
上記飛行時間測定部105では,上記イオン検出器21から得られた検出タイミングと上記電源制御部104から提供された出射タイミングとに基づいて,上記イオン検出器21で検出された二次イオンの試料Sからイオン検出器21までの距離Lを飛行した飛行時間tが測定される。加速器X1から出射されるイオンビームの進行速度,上記加速器X1から試料Sまでの距離などが分かっていれば,イオンビームの出射時から二次イオンが検出されるまでの時間をカウントしておき,そのカウント値からイオンビームが試料Sに到達するまでの時間を減算することにより,二次イオンの飛行時間tを求めることが可能である。もちろんこのような測定手法は単なる一例であり,種々の手法の適用が考えられる。
上記プログラムROM103に格納された解析プログラムは,少なくとも,上記飛行時間測定部105において測定された飛行時間tに基づいて二次イオンの質量の分析処理(質量の計算処理)を担うモジュール(質量分析モジュール)を含んで構成されている。かかる解析プログラムが上記CPU101によって上記プログラムROM103から読み出されて実行されることにより,二次イオンの質量分析処理が具現化される。なお,上記質量分析モジュールを実行するCPU101が質量算出手段に相当する。
続いて,上記質量分析処理について詳説する。この質量分析処理は,後述する如く導かれる式(7)を用いて,該式(7)を満足する質量mを算出する処理が実行される。以下において,二次イオンの旋回周期をTで表す。
サイクロトロン運動をする二次イオンの旋回周期Tは,一般に,角周波数をωとすると,以下の式(4)のように表すことができる。
Figure 2007042299
一方,二次イオンの質量をm,イオンの電荷数をz,イオンの電荷をe,上記磁場領域20a内の磁場強度をBとすると,サイクロトロン運動する際の上記角周波数ωは,次式(5)で表される。
Figure 2007042299
そうすると,上記式(5)の値を上記式(4)に代入して整理すると,上記二次イオンの旋回周期Tは以下の式(6)の如く表される。なお,式(6)中のm/zは質量電荷比を示す。
Figure 2007042299
ここで,本飛行時間型質量分析装置Xにおいて,上記磁場領域20aに進入した二次イオンがサイクロトロン運動しながら上記基準軸Gの周りをN回旋回した後に,上記イオン検出器21で検出されたと仮定すると,上記二次イオンの飛行時間tは,次式(7)のように表される。
Figure 2007042299
このようにして導かれる式(7)を参照すれば明らかなように,飛行時間tは散乱イオンの質量電荷比m/zに比例することが容易に理解できる(図6の実線P1参照)。したがって,上式(7)を用いて二次イオンの質量mを算出することにより,従来の手法(特許文献1)では,飛行時間tがm/zの平方根((m/z)1/2)に比例していたがために生じていた質量分解能の低下,特に,質量数の大きいイオンの質量分解能の低下が防止される。
上述の実施形態では,測定室20における磁場が発生していない非磁場領域20bに試料Sが配置された例について説明してきたが,図4に示す如く構成された測定室20−1を備えて構成された飛行時間型質量分析装置も考えられる。ここに,図4は本発明の実施例に係る測定室20−1の構成を示す断面図である。
本実施例における測定室20−1が上記実施形態における測定室20と異なるところは,測定室20−1内全体がソレノイドコイル35による磁場領域となっている点と,磁場領域内に試料Sが,その測定面の法線方向を磁場方向(即ち,基本軸G方向)に対して所定の角度θ(0<θ<90)だけ傾斜させた状態で配置されている点と,基本軸Gに沿ってイオンビームH(測定用ビームの一例)が試料Sに対して照射される点(基本軸Gと測定用ビームの軸とが同軸)と,上記試料Sを載置する試料台22に電源27によって試料イオンと同極性の所定の電圧を印加させている(上記試料Sに試料イオンと同極性の所定電位を印加させているともいえる)点にある。ここで,磁場領域内において試料Sが載置される試料台22は,試料Sが載置される面の法線方向が上記基準軸G(即ち,イオンビームHの軸)に対して角度θ(鋭角)だけ傾斜するよう配置されている。ここで,イオンビームHは,磁極31に設けられた開口31aを通じて測定室20−1内に入射し,さらに,イオン検出器21及びアパーチャ23の各々に設けられた開口21a,23aを通じて試料Sに入射する。
上記試料台22に電圧を印加すると,図5の電位分布図に破線で表すように,試料Sの表面(即ち,試料台22の試料載置面)に略平行な電位分布が生じる。そのため,このような電位分布が生じた試料Sに対して基準軸Gに沿ってイオンビームHが照射された場合,発生した二次イオンは試料Sの表面から散乱した直後から印加された電圧によって試料Sの表面に垂直な方向(即ち,試料台22の試料載置面の法線方向)へ指向される。 この実施例では,磁場領域内で磁場方向に対して所定の角度だけ傾斜させた状態で配置された試料台22に所定の電位を与えることにより,基準軸Gの方向に対して所定の角度θだけ傾けられた方向へ二次イオンを散乱させることができる。その結果,基準軸Gに沿って飛行する無駄な(測定に用いることができない)二次イオンをほとんど発生させることなく,散乱したほぼ全ての二次イオンをサイクロトロン運動させることができる。
このようにして磁場領域内に載置された試料Sから散乱した直後の二次イオンを上記基準軸G方向以外の所定方向に指向させるための電源27及び所定の角度θ傾けられた試料台22が指向性付与手段に相当する。なお,上述した指向性付与手段は単なる一例であって,上記二次イオンを上記所定の角度θだけ傾けられた方向へ指向させることができれば上記手法に限定する必要はない。
なお,上記測定室20−1内において図示しないゴニオメータや回動機構など(傾斜角変更手段に相当)により上記基準軸G方向に対して上記試料台22の傾斜角を任意の角度に自在に変更するように構成すれば,上記アパーチャ23の開口23aを通過し得る二次イオンの数や種類を調整することができるため,複数の元素からなる試料の質量分析を行う場合は好適である。
本発明は,イオンビームやレーザビームなどの測定用ビームを試料に照射することにより試料表面から散乱した試料イオンの質量を測定することにより,上記試料の成分元素の同定や試料の深さ方向の組成分析などを行う質量分析装置,組成分析装置,イオン散乱分析装置などの分析装置全般に利用可能である。例えば,ガリウムやセシウム等の単一エネルギーのイオンを主に固体試料に照射して,試料中の成分原子をスパッタリングし,イオン化されたイオンの質量を測定し,試料成分元素の同定や深さ方向の組成分析を行う分析装置や,タンパク質等の有機物や固体試料にレーザ等を照射してイオン化し,試料イオンの質量を測定することにより,有機物の同定・試料成分元素の同定を行う分析装置等に好適である。
本発明の実施形態に係る飛行時間型質量分析装置Xの主として測定室を中心にした概略構成を示す断面図。 上記飛行時間型質量分析装置Xの制御部の概略構成を示すブロック図。 上記飛行時間型質量分析装置Xが備える加速器X1の構成を示す断面図。 本発明の実施例に係る測定室の構成を示す断面図。 試料が載置される試料台に電位を印加させたときの電位分布を示す模式図。 二次イオンの飛行距離と質量との関係を示すグラフ図。
符号の説明
X…TOF−SIMS装置
X1…加速器
X2…超伝導スペクトロメータ部
11…イオン源
12…加速管
13…ビームダクト
14…四重極レンズ
20,20−1…測定室
21…イオン検出器
22…試料台
23…アパーチャ
24…イオンレンズ
25…電極
26,27…電源
31,32…磁極
35…超伝導ソレノイドコイル
36…補正コイル

Claims (12)

  1. 荷電粒子ビーム若しくはレーザビームからなる測定用ビームが試料に照射されることにより該試料から散乱した試料イオンの飛行時間を測定するのに用いる試料イオンの飛行時間測定用装置であって,
    上記試料における上記測定用ビームの照射部を通る所定の基準軸に沿った所定領域に該基準軸に平行な磁場を発生させる磁場発生手段と,
    上記磁場発生手段により発生された磁場中において上記基準軸の周りを旋回飛行する上記試料イオンを検出するイオン検出手段と,
    を具備してなることを特徴とする試料イオンの飛行時間測定用装置。
  2. 上記磁場発生手段により発生される磁場領域の外に配置された上記試料から上記磁場領域に至るまでの非磁場領域に所定の加速電圧を印加することにより上記試料イオンを上記磁場領域に向けて加速させるイオン加速手段を具備してなる請求項1に記載の試料イオンの飛行時間測定用装置。
  3. 上記磁場発生手段により発生される磁場領域の外に配置された上記試料から散乱した上記試料イオンを上記試料から上記磁場領域に至るまでの非磁場領域と上記磁場領域との境界近傍に収束させる試料イオン収束手段を更に備えてなる請求項1又は2のいずれかに記載の試料イオンの飛行時間測定用装置。
  4. 上記磁場発生手段により発生される磁場領域内に配置された上記試料から散乱した上記試料イオンを上記基準軸方向以外の所定方向に指向させる指向性付与手段を更に備えてなる請求項1に記載の試料イオンの飛行時間測定用装置。
  5. 上記指向性付与手段が,上記磁場領域内において上記試料が載置される台であって該試料が載置される面の法線方向が上記基準軸に対し傾斜するよう配置された試料台に,上記試料イオンと同極性の所定の電位を印加するものである請求項4に記載の試料イオンの飛行時間測定用装置。
  6. 上記試料台の上記基準軸に対する傾斜角を自在に変更する傾斜角変更手段を更に備えてなる請求項5に記載の試料イオンの飛行時間測定用装置。
  7. 上記磁場領域内において旋回飛行する上記試料イオンのうち特定のもののみを上記イオン検出手段側へ通過させる特定イオン通過手段を更に備えてなる請求項1〜6のいずれかに記載の試料イオンの飛行時間測定用装置。
  8. 上記特定イオン通過手段が,上記磁場領域内において上記試料と上記イオン検出手段との間に配置されるとともに上記基準軸との交点を含む所定範囲に開口部を有し,該開口部を通過する上記試料イオンのみを上記イオン検出手段側へ通過させるアパーチャである請求項7に記載の試料イオンの飛行時間測定用装置。
  9. 上記イオン検出手段における上記基準軸との交点を含む所定範囲に上記試料イオンを検出しない非検出部が設けられてなる請求項1〜8のいずれかに記載の試料イオンの飛行時間測定用装置。
  10. 荷電粒子ビーム若しくはレーザビームからなる測定用ビームが試料に照射されることにより該試料から散乱した試料イオンの飛行時間に基づいて上記試料イオンの質量を分析する飛行時間型質量分析装置であって,
    請求項1〜9のいずれかに記載の試料イオンの飛行時間測定用装置と,
    上記試料イオンの飛行時間測定用装置が備える上記イオン検出手段により検出された上記試料イオンの所定の飛行空間における飛行時間を測定する飛行時間測定手段と,
    上記飛行時間測定手段により測定された上記飛行時間に基づいて上記試料イオンの質量を算出する質量算出手段と,
    を具備してなることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  11. 上記質量算出手段が,上記飛行時間をt,上記試料イオンの旋回回数をN,磁場強度をB,上記試料イオンの電荷数をz,上記試料イオンの電荷をeとした場合に次式(α)を満足する上記試料イオンの質量mを算出するものである請求項10に記載の飛行時間型質量分析装置。
    Figure 2007042299
  12. 荷電粒子ビーム若しくはレーザビームからなる測定用ビームが試料に照射されることにより該試料から散乱した試料イオンの飛行時間に基づいて上記試料イオンの質量を分析する飛行時間型質量分析方法であって,
    上記試料における上記測定用ビームの照射部を通る所定の基準軸に沿った所定領域に該基準軸に平行な磁場を発生させた状態で該磁場中において上記基準軸の周りを旋回飛行する上記試料イオンをイオン検出手段により検出するイオン検出ステップと,
    上記イオン検出ステップによる検出結果に基づいて上記試料イオンの所定の飛行空間における飛行時間を測定する飛行時間測定ステップと,
    上記飛行時間測定ステップにより測定された上記飛行時間に基づいて上記試料イオンの質量を算出する質量算出ステップと,
    を有してなることを特徴とする飛行時間型質量分析方法。
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