JP2007040480A - 回転体のバランス調整構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 バランス調整が容易で高精度にでき、かつ、取り付けるワーク形状に影響を受けずにバランス調整ができる回転体のバランス調整構造を提供する。
【解決手段】 回転対象物(ワーク)を取り付ける回転体の一部を構成する回転板3には、等角度間隔で半径方向におもり収容穴11が設けられ、複数のバランス調整構造が設けられている。該穴11に設けられた雌ネジと螺合する雄ねじを備えたおもり12が穴11内に配置されている。該おもり12には弾性体13が接続され、該弾性体13を圧縮するようにしてストッパ14が回転板3の外周部で穴11に固着されている。弾性体13ストッパ14に設けられたは貫通穴に工具を通し、おもり12を回転させて、おもり12の半径方向の位置を変えて回転体のバランス調整を行う。バランス調整を無段階で行うことができ、正確に振動を抑制できる。又、ワークがバランス調整の邪魔とはならない。
【選択図】 図3

Description

回転体のバランス調整構造に関する。
回転体のアンバランスは回転体に振動を発生させる。そのため、工作機械の主軸などの高速回転軸の回転体においては、この回転体のアンバランスが機械や加工に悪影響を与える。特に、超精密加工の分野における主軸では、このバランス調整に数mg・cmといった微小な調整を必要とする。従来、この回転体バランス調整方法として、回転体を削ることによって、又は平衡用のおもりを回転体に付加することによって、回転体のバランスを保持する方法が採用されている。
回転体のバランス調整方法として、回転体を削ってバランスを取る方法の場合、削り取るだけの一方向だけで、重量を付加することはないことから、微小な調整が難しいという問題がある。特に回転体が超精密加工機械の主軸のような場合、微小なバランス調整が必要なため、この回転体を削り取る方法での調整は難しい。又、削り取った切粉が発生するため環境を考える必要がある。
おもりを付加することによってバランスを調整する方法は、おもりとして粘土などを使用する場合は、粘土を付加して回転体を回転させバランス調整を行ったとき、粘土自体が遠心力によって変形しバランス調整が難しいという問題や、バランス調整作業において、一定量のおもりを回転体に取り付けてアンバランス量を測定し、その後おもりを取り外すなどの作業では、この粘土の取り付け、取り外しを繰り返し行わねばならず、この作業が難しい。また、取り付け位置が回転体の内周側に限定されてしまという欠点がある。バランス調整用おもりとしてネジを使用する場合、従来は、回転体の端面に調整用の雌ネジを設け、該雌ネジにバランス調整用おもりとしての雄ねじを螺合させてバランス調整が行われていた。しかし、この方法は、バランス調整用おもりとして各種重さの雄ねじを用意しておかねばならないという問題がある。
又、主軸などの回転体にはワークが取り付けられてバランス調整がなされるが、ワークは回転体の端面に取り付けられることから、ワークを取り付ける回転体の端面にバランス調整用のおもりを付加して調整することは、ワークの形状を回転体のバランス調整可能な形状とする必要がある。ワークの形状によっては、このバランス調整ができないような場合が生じる。
そこで、本発明の目的は、上述した従来技術の問題点を改善し、取り付けるワーク形状に影響を受けず、バランス調整が容易で高精度にできる回転体のバランス調整構造を提供することにある。
本願請求項1に係る発明は、シャフトと、該シャフトの端部に固定され回転対象物を取り付ける手段を備えた回転体のバランス調整構造において、前記回転体と一体的な回転板を備え、該回転板には半径方向に向けて穿たれた複数のおもり収容穴と、該おもり収容穴に収容されたおもりと、該おもりの収容位置を径方向に調整する調整手段とを備えたことを特徴とするものである。
請求項2に係る発明は、前記調整手段が、前記おもり収容穴に設けられた雌ネジと該雌ネジと螺合する前記おもりに設けられた雄ネジで構成されているものであり、該おもりを回転させることにより、おもり収容位置を半径方向に調整してバランス調整を行うようにしたものである。
さらに、請求項3に係る発明は、前記おもりの回転板外周側に弾性体を備え、該弾性体の回転板外周側にストッパを備え、該ストッパに支持された前記弾性体により前記おもりが回転板中心に向って押される状態で収容位置が保持され、かつ、回転板外周面から、前記ストッパと前記弾性体とに設けられた貫通穴に調整工具を通して、前記おもりを回転させておもり収容位置を調整可能としたものである。
回転体の半径向におもりを移動させてバランス調整が無段階でできることから、バランス調整が容易で高精度に行なうことができる。そのため、振動を正確に低減させることができる。回転対象物が加工を行うワークの場合、振動が極めて低いことから、高精度の加工ができる。さらに、回転体に取り付ける回転対象物の形状に影響を受けずにバランス調整が可能となり、回転対象物が加工を行うワークなどの場合には、このワークの設計に自由度がます。
以下、本発明の一実施形態を図面と共に説明する。
本実施形態のでは回転体として工作機械の主軸の例を示しており、図1は、本発明の一実施形態のバランス調整構造を適用した回転体(主軸)にワーク等の回転対象物を取り付けた状態の一部断面斜視図である。又、図2は、回転体1から回転対象物(ワーク)4を取り外した状態を示している。
主軸のシャフト2に回転体1が連結され、該回転体1は回転対象物(ワーク)4を取り付ける手段を備えている。この点は、従来の主軸と同一であるが、本発明のこの実施形態においては、回転体1に一体的に設けられた回転板3にラジアル方向に複数のバランス調整構造10が設けられている点で従来の主軸と相違するものである。
図3は、1つのバランス調整構造10の部分で回転板3を径方向に切断した断面図を示す図である。バランス調整構造10は、回転板3の周面から半径方向に穿ったおもり収容穴11と、該おもり収容穴11に収容されたバランス調整用おもり12と、さらに、おもり位置固定用の弾性体(スプリング)13、及びおもり収容穴11における回転板3の外周部に固定されたストッパ14で構成されている。おもり収容穴11には雌ネジが形成され、バランス調整用おもり12には該おもり収容穴11の雌ネジと螺合する雄ネジが設けられ、該おもり収容穴11の雌ネジとバランス調整用おもり12の雄ネジによってバランス調整手段を構成している。又、弾性体13及びストッパ14には貫通穴が設けられている。
まず、バランス調整用おもり12の雄ねじとおもり収容穴11の雌ネジを螺合させて、バランス調整用おもり12を回転板3の周面位置から半径方向に挿入する。次にこのおもりに連接する弾性体13をおもり収容穴11に挿入し、最後にストッパ14をおもり収容穴11に嵌合し、接着剤等で固定する。バランス調整用おもり12とストッパ14間に介在する弾性体13は、バランス調整用おもり12の収容位置によって回転体のバランスを調整する調整範囲内において、圧縮された状態で、バランス調整用おもり12を回転板3の回転中心方向に付勢するように形成されている。
以上のようなバランス調整構造10が回転板3に等間隔(等角度)毎に配置されている。
そして、この回転板3を有する回転体1にワーク等の回転対象物4を取り付け、回転体1を回転させてバランス調整する場合、各バランス調整構造10におけるバランス調整用おもり12の半径方向の収容位置を調整することによって、バランス調整用おもり12による遠心力の大きさを変えバランスの調整を行う。
図4は、このバランス調整でのおもり12の収容位置調整の説明図である。ストッパ14、弾性体13は貫通孔を備えているから、該貫通孔におもり位置調整用工具20の先端部を挿入し、バランス調整用おもり12を回転させて該バランス調整用おもり12の半径方向の収容位置を調整する。おもり位置調整用工具20としては簡単なドライバーでよく、バランス調整用おもり12の回転板3の外周面を向く端面には、ドライバーと係合する溝を形成しておき、ドライバーで該バランス調整用おもり12を回転させることによって、バランス調整用おもり12の範囲方向の収容位置を調整し、回転体のバランスを調整する。
このように、回転板3の外周面からバランス調整用おもり12となるネジの半径方向の収容位置を無段階に調整することができるため、精密なバランス調整が可能となり、より正確に振動を抑制することができる。
ワーク等の回転対象物4は回転体1の端面、すなわち回転板3の端面に取り付けられるものであるから、回転板3の周面は回転対象物4の形状によって、隠れることはなく、バランス調整作業を容易にするものである。又、ワーク等の回転対象物4の形状をバランス調整のために考慮する必要がなくなることから、ワーク等の設計の自由度が増すものである。
又、回転体1を回転させたとき、おもり12は遠心力を受けて、回転中心から外方向に力を受けるが、おもり12は弾性体によって、中心方向に押されているから、回転に伴って発生する遠心力で、おもり12がおもり収容穴11内を移動することはない。又、ストッパ14がおもり収容穴11の外周部位置に配置されているから、遠心力によりおもり12や弾性体13が外部に飛び出すことはなく安全である。
本発明の一実施形態のバランス調整構造を用いた回転体に回転対象物を取り付けた状態を示す一部断面斜視図である。 同回転体から回転対象物を取り外した状態を示す斜視図である。 同実施形態におけるバランス調整構造の断面斜視図である。 同実施形態におけるバランス調整構造のおもり位置調整の説明図である。
符号の説明
1 回転体
2 シャフト
3 回転板
4 回転対象物
10 バランス調整構造
11 おもり収容穴
12 おもり
13 弾性体
14 ストッパ
20 おもり位置調整用の工具

Claims (3)

  1. シャフトと、該シャフトの端部に固定され回転対象物を取り付ける手段を備えた回転体のバランス調整構造において、
    前記回転体と一体的な回転板を備え、
    該回転板には半径方向に向けて穿たれた複数のおもり収容穴と、該おもり収容穴に収容されたおもりと、該おもりの収容位置を径方向に調整する調整手段とを備えたことを特徴とする回転体のバランス調整構造。
  2. 前記調整手段は、前記おもり収容穴に設けられた雌ネジと該雌ネジと螺合する前記おもりに設けられた雄ネジで構成され、該おもりを回転させることにより、おもり収容位置を半径方向に調整することを特徴とした請求項1記載の回転体のバランス調整構造。
  3. 前記おもりの回転板外周側に弾性体を備え、該弾性体の回転板外周側にストッパを備え、該ストッパに支持された前記弾性体により前記おもりが回転板中心に向って押される状態で収容位置が保持され、かつ、回転板外周面から、前記ストッパと前記弾性体とに設けられた貫通穴に調整工具を通して、前記おもりを回転させておもり収容位置を調整可能としたことを特徴とする請求項2記載の回転体のバランス調整構造。
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