JP2007039934A - 拡径装置、拡径方法及び布設替え工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 地下に埋設されている既設管2Aを新管に布設替えする拡径装置1は、既設管2Aと略同軸をなし先端3aに至るにしたがって先細となるように形成されたクサビ部材3と、クサビ部材3を後方から押す押出しジャッキ4と、押出しジャッキ4の反力を既設管2Aの内周面にとるグリッパ5と、内部のテーパ面62aにクサビ部材3が押し込ませるにしたがって所定の外径まで径方向に拡がる拡径具6とを備えている。クサビ部材3を拡径具6に押し込むと、拡径具6の押圧面62eで既設管2Aの内側を押圧して拡径する。布設替え区間を拡径装置1によって所定の拡径外径に拡径した後、推進施工によって新管を布設する。
【選択図】 図1
Description
しかし、このプラズマトーチによって管に溝を切り込んでから拡径破断する方法は、既設管が脆い鋳鉄管であれば容易に拡径破断できるため極めて有効であるが、靭性のあるダクタイル管や鋼管だとこの切り込み溝の有効性については懸念がある。また、ガス、電話、電気用管路が近接したところでは、火気による影響が予想されることからプラズマ切断の使用をできるだけ避けたいといった現状がある。このため、プラズマ切断を使用せずに既設管を破壊する工法が、例えば特許文献2及び特許文献3に開示されている。
特許文献2は、クサビ形状をなす新管先導装置の周部に破断切開ローラとガイドローラとが適宜数配置されている。そして、この新管先導装置を既設管に押し込むことで、破断切開ローラが押圧力により既設管を切開させて拡径破壊すると同時に、新管先導装置の後方で新管を布設していくものである。
特許文献3は、装置の進行方向前方に、突出部材を径方向外側に押し出して押圧により既設管を破壊する機構を備えている。そして、この装置の後方で破壊した既設管が崩落しないように防護しつつ新管を布設する布設替え装置である。
特許文献1による施工方法は、プラズマトーチと拡径装置の二台の機械が必要であり、設備にかかるコストが増加するといった問題があった。
特許文献2及び特許文献3は、特許文献1と同様に既設管を破壊してから拡径するものであり、破壊するための装置と拡径装置との二つの装置からなるため、装置が複雑であるうえ特殊な機械となるため、設備コストが高くなるという問題があった。
本発明では、クサビ部材を拡径具に押し込むことで、拡径具は既設管の径方向に拡げる作用を発生させ、既設管を内周面から押圧して拡径変形させることができる。このように、既設管を破壊することなく拡径できるため、拡径装置を簡易化でき、さらに小さな押込み力で済むことから、押込み部材やその反力をとる固定部材に必要な能力を小さくできるため、設備コストを低減できる。
本発明では、クサビ部材を拡径具に押し込むとき摩擦力を低減でき、大きな押込み力が不要となるため容易に押し込むことができる。
本発明では、クサビ部材は、周部に取り付けた転がり部材が拡径具の内周面を転動することで拡径具に押し込まれる。このときの転がり部材と拡径具との接触面が小さいことから、摩擦力が小さいため小さな押込み力で既設管を拡径することができる。
本発明では、従来のように既設管を破壊することなく押し拡げによって布設替え区間全線にわたって拡径具の所定径で拡径することができる。このように、先細のテーパ面を有する拡径具に先細のクサビ部材を押し込む簡易な構成により拡径でき、また小さな押込み力で済むことから、設備コストを低減できる。
本発明では、段階的に少しずつ拡径外径を大きくし、複数回の拡径作業で所定の拡径外径を確保することで、一度に所定の拡径寸法に拡幅させる場合に比べてクサビ部材を拡径具に押し込む際の押込み力を小さくでき、設備コストを低減できる。また、段階的に拡径するため、拡径前の既設管の部分と拡径直後の既設管の部分との境界部に大きな湾曲又は傾斜部を発生させることがなく、既設管の破壊を防止できる。
本発明では、拡径作業で既設管を破壊させないため、従来のように拡径直後に新管を布設することなく布設替え区間全線を予め拡径しておくことができる。そして、拡径作業を終了後に新管の布設のみを施工できる。このため、狭い空間内で拡径と新管布設との両作業を同時に行うような煩雑な作業がなくなり、効率化を図ることができる。
本発明では、滑材により拡径した既設管の内側で新管が滑り易くなり移動できるため、一方向から新管を押し込む推進施工により布設することができる。
また、本発明の布設替え工法によれば、狭い空間内で拡径と新管布設との両作業を同時に行うような煩雑な作業がなくなり、効率化を図ることができる。
図1は本発明の第一の実施の形態による拡径装置を示す側面図、図2は保持部材を示す断面図、図3は拡径具を示す斜視図、図4は図1に示す拡径具のA−A線矢視図であって(a)は拡径前を示す図、(b)は拡径中を示す図、図5(a)、(b)はクサビ部材による拡径手順を示す図、図6は第一の実施の形態による拡径装置を用いた布設替え工法を示す図、図7は第一の実施の形態による新管布設状態を示す図、図8は新管布設時の注入手段を示す図であって、(a)はその側面図、(b)は(a)に示すB−B線断面図である。
グリッパ5は、既設管2Aの径方向に伸縮して管内面を押圧するジャッキ(図示省略)を有し、このジャッキを操作することで、管内面への固定や解除が出来るようになっている。
そして、クサビ部材3は、円筒部3Aの外周面で保持部材8によって支持されている。この保持部材8は、図2に示すように、断面視でクサビ部材3と既設管2Aとの間の夫々に所定間隔をもって設けられたリング部材81が配置されている。このリング部材81には、その内周81aに第一ガイドローラ82を適宜数備え、外周81bに第二ガイドローラ83を適宜数備え、夫々が拡径装置1の進行方向に回転する。これにより、クサビ部材3は、第一ガイドローラ82に沿って押込み移動できるため、既設管2Aの中心軸に対してずれることなく移動することができる(図1参照)。一方、保持部材8のガイドローラ83によって、拡径装置1を既設管2Aの内面に沿わせて移動できる。
なお、保持部材8の第一、第二ガイドローラ82、83は必ずしもこれに限定されるものではなく、円筒部3Aと保持部材8、及び既設管2Aの内面と保持部材8とが相互に摺動可能になっていればよく、摩擦低減材を介在させることでもよい。
押圧部材62の外径寸法は、クサビ部材3が挿入される前は既設管2Aの内径よりも小さな径とし、クサビ部材3が挿入されたときには既設管2Aの内径よりも大きな所定の外径に拡がることが可能な径とする。
終点開口部10には、牽引装置11が備えられワイヤー12などがグリッパ5の終点側端部5aに固定されている。拡径装置1は、グリッパ5の既設管2Aへの固定を解除させて牽引装置11を作動して牽引し、次の拡径箇所に拡径装置1を移動させることができる。そして、この拡径装置1は、終点側にグリッパ5を順次盛り替えながら移動させる。
図5(a)、(b)に示すように、本実施の形態では、新管2B(図7参照)に布設替えするために必要な拡径外径Dを確保するために、同ピッチで段階的に拡径外径Dが大きくなる複数の拡径具6として、例えば第一〜第六拡径具6A〜6Fを用意しておく。このうち、第一拡径具6Aを最小径とし、第六拡径具6Fを最大径とする。
そして、この時に所定の拡径外径にできる管軸方向長さは、押圧面62eの長さ程度である。なお、押圧部材62のテーパ面62aがクサビ部材3のテーパ面3cと接触する部分は、図5に示すように常に押圧部材62の先端部付近のテーパ面62aとなるように夫々のテーパ面62a、3cを成型することで、押出しジャッキ4の押出し力は効果的に拡径力に変換される。
なお、クサビ部材3と押圧部材62とが接触する範囲には、例えばオイルを塗布しておくか、ポリ4フッ化エチレンを加工しておくことで互いに滑り易い状態としておくことが好ましい。
図7に示すように、終点開口部10に推進ジャッキ13(推進手段)を設置し、一本ずつ順次押し込んで布設する。この際、図8に示すように、拡径された既設管2Aと新管2Bとの間に形成される隙間には、新管2Bの前方側に設けられた注入手段14によって滑材15が注入される。この注入手段14は、図8に示すように、新管2Bの先頭管の前面を液密に塞ぐ円盤部材14Aを有し、なおかつ既設管2Aと接する周面も液密に止水されている。そして、円盤部材14Aの外周部には滑材注入口14Bが所定数設けられ、注入管14Cから各滑材注入口14Bに接続されて新管2Bと既設管2Aとの隙間に滑材15が送り込まれる。
滑材15の注入により、新管2Bは、沈み込むことなく所定の高さに設置することができ、且つ既設管2Aの内側で滑り易くなり移動がし易くなる。
また、異なる拡径外径Dの拡径具6を使用して、少しずつ段階的に拡径外径Dを大きくしてクサビ部材3を拡径具6に挿入することで、既設管2Aを押圧するときのクサビ部材3の押込み力を小さくでき、一度に大きな押込み力を必要とせずに既設管2Aを所定の拡径寸法にできる。したがって、押出しジャッキ4やグリッパ5に必要な能力を小さくでき、機械のコスト低減が図れる。そして、段階的に拡径するため、拡径前の既設管2Aの部分と拡径直後の既設管2Aの部分との境界部に大きな湾曲又は傾斜部を発生させることがなく、既設管2Aの破壊を防止できる。
さらに、本第一の実施の形態による布設替え工法によれば、狭い空間内で拡径と新管布設との両作業を同時に行うような煩雑な作業がなくなり、効率化を図ることができる。
図9は本発明の第二の実施の形態による拡径装置の拡径時を示す図である。
図9に示すように、第二の実施の形態は、拡径具6の押圧部材62の前後方向の向きを第一の実施の形態とは正反対にして、押圧部材62の先端62fをグリッパ5の方に向けて押圧部材62の後端62bと基盤部材61の後端61aとを回動自在に連結するとともに、拡径具6の基盤部材61とグリッパ5とを連結ロッド7で連結している。
即ち、拡径具6は、基盤部材61の後端61aに押圧部材62が備えられている。そして、クサビ部材3は第一の実施の形態と同様に押出しジャッキ4により始点側(矢印E方向)に押出されて拡径具6に挿入する。そして、基盤部材61の前端61bに牽引ワイヤー16が連結され、拡径装置1を始点開口部9の方向(矢印G方向)に移動させることができる。拡径具6はテーパ状の押圧面62eの部分で、既設管2Aに対して同軸の筒状に拡径する。
この第二の実施の形態でも、複数の拡径具6を用いて順次拡径量を増大させていくことでは、第一の実施の形態と同様である。また、第二の実施の形態では、クサビ部材3の先端部3Bを、押圧部材62の先端62fから後端62bに向かう方向に押出すことで押圧部材62が拡径される。第一の実施の形態では拡径具6のヒンジ部63にかかる力が引張力であるのに対し、第二の実施の形態によれば圧縮力となるので、ヒンジ部63の成型が比較的容易である。
図10は、クサビ部材3の先端部3Bのテーパ面3cの所定箇所に、転動可能な転がり部材17を備えたものである。クサビ部材3が拡径具6に押し込まれるとき、この転がり部材17が押圧部材62のテーパ面62aを転動するためスムーズに押し込むことができる。このときの転がり部材17と拡径具6との接触面が小さいことから、摩擦力が小さいため小さな押込み力で既設管2Aを拡径することができる。また、この場合、クサビ部材3及び拡径具6の接触面に滑材などを塗布することが不要となる。
なお、この変形部分以外の構成は、第一の実施の形態の構成と同じである。また、この変形例は、第二の実施の形態にも適用でき、その場合は、クサビ部材3のテーパ面3cに転がり部材17を取り付ければよい。
例えば、第一及び第二の実施の形態では、拡径具6の拡径外径Dを6段階に設定しているが、これに限定されることはなく、1段階、2〜5段階、7段階以上の拡径外径Dであってもよい。とくに既設管2Aと新管2Bの径方向寸法差が小さい場合には、1段階で拡径処理を終了できる。
また、クサビ部材3を拡径具6に押し込むときには、同一の拡径箇所で押し引きを複数回繰返して拡径するようにしてもよい。
それから、前記全ての実施の形態について、拡径における拡径具6の移動方向を前記実施の形態とは反対方向とすることも可能である。
その他、前記の拡径方法では、拡径量の異なる拡径具6を取り替えて順次拡径していく方法を説明したが、図11に示すように、拡径量の異なる拡径具6(例えば、6A〜6F)を備えた拡径装置1を所定距離をおいて順次拡径量が大きくなるように直列に連結させ、矢印F方向に移動させることで段階的に拡径させていくことでもよい。この場合は、複数の拡径装置1が必要になるが、押出しジャッキ等汎用品を使えるようであれば、装置費用のコストアップにまさる工期短縮によるコストダウンが可能となる。この場合、通常、牽引ワイヤー12で直列に繋いでいけばよいが、拡径のための油圧装置及び油圧配管等は、基本的には装置台数分必要になる。
2A 既設管
2B 新管
3 クサビ部材
4 押出しジャッキ(押出し部材)
5 グリッパ(固定部材)
6 拡径具
62e 押圧面
7 連結ロッド(連結部材)
8 保持部材
13 推進ジャッキ(推進手段)
14 注入手段
15 滑材
17 転がり部材
D 拡径外径
Claims (7)
- 地下に埋設されている既設管を新管に布設替えするための拡径装置であって、
前記既設管と略同軸をなし先端に至るにしたがって先細となるように形成されたクサビ部材と、
前記クサビ部材を後方から押す押出し部材と、
前記押出し部材の反力を受ける固定部材と、
内部のテーパ面に前記クサビ部材を押し込ませるにしたがって所定の外径まで径方向に拡がる拡径具と、
前記固定部材と前記拡径具とを連結する連結部材と、
を備えていることを特徴とする拡径装置。 - 前記クサビ部材と前記拡径具との間の接触範囲に滑り手段が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の拡径装置。
- 前記滑り手段は、転がり部材であることを特徴とする請求項2に記載の拡径装置。
- 内部に先細のテーパ面を有していて拡径可能な拡径具を地下に埋設された既設管に配設し、先細のクサビ部材を前記拡径具の内部に押し込むことで前記拡径具を拡径させて前記既設管を拡径する拡径方法であって、
前記既設管の内側から外径方向に前記拡径具を押圧して所定径を拡径する拡径工程と、
前記拡径具を所定長さで移動させる移動工程と、
を繰り返して布設替え区間全線にわたって前記既設管を所定の拡径外径に拡径することを特徴とする拡径方法。 - 前記既設管に対し、複数の前記拡径具により段階的に前記拡径外径の大きな前記拡径具に交換することで繰り返し前記布設替え区間の拡径を行って、前記既設管を所定の外径に拡径するようにしたことを特徴とする請求項4に記載の拡径方法。
- 請求項4又は5に記載の拡径方法によって拡径した前記既設管の内空に新管を布設するようにしたことを特徴とする布設替え工法。
- 前記新管の布設は、推進手段により前記新管を順次押し込むと共に、前記新管と前記既設管との隙間に滑材を注入するようにしたことを特徴とする請求項6に記載の布設替え工法。
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