JP2007039578A - ポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル成形品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、溶融成形時の再生環状ダイマーの生成量を低下させることによって、ポリエステル樹脂中の環状ダイマー含有量を低減させることにより、成形時に金型に付着し問題となる白粉の減少が著しく、成形安定性、長時間連続成形性、機械的強度及び耐熱性に優れた容器等の包装材料を得ることができる、ポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル成形品及びその製造方法を提供することである。
【解決手段】主たる繰り返し単位がトリメチレンテレフタレート単位であるポリエステルからなり、環状ダイマーの含有量が1.5質量%以下であり、且つ固有粘度が0.5〜1.6dL/gの範囲にあるポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル成形品によって課題を解決することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、成形時に金型等に付着し問題となるオリゴマー、特に環状ダイマーの含有量が少なく、白粉の減少に著しく効果があり、長時間連続生産性、耐熱性及び機械的強度に優れたフィルム又は容器等の包装材料を得ることのできる、ポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル成形品及びその製造方法に関する。
ポリエステルは、その機械的、物理的、化学的性能が優れているため、繊維、フィルム、その他の成形物に広く利用されている。
中でもポリトリメチレンテレフタレート樹脂は、近年、従来のポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル樹脂にはなかった優れた弾性回復性、易染性といった特性から注目されている。
しかしながら、このポリトリメチレンテレフタレートは、重縮合時にオリゴマーである環状ダイマーが生成しやすく、この環状ダイマーは成形及びブロー工程で金型に異物として付着し、成形品の汚れを引き起こし、成形安定性、長時間連続成形性及び耐熱性を低下させる問題を有している。このような問題を解決するために、ポリトリメチレンテレフタレートを減圧下で固相重合を行なうことにより、オリゴマー含有量を1重量%以下にしたポリトリメチレンテレフタレート樹脂が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法を用いれば、確かにポリトリメチレンテレフタレートチップ中の環状ダイマー量は大幅に低減できるが、溶融成形のための再溶融時に環状ダイマーが再生してくるため、根本的な改善には至っていない。
一方、触媒の活性を低下させる方法として、リン酸系化合物を添加する方法が提案されているが(特許文献2参照。)、この方法では同時に環状ダイマー除去装置が併用されている。この技術を用いれば確かに環状ダイマーは抑制できるかも知れないが、環状ダイマー除去装置という高価な設備が必要となる。
特開平8−311177号公報 特開2004−51921号公報
本発明の目的は、溶融成形時の再生環状ダイマーの生成量を低下させることによって、ポリエステル樹脂中の環状ダイマー含有量を低減させることにより、成形時に金型に付着し問題となる白粉の減少が著しく、成形安定性、長時間連続成形性、機械的強度及び耐熱性に優れた成形品、特に容器又はシート等の包装材料を得ることができる、ポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル成形品及びその製造方法を提供することである。
本発明は、主たる繰り返し単位がトリメチレンテレフタレート単位であるポリエステルからなり、環状ダイマーの含有量が1.5質量%以下であり、且つ固有粘度が0.5〜1.6dL/gの範囲にあるポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル成形品に関する。
また本発明は構成するポリエステル中にリン化合物として下記式(I)及び/又は下記式(II)で表されるリン化合物が0.01〜0.5質量%含有されている請求項1又は2記載のポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル成形品である。
Figure 2007039578
[上記式中、R,R及びRは炭素数1〜10の炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていても良い。また、nは1〜5の整数である。Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属原子であり、Mがアルカリ金属の場合、m=1、Mがアルカリ土類金属の場合、m=2である。]
Figure 2007039578
[上記式中、R,R及びRは水素原子、又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、それぞれ同一であっても異なっていても良い。xは0又は1である。]
本発明によれば、溶融成形時の再生環状ダイマーの発生量が少ないことにより、成形時に金型に付着し問題となる白粉の減少が著しく、成形安定性、長時間連続生産性、機械的強度及び耐熱性に優れた成形品、特に容器又はシート等の包装材料を得ることができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル成形品は、トリメチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルからなる成形品である。この成形品を構成しているポリエステルは、トリメチレンテレフタレート単位を構成する成分以外の第3成分を共重合した、共重合ポリトリメチレンテレフタレートであってもよい。ここで「主たる」とは、全繰り返し単位中、90モル%以上であることを表す。上記第3成分(共重合成分)は、ジカルボン酸成分又はグリコール成分のいずれでもよい。
第3成分として好ましく用いられる成分としては、ジカルボン酸成分として、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸若しくはフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸若しくはデカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、又はシクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸など、また、グリコール成分として、エチレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール又は2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンなどが例示され、これらは単独又は二種以上を使用することができる。また第3成分から構成される繰り返し単位は、全繰り返し単位の0〜10モル%が好ましく、より好ましくは1〜5モル%である。
本発明の成形品を構成しているポリエステルの製造方法については、テレフタル酸をトリメチレングリコールと直接エステル化させた後重合させる方法、テレフタル酸のエステル形成性誘導体をトリメチレングリコールとエステル交換反応させた後重合させる方法、のいずれを採用しても良い。ここでエステル形成性誘導体とは低級ジアルキルエステル、低級ジアリールエステル、酸ハライドをあげることができる。具体的にはジメチルエステル、ジエチルエステル、ジブチルエステル、ジフェニルエステル、酸クロライド、酸ブロマイドを挙げることができる。これらの中でもジメチルエステルを好ましく用いることができる。また上記式(I)及び/又は(II)で表される化合物は、成形品を溶融成形する際にポリエステルを溶融するまでのいずれかの段階でブレンドして溶融成形することが好ましい。具体的には、エステル化反応後若しくはエステル交換反応後、又は重合反応終了後に添加することが好ましい。
本発明の成形品を構成しているポリエステルの重合触媒は特に限定はないが、チタン化合物を重合触媒として用いて用いることが好ましい。ここで、触媒として用いるチタン化合物とは、ポリマーに可溶性の有機系チタン化合物であることが好ましい。該チタン化合物の含有量としては特に制限はないが、重縮合反応性、得られるポリエステルの色相、耐熱性の観点から、ポリトリメチレンテレフタレートの構成成分として含まれる全ジカルボン酸成分に対し、チタン金属元素として2〜150ミリモル%程度含有されていることが好ましい。
上述のチタン化合物は、触媒起因の異物低減の点で、ポリエステル中に可溶なチタン化合物を使用することが好ましい。チタン化合物は、ポリマーに可溶性の有機系チタン化合物であることが好ましい。チタン化合物は、重縮合反応性、得られるポリエステルの色相、耐熱性の観点から、ポリトリメチレンテレフタレートの構成成分として含まれる全ジカルボン酸成分に対し、触媒残留物中のチタン金属元素として2〜150ミリモル%含まれることが好ましい。より好ましくは10〜100ミリモル%であり、さらにより好ましくは20〜50ミリモル%である。2ミリモル%未満の場合、重縮合反応が十分に進行しないことがある。一方、150ミリモル%を超えると黄色味を帯びてくることがある。この重合触媒として用いられるチタン化合物はポリエステルに可溶な有機チタン化合物、および艶消し剤として使用される酸化チタン中に不純物として含有されている有機チタン化合物に由来するチタン金属元素に限定される。一方艶消し剤として用いられているポリエステルに不溶性の無機チタン化合物に由来するチタン金属元素は含まれない。チタン化合物としては、特に限定されず、ポリエステルの重縮合触媒として一般的なチタン化合物、例えば、酢酸チタン、テトラ−n−ブトキシチタンなどのアルコキシチタンなどが挙げられるほか、これらチタン化合物と芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物などが好ましく挙げられる。また全ジカルボン酸成分とはテレフタル酸のみならず、第3成分として共重合されているジカルボン酸も含む。
ここで、テレフタル酸のエステル形成性誘導体をトリメチレングリコールとエステル交換反応させた後、重合させる方法を採用する場合、エステル交換反応触媒として、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、マンガン化合物、亜鉛化合物など、通常ポリエステルのエステル交換反応触媒として用いられる触媒を併用してもよい。しかし、通常は上述のチタン化合物をエステル交換反応触媒及び重合触媒の両方の役割で用いる方法が好ましく採用される。
本発明の成形品を構成しているポリエステルは、環状ダイマーの含有量が1.5質量%以下である必要がある。該環状ダイマー含有量が1.5質量%を超える場合、成形時に金型に付着し問題となる白粉発生量が多く、成形安定性、長時間連続生産性、良品率、機械的強度及び耐熱性が低下する為好ましくない。該環状ダイマー含有量は0.01〜1.4質量%の範囲が好ましく、0.02〜1.3質量%の範囲が更に好ましい。
ところで、ポリトリメチレンテレフタレート中のオリゴマーは、下記構造で示すような線状オリゴマー(1)と環状オリゴマー(2)の混合物であることが知られているが、その約90質量%は環状ダイマー(式(2)において、qが1に相当する構造を有する)である。環状ダイマーは、オリゴマーの中で特に高い昇華性、熱水溶解性を有するので、上記に示したような問題を引き起こす主たる原因物質となる。環状ダイマーの含有量を上述の範囲にするには、後述の式(I)及び/又は(II)で表される化合物を後述の範囲内でポリエステルに含有させることが好ましい。
Figure 2007039578
〔式中、p≦10、q=1〜4である。〕
また窒素雰囲気下260℃における再生環状ダイマー生成速度が好ましくは0.01質量%/分以下、より好ましくは0.001〜0.01質量%/分である。さらに好ましくは0.002〜0.009質量%/分である。ここで再生環状ダイマーとは繰り返し単位によって直線状につながっているポリエステルの一部分のエステル結合が切断されて、熱力学的に安定な化合物として再生された上記式(2)で表される環状ダイマーを意味する。再生環状ダイマー生成速度とは、本発明の成形品を構成しているポリエステル中に含有されている、式(2)で表わされる環状ダイマーの毎分あたりの含有質量%の増加分である。上記の環状ダイマー含有量が少なくても、再生環状ダイマー生成速度が大きい場合、成形品を溶融成形により製造する時における環状ダイマー再生量が多くなり、ひいては成形品を再度溶融成形する際に白粉となって金型汚染の原因となることがある。ゆえに長時間の連続生産性、成形安定性に劣ることになる。また環状ダイマー再生量が多いと成形後の成形品において、経時により環状ダイマーが成形品の表面にあらわれて、成形品の外観を損ねたりすることもありえる。環状ダイマー生成速度をこの範囲にするためには、上述した式(I)又は(II)で表わされる化合物を上述の範囲で成形品に含有させることが効果的である。この環状ダイマー生成速度は窒素雰囲気下中、試料を260℃で最溶融させ、20分間保持する。その後再溶融・溶融保持前後の環状ダイマー含有量を測定し、単位時間当たりの平均生成速度として算出することができる。
本発明の成形品を構成しているポリエステルは、固有粘度が0.5〜1.6dL/gである。固有粘度は、o−クロロフェノール中、35℃で測定した値である。固有粘度が0.5dL/g未満の場合、最終的に得られる成形品の機械的強度が不十分となり、一方、1.6dL/gを超える場合、溶融粘度も高く成形性が低下するため好ましくない。固有粘度は好ましくは0.55〜1.5dL/g、より好ましくは0.55〜1.45dL/g、さらにより好ましくは0.6〜1.4dL/gである。
本発明の成形品を構成しているポリエステルの固有粘度を上記の範囲とするために、固相重合を行なうことが好ましい。固相重合は、ポリトリメチレンテレフタレートのペレットを融点以下の高温状態下、好ましくは190〜210℃に保持し、150Pa以下の高真空化、または窒素気流化にて、数時間から数十時間攪拌または静置させて行なうことができる。また、この固相重合は、連続式であっても回分式であってもよい。
本発明の成形品を構成しているポリエステルは、含有されているリン元素量がポリエステル成形品の重量に対して10〜1000ppmの範囲にあることが好ましい。該リン元素量が10ppmより少ない場合、再生環状ダイマー量が多くなり好ましくない。リン元素量が1000ppmを超える場合、得られるポリエステル組成物の耐熱性が低下するため好ましくない。本発明のポリエステル樹脂組成物中のリン元素の量は、15〜700ppmの範囲が好ましく、20〜500ppmの範囲がさらに好ましい。
本発明の成形品を構成しているポリエステルは、上述したリン元素含有量を満たすために、また環状ダイマー含有量が上述の範囲を満たすために下記一般式(I)及び/又は(II)で表されるリン化合物が0.01〜0.5質量%含有されていることが好ましい。ここで、下記リン化合物の含有量が0.01質量%未満の場合、再生環状ダイマー量が多くなり好ましくなく、一方、0.5質量%を超える場合、得られるポリエステル組成物の耐熱性が低下するため好ましくない。該リン化合物の含有量は、0.03〜0.3質量%の範囲がさらに好ましい。
Figure 2007039578
[上記式中、R,R及びRは炭素数1〜10の炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていても良い。また、nは1〜5の整数である。Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属原子であり、Mがアルカリ金属の場合、m=1、Mがアルカリ土類金属の場合、m=2である。]
Figure 2007039578
[上記式中、R,R及びRは水素原子、又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、それぞれ同一であっても異なっていても良い。xは0又は1である。]
上記一般式(I)において、R,R及びRに好ましい炭素数1〜10の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ターシャリーブチル基、フェニル基又はベンジル基などが挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基又はターシャリーブチル基である。また、nは1〜5の整数であり、好ましくは1又は2である。さらに、Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属原子であり、アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム又はルビジウムなどが、アルカリ土類金属としてはカルシウム、マグネシウム、ストロンチウム又はバリウムなどが挙げられ、好ましくはカルシウムである。また、Mがアルカリ金属の場合はm=1、Mがアルカリ土類金属の場合はm=2である。
上記一般式(I)で表されるリン化合物の具体例は、カルシウムジエチルビス(((3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)、マグネシウムジエチルビス(((3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)、カルシウムジエチルビス(((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)、マグネシウムジエチルビス(((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)、カルシウムジエチルビス(((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)エチル)ホスホネート)、マグネシウムジエチルビス(((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)エチル)ホスホネート)、ナトリウムエチル(((3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)、カリウムエチル(((3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)、ナトリウムエチル(((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)、カリウムエチル(((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)、ナトリウムエチル(((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)エチル)ホスホネート)、又はカリウムエチル(((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)エチル)ホスホネート)などが例示される。
上記式(II)において、R,R及びRは水素原子か炭素数1〜10の炭化水素基であるが、炭素数1〜10の炭化水素基としてこのましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ターシャリーブチル基、フェニル基又はベンジル基などが挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基又はターシャリーブチル基である。また、xは0又は1である。これらの中でもx=0の場合、R,Rは水素原子Rはフェニル基が最も好ましく、x=1の場合、R,R及びRはいずれも水素原子が最も好ましい。なお、上記式(II)では、リン原子が5価の化合物として表しているが、リン原子の5価とリン原子の3価の互変異性がある化合物の場合には、その3価のリン化合物も上記式(II)で表されるリン化合物に含まれる。
上記一般式(II)で表されるリン化合物の具体例は、亜リン酸、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、フェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸ジメチル、フェニルホスフィン酸ジエチル、フェニルホスフィン酸ジフェニル、ベンジルホスフィン酸、ベンジルホスフィン酸ジメチル、ベンジルホスフィン酸ジエチル又はベンジルホスフィン酸ジフェニルなどが例示される。
なお、本発明の成形品を構成しているポリエステル中の上記リン化合物の含有量は、リン元素の定量分析のほか、核磁気共鳴スペクトルによって定量することができる。
本発明の成形品を構成しているポリエステル中に好ましく含有される上記式(I)及び/又は(II)で表されるリン化合物のポリエステル中への添加方法については特に限定はない。例えば、上述したようにポリエステル重合時の任意の段階で重合工程に添加する方法、製造されたポリトリメチレンテレフタレートポリマーを溶融成形する段階、あるいはそれより前の段階で、粉体、液体、あるいは溶媒に溶解・分散させたリン化合物を二軸押出機などによって溶融ブレンドする方法、マスターバッチ方式での溶融ブレンド方法などが挙げられる。好ましくはエステル化反応後若しくはエステル交換反応後、重合反応終了後、又は溶融成形する段階若しくはその前の段階で添加することが好ましい。
本発明のポリエステル成形品を製造する時の製造方法としては特に限定はなく、従来公知のポリエステルを溶融成形する方法を用いることができる。例えば、ポリエステルを240℃〜280℃の範囲で溶融成形して製造することが好ましい。
本発明のポリエステル成形品を製造する際、使用するポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルは、環状ダイマーの含有量が1.5質量%以下であり、且つ固有粘度が0.55〜1.6dL/gの範囲にあるポリエステルを溶融成形することが好ましい。ここで使用するポリエステルが上記範囲から外れる場合、本発明の効果を発現するポリエステル成形品を製造することは困難である。また、該ポリエステル成形品のダイマー含有量を上述の範囲とするために、ポリエステルを溶融成形するまでのいずれかの段階で上記式(I)及び/又は(II)で表されるリン化合物をブレンドすることが好ましく実施される。
本発明のポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル成形品の中では中空成形体が好ましいが、これを成形する方法に制限は無く、ポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルから成形したブリフォームを延伸ブロー成形してなるもので、従来PETのブロー成形で用いられている装置を用いることができる。具体的には例えば、射出成形または押出成形で一旦プリフォームを成形し、そのままあるいは口栓部、底部を加工後、それを再加熱し、ホットパリソン法あるいはコールドパリソン法などの二軸延伸ブロー成形法が適用される。この場合の成形温度、具体的には成形機のシリンダー各部およびノズルの温度は通常260〜290℃の範囲である。延伸温度は通常70〜120℃、好ましくは90〜110℃で、延伸倍率は通常縦方向に1.5〜3.5倍、円周方向に2〜5倍の範囲で行えばよい。中空成形体以外の成形品の形態としては特に限定はないが、板状成形物又はシート状物が好ましく挙げられる。これらの形態の成形品は通常公知の射出成形法、押出し成形法により製造することができる。
また、本発明のポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル成形品は、必要に応じて少量の添加剤、例えば滑剤、顔料、染料、酸化防止剤、固相重縮合促進剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤、艶消剤などを含んでいてもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例中の各値は、下記記載の方法により測定した。
(1)固有粘度:
ポリエステル及びその成形品の固有粘度は、オルトクロロフェノール溶液中、35℃において測定した粘度の値から求めた。
(2)ポリエステル又はその成形品中のリン量の測定:
サンプルを加熱溶融して、円形ディスクを作成し、(株)リガク製、蛍光X線装置ZSX100e型を用いて定量した。
(3)環状ダイマー含有量:
Waters社製、486型液体クロマトグラフにWaters社製GPCカラム TSKgel G2000H8を2本接続した装置を用いた。展開溶剤としてクロロホルムを使用し、サンプル1mgをヘキサフルオロイソプロパノール1mlに溶解してクロロホルムで10mlに希釈したサンプルを注入して、標準の環状ダイマー含有量の検量線からポリマー中の重量百分率を求めた。
(4)ポリエステル又はその成形品中のリン化合物含有量の定量:
サンプルを重水素化トリフルオロ酢酸/重水素化クロロホルム=1/1混合溶媒に溶解後、日本電子(株)製JEOL A−600、超伝導FT−NMRを用いて核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)を測定した。そのスペクトルパターンから常法に従って、ホスホン酸塩化合物含有量を定量した。
(5)環状ダイマー発生量
ポリトリメチレンテレフタレート成形品を細かく粉砕後、粉砕物に含まれる環状ダイマー量を上述(3)の手順に則って測定し、成形前のポリトリメチレンテレフタレート樹脂に含まれる環状ダイマー量との差を求め、環状ダイマー発生量とした。
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル100質量部とトリメチレングリコール70.5質量部との混合物に、テトラ−n−ブチルチタネート0.053質量部を撹拌機、精留塔及びメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込んだ。反応器内温を140℃から徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを系外に留出させながら、エステル交換反応を行った。反応開始後3時間で反応器内温は210℃に達した。
次いで、得られた反応生成物を撹拌機及びグリコール留出コンデンサーを設けた別の反応器に移し、カルシウムジエチルビス(((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)(別名:カルシウムビス{エチル((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート})(商品名:イルガノックス1425、チバスペシャリティケミカルズ社製、上記式(I)においてR=R=t−ブチル基、R=エチル基、n=1、M=Ca)1.06重量部を添加後、210℃から265℃に徐々に昇温すると共に、常圧から70Paの高真空に圧力を下げながら重合反応を行った。反応系の溶融粘度をトレースしつつ、固有粘度が0.70dL/gとなる時点で重合反応を打ち切った。
溶融ポリマーを反応器底部よりストランド状に冷却水中に押し出し、ストランドカッターを用いて切断してチップ化した。このチップの環状ダイマー含有量は0.98質量%であった。
得られたチップ10質量部に対し、固有粘度0.93dL/g、環状ダイマー含有量1.05質量%のポリトリメチレンテレフタレートチップ(シェル社製:コルテラCP50921P)90質量部をチップブレンドし、N流入条件下、75℃で1時間、125℃で5時間以上乾燥させた後、射出成形機(名機製作所社製「M−100DM」)にて、シリンダー温度260℃、スクリュー回転数160rpm、1次圧時間3.0秒、金型冷却温度10℃、サイクル30秒で、外径約28mm、内径約19mm、長さ136mm、胴部肉厚4mm、重量約56gの円筒状のプリフォームを射出成形した。結果を表1に示す。
[実施例2〜4]
実施例1において、カルシウムジエチルビス(((3,5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)の代わりに表1に示す化合物を用いたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
[実施例5]
固有粘度0.93dL/g、環状ダイマー含有量1.05質量%のポリトリメチレンテレフタレートチップ(シェル社製:コルテラCP50921P)を75℃で1時間、125℃で5時間以上乾燥後、二軸押出機を用いて260℃で再溶融し、サイドフィーダーからカルシウムジエチルビス(((3,5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)を含有量が0.1質量%となるように調節しながら添加し、実施例1と同様にそのまま射出成形した。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、固有粘度0.93dL/g、環状ダイマー含有量1.05質量%のポリトリメチレンテレフタレートチップ(シェル社製:コルテラCP50921P)のみを射出成形したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
Figure 2007039578
[実施例6〜10、比較例2]
実施例1〜5及び比較例1で得られた成形品について、環状ダイマーの発生量を測定した。またそれぞれ得られた円筒状のプリフォームを280℃でブロー成形してボトル状の中空成形体を得た。本結果を表2にまとめて示す。
Figure 2007039578
表1〜2からも明らかなように、本発明のポリエステル成形品は、成形工程における環状ダイマーの発生量が少なく、成形安定性、長時間連続生産性に優れ、環状ダイマーに起因する白異物の発生や成形品の曇りがないものであった。
本発明によれば、成形時に金型に付着し問題となるオリゴマーに起因する白粉の減少が著しく、成形安定性、長時間連続生産性、機械的強度及び耐熱性に優れたフィルム又は容器等の包装材料を得ることができる、ポリエステル樹脂組成物、その製造方法及び成形品を提供することができる。

Claims (5)

  1. 主たる繰り返し単位がトリメチレンテレフタレート単位であるポリエステルからなり、環状ダイマーの含有量が1.5質量%以下であり、且つ固有粘度が0.5〜1.6dL/gの範囲にあるポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル成形品。
  2. ポリエステル成形品中のリン元素量がポリエステル成形品の重量に対して10〜1000ppmの範囲にある請求項1記載のポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル成形品。
  3. ポリエステル中にリン化合物として下記式(I)及び/又は下記式(II)で表されるリン化合物が0.01〜0.5質量%含有されている請求項1又は2記載のポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル成形品。
    Figure 2007039578
    [上記式中、R,R及びRは炭素数1〜10の炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていても良い。また、nは1〜5の整数である。Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属原子であり、Mがアルカリ金属の場合、m=1、Mがアルカリ土類金属の場合、m=2である。]
    Figure 2007039578
    [上記式中、R,R及びRは水素原子、又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、それぞれ同一であっても異なっていても良い。xは0又は1である。]
  4. 環状ダイマーの含有量が1.5質量%以下であり、且つ固有粘度が0.55〜1.6dL/gの範囲にあるポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルを溶融成形する際に、ポリエステルを溶融するまでのいずれかの段階で上記式(I)及び/又は(II)のリン化合物をポリエステルにブレンドして溶融成形することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル成形品の製造方法。
  5. ポリエステル成形品が、中空成形体又はシート状物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のポリエステル成形品。
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