JP2007039535A - 樹脂被覆金属用水性接着剤およびこれを用いてなる樹脂被覆金属 - Google Patents
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Abstract
【課題】 金属と樹脂との接着性に優れた、低有機溶剤の樹脂被覆金属用水性接着剤および該水性接着剤を用いて、接着性、特に加工後の接着性が改良された樹脂被覆金属を提供する。
【解決手段】 酸価が2mgKOH/g以上、8mgKOH/g未満であるポリエステル樹脂とイソシアネート化合物とが水性媒体中に分散して含有されていることを特徴とする樹脂被覆金属用水性接着剤。また、基材金属とそれを被覆する被覆樹脂とからなる樹脂被覆金属において、前記記載の樹脂被覆金属用水性接着剤からなる接着層が、該被覆樹脂と前記基材金属に挟持されていることを特徴とする樹脂被覆金属。
【選択図】 なし
【解決手段】 酸価が2mgKOH/g以上、8mgKOH/g未満であるポリエステル樹脂とイソシアネート化合物とが水性媒体中に分散して含有されていることを特徴とする樹脂被覆金属用水性接着剤。また、基材金属とそれを被覆する被覆樹脂とからなる樹脂被覆金属において、前記記載の樹脂被覆金属用水性接着剤からなる接着層が、該被覆樹脂と前記基材金属に挟持されていることを特徴とする樹脂被覆金属。
【選択図】 なし
Description
本発明は、金属と樹脂との接着性に優れる水性接着剤、および、これを用いてなる樹脂被覆金属に関するものである。
鋼鈑に塩化ビニル樹脂シートをラミネートし、または、鋼鈑に塩化ビニル樹脂のゾルをコーティングして得られる、いわゆる塩ビ鋼鈑は、その優れた美粧性、および、耐久性により、従来から、家電製品、家具製品、建築材料等の各種用途に広く使用されている。
一般的に塩ビ鋼鈑の製造方法としては、(1)鋼鈑に接着剤を塗布して焼き付け、これに塩化ビニル樹脂シートをラミネートする方法、(2)鋼鈑に接着剤を塗布して焼き付け、塩化ビニル樹脂ゾルを塗布し、焼き付ける方法、(3)鋼鈑に接着剤を塗布して焼き付け、その上に塩化ビニル樹脂をシート状に溶融押出しながら加圧融着する方法等が知られている。前記製造方法(1)〜(3)いずれにおいても、鋼鈑と塩化ビニル樹脂との密着性や加工性等を確保するために、接着剤が使用されている。
このような接着剤として、特許文献1〜6には、金属材料や塩化ビニル樹脂材料に対する接着性が良好であることから、ポリエステル樹脂、または、変性ポリエステル樹脂等のポリエステル系樹脂を塩ビ鋼鈑用の接着剤として使用した例が開示されている。
また、特許文献7には、ポリエステル樹脂とイソシアネート化合物とからなる樹脂被覆金属用の水性接着剤が開示されている。
しかしながら、特許文献1〜6に記載されている接着剤は、いずれもポリエステル系樹脂を有機溶剤に溶解して接着剤を調製しており、近年の、環境保護、省資源、消防法等による危険物規制、職場環境改善の立場からは、敬遠される傾向にある。
また、特許文献7に記載の水性接着剤は、接着性、加工性、防錆性等の性能には優れているが、加工後の接着性が十分ではなかった。
本発明は前記現状に鑑みてなされたものであり、その課題は、金属と樹脂との接着性に優れた、低有機溶剤の樹脂被覆金属用水性接着剤、および、該水性接着剤を用いて、接着性、特に加工後の接着性が改良された樹脂被覆金属を提供することにある。
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の酸価を有するポリエステル樹脂とイソシアネート化合物とからなる水性接着剤が、従来の接着性能を維持しつつ、加工後の接着性が改良されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、第一に、酸価が2mgKOH/g以上、8mgKOH/g未満であるポリエステル樹脂とイソシアネート化合物とが水性媒体中に分散して含有されていることを特徴とする樹脂被覆金属用水性接着剤であり、
第二に、前記の水性接着剤からなる接着層が挟持されていることを特徴とする樹脂被覆金属である。
第二に、前記の水性接着剤からなる接着層が挟持されていることを特徴とする樹脂被覆金属である。
本発明の水性接着剤によれば、樹脂と金属との接着性、耐熱性、耐熱水性、加工性に優れるとともに、加工後の接着性においても優れる接着層を形成することができ、たとえば、鋼鈑と塩化ビニル樹脂シートとの積層体(いわゆる塩ビ鋼鈑)の接着剤や、鋼鈑とポリエステル樹脂シートとの積層体(いわゆる、PETラミ鋼鈑)の接着剤や、鋼鈑とポリオレフィン樹脂シートとの積層用の接着剤として好適に使用できる。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の樹脂被覆金属用水性接着剤(以下、水性接着剤と表記する場合がある。)は、酸価が2mgKOH/g以上、8mgKOH/g未満であるポリエステル樹脂とイソシアネート化合物とが水性媒体中に分散して含有している液状物である。
本発明において、ポリエステル樹脂とは、多塩基酸成分の1種類以上と多価アルコール成分の1種類以上とから合成されたものである。
ポリエステル樹脂の酸価は2mgKOH/g以上、8mgKOH/g未満であり、3〜7mgKOH/gが好ましい。酸価が8mgKOH/g以上の場合には、ポリエステル樹脂の分子量が小さくなり、加工後の接着性が悪くなる傾向にある。また、酸価が2mgKOH/g未満である場合には、水性媒体中にポリエステル樹脂を分散させるのが難しくなる。
ポリエステル樹脂には、硬化剤との反応性を高めること等を目的として、加工性、基材への密着性等、ポリエステル樹脂の有する長所を損なわない範囲内で水酸基が導入されていてもよい。その場合には、通常20mgKOH/gが上限であり、10mgKOH/g以下が好ましく、5mgKOH/g以下とすることが最適である。
また、ポリエステル樹脂の数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)分析(ポリスチレン換算)による測定値で、8,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましく、12,000以上であることがさらに好ましく、15,000以上であることが最も好ましい。数平均分子量が8,000未満では、加工後の接着性が不足する場合がある。なお、数平均分子量の上限については特に限定されないが、貯蔵安定性の良好な水性接着剤が得やすいという点から、ポリエステル樹脂の数平均分子量は50,000以下であることが好ましい。
また、ポリエステル樹脂のガラス転移温度(以下、Tgと表記する場合がある)は、特に限定されないが、接着性と加工性とのバランスが取り易いという点から、40〜100℃が好ましく、50〜90℃がより好ましく、60〜80℃がさらに好ましい。
次に、ポリエステル樹脂の構成成分について説明する。
ポリエステル樹脂を構成する多塩基酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸や、シュウ酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アイコサン二酸、水添ダイマー酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸や、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ダイマー酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。また、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸、および、その無水物、テトラヒドロフタル酸およびその無水物等の脂環族ジカルボン酸が挙げられる。
多塩基酸として、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等、カルボキシル基や水酸基以外の親水性基を有する多塩基酸も使用することができるが、このような多塩基酸を用いたポリエステル樹脂は耐水性や耐熱水性が悪くなる傾向にあるので、使用しない方が好ましい。
3官能以上の多塩基酸として、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水べンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等が挙げられるが、ポリエステル樹脂製造時のゲル化を抑制する観点から、ポリエステル樹脂の多塩基酸成分中、5モル%以下にとどめることが好ましい。
前記したジカルボン酸のなかで、その性能と工業的に多量に生産されており、安価であることを考え合わせ、テレフタル酸とイソフタル酸が好ましい。特に、テレフタル酸が好ましく、ポリエステル樹脂の多塩基酸成分に占めるテレフタル酸の割合としては、40〜100モル%であることが好ましく、50〜95モル%であることがより好ましく、60〜90モル%であることが最適である。テレフタル酸の割合を増すことにより、樹脂被膜の加工性も向上する傾向にある。
また、ポリエステル樹脂の多塩基酸成分に占める芳香族多塩基酸の割合は、60〜100モル%であることが好ましく、80〜100モル%であることがより好ましく、100モル%であることが最適である。芳香族多塩基酸の割合を増すことにより、脂肪族や脂環式のエステル結合よりも加水分解され難い芳香族エステル結合が樹脂骨格に占める割合が多くなるので、水性接着剤を長期保存した場合でも、ポリエステル樹脂の分子量の低下を小さくすることができる。また、芳香族多塩基酸の割合を増すことにより、水性接着剤より形成される樹脂被膜の耐熱水性、加工性等が向上する。
ポリエステル樹脂を構成する多価アルコール成分としては、特に制限されず、例えば、炭素数2〜10の脂肪族グリコール、炭素数6〜12の脂環族グリコール、エーテル結合含有グリコール等が挙げられる。
具体的には、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3‐プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。なお、エーテル結合が多くなるとポリエステル樹脂の耐水性、耐溶剤性、耐候性等を低下させる場合があるので、ポリエステル樹脂の多価アルコール成分に占めるエーテル結合含有グリコールの割合は、10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがさらに好ましい。
また、多価アルコールとして、2,2−ビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンのようなビスフェノール類(ビスフェノールA等)およびそのエチレンオキシド付加体やビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホンのようなビスフェノール類(ビスフェノールS等)およびそのエチレンオキシド付加体等も使用することができる。
さらに、多価アルコール成分として3官能以上の多価アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が含まれていてもよいが、ポリエステル樹脂製造時のゲル化を抑制するために、ポリエステル樹脂の多価アルコール成分に占める3官能以上の多価アルコールの割合は、5モル%以下にとどめることが好ましい。
多価アルコールとしては、その性能と工業的に多量に生産されており、安価であることを考え合わせ、エチレングリコールとネオペンチルグリコールを使用することが好ましい。ポリエステル樹脂の多価アルコール成分に占めるエチレングリコールとネオペンチルグリコールの合計の割合としては、60〜100モル%が好ましく、70〜100モル%がより好ましく、80〜100モル%が最も好ましい。エチレングリコールは特に樹脂被膜の耐薬品性を向上させ、ネオペンチルグリコールは特に樹脂被膜の耐候性を向上させるという長所を有するので、ポリエステル樹脂の多価アルコール成分として好ましい。
ポリエステル樹脂には、モノカルボン酸、モノアルコール、ヒドロキシカルボン酸が共重合されていてもよく、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノール、ε-カプロラクトン、乳酸、β-ヒドロキシ酪酸、p-ヒドロキシエトキシ安息香酸等を用いることができる。これらの化合物はポリエステル樹脂を構成する全モノマー成分に対して10モル%以下、特に5モル%以下が好ましい。
本発明においてポリエステル樹脂は前記した1種類以上の多塩基酸成分と1種類以上の多価アルコール成分とを公知の方法により重縮合させることにより製造することができる。例えば、全モノマー成分、および/または、その低重合体を不活性雰囲気下で180〜260℃、2.5〜10時間程度反応させてエステル化反応をおこない、引き続いて重縮合触媒の存在下、130Pa以下の減圧下に220〜280℃の温度で所望の分子量に達するまで重縮合反応を進めてポリエステル樹脂を得る方法等を挙げることができる。
ポリエステル樹脂に所望の酸価や水酸基価を付与する場合には、前記の重縮合反応に引き続き、多塩基酸成分や多価アルコール成分をさらに添加し、不活性雰囲気下、解重合をおこなう方法等を採用することができる。
特に、ポリエステル樹脂に所望の酸価を付与する方法として、前記の重縮合反応に引き続き、多塩基酸無水物をさらに添加し、不活性雰囲気下、ポリエステル樹脂の水酸基と付加反応する方法を用いることもできる。
ポリエステル樹脂の構成成分とは、解重合および/または付加反応に使用される多塩基酸成分や多価アルコール成分をも含むものである。
本発明のポリエステル樹脂は、多塩基酸を用いて前記の解重合および/または付加反応によりカルボキシル基を導入したポリエステル樹脂であることが好ましい。このようにカルボキシル基を導入することにより、ポリエステル樹脂の分子量や酸価を容易にコントロールすることができる。
解重合および/または付加反応にに使用する多塩基酸としては、特に限定されないが、芳香族多塩基酸が好ましく、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸などが挙げられる。また、3官能以上の多塩基酸を使用することにより、解重合によるポリエステル樹脂の分子量低下を抑制しながら、所望の酸価を付与することができる。好ましい多塩基酸として、トリメリット酸や無水トリメリット酸が挙げられる。
次に、イソシアネート化合物について説明する。
本発明においてイソシアネート化合物とは、イソシアネート基を1分子中に2個以上有するものであり、3個以上有することにより、さらに接着性、加工性等を向上させることができるので好ましい。
イソシアネート化合物としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン2,4´-または4,4´-ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトブタン、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、2,2,4-または2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,10-ジイソシアナトデカン、1,3-または1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1-イソシアナト-3、3、5-トリメチル-5-イソシアナトメチル-シクロヘキサン、4,4´-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、ヘキサヒドロトルエン2,4-または2,6-ジイソシアネート、ぺルヒドロ-2,4´-または4,4´-ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレン1,5-ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等のジイソシアネート、ならびに、それらの改変生成物、前記ジイソシアネート、ならびに、それらの改変生成物のイソシアネート基の一部あるいは全てがカプロラクタム、フェノール、オキシム、有機アミン等、公知のブロック剤で安定化された、いわゆるブロックイソシアネートが挙げられる。ここで、改変生成物とは、ジイソシアネートを公知の方法で変性することによって得られるものであり、例えば、アロファネート基、ビューレット基、カルボジイミド基、ウレトンイミン基、ウレトジオン基、イソシアヌレート基等を有するイソシアネート化合物、さらにはトリメチロールプロパン等の多官能アルコールで変性したアダクト型のイソシアネート化合物を挙げることができる。
イソネシアート化合物としては、後述するポリエステル樹脂水性分散体との混合が容易であることから、親水性成分を導入することや乳化剤を使用すること等により、水性媒体中への分散が容易であるものを使用することが好ましい。
また、イソシアネート化合物の中でも、本発明の水性接着剤のポットライフを長くできることからブロックイソシアネートを使用することが好ましい。
さらに、イソネシアート化合物の中でも、特に接着性、加工性を向上することができることから、改変生成物を使用することが好ましく、その中でも特にイソシアヌレート基を有する改変生成物を使用することが好ましい。改変生成物に使用されるジイソシアネートとしては、本発明におけるポリエステル樹脂との反応性に優れることから、ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
市販のイソネシアート化合物としては、例えば住友バイエルウレタン株式会社製のバイヒジュール3100、デスモジュールN3400、デスモジュールDN等、三井武田ケミカル株式会社製のタケネートWD720、タケネートWD725、タケネートWD730等、旭化成工業株式会社製のデュラネートWB40-100、デュラネートWB40-80D、デュラネートWX-1741等を例示できる。また、市販のブロックイソシアネートとしては、例えば、住友バイエルウレタン株式会社製のバイヒジュールBL5140、バイヒジュールBL5235等、第一工業製薬株式会社製のエラストロンBN−69、エラストロンBN−77、エラストロンBN−27、エラストロンBN−04等、三井武田ケミカル株式会社製のタケネートWB−700、タケネートWB−720、タケネートWB−730、タケネートWB−920、タケネートXWB−72−K55等を例示できる。
本発明の水性接着剤は、ポリエステル樹脂とイソシアネート化合物とが水性媒体中に分散して含有している。なお、「分散」の概念には部分的に溶解していることを含む。水性媒体とは、水を含む液体からなる媒体であり、後述する有機溶剤が含まれていてもよいが、水性媒体に占める有機溶剤の割合は、通常40質量%以下であり、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが最も好ましい。水としては、蒸留水、イオン交換水、市水、工業用水等が挙げられる。
有機溶剤としては、20℃における水に対する溶解性が5g/l以上であるものが好ましく、10g/l以上であるものがより好ましい。なお、有機溶剤の沸点としては、沸点が低いほうが樹脂被膜から乾燥によって揮散させやすくなることから、250℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましく、100℃以下がさらに好ましい。このような有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等のエステル類、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体、さらには、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル等が挙げられ、なかでも、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノブチルエーテルが好ましい。なお、これらの有機溶剤は2種以上を混合して使用してもよい。
また、本発明の水性接着剤において、ポリエステル樹脂とイソシアネート化合物の合計の含有率としては、目的とする樹脂被膜の厚さや性能等により適宜選択できるが、水性接着剤の粘性を適度に保ち、かつ、良好な被膜形成能を発現させる点で、5〜40質量%が好ましく、8〜30質量%がより好ましい。
本発明の水性接着剤においてポリエステル樹脂とイソシアネート化合物との配合比は特に限定されないが、接着性、加工性が十分に得られることからポリエステル樹脂のカルボキシル末端基に対して1〜15倍当量のイソシアネート化合物を含有していることが好ましく、3〜12倍当量のイソシアネート化合物を含有していることがより好ましい。
ここで、ポリエステル樹脂のカルボキシル末端基に対して、X倍当量のイソシアネート化合物を含有しているとは、当該水性接着剤に含有しているポリエステル樹脂の質量と酸価から算出されるカルボキシル末端基の当量数に対して、イソシアネート化合物のイソシアネート基の全当量数がそのX倍であるという意味である。
また、本発明の水性接着剤には、必要に応じて、硬化触媒が配合されてもよく、好ましい硬化触媒としては、ジ-n-ブチル錫ジラウレート、テトラ-n-ブチル錫、ジブチル錫ジアセテート、ジ‐n‐オクチル錫ジラウレート等の錫系の硬化触媒、トリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロパン−1,3−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジプロピレントリアミン、テトラメチルグアニジン、トリエチレンジアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−メチル−N’−(2−ジメチルアミノ)エチルピペラジン、N−メチルモルホリン、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)モルホリン、1,2−ジメチルイミダゾール、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、N−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、エチレングリコールビス(3−ジメチル)アミノプロピルエーテル等のアミン系の硬化触媒が挙げられる。
本発明の水性接着剤には、さらなる性能の向上のため、イソシアネート化合物以外の硬化剤を含有していてもよい。硬化剤は、加工性、基材への密着性等、ポリエステル樹脂の有する長所を損なわない範囲で使用され、その配合量としては、水性接着剤中のポリエステル樹脂とイソシアネート化合物との質量の合計100質量部に対して、1〜40質量部が好ましく、2〜30質量部がより好ましく、3〜20質量部がさらに好ましい。硬化剤は水性媒体に溶解又は分散しているものを使用することができる。
硬化剤としては、ポリエステル樹脂やイソシアネート化合物が有する官能基、一般的には、カルボキシル基やその無水物、水酸基、イソシアネート基等の官能基と反応性を有する化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば、フェノール樹脂、尿素、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン等のホルムアルデヒド付加物、尿素、アクリルアミド等のグリオキザール付加物、さらに炭素数1〜6のアルコールによるそれら付加物のアルキル化物等のアミノ樹脂、多官能エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド基含有化合物、オキサゾリン基含有化合物等が挙げられる。
本発明の水性接着剤には、シリカが配合されていてもよい。シリカを配合することにより防錆性を改善することができる。シリカとは、無水珪酸を主成分とする金属酸化物であり、アルミナ成分等の他の金属酸化物が含まれていてもよい。配合に当たっては,水に分散させたコロイド状であるコロイダルシリカが好ましいが、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、メチルエチルケトン(MEK)、キシレン、n−ブタノール、エチルイソブチルケトンなどの有機溶剤に分散させたオルガノシリカゾルや、粉末状シリカを溶媒に強制分散させたものも使用することができる。シリカの粒子の大きさとしては1〜1000nmのものが好ましい。また、その配合量としては、水性接着剤中のポリエステル樹脂とシリカからなる無機成分との質量比(ポリエステル樹脂/シリカ)が99/1〜60/40が好ましく、95/5〜70/30がより好ましい。
市販のシリカとしては、例えば、触媒化成工業株式会社製のカタロイド−S−20L、カタロイド−S−20H、カタロイド−S−30L、カタロイド−S−30H、カタロイド−SI−30、カタロイド−SI−40、カタロイド−SI−50、カタロイド−SI−350、カタロイド−SI−550、カタロイド−SI−45P、カタロイド−SI−80P、カタロイド−SN、カタロイド−SA、日産化学工業株式会社製のスノーテックス−20、スノーテックス−30、スノーテックス−40、スノーテックス−O、スノーテックス−S、スノーテックス−C、スノーテックス−N、スノーテックス−20L、スノーテックス−OL、スノーテックス−PSが例示できる。
また、本発明の水性接着剤には、キレート変成エポキシ樹脂が配合されていてもよい。キレート変成エポキシ樹脂を配合することにより、樹脂被服金属の熱処理後の加工性を向上させることができる。キレート変成エポキシ樹脂とは樹脂の基本骨格にキレート形成基を有するエポキシ樹脂をいう。キレート形成基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、水酸基などの造塩能をもつ酸性基や、アミン類、カルボニル基などの配位能をもつ原子団をもったものが好適である。なお、特に好適なものは、隣接フェノール系、リン酸系、カルボン酸系のものである。また、その配合量としては、ポリエステル樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部とすることが好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
市販のキレート変成エポキシ樹脂として、例えば旭電化工業株式会社製のEM−0434、EM−0434E、EP−777が入手できる。
さらに、本発明の水性接着剤には、必要に応じて、保護コロイド作用を有する化合物や、レベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤等の各種薬剤や、水性ウレタン樹脂や水性アクリル樹脂等の水性樹脂組成物、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック等の顔料あるいは染料等の添加剤が配合されていてもよい。
次に、本発明の水性接着剤の製造方法について説明する。
本発明の水性接着剤は、ポリエステル樹脂水性分散体とイソシアネート化合物とを、一般的な撹拌装置を用いて、攪拌混合することにより製造することができる。なお、攪拌混合の際には、水性接着剤の安定性を低下させないために40℃以下でおこなうことが好ましい。また、混合しにくい場合には、例えば、ホモミキサーのような高速で高せん断力が加えられる撹拌機を用いることもできる。
ここで、ポリエステル樹脂水性分散体は、乳化剤や界面活性剤を使用せず、ポリエステル樹脂のカルボキシル基が、塩基性化合物により中和あるいは部分中和されることにより、水性媒体に安定に分散されているものが好ましい。乳化剤や界面活性剤を使用した場合には、耐水性や、耐熱水性が悪くなる傾向にある。塩基性化合物としては、樹脂被膜形成時に揮散しやすい点から、アンモニア、または、沸点が250℃以下、好ましくは160℃以下の有機アミンが好ましい。好ましく用いられる有機アミンの具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等が挙げられ、なかでもアンモニア、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミンが好ましい。なお、塩基性化合物は2種以上を混合して使用してもよい。
また、水性接着剤の製造工程において、攪拌混合後に濾過をおこなってもよい。例えば、300メッシュのステンレス製フィルター(線経0.035mm、平織)を用いて、加圧濾過(空気圧0.2MPa)する方法が挙げられる。
このようにして得られた水性接着剤は、ポリエステル樹脂とイソシアネート化合物とが水性媒体中に分散された、均一な液状である。「均一な液状である」とは、外観上、沈殿、相分離、皮張りといった、固形分濃度が局部的に他の部分と相違する部分が見出されない状態をいう。
本発明の水性接着剤は、樹脂被覆金属において、被覆樹脂と基材金属とを接着する用途に用いられ、接着性、加工性に優れる樹脂被覆金属を得ることができる。被覆樹脂と基材金属とに挟持される接着層の厚さとしては、目的によって適宜選択されるものであるが、接着性と加工性とのバランスがとりやすいことから、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜7μmがより好ましく、1〜5μmが特に好ましい。
基材金属としては、熱延鋼鈑、冷延鋼鈑、溶融亜鉛メッキ鋼鈑、電気亜鉛メッキ鋼鈑、すずメッキ鋼鈑、ニッケルメッキ鋼鈑、ステンレス鋼鈑等の各種鋼鈑やアルミ板等の金属板が挙げられ、厚みとしては、通常0.1〜1mmである。
被覆樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられ、その中でもポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂は、加工性等の諸性能にバランスがとれており好ましい。中でも塩化ビニル樹脂がよく用いられる。なお、被覆樹脂の形状がシート状である場合には、コロナ処理等の表面処理がなされていてもよく、また、その厚みとしては、通常0.1〜1mmである。
本発明の水性接着剤の使用方法として、基材金属と被覆樹脂がシート状の場合についての接着方法について、その一例を説明すると、まず、基材金属に公知の成膜方法、例えばディッピング法、はけ塗り法、スプレーコート法、カーテンフローコート法等により、水性接着剤をコーティングし、必要に応じて室温付近でセッティングした後、乾燥、および、焼き付けのための加熱処理に供することにより、均一な接着層を基材金属に密着させて形成させる。このときの加熱装置としては、通常の熱風循環型のオーブンや赤外線ヒーター等を使用すればよい。加熱温度や加熱時間としては、ポリエステル樹脂やイソシアネート化合物の種類や被コーティング物である基材金属の種類や厚み等により適宜選択されるものであるが、接着性と経済性とのバランスを考慮すると、加熱温度としては、通常80〜280℃であり、100〜250℃が好ましく、120〜230℃がより好ましい。一方、加熱時間としては、通常5秒〜10分間であり、10秒〜5分が好ましく、20秒〜3分がより好ましい。
次いで、このようにして接着層が形成された基材金属と被覆樹脂とを加圧下で接着させる。
このとき、被覆樹脂との十分な接着性を確保するために基材金属は加熱されていることが好ましく、その表面温度としては、通常80〜280℃であり、100〜250℃が好ましく、120〜230℃がより好ましい。また、基材金属と被覆樹脂とを積層させるときの装置としては、連続して樹脂被覆金属が製造できることから、2本のロールで基材金属と被覆樹脂とを挟み込んで、加圧しながら両基材を供給することができるロールラミネーターが好ましく、その際の圧力としては、十分な接着性を確保でき、かつ被覆樹脂の有する特性を損なわない範囲であることが大切であり、この観点から、線圧1〜500N/cmが好ましく、5〜300N/cmがより好ましい。
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明する。
なお、各種の特性については以下の方法によって測定、または、評価した。
(1)ポリエステル樹脂の構成
1H−NMR分析(バリアン社製,300MHz)より求めた。また、1H−NMRスペクトル上に帰属・定量可能なピークが認められない構成モノマーを含む樹脂については、封管中230℃で3時間メタノール分解をおこなった後に、ガスクロマトグラム分析に供し、定量分析をおこなった。
1H−NMR分析(バリアン社製,300MHz)より求めた。また、1H−NMRスペクトル上に帰属・定量可能なピークが認められない構成モノマーを含む樹脂については、封管中230℃で3時間メタノール分解をおこなった後に、ガスクロマトグラム分析に供し、定量分析をおこなった。
(2)ポリエステル樹脂の数平均分子量
数平均分子量は、GPC分析(島津製作所製の送液ユニットLC−10ADvp型、および、紫外−可視分光光度計SPD−6AV型を使用、検出波長:254nm、溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン換算)により求めた。また、同様にして得られる重量平均分子量を用いて重量平均分子量を数平均分子量で除した値として得られる分子量分布の分散度を求めた。
数平均分子量は、GPC分析(島津製作所製の送液ユニットLC−10ADvp型、および、紫外−可視分光光度計SPD−6AV型を使用、検出波長:254nm、溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン換算)により求めた。また、同様にして得られる重量平均分子量を用いて重量平均分子量を数平均分子量で除した値として得られる分子量分布の分散度を求めた。
(3)ポリエステル樹脂の酸価
ポリエステル樹脂0.5gを50mlの水/ジオキサン=10/1(体積比)に溶解し、クレゾールレッドを指示薬としてKOHで滴定をおこない、中和に消費されたKOHのmg数をポリエステル樹脂1gあたりに換算した値を酸価として求めた。
ポリエステル樹脂0.5gを50mlの水/ジオキサン=10/1(体積比)に溶解し、クレゾールレッドを指示薬としてKOHで滴定をおこない、中和に消費されたKOHのmg数をポリエステル樹脂1gあたりに換算した値を酸価として求めた。
(4)ポリエステル樹脂の水酸基価
ポリエステル樹脂3gを精秤し、無水酢酸0.6mlおよびピリジン50mlとを加え、室温下で48時間攪拌して反応させ、続いて、蒸留水5mlを添加して、さらに6時間、室温下で攪拌を継続することにより、前記反応に使われなかった分の無水酢酸も全て酢酸に変えた。この液にジオキサン50mlを加えて、クレゾールレッド・チモールブルーを指示薬としてKOHで滴定をおこない、中和に消費されたKOHの量(W1)と、最初に仕込んだ量の無水酢酸がポリエステル樹脂と反応せずに全て酢酸になった場合に中和に必要とされるKOHの量(計算値:W0)とから、その差(W0-W1)をKOHのmg数で求め、これをポリエステル樹脂のg数で割った値を水酸基価とした。
ポリエステル樹脂3gを精秤し、無水酢酸0.6mlおよびピリジン50mlとを加え、室温下で48時間攪拌して反応させ、続いて、蒸留水5mlを添加して、さらに6時間、室温下で攪拌を継続することにより、前記反応に使われなかった分の無水酢酸も全て酢酸に変えた。この液にジオキサン50mlを加えて、クレゾールレッド・チモールブルーを指示薬としてKOHで滴定をおこない、中和に消費されたKOHの量(W1)と、最初に仕込んだ量の無水酢酸がポリエステル樹脂と反応せずに全て酢酸になった場合に中和に必要とされるKOHの量(計算値:W0)とから、その差(W0-W1)をKOHのmg数で求め、これをポリエステル樹脂のg数で割った値を水酸基価とした。
(5)ポリエステル樹脂のガラス転移温度
ポリエステル樹脂10mgをサンプルとし、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製 DSC7)を用いて昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、得られた昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点の温度の中間値を求め、これをガラス転移温度とした。
ポリエステル樹脂10mgをサンプルとし、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製 DSC7)を用いて昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、得られた昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点の温度の中間値を求め、これをガラス転移温度とした。
(6)ポリエステル樹脂水性分散体の有機溶剤の含有率
島津製作所社製、ガスクロマトグラフGC−8A[FID検出器使用、キャリアーガス:窒素、カラム充填物質(ジーエルサイエンス社製):PEG−HT(5%)−UNIPORT HP(60/80メッシュ)、カラムサイズ:直径3mm×3m、試料投入温度(インジェクション温度):150℃、カラム温度:60℃、内部標準物質:n−ブタノール]を用い、水性分散体を水で希釈したものを直接装置内に投入して、有機溶剤の含有率を求めた。検出限界は0.01質量%であった。
島津製作所社製、ガスクロマトグラフGC−8A[FID検出器使用、キャリアーガス:窒素、カラム充填物質(ジーエルサイエンス社製):PEG−HT(5%)−UNIPORT HP(60/80メッシュ)、カラムサイズ:直径3mm×3m、試料投入温度(インジェクション温度):150℃、カラム温度:60℃、内部標準物質:n−ブタノール]を用い、水性分散体を水で希釈したものを直接装置内に投入して、有機溶剤の含有率を求めた。検出限界は0.01質量%であった。
(7)ポリエステル樹脂水性分散体の固形分濃度
水性分散体を約1g秤量(Xgとする)し、これを150℃で2時間乾燥した後の残存物(固形分)の質量を秤量し(Ygとする)、次式により固形分濃度を求めた。
水性分散体を約1g秤量(Xgとする)し、これを150℃で2時間乾燥した後の残存物(固形分)の質量を秤量し(Ygとする)、次式により固形分濃度を求めた。
固形分濃度(質量%)=Y×100/X
(8)樹脂被膜(接着層)の厚さ
厚み計(ユニオンツール(株)社製、MICROFINE Σ)を用いて、基材の厚みを予め測定しておき、基材上に樹脂被膜を形成した後の厚みを方法で測定し、その差を樹脂被膜の厚さとした。
厚み計(ユニオンツール(株)社製、MICROFINE Σ)を用いて、基材の厚みを予め測定しておき、基材上に樹脂被膜を形成した後の厚みを方法で測定し、その差を樹脂被膜の厚さとした。
(9)初期の接着性
水性接着剤を、亜鉛メッキ鋼鈑(0.5mm厚)上に、卓上型コーティング装置(安田精機製、フィルムアプリケータNo.542−AB型、バーコータ装着)を用いてコーティングした後、150℃に設定されたオーブン中で1分間加熱することにより、厚さ約3μmの樹脂被膜を形成した。ついで、320℃に設定されたオーブン中で、鋼鈑の表面温度が200℃になるまで加熱し、直ちにロールラミネーター(鋼鈑と接するロール部のみ200℃に加熱)を用いて軟質塩化ビニル樹脂シート(0.2mm厚)を線圧120N/cmで被覆し、水冷することにより、塩ビ鋼鈑を作製し測定に供した。測定はJIS K 6744に準じ、次のようにしておこなった。塩ビ鋼鈑を20mm幅にカットし、塩化ビニル樹脂シートの一部を剥離した後、万能引張試験機(株式会社インテスコ社製、Model 2020)を用いて、剥離速度20mm/分で180°剥離試験をおこない、20℃での剥離強度(N/20mm)を測定した。
水性接着剤を、亜鉛メッキ鋼鈑(0.5mm厚)上に、卓上型コーティング装置(安田精機製、フィルムアプリケータNo.542−AB型、バーコータ装着)を用いてコーティングした後、150℃に設定されたオーブン中で1分間加熱することにより、厚さ約3μmの樹脂被膜を形成した。ついで、320℃に設定されたオーブン中で、鋼鈑の表面温度が200℃になるまで加熱し、直ちにロールラミネーター(鋼鈑と接するロール部のみ200℃に加熱)を用いて軟質塩化ビニル樹脂シート(0.2mm厚)を線圧120N/cmで被覆し、水冷することにより、塩ビ鋼鈑を作製し測定に供した。測定はJIS K 6744に準じ、次のようにしておこなった。塩ビ鋼鈑を20mm幅にカットし、塩化ビニル樹脂シートの一部を剥離した後、万能引張試験機(株式会社インテスコ社製、Model 2020)を用いて、剥離速度20mm/分で180°剥離試験をおこない、20℃での剥離強度(N/20mm)を測定した。
なお、測定中に塩化ビニル樹脂シートが材料破壊したものについては、そのときの最大剥離強度を記載した。
(10)熱処理後の接着性
(9)と同様にして作製した塩ビ鋼鈑を5cm×9cmにカットし、150℃の雰囲気下で1時間処理した後、(9)と同様にして剥離強度を測定した。
(9)と同様にして作製した塩ビ鋼鈑を5cm×9cmにカットし、150℃の雰囲気下で1時間処理した後、(9)と同様にして剥離強度を測定した。
(11)熱水処理後の接着性
(9)と同様にして作製した塩ビ鋼鈑を5cm×9cmにカットし、95℃以上の沸騰水中で5時間処理した後、(9)と同様にして剥離強度を測定した。
(9)と同様にして作製した塩ビ鋼鈑を5cm×9cmにカットし、95℃以上の沸騰水中で5時間処理した後、(9)と同様にして剥離強度を測定した。
(12)加工後の接着性
(9)と同様にして作製した塩ビ鋼鈑を5cm×5cmにカットし、万能引張試験機(株式会社インテスコ社製、Model 2020)を用いて、一方向に一辺が6cmになるまで延伸した後、塩ビ鋼板を20mm×60mm幅にカットし、(9)と同様にして、20℃での剥離強度(N/20mm)を測定した。
(9)と同様にして作製した塩ビ鋼鈑を5cm×5cmにカットし、万能引張試験機(株式会社インテスコ社製、Model 2020)を用いて、一方向に一辺が6cmになるまで延伸した後、塩ビ鋼板を20mm×60mm幅にカットし、(9)と同様にして、20℃での剥離強度(N/20mm)を測定した。
(13)初期の加工性
(9)と同様にして作製した塩ビ鋼鈑を5cm×9cmにカットし、塩ビ鋼鈑の塩化ビニル樹脂シート側を、幅5mmで2本線をそれぞれ直角に交叉するようにカッターナイフで切り込みを入れ、5mm角の部分(井形部分)が中央になるようにして、JIS B−7729のA法に規定のエリクセン試験機で鋼鈑側より8mm押し出した後、目視にて外観を観察した。加工性の評価基準は次の通りである。
(9)と同様にして作製した塩ビ鋼鈑を5cm×9cmにカットし、塩ビ鋼鈑の塩化ビニル樹脂シート側を、幅5mmで2本線をそれぞれ直角に交叉するようにカッターナイフで切り込みを入れ、5mm角の部分(井形部分)が中央になるようにして、JIS B−7729のA法に規定のエリクセン試験機で鋼鈑側より8mm押し出した後、目視にて外観を観察した。加工性の評価基準は次の通りである。
○:塩化ビニル樹脂シートは鋼鈑に密着している
×:塩化ビニル樹脂シートの一部が、鋼板から剥がれている
×:塩化ビニル樹脂シートの一部が、鋼板から剥がれている
(14)熱処理後の加工性
(13)と同様にして8mm押出した塩ビ鋼板を、150℃の雰囲気下で1時間処理した後、(13)と同様にして加工性を評価した。
また、実施例及び比較例で用いたポリエステル樹脂は次のようにして得た。
(13)と同様にして8mm押出した塩ビ鋼板を、150℃の雰囲気下で1時間処理した後、(13)と同様にして加工性を評価した。
また、実施例及び比較例で用いたポリエステル樹脂は次のようにして得た。
[ポリエステル樹脂P−1]
テレフタル酸2077g、イソフタル酸2077g、エチレングリコール1133g、ネオペンチルグリコール1614gからなる混合物をオートクレーブ中で、260℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。ついで、触媒として三酸化アンチモン1.8gを添加し、系の温度を280℃に昇温し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとした。この条件下でさらに重縮合反応を続け、4時間後に系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、250℃になったところでトリメリット酸53gを添加し、250℃で2時間撹拌して、解重合反応をおこなった。その後、系の圧力を除々に減じて0.5時間後に13Paとし、その後1時間、脱泡をおこなった。ついで、系を窒素ガスで加圧状態にして、ストランド状に樹脂を払い出し、水冷後、カッティングして、ペレット状(直径約3mm、長さ約3mm)のポリエステル樹脂P−1を得た。
テレフタル酸2077g、イソフタル酸2077g、エチレングリコール1133g、ネオペンチルグリコール1614gからなる混合物をオートクレーブ中で、260℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。ついで、触媒として三酸化アンチモン1.8gを添加し、系の温度を280℃に昇温し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとした。この条件下でさらに重縮合反応を続け、4時間後に系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、250℃になったところでトリメリット酸53gを添加し、250℃で2時間撹拌して、解重合反応をおこなった。その後、系の圧力を除々に減じて0.5時間後に13Paとし、その後1時間、脱泡をおこなった。ついで、系を窒素ガスで加圧状態にして、ストランド状に樹脂を払い出し、水冷後、カッティングして、ペレット状(直径約3mm、長さ約3mm)のポリエステル樹脂P−1を得た。
[ポリエステル樹脂P−2]
テレフタル酸2907g、イソフタル酸1246g、エチレングリコール1133g、ネオペンチルグリコール1614gからなる混合物をオートクレーブ中で、260℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。ついで、触媒として三酸化アンチモン1.8gを添加し、系の温度を280℃に昇温し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとした。この条件下でさらに重縮合反応を続け、4時間後に系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、250℃になったところで無水トリメリット酸33.6gを添加し、250℃で2時間撹拌して、解重合反応をおこなった。その後、系の圧力を除々に減じて0.5時間後に13Paとし、その後1時間、脱泡をおこなった。ついで、系を窒素ガスで加圧状態にして、ストランド状に樹脂を払い出し、水冷後、カッティングして、ペレット状(直径約3mm、長さ約3mm)のポリエステル樹脂P−2を得た。
テレフタル酸2907g、イソフタル酸1246g、エチレングリコール1133g、ネオペンチルグリコール1614gからなる混合物をオートクレーブ中で、260℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。ついで、触媒として三酸化アンチモン1.8gを添加し、系の温度を280℃に昇温し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとした。この条件下でさらに重縮合反応を続け、4時間後に系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、250℃になったところで無水トリメリット酸33.6gを添加し、250℃で2時間撹拌して、解重合反応をおこなった。その後、系の圧力を除々に減じて0.5時間後に13Paとし、その後1時間、脱泡をおこなった。ついで、系を窒素ガスで加圧状態にして、ストランド状に樹脂を払い出し、水冷後、カッティングして、ペレット状(直径約3mm、長さ約3mm)のポリエステル樹脂P−2を得た。
[ポリエステル樹脂P−3]
テレフタル酸2907g、イソフタル酸1246g、エチレングリコール1241g、ネオペンチルグリコール1432gからなる混合物をオートクレーブ中で、260℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。ついで、触媒として三酸化アンチモンを1質量%含有するエチレングリコール溶液を182g添加し、系の温度を280℃に昇温し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとした。この条件下でさらに重縮合反応を続け、4時間後に系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、270℃になったところでトリメリット酸105gを添加し、250℃で2時間撹拌して、解重合反応をおこなった。その後、窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出した。そして、これを室温まで十分に冷却した後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−3として得た。
テレフタル酸2907g、イソフタル酸1246g、エチレングリコール1241g、ネオペンチルグリコール1432gからなる混合物をオートクレーブ中で、260℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。ついで、触媒として三酸化アンチモンを1質量%含有するエチレングリコール溶液を182g添加し、系の温度を280℃に昇温し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとした。この条件下でさらに重縮合反応を続け、4時間後に系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、270℃になったところでトリメリット酸105gを添加し、250℃で2時間撹拌して、解重合反応をおこなった。その後、窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出した。そして、これを室温まで十分に冷却した後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−3として得た。
上記のようにして得られたそれぞれのポリエステル樹脂P−1〜P−3について、製造時に用いた解重合剤の種類と量、ならびに、得られたポリエステル樹脂の特性を分析、または、評価した結果を表1に示す。なお、本発明におけるポリエステル樹脂はP−1、P-2である。
また、実施例及び比較例で用いたポリエステル樹脂水性分散体(以下、水性分散体と表記する場合がある)は下記のようにして得られた。
[水性分散体E−1]
[溶解工程]3lのポリエチレン製容器にポリエステル樹脂P−1を400gとメチルエチルケトン(以下、MEKと表記する場合がある)を600g投入し、約60℃の温水で容器を加熱しながら、攪拌機(東京理化株式会社製、MAZELA1000)を用いて攪拌することにより、完全にポリエステル樹脂をMEKに溶解させ、固形分濃度40質量%のポリエステル樹脂溶液を得た。
[溶解工程]3lのポリエチレン製容器にポリエステル樹脂P−1を400gとメチルエチルケトン(以下、MEKと表記する場合がある)を600g投入し、約60℃の温水で容器を加熱しながら、攪拌機(東京理化株式会社製、MAZELA1000)を用いて攪拌することにより、完全にポリエステル樹脂をMEKに溶解させ、固形分濃度40質量%のポリエステル樹脂溶液を得た。
[転相乳化工程]ついで、ジャケット付きガラス容器(内容量2l)に前記ポリエステル樹脂溶液500gを仕込み、ジャケットに冷水を通して系内温度を13℃に保ち、攪拌機(東京理化株式会社製、MAZELA1000)で攪拌した(回転速度600rpm)。次いで、攪拌しながら、塩基性化合物としてトリエチルアミンを8.5g添加し、続いて100g/minの速度で13℃の蒸留水491.5gを添加した。蒸留水を全量添加する間、系内温度は常に15℃以下とした。蒸留水添加終了後、30分間攪拌して固形分濃度が20質量%であるポリエステル樹脂水性分散体を得た。
このポリエステル樹脂水性分散体を800gと蒸留水52.3gを2lフラスコ入れ、常圧で蒸留をおこなうことでMEKを除去した。蒸留は留去量が約360gになったところで終了し、室温まで冷却後、250メッシュ(目開き0.071mm)のステンレスフィルターで濾過した。ついで、この水性分散体の固形分濃度を測定した後、固形分濃度が30質量%になるように蒸留水を添加し、水性分散体S−1を得た。水性分散体S−1の固形分濃度は30.2質量%であり、有機溶剤の含有率は0.01質量%以下であった。
[水性分散体E−2]
ポリエステル樹脂P−2を使用すること以外は、水性分散体S−1と同様にして、水性分散体S−2を製造した。水性分散体S−2の固形分濃度は30.1質量%であり、有機溶剤の含有率は0.01質量%以下であった。
ポリエステル樹脂P−2を使用すること以外は、水性分散体S−1と同様にして、水性分散体S−2を製造した。水性分散体S−2の固形分濃度は30.1質量%であり、有機溶剤の含有率は0.01質量%以下であった。
[水性分散体E−3]
250gのポリエステル樹脂P−3、225gのイソプロパノール、7.8gのトリエチルアミン、および、517gの蒸留水をジャケット付きの密閉できる2リットル用ガラス容器を備えた撹拌機(特殊機化工業株式会社製、T.K.ロボミックス)のガラス容器内に仕込み、撹拌翼(ホモディスパー)の回転速度を7,000rpmとして撹拌した。ついで、ジャケットに熱水を通して加熱し、系内温度を73〜75℃に保って、60分間撹拌した。その後、ジャケット内に冷水を流し、回転速度を5,000rpmに下げて撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルターで濾過をおこない、乳白色の均一な水性分散体S−3を得た。水性分散体S−3固形分濃度は25.3質量%であり、有機溶剤の含有率は22.1質量%であった。
250gのポリエステル樹脂P−3、225gのイソプロパノール、7.8gのトリエチルアミン、および、517gの蒸留水をジャケット付きの密閉できる2リットル用ガラス容器を備えた撹拌機(特殊機化工業株式会社製、T.K.ロボミックス)のガラス容器内に仕込み、撹拌翼(ホモディスパー)の回転速度を7,000rpmとして撹拌した。ついで、ジャケットに熱水を通して加熱し、系内温度を73〜75℃に保って、60分間撹拌した。その後、ジャケット内に冷水を流し、回転速度を5,000rpmに下げて撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルターで濾過をおこない、乳白色の均一な水性分散体S−3を得た。水性分散体S−3固形分濃度は25.3質量%であり、有機溶剤の含有率は22.1質量%であった。
次に、実施例および比較例を示す。なお、実施例および比較例で用いたイソシアネート化合物と硬化触媒の特性は下記の通りである。
(イソシアネート化合物)
タケネートXWB−72−K55(三井武田ケミカル株式会社製、ブロックイソシアネート)
固形分濃度=45質量%
イソシアネート基含有量=6.3質量%
タケネートXWB−72−K55(三井武田ケミカル株式会社製、ブロックイソシアネート)
固形分濃度=45質量%
イソシアネート基含有量=6.3質量%
(硬化触媒)
・SCAT−1W(三共有機合成株式会社製、錫系の硬化触媒)
触媒有効成分量=10質量%
・SCAT−1W(三共有機合成株式会社製、錫系の硬化触媒)
触媒有効成分量=10質量%
<実施例1>
水性分散体E-1を25g秤量し、これを低速撹拌機(EYELA社製、MDS−NS)で撹拌しながら、3.84gのイソシアネート化合物(ポリエステルの酸価に対して5.5当量)を添加して、室温(約25℃)で約10分間撹拌した。ついで、蒸留水33.6gを添加し、室温(約25℃)で約10分間撹拌混合することにより、水性接着剤S−1を得た。
水性分散体E-1を25g秤量し、これを低速撹拌機(EYELA社製、MDS−NS)で撹拌しながら、3.84gのイソシアネート化合物(ポリエステルの酸価に対して5.5当量)を添加して、室温(約25℃)で約10分間撹拌した。ついで、蒸留水33.6gを添加し、室温(約25℃)で約10分間撹拌混合することにより、水性接着剤S−1を得た。
この水性接着剤S−1を使用して得られた塩ビ鋼板の接着性、加工性の評価結果を表2に示す。
<実施例2>
水性分散体E-2を25g秤量し、これを低速撹拌機(EYELA社製、MDS−NS)で撹拌しながら、3.84gのイソシアネート化合物(ポリエステルの酸価に対して10.4当量)を添加して、室温(約25℃)で約10分間撹拌した。ついで、蒸留水33.6gを添加し、室温(約25℃)で約10分間撹拌混合することにより、水性接着剤S−2を得た。
水性分散体E-2を25g秤量し、これを低速撹拌機(EYELA社製、MDS−NS)で撹拌しながら、3.84gのイソシアネート化合物(ポリエステルの酸価に対して10.4当量)を添加して、室温(約25℃)で約10分間撹拌した。ついで、蒸留水33.6gを添加し、室温(約25℃)で約10分間撹拌混合することにより、水性接着剤S−2を得た。
この水性接着剤S−2を使用して得られた塩ビ鋼板の接着性、加工性の評価結果を表2に示す。
<比較例1>
水性分散体E-3を30g秤量し、これを低速撹拌機(EYELA社製、MDS−NS)で撹拌しながら、3.84gのイソシアネート化合物(ポリエステルの酸価に対して3.0当量)と0.17gの硬化触媒を添加して、室温(約25℃)で約10分間撹拌した。ついで、蒸留水27.9gを添加し、室温(約25℃)で約10分間撹拌混合することにより、水性接着剤S−3を得た。
水性分散体E-3を30g秤量し、これを低速撹拌機(EYELA社製、MDS−NS)で撹拌しながら、3.84gのイソシアネート化合物(ポリエステルの酸価に対して3.0当量)と0.17gの硬化触媒を添加して、室温(約25℃)で約10分間撹拌した。ついで、蒸留水27.9gを添加し、室温(約25℃)で約10分間撹拌混合することにより、水性接着剤S−3を得た。
この水性接着剤S−3を使用して得られた塩ビ鋼板の接着性、加工性の評価結果を表2に示す。
表2中、( )は、剥離強度の測定において、軟質塩化ビニル樹脂シートが剥離せず、材料破壊したことを示し、数値は破壊直前の最大剥離強度を表している。
表2の結果から、実施例1〜2の水性接着剤を使用することにより、接着性、加工性に優れる塩ビ鋼鈑が得られることがわかる。
これに対して、比較例1ではポリエステル樹脂の酸価が本発明の範囲を外れていたため、加工後の接着性に劣っていた。
Claims (3)
- 酸価が2mgKOH/g以上、8mgKOH/g未満であるポリエステル樹脂とイソシアネート化合物とが水性媒体中に分散して含有されていることを特徴とする樹脂被覆金属用水性接着剤。
- 基材金属とそれを被覆する被覆樹脂とからなる樹脂被覆金属において、請求項1記載の樹脂被覆金属用水性接着剤からなる接着層が、前記被覆樹脂と前記基材金属に挟持されていることを特徴とする樹脂被覆金属。
- 被覆樹脂が塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂およびポリオレフィン樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項2記載の樹脂被覆金属。
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