JP2007039508A - 複合樹脂の改質方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐衝撃性等が向上した複合樹脂が効率的に得られる複合樹脂の改質方法を提供する。
【解決手段】非晶性樹脂及び結晶性樹脂、あるいはいずれか一方の樹脂と、炭素化合物とを含む複合樹脂の改質方法であって、炭素化合物としてのカーボンブラックやグラファイト等の表面に少なくともシラン原子を有する改質剤化合物を燃料としたケイ酸化炎処理が施してあるとともに、濡れ指数(測定温度25℃)が40dyn/cm以上の変性炭素化合物を含有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複合樹脂の改質方法に関し、特に、耐衝撃性等が向上した複合樹脂が効率的に得られる複合樹脂の改質方法に関する。
従来、鱗片状グラファイトを含有した複合樹脂として、ガラス転移温度が140℃以上の非晶性樹脂100重量部に対して、0〜150重量部の融点が200℃以上の結晶性樹脂と、5〜100重量部の平均粒径が5〜100μmの鱗片状グラファイトと、を配合してなる摺動部材用樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
一方、特定の沸点を有する改質剤化合物を含む燃料ガスからなる火炎を吹き付け処理(ケイ酸化炎処理、チタン酸化炎処理、およびアルミニウム酸化炎処理)することにより、シラン原子等を含有する改質剤化合物を比較的多量に使用した場合であっても、効率的に燃焼しやすくして、炭素化合物等の表面を均一かつ十分に改質できる表面改質方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平10−182872(特許請求の範囲) WO03/069017号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、特許文献1に開示された摺動部材用樹脂組成物は、使用可能な炭素化合物の種類が制限されるばかりか、非晶性樹脂のガラス転移温度が高く、あるいは結晶性樹脂の融点が高いために、耐衝撃性が乏しいという問題が見られた。
また、特許文献2に開示された方法は、炭素化合物等の表面を十分かつ長時間にわたって改質できる表面改質方法ではあるが、特定樹脂と組み合わせる炭素化合物の表面処理に使用した場合に、その特定樹脂の耐衝撃性等が向上できることまでは見出されていなかった。
そこで、本発明の発明者らは、炭素化合物の表面にケイ酸化炎処理を施し、所定の濡れ指数にするとともに、特定樹脂と組み合わせた場合に、その特定樹脂の耐衝撃性等が著しく向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の目的は、耐衝撃性等が向上した複合樹脂が効率的に得られる複合樹脂の改質方法を提供することにある。
本発明によれば、非晶性樹脂及び結晶性樹脂、あるいはいずれか一方の樹脂と、炭素化合物とを含む複合樹脂の改質方法であって、炭素化合物として、その表面に少なくともシラン原子を有する改質剤化合物を燃料としたケイ酸化炎処理が施してあるとともに、濡れ指数(測定温度25℃)が40dyn/cm以上の変性炭素化合物を含有する複合樹脂の改質方法が提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、特定樹脂と組み合わせる炭素化合物の表面に、シラン原子を有する改質剤化合物を一部あるいは主成分の燃料としたケイ酸化炎処理を施し、所定の濡れ指数とした上で添加することにより、その特定樹脂の耐衝撃性等を著しく向上させることができる。
なお、本発明において、「ケイ酸化炎処理」とは、シラン化合物を含む、引火性ガス、混合ガス、エアゾールまたはスプレーのいずれかを燃料にした火炎処理であり、炎熱分解によって炭素化合物の表面上に、酸化ケイ素層を形成するための表面処理を意味する。
また、本発明の複合樹脂の改質方法を実施するにあたり、炭素化合物が、カーボンブラック、グラファイト、カーボン繊維、及びアラミド繊維の少なくとも一つであることが好ましい。
このような炭素化合物を使用することにより、比較的少量の変性炭素化合物の添加によって、その特定樹脂の耐衝撃性等を著しく向上させることができる。
また、本発明の複合樹脂の改質方法を実施するにあたり、炭素化合物が粒子状の場合、その平均粒径を0.01〜100μmの範囲内の値とすることが好ましい。
このような炭素化合物を使用することにより、特定樹脂の耐衝撃性等をさらに効率的に向上させることができる。また、このような添加範囲であれば、所望の導電性や電気絶縁性に制御することができる。
また、本発明の複合樹脂の改質方法を実施するにあたり、炭素化合物を流動状態にして、ケイ酸化炎処理が施してあることが好ましい。
このような炭素化合物を使用することにより、特定樹脂の耐衝撃性等をさらに均一かつ安定的に著しく向上させることができる。また、変性炭素化合物が効率的に得られるため、複合樹脂の製造コストを著しく低下させることができる。
また、本発明の複合樹脂の改質方法を実施するにあたり、非晶性樹脂が、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアリレート樹脂および変性ポリフェニレンエーテル樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つであることが好ましい。
このような特定の非晶性樹脂を使用することにより、これらの樹脂の耐衝撃性等をさらに効率的に向上させることができる。
また、本発明の複合樹脂の改質方法を実施するにあたり、結晶性樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂およびポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つであることが好ましい。
このような特定の結晶性樹脂を使用することにより、これらの樹脂の耐衝撃性等をさらに効率的に向上させることができる。
また、本発明の複合樹脂の改質方法を実施するにあたり、樹脂100重量部に対して、変性炭素化合物の添加量を0.01〜30重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このような添加量とすることにより、特定樹脂の耐衝撃性等をさらに効率的に向上させることができる。
また、本発明の複合樹脂の改質方法を実施するにあたり、シラン原子を有する改質剤化合物が、分子内または分子末端に窒素原子、ハロゲン原子、ビニル基およびアミノ基の少なくとも一つを有するシラン化合物であることが好ましい。
このような特定のシラン化合物を使用することにより、変性炭素化合物の濡れ性の制御が容易になって、特定樹脂の耐衝撃性等をさらに効率的に向上させることができる。
また、本発明の複合樹脂の改質方法を実施するにあたり、炭素化合物の表面をカップリング剤により表面処理する工程を含むことが好ましい。
このように表面処理することにより、ケイ酸化炎処理と相俟って、特定樹脂の耐衝撃性等を著しく向上させることができる。
また、本発明の複合樹脂の改質方法を実施するにあたり、カップリング剤が、アミノシランカップリング剤、メルカプトシランカップリング剤、グリシドキシシランカップリング剤、及びビニル基含有シランカップリング剤からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物であることが好ましい。
このようなカップリング剤を用いて表面処理することにより、ケイ酸化炎処理と相俟って、特定樹脂の耐衝撃性等をさらに著しく向上させることができる。
以下、図面を適宜参照して、複合樹脂の改質方法に関する実施の形態について具体的に説明する。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、非晶性樹脂及び結晶性樹脂、あるいはいずれか一方の樹脂と、炭素化合物とを含む複合樹脂の改質方法であって、炭素化合物として、その表面に少なくともシラン原子を有する改質剤化合物を燃料としたケイ酸化炎処理が施してあるとともに、濡れ指数(測定温度25℃)が40dyn/cm以上の変性炭素化合物を含有する複合樹脂の改質方法である。
1.樹脂
(1)非晶性樹脂
第1の実施形態において使用される非晶性樹脂の種類は、特に制限されるものではないが、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアリレート樹脂および変性ポリフェニレンエーテル樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つであることが好ましい。
この理由は、このような特定の非晶性樹脂を使用することにより、所定の耐熱性や機械的特性を維持しながら、これらの樹脂の耐衝撃性等をさらに効率的に向上させることができるためである。
なお、非晶性樹脂として、例えば、ポリカーボネート樹脂を用いた場合、所定の耐熱性や機械的特性を保持しつつ、変性炭素化合物との間で優れた相溶性が得られやすいために、その粘度平均分子量(測定溶剤:塩化メチレン、測定温度:25℃)を40,000〜200,000の範囲内の値とすることが好ましい。
また、非晶性樹脂のガラス転移温度を140℃以上の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる非晶性樹脂のガラス転移温度が140℃未満になると、得られる複合樹脂の耐熱性や機械的強度が低下し、使用用途が著しく制限される場合があるためである。
但し、非晶性樹脂のガラス転移温度が過度に高くなると、変性炭素化合物の分散性が著しく低下したり、耐衝撃性の向上が不十分となったりする場合がある。したがって、非晶性樹脂のガラス転移温度を150〜250℃の範囲内の値とすることがより好ましく、160〜220℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、非晶性樹脂のガラス転移温度は、示差熱走査熱量計(DSC)や、粘弾性測定装置を用いて測定することができる。
(2)結晶性樹脂
また、第1の実施形態において使用される結晶性樹脂の種類は、特に制限されるものではないが、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂およびポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つであることが好ましい。
この理由は、このような特定の結晶性樹脂を使用することにより、所定の耐熱性や機械的特性を維持しながら、これらの樹脂の耐衝撃性等をさらに効率的に向上させることができるためである。
なお、結晶性樹脂として、例えば、ポリアミド樹脂やポリエステル樹脂を用いた場合、所定の耐熱性や機械的特性を保持しつつ、変性炭素化合物との間で優れた相溶性が得られやすいために、その平均分子量を30,000〜200,000の範囲内の値とすることが好ましい。
また、結晶性樹脂の融点を200℃以上の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる結晶性樹脂の融点が200℃未満になると、得られる複合樹脂の耐熱性や機械的強度が低下し、使用用途が著しく制限される場合があるためである。
但し、結晶性樹脂の融点が過度に高くなると、変性炭素化合物の分散性が著しく低下したり、耐衝撃性の向上が不十分となったりする場合がある。したがって、結晶性樹脂の融点を210〜300℃の範囲内の値とすることがより好ましく、220〜280℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、結晶性樹脂の融点についても、示差熱走査熱量計(DSC)や、粘弾性測定装置を用いて測定することができる。
(3)その他の樹脂
また、特定樹脂中に、粘弾性特性の改質等を目的として、シリコーンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、ネオプレンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、オレフィンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリルーブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレンープロピレン−ジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、スチレン系熱可塑性エラストマー及びウレタン系熱可塑性エラストマーからなる群から選択される少なくとも一つのゴム類を添加することも好ましい。
また、特定樹脂中に、機械的特性や耐衝撃性等のさらなる改質を目的として、ポリエチレン樹脂(高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高圧法ポリエチレン、中圧法ポリエチレン、低圧法ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、分岐状低密度ポリエチレン、高圧法線状低密度ポリエチレン、超固体量ポリエチレン、架橋ポリエチレン)、ポリプロピレン樹脂、変性ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリロニトリルーブタジエンースチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも一つを添加することも好ましい。
なお、粘弾性特性や耐衝撃性等の改質効果が発揮しやすいことから、他の樹脂が非晶性樹脂の場合、そのガラス転移温度を50〜140℃未満の値とすることが好ましい。さらに、他の樹脂が結晶性樹脂の場合、その融点を70〜200℃未満の値とすることが好ましい。
2.変性炭素化合物
(1)炭素化合物
原料としての炭素化合物の種類は特に制限されるものではないが、カーボンブラック、グラファイト、カーボン繊維、及びアラミド繊維の少なくとも一つであることが好ましい。
この理由は、このような炭素化合物を使用することにより、比較的少量の変性炭素化合物の添加によって、その特定樹脂の耐衝撃性等を著しく向上させることができるためである。
特に、グラファイトを用いた場合、非晶性樹脂であって、透明性や機械的特性等に優れたポリカーボネート樹脂の耐衝撃性をさらに効率的に向上できることから好ましい炭素化合物である。
また、炭素化合物が粒子状の場合、その平均粒径を0.01〜100μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような粒子状の炭素化合物を使用することにより、特定樹脂の耐衝撃性等をさらに効率的に向上させることができるためである。すなわち、炭素化合物の平均粒径が0.01μmとなると、複合樹脂における混合分散が不均一となって、耐衝撃性の値が向上するどころか、逆に低下する傾向があるためである。一方、炭素化合物の平均粒径が100μmを超えても、複合樹脂における混合分散が不均一となって、耐衝撃性の値が向上するどころか、逆に低下する傾向があるためである。
また、炭素化合物の平均粒径が0.01〜100μmの範囲内の値であれば、所望の導電性や電気絶縁性に制御することができるためである。
したがって、炭素化合物が粒子状の場合、その平均粒径を0.1〜50μmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜30μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、炭素化合物の平均粒径あるいは後述する繊維長は、例えば、コールターカウンターや電子顕微鏡を利用した画像解析法により測定することができる。
一方、炭素化合物が繊維状の場合、その繊維長を0.1〜1500μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような繊維状の炭素化合物を使用することにより、特定樹脂の耐衝撃性等をさらに効率的に向上させることができるためである。また、このような添加範囲であれば、所望の導電性や電気絶縁性に制御することができるためである。
したがって、炭素化合物が繊維状の場合、その繊維長を1〜500μmの範囲内の値とすることがより好ましく、10〜300μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、炭素化合物が繊維状の場合、その繊維の直径を0.01〜100μmの範囲内の値とすることが好ましい。
(2)濡れ指数
また、表面改質された変性炭素化合物において、濡れ指数(測定温度25℃、表面張力と称する場合がある。)を40dyn/cm以上の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる炭素化合物の濡れ指数が40dyn/cm未満の値になると、複合樹脂における耐衝撃性の値が向上するどころか、逆に低下する傾向があるためである。
但し、かかる炭素化合物の濡れ指数が過度に大きくなると、相当量の表面処理が必要になるばかりか、炭素化合物を熱劣化させる場合があるためである。
したがって、表面改質された炭素化合物において、濡れ指数を45〜80dyn/cmの範囲内の値とすることがより好ましく、50〜75dyn/cmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、変性炭素化合物炭素化合物が繊維状の場合、その繊維の直径を0.01〜100μmの範囲内の値とすることが好ましい。
ここで、図1を参照して、変性炭素化合物における濡れ指数と、ポリカーボネート樹脂を主成分とした複合樹脂における耐衝撃性との関係を説明する。図1中、横軸には、変性炭素化合物における濡れ指数(dyn/cm)が採ってあり、縦軸に、複合樹脂における耐衝撃性の指標としてのIZOD衝撃強度(J/m)が採って示してある。
かかる図1から容易に理解できるように、変性炭素化合物における濡れ指数の値が大きいほど、複合樹脂におけるIZOD衝撃強度が大きくなる傾向があるが、特に、40dyn/cm以上の値となると、値が著しく向上し、60(J/m)以上の値になっている。したがって、複合樹脂における耐衝撃性の値を著しく向上させるためには、変性炭素化合物における濡れ指数を40dyn/cm以上の値とすることが有効であると言える。
(3)接触角
また、表面改質された変性炭素化合物において、水を用いて測定される接触角(測定温度25℃)を0.1〜30°の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる炭素化合物の接触角が0.1°未満の値になると、過度に表面処理を実施することになり、炭素化合物を熱劣化させる場合があるためである。一方、かかる炭素化合物の接触角が30°を超えると、複合樹脂における混合分散が不均一となって、耐衝撃性の値が向上するどころか、逆に低下する傾向があるためである。
したがって、表面改質された炭素化合物において、水を用いて測定される接触角(測定温度25℃)を0.5〜25°の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜20°の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、変性炭素化合物の接触角(測定対象:水、測定温度25℃)は、例えば、アッベの接触角測定装置を用いて測定することができる。
(4)添加量
また、変性炭素化合物の添加量を、樹脂100重量部に対して、0.01〜30重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、変性炭素化合物の添加量をこのような範囲内の値とすることにより、特定樹脂の耐衝撃性等をさらに効率的に向上させることができるためである。
すなわち、かかる変性炭素化合物の添加量が0.01重量部未満の値になると、複合樹脂における耐衝撃性の向上効果が発揮されない場合があるためである。一方、かかる変性炭素化合物の添加量が30重量部を超えると、均一に混合分散することが困難となって、複合樹脂における耐衝撃性が逆に低下する場合があるためである。
したがって、変性炭素化合物の添加量を、樹脂100重量部に対して、1〜20重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、3〜10重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(5)その他の添加物
変性炭素化合物以外に、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、石灰、ゼオライト、金、銀、銅、亜鉛、ニッケル、スズ、鉛、半田、ガラス、セラミック等の一種単独又は二種以上の組み合わせからなる無機フィラーを添加することも好ましい。
このように無機フィラーを添加することにより、樹脂の機械的強度、耐熱性、導電性あるいは電気絶縁性等の物理特性を向上させることができる。
なお、変性炭素化合物とともに、無機フィラーを添加する場合、全体量に対して、その添加量を0.01〜80重量%の範囲内の値とすることが好ましく、0.1〜50重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜30重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
3.カップリング剤処理
また、炭素化合物(変性炭素化合物を含む)の表面をカップリング剤により表面処理する工程を含むことが好ましい。
この理由は、このように表面処理することにより、ケイ酸化炎処理と相俟って、特定樹脂の耐衝撃性等を著しく向上させることができるためである。
また、このように表面処理することにより、ケイ酸化炎処理が不均一になされた場合であっても、特定樹脂の耐衝撃性等を確実に向上させることができるためである。
また、このようなカップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、及びアルミニウムカップリング剤等が使用可能である。
また、より具体的には、アミノシランカップリング剤、メルカプトシランカップリング剤、グリシドキシシランカップリング剤、及びビニル基含有シランカップリング剤からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物であることが好ましい。
この理由は、このようなカップリング剤を用いて表面処理することにより、少量のカップリング剤が、ケイ酸化炎処理と相俟って、特定樹脂の耐衝撃性等をさらに著しく向上させることができるためである。
なお、このようなカップリング剤の処理量を、炭素化合物(変性炭素化合物を含む)100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
4.ケイ酸化炎処理
(1)シラン化合物
改質剤化合物としてのシラン化合物の沸点(大気圧下)を10〜200℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるシラン化合物の沸点が10℃未満の値であっては、揮発性が激しくて、取り扱いが困難となる場合があるためである。一方、かかるシラン化合物の沸点が200℃を超えると、空気流との混合性が低下し、炭素化合物の表面改質が不均一になったり、長時間にわたって、改質効果を持続させることが困難になったりする場合があるためである。
したがって、かかるシラン化合物の沸点を15〜180℃の範囲内の値とすることがより好ましく、20〜120℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、かかるシラン化合物の沸点は、改質剤化合物自体の構造を制限することによっても調整することができるが、その他、共沸現象を利用して、比較的沸点が低いアルキルシラン化合物等と、比較的沸点が高いアルコキシラン化合物等とを適宜混合使用することによっても調整することができる。
また、シラン化合物の種類についても特に制限されるものではないが、例えば、アルキルシラン化合物やアルコキシシラン化合物等が挙げられる。
また、このようなアルキルシラン化合物やアルコキシシラン化合物の好適例としては、テトラメチルシラン、テトラエチルシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジフェニルシラン、ジエチルジクロロシラン、ジエチルジフェニルシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリフェニルシラン、ジメチルジエチルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジクロロジメトキシシラン、ジクロロジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリクロロメトキシシラン、トリクロロエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、シラン化合物において、分子内又は分子末端に窒素原子、ハロゲン原子、ビニル基及びアミノ基の少なくとも一つを有する化合物であることがより好ましい。
より具体的には、ヘキサメチルジシラザン(沸点:126℃)、ビニルトリメトキシシラン(沸点:123℃)、ビニルトリエトキシシラン(沸点:161℃)、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン(沸点:144℃)、トリフルオロプロピルトリクロロシラン(沸点:113〜114℃)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(沸点:215℃)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(沸点:217℃)、ヘキサメチルジシロキサン(沸点:100〜101℃)、及び3−クロロプロピルトリメトキシシラン(沸点:196℃)の少なくとも一つの化合物であることが好ましい。
この理由は、このようなシラン化合物であれば、キャリアガスとの混合性が向上し、炭素化合物の表面に、粒状物(シリカ層)を形成して改質がより均一になるとともに、沸点等の関係で、かかるシラン化合物が炭素化合物の表面に一部残留しやすくなるため、炭素化合物と、各種紫外線硬化型樹脂等からなる塗膜との間で、より優れた密着力を得ることができるためである。
また、シラン化合物の平均分子量を、マススペクトル測定において、50〜1、000の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる改質剤化合物の平均分子量が50未満となると、揮発性が高くて、取り扱いが困難となる場合があるためである。一方、かかる改質剤化合物の平均分子量が1、000を超えると、加熱により気化して、空気等と容易に混合することが困難となる場合があるためである。
したがって、シラン化合物の平均分子量を、マススペクトル測定において、60〜500の範囲内の値とすることがより好ましく、70〜200の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、シラン化合物の液体状態での密度を、0.3〜0.9g/cm3の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるシラン化合物の密度が0.3g/cm3未満となると、取り扱いが困難となったり、エアゾール缶に収容したりすることが困難となる場合があるためである。一方、かかる改質剤化合物の密度が0.9g/cm3を超えると、気化しにくくなるとともに、エアゾール缶に収容した場合に、空気等と完全に分離した状態となる場合があるためである。
したがって、シラン化合物の密度を0.4〜0.8g/cm3の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜0.7g/cm3の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、シラン化合物の添加量を、燃料として気体状物の全体量を100モル%としたときに、1×10-10〜10モル%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるシラン化合物の添加量が1×10-10モル%未満の値になると、炭素化合物に対する改質効果が発現しない場合があるためである。一方、かかる改質剤化合物の添加量が10モル%を超えると、シラン化合物と空気等との混合性が低下し、それにつれてシラン化合物の酸化が不十分となる場合があるためである。
したがって、シラン化合物の添加量を、気体状物の全体量を100モル%としたときに、1×10-9〜5モル%の範囲内の値とすることがより好ましく、1×10-8〜1モル%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(2)引火性ガス及び可燃性ガス
また、燃料ガス中に、通常、引火性ガスや可燃性ガスを添加することが好ましい。このような引火性ガスや可燃性ガスとして、プロパンガスや天然ガス等の炭化水素ガス、水素、さらには、酸素や空気等が挙げられる。なお、燃料ガスをエアゾール缶に入れて使用する場合には、このような引火性ガスとして、プロパンガスおよび圧縮空気等を使用することが好ましい。
また、このような引火性ガスの含有量を、燃料ガスの全体量を100モル%としたときに、80〜99.9モル%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる引火性ガスの含有量が80モル%未満の値になると、ケイ素含有化合物と空気等との混合性が低下し、それにつれてケイ素含有化合物が不完全燃焼する場合があるためである。一方、かかるケイ素含有化合物の添加量が99.9モル%を超えると、固体物質に対する改質効果が発現しない場合があるためである。
したがって、ケイ素含有化合物の添加量を、燃料ガスの全体量を100モル%としたときに、85〜99モル%の範囲内の値とすることがより好ましく、90〜99モル%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(3)キャリアガス
また、シラン化合物を容易に熱分解して、酸化させるために、かかるシラン化合物を空気や酸素等のキャリアガスと混合することが好ましい。
ただし、かかる空気や酸素とともに、別のキャリアガスとして、アルゴンや窒素、あるいは気化したフッ素炭化物等の不活性ガスを使用することも好ましい。この理由は、このようなキャリアガスを用いることにより、シラン化合物を精度良く、かつ円滑に移送することができるためである。
また、このようなキャリアガスの混合量を、炭素化合物に吹き付ける気体状物の全体量を100モル%としたときに、80〜99.9モル%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるキャリアガスの混合量が80モル%未満の値になると、シラン化合物との混合性が低下し、それにつれて炭素化合物を均一に吹き付けることが困難になる場合があるためである。一方、かかるキャリアガスの混合量が99.9モル%を超えると、炭素化合物に対する改質効果が発現しない場合があるためである。
したがって、キャリアガスの混合量を、炭素化合物に吹き付ける気体状物の全体量を100モル%としたときに、85〜99モル%の範囲内の値とすることがより好ましく、90〜99モル%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、シラン化合物を含むキャリアガス中に、全体量が100モル%となるように、このようなキャリアガス以外の第三成分として、例えば、炭化水素ガスを1〜10モル%の範囲で添加することも好ましい。
その他、第1の表面改質方法及び第2の表面改質方法を実施する上で、かかるキャリアガスを、所定のシラン化合物を酸化させるための熱源とすることも好ましい。
(4)ケイ酸化炎
また、火炎温度を400〜2、500℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる火炎温度が400℃未満の値になると、シラン化合物を熱分解して、炭素化合物の表面等に所定形状を有する粒状物を形成することが困難になる場合があるためである。一方、かかる火炎温度が2、500℃を超えると、気体状物が過度に加熱され、表面改質する対象の炭素化合物が、熱変形したり、熱劣化したりする場合があるためである。
したがって、火炎温度を500〜1、800℃の範囲内の値とすることが好ましく、800〜1、200℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、火炎を生成するためにバーナーを備えることが好ましい。かかるバーナーの種類も特に制限されるものでないが、例えば、予混合型バーナー、拡散型バーナー、部分予混合型バーナー、噴霧バーナー、蒸発バーナー、微粉炭バーナー等のいずれであっても良い。
また、バーナー以外に別の熱源を備えることも好ましい。かかる熱源の種類は特に制限されるものではないが、例えば、レーザー、ハロゲンランプ、赤外線ランプ、高周波コイル、誘導加熱装置、熱風ヒーター、及びセラミックヒーターからなる群から選択される少なくとも一つの加熱手段が好ましい。
例えば、レーザーを用いることにより、スポット的に、極めて迅速に加熱して、シラン化合物を熱分解させて、炭素化合物の表面処理が可能となる。
また、ハロゲンランプや赤外線ランプを用いることにより、極めて均一な温度分布でもって、大量のシラン化合物の熱分解が可能となり、炭素化合物の効率的な表面処理が可能となる。
また、高周波コイルや誘導加熱装置を用いることにより、極めて迅速に加熱して、シラン化合物を熱分解させて、炭素化合物の効率的な表面処理が可能となる。
さらに、熱風ヒーターやセラミックヒーターを用いることにより、例えば、2000℃を超える温度処理が、小規模から大規模まで各種サイズにおいて可能となり、シラン化合物を容易に熱分解させて、炭素化合物の効率的な表面処理が可能となる。
(5)表面処理条件
また、シラン化合物を含む気体状物の吹き付け時間(噴射時間)を、炭素化合物100gあたり、1秒〜100秒の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる噴射時間が1秒未満の値になると、シラン化合物による改質効果が均一に発現しない場合があるためである。一方、かかる噴射時間が100秒を超えると、表面改質する対象の炭素化合物が、熱変形したり、熱劣化したりする場合があり、使用可能な炭素化合物の種類が過度に制限される場合があるためである。
したがって、かかる噴射時間を、炭素化合物100gあたり、5〜60秒の範囲内の値とすることが好ましく、15〜30秒の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、炭素化合物を流動状態にして、ケイ酸化炎処理が施してあることが好ましい。
すなわち、このような状態において表面処理した炭素化合物を使用することにより、特定樹脂の耐衝撃性等をさらに均一かつ安定的に著しく向上させることができるためである。また、変性炭素化合物が効率的に得られるため、複合樹脂の製造コストを著しく低下させることができるためである。
したがって、変性炭素化合物の製造装置であるタンブラーコータやスプレー装置、あるいは浸漬装置等を用いるとともに、図2に示すようなケイ酸化炎処理を実施するための処理装置を適宜組み合わせて、炭素化合物に対してケイ酸化炎処理を実施することが好ましい。
また、ケイ酸化炎処理を各種態様において実施するにあたり、図2に示すようなシラン化合物14を貯蔵するための貯蔵タンク12と、気化したシラン化合物(以下、第1の気体状物と称する場合がある。)を所定場所に移送するための移送部24と、所定温度に制御されたシラン化合物14を含む気体状物(以下、第2の気体状物と称する場合がある。)を燃料とした火炎を、炭素化合物に対して吹き付けるための噴射部32と、を含む炭素化合物の表面改質装置10を用いることが好ましい。
すなわち、所定温度に制御されたシラン化合物14を含む第2の気体状物を燃料とした火炎を、炭素化合物に対してあらゆる方向から吹き付けることができ、炭素化合物を均一かつ十分に処理することが可能である。
ここで、図2に示すように、加熱手段16を備えるとともに、シラン化合物14を貯蔵するための第1の貯蔵タンク12を備えることが好ましい。この例では、第1の貯蔵タンク12の下方に、ヒーター等からなる加熱手段16を備えてあり、常温、常圧状態では液状物であるシラン化合物14を気化させる構成としてある。
そして、炭素化合物を表面処理する際には、加熱手段16によって、第1の貯蔵タンク12内のシラン化合物14を、所定温度に加熱し、気化させた状態で移送させるとともに、矢印で表されるように導入された加熱状態のキャリアガスと混合し、所定温度の気体状物とすることが好ましい。
なお、気体状物中におけるシラン化合物の含有量は極めて重要であるため、当該シラン化合物の含有量を間接的に制御すべく、第1の貯蔵タンク12に圧力計(又は液面のレベル計)18を設けて、シラン化合物の蒸気圧やシラン化合物量をモニターすることが好ましい。
また、移送部24は、通常、管構造であって、第1の貯蔵タンク12から移送されてきた第1の気体状物としてのシラン化合物14と、第2の貯蔵タンク(図示せず)から加熱された状態で移送されるキャリアガス(圧縮空気)と、を混合し、所定温度の第2の気体状物とするための混合室22を備えるとともに、流量を制御するための弁20、30や流量計(図示せず)、あるいは第1及び第2の気体状物の圧力を制御するための圧力計28を備えていることが好ましい。
また、噴射部32は、移送部24を経て送られてきた所定温度の第2の気体状物を、被処理物である炭素化合物40に吹き付けるためのバーナーを備えることが好ましい。なお、かかるバーナーの種類についても特に制限されるものでないが、例えば、予混合型バーナー、拡散型バーナー、部分予混合型バーナー、噴霧バーナー、蒸発バーナー、微粉炭バーナー等のいずれであっても良い。
[実施例1]
1.炭素化合物の表面改質
タンブラーコータに、100gの炭素化合物(グラファイト(A)、平均粒径15μm)を収容した。次いで、タンブラーコータを用いて、回転数60rpmで回転させながら、図2に示す表面改質装置を用いて、ケイ酸化炎処理を30秒間実施し、変性炭素化合物を得た。
なお、改質剤化合物として、沸点27℃のテトラメチルシランを0.0001モル%、沸点122℃のテトラメトキシシランを0.00001モル%、残りが圧縮空気であるカートリッジ入りの混合物を用いた。
2.変性炭素化合物及び複合樹脂の評価
(1)濡れ指数及び接触角
ケイ酸化炎処理された変性炭素化合物の濡れ指数を、標準液(測定温度:25℃)を用いて測定した。
また、ケイ酸化炎処理された変性炭素化合物の接触角(測定液:水、測定温度:25℃)を、アッベ測定装置を用いて測定した。
(2)分散性
ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:20,000、ガラス転移温度:160℃)100重量部に対して、ケイ酸化炎処理された変性炭素化合物を3重量部の割合となるように、ニーダーを用いて混錬しながら添加した。
次いで、得られた複合樹脂を10cm×10cm×0.01cmの板状に成形加工した後、その成形品における変性炭素化合物の分散性を、電子顕微鏡を用いて、以下の基準によって評価した。
◎:変性炭素化合物の塊が観察されず、均一に分散されている。
○:変性炭素化合物の塊がほとんど観察されず、ほぼ均一に分散されている。
△:変性炭素化合物の塊が観察され、少々不均一に分散されている。
×:変性炭素化合物の塊が顕著に観察され、明らかに不均一に分散されている。
(3)耐衝撃性(IZOD衝撃強度)
ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:20,000、ガラス転移温度:160℃)100重量部に対して、ケイ酸化炎処理された変性炭素化合物を15重量部の割合となるように、ニーダーを用いて混錬しながら添加した。
次いで、複合樹脂を長さ5cm、幅3cm、厚さ1mmの板状に成形加工した後、その成形品におけるIZOD衝撃強度(J/m)をASTMD256に準拠して測定した。
(4)曲げ強さ
JIS K7171に準拠して、成形加工した複合樹脂の曲げ強さ(MPa)を測定した。
[実施例2〜7]
実施例2〜7では、表1に示すように、シラン化合物の種類及び処理時間、あるいは炭素化合物の種類(カーボンファイバー(CF(B)、カーボンブラック(CB(B))を変えて、実施例1と同様に、変性炭素化合物及びそれを用いた複合樹脂の評価を行った。
[比較例1及び2]
比較例1では、ケイ酸化炎処理しない炭素化合物を使用したほかは、実施例1と同様に、複合樹脂の評価を行った。
また、比較例2では、ケイ酸化炎処理を実施したものの、濡れ指数(測定温度25℃)が40dyn/cm未満の変性炭素化合物を使用したほかは、実施例1と同様に、複合樹脂の評価を行った。
Figure 2007039508
[実施例8〜11]
実施例8〜11では、表2に示すように、シラン化合物の種類を変えたほかは、実施例1と同様に、変性炭素化合物及びそれを用いた複合樹脂の評価を行った。
Figure 2007039508
[実施例12〜15]
実施例12〜15では、表3に示すように、変性炭素化合物の添加量を変えたほかは、実施例1と同様に、変性炭素化合物及びそれを用いた複合樹脂の評価を行った。
Figure 2007039508
以上の説明の通り、本発明によれば、炭素化合物の表面にケイ酸化炎処理を施し、所定の濡れ指数にするとともに、特定樹脂と組み合わせることにより、耐衝撃性等が向上した複合樹脂を効率的に得られるようになった。
したがって、本発明によって得られる複合樹脂は、優れた耐衝撃性が要求される電気部品筐体、電子部品材料、各種容器、各種機械部品、車両用バンパー等に使用することが期待される。
変性炭素化合物における濡れ指数と、複合樹脂における耐衝撃性(IZOD衝撃強度)との関係を説明するために供する図である。 ケイ酸化炎処理を実施するための処理装置を説明するために供する図である。
符号の説明
10:表面改質装置
12:表面改質装置の貯蔵タンク(第1の貯蔵タンク)
14:改質剤化合物
16:加熱手段
18:圧力計
22:混合室
24:移送部
28:圧力計
32:噴射部
34:火炎

Claims (10)

  1. 非晶性樹脂及び結晶性樹脂、あるいはいずれか一方の樹脂と、炭素化合物とを含む複合樹脂の改質方法であって、
    前記炭素化合物として、その表面に少なくともシラン原子を有する改質剤化合物を燃料としたケイ酸化炎処理が施してあるとともに、濡れ指数(測定温度25℃)が40dyn/cm以上の変性炭素化合物を含有することを特徴とする複合樹脂の改質方法。
  2. 前記炭素化合物が、カーボンブラック、グラファイト、カーボン繊維、及びアラミド繊維の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の複合樹脂の改質方法。
  3. 前記炭素化合物が粒子状の場合、その平均粒径を0.01〜100μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1または2に記載の複合樹脂の改質方法。
  4. 前記炭素化合物を流動状態にして、前記ケイ酸化炎処理が施してあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合樹脂の改質方法。
  5. 前記非晶性樹脂が、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアリレート樹脂および変性ポリフェニレンエーテル樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合樹脂の改質方法。
  6. 前記結晶性樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂およびポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の複合樹脂の改質方法。
  7. 前記樹脂100重量部に対して、前記変性炭素化合物の添加量を0.01〜30重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の複合樹脂の改質方法。
  8. 前記シラン原子を有する改質剤化合物が、分子内または分子末端に窒素原子、ハロゲン原子、ビニル基およびアミノ基の少なくとも一つを有するシラン化合物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の複合樹脂の改質方法。
  9. 前記炭素化合物の表面をカップリング剤により表面処理する工程を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の複合樹脂の改質方法。
  10. 前記カップリング剤が、アミノシランカップリング剤、メルカプトシランカップリング剤、グリシドキシシランカップリング剤、及びビニル基含有シランカップリング剤からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の複合樹脂の改質方法。
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