JP2007039343A - アミニウム化合物及びその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルコールに良好な溶解性を持つ近赤外線吸収化合物、さらにその近赤外線吸収化合物を用いて作製した耐光性等の耐性に優れた近赤外線吸収フィルターの提供。
【解決手段】下記式(1)で示されるアミニウム化合物、及びこれを用いて得られる近赤外線吸収フイルター。
Figure 2007039343

(式(1)中、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を有していても良い脂肪族炭化水素残基を、R9及びR10はそれぞれ独立にハロゲン原子を有していても良い脂肪族炭化水素残基をそれぞれ表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は赤外領域に吸収を有するアミニウム化合物及びその用途に関する。特に劇物に該当せず、アルコール等の溶媒に対する溶解度に優れたアミニウム化合物並びにそれを用いた樹脂組成物、近赤外線吸収フィルター及び光情報記録媒体に関する。
従来、近赤外線吸収剤としてのアミニウム化合物は、広く知られており(例えば特許文献1〜3参照)、近赤外線吸収フィルター、断熱フィルム、サングラス等に広く利用されている。又アミニウム化合物は、有機色素を含有する光記録媒体において、そこに使用されている有機色素、とりわけシアニン系色素の耐久性向上剤として広く利用されている(例えば、特許文献3参照)。そしてアミニウム化合物としては、対イオンが六フッ化アンチモン酸イオンである化合物が主に使用されていた。しかしアンチモンを含む化合物は、劇物に該当する為、重金属等の使用が規制を受ける産業分野、特に電気材料分野ではこれらの金属を含まないアミニウム化合物が望まれていた。
これを解決する手段として、過塩素酸イオン、六フッ化リン酸イオン、ホウフッ化イオン等のイオンの使用が検討されているが、アミニウムとそれらのイオンとの塩は、この種の塩の溶媒として多用されるメチルエチルケトンなどへの溶解性が不十分であった。
高濃度のインキすなわち色素溶液の作製上、上記塩の溶解性は重要である。高濃度のインキを得ることができれば、前記フィルタや媒体などを作成する際に、1)同じ効果を得る為に塗布する溶媒量が減る、2)塗布した後のインクの乾燥が容易になる、3)上記塩を溶媒に溶かす(インキ化する)際の手間の軽減が図れる、などの理由により、産業利用上の大きな利点となり得る。
米国特許第6475590号明細書 特公昭43−25335号公報 特開平1−99885号公報
本発明は前記のような状況に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、アンチモンを含有せず、溶媒への優れた溶解性を有するアミニウム化合物、さらにそのようなアミニウム化合物を用いた、近赤外線吸収フィルター、光記録媒体及び樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは前記したような課題を解決すべく鋭意努力した結果、特定の構造を有するアミニウム化合物が前記諸課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち本発明は、
(1)下記式(1)で示されるアミニウム化合物
Figure 2007039343
(式(1)中、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を有していても良い脂肪族炭化水素残基を、R9及びR10はそれぞれ独立にハロゲン原子を有していても良い脂肪族炭化水素残基をそれぞれ表す。また環A及びBはそれぞれ独立にさらに置換基を有していてもよい。)、
(2)式(1)のR9及びR10がトリフルオロメチル基又はペンタフルオロエチル基である(1)に記載のアミニウム化合物、
(3)式(1)のR1〜R8の全てが直鎖又は分岐鎖のブチル基である(1)又は(2)に記載のアミニウム化合物、
(4)式(1)のR1〜R8の置換基を有していても良い脂肪族炭化水素残基における置換基がハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボンアミド基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アリール基又はアルコキシル基である(1)又は(2)に記載のアミニウム化合物、
(5)式(1)のR1〜R8の全てが3−シアノプロピル基である(4)に記載のアミニウム化合物、
(6)(1)乃至(5)のいずれか一項に記載のアミニウム化合物及び樹脂を含有することを特徴とする樹脂組成物、
(7)(1)乃至(5)のいずれか一項に記載のアミニウム化合物を含有する層を有することを特徴とする近赤外線吸収フィルター、
(8)(1)乃至(5)のいずれか一項に記載のアミニウム化合物を記録層に含有することを特徴とする光情報記録媒体、
に関する。
本発明の近赤外線吸収性のアミニウム化合物は、アンチモン及び砒素などを含まず、劇物にも該当しない。またメチルエチルケトン等の通常使用される溶媒に対する溶解性に優れている。そのため、本発明のアミニウム化合物は、近赤外線吸収フィルターや、例えば断熱フィルム、サングラスのような近赤外吸収フィルムの材料として好適に用いることができる。
また本発明の光情報記録媒体は、従来のアミニウム化合物を含有する光情報記録媒体に比べ、耐光性を大幅に向上することができるという特徴がある。本発明のアミニウム化合物は、光情報記録媒体を調製する上での溶解度も十分であり加工特性にも優れている。また、例えば光情報記録媒体の記録層に相当する有機色素薄膜に、この化合物を含有させた場合、繰り返し再生における耐久性、耐光安定性を著しく向上させた光情報記録媒体を提供することができる。
本発明のアミニウム化合物は式(1)で表され、1個のアミニウムカチオンと1個のアニオンで構成される塩である。
Figure 2007039343
式(1)においてR9及びR10は互いに独立にハロゲン原子を有していても良い脂肪族炭化水素残基を表す。脂肪族炭化水素残基としては飽和及び不飽和の直鎖、分岐鎖及び環状のアルキル基が挙げられ、炭素数としては1〜36が好ましく、さらに好ましくは置換基を有していても良い飽和の直鎖アルキル基で、炭素数は1〜20であるものが挙げられ、炭素数1〜4が最も好ましい。又、ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子が好ましく、さらにはフッ素、塩素、臭素原子が好ましく、フッ素原子が最も好ましい。
具体的な例を挙げるとR9及びR10がそれぞれ独立にメチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、モノフルオロメチル基、ジクロロメチル基、モノクロロメチル基、ジブロモメチル基、ジフルオロクロロメチル基、エチル基、ペンタフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、トリフルオロクロロエチル基、ジフルオロエチル基、モノフルオロエチル基、トリフルオロヨードエチル基、プロピル基、ヘプタフルオロプロピル基、ヘキサフルオロプロピル基、ペンタフルオロプロピル基、テトラフルオロプロピル基、トリフルオロプロピル基、ジフルオロプロピル基、モノフルオロプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロヘキシル基、ペルフルオロオクチル基、ペルフルオロオクチルエチル基などの飽和の直鎖アルキル基、アリル基、テトラフルオロアリル基、トリフルオロエチレン基、ペルフルオロブチルエチレン基などの不飽和のアルキル基、イソプロピル基、ペンタフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ペルフルオロ−3−メチルブチル基、ペルフルオロ−3−メチルヘキシル基などの分岐鎖のアルキル基、シクロヘキシル基などの環状アルキル基などが挙げられ、R9とR10が同じ基であるものが好ましい。さらにR9とR10が結合し、環状のアルキル基を形成していてもよい。
9及びR10としては、フッ素原子を有する脂肪族炭化水素残基であるものが好ましく、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、モノフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、ジフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ヘキサフルオロプロピル基、ペンタフルオロプロピル基、テトラフルオロプロピル基、トリフルオロプロピル基、ペルフルオロブチル基等がその具体例として挙げられ、より好ましくはトリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、テトラフルオロプロピル基、ペルフルオロブチル基であり、最も好ましいものはトリフルオロメチル基又はペンタフルオロエチル基である。上記の各基において、特に断りのない限りアルキレン部分、アルキル部分はノルマル(直鎖)である。
式(1)において、環A及びBはそれぞれ、1−及び4−位以外に1〜4個の置換基を有していても良い。置換基の具体例としては、例えばハロゲン原子、ヒドロキシル基、低級アルコキシ基、シアノ基、低級アルキル基等が挙げられる。ここでハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基等のC1〜C5のアルコキシ基が挙げられ、低級アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基等のC1〜C5のアルキル基が挙げられる。A及びBが共に1−及び4−位以外に置換基を有していないか、又はハロゲン原子(特に塩素原子、臭素原子、フッ素原子)、メチル基若しくはシアノ基で置換されているものが好ましい。
尚、Bに置換基を有する場合は、4つのB環がすべて同じ置換基を有するもの、更には置換基の位置はフェニレンジアミン骨格に結合する窒素原子に対してm−位であるものが好ましい。
1〜R8は互いに独立に水素原子又は置換基を有していても良い脂肪族炭化水素残基を表す。脂肪族炭化水素残基とは飽和及び不飽和の直鎖、分岐鎖及び環状の脂肪族炭化水素から水素原子1個を除いた基を意味する。炭素数としては1〜36、好ましくは1〜20であるものが挙げられる。
置換基を有さない脂肪族炭化水素残基の具体例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、s−ブチル基、ter−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、ter−ペンチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ペンチニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、ヘキサジエニル基、イソプロペニル基、イソへキセニル基、シクロへキセニル基、シクロペンタジエニル基、エチニル基、プロピニル基、へキシニル基、イソへキシニル基、シクロへキシニル基等が挙げられる。これらの中で、好ましいものとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、ter−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、ter−ペンチル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ペンチニル基などのC1−C5の直鎖、分岐鎖の飽和脂肪族炭化水素残基又は不飽和の脂肪族炭化水素残基等が挙げられる。
本発明においては、R1〜R8のすべてが直鎖又は分岐鎖の(C1−C6)アルキル基であるもの、さらにはR1〜R8のすべてが(C1−C4)アルキル基であるものが好ましい。特に、R1〜R8のすべてが直鎖又は分岐鎖のブチル基であるものが好ましい。
置換基を有する脂肪族炭化水素残基における置換基の例としては、例えばハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、ヒドロキシ基、アルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基、イソブトキシ基など)、アルコキシアルコキシ基(例、メトキシエトキシ基など)、アリール基(例、フェニル基、ナフチル基などでこのアリール基はさらに置換基を有していても良い)、アリールオキシ基(例、フェノキシ基など)、アシルオキシ基(例、アセチルオキシ基、ブチリルオキシ基、ヘキシリルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などこのアリールオキシ基はさらに置換基を有していても良い)、アミノ基、アルキル置換アミノ基(例、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基など)、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)、アミド基(例、アセトアミド基など)、スルホンアミド基(例、メタンスルホンアミド基など)、スルホ基等が挙げられる。これらの置換基のうち、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボンアミド基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アリール基又はアルコキシル基が好ましい例として挙げられる。
これらの基はそれぞれ独立して存在しうるものであり、例えば、1個のアミノ基に無置換の直鎖アルキル基とシアノ置換アルキル基が置換したもの、無置換の分岐鎖アルキル基とシアノ置換アルキル基が置換したもの、無置換の直鎖アルキル基と無置換の分岐鎖アルキル基が置換したものなどであってもよい。
置換基を有する脂肪族炭化水素残基の具体例としては、シアノメチル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、2−シアノプロピル基、4−シアノブチル基、3−シアノブチル基、2−シアノブチル基、5−シアノペンチル基、4−シアノペンチル基、3−シアノペンチル基、2−シアノペンチル基、3,4−ジシアノブチル基等のシアノ置換(C1〜C6)アルキル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、3−エトキシプロピル基、4−メトキシブチル基、4−エトキシブチル基、5−エトキシペンチル基、5−メトキシペンチル基等のアルコキシ置換(C1〜C6)アルキル基、トリフルオロメチル基、モノフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロブチルエチル基、ペルフルオロヘキシル基、ペルフルオロヘキシルエチル基、ペルフルオロオクチル基、ペルフルオロオクチルエチル基などのフッ化(C1〜C8)アルキル基等が挙げられる。
本発明において、置換基を有する脂肪族炭化水素残基としては、R1〜R8の全てがシアノ基で置換されたアルキル基であるアミニウム化合物、あるいはR1〜R8のうち少なくとも1個はシアノ基で置換されたアルキル基で、少なくとも1個はアルキル基であるアミニウム化合物が好ましい。特に、R1〜R8の全てがシアノプロピル基であるものが好ましい。
本発明の式(1)で表されるアミニウム化合物は、例えば特許文献2に記載された方法に準じた方法で製造することができる。即ち、p−フェニレンジアミンと1−クロロ−4−ニトロベンゼンをウルマン反応させて得られた生成物を還元することにより得られる下記式(4)
Figure 2007039343
(式(4)中、環A及び環Bは前記式(1)で定義した通りである。)
で表される化合物を有機溶媒中、好ましくはDMF(ジメチルホルムアミド)、DMI(ジメチルイミダゾリノン)又はNMP(N−メチルピロリドン)等の水溶性極性溶媒中、30〜160℃、好ましくは50〜140℃で、所望のR1〜R8に対応するハロゲン化化合物(例えば、R1〜R8がn−C49のときはn−C49Br)と反応させて、全ての置換基(R1〜R8)が同一である式(2)で表される化合物(以下、全置換体と記す)を得ることができる。また、R1〜R8のすべてが同じ置換基である化合物以外の下記式(2)の化合物を合成する場合(例えば後述する表1における化合物番号19の化合物の前駆体)には、まず所定のモル数(上記式(4)1モル当たり4モル)の試薬(n−C49Br)と反応させてR1〜R8のうち4つにn−ブチル基を導入し、次に残りの置換基(iso−ブチル基)を導入するのに必要なモル数(上記式(4)のアミン体1モル当たり4モル)の対応する試薬(iso−C49Br)と反応させることによっても合成できる。ここに例示した化合物番号19の化合物の製造方法と同様の方法により、全置換体以外の任意の化合物を得ることができる。
Figure 2007039343
(式(2)中、R1〜R8並びに環A及び環Bは前記式(1)で定義した通りである。)
上記のようにして合成された式(2)の化合物を、有機溶媒中、好ましくはDMF、DMI、NMP等の水溶性極性溶媒中、0〜100℃、好ましくは5〜70℃で下記式(3)に対応する酸化剤(M+は酸化剤における1価の金属カチオンなど、例えば銀カチオンなどを示す)を1当量添加して酸化反応を行うことにより、前記式(1)で示される本発明のアミニウム化合物を得ることが出来る。
Figure 2007039343
(式(3)中、R9〜R10は前記式(1)で定義した通りである。)
次に、本発明のアミニウム化合物の具体例を表1に示す。表中、R1〜R8に関し、i−は「イソ」を、n−は「ノルマル」をそれぞれ意味する。A及びBに関し、1−,4−位以外が無置換の場合は「4H」と表記し、置換位置はフェニレンジアミン骨格に結合する窒素原子に対しての置換位置である。また、R1〜R8が全てn−ブチル基である場合には「4(n−C49,n−C49)」と略記し、また例えば、1つがiso−ペンチル基で残りがn−ブチル基である場合、即ち、4組の置換基の組み合わせの一つにiso−ペンチル基が含まれ、残りの3組が全てn−ブチル基である場合には「3(n−C49,n−C49)(n−C49,i−C511)と略記する。更に、Cyはシクロを意味する。又、R9〜R10で、C37基は「ノルマル」である。
Figure 2007039343
本発明の樹脂組成物は、樹脂及び本発明の式(1)で示されるアミニウム化合物を含有するものである。
用いうる樹脂の具体例としては例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等のビニル化合物、及びそれらのビニル化合物の付加重合体、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリシアン化ビニリデン、フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体、シアン化ビニリデン/酢酸ビニル共重合体、等のビニル化合物又はフッ素系化合物の共重合体、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素を含む樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリペプチド、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン等のポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物を調製する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば次のような、それ自体公知の方法を採用することが出来る。
(1)前記樹脂に本発明のアミニウム化合物を混練し、加熱成形して樹脂板又はフィルムとして本発明の樹脂組成物を得る方法、
(2)本発明のアミニウム化合物と前記樹脂のモノマー又は前記樹脂のモノマーの予備重合体を重合触媒の存在下にキャスト重合し、樹脂板又はフィルムとして本発明の樹脂組成物を得る方法、
(3)本発明のアミニウム化合物を含有する塗料を作製し、透明樹脂板、透明フィルム、又は透明ガラス板にコーティングすることにより塗膜として、本発明の樹脂組成物を得る方法、
(4)本発明のアミニウム化合物及び樹脂(接着剤)含有させた組成物を用いて、合わせ樹脂板、合わせ樹脂フィルム、又は合わせガラス板を作製し、接着層として本発明の樹脂組成物を得る方法、
等である。
(1)の方法では、用いる樹脂によって加工温度、フィルム化(樹脂板化)条件等が多少異なるが、通常、本発明の式(1)のアミニウム化合物を基材樹脂の粉体又はペレットに添加し、150〜350℃に加熱、溶解させた後、成形して樹脂板を作製する方法、あるいは押し出し機によりフィルム化(樹脂板化)する方法等が挙げられる。本発明のアミニウム化合物は、作製する樹脂板又はフィルムの厚み、近赤外線に対する吸収強度、可視光透過率等によって異なるが、通常、基材樹脂の質量に対して0.01〜30質量%、好ましくは0.03〜15質量%使用される。
(2)の方法では、本発明の式(1)のアミニウム化合物と樹脂モノマー又は樹脂モノマーの予備重合体を重合触媒の存在下に型内に注入し、反応させて硬化させるか、又は金型に流し込んで型内で硬い製品となるまで固化させて成形する。多くの樹脂がこの過程で成形可能であり、その様な方法を採用しうる樹脂の具体例としては、アクリル樹脂、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)樹脂、エポキシ樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリスチレン樹脂、シリコン樹脂、等が挙げられる。その中でも、硬度、耐熱性、耐薬品性に優れたアクリルシートが得られるメタクリル酸メチルの塊状重合によるキャスティング法が好ましい。本発明のアミニウム化合物は、作製する樹脂板又はフィルムの厚み、近赤外線に対する吸収強度、可視光透過率等によって異なるが、通常、樹脂モノマー又は樹脂モノマーの予備重合体の合計質量に対して0.01〜30質量%、好ましくは0.03〜15質量%使用される。
重合触媒としては公知のラジカル熱重合開始剤が利用できる。使用しうるラジカル熱重合開始剤の具体例としては、例えばベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。その使用量は樹脂モノマー又は樹脂モノマーの予備重合体の合計質量に対して、通常0.01〜5質量%である。熱重合における加熱温度は、通常40〜200℃であり、重合時間は通常30分〜8時間程度である。また熱重合以外に、光重合開始剤や増感剤を添加して光重合する方法も採用できる。
(3)の方法では、本発明の式(1)のアミニウム化合物をバインダー樹脂及び有機溶媒に溶解させて塗料化する方法、式(1)のアミニウム化合物を樹脂の存在下に微粒子化して分散させ、水系塗料とする方法等がある。前者が好ましい。このうち式(1)のアミニウム化合物をバインダー樹脂及び有機溶媒に溶解させて塗料化する方法では、例えば、脂肪族エステル樹脂、アクリル系樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、芳香族エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニル系樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル変性樹脂等、又はそれらの共重合樹脂をバインダーとして用いる事ができる。
有機溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系の溶媒、又はそれらの混合物の溶媒を用いることができる。本発明のアミニウム化合物の濃度は、作製するコーティングの厚み、吸収強度、可視光透過率によって異なるが、バインダー樹脂に対して、通常0.1〜30質量%である。
このように作製した塗料を用いて透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明ガラス等の上にスピンコーター、バーコーター、ロールコーター、スプレー等でコーティングして、例えば近赤外線吸収フィルターを得ることができる。
(4)の方法では、接着剤用樹脂としては、樹脂用のシリコン系接着剤、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤等の透明な接着剤、又は合わせガラス用のポリビニルブチラール接着剤、エチレン−酢酸ビニル系接着剤等の透明な接着剤等が使用できる。本発明のアミニウム化合物を0.1〜30質量%添加した接着剤を用いて透明な樹脂板同士、樹脂板と樹脂フィルム、樹脂板とガラス、樹脂フィルム同士、樹脂フィルムとガラス、ガラス同士を接着して、例えばフィルターを作製する。
尚、上記(1)〜(4)の方法において、混練、混合の際、紫外線吸収剤、可塑剤等、樹脂成形に用いられる通常の添加剤を加えても良い。
次に、上記(1)〜(4)の方法等により調製される、本発明の近赤外線吸収フィルターについて詳細に説明する。
本発明の近赤外線吸収フィルターは本発明のアミニウム塩を含有する樹脂層を基材上に設けたものでも、また基材自体が近赤外線吸収化合物を含有する樹脂組成物(又その硬化物)からなる層であっても良い。基材としては、一般に近赤外線吸収フィルターに使用し得るものであれば特に制限されないが、通常、樹脂製の基材が使用される。本発明のアミニウム化合物を含有する層の厚みは、通常0.1μm〜10mm程度であるが、近赤外線カット率等の目的に応じて適宜決定される。また、本発明のアミニウム化合物の含有量も目的とする近赤外線カット率に応じて、適宜決定される。用いうる樹脂としては、前記樹脂が挙げられ、樹脂板又は樹脂フィルムに成形した場合、できるだけ透明性の高いものが好ましい。
本発明の近赤外線吸収フィルターは近赤外線吸収化合物として本発明の式(1)のアミニウム化合物のみを含有していても良いが、2種類以上の本発明のアミニウム化合物を併用することも、さらにはこれらの化合物と、本発明のアミニウム化合物以外の近赤外線吸収化合物を併用して作製しても良い。併用し得る他の近赤外線吸収化合物としては、例えば有機化合物としてのフタロシアニン系色素、シアニン系色素、ジチオールニッケル錯体等、あるいは金属系化合物としての金属銅若しくは硫化銅、酸化銅等の銅化合物、酸化亜鉛を主成分とする金属混合物、タングステン化合物、ITO(インヂウムー錫酸化物)、ATO(アンチモンー錫酸化物)等がそれぞれ挙げられる。
又、近赤外線フィルターの色調を変えるために、可視領域に吸収を持つ色素(調色用色素)を、本発明の効果を阻害しない範囲で加えてもよいし、調色用色素のみを含有するフィルターを作製し、後で本発明の近赤外線吸収フィルターを貼り合わせてもよい。
このような近赤外線吸収フィルターが、プラズマディスプレーの前面板に用いられる場合には、可視光の透過率は高いほどよく、少なくとも40%以上、好ましくは50%以上の透過率が必要である。近赤外線のカット領域は、好ましくは750〜1200nm、より好ましくは800〜1000nmであり、その領域の近赤外線の平均透過率が50%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下、特に好ましくは10%以下になることが望ましい。
本発明の近赤外線吸収フィルターは、ディスプレーの前面板のような用途に限定されず、赤外線をカットする必要があるフィルターやフィルム、例えば断熱フィルム、光学製品、サングラス等にも使用することが出来る。
次に本発明の光情報記録媒体について説明する。
本発明の光情報記録媒体は、基板上に記録層を有するもので、該記録層が本発明のアミニウム化合物を含有することを特徴とする。この記録層は、アミニウム化合物のみで構成されていても良く、またバインダー等の各種添加剤と混合して含有されていても良い。この場合、本発明のアミニウム化合物により情報が記録される。
また、本発明のアミニウム化合物とこれ以外の下記するような有機色素を、該色素により情報が記録される光情報記録媒体の記録層に含有させることによって、該光情報記録媒体の耐光性を向上させることができる。このような光情報記録媒体において、情報の記録に供される有機色素としては、例えばシアニン系色素、スクワリリウム系色素、インドアニリン系色素、フタロシアニン系色素、アゾ系色素、メロシアニン系色素、ポリメチン系色素、ナフトキノン系色素、ピリリウム系色素等が挙げられる。
このような方法において、本発明のアミニウム化合物は、これらの有機色素1モルに対して、通常0.01〜10モル、好ましくは0.03〜3モル使用される。
本発明の光情報記録媒体は、基板上に本発明のアミニウム化合物及び所望によりこれ以外の色素を含有する記録層を設けたもので、必要に応じ、反射層、保護層が設けられる。基板としては公知のものを任意に使用することが出来る。例えば、ガラス板、金属板又はプラスチック板もしくはフィルムが挙げられ、これらを製造するためのプラスチックとしてはアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、非晶質ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂等があげられる。基板の形状としては、ディスク状、カード状、シート状、ロールフィルム状等種々のものがあげられる。
前記基板上には記録時のトラッキングを容易にするために案内溝を形成させてもよいし、プラスチックバインダー又は無機酸化物、無機硫化物等の下引き層を設けてもよく、下引層は用いられている基板より熱伝導率の低いものが好ましい。
本発明の光情報記録媒体における記録層は、例えば、本発明の式(1)のアミニウム化合物及び、より好ましくは本発明のアミニウム化合物と他の有機色素を公知の有機溶剤、例えばテトラフルオロプロパノール(TFP)、オクタフルオロペンタノール(OFP)、ダイアセトンアルコール、メタノール、エタノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジクロロエタン、イソホロン、シクロヘキサノン等に溶解し、必要に応じて、バインダーを加え、その溶液をスピンコーター、バーコーター、ロールコーター等により基板上に塗布することにより得ることが出来る。その他の方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、ドクターブレード法、キャスト法もしくは前記基板を溶液中に漬けるディッピング法によっても得ることができる。ここにおいてバインダ−としてはアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等が使用しうる。
記録層の膜厚は、記録感度や反射率を考慮すると、好ましくは0.01μm〜5μm、より好ましくは0.02μm〜3μmである。
本発明の光情報記録媒体には、必要により記録層の下に下引層を、また記録層の上に保護層を設けることが出来、さらに記録層と保護層の間に反射層を設けることが出来るが、反射層を設ける場合、反射層は金、銀、銅、アルミニウム等、好ましくは金、銀、又はアルミニウムで構成され、これらの金属は単独で使用してもよく、2種以上の合金としてもよい。この層は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等で形成される。このような反射層の厚さは、通常0.02〜2μmである。反射層の上に設けられることのある保護層は、通常、紫外線硬化樹脂等をスピンコート法により塗装した後、紫外線を照射し、塗膜を硬化させて形成されるものである。その他、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等も保護膜の形成材料に用いられる。このような保護膜の厚さは、通常、0.01〜100μmである。
本発明の光情報記録媒体における情報の記録、あるいは画像の形成はレーザー、例えば、半導体レーザー、ヘリウム−ネオンレーザー、He−Cd(ヘリウムーカドミウム)レーザー、YAGレーザー、Ar(アルゴン)レーザー等の集光したスポット状の高エネルギービームを記録層に直接照射するか、基板を通して照射するかにより行われ、又、情報あるいは画像の読み出しは、低出力のレーザービームを照射することにより、ピット部とピットが形成されていない部分の反射光量もしくは透過光量の差を検出することにより行われる。
本発明のアミニウム化合物は最大吸収波長が900nm以上にあり、モル吸光係数は十万以上と大きい値を有している。またメタノール等のアルコールに対して十分な溶剤溶解性を有しており、加工性の良い赤外線吸収剤として赤外線吸収フィルタ−等の用途に用いることができる。
本発明の式(1)のアミニウム化合物は、光情報記録媒体を作製する際に用いる溶剤への溶解度も十分であり、加工性も優れている。また例えば光情報記録媒体の有機色素薄膜(記録層)に、これらの化合物を光安定化剤として含有させた場合、繰り返し再生における耐久性、耐光安定性を著しく向上させた光情報記録媒体を得ることができる
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明が、これらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例中、「部」、「%」は特に特定しない限り、質量基準である。又、以下の極大吸収波長の測定値における±4nm及びモル吸光係数の測定値における±5%の差はそれぞれ測定条件等による許容範囲とする。
実施例1 (表1における化合物番号1の化合物の合成)
DMF30部中にN,N,N',N'−テトラキス(p−ジ(n−ブチル)アミノフェニル)−p−フェニレンジアミン6部を加え、60℃にて加熱溶解した後、DMF35部に溶解したビストリフルオロメタンスルホン酸イミド銀塩2.52部を加え、30分間攪拌した。不溶解分を濾別した後、反応液に水を加え、析出した結晶を濾過、メタノール洗浄、水洗、乾燥し、化合物番号1の化合物6.2部を得た。この化合物についての極大吸収波長は次の通りである。
極大吸収波長 420 939nm(アセトン)
実施例2 (表1における化合物番号3の化合物の合成)
DMF30部中にN,N,N',N'−テトラキス(p−ジ(シアノプロピル)アミノフェニル)−p−フェニレンジアミン6.58部を加え、60℃にて加熱溶解した後、DMF35部に溶解したビストリフルオロメタンスルホン酸イミド銀塩2.52部を加え、30分間攪拌した。不溶解分を濾別した後、反応液に水を加え、結晶を析出させ、析出した結晶を濾過、メタノール洗浄、水洗、乾燥し、化合物番号3の化合物5.9部を得た。この化合物についての極大吸収波長は次の通りである。
極大吸収波長 420 875nm(アセトン)
実施例3 (表1における化合物番号4の化合物の合成)
DMF30部中にN,N,N',N'−テトラキス(p−ジ(n−ブチル)アミノフェニル)−p−フェニレンジアミン6部を加え、60℃にて加熱溶解した後、DMF35部に溶解したビスヘキサフルオロエタンスルホン酸イミド銀塩3.17部を加え、30分間攪拌した。不溶解分を濾別した後、反応液に水を加え、結晶を析出させ、析出した結晶を濾過、メタノール洗浄、水洗、乾燥し、化合物番号4の化合物7.3部を得た。この化合物についての極大吸収波長は次の通りである。
極大吸収波長 419 942nm(アセトン)
実施例4 (表1における化合物番号5の化合物の合成)
DMF30部中にN,N,N',N'−テトラキス(p−ジ(シアノプロピル)アミノフェニル)−p−フェニレンジアミン6.58部を加え、60℃にて加熱溶解した後、DMF35部に溶解したビストリフルオロエタンスルホン酸イミド銀塩3.17部を加え、30分間攪拌した。不溶解分を濾別した後、反応液に水を加え、結晶を析出させ、析出した結晶を濾過、メタノール洗浄、水洗、乾燥し、化合物番号5の化合物4部を得た。この化合物についての極大吸収波長は次の通りである。
極大吸収波長 419 877nm(アセトン)
その他の化合物例についても、上記実施例1と同様に、対応するフェニレンジアミン誘導体を式(3)の酸化剤で酸化することにより、合成することができる。
性能評価
(1)メチルエチルケトン(MEK)に対する溶解度の測定
室温(20〜25℃)でMEK100部を攪拌し、前記実施例1乃至実施例4で得られた各化合物及び下記比較用化合物を、目視にて不溶解分が出るまで少量ずつ加え、その時点までに加えた上記各化合物の重量より溶解度を算出した。結果を表2に示す。
比較例1:N,N,N',N'−テトラキス{p−ジ(n−ブチル)アミノフェニル}フェニレンアミニウムの六フッ化アンチモン酸塩(化合物番号21)
比較例2:N,N,N',N'−テトラキス{p−ジ(3−シアノプロピル)アミノフェニル}フェニレンジイモニウムの六フッ化アンチモン酸塩(化合物番号22)
比較例3:N,N,N',N'−テトラキス{p−ジ(n−ブチル)アミノフェニル}フェニレンアミニウムの過塩素酸塩(化合物番号23)
比較例4:N,N,N',N'−テトラキス{p−ジ(シアノプロピル)アミノフェニル}フェニレンジイモニウムの過塩素酸塩(化合物番号24)
比較例5:N,N,N',N'−テトラキス{p−ジ(n−ブチル)アミノフェニル}フェニレンアミニウムの六フッ化りん酸塩(化合物番号25)
比較例6:N,N,N',N'−テトラキス{p−ジ(3−シアノプロピル)アミノフェニル}フェニレンジイモニウムの六フッ化りん酸塩(化合物番号26)
比較例7:N,N,N',N'−テトラキス{p−ジ(n−ブチル)アミノフェニル}フェニレンアミニウムの四フッ化ほう酸塩(化合物番号27)
比較例8:N,N,N',N'−テトラキス{p−ジ(3−シアノプロピル)アミノフェニル}フェニレンジイモニウムの四フッ化ほう酸塩(化合物番号28)
表2 MEKへの溶解度(%)
化合物番号 溶解度
1 (実施例1) 5.1
2 (実施例2) 14.5
3 (実施例3) 21.2
5 (実施例4) 7.5
21 (比較例1) 3.0
22 (比較例2) 1.7
23 (比較例3) 4.7
24 (比較例4) 1.2
25 (比較例5) 3.7
26 (比較例6) 1.2
27 (比較例7) 4.0
28 (比較例8) 1.6
表2の結果から明らかなように、本発明のアミニウム化合物のMEKに対する溶解度は、最低値を示す実施例1の化合物においても5.1%であり、実施例3に至っては実に21.2%と高い溶解度を示した。これと比較し、比較例1〜8に挙げた公知のアミニウム化合物或いはジイモニウム化合物のMEKに対する溶解度は、最低値が比較例4の1.2%、最高値でも比較例3の4.7%であり、本発明のアミニウム化合物のうち最低値である実施例1の溶解度にも及ばないことが判明した。したがって本発明のアミニウム化合物は溶剤への高い溶解度ゆえに高濃度インキの作製が可能であり、さらには樹脂組成物を調製する作業においても好適で加工特性が高いと考えられる。
(2)シアニン色素膜の耐光安定性試験
テトラフルオロプロパノール49.5部にλmax=606nmを持つシアニン色素0.475部を溶解し、化合物番号3の化合物及び下記比較用の各化合物を0.025部添加し、0.45μmのフィルターを通過させて各塗液を作成した。得られた各塗液をポリカーボネート基板にスピンコートし、それぞれ色素膜を作成した。得られた各色素膜をSuper Xenon Weather Meter(SX75、スガ試験機株式会杜製)中で、光源出力:42W/m2、槽内温度:31℃、ブラックパネル温度:40℃、湿度:75%RHの条件で、色素膜の設けられた面の反対側から基板に光を20時間照射した。前記シアニン色素の最大吸収波長(606nm)における吸光度を、光を20時間照射する前後において、分光光度計(UV−3150、(株)島津製作所製)を用いて測定した。
照射前の吸光度を100%とし、20時間照射後の吸光度との比により、シアニン色素の残存率を算出した。結果を表3に示した。
比較例9(化合物番号21、特許文献3記載):テトラキス{p−ジ(n−ブチル)アミノフェニル}フェニレンジイモニムの六フッ化アンチモン酸塩、
比較例10(化合物番号29、特許文献3記載):テトラキス{p−ジ(n−ブチル)アミノフェニル}フェニレンジイモニウムの過塩素酸塩
比較例11(化合物番号30、特許文献1記載):テトラキス{p−ジ(3−
シアノプロピル)アミノフェニル}フェニレンアミニウムの六フッ化アンチモン酸塩
表3 シアニン色素の残存率(%)
光照射前 20時間光照射後
シアニン色素のみ 100 5
化合物番号3 (実施例4) 100 97
化合物番号21(比較例9) 100 12
化合物番号29(比較例10) 100 15
化合物番号30(比較例11) 100 95
表3の結果より明らかなように、色素膜中に公知のテトラキス{p−ジ(n−ブチル)アミノフェニル}フェニレンジイモニウムの六フツ化アンチモン酸塩(比較例9)、及び同過塩素酸塩(比較例10)を含有せしめた色素膜のシアニン色素の残存率は12および15%であり、シアニン色素の耐光安定性は余り向上しない。これと比較し本発明の化合物を含有させた、実施例4の色素膜のシアニン色素の残存率は97%と高い値を示し、同一のアミニウム化合物を用い、塩のみを六フッ化アンチモン酸塩とした比較例11の95%と比較してもより高いシアニン色素の残存率を示した。

Claims (8)

  1. 下記式(1)で示されるアミニウム化合物
    Figure 2007039343
    (式(1)中、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を有していても良い脂肪族炭化水素残基を、R9及びR10はそれぞれ独立にハロゲン原子を有していても良い脂肪族炭化水素残基をそれぞれ表す。また環A及びBはそれぞれ独立にさらに置換基を有していてもよい。)
  2. 式(1)のR9及びR10がトリフルオロメチル基又はペンタフルオロエチル基である請求項1に記載のアミニウム化合物
  3. 式(1)のR1〜R8の全てが直鎖又は分岐鎖のブチル基である請求項1又は請求項2に記載のアミニウム化合物
  4. 式(1)のR1〜R8の置換基を有していても良い脂肪族炭化水素残基における置換基がハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボンアミド基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アリール基又はアルコキシル基である請求項1又は請求項2に記載のアミニウム化合物
  5. 式(1)のR1〜R8の全てが3−シアノプロピル基である請求項4に記載のアミニウム化合物
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のアミニウム化合物及び樹脂を含有することを特徴とする樹脂組成物
  7. 請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のアミニウム化合物を含有する層を有することを特徴とする近赤外線吸収フィルター
  8. 請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のアミニウム化合物を記録層に含有することを特徴とする光情報記録媒体
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