JP2007036157A - 有機el素子、有機el表示装置、及び有機el素子の製造方法 - Google Patents

有機el素子、有機el表示装置、及び有機el素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】発光層のより多くの部分でドーパント材料の濃度を最適値とすることにより有機EL素子の発光効率を高める。
【解決手段】本発明の有機EL素子の製造方法は、
気化したホスト材料と気化したドーパント材料とをそれぞれ第1及び第2ノズルから電極に向けて噴き出しながら第1及び第2動作を交互に各々少なくとも2回行って前記電極上に発光層を形成することを含み、前記第1及び第2動作の各々は前記第1及び第2ノズルの配列方向に平行な相対移動方向に前記第1及び第2ノズルを前記電極に対して相対的に移動させることを含み、前記第1及び第2動作の一方において前記配列方向と前記相対移動方向とは互いに等しく、前記第1及び第2動作の他方において前記配列方向と前記相対移動方向とは互いに逆であることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、有機EL表示装置、及び有機EL素子の製造方法に関する。
有機EL素子は、発光層を含む有機物層を一対の電極で挟んだ構造を有している。発光層は、通常、ホスト材料とドーパント材料とを含んだ混合物からなる。発光層は、例えば、特許文献1に記載されるような真空蒸着法により形成することができる。
ところで、有機EL素子の発光効率を高めるうえでは、発光層内の全ての部分でドーパント材料の濃度を最適値とすることが理想的である。しかしながら、通常、発光層において、ドーパント材料の濃度は、膜厚方向に沿って単調増加しているか又は単調減少している。そのため、発光層の主面と平行な一平面でしか、ドーパント材料の濃度は最適値とはならない。このような理由で、多くの有機EL素子には、発光効率が低いという問題がある。
特開2003−157973号公報
本発明の目的は、発光層のより多くの部分でドーパント材料の濃度を最適値とすることにより有機EL素子の発光効率を高めることにある。
本発明の第1側面によると、第1及び第2電極とそれらの間に介在した発光層とを具備し、前記発光層はホスト材料とドーパント材料とを含んだ混合物からなり、前記発光層において、その膜厚方向についての前記ドーパント材料の濃度プロファイルは2つ以上の極大値又は2つ以上の極小値を含んでいることを特徴とする有機EL素子が提供される。
本発明の第2側面によると、複数の画素を具備し、前記複数の画素の各々は第1側面に係る有機EL素子を含んだことを特徴とする有機EL表示装置が提供される。
本発明の第3側面によると、第1及び第2電極とそれらの間に介在した発光層とを具備した有機EL素子の製造方法であって、気化したホスト材料と気化したドーパント材料とをそれぞれ第1及び第2ノズルから前記第1電極に向けて噴き出しながら第1及び第2動作を交互に各々少なくとも2回行って前記第1電極上に前記発光層を形成することと、前記発光層上に前記第2電極を形成することとを含み、前記第1及び第2動作の各々は前記第1及び第2ノズルの配列方向に平行な相対移動方向に前記第1及び第2ノズルを前記第1電極に対して相対的に移動させることを含み、前記第1及び第2動作の一方において前記配列方向と前記相対移動方向とは互いに等しく、前記第1及び第2動作の他方において前記配列方向と前記相対移動方向とは互いに逆であることを特徴とする方法が提供される。
本発明によると、発光層のより多くの部分でドーパント材料の濃度を最適値とし、これにより有機EL素子の発光効率を高めることができる。
以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同様又は類似する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一態様に係るプロセスで使用可能な真空蒸着装置の一例を概略的に示す図である。図2は、図1の真空蒸着装置が含む蒸発ユニットを概略的に示す断面図である。
図1の真空蒸着装置は、真空排気系に接続された真空チャンバVCを含んでいる。この真空チャンバVCは、典型的には、複数の真空チャンバで薄膜を順次成膜するマルチチャンバ型枚葉式装置に組み込まれる。
真空チャンバVC内には、基板ホルダHLDと、蒸発ユニットEUと、図示しない膜厚センサとが配置されている。
基板ホルダHLDは、基板ASを、その被成膜面が蒸発ユニットEUと向き合うように着脱可能に支持している。この例では、基板ホルダHLDは、マスクMSKを支持するマスクホルダを兼ねている。
膜厚センサは、例えば、水晶板の両面に電極を配置した構造を含んでおり、図示しないコントローラと共に水晶膜厚計を構成している。膜厚センサは、基板ASとX1方向に隣り合うように配置されている。典型的には、膜厚センサは、その検出部の高さが基板ASの被成膜面の高さとほぼ等しくなるように配置される。
蒸発ユニットEUは、図2に示すように、坩堝CR1及びCR2と、図示しないヒータと、蓋CP1及びCP2と、堆積シールドDSとを含んでいる。
坩堝CR1及びCR2は、X1方向とZ1方向とに垂直なY1方向に細長い形状を有している。坩堝CR1及びCR2は、それぞれ蒸発材料EM1及びEM2を収容する。坩堝CR1及びCR2は、例えば、石英、金属材料、カーボンなどからなる。
ヒータは、例えば抵抗加熱ヒータである。ヒータは、坩堝CR1及びCR2を加熱し、これにより、それらに収容された蒸発材料EM1及びEM2を蒸発させる。これらヒータに供給する電力の大きさは、図示しない膜厚センサからの出力に基づき、図示しないコントローラによって制御する。
蓋CP1及びCP2は、それぞれ坩堝CR1及びCR2の開口を塞いでいる。蓋CP1及びCP2には、Y1方向に細長い1つの貫通孔が設けられているか、又は、Y1方向に並んだ複数の貫通孔が設けられている。蓋CP1の貫通孔を設けた部分は、気化した蒸発材料EM1を噴出するノズルNZL1としての役割を果たす。蓋CP2の貫通孔を設けた部分は、気化した蒸発材料EM2を噴出するノズルNZL2としての役割を果たす。蓋CP1及びCP2の材料としては、例えば、石英、金属材料、カーボンなどを使用することができる。
堆積シールドDSは、一対のシールド板SPを含んでいる。これらシールド板SPの主面は、Y1方向に平行であり且つX1方向と交差している。シールド板SPは、ノズルNZL1及びNZL2を挟んでいる。シールド板SPは、ノズルNZL1から噴出した蒸発材料EM1の流れの向きと、ノズルNZL2から噴出した蒸発材料EM2の流れの向きとを規制する役割を果たす。
この真空蒸着装置は、図示しない移動機構と図示しないコントローラとをさらに含んでいる。
移動機構は、基板ASに対して、蒸発ユニットEUをX1方向に相対的に移動させる。典型的には、移動機構は、蒸発ユニットEUをX1方向に移動させる。
コントローラは、移動機構と膜厚センサとヒータとに接続されている。コントローラは、移動機構の動作を制御する。加えて、コントローラは、膜厚センサの出力に基づいてヒータに供給する電力の大きさを制御する。
図3は、本発明の一態様に係るプロセスで製造可能な有機EL表示装置の一例を概略的に示す平面図である。図4は、図3の有機EL表示装置で使用可能な表示パネルの一例を概略的に示す断面図である。図5は、図4の表示パネルが含み得る有機EL素子の一例を概略的に示す断面図である。なお、図4では、表示パネルを、その表示面,すなわち前面又は光出射面,が下方を向き、背面が上方を向くように描いている。
この表示装置は、アクティブマトリクス型駆動方式を採用した下面発光型の有機EL表示装置である。この有機EL表示装置は、図3に示すように、表示パネルDPと、映像信号線ドライバXDRと、走査信号線ドライバYDRとを含んでいる。
表示パネルDPは、図3及び図4に示すように、例えば、ガラス基板などの絶縁基板SUBを含んでいる。
基板SUB上には、図4に示すように、アンダーコート層UCが形成されている。アンダーコート層UCは、例えば、基板SUB上にSiNx層とSiOx層とをこの順に積層してなる。
アンダーコート層UC上では、半導体層SCが配列している。各半導体層SCは、例えば、p型領域とn型領域とを含んだポリシリコン層である。
アンダーコート層UC上では、図示しない下部電極がさらに配列している。これら下部電極は、例えば、n+型ポリシリコン層である。
半導体層SC及び下部電極は、ゲート絶縁膜GIで被覆されている。ゲート絶縁膜GIは、例えばTEOS(tetraethyl orthosilicate)などを用いて形成することができる。
ゲート絶縁膜GI上には、図3に示す走査信号線SL1及びSL2が形成されている。走査信号線SL1及びSL2は、図3に示すように、各々が後述する画素PXの行方向(X2方向)に延びており、画素PXの列方向(Y2方向)に配列している。走査信号線SL1及びSL2は、例えばMoWなどからなる。
ゲート絶縁膜GI上では、図示しない上部電極がさらに配列している。これら上部電極は、例えばMoWなどからなる。上部電極は、走査信号線SL1及びSL2と同一の工程で形成することができる。
走査信号線SL1及びSL2のそれぞれは半導体層SCと交差しており、これら交差部は薄膜トランジスタを構成している。また、上部電極は半導体層SCと交差しており、これら交差部も薄膜トランジスタを構成している。具体的には、走査信号線SL1と半導体層SCとの交差部が形成している薄膜トランジスタは、図3及び図4に示す出力制御スイッチSWaである。走査信号線SL2と半導体層SCとの交差部が形成している薄膜トランジスタは、図3に示すダイオード接続スイッチSWc及び映像信号供給制御スイッチSWbである。上部電極と半導体層SCとの交差部が形成している薄膜トランジスタは、図3に示す駆動制御素子DRである。
なお、この例では、駆動制御素子DR及びスイッチSWa乃至SWcには、トップゲート型のpチャネル薄膜トランジスタを使用している。また、図4において参照符号Gで示す部分は、走査信号線SL1に接続された、スイッチSWaのゲートである。
上部電極は、下部電極と向き合っている。上部電極と下部電極とそれらの間に介在している絶縁膜GIとは、図3に示すキャパシタCを構成している。
ゲート絶縁膜GI、走査信号線SL1及びSL2、並びに上部電極は、図4に示す層間絶縁膜IIで被覆されている。層間絶縁膜IIは、例えばプラズマCVD法などにより成膜されたSiOxなどからなる。
層間絶縁膜II上には、図3に示す映像信号線DLと電源線PSLとが形成されている。層間絶縁膜II上には、図4に示すソース電極SE及びドレイン電極DEがさらに形成されている。
映像信号線DLは、図1に示すように、各々がY2方向に延びており、X2方向に配列している。映像信号線DLは、画素PXが含む映像信号供給制御スイッチSWbのドレインに接続されている。
電源線PSLは、この例では、各々がY2方向に延びており、X2方向に配列している。電源線PSLは、駆動制御素子DRのソースに接続されている。
ソース電極SE及びドレイン電極DEは、層間絶縁膜II及びゲート絶縁膜GIに設けられたコンタクトホールを介して薄膜トランジスタのソース及びドレインにそれぞれ接続されている。ソース電極SE及びドレイン電極DEは、画素PXが含む素子間の接続に利用している。
映像信号線DLと電源線PSLとソース電極SEとドレイン電極DEとは、例えば、Mo/Al/Moの三層構造を有している。これらは、同一工程で形成可能である。
映像信号線DLと電源線PSLとソース電極SEとドレイン電極DEとは、図4に示すパッシベーション膜PSで被覆されている。パッシベーション膜PSは、例えばSiNxなどからなる。
パッシベーション膜PS上では、画素電極PEが配列している。各画素電極PEは、パッシベーション膜PSに設けたコンタクトホールを介して、図4のドレイン電極DEに接続されている。
画素電極PEは、この例では光透過性の前面電極である。また、画素電極PEは、この例では陽極である。画素電極PEの材料としては、例えば、ITO(indium tin oxide)などの透明導電性酸化物を使用することができる。
パッシベーション膜PS上には、さらに、隔壁絶縁層PIが形成されている。隔壁絶縁層PIには、画素電極PEに対応した位置に貫通孔が設けられているか、或いは、画素電極PEが形成する列又は行に対応した位置にスリットが設けられている。ここでは、一例として、隔壁絶縁層PIには、画素電極PEに対応した位置に貫通孔が設けられていることとする。
隔壁絶縁層PIは、例えば、有機絶縁層である。隔壁絶縁層PIは、例えば、フォトリソグラフィ技術を用いて形成することができる。
画素電極PE上には、活性層として、図5に示す発光層EMTを含んだ有機物層ORGが形成されている。発光層EMTは、例えば、発光色が赤色、緑色、又は青色のルミネセンス性有機化合物を含んだ薄膜である。この有機物層ORGは、発光層EMTに加え、正孔輸送層HT及び電子輸送層ET、並びに、図示しない正孔注入層、正孔ブロッキング層、及び電子注入層などもさらに含むことができる。
発光層EMTは、具体的には、ホスト材料とゲスト材料とを含んだ混合物からなる。
ホスト材料としては、アントラセン類、アミン類、スチリル類、シロール類、アゾール類、ポリフェニル類、金属錯体類などの有機物又は有機金属化合物を使用することができる。例えば、ホスト材料として、ジフェニルアントラセン誘導体、ビスカルバゾール、スチリルアミン、ジスチリルアリーレン、オキサゾール、オキサジアゾール、ベンゾイミダゾール、トリス(8−ヒドロキシキノレート)アルミニウム(Alq3)などを使用してもよい。
ドーパント材料としては、ジシアノメチレンピラン類、ジシアノ類、フェノキサゾン類、チオキサンテン類、ルブレン類、スチリル類、クマリン類、キナクリドン類、縮合多環芳香環類、重金属錯体類などの有機物又は有機金属化合物を使用することができる。例えば、ドーパント材料として、クマリン、ルブレン、ペリレン、アザチオキサンテン、N−メチルキナクリドン、ジフェニルナフタセン、ペリフランテン、フェニルピリジンをイリジウムに3配位させた錯体(Ir(ppy)3)などを使用してもよい。
隔壁絶縁層PI及び有機物層ORGは、図4及び図5に示す対向電極CEで被覆されている。この例では、対向電極CEは、画素PX間で互いに接続された電極,すなわち共通電極,である。また、この例では、対向電極CEは、陰極であり且つ光反射性の背面電極である。対向電極CEは、例えば、パッシベーション膜PSと隔壁絶縁層PIとに設けられたコンタクトホールを介して、映像信号線DLと同一の層上に形成された電極配線(図示せず)に電気的に接続されている。各々の有機EL素子OLEDは、画素電極PEと、有機物層ORGと、対向電極CEとを含んでいる。
画素PXは、図3に示すように、駆動制御素子DRと、スイッチSWa乃至SWcと、有機EL素子OLEDと、キャパシタCとを含んでいる。上記の通り、この例では、駆動制御素子DR及びスイッチSWa乃至SWcにはpチャネル薄膜トランジスタを使用している。
駆動制御素子DRと出力制御スイッチSWaと有機EL素子OLEDとは、第1電源端子ND1と第2電源端子ND2との間で、この順に直列に接続されている。この例では、電源端子ND1は高電位電源端子であり、電源端子ND2は低電位電源端子である。
具体的には、駆動制御素子DRのソースは電源端子ND1に接続されており、有機EL素子OLEDの対向電極CEは電源端子ND2に接続されている。出力制御スイッチSWaは、駆動制御素子DRのドレインと有機EL素子OLEDの画素電極PEとの間に接続されており、そのゲートは走査信号線SL1に接続されている。
キャパシタCは、定電位端子ND1’と駆動制御素子DRのゲートとの間に接続されている。この例では、キャパシタCは、下部電極が電源線PSLに接続されており、上部電極が駆動制御素子DRのゲートに接続されている。
映像信号供給制御スイッチSWbは、映像信号線DLと駆動制御素子DRのドレインとの間に接続されている。映像信号供給制御スイッチSWbのゲートは、走査信号線SL2に接続されている。
ダイオード接続スイッチSWcは、駆動制御素子DRのドレインとゲートとの間に接続されている。ダイオード接続スイッチSWcのゲートは、走査信号線SL2に接続されている。
なお、この表示パネルDPから有機物層ORGと対向電極CEとを省略したものがアレイ基板ASに相当している。
映像信号線ドライバXDR及び走査信号線ドライバYDRは、この例では、表示パネルDPにCOG(chip on glass)実装している。映像信号線ドライバXDR及び走査信号線ドライバYDRは、COG実装する代わりに、TCP(tape carrier package)実装してもよい。
映像信号線ドライバXDRには、映像信号線DLが接続されている。この例では、映像信号線ドライバXDRには、電源線PSLがさらに接続されている。映像信号線ドライバXDRは、映像信号線DLに映像信号として電流信号を出力すると共に、電源線PSLに電源電圧を供給する。
走査信号線ドライバYDRには、走査信号線SL1及びSL2が接続されている。この例では、走査信号線ドライバYDRは、走査信号線SL1及びSL2にそれぞれ走査信号として電圧信号を出力する。
この有機EL表示装置で画像を表示する場合、例えば、走査信号線SL1及びSL2の各々を線順次駆動する。そして、或る行の画素PXに映像信号を書き込む書込期間では、まず、走査信号線ドライバYDRから、先の画素PXが接続された走査信号線SL1にスイッチSWaを開く(OFF)走査信号を電圧信号として出力し、続いて、先の画素PXが接続された走査信号線SL2にスイッチSWb及びSWcを閉じる(ON)走査信号を電圧信号として出力する。この状態で、映像信号線ドライバXDRから、先の画素PXが接続された映像信号線DLに映像信号を電流信号としてそれぞれ出力し、駆動制御素子DRのゲート−ソース間電圧を、先の映像信号に対応した大きさに設定する。その後、走査信号線ドライバYDRから、先の画素PXが接続された走査信号線SL2にスイッチSWb及びSWcを開く(OFF)走査信号を電圧信号として出力し、続いて、先の画素PXが接続された走査信号線SL1にスイッチSWaを閉じる(ON)走査信号を電圧信号として出力する。
スイッチSWaを閉じ(ON)ている有効表示期間では、有機EL素子OLEDには、駆動制御素子DRのゲート−ソース間電圧に対応した大きさの駆動電流が流れる。有機EL素子OLEDは、駆動電流の大きさに対応した輝度で発光する。
この有機EL表示装置は、例えば、以下の方法で製造することができる。
まず、アレイ基板を準備し、その画素電極PE上に有機物層ORG及び対向電極CEを順次形成する。有機物層ORGが含む発光層EMTは、後で詳述するように、図1の真空蒸着装置を用いて形成する。また、典型的には、有機物層ORGが含む発光層EMT以外の層及び対向電極CEも真空蒸着法により形成する。次いで、このようにして得られた有機EL素子OLEDを封止し、表示パネルDPを完成する。さらに、表示パネルDPに映像信号線ドライバXDR及び走査信号線ドライバYDRを実装する。以上のようにして、有機EL表示装置を完成する。
発光層EMTは、例えば、以下の方法で形成する。
まず、真空チャンバVC内を真空とする。このとき、坩堝CR1は蒸発材料EM1としてホスト材料を収容しており、坩堝CR2は蒸発材料EM2としてドーパント材料を収容している。
次に、図示しないヒータに電力を供給し、坩堝CR1及びCR2を十分に昇温させる。坩堝CR1及びCR2は、例えば500℃以下に、典型的には300℃乃至400℃に昇温させる。これにより、坩堝CR1内のホスト材料EM1と坩堝CR2内のドーパント材料EM2とを気化させる。
坩堝CR1内で気化したホスト材料EM1及び坩堝CR2内で気化したドーパント材料EM2は、それぞれ、ノズルNZL1及びNZL2から噴き出す。ノズルNZL1及びNZL2から噴き出たホスト材料EM1及びドーパント材料EM2は、膜厚センサの検出部に堆積する。コントローラは、膜厚センサの出力に基づいて、ヒータに供給する電力の大きさを制御する。このフィードバック制御により、ホスト材料EM1及びドーパント材料EM2の蒸着レートを目標値とほぼ等しくする。
その後、画素電極PE上に正孔輸送層HTを形成したアレイ基板ASを、真空を維持したまま、真空チャンバVC内に搬送する。真空チャンバVCでは、アレイ基板ASは、隔壁絶縁層PIが下方を向くように基板ホルダHLDに支持させる。すなわち、アレイ基板ASは、図1のZ1方向と図4のZ2方向とが一致するように、基板ホルダHLDに支持させる。
続いて、第1動作を行う。すなわち、ノズルNZL1及びNZL2からホスト材料EM1及びドーパント材料EM2を噴き出させたまま、蒸発ユニットEUをX1方向に一定の速度で移動させる。ノズルNZL1及びNZL2から噴き出たホスト材料EM1及びドーパント材料EM2は、堆積シールドDSによって流れの向きを規制され、マスクMSKに設けた貫通孔を通って正孔輸送層HT上に堆積する。
蒸発ユニットEUがアレイ基板ASの正面を横切った後、第2動作を行う。すなわち、ノズルNZL1及びNZL2からホスト材料EM1及びドーパント材料EM2を噴き出させたまま、蒸発ユニットEUを逆向きに一定の速度で移動させる。ノズルNZL1及びNZL2から噴き出たホスト材料EM1及びドーパント材料EM2は、堆積シールドDSによって流れの向きを規制され、マスクMSKに設けた貫通孔を通って正孔輸送層HT上に堆積する。
これら第1及び第2動作を、交互に各2回以上行う。このようにして、発光層EMTが得られる。
次に、真空を維持したまま、成膜後のアレイ基板ASを真空チャンバVCから搬出し、蒸発ユニットEUを膜厚センサSNSの下方に移動させる。次いで、2枚目のアレイ基板ASを真空チャンバVCに搬入すると共に、先のフィードバック制御を行う。その後、2枚目のアレイ基板ASに対しても、1枚目のアレイ基板ASに対して行ったのと同様の成膜を行う。3枚目以降のアレイ基板ASは、これと同様の方法により処理する。
この方法によると、膜厚方向についてのドーパント材料の濃度プロファイルが2つ以上の極大値又は2つ以上の極小値を含んだ発光層EMTが得られる。これについて、図6乃至図9を参照しながら説明する。
図6は、被成膜面の蒸発ユニットに対する相対位置と蒸着レートとの関係の例を示すグラフである。図中、横軸は、被成膜面内での基準位置からのX1方向に沿った距離を示しており、縦軸は蒸着レートを示している。なお、この基準位置は、被成膜面内であって、ノズルNZL1からの距離とノズルNZL2からの距離とが等しい位置である。また、図6において、曲線CHはホスト材料EM1の蒸着レートを示し、曲線CDはドーパント材料EM2の蒸着レートを示している。
曲線CHで示すデータは、ホスト材料EM1のみを蒸発させながら、蒸発ユニットEUを静止させた状態での膜厚センサによる蒸着レートの測定と、蒸発ユニットEUのX1方向へのシフトとを交互に行うことにより得られたものである。また、曲線CDで示すデータは、ドーパント材料EM2のみを蒸発させながら、蒸発ユニットEUを静止させた状態での膜厚センサによる蒸着レートの測定と、蒸発ユニットEUのX1方向へのシフトとを交互に行うことにより得られたものである。
なお、ホスト材料EM1とドーパント材料EM2とを同時に蒸発させながら、蒸発ユニットEUを静止させた状態での膜厚センサによる蒸着レートの測定と、蒸発ユニットEUのX1方向へのシフトとを交互に行うことにより得られたデータは、曲線CHで示すデータと曲線CDで示すデータとの和にほぼ等しかった。したがって、ホスト材料EM1とドーパント材料EM2とを同時に蒸発させた場合には、ホスト材料EM1の蒸着レートプロファイルは曲線CHとほぼ等しく、ドーパント材料EM2の蒸着レートプロファイルは曲線CDとほぼ等しいと推定される。
ホスト材料EM1の蒸着レートは、ノズルNZL1の正面又はその近傍で大きく、そこから離れるに従って小さくなる。他方、ドーパント材料EM2の蒸着レートは、ノズルNZL2の正面又はその近傍で大きく、そこから離れるに従って小さくなる。ノズルNZL1とノズルNZL2とはX1方向に並んでいるので、図6に示すように、ホスト材料EM1の蒸着レートが最大となる位置と、ドーパント材料EM2の蒸着レートが最大となる位置とは一致しない。したがって、被成膜面上の堆積物中に占めるドーパント材料EM2の割合は、X1方向に沿った位置に応じて変化する。
図7は、第1動作を1回のみ行うことにより得られる発光層における、ドーパント材料の膜厚方向についての濃度プロファイルの例を示すグラフである。図中、横軸は被成膜面からの距離を示し、縦軸はドーパント材料の濃度を示している。
図7に示すドーパント材料の濃度プロファイルを有する発光層EMTは、静止時に図6の蒸着レートでホスト材料EM1及びドーパント材料EM2を堆積させる蒸発ユニットEUを、X1方向に等速度で1回のみ移動させることにより得られる。すなわち、蒸発ユニットEUをX1方向に1回のみ移動させることにより得られる発光層EMTでは、ドーパント材料の膜厚方向に沿った濃度は単調増加又は単調減少する。そのため、発光層EMTの主面と平行な一平面でしか、ドーパント材料EMTの濃度は最適値とはならない。
図8は、第1及び第2動作を交互に各々2回行うことにより得られる発光層における、膜厚方向についてのドーパント材料の濃度プロファイルの例を示すグラフである。図中、横軸は被成膜面からの距離を示し、縦軸はドーパント材料の濃度を示している。
図8に示すドーパント材料の濃度プロファイルを有する発光層EMTは、静止時に図6の蒸着レートでホスト材料EM1及びドーパント材料EM2を堆積させる蒸発ユニットEUを、X1方向に等速度で移動させる第1動作と、これとは逆向きに等速度で移動させる第2動作とを交互に各々2回行うことにより得られる。すなわち、蒸発ユニットEUのX1方向に沿った前進及び後退運動を交互に各々2回行うことにより得られる発光層EMTでは、ドーパント材料の膜厚方向に沿った濃度は2つの極大値と1つの極小値とを含んでいる。
そのため、ドーパント材料の濃度の最適値が先の極大値よりも小さく且つ先の極小値よりも大きければ、発光層EMTの主面と平行な4つの平面で、ドーパント材料EMTの濃度は最適値となる。したがって、図8を参照しながら説明した方法で発光層EMTを形成すると、図7を参照しながら説明した方法で発光層EMTを形成した場合と比較して、有機EL素子OLEDの発光効率を高めることができる。
なお、蒸発材料EM1としてホスト材料を使用し且つ蒸発材料EM2としてドーパント材料を使用する代わりに、蒸発材料EM1としてドーパント材料を使用し且つ蒸発材料EM2としてホスト材料を使用すると、ドーパント材料の膜厚方向に沿った濃度が1つの極大値と2つの極小値とを含んだ発光層EMTが得られる。
図9は、第1及び第2動作を交互に各々2回行うことにより得られる発光層における、膜厚方向についてのドーパント材料の濃度プロファイルの他の例を示すグラフである。図中、横軸は被成膜面からの距離を示し、縦軸はドーパント材料の濃度を示している。
図9に示すドーパント材料の濃度プロファイルを有する発光層EMTは、蒸発材料EM1としてホスト材料を使用し且つ蒸発材料EM2としてドーパント材料を使用する代わりに、蒸発材料EM1としてドーパント材料を使用し且つ蒸発材料EM2としてホスト材料を使用したこと以外は、図8を参照しながら説明したのと同様の方法により得られる。この方法によると、図8を参照しながら説明した方法と同様、図7を参照しながら説明した方法と比較して、有機EL素子OLEDの発光効率を高めることができる。
第1及び第2動作を各々1回行った場合、第1動作を1回のみ行った場合や第2動作を1回のみ行った場合と比較すれば、有機EL素子OLEDの発光効率を高めることができる。しかしながら、高い発光効率を実現する観点では、第1及び第2動作を交互に各々2回以上行うことが有利である。これについて、図10を参照しながら説明する。
図10は、第1及び第2動作の各々の回数と有機EL素子の発光効率との関係の例を示すグラフである。図中、横軸は第1及び第2動作の各々の回数を示し、縦軸は有機EL素子OLEDの発光効率を示している。
図10に示すように、第1及び第2動作を交互に各々2回以上行った場合、第1及び第2動作を各々1回行った場合と比較して、有機EL素子OLEDの発光効率は著しく高い。このように、第1及び第2動作を交互に各々2回以上行うと、第1動作を1回のみ行った場合や第2動作を1回のみ行った場合と比較して著しく高い発光効率を実現できるのは勿論、第1及び第2動作を各々1回行った場合と比較しても著しく高い発光効率を実現することができる。
本態様では、蒸発ユニットEUを移動させる構成を採用したが、その代わりに、基板SUBを移動させる構成を採用してもよい。また、本態様に係る真空蒸着装置は、マルチチャンバ型枚葉式装置に組み込まれてもよく、インライン型バッチ式の製造装置に組み込まれてもよい。
本発明の一態様に係るプロセスで使用可能な真空蒸着装置の一例を概略的に示す図。 図1の真空蒸着装置が含む蒸発ユニットを概略的に示す断面図。 本発明の一態様に係るプロセスで製造可能な有機EL表示装置の一例を概略的に示す平面図。 図3の有機EL表示装置で使用可能な表示パネルの一例を概略的に示す断面図。 図4の表示パネルが含み得る有機EL素子の一例を概略的に示す断面図。 被成膜面の蒸発ユニットに対する相対位置と蒸着レートとの関係の例を示すグラフ。 第1動作を1回のみ行うことにより得られる発光層における、ドーパント材料の膜厚方向についての濃度プロファイルの例を示すグラフ。 第1及び第2動作を交互に各々2回行うことにより得られる発光層における、膜厚方向についてのドーパント材料の濃度プロファイルの例を示すグラフ。 第1及び第2動作を交互に各々2回行うことにより得られる発光層における、膜厚方向についてのドーパント材料の濃度プロファイルの他の例を示すグラフ。 第1及び第2動作の各々の回数と有機EL素子の発光効率との関係の例を示すグラフ。
符号の説明
AS…アレイ基板、C…キャパシタ、CD…曲線、CH…曲線、CE…対向電極、CP1…蓋、CP2…蓋、CR1…坩堝、CR2…坩堝、DE…ドレイン電極、DL…映像信号線、DP…表示パネル、DR…駆動制御素子、DS…堆積シールド、EM1…蒸発材料、EM2…蒸発材料、EMT…発光層、ET…電子輸送層、EU…蒸発ユニット、G…ゲート、GI…ゲート絶縁膜、HLD…基板ホルダ、HT…正孔輸送層、II…層間絶縁膜、MSK…マスク、ND1…電源端子、ND1’…定電位端子、ND2…電源端子、NZL1…ノズル、NZL2…ノズル、OLED…有機EL素子、ORG…有機物層、PE…画素電極、PI…隔壁絶縁層、PS…パッシベーション膜、PSL…電源線、PX…画素、SC…半導体層、SE…ソース電極、SL1…走査信号線、SL2…走査信号線、SP…シールド板、SUB…絶縁基板、SWa…出力制御スイッチ、SWb…映像信号供給制御スイッチ、SWc…ダイオード接続スイッチ、UC…アンダーコート層、VC…真空チャンバ、XDR…映像信号線ドライバ、YDR…走査信号線ドライバ。

Claims (3)

  1. 第1及び第2電極とそれらの間に介在した発光層とを具備し、前記発光層はホスト材料とドーパント材料とを含んだ混合物からなり、前記発光層において、その膜厚方向についての前記ドーパント材料の濃度プロファイルは2つ以上の極大値又は2つ以上の極小値を含んでいることを特徴とする有機EL素子。
  2. 複数の画素を具備し、前記複数の画素の各々は請求項1に記載の有機EL素子を含んだことを特徴とする有機EL表示装置。
  3. 第1及び第2電極とそれらの間に介在した発光層とを具備した有機EL素子の製造方法であって、
    気化したホスト材料と気化したドーパント材料とをそれぞれ第1及び第2ノズルから前記第1電極に向けて噴き出しながら第1及び第2動作を交互に各々少なくとも2回行って前記第1電極上に前記発光層を形成することと、前記発光層上に前記第2電極を形成することとを含み、
    前記第1及び第2動作の各々は前記第1及び第2ノズルの配列方向に平行な相対移動方向に前記第1及び第2ノズルを前記第1電極に対して相対的に移動させることを含み、前記第1及び第2動作の一方において前記配列方向と前記相対移動方向とは互いに等しく、前記第1及び第2動作の他方において前記配列方向と前記相対移動方向とは互いに逆であることを特徴とする方法。
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