JP2007035834A - 固相シート製造方法および固相シート製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基体上に金属材料および/または半導体材料を含有する原料からなる固相シートを成長させる固相シートの製造方法であって、固体シートの成長面を有する基体の該成長面に該原料の融液を接触させ、該成長面上の一部または全部に該原料の固相領域を形成する浸漬工程と、浸漬工程と同時にまたは該浸漬工程の後に、成長面上の原料と基体との間に電気的な力を付与することによって該原料を該基体に吸着する吸着工程と、成長面上の原料が固相シートを形成した後に基体を融液から引き上げ、基体への固相シートの吸着を開放して該固相シートを回収する回収工程とを含む固相シート製造方法に関する。
【選択図】 図1
Description
本発明はまた、該成長面と該周辺部とに設けられた吸着機構の各々に印加する電圧が独立に制御される固相シート製造装置に関する。
図1は、単極型の固相シート製造装置の例について説明する概略断面図であり、図2は、単極型の固相シート製造装置に用いられる基体の例について説明する概略図である。図1に示す固相シート製造装置は、主室内(図示せず)に、金属材料および/または半導体材料を含有する原料の融液110を収納するるつぼ111と、該るつぼ111の加熱手段であるヒーター112と、基体200を移送して融液110に浸漬するための浸漬機構100とを備える。主室内は、反応性の高い原料を融解するときには外部の雰囲気から遮断できるものとし、不活性ガスを充填できる機構を備えることが望ましい。原料の融解には、抵抗加熱、誘導加熱、赤外線ランプ加熱などのように、金属材料や半導体材料を融解する一般的な方法を用いることが可能である。ただし、本発明では、固相シート吸着のために基体−融液間に電圧を印加する必要があるため、他の部分で回路の短絡が起こらないよう加熱装置および浸漬機構を設計する必要がある。
エッチングやフォトリソグラフィー工程などの半導体ウエハ処理装置において一般的に用いられている吸着法として、クーロン力やジャンセン・ラーベック力を利用した静電吸着法が公知である。静電吸着法とは、サセプタ内に電極を配し、電極表面を誘電体膜で被覆することにより、電極−ウエハ間で平行平板コンデンサを構成し、極板間に電圧を印加することにより発生する引力を利用する吸着法である。
F=1/2・S・ε・(V/d)2
(S:電極の面積 ε:誘電体の誘電率 V:印加電圧 d:誘電体の膜厚)
で表される。この式より、強い吸着力を得るためには、印加電圧を高くすることや、誘電体膜厚を薄くすることが必要である。しかし、誘電体膜厚を薄くした場合には、膜の剥がれ、掻き傷などによる絶縁不良につながる懼れがあること、印加電圧を高くした場合には、電源装置の大型化や絶縁対策の複雑化による装置のコスト上昇の可能性があることが、それぞれ欠点として挙げられる。しかし、電荷の移動が導電体中で行われるため、印加電圧に対する吸着・開放の応答性が良いという利点がある。
本発明における固相シート製造方法の特徴である、基体−固相シート間での電気的な力による吸着の方法について以下に説明する。
本実施の形態においては、図1に示す製造装置を用いて固相シートを製造する場合について説明する。本実施の形態においては、図2に示す基体を用い、単極型の方式で静電吸着を行なうが、基体表面に周状に溝を廻らせることで、最終製品に用いる固相シートの成長面である溝より内側の領域を、周辺部である溝より外側の領域から分離して成長させることができる。基体表面の溝より内側の領域には電極202を埋め込み、さらに該電極の表面を誘電体膜201で覆う構造とする。電極202には、図1に示すように、浸漬機構100を経て電源装置101へと接続されるよう配線203を接続し、さらにるつぼ111側には基体200側と反対の極性となるように電源装置101を接続する。
本実施の形態においては、図3に示す製造装置を用いて固相シートを製造する場合について説明する。本実施の形態においては、図4に示す基体を用い、双極型の方式で静電吸着を行なうが、基体表面に周状に溝を廻らせることで、最終製品に用いる固相シートの成長面である溝より内側の領域を、周辺部である溝より外側の領域から分離して成長させることができる。基体表面の溝より内側の領域には電極402a,402bを埋め込み、さらに該電極の表面を誘電体膜401a,401bで覆う構造とする。電極402a,402bには、図3に示すように、浸漬機構300を経て電源装置301へと接続されるよう配線403a,403bをそれぞれ接続する。ここで電極402a,402bは逆の極性を与えるように接続される。
上記の実施の形態1および2においては、基体表面に設けられた溝より外側の領域、すなわち基体の周辺部に生成した成長物が電気的な力による基体への吸着を受けないため、基体が融液から引き上げられた後に該成長物は融液中に自然落下する。よって落下した成長物は再溶融するまで融液中に浮遊する。すなわち、落下した成長物の干渉を避けるために、該成長物の再溶融まで基体を融液中に浸漬することができない。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1に示す固相シート製造装置を用いてシリコン固相シートを作製した。質量30.0kgのシリコン結晶質原料(純度6−Nine)を直径400mmφの高純度カーボン製るつぼ111にチャージした。装置内を7.0×10-3Paまで減圧した後、アルゴンガスを導入して常圧にした。続いて、ヒーター112として抵抗加熱器を用い、るつぼ111の温度を1550℃に保持し、シリコン結晶質原料を加熱して融解することによってシリコンの融液110とした。その後、シリコンの融液110を融点である1410℃近傍に保つため、制御点であるるつぼ111の温度を調節した。このようにして温度を調節した融液110の中に、浸漬機構100を用いて基体200を浸漬することで、基体200の表面上にシリコン固相シートを成長させ、固相シート回収機構120により順次回収していくことで、連続的にシリコン固相シートを製造した。
{(装置稼動時間)−(浸漬中断時間)}/(装置稼動時間)×100
により求められる値であり、回収率(%)は、下式、
(回収数)/(浸漬回数)×100
により求められる値である。結果を表1に示す。
図5に示す固相シート製造装置を用い、実施の形態3で説明した吸着機構を備えた、図6に示す基体600を用いてシリコン固相シートを作製した。なお浸漬機構やるつぼの材質や形状は実施例1で述べたものと同様である。また浸漬までのシリコン融解シーケンスも実施例1と同様に行なったので説明を繰り返さない。
図7に示す基体700を用いた他は上記実施例1と同様の装置を用い、浸漬実験を行なった。図7に示す基体700は、固相シートの電気的な吸着を用いずに、摩擦・引っ掛かりによる保持力のみで固相シートを回収する。摩擦・引っ掛かりによる固相シートの保持の解除は、いったん基体700を装置外に搬出し、レーザー切断装置を用いて連続部703を切断することにより行なう。よって、浸漬後には固相シートを基体ごと回収し、浸漬機構に新たな基体を装着することで連続的な浸漬を行なった。
Claims (12)
- 基体上に、金属材料および/または半導体材料を含有する原料からなる固相シートを成長させる固相シートの製造方法であって、
固相シートの成長面を有する基体の前記成長面に前記原料の融液を接触させ、前記成長面上の一部または全部に、前記原料の固相領域を形成する浸漬工程と、
前記浸漬工程と同時にまたは前記浸漬工程の後に、前記成長面上の原料と前記基体との間に電気的な力を付与することによって前記成長面上の原料を前記基体に吸着する吸着工程と、
前記成長面上に固相シートが形成された後に、前記基体を前記融液から引き上げ、前記基体への前記固相シートの吸着を開放して前記固相シートを回収する回収工程と、
を含む、固相シート製造方法。 - 前記吸着工程は、前記成長面上の一部に前記原料の固相領域が形成された段階で行なわれる、請求項1に記載の固相シート製造方法。
- 前記電気的な力の付与が、前記浸漬工程と同時に開始される、請求項1または2に記載の固相シート製造方法。
- 基体上に、金属材料および/または半導体材料を含有する原料からなる固相シートを成長させるための固相シート製造装置であって、
固相シートの成長面を有する基体と、
前記基体の表面を覆う誘電体膜、または、前記基体の表面に配置される電極および前記電極を覆う誘電体膜、からなる吸着機構と、
前記成長面上の原料と前記基体との間に電気的な力を付与するための電源装置と、
前記原料の融液を収納するるつぼと、
前記基体を前記るつぼに浸漬するための浸漬機構と、
前記融液から引き上げた前記基体から、固相シートを回収するための固相シート回収機構と、
を少なくとも有する、固相シート製造装置。 - 前記誘電体膜の体積固有抵抗が1014Ωcm以上であり、前記電気的な力がクーロン力である、請求項4に記載の固相シート製造装置。
- 前記誘電体膜の体積固有抵抗が109〜1012Ωcmの範囲内であり、前記電気的な力がジャンセン・ラーベック力である、請求項4に記載の固相シート製造装置。
- 前記電気的な力の制御は、前記浸漬工程における浸漬のタイミングに連動した印加電圧の制御により行なわれる、請求項4〜6のいずれかに記載の固相シート製造装置。
- 前記電源装置は、前記基体と前記融液との間を含む閉回路が形成され、かつ前記基体と前記融液とがそれぞれ逆の極性を持つように接続される、請求項4〜7のいずれかに記載の固相シート製造装置。
- 一の前記基体に対して二組の吸着機構が少なくとも配置され、前記二組の吸着機構は互いに電気的に絶縁されており、かつ、前記二組の吸着機構が互いに逆の極性を持つよう前記電源装置に接続される、請求項4〜8のいずれかに記載の固相シート製造装置。
- 前記基体において、前記成長面と周辺部とが溝により分離される、請求項4〜9のいずれかに記載の固相シート製造装置。
- 前記周辺部にさらに前記吸着機構が設けられる、請求項10に記載の固相シート製造装置。
- 前記成長面と前記周辺部とに設けられた吸着機構の各々に印加する電圧が独立に制御される、請求項11に記載の固相シート製造装置。
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