JP5512426B2 - ハイブリッドシリコンウエハ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
一般に、このようなメカニカルウエハは、かなり精度の高い試験が必要とされるので、単結晶シリコンの機械的物性に類似した特性が必要とされる。したがって、従来は、試験用とは言っても、実際に使用される単結晶シリコンウエハをそのまま使用しているのが実情である。しかし、φ400mm以上の単結晶シリコンウエハは非常に高価であるため、単結晶シリコンの特性に類似した安価なウエハが要求されている。
しかし、このようにして製造されるターゲットは、厚みが薄い場合、例えば5mm以下の場合には、比較的密度が高くなり強度的にも向上するが、それを超えるような厚さになった場合には、依然として低密度(99%に満たない)であり、それに伴って機械的強度が劣ることとなり、大型の矩形又は円盤状のターゲットを製造することができないという問題があった。
このシリコン焼結体は、高密度で、機械的強度が高く、多くの利点を有しているものであるが、これらの特性をさらに改善することが要求されていたが、この点を改良した特許出願を行った。
これらシリコン焼結体を用いたウエハは、機械的特性が単結晶シリコンと近いため、半導体製造装置の搬送系や、ロボティックスの開発用としてのダミーウエハに用いることが出来る。また、SOIウエハのベース基板としての適用も検討されている。
また、単結晶シリコンに替えて、高品質の多結晶シリコンを製造するという提案もなされている(特許文献3参照)。しかし、多結晶シリコンは、どのような工夫をしても、単結晶シリコンの特性に及ばないという欠点を有する。この欠点を補う手段として、Intel社のM.Goldstein等は、多結晶シリコンの中に単結晶シリコンを埋め込んだウエハを提案している(特許文献4参照)。
また、本出願人は、上記の多結晶シリコンに単結晶シリコンを埋め込んだウエハの多結晶部分に焼結法で作製したシリコンを使用する発明を先に出願しているが、焼結シリコン中には酸素、炭素等のガス成分が多量に含まれており、結晶粒界上にSiO2やSiCの析出物が存在するため、研磨時に単結晶部との研磨速度の相違から段差が生じるという問題がある(特許文献5参照)。
この方法では、全面が単結晶で構成されるウエハよりも低コストではあるが、多結晶のくり抜き加工や、嵌め込む単結晶の外周加工の公差を厳密に制御する必要があり、それが製造コストを増加させるという問題があった。
1)一方を溶融状態とし他方を固体状態として相互に一体化して作製した、比抵抗が2桁以上異なる2種類以上の単結晶シリコン又は多結晶シリコンを主成分とするウエハからなることを特徴とするハイブリッドシリコンウエハ。
2)多結晶シリコンの中に単結晶シリコンが配置され一体化した、比抵抗が2桁以上異なることを特徴とする上記1)記載のハイブリッドシリコンウエハ。
3)中心部が単結晶の結晶構造を有する高比抵抗のシリコンウエハであり、単結晶以外の部分のウエハが低比抵抗の多結晶シリコンウエハであることを特徴とする上記1)又は2)記載のハイブリッドシリコンウエハ。
4)低比抵抗のシリコンウエハ又はシリコンを主成分とするウエハが1×10−6〜0.1Ω・cmの抵抗を有し、高比抵抗のシリコンウエハ又はシリコンを主成分とするウエハが0.1〜1×105Ω・cmの抵抗を有することを特徴とする上記1)〜3)のいずれか一項に記載のハイブリッドシリコンウエハ。
5)ウエハが円盤形であり、ウエハの全体の直径が400mm以上であることを特徴とする上記1)〜4)のいずれか一項に記載のハイブリッドシリコンウエハ。
6)高比抵抗のシリコンインゴットを、坩堝内の中心部又は外周部に配置すると共に、前記坩堝とインゴット周囲の空隙部に、前記インゴットよりも比抵抗が2桁以上低いナゲット又は粉末状のシリコンを充填し、前記ナゲット又は粉末状のシリコンを選択的に溶解して、前記インゴットと一体化させて複合体とし、これをさらにウエハ状に切り出すことを特徴とするハイブリッドシリコンウエハの製造方法。
7)インゴットよりも比抵抗が2桁以上低いナゲット又は粉末状のシリコンを誘導加熱により選択的に溶解することを特徴とする上記6)記載のハイブリッドシリコンウエハの製造方法。
8)前記複合体の直径が400mm以上であることを特徴とする上記6)又は7)記載のハイブリッドシリコンウエハの製造方法。
ハイブリッドシリコンウエハの支持母体となる多結晶シリコンウエハにおいては、大型化と強度の向上は必要なことであるが、溶融状態から一体化したハイブリッドシリコンウエハの接合強度は、より向上する。
このように、多結晶シリコンウエハ相互又は多結晶シリコンウエハと単結晶ウエハの双方の機能を備えたハイブリッドシリコンウエハは、同サイズの単結晶ウエハ単独に比べ、歩留まりを大きく向上させ、製造コストを低減できる。さらに、コモディティー化した太陽電池用多結晶シリコンのブロックや破材及び300mm単結晶シリコンインゴットを用いることにより、安価な400mm以上のダミー用シリコンウエハを作製することができる大きな効果を有する。
他方、B(ボロン)を0.01at%ドープした多結晶シリコンでは、1×10−2Ω・cm程度、ボロンを2at%ドープしたシリコンの抵抗は、1×10−4Ω・cm程度となる。この他、ドーパントとして、ボロン以外にP(燐)やAs(砒素)などを挙げることができる。これらは、B(ボロン)と同様の効果を得ることができる。
なお、参考までに、他の材料、例えばチタンでは4.3×10−5Ω・cm程度、銅では1.7×10−8Ω・cm程度である。
溶湯プールの側面は磁力によって支えられ、溶解炉の側壁と物理的に接触しないので、坩堝のセグメントが電気的に短絡することがなく、また坩堝からの介在物の混入を防ぐことができる。
この場合、単結晶シリコンの周囲に多結晶シリコンが一体化した構造のウエハを製造することが目的なので、この比抵抗が2桁以上異なるシリコン原料については、ボロンを2at%ドープし、低抵抗化させた原料を使用することができる。
この一体化した円柱状の複合体を、スライスすることにより、内部に単結晶、その周囲に多結晶が一体化した円盤状のハイブリッドシリコンウエハを得ることができる。
坩堝に導入する多結晶を形成するために導入するシリコン原料には、通常ナゲット、ブロックの端材又は粉末状のシリコン原料を用い、その原料の形状を特定する必要はないが、誘導電流の流れ易さと坩堝への充填のし易さから、親指サイズのナゲットが好適であると言える。
この一体化した円柱状の複合体を、スライスすることにより、多結晶と単結晶が一体化した円盤状のハイブリッドシリコンウエハを得ることができる。
この場合、複数の多結晶の原料として、比抵抗が2桁以上異なるシリコン原料を使用することのみである。本願発明はこれらを全て包含するものである。
坩堝を使用した製造工程からハイブリッドシリコンウエハは円盤形となるが、ウエハの切り出しの仕方により、矩形その他の形状にすることは可能である。円盤状のウエハについては、その全体の直径を400mm以上とすることができる。
この場合は、前記インゴット複合体の直径が400mm以上であることが必要となるが、この形状に特に制約はなく、設定は任意である。
ハイブリッドシリコンウエハの一部に使用される単結晶シリコンの大きさには、特に制限はないが、単結晶ウエハの最も長い径が、ウエハ全体の径の50%以上を有している場合には、単結晶ウエハの特性を利用する試験において、ハイブリッドシリコンウエハを有効に活用できるメリットがある。
以上から、本願発明の「ハイブリッドシリコンウエハ」は、多目的利用が可能であり、従来は、この特性を備えたシリコンウエハは存在していない。
図1に示すように、比抵抗が10Ωcmで直径100mm、長さ100mmの純度11Nの単結晶シリコンインゴット1を、内径200mmの水冷銅坩堝2の中央にセットした。また、その周辺に比抵抗が0.001Ω・cmで平均30mm程度の不定形の多結晶シリコン(ボロンを0.2at%ドープ)3を高さ80mm程度まで充填した。
そして坩堝周辺の雰囲気(炉内)を真空に制御し、誘導加熱コイル5に10kHzの交流電流を流した。この時、誘導加熱は誘導電流が流れる低抵抗のシリコンに優先的に行なわれ、単結晶インゴット周辺に投入したナゲット状の多結晶シリコン4のみが選択的に溶解された。
Si: 熱伝導率84W/mK、比熱678J/kg°C
Cu: 熱伝導率372W/mK、比熱419J/kg°C
低抵抗のシリコン部は局所的には1450°C程度まで加熱され溶融する。そしてボイドや残留応力に配慮しながら速やかに冷却すると、高さ約50mmまでは結晶構造及び抵抗の異なる2種類のシリコンが一体化した柱状のシリコンインゴットが得られた。
この柱状のインゴットをスライスすることにより、中央に単結晶ウエハ周辺に多結晶ウエハの同心円形の円盤状ハイブリッドウエハを作製することができた。
図1に示すように、抵抗の異なる2種類のシリコンから形成される多結晶シリコン原料を用い、一方(比抵抗が0.1Ω・cm)であるシリコン(ボロンを1atppmドープ)を予め溶解してインゴット1とし、このインゴットを同様に水冷銅坩堝2の中央にセットした後、その周辺に比抵抗が0.0001Ω・cmで平均20mm程度の多結晶シリコン(ボロンを2at%ドープ)ナゲット3を、高さ80mm程度まで充填した。そして坩堝周辺の雰囲気(炉内)を真空に制御し、誘導加熱コイル5に10kHzの交流電流を流した。
このようにして、抵抗の異なる2種類のシリコンから形成される柱状の多結晶シリコンインゴットを作製することができた。
さらに、この柱状のインゴットをスライスすることにより、中央に高抵抗の多結晶ウエハ周辺に低抵抗の多結晶ウエハの、同心円形の円盤状ハイブリッドウエハを作製することができた。
図1に示すように、比抵抗が2Ωcmで直径300mm、長さ150mmの純度10Nの単結晶シリコンインゴット1を内径480mmの水冷銅坩堝2の中央にセットした。また、その周辺に比抵抗が0.001Ωcmで平均30mm程度の不定形の多結晶シリコン(ボロンを0.2at%ドープ)3を高さ100mm程度まで充填した。
そして坩堝周辺の雰囲気(炉内)を真空に制御し、誘導加熱コイル5に10kHzの交流電流を流した。誘導加熱で低抵抗のシリコン4のみが選択的に溶解させ、ボイドや残留応力に配慮しながら速やかに冷却し、高さ約80mmまでは結晶構造及び抵抗の異なる2種類のシリコンが一体化したシリコンインゴットが得られた。
さらに、この柱状のインゴットをスライスすることにより、中央に高抵抗の単結晶ウエハ、周辺に低抵抗の多結晶ウエハの、同心円形の円盤状ハイブリッドウエハを作製することができた。
ハイブリッドシリコンウエハの支持母体となる多結晶シリコンウエハにおいては、大型化と強度を向上させることができる。本願発明のハイブリッドシリコンウエハによる多結晶シリコンウエハは、メカニカルウエハとして使用される単結晶シリコンの機械的物性に類似した特性を備え、かつ、この単結晶部で半導体製工程をモニターできる能力を有する。
このように、多結晶シリコンウエハと単結晶ウエハの双方の機能を備えたハイブリッドシリコンウエハは、単結晶ウエハ単独に比べ、歩留まりを大きく向上させ、製造コストを低減できるという大きな特徴を有するので、成膜装置などのテストウエハとして、また半導体製造装置の各種部品としても有用である。
2:水冷銅坩堝
3:多結晶シリコンナゲット
4:溶融したシリコン
5:誘導加熱コイル
Claims (8)
- 外周部を溶融状態とし、中心部を固体状態として相互に一体化して円盤形に作製した、比抵抗が2桁以上異なる2種類以上の単結晶シリコン又は多結晶シリコンを主成分とするウエハからなることを特徴とするハイブリッドシリコンウエハ。
- 多結晶シリコンの中に単結晶シリコンが配置され一体化した、比抵抗が2桁以上異なることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッドシリコンウエハ。
- 中心部が単結晶の結晶構造を有する高比抵抗のシリコンウエハであり、単結晶以外の部分のウエハが低比抵抗の多結晶シリコンウエハであることを特徴とする請求項1又は2記載のハイブリッドシリコンウエハ。
- 低比抵抗のシリコンウエハ又はシリコンを主成分とするウエハが1×10-6〜0.1Ω・cmの抵抗を有し、高比抵抗のシリコンウエハ又はシリコンを主成分とするウエハが0.1〜1×105Ω・cmの抵抗を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のハイブリッドシリコンウエハ。
- ウエハが円盤形であり、ウエハの全体の直径が400mm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のハイブリッドシリコンウエハ。
- 高比抵抗のシリコン又はシリコンを主成分とするインゴットを、坩堝内の中心部又は坩堝内の偏心した位置に配置すると共に、前記坩堝とインゴット周囲の空隙部に、前記インゴットよりも比抵抗が2桁以上低いナゲット又は粉末状のシリコンを充填し、前記ナゲット又は粉末状のシリコンのみを選択的に溶解して、前記インゴットと一体化させて複合体とし、これをさらにウエハ状に切り出すことを特徴とするハイブリッドシリコンウエハの製造方法。
- インゴットよりも比抵抗が2桁以上低いナゲット又は粉末状のシリコンを誘導加熱により選択的に溶解することを特徴とする請求項6記載のハイブリッドシリコンウエハの製造方法。
- 前記複合体の直径が400mm以上であることを特徴とする請求項6又は7記載のハイブリッドシリコンウエハの製造方法。
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