JP2007035383A - スライド操作釦付きキーシート及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 操作釦と該操作釦に固着するゴム状弾性体でなるベースシートとを備え、操作釦への押圧操作でベースシートが変形し操作釦がスライド移動可能なスライド操作釦付きキーシートについて、金属調の光沢と、滑りにくい操作性の良さと、を併せ持つスライド操作釦を有すること。
【解決手段】 樹脂成形体でなる操作釦本体14に設けた湿式めっき金属部15と、ウレタンゴム成形体でなる操作部13と、を有することとし、好ましくは、ウレタンゴム成形体は、カプロラクタム系又はアジペートエステル系の少なくとも何れかのウレタンゴム組成物から形成する。
【選択図】 図3
【解決手段】 樹脂成形体でなる操作釦本体14に設けた湿式めっき金属部15と、ウレタンゴム成形体でなる操作部13と、を有することとし、好ましくは、ウレタンゴム成形体は、カプロラクタム系又はアジペートエステル系の少なくとも何れかのウレタンゴム組成物から形成する。
【選択図】 図3
Description
本発明は、携帯電話機、リモコン、デジタルカメラ、AV機器、車載電装機器等の各種電子機器に用いられる入力スイッチ用カバー部材に関し、特にスライド操作可能なスライド操作釦付きキーシートと、その製造方法に関するものである。
各種電子機器の中でも携帯電話機などの携帯情報端末は年々多機能化し、スイッチによる入力操作においても、単一の機能選択にとどまらず、表示画面の切替えやカーソルなどの移動操作がなされるようになってきた。すなわち、画面上の種々の移動操作に合わせてなされるスイッチ操作も単なる押込み操作に限らず、上下方向又は左右方向の2方向から、平面内の360度方向に移動操作する多方向入力操作が行われるようになってきている。
多方向入力操作を可能とする操作釦の中でもキー自体を移動操作するスライド操作釦は、操作し易く、搭載する機器の薄型化が図れるという利点があり、例えば、特開2004−031177号公報(特許文献1)や、特開2004−288459号公報(特許文献)などに記載されている。
特開2004−031177号公報
特開2004−288459号公報
こうしたスライド操作釦に対しては、搭載する機器に高級感や重みを付与するため、金属調の加飾が施されることが多いが、金属調の加飾がなされた部分は滑りやすいため、少なくともスライド操作釦の操作部は、滑り難いことが好ましい。
しかしながら、金属調の加飾がなされた部分と、滑りにくさを備えた部分とを併存させることは困難である。例えば、滑り難い材質であるゴム成形体に直接めっきを付けることができない。そのため、金属調の加飾がなされた部分にゴム成形体を固着できれば良いが、金属調の部分からゴム成形体が簡単に剥離してしまい、金属部にゴム成形体を固着する方法は実用に耐えないという問題がある。そこで、めっきを付けることができ、かつ、ゴム成形体を固着することができる硬質樹脂に予めゴム成形体を固着しておき、ゴム成形体が固着していない硬質樹脂の部分にめっきを施す方法が考えられる。ところがこの方法によると、めっき工程でゴム成形体の表面が粗化劣化してしまい、ゴム成形体の品質を保持することができないという問題がある。
そこで本発明の目的は、金属調の光沢と、滑りにくい操作性の良さと、を併せ持つスライド操作釦を有するスライド操作釦付きキーシートを得ることにある。また、別の本発明の目的は、このスライド操作釦付きキーシートの製造方法を得ることにある。
本発明は、操作釦と該操作釦に固着するゴム状弾性体でなるベースシートとを備え、操作釦への押圧操作でベースシートが変形し操作釦がスライド移動可能なスライド操作釦付きキーシートについて、該操作釦が、樹脂成形体でなる操作釦本体に設けた湿式めっき金属部と、ウレタンゴム成形体でなる操作部と、を有することを特徴とするスライド操作釦付きキーシートを提供する。
樹脂成形体でなる操作釦本体表面に設けた湿式めっき金属部と、ウレタンゴム成形体でなる操作部と、を有するため、鏡面光沢に優れたデザインを有しながら、金属部とは異なるすべりにくさを備えることでスライド操作がし易く操作性の良いスライド操作釦付きキーシートである。
前記ウレタンゴム成形体は、カプロラクタム系又はアジペートエステル系の少なくとも何れかのウレタンゴム組成物から形成されるものとすることができる。カプロラクタム系又はアジペートエステル系の少なくとも何れかのウレタンゴム組成物としたため、耐酸性に優れ湿式めっき法による処理を施しても変質することがない。
前記湿式めっき金属部と操作部とを隣接して設けることができる。湿式めっき金属部と操作部とを隣接して設けたため、デザイン性の良さと操作性の良さを併せ持つスライド操作釦付きキーシートである。
そして、操作部を、前記操作釦本体の中央位置に設ければ、上下または左右方向や、360度方向などの何れの方向への操作もし易いスライド操作釦付きキーシートとなる。
さらに、前記操作釦本体と前記操作部とを透光性とすることができ、前記操作釦本体と前記操作部とを透光性とすれば、機器内部に照光源を設けて操作部から照光するというデザイン性に優れたスライド操作釦付きキーシートとなる。
本発明はまた、樹脂成形体でなる操作釦本体に設けた湿式めっき金属部とウレタンゴム成形体でなる操作部とを有する操作釦と、該操作釦に固着するゴム状弾性体でなるベースシートとを備え、操作釦への押圧操作でベースシートが変形し操作釦がスライド移動可能なスライド操作釦付きキーシートの製造方法について、無電解めっきが付く操作釦本体にウレタンゴム成形体を固着した後、該操作釦本体に湿式めっきにより金属部を形成することを特徴とするスライド操作釦付きキーシートの製造方法を提供する。
無電解めっきが付く操作釦本体にウレタンゴム成形体を固着した後、該操作釦本体に湿式めっきにより金属部を形成したため、ウレタンゴム成形体の固着工程後に、湿式めっき処理におけるクロムエッチング工程を行って金属部を形成してもウレタンゴム成形体の表面が粗化劣化することはない。また、操作釦本体にウレタンゴム成形体を固着しているため、ウレタンゴム成形体がはがれにくい。そのため、滑りにくいという触感を有し耐久性のある操作部と耐摩耗性や鏡面光沢に優れる金属部とが併設した良品質のスライド操作釦付きキーシートを得ることができる。
本発明のスライド操作釦付きキーシートによれば、樹脂成形体の表面に、滑りにくいという触感を有する操作部と、耐摩耗性や鏡面光沢に優れる金属部とを併せ持ち、デザイン性に優れ、かつ操作性が良い。
本発明のスライド操作釦付きキーシートの製造方法によれば、ウレタンゴム成形体が強固に固着されており外れにくく、また、ウレタンゴム成形体が粗化劣化することがない。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。携帯電話機1に用いられる第1実施形態のスライド操作釦付きキーシート10は、図1で示すように、スライド操作釦11や他の複数の押釦2が、ゴム状弾性体でなるベースシート12の表面12a側に接着剤(図示せず)で固着されたものであり、図2で示すように、携帯電話機1の表面1aにスライド操作釦11と他の複数の押釦2が表れるように取り付けられている。
スライド操作釦11は、図3で示すように、その略中央位置に突出して設けられた操作部13と、操作部13の周囲に硬質樹脂で形成された釦本体部14を有し、この釦本体部14の表面には、めっき層からなる金属部15が形成されている。
釦本体部14を形成する硬質樹脂には、湿式めっき処理を施した場合にめっき金属の密着性がよく、耐摩耗性に優れており、鏡面光沢を発現する金属部15が形成できる樹脂を用いることが好ましい。例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリフェニレンオキサイド(PPO)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、ポリスルフォン樹脂等の樹脂や、これらの樹脂のアロイ樹脂、これらの樹脂の変性樹脂等が挙げられる。
操作部13を形成する成形体には、カプロラクタム系又はアジペートエステル系の少なくとも何れかのウレタンゴム組成物で形成したウレタンゴム成形体が用いられる。カプロラクタム系又はアジペートエステル系は、通常のウレタンゴム組成物が持つ耐摩耗性に加えて、耐酸性に優れた性質を有している。これらの組成物の有する耐酸性のため、スライド操作釦11を製造する際に、硬質樹脂にウレタンゴム成形体を固着した後、湿式めっき処理を施しても、ウレタンゴム成形体が湿式めっき処理における強酸で変性することなく、ゴム成形体の持つ所期の性質を維持することができる。そのため、滑りにくい触感を生じさせる操作部13と金属光沢に優れた金属部15とが隣接して設けられたスライド操作釦11を簡単に得ることができる。また、操作部13が釦本体部14にしっかりと固着しているため、繰り返し操作にあっても操作部13が外れることのないスライド操作釦11となる。一方、カプロラクタム系又はアジペートエステル系の少なくとも何れかのウレタンゴム組成物に代えて、例えば、エーテル系のウレタンゴム組成物を用いると耐酸性が悪く好ましいものではない。
カプロラクタム系又はアジペートエステル系の少なくとも何れかのウレタンゴム組成物に対しては、このウレタンゴム組成物を軟質化するスチレン系ゴム組成物やオレフィン系ゴム組成物を加えることができる。スチレン系ゴム組成物やオレフィン系ゴム組成物は、カプロラクタム系又はアジペートエステル系のウレタンゴム組成物と相溶し、耐酸性を備えたまま、成形体をさらに軟質化する性質を有している。但し、例えば、アミド系ゴム組成物やエステル系ゴム組成物は、カプロラクタム系又はアジペートエステル系のウレタンゴム組成物と相溶するが、いずれも耐酸性が悪く、これらのゴム組成物を加えることは好ましくない。
カプロラクタム系又はアジペートエステル系の少なくとも何れかのウレタンゴム組成物に対してスチレン系ゴム組成物を加える場合には、該ウレタンゴム組成物とスチレン系ゴム組成物の混合物中におけるスチレン系ゴム組成物の割合は10重量%〜50重量%とすることが好ましい。10重量%未満では、添加しない場合と触感に変化がほとんどないからであり、50重量%を超えると、耐酸性が弱くなり、湿式めっき処理工程で粗化劣化してしまうからである。
また、カプロラクタム系又はアジペートエステル系の少なくとも何れかのウレタンゴム組成物に対してオレフィン系ゴム組成物を加える場合には、該ウレタンゴム組成物とオレフィン系ゴム組成物の混合物中におけるオレフィン系ゴム組成物の割合は10重量%〜30重量%とすることが好ましい。10重量%未満では、添加しない場合と触感に変化がほとんどないからであり、30重量%を超えると、耐酸性が弱くなり、湿式めっき処理工程で粗化劣化してしまうからである。
さらに、ウレタンゴム組成物には必要に応じて、混練剤、相溶化剤、滑剤、保存剤等の第3成分を含むことも可能である。しかしながら、湿式めっき処理工程において、操作部13が硬くなったり、亀裂ができたり、変色したりするような、ゴム成形体が変性してしまうような材料を添加しないことが必要である。
ゴム状弾性体でなるベースシート12は、シリコーンゴムなどの天然ゴムやスチレン系熱可塑性エラストマーなどの合成ゴムから形成することができる。
次にスライド操作釦付きキーシート10の製造方法について説明する。まず、スライド操作釦11を製造するには、めっきが付く硬質樹脂で成形した円盤状の釦本体部14に、ウレタンゴム成形体でなる操作部13を固着し、その後、該釦本体部14の表面に湿式めっき法により金属部15を形成する。
より具体的には、図4で示すように、釦本体部14を形成する成形金型3a,3bを用い、溶融状態の透光性硬質樹脂をこの成形金型3a,3bに充填し硬化させて円盤状で中央に段付の孔14aを有する釦本体部14を成形する。次に、釦本体部14を、操作部13を成形する成形金型4a,4b(図5)に移載し、孔14aに通じる成形金型4bに設けられた注入孔4cから、溶融状態のカプロラクタム系又はアジペートエステル系の透光性ウレタンゴム組成物をこの成形金型4a,4b内に注入充填し、硬化させて操作部13を成形する。この時、操作部13の成形と同時に操作部13と釦本体部14の固着が行われる。こうして、基板対向面14bとは反対側面に突出したウレタンゴム成形体でなる操作部13と硬質樹脂とでなる複合成形体を形成する。
次に、釦本体部14の基板対向面14bに、図6で示すように、マスキング用の塗膜16を設けた後、湿式めっき処理を施す。湿式めっき処理は、先ず、クロムエッチング工程(例えば、390g/リットル〜410g/リットルの無水クロム酸と390g/リットル〜410g/リットルの硫酸とからなり、pH=1、60℃〜68℃であるエッチング液に7分〜10分浸漬する)で釦本体部14の表面に微小な凹凸形状を施した後、中和工程にてクロム溶液を釦本体部14から洗い落とす。それから、キャタリスト工程にてパラジウム−スズ(Pd−Sn)合金触媒を釦本体部14の表面に付与し、続くアクセレーター工程にて釦本体部14からスズを除去する。その後、無電解めっき工程にて釦本体部14に通電用のニッケル金属層を形成し、最後に、電解めっき工程にてニッケル金属層の表面にさらに最外郭のクロム金属層を形成する。このようにして、無電解めっきが付く釦本体部14の表面にのみ金属部15が形成される。一方、無電解めっきの付かないウレタンゴム成形体でなる操作部13には金属部15が形成されない。
金属部15を形成する湿式めっき工程において、操作部13の保護のため、操作部13に保護層を設けて操作部13の表面を保護することもできるが、操作部13を形成するウレタンゴム組成物の耐酸性が強いため、被覆保護をせずにそのままクロム溶液に浸漬することが可能である。こうして、ウレタンゴム成形体でなる操作部13と金属部15とで釦本体部14が被覆される(図7)。
最後に、図8で示すように、釦本体部14に設けた塗膜16を剥離し、図9で示すように、ランナー17を取り除き、スライド操作釦11が得られる。
得られたスライド操作釦11は、ポリカーボネートなどの硬質樹脂で形成された他の押釦2とともに接着剤でベースシート12に固着する。また、操作部13のベースシート12を挟んだ対称位置には磁石18を包含した押し子12bをゴム状弾性体や硬質樹脂で形成する。こうしてスライド操作釦付きキーシート10が得られる。
スライド操作釦付きキーシート10を携帯電話機1に装着した状態の断面図を図10に示す。スライド操作釦11はゴム状弾性体でなるベースシート12に固着されているため、携帯電話機1の筐体1bに設けられた孔1cの範囲内で水平方向に360度スライド移動可能となっている。スライド操作釦付きキーシート10の下側に位置する基板5にはホール素子6が設けられており、スライド操作釦11と同様に移動する磁石18による磁束密度の変化を感知する。そして、スライド操作釦11の動きに応じて表示素子1d上の機能選択や表示画面の切替などを行う。また、スライド操作釦11を基板5に向かって押込み操作すれば、基板5に設けられたメンブレン型接点スイッチ7を導通させて機能確定操作などのスイッチ機能を行うことができる。
また、基板5に配置したLEDなどの照光源8を発光させると、ベースシート12の内部に光が入り、その光がベースシート12中を伝わってスライド操作釦11に達する。そして、透光性樹脂でなる釦本体部14、透光性のウレタンゴム組成物でなる操作部13を光が透過し、操作部13を照光させることができる。
スライド操作釦付きキーシート10は、釦本体部14に操作部13を直接固着しているため、金属部15の上にウレタンゴム成形体を設ける場合と異なり、釦本体部14と操作部13との結合が強固である。また、操作部13に耐酸性に優れたウレタンゴム成形体を用いたため、金属部15を形成する過程でウレタンゴム成形体の変性がない。そのため、滑り難いグリップ性があって、操作性の良い操作部13と、鏡面光沢に優れる金属部15とが隣接して設けられた、実用性、デザイン性がともに優れたスライド操作釦付きキーシート10が得られる。
上記スライド操作釦付きキーシート10の製造方法、構成については、以下に示すような変更が可能である。
釦本体部14と操作部13の形成は、下型を共通にする二色成形にて行ったが、釦本体部14を成形する一次成形金型にて釦本体部14を形成した後、操作部13成形用の二次成形金型に釦本体部14を移載して、その二次成形金型内で操作部13を成形することで、釦本体部14と固着することもできる。
次に、実施例および比較例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の表1〜表3に示す材料を用いて図9に示すスライド操作釦(11)用の操作部(13)を形成し、次に、所定の硬質樹脂を二次成形して図5で示す構造の成形体を製造した。得られた成形体に、無水クロム酸/硫酸=(400g/リットル)/(400g/リットル)のエッチング液を用い、65℃で10分間浸漬するクロムエッチング工程で表面に微小な凹凸形状を施した後、一般的な中和工程、キャタリスト工程、アクセレーター工程、無電解めっき工程を経て成形体にニッケル金属層を形成し、最後に、一般的な電解めっき工程にてニッケル金属層の表面にさらに最外郭のクロム金属層を形成した。このような条件で湿式めっきを行い金属部(15)を形成した。こうして、図3で表される形状の試料1〜試料17(実施例及び比較例)で示すスライド操作釦(11)を製造した。スライド操作釦(11)には、市販の瞬間接着剤でシリコーンゴムでなるベースシート(12)に固着してスライド操作釦付きキーシート(10)を得た。
操作部(13)となるゴム組成物としては、カプロラクタム系ウレタンゴム組成物は、ディーアイシーバイエルポリマー株式会社製のT−2180N(商品名)、アジペートエステル系ウレタンゴム組成物は、ディーアイシーバイエルポリマー株式会社製のT−1375N(商品名)、スチレン系ゴム組成物は、旭化成ケミカルズ株式会社製のH1221(商品名)、オレフィン系ゴム組成物は、エーイーエス・ジャパン株式会社製の8211−55B100(商品名)、アミド系ゴム組成物は、東京材料株式会社製のPEBAX 2533(商品名)、エステル系ゴム組成物は、東レ・デュポン株式会社製のHytrel 3046(商品名)を、それぞれ用いた。また、釦本体部(14)となる硬質樹脂には、ABS樹脂(「サイコラック3001MHめっきグレード」(商品名:UMG ABS株式会社製)を用いた。
スライド操作釦(11)における操作部(13)の種々の性質について、次のように測定、評価した。その結果も表1〜表3に示した。
「表面状態粗化劣化評価」; 操作部(13)の表面状態を目視にて観察した。金属部(15)の形成前と同じ状態にあり、粗化劣化していないものを○、表面に亀裂が生じたり、硬くなったり、変色したりして、粗化劣化していると見て取れるものを×、と判定した。
「ショアーA硬度」; 操作部(13)の表面硬度を、ショアーA硬度計を用いて測定した。表1〜表3にはその測定値を示した。
「操作性」; 操作部(13)を手で触れて観察した。金属部(15)や未処理の釦本体部(14)(ABS樹脂)表面と同様のつるつる感があり滑り易いと感じられるものを×、金属部(15)や未処理の釦本体部(14)のようなつるつる感が感じられない触感をもつものを○、輪ゴムの持つ触感のようなざらざら感が多少なりとも感じられ滑り難い触感をもつものを◎と判定した。
「摩擦係数」; 操作部(13)となるウレタンゴム成形体の摩擦係数を測定した。ウレタンゴム成形体は、摩擦係数測定用に外周の直径が18mm、内周の直径が12mmの円環状成形体に形成されたものを上記湿式めっき処理を施した後、測定に用いた。バイホールCR1−4(商品名;バイエル社製)の4の面にウレタンゴム成形体を置き、負荷荷重が100g(0.98N)下で速度100mm/分で引張った時の引張り応力を、CPUゲージ(MODEL−9500;アイコーエンジニアリング社製)を使用して測定し、引張り応力/負荷荷重より算出した。
「密着性」; スライド操作釦(11)を繰返操作した際の操作部(13)の剥離情況を観察して判定した。操作部(13)が剥がれることがなく密着性の高いものを○、操作部(13)が剥がれるか、変形して密着性の低いものを×、とした。
表1〜表3に示すように、カプロラクタム系かアジペートエステル系の少なくとも何れかのウレタンゴム組成物で形成した操作部(13)を有する試料1及び試料6は、操作部(13)の表面状態も良く、金属部(15)とは異なる触感を有し操作性が良く、釦本体部(14)との密着性にも優れている。このカプロラクタム系かアジペートエステル系の少なくとも何れかのウレタンゴム組成物に他のゴム組成物を添加した場合、ウレタンゴム組成物との混合割合がスチレン系ゴム組成物であれば60重量%未満、オレフィン系ゴム組成物であれば40重量%未満であれば、耐酸性を保持しつつ、摩擦係数が上昇し、より滑りにくい操作性の良い操作部(13)となる。
ウレタンゴム組成物に添加するスチレン系組成物やオレフィン系組成物に代えて、アミド系ゴム組成物やエステル系ゴム組成物を添加すると、これらの組成物は何れもカプロラクタム系ウレタン組成物やアジペート系ウレタン組成物と相溶する組成物であるが、試料16や試料17で示すように、得られた操作部(13)の表面が粗化劣化している。そのため、アミド系ゴム組成物やエステル系ゴム組成物を加えたものは実用的ではない。
また、表に示していないが、カプロラクタム系かアジペートエステル系の少なくとも何れかのウレタンゴム組成物にオイルを配合した組成物でなるウレタンゴム成形体について、上記各試料と同様にスライド操作釦(11)を製造し評価を行ったところ、湿式めっき処理工程において、ウレタンゴム成形体中からオイルがブリードしてしまった。このため、ウレタンゴム成形体が硬くなり、操作性が良好にならなかった。さらにブリードしたオイルによって、めっき浴を汚染してしまうという問題も生じた。このことから、スチレン系ゴム組成物やオレフィン系ゴム組成物の添加の代わりにオイル添加しても好ましくはないことがわかる。
1 携帯電話機
1a 表面
1b 筐体
1c 孔
1d 表示素子
2 押釦
3a、3b 成形金型
4a、4b 成形金型
4c 注入口
5 基板
6 ホール素子
7 メンブレン型接点スイッチ
8 照光源
10 スライド操作釦付きキーシート
11 スライド操作釦
12 ベースシート
12a 表面
12b 押し子
13 操作部
14 釦本体部
14a 孔
14b 基板対向面
15 金属部
16 塗膜
17 ランナー
18 磁石
1a 表面
1b 筐体
1c 孔
1d 表示素子
2 押釦
3a、3b 成形金型
4a、4b 成形金型
4c 注入口
5 基板
6 ホール素子
7 メンブレン型接点スイッチ
8 照光源
10 スライド操作釦付きキーシート
11 スライド操作釦
12 ベースシート
12a 表面
12b 押し子
13 操作部
14 釦本体部
14a 孔
14b 基板対向面
15 金属部
16 塗膜
17 ランナー
18 磁石
Claims (6)
- 操作釦と該操作釦に固着するゴム状弾性体でなるベースシートとを備え、操作釦への押圧操作でベースシートが変形し操作釦がスライド移動可能なスライド操作釦付きキーシートにおいて、
該操作釦が、樹脂成形体でなる操作釦本体に設けた湿式めっき金属部と、ウレタンゴム成形体でなる操作部と、を有することを特徴とするスライド操作釦付きキーシート。 - 前記ウレタンゴム成形体が、カプロラクタム系又はアジペートエステル系の少なくとも何れかのウレタンゴム組成物から形成される請求項1記載のスライド操作釦付きキーシート。
- 前記湿式めっき金属部と操作部とが隣接している請求項1または請求項2記載のスライド操作釦付きキーシート。
- 前記操作部が、前記操作釦本体の中央位置に設けてある請求項1〜請求項3何れか1項記載のスライド操作釦付きキーシート。
- 前記操作釦本体と前記操作部とを透光性とする請求項1〜請求項4何れか1項記載のスライド操作釦付きキーシート。
- 樹脂成形体でなる操作釦本体に設けた湿式めっき金属部とウレタンゴム成形体でなる操作部とを有する操作釦と、該操作釦に固着するゴム状弾性体でなるベースシートとを備え、操作釦への押圧操作でベースシートが変形し操作釦がスライド移動可能なスライド操作釦付きキーシートの製造方法において、
無電解めっきが付く操作釦本体にウレタンゴム成形体を固着した後、該操作釦本体に湿式めっきにより金属部を形成することを特徴とするスライド操作釦付きキーシートの製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005215162A JP2007035383A (ja) | 2005-07-25 | 2005-07-25 | スライド操作釦付きキーシート及びその製造方法 |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2007035383A true JP2007035383A (ja) | 2007-02-08 |
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JP2005215162A Withdrawn JP2007035383A (ja) | 2005-07-25 | 2005-07-25 | スライド操作釦付きキーシート及びその製造方法 |
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JP2010135149A (ja) * | 2008-12-03 | 2010-06-17 | Alps Electric Co Ltd | 多方向入力装置 |
JP2015066351A (ja) * | 2013-09-30 | 2015-04-13 | オムロン株式会社 | 操作ユニットおよび遊技機 |
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- 2005-07-25 JP JP2005215162A patent/JP2007035383A/ja not_active Withdrawn
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