JP2007032704A - オートテンショナ - Google Patents

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JP2007032704A JP2005216914A JP2005216914A JP2007032704A JP 2007032704 A JP2007032704 A JP 2007032704A JP 2005216914 A JP2005216914 A JP 2005216914A JP 2005216914 A JP2005216914 A JP 2005216914A JP 2007032704 A JP2007032704 A JP 2007032704A
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Tomokazu Ishida
智和 石田
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Abstract

【課題】自動車エンジンの回転ムラに起因する伝達ベルトの小さな張力変動による内部発熱や摩耗が低減されたオートテンショナを提供する。
【解決手段】可動部材4のアーム部に設けられるとともにベルトに接触可能なプーリ5と、可動部材4をハウジング材に対し所定方向に付勢するコイルバネと、可動部材4とハウジング材との間に介装され、可動部材4の揺動を減衰させる筒状体の摩擦材9と、を備える。可動部材4の摩擦材9に対向する面にキー溝30が刻設され、他方に当該キー溝30と周方向において間隙を有する状態で遊嵌するキー31が突設される。摩擦材9の外周面の摩擦係数は、内周面の摩擦係数よりも小さく設定されている。キー31とキー溝30が当接していないときには、摩擦係数の小さな外周面を摺動させる。キー31とキー溝30が当接しているときには、摩擦係数の大きな内周面を摺動させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、ベルトの張力を自動的に適度に保つオートテンショナの構成に関する。
例えば自動車エンジンの補機駆動のためのベルトにおいては、エンジン燃焼に起因する回転変動によってベルトの滑りが発生し、その発音や摩耗などの問題が指摘されている。これを解決するために、従来から、ベルトの張力を一定に保つための機構として、オートテンショナが採用されている。
このようなオートテンショナについては、ベルトが使用に伴って摩耗したり伸びたりしてベルト張力が低下した場合には、即座にオートテンショナがベルト張力を増加させるように作用し、一方、ベルト張力が増加した場合には、ベルトを弛ませる方向へオートテンショナが動きにくいことが要求されている。
これらの要求される性能に対して一般的に、エンジンの回転数が大きく増減した条件を想定して、オートテンショナのダンピングトルク値(減衰値)を大きく設定する傾向にあった。
この種のオートテンショナは、例えば特許文献1に開示されているものがある。この特許文献1の構成は、固定部材と、プーリを有し、該プーリがベルトを押圧する方向に移動可能に上記固定部材により支持された可動部材(回動部材)と、上記固定部材および可動部材間に介装される、付勢手段及び円筒状のダンピング部材とを備えるものである。当該ダンピング材を、高温時の寸法安定性・耐摩耗性に優れた樹脂組成物とすることで、高温時の寸法変化に起因するトルク変動や、摺動部分での摩擦増大で内部発熱して寿命が低下したり騒音が発生する等の事態が生じ難くなる、とされている。
また上記オートテンショナは、ベルト張力が急激に増大したときには回動部材の回動がダンピング部材により抑えられ、即ち摺動部分での摩耗が抑制されるので、内部発熱による寿命の低下を抑制する、とされている。
特開平8−42649号公報(請求項1、第7カラム第5〜10行目、同じく第35〜38行目)
しかしながら上記特許文献1に開示されるような一般的なオートテンショナは、回転変動が大きく、即ち回動部材の揺動が大きくなる条件に基づいて設計されているので、上記ダンピング部材は常に大きな摩擦力を発生するようになっている。このため、揺動が小さいときでも大きな減衰力(ダンピングともいう。)が不必要に発生し続けるため、過剰な摩擦によって内部発熱を生じ、寿命の低下に繋がっていた。
本発明は係る諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、可動部材の揺動を抑制しつつ、摩擦材による内部発熱が低減されたオートテンショナを提供することにある。
課題を解決するための手段及び効果
上記の目的を達成するため、本発明は以下のように構成される。
ハウジング材と、このハウジング材に回動自在に支持されるアーム状の可動部材と、この可動部材のアーム部に設けられるとともにベルトに接触可能なプーリと、前記可動部材をハウジング材に対し所定方向に付勢するコイルバネと、前記可動部材と前記ハウジング材との間に介装され、前記可動部材の揺動を減衰させる筒状体の摩擦材と、を備えたオートテンショナにおいて、前記摩擦材の前記可動部材に対向する面、又は当該可動部材の当該摩擦材に対向する面のうち何れか一方にキー溝が刻設され、他方に当該キー溝と周方向において間隙を有する状態で遊嵌するキーが突設され、前記摩擦材の外周面又は内周面のうち前記のキー又はキー溝が設けられている面の摩擦係数は、他方の面の摩擦係数よりも小さく設定されており、前記のキーとキー溝が当接していないときには、前記摩擦材の外周面又は内周面のうち、摩擦係数の小さな面を摺動させ、前記のキーとキー溝が当接しているときには、前記摩擦材の外周面又は内周面のうち、摩擦係数の大きな面を摺動させる。
これにより、前記可動部材の揺動が大きいときには、摩擦係数の大きな面を摺動させるので、大きな摩擦力(制動力)が発生して当該可動部材の揺動を強力に抑制する。一方、当該揺動が小さいときには、摩擦係数の小さな面を摺動させるので、小さな摩擦力しか発生しない。言い換えれば、前記摩擦材による摩擦力を揺動の程度に応じて適宜、切替可能に構成されているので、摩擦による摩耗と内部発熱が低減され、当該摩擦材の寿命を延ばすことができる。
ハウジング材と、このハウジング材に回動自在に支持されるアーム状の可動部材と、この可動部材のアーム部に設けられるとともにベルトに接触可能なプーリと、前記可動部材をハウジング材に対し所定方向に付勢するコイルバネと、前記可動部材と前記ハウジング材との間に介装され、前記可動部材の揺動を減衰させる筒状体の摩擦材と、を備えたオートテンショナにおいて、前記摩擦材の前記ハウジング材に対向する面、又は当該ハウジング材の当該摩擦材に対向する面のうち何れか一方にキー溝が刻設され、他方に当該キー溝と周方向において間隙を有する状態で遊嵌するキーが突設され、前記摩擦材の外周面又は内周面のうち前記のキー又はキー溝が設けられている面の摩擦係数は、他方の面の摩擦係数よりも小さく設定されており、前記のキーとキー溝が当接していないときには、前記摩擦材の外周面又は内周面のうち、摩擦係数の小さな面を摺動させ、前記のキーとキー溝が当接しているときには、前記摩擦材の外周面又は内周面のうち、摩擦係数の大きな面を摺動させる。
これにより、前記可動部材の揺動が大きいときには、摩擦係数の大きな面を摺動させるので、大きな摩擦力(制動力)が発生して当該可動部材の揺動を強力に抑制する。一方で、当該揺動が小さいときには、摩擦係数の小さな面を摺動させるので、小さな摩擦力しか発生しない。言い換えれば、前記摩擦材による摩擦力を揺動の程度に応じて適宜、切替可能に構成されているので、摩擦による摩耗と内部発熱が低減され、当該摩擦材の寿命を延ばすことができる。
前記摩擦材は、摩擦係数の異なる2以上の層から成る多層構造であることが好ましい。
これにより、前記摩擦材が、摩擦係数の異なる材質の層を単に貼り合わせるだけで構成されているので、簡素な構成であって、製造も容易である。
前記可動部材と前記摩擦材との当接面、又は当該摩擦材と前記ハウジング材との当接面のうち少なくとも何れか一方はテーパ円錐状に形成されていることが好ましい。
これにより、オートテンショナの組立性を良好にできる。
前記可動部材と前記摩擦材との当接面、又は当該摩擦材と前記ハウジング材との当接面のうち少なくとも何れか一方はストレート円筒状に形成されていることが好ましい。
これにより、オートテンショナの加工性を良好にできる。
前記ベルトは、車両用エンジンの動力を伝達するものであって、前記のキーとキー溝を当接させずに前記可動部材が前記ハウジング材に対して揺動可能な角度変位は5°以下であることが好ましい。
これにより、エンジンの回転変動が小さく前記可動部材の揺動が小さいときには、摩擦係数の小さな面を摺動させ、一方、エンジンの回転変動が大きく前記可動部材の揺動が大きいときには、摩擦係数の大きな面を摺動させるので、上述の効果をより確実に発揮させることができる。
前記可動部材が前記ハウジング材に対して揺動することで当接する前記のキーとキー溝との当たり面のうち少なくとも何れか一方の面の傾斜角が、前記摩擦材の円弧に対して20°以上60°以下であることが好ましい。
これにより、前記のキーとキー溝が当接すると、前記摩擦材が前記の可動部材又はハウジング材に強力に押し付けられるので、摩擦力を確実に発生させることができる。また、当該摩擦力が増大されるとも言い換えられるので、上記角度の範囲内に傾斜角が設定された当たり面において前記のキーとキー溝とが当接する方向への前記可動部材の回動を抑制できる。
前記可動部材が前記ハウジング材に対して揺動することで当接する前記のキーとキー溝との当たり面のうち少なくとも何れか一方の面の傾斜角が、前記摩擦材の円弧に対して70°以上90°以下であることが好ましい。
これにより、前記のキーとキー溝が当接したときの、前記摩擦材の前記の可動部材又はハウジング材に対する押圧力が過大にならないので、発生する摩擦力を適度な大きさにすることができる。また、当該摩擦力があまり大きくならないので、上記角度の範囲内に傾斜角が設定された当たり面において前記のキーとキー溝とが当接する方向への前記可動部材の回動がスムーズになる。
以下、発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係るオートテンショナの全体的な構成を示した軸断面図、図2(a)及び図2(b)は図1のX矢視端面図であって蓋体が図略され、さらに模式的に描かれたもの、図3は図1に示される摩擦材の斜視図、図4(a)は図2中の要部拡大図、図4(b)は図4(a)の変形例である。
図1に示すオートテンショナ1は、鎖線で略示するエンジンブロック2に図略のボルト等によって固着される有底筒状のハウジング材3と、このハウジング材3に回動自在に支持されるアーム状の可動部材4と、を備えている。可動部材4のアーム部の先端には、鎖線で略示するように、プーリ5が回転自在に支持される。このプーリ5の外周面は、車両用エンジンのクランクシャフトに巻回され、当該クランクシャフトの動力をオルタネータに伝達するための図略のベルトに当接している。そして、上記可動部材4は後述のコイルバネ14によりハウジング材3に対して一側に回動付勢されており、これにより前記プーリ5は、前記ベルトに適宜の張力を付与するように構成されている。
前記のハウジング材3は、外筒6と内筒7とを備える二重筒構造とされており、外筒6及び内筒7の間に前記の可動部材4の基筒8が挿入されている。この結果、可動部材4は、回動中心Cまわりに回動自在(揺動自在)とされている。なお前記内筒7は、可動部材4のハウジング材3に対する取り付けを容易とするために、外筒6と分離可能となっており、組み立ての際に当該内筒7の基端部がハウジング材3の内底面に穿設された孔(又は凹設された凹部)に圧入されるようになっている。
前記可動部材4(前記基筒8の内周面)と前記ハウジング材3(前記内筒7)との間には筒状体の摩擦材9が介装され、可動部材4の揺動に対して適宜の摩擦力(制動力・減衰力)を発生させるようになっている(図2及び図3も併せて参照)。内筒7の先端には蓋体10が設置され、これにより前記摩擦材9は外部から遮蔽されている。なお、前記可動部材4と前記摩擦材9との当接面、及び当該摩擦材9と前記内筒7との当接面は、何れも当該内筒7の基端側へ向かって狭まるようなテーパ円錐状に形成されている。即ち可動部材4と摩擦材9、及び摩擦材9と内筒7は、それぞれ互いにテーパ係合するよう構成されている。
前記の基筒8の外周側であって前記外筒6の内周側において、前記ハウジング材3の内底面及び前記可動部材4には、互いに対向する環状のバネ収容溝12・13が形成される。
前記の可動部材4とハウジング材3の内底面との間には、付勢部材ないし弾性体としてのコイルバネ14が設置される。コイルバネ14のバネ線の一端はハウジング材3のバネ収容溝12に、他端は可動部材4のバネ収容溝13に、それぞれ係止される。このコイルバネ14は、可動部材4をハウジング材3に対して一側の方向(前記のベルトを張る方向)に回動付勢する付勢力を作用させるように構成されている。
前記可動部材4の前記摩擦材9に対向する面、即ち前記基筒8の内周面には、キー溝30が円錐母線方向に沿って刻設されている(図2も併せて参照)。また当該摩擦材9の当該可動部材4に対向する面、即ち摩擦材9の外周面(以下、外摺動面Aともいう。)には、当該キー溝30と周方向において間隙を有する状態で遊嵌するキー31が突設されている(図2及び図3も併せて参照)。より具体的には当該摩擦材9が基筒8に対して5°だけ相対的に回転できるように当該キー31は前記キー溝30に遊嵌している。言い換えれば、前記のキー31とキー溝30を当接させずに前記可動部材4が前記ハウジング材3に対して揺動可能な角度変位は5°以下、即ち最大5°となっている。
前記の摩擦材9はその外摺動面Aと内摺動面B(内周面)の摩擦係数が異なっており、具体的には前記キー31が突設されている外摺動面Aの摩擦係数は、他方、即ち内摺動面Bの摩擦係数よりも小さく設定されている。当該摩擦材9の素材は、ポリアセタール・ポリアリレート・ナイロン等の耐摩耗性や耐熱性に優れた樹脂であることが好ましい。また当該摩擦材9の外摺動面A及び内摺動面Bの摩擦係数に違いを持たせるためには、例えば両摺動面A・Bの表面粗さに差異を持たせたり、表面に適宜のコーティング材を塗布したり、又は摩擦材9を摩擦係数の異なる複数の材料(層)の貼り合わせによる多層構造(例えば、2層構造)にしたり、などが考えられ特に制限はない。
図4(a)に示すように、前記可動部材4が揺動したときに当接する前記のキー31及びキー溝30の当たり面は、その傾斜角βが前記の摩擦材9の円弧に対して20°以上60°以下となるように形成されている。より具体的には本実施形態において上記傾斜角βはより好適な45°〜50°程度となっている。
なお、上記の当たり面とは、前記可動部材4がベルトを張るような方向(ベルトの張力を増大させる方向:張り方向ともいう。)に回動した際に当接する面、及びベルトを弛ませる方向(ベルトの張力を減少させる方向:弛み方向ともいう。)に回動した際に当接する面のそれぞれのことをいう。
図4(b)に示されるキー31及びキー溝30の変形例は、後述する。
以上の構成の動作を説明する。
図2(a)に示すように前記のキー31とキー溝30とが当接していないとき、即ち前記可動部材4の揺動の程度が小さいときには、前記摩擦材9の内摺動面Bは摺動させず、比して摩擦係数の小さな外摺動面Aのみを摺動させる。言い換えれば、アーム部を有する可動部材4が摩擦材9のキー31に当接するまでの微小相対角変位においては、代表的な摺動面(以下、主摺動面ともいう。)は比して摩擦係数の小さな外摺動面Aである。従って可動部材4とハウジング材3との間には小さな摩擦力しか発生しない。
一方、図2(b)に示すように前記のキー31とキー溝30とが当接しているとき、即ち前記可動部材4の揺動の程度が大きいときには、当該可動部材4と前記摩擦材9との円周方向における相対的な角変位が上記当接により規制されているので、当該摩擦材9の外摺動面Aは摺動させず、比して摩擦係数の大きな内摺動面Bのみを強制的に摺動させる。言い換えれば、可動部材4が摩擦材9のキー31に当接した後は、上記の主摺動面は外摺動面Aではなく、比して摩擦係数の大きな内摺動面Bへと切り替わる。これにより可動部材4とハウジング材3との間に大きな摩擦力(制動力)が発生して、当該可動部材4の揺動を強力に抑制する。
言い換えれば、前記摩擦材9による摩擦力を前記可動部材4の揺動の程度に応じて適宜、切替可能に構成されているので、摩擦による摩耗と内部発熱が低減され、当該摩擦材9の寿命を延ばすことができる。
さらに言い換えれば、車両用エンジンの回転ムラに起因する伝達ベルトの小さな張力変動によるオートテンショナ1の内部発熱や摩耗が低減されることとなる。
上述した2つの摺動態様を、図5(a)及び(b)に基づいてさらに詳細に説明する。
図5(a)及び(b)はオートテンショナのトルクヒステリシス特性を示す図であり、図5(a)は図2(a)の摺動態様に対応するトルクヒステリシス特性を示し、図5(b)は図2(b)の摺動態様に対応するトルクヒステリシス特性を示している。なお図5(a)及び(b)において前記可動部材4のハウジング材3に対する相対角速度は説明の便宜上、一定とする。
図5(a)に示すように前記可動部材4のハウジング材3に対する相対角変位が小さいとき、即ちヒステリシスループの図における横幅が狭いときは、前記のキー31及びキー溝30とが当接しないので(図2(a)も併せて参照)、上述の如く摩擦材9は外摺動面Aにおいてのみ摺動する結果、当該可動部材4の揺動に対する制動トルクは、コイルバネ14による弾性力および外摺動面Aにおける摩擦力のみから成るトルクヒステリシス特性を有することとなる。
一方、図5(b)に示すように上記相対角変位が大きいとき、即ちヒステリシスループの横幅が広いときは、本実施形態において相対角変位が5°を越えた時点から前記のキー31とキー溝30とが当接するので(図2(b)も併せて参照)、同トルクヒステリシス特性は、上記のものとは異なるものとなる。即ち、当該トルクヒステリシス特性は、コイルバネ14の弾性力と外摺動面Aによる小さな摩擦力から成る領域RAと、コイルバネ14の弾性力と内摺動面Bによる大きな摩擦力から成る領域RBとの2つの領域RA・RBを組み合わせて表される所謂複合ダンピングとしての特性を有している。
前記摩擦材9による摩擦力を前記可動部材4の揺動の程度に応じて適宜、切替可能に構成されていると上述したが、言い換えれば、前記揺動の程度に応じて、性質の全く異なるトルクヒステリシス特性を呈するようにオートテンショナ1が構成されているともいえる。即ち、前記揺動の程度に応じて適宜、トルクヒステリシス特性を切替可能に構成されているとも言える。
なお上記の相対角変位が大きい場合、即ち前記可動部材4の回転変動が大きい場合(図5(b)参照)において、ベルトの張力変動に伴って前記可動部材4の回動方向が例えば張り方向から弛み方向へ切り替わるとき(本図において符号XXで示す)は、一時的に上記主摺動面が内摺動面Bから外摺動面Aに切り替わる(本図において符号YYで示す)。即ち可動部材4が張り方向へ回動していたときに当接していた前記のキー31とキー溝30とが離隔される。そして、可動部材4が弛み方向へ5°回動し終えたときに、他方の当接面において再度キー31とキー溝30とが当接する結果、再び内摺動面Bにおいて摺動することとなる(図2及び図4も併せて参照)。
ここで上述したように、前記ベルトは、車両用エンジンのクランクシャフトに巻回されるものであって、前記のキー31とキー溝30を当接させずに前記可動部材4が揺動可能な角度変位は5°以下であることが好ましい。これにより、エンジンの回転変動が小さく前記可動部材4の揺動が小さいときには、摩擦係数の小さな面(外摺動面A)を摺動させ、一方、エンジンの回転変動が大きく前記可動部材4の揺動が大きいときには、摩擦係数の大きな面(内摺動面B)を摺動させるので、上述の効果をより確実に発揮させることができる。
またこれに限らず、当接なしに当該可動部材4が揺動可能な上記角度変位は、エンジンの回転ムラの程度に応じて適宜選択できる。
また上述したように、前記可動部材4と前記摩擦材9との当接面、又は当該摩擦材9と前記ハウジング材3との当接面のうち少なくとも何れか一方がテーパ円錐状に形成されていることが好ましい。これにより、オートテンショナ1の組立性を良好にできる。
また本実施形態のように、上記の両当接面が共にテーパ円錐状に形成されていても勿論よい。さらにそのテーパ角が共に同一であれば、筒状体の当該摩擦材9の肉厚を一定とできるので、摩擦材9の加工性を良好にできる。
さらには本実施形態のように前記当接面が前記内筒7の基端方向へ向かって狭まるテーパ円錐状に形成されていることに代えて、当該内筒7の先端方向へ向かって狭まるテーパ円錐状に形成されていてもよい。テーパ円錐状の当接面の狭まる方向は、特にオートテンショナ1の組立容易性を考慮して検討することが望ましい。
また上述したように、前記可動部材4が前記ハウジング材3に対して揺動することで当接する前記のキー31とキー溝30との当たり面のうち少なくとも何れか一方の面の傾斜角βが、前記摩擦材9の円弧に対して20°以上60°以下であることが好ましい(図4(a)参照)。これにより、前記のキー31とキー溝30が当接すると、(i)当該摩擦材9の前記可動部材4に対向する面にキー31(又はキー溝30)が設けられている場合は前記ハウジング材3に、(ii)当該摩擦材9の前記ハウジング材3に対向する面にキー31(又はキー溝30)が設けられている場合は前記可動部材4に、摩擦材9が強力に押し付けられるので、摩擦力を確実に発生させることができる。また、摩擦力が増大されるとも言い換えられるので、上記角度の範囲内に傾斜角βが設定された当たり面において前記のキー31とキー溝30とが当接する方向への前記可動部材4の回動を抑制できる。
また本実施形態のように、上記の両当たり面の傾斜角βが共に前記摩擦材9の円弧に対して20°以上60°以下であっても勿論よい。これにより、前記可動部材4が張り方向・弛み方向のどちらの方向へ回動しようとも、摩擦力を確実に発生させることができる。
また図4(b)に示すように、当該当たり面のうち少なくとも何れか一方の面の傾斜角βが、前記摩擦材9の円弧に対して70°以上90°以下であってもよい。この場合でも同様に両当たり面がこの角度の範囲内であってもよい。これにより、前記のキー31とキー溝30が当接したときの、前記摩擦材9の前記の可動部材4(又はハウジング材3)に対する押圧力が過大とならないので、発生する摩擦力を適度な大きさにすることができる。また、当該摩擦力があまり大きくならないので、上記角度の範囲内に傾斜角βが設定された当たり面において前記のキー31とキー溝30とが当接する方向への前記可動部材4の回動がスムーズになる。
以上のように前記当たり面の角度を所定の角度の範囲内に設定することによって、前記摩擦材9が発生する摩擦力を自由に調節でき、例えば図4(b)に示すような構成は以下の効果を奏する。
即ち、前記可動部材4が張り方向に回動した際の当たり面の角度を70°以上90°以下とし、弛み方向のそれを20°以上60°以下とする。これにより、ベルトが摩耗や伸びのために弛みが出た場合に、張り方向には容易に動き、弛み方向に殆ど動かない理想的なオートテンショナ1を提供できる。言い換えれば、ワンウェイクラッチのような回転方向制限機構を備えたオートテンショナ1を提供することができる。
尚この場合、図5(b)において示される内摺動面Bの摩擦力が、前記張り方向においては勿論減少することとなる。
また本実施形態において前記キー溝30は、前記可動部材4の前記摩擦材9に対向する面に刻設されているとしたが、これに限ることはなく、例えば当該摩擦材9の当該可動部材4に対向する面に刻設されていてもよい。この場合は、当該キー溝30と遊嵌する前記キー31は、可動部材4の摩擦材9に対向する面(即ち可動部材4の内周面)に突設されることとなる。
同様に当該キー溝30は、摩擦材9の前記ハウジング材3に対向する面に刻設されていてもよいし、又は当該ハウジング材3の摩擦材9に対向する面に刻設されていても勿論よい。この場合も、当該キー溝30と遊嵌するキー31は、キー溝30が刻設されている面と対向する面に突設されることは勿論である。
ただし、いずれの場合においても、摩擦材9の外周面又は内周面のうち前記のキー31又はキー溝30が設けられている面の摩擦係数は、他方の面の摩擦係数より小さく設定される必要がある。そうでなければ、キー溝30に遊嵌するキー31が当該キー溝30内において周方向において移動する以前に、専ら摩擦係数の比して小さい他方の周面を摺動させてしまうからである。
以上に本発明の好適な実施形態を説明したが、上記の実施形態は以下のように変更して実施することができる。
図6には上記実施形態の変形例が示される。この変形例が上記の実施形態と異なる点は、主要には、内筒7・摩擦材9・基筒8の何れもがストレート円筒状に形成されており、また、内筒7と外筒6とが一体的に形成されている点である。言い換えれば、前記可動部材4と前記摩擦材9との当接面、及び(又は、でもよい。)当該摩擦材9と前記ハウジング材3との当接面がストレート円筒状に形成されている。これにより、テーパ円錐面がないことから、前記の可動部材4やハウジング材3の加工性を良好にできる。また、当該摩擦材9がテーパ角のない円筒状となることから、生産性を良好にできる。さらには、ハウジング材3を構成するための部品点数が削減されるので、より安価なオートテンショナ1を提供できる。
本発明の一実施形態に係るオートテンショナの全体的な構成を示した軸断面図。 図1のX矢視端面図であって蓋体が図略され、さらに模式的に描かれたもの。 図1に示される摩擦材の斜視図。 (a)は図2中の要部拡大図、(b)は(a)の変形例。 (a)及び(b)はオートテンショナのトルクヒステリシス特性を示す図。 オートテンショナの変形例を示す図。
符号の説明
1 オートテンショナ
3 ハウジング材
4 可動部材
5 プーリ
9 摩擦材
30 キー溝
31 キー

Claims (8)

  1. ハウジング材と、このハウジング材に回動自在に支持されるアーム状の可動部材と、この可動部材のアーム部に設けられるとともにベルトに接触可能なプーリと、前記可動部材をハウジング材に対し所定方向に付勢するコイルバネと、前記可動部材と前記ハウジング材との間に介装され、前記可動部材の揺動を減衰させる筒状体の摩擦材と、を備えたオートテンショナにおいて、
    前記摩擦材の前記可動部材に対向する面、又は当該可動部材の当該摩擦材に対向する面のうち何れか一方にキー溝が刻設され、他方に当該キー溝と周方向において間隙を有する状態で遊嵌するキーが突設され、
    前記摩擦材の外周面又は内周面のうち前記のキー又はキー溝が設けられている面の摩擦係数は、他方の面の摩擦係数よりも小さく設定されており、
    前記のキーとキー溝が当接していないときには、前記摩擦材の外周面又は内周面のうち、摩擦係数の小さな面を摺動させ、
    前記のキーとキー溝が当接しているときには、前記摩擦材の外周面又は内周面のうち、摩擦係数の大きな面を摺動させる、ことを特徴とするオートテンショナ。
  2. ハウジング材と、このハウジング材に回動自在に支持されるアーム状の可動部材と、この可動部材のアーム部に設けられるとともにベルトに接触可能なプーリと、前記可動部材をハウジング材に対し所定方向に付勢するコイルバネと、前記可動部材と前記ハウジング材との間に介装され、前記可動部材の揺動を減衰させる筒状体の摩擦材と、を備えたオートテンショナにおいて、
    前記摩擦材の前記ハウジング材に対向する面、又は当該ハウジング材の当該摩擦材に対向する面のうち何れか一方にキー溝が刻設され、他方に当該キー溝と周方向において間隙を有する状態で遊嵌するキーが突設され、
    前記摩擦材の外周面又は内周面のうち前記のキー又はキー溝が設けられている面の摩擦係数は、他方の面の摩擦係数よりも小さく設定されており、
    前記のキーとキー溝が当接していないときには、前記摩擦材の外周面又は内周面のうち、摩擦係数の小さな面を摺動させ、
    前記のキーとキー溝が当接しているときには、前記摩擦材の外周面又は内周面のうち、摩擦係数の大きな面を摺動させる、ことを特徴とするオートテンショナ。
  3. 前記摩擦材は、摩擦係数の異なる2以上の層から成る多層構造である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のオートテンショナ。
  4. 前記可動部材と前記摩擦材との当接面、又は当該摩擦材と前記ハウジング材との当接面のうち少なくとも何れか一方はテーパ円錐状に形成されている、ことを特徴とする請求項1〜3の何れか記載のオートテンショナ。
  5. 前記可動部材と前記摩擦材との当接面、又は当該摩擦材と前記ハウジング材との当接面のうち少なくとも何れか一方はストレート円筒状に形成されている、ことを特徴とする請求項1〜3の何れか記載のオートテンショナ。
  6. 前記ベルトは、車両用エンジンの動力を伝達するものであって、
    前記のキーとキー溝を当接させずに前記可動部材が前記ハウジング材に対して揺動可能な角度変位は5°以下である、ことを特徴とする請求項1〜5の何れか記載のオートテンショナ。
  7. 前記可動部材が前記ハウジング材に対して揺動することで当接する前記のキーとキー溝との当たり面のうち少なくとも何れか一方の面の傾斜角が、前記摩擦材の円弧に対して20°以上60°以下である、ことを特徴とする請求項1〜6の何れか記載のオートテンショナ。
  8. 前記可動部材が前記ハウジング材に対して揺動することで当接する前記のキーとキー溝との当たり面のうち少なくとも何れか一方の面の傾斜角が、前記摩擦材の円弧に対して70°以上90°以下である、ことを特徴とする請求項1〜7の何れか記載のオートテンショナ。
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