JP2007032343A - 内燃機関の燃料噴射量制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ポート噴射弁と筒内噴射弁とを備えたデュアルインジェクションシステムにおいて、燃料挙動モデル式に使用される燃料挙動パラメータ(残留率Pv、付着率Rv)の値を噴射割合の調整により積極的に制御して空燃比を目標空燃比に安定して一致させること。
【解決手段】 この燃料噴射量制御装置は、燃料挙動に影響を与えるポート噴射割合Rに応じて燃料挙動パラメータPv,Rvの値を変更する。この装置は、ポート噴射割合Rを機関の運転状態に依存する基本噴射割合R1とした場合のPv,Rvの値が燃料挙動モデル式から算出される燃料付着量の値を「振動することなく収束する安定した解」とするために必要な安定範囲内となる場合、ポート噴射割合Rとして基本噴射割合R1を使用し、ポート噴射割合R=R1とした場合のPv,Rvの値が安定範囲外となる場合、Pv,Rvの値を安定範囲内とするためにポート噴射割合Rを基本噴射割合R1以外の値(「1」)に変更する。
【選択図】 図5
【解決手段】 この燃料噴射量制御装置は、燃料挙動に影響を与えるポート噴射割合Rに応じて燃料挙動パラメータPv,Rvの値を変更する。この装置は、ポート噴射割合Rを機関の運転状態に依存する基本噴射割合R1とした場合のPv,Rvの値が燃料挙動モデル式から算出される燃料付着量の値を「振動することなく収束する安定した解」とするために必要な安定範囲内となる場合、ポート噴射割合Rとして基本噴射割合R1を使用し、ポート噴射割合R=R1とした場合のPv,Rvの値が安定範囲外となる場合、Pv,Rvの値を安定範囲内とするためにポート噴射割合Rを基本噴射割合R1以外の値(「1」)に変更する。
【選択図】 図5
Description
本発明は、内燃機関の燃料噴射量制御装置に関する。
近年、燃焼効率の向上、低燃費化、機関始動時の始動性の確保等のために、吸気弁よりも上流の吸気通路に燃料を噴射する燃料噴射弁(以下、「ポート噴射弁」と称呼する。)と、燃焼室内(以下、「筒内」と称呼することもある。)に燃料を直接噴射する燃料噴射弁(以下、「筒内噴射弁」と称呼する。)とを共に備えた内燃機関(以下、「機関」と称呼することもある。)が開発されてきている。
以下、このように、気筒毎にポート噴射弁と筒内噴射弁との2つの燃料噴射弁を備えたシステムを「デュアルインジェクションシステム」と呼ぶ。また、上記ポート噴射弁から噴射される燃料の量を「ポート噴射量」と、上記筒内噴射弁から噴射される燃料の量を「筒内噴射量」と呼ぶことにする。
ところで、ポート噴射弁から噴射された燃料の一部は、吸気系(具体的には、吸気管の壁面、吸気弁の傘部等。以下、「吸気通路構成部材」と総称する。)に付着する。このため、例えば、下記特許文献1に記載の内燃機関の制御装置は、吸気通路構成部材への燃料付着量についての漸化式である下記(1)式にて表される燃料挙動モデルを利用して一サイクル毎に同燃料付着量を推定・更新するようになっている。ここで、fwは上記燃料付着量、fiは上記ポート噴射量、Pは付着している燃料の残留率(0≦P(k)<1)、Rは吸気通路構成部材に付着する燃料の付着率(0≦R(k)<1)、kはサイクル数である。P,Rは燃料挙動パラメータとも称呼される。
特開2004−353466号公報
fw(k+1)=P(k)・fw(k)+R(k)・fi(k) ・・・(1)
そして、上記文献に記載の装置は、機関に供給される混合気の空燃比(以下、「空燃比」と称呼する。)を目標空燃比と一致させるために吸気通路から筒内に流入すべき燃料の量(必要ポート流入燃料量Fc)を求め、下記(2)式にて表される燃料挙動逆モデルを利用して上記必要ポート流入燃料量Fcの燃料を筒内に流入させるために必要なポート噴射量fiを決定するようになっている。
fi(k)=(Fc(k)−(1−P(k))・fw(k))/(1−R(k)) ・・・(2)
ここで、上記吸気通路構成部材に付着する燃料の挙動は、機関の運転状態に応じて変動する。従って、上記文献に記載の装置では、燃料挙動パラメータP,Rは、上記燃料の挙動に影響を与える因子である機関の運転速度、筒内に吸入される空気量、機関の冷却水の温度等(以下、「基本因子」と称呼する。)を引数とする基本テーブルの検索により決定されるようになっている。これにより、燃料挙動パラメータP,Rは、機関の運転状態(具体的には、上記基本因子の値)に応じて変化するようになっている。
ところで、上記燃料挙動逆モデルを表す上記(2)式を利用してポート噴射量fiを決定していく場合、上記燃料挙動パラメータP,Rにおいては、上記(1)式にて更新されていく燃料付着量fwの値を安定した解とするため(即ち、上記(2)式にて更新されていくポート噴射量fiの値を安定した解とするため)に必要な範囲(以下、「安定範囲」と称呼する。)が存在する。以下、係る安定範囲について説明する。
先ず、上記(2)式で表されるfi(k)を上記(1)式に代入して整理すると下記(3)式が得られる。下記(3)式においてサイクル数kを「1」だけ戻すと、下記(4)式が得られる。
fw(k+1)=((P(k)−R(k))/(1−R(k)))・fw(k)+(R(k)/(1−R(k)))・Fc(k) ・・・(3)
fw(k)=((P(k−1)−R(k−1))/(1−R(k−1)))・fw(k−1)
+(R(k−1)/(1−R(k−1)))・Fc(k−1) ・・・(4)
+(R(k−1)/(1−R(k−1)))・Fc(k−1) ・・・(4)
いま、機関が定常運転状態にあるものと仮定すると、P(k)=P(k−1)=P、R(k)=R(k−1)=R、Fc(k)=Fc(k−1)と置くことができる。これらの関係を利用しながら、上記(3)式の両辺から上記(4)式の両辺を減じると、下記(5)式を得ることができる。下記(5)式において、dfw(k+1)=fw(k+1)−fw(k)と置くと、下記(6)式が得られる。
fw(k+1)−fw(k)=((P−R)/(1−R))・(fw(k)−fw(k−1)) ・・・(5)
dfw(k+1)=((P−R)/(1−R))・dfw(k) ・・・(6)
dfw(k+1)=((P−R)/(1−R))・dfw(k) ・・・(6)
ここで、燃料付着量fwの値が或る値に収束するとすると、サイクル数kを無限大としたときdfw(k)は「0」に収束する。従って、燃料付着量fwの値が収束するためには、下記(7)式で表される条件が成立する必要がある。下記(7)式に上記(6)式で表されるdfw(k+1)を代入すると下記(8)式を得ることができ、下記(8)式から下記(9)式を得ることができる。
−dfw(k)<dfw(k+1)<dfw(k) ・・・(7)
−1<(P−R)/(1−R)<1 ・・・(8)
−1<(P−R)/(1−R)<1 ・・・(8)
R<(P+1)/2 ・・・(9)
上記(9)式は、燃料付着量fwの値を収束させるために必要な上記燃料挙動パラメータP,Rの範囲を表している。この範囲は、図11における斜線で示された領域Aに対応する。換言すれば、上記燃料挙動パラメータP,Rの値が図11における領域Aの外(領域B)にある場合、燃料付着量fwの値が収束しない。
更に、燃料付着量fwの値を振動することなく収束させるため(即ち、燃料付着量fwの値を安定した解とするため)には、下記(10)式で表される条件が成立する必要がある。下記(10)式に上記(6)式で表されるdfw(k+1)を代入すると下記(11)式を得ることができる。
0≦dfw(k+1)<dfw(k) ・・・(10)
P≧R ・・・(11)
P≧R ・・・(11)
上記(11)式は、燃料付着量fwの値を安定した解とするために必要な上記燃料挙動パラメータP,Rの範囲(即ち、上記安定範囲)を表している。この安定範囲は、図11における微細なドットで示された領域Cに対応する。即ち、上記燃料挙動パラメータP,Rの値が図11における領域A内であって領域Cの外にある場合、燃料付着量fwの値は、振動しながら収束することになり、安定した解とならない。
以上のように、上記(2)式を利用してポート噴射量fiを決定していく場合、上記燃料挙動パラメータP,Rにおいて上記安定範囲が存在する。これに対し、上記文献に記載の装置では、上記基本テーブルの検索により燃料挙動パラメータP,Rが決定される際、上記安定範囲が一切考慮されていない。
このため、機関の運転状態によっては燃料挙動パラメータP,Rが上記安定範囲を逸脱する事態が生じ得る。この結果、上記(2)式を利用してポート噴射量fiを決定していく場合、燃料付着量fwの値(従って、ポート噴射量fi)が安定した解にならず、この結果、空燃比が目標空燃比と一致し得ない事態が発生するという問題があった。
従って、本発明の目的は、デュアルインジェクションシステムに適用される内燃機関の燃料噴射量制御装置において、吸気通路構成部材への燃料付着量の値が安定した解となるように燃料挙動パラメータを決定することで、空燃比を目標空燃比に安定して一致させることができるものを提供することにある。
即ち、本発明に係る燃料噴射量制御装置は、前記ポート噴射量と前記筒内噴射量の割合である噴射割合を決定する噴射割合決定手段と、前記燃料挙動モデルを表した式に使用される燃料挙動パラメータの値を決定する燃料挙動パラメータ決定手段と、前記吸気通路構成部材への燃料付着量の値を前記決定された燃料挙動パラメータの値と前記燃料挙動モデルを表した式とを用いて求める燃料付着量取得手段と、前記噴射割合決定手段により決定された噴射割合と前記求められた燃料付着量の値と前記燃料挙動モデルを表した式とを用いて前記ポート噴射量を決定するポート噴射量決定手段と、前記噴射割合決定手段により決定された噴射割合を用いて前記筒内噴射量を決定する筒内噴射量決定手段を備える。
本発明に係る燃料噴射量制御装置の特徴は、前記燃料挙動パラメータ決定手段が、前記燃料挙動パラメータの値を少なくとも前記噴射割合決定手段により決定された噴射割合に基づいて決定するように構成され、前記噴射割合決定手段が、前記決定された燃料挙動パラメータの値が前記求められた燃料付着量の値を安定した解とするために必要な範囲内(即ち、前記安定範囲内)となるように、前記噴射割合を決定するように構成されたことにある。ここにおいて、「安定した解」とは、振動することなく或る値に収束していく解を意味する。
本発明者は、種々の研究、実験を重ねた結果、デュアルインジェクションシステムにおいて、吸気通路構成部材に付着する燃料の挙動に影響を与える上記基本因子以外に、同燃料の挙動に大きく影響を与える新たな因子として、上記噴射割合が存在することを見出した。
従って、上記構成のように、燃料挙動パラメータの値を少なくとも上記噴射割合に基づいて決定すると、同燃料挙動パラメータの値が精度良く決定され得る。これにより、上記燃料付着量が精度良く取得され得るから、上記ポート噴射量が、空燃比を目標空燃比に一致させるための適切な値に精度良く決定され得る。なお、上記燃料挙動パラメータは、一般には、上述した基本因子にも基づいて決定される。
ところで、デュアルインジェクションシステムでは、筒内で燃焼する総燃料量を変えることなく上記噴射割合を変更することができる。加えて、上記のように、上記燃料挙動パラメータの値を少なくとも上記噴射割合に基づいて決定することは、同噴射割合の調整により同燃料挙動パラメータの値を調整できることを意味する。
従って、デュアルインジェクションシステムでは、機関の運転状態(具体的には、上記基本因子の値)にかかわらず、上記噴射割合を独立して調整することで上記燃料挙動パラメータの値を上記安定範囲内に維持することができる。上記構成は、係る知見に基づくものである。即ち、上記燃料挙動パラメータの値が上記安定範囲内となるように上記噴射割合を決定することで、燃料付着量の値(従って、ポート噴射量の値)が「安定した解」となり、この結果、空燃比を目標空燃比に安定して一致させることができる。
ここで、上記ポート噴射量決定手段及び上記筒内噴射量決定手段は、例えば、「ポート噴射量と上記燃料挙動モデル(燃料挙動逆モデル)とから得られる吸気通路から筒内に流入する燃料の量(即ち、実際に筒内で燃焼する燃料の量)」と、筒内噴射量との和が、「空燃比を目標空燃比に一致させるために筒内で燃焼させるべき燃料の量(基本燃料噴射量)」と一致するように同ポート噴射量と、同筒内噴射量とを決定する。
ところで、デュアルインジェクションシステムでは、一般に、上記噴射割合は、上記安定範囲が一切考慮されることなく作製された所定のテーブルの検索等により機関の運転状態に応じた値(以下、「基本噴射割合」と称呼する。)に決定されるようになっている。この場合、機関の運転状態によっては、上記噴射割合(=基本噴射割合)に基づいて決定される燃料挙動パラメータの値が上記安定範囲を逸脱する事態が発生し得る。
上記本発明に係る燃料噴射量制御装置において、このように、前記噴射割合が前記内燃機関の運転状態に基づく基本噴射割合に決定するように構成されている場合、前記噴射割合決定手段は、前記決定された燃料挙動パラメータの値が前記安定範囲を逸脱する場合、前記噴射割合を、前記基本噴射割合に代えて、前記燃料挙動パラメータの値を同安定範囲内とするための値に決定するように構成されることが好適である。
これによれば、上記噴射割合(=上記基本噴射割合)に基づいて決定される燃料挙動パラメータの値が上記安定範囲内となる場合、同噴射割合が同基本噴射割合に決定される。一方、上記噴射割合(=上記基本噴射割合)に基づいて決定される燃料挙動パラメータの値が上記安定範囲を逸脱する場合、同噴射割合が、上記基本噴射割合に代えて、上記「燃料挙動パラメータの値を同安定範囲内とするための値」に決定される。従って、上記燃料挙動パラメータの値が上記安定範囲内に維持され得、この結果、上述したように、空燃比を目標空燃比に安定して一致させることができる。
ところで、一般に、吸気通路構成部材に付着する燃料の挙動を表す上記燃料挙動パラメータとして、上述した特許文献1に記載された装置のように、ポート噴射手段から噴射される燃料のうち同吸気通路構成部材へ付着する燃料の割合を表す付着率と、同吸気通路構成部材に付着している燃料のうち同吸気通路構成部材に付着したまま残留する燃料の割合を表す残留率とが使用される場合が多い。
この場合において、本発明者は、前記付着率と前記残留率とを上記噴射割合に基づいて決定するに際し、同付着率と同残留率とを、ポート噴射量と筒内噴射量の和に対する同ポート噴射量の割合(以下、「ポート噴射割合」と称呼する。)が大きくなるほど大きくなるように決定することが上記燃料付着量を精度良く推定する上で好適であることを見出した。
これは、上記ポート噴射割合が大きくなるほど、ポート噴射量が一般に大きくなって上記燃料付着量が大きくなることにより、上記吸気通路構成部材へ付着している燃料の液膜の厚さが大きくなることに起因すると考えられる(詳細は、後述する)。
加えて、本発明者は、上記付着率と上記残留率とを、上記ポート噴射割合の増加に対する同残留率の値の増加の程度が同ポート噴射割合の増加に対する同付着率の値の増加の程度よりも大きくなるように決定することが上記燃料付着量を精度良く推定する上で好適であることも見出した。
以上より、上記本発明に係る燃料噴射量制御装置において、上記燃料挙動パラメータとして上記付着率と上記残留率とが使用される場合、前記燃料挙動パラメータ決定手段は、前記付着率の値と前記残留率の値とを、前記噴射割合決定手段により決定された噴射割合に対応する前記ポート噴射量の割合(即ち、上記ポート噴射割合)が大きくなるほど大きくなるように、且つ、同ポート噴射割合の増加に対する前記残留率の値の増加の程度が同ポート噴射量の割合の増加に対する前記付着率の値の増加の程度よりも大きくなるように決定するよう構成されることが好適である。ここで、「増加の程度」としては、例えば、増加勾配が挙げられる。
ところで、この場合、上述した特許文献1に記載された装置の場合と同様、上記燃料挙動パラメータである上記付着率、及び上記残留率についての上記安定範囲は、「残留率の値が付着率の値以上となる範囲」(図11の領域Cを参照)となる。加えて、上記付着率の値と上記残留率の値とが上記ポート噴射割合に対して上記のように決定されることは、上記噴射割合(=上記基本噴射割合)に基づいて決定される燃料挙動パラメータの値が上記安定範囲を逸脱する場合(即ち、同残留率の値が同付着率の値未満となる場合)、上記ポート噴射割合を大きくすることで同残留率の値を同付着率の値以上とすることができることを意味する。
以上のことから、上記本発明に係る燃料噴射量制御装置において、前記噴射割合が前記基本噴射割合に決定するように構成されている場合であって、前記燃料挙動パラメータ決定手段が、前記付着率、及び前記残留率を上記ポート噴射割合に対して上記のように決定するよう構成される場合、前記噴射割合決定手段は、前記安定範囲として、前記残留率の値が前記付着率の値以上となる範囲を使用するとともに、前記決定された付着率の値及び前記決定された残留率の値が前記安定範囲を逸脱する場合、前記噴射割合を、前記基本噴射割合に代えて同基本噴射割合よりも上記ポート噴射割合が大きくなる値に決定するように構成されることが好適である。
これにより、上記燃料挙動パラメータである上記付着率の値、及び残留率の値が上記安定範囲内に維持され得、この結果、上述したように、空燃比を目標空燃比に安定して一致させることができる。
また、上記本発明に係る燃料噴射量制御装置においては、前記安定範囲内において前記燃料挙動パラメータの目標値を決定するパラメータ目標値決定手段を更に備え、前記噴射割合決定手段は、前記決定された燃料挙動パラメータの値が前記燃料挙動パラメータ目標値に近づくように前記噴射割合を少なくとも同決定された燃料挙動パラメータの値と同燃料挙動パラメータ目標値とに基づいて決定するように構成されてもよい。
これによれば、上記噴射割合に基づいて決定される上記燃料挙動パラメータの値が上記安定範囲内に決定されている燃料挙動パラメータ目標値に近づくように積極的に制御される。この結果、上記燃料挙動パラメータの値が上記安定範囲内に維持され得、これによっても、空燃比を目標空燃比に安定して一致させることができる。
この場合、前記噴射割合決定手段は、前記燃料挙動パラメータの値と前記燃料挙動パラメータ目標値の差が「0」になるように同差に基づいてフィードバック補正量を算出し、同フィードバック補正量に基づいて前記噴射割合をフィードバック制御するように構成してもよい。更に、この場合、前記噴射割合決定手段は、前記基本噴射割合を上記フィードバック制御によるフィードバック補正量で補正することで前記燃料挙動パラメータの値が前記燃料挙動パラメータ目標値に近づくように前記噴射割合を決定するように構成してもよい。
上記本発明に係る燃料噴射量制御装置において、前記パラメータ目標値決定手段が備えられている場合、同パラメータ目標値決定手段は、前記燃料挙動パラメータ目標値を一定値に決定するように構成されることが好適である。一般に、燃料挙動パラメータの値が変動すると上記燃料付着量の値も変動する。上記燃料付着量の値が変動すると上記燃料付着量の推定精度が低下する傾向がある。
これに対し、上記のように、上記燃料挙動パラメータ目標値を一定値に決定すると、上記燃料挙動パラメータの値が上記一定値に近づくように制御されるから、上記燃料付着量の値を一定(或いは、変動幅の少ない値)に維持することができる。この結果、上記燃料付着量の推定精度の低下を抑制できるから、ポート噴射量が空燃比を目標空燃比に一致させるための値に精度良く決定され得る。この結果、空燃比を目標空燃比により安定して一致させることができる。
上記本発明に係る燃料噴射量制御装置において、前記パラメータ目標値決定手段が備えられていて、前記燃料挙動パラメータ決定手段が、前記燃料挙動パラメータとして前記付着率と前記残留率とを使用するとともに、前記付着率の値と前記残留率の値とを、前記噴射割合決定手段により決定された噴射割合に対応する前記ポート噴射割合が大きくなるほど大きくなるように決定するよう構成されている場合、前記パラメータ目標値決定手段は、前記安定範囲内において前記付着率の目標値と前記残留率の目標値とを決定するように構成され、前記噴射割合決定手段は、前記決定された付着率の値を前記付着率目標値に近づけるための前記噴射割合(以下、「付着率側噴射割合」と称呼する。)と前記決定された残留率の値を前記残留率目標値に近づけるための同噴射割合(以下、「残留率側噴射割合」と称呼する。)とに基づいて同噴射割合を決定するように構成されることが好適である。
ここにおいて、前記噴射割合決定手段は、通常、前記安定範囲として、前記残留率の値が前記付着率の値以上となる範囲(図11の領域Cを参照)を使用するように構成される。これによれば、上記付着率目標値と上記残留率目標値とが、上記安定範囲内(図11の領域C内)においてそれぞれ決定される。
一般に、上記付着率側噴射割合と上記残留率側噴射割合とは異なる値となり得る。上記構成によれば、上記付着率側噴射割合と上記残留率側噴射割合とが共に考慮されて最終的に上記噴射割合が決定される。これにより、上記付着率の値と上記残留率の値のうち何れか一方が対応する目標値から大きく乖離した値に決定される事態の発生が防止され得、この結果、上記燃料付着量の値(従って、上記ポート噴射量)をより確実に上記「安定した解」に維持することができる。
この場合、前記噴射割合決定手段は、前記噴射割合として、前記付着率側噴射割合と前記残留率側噴射割合の平均値を使用するように構成されることが好適である。これによれば、例えば、上記平均値が、上記付着率の値及び上記残留率の値を共に、現在値から大きくする方向に制御する値、或いは同現在値から小さくする方向に制御する値となる場合、上記付着率の値、及び上記残留率の値を共に対応する目標値に近づけることができる。
一方、上記平均値が、上記付着率の値及び上記残留率の値のうち一方を現在値から大きくする方向に制御するとともに他方を現在値から小さくする方向に制御する値となる場合、上記付着率の値と上記残留率の値のうち何れか一方が対応する目標値から大きく乖離した値に決定される事態の発生がより確実に防止され得る。
以下、本発明による内燃機関の燃料噴射量制御装置の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る燃料噴射量制御装置をデュアルインジェクションシステムを備えた火花点火式多気筒(4気筒)内燃機関10に適用したシステムの概略構成を示している。この内燃機関10は、シリンダブロック、シリンダブロックロワーケース、及びオイルパン等を含むシリンダブロック部20と、シリンダブロック部20の上に固定されるシリンダヘッド部30と、シリンダブロック部20にガソリン混合気を供給するための吸気系統40と、シリンダブロック部20からの排気ガスを外部に放出するための排気系統50とを含んでいる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る燃料噴射量制御装置をデュアルインジェクションシステムを備えた火花点火式多気筒(4気筒)内燃機関10に適用したシステムの概略構成を示している。この内燃機関10は、シリンダブロック、シリンダブロックロワーケース、及びオイルパン等を含むシリンダブロック部20と、シリンダブロック部20の上に固定されるシリンダヘッド部30と、シリンダブロック部20にガソリン混合気を供給するための吸気系統40と、シリンダブロック部20からの排気ガスを外部に放出するための排気系統50とを含んでいる。
シリンダブロック部20は、シリンダ21、ピストン22、コンロッド23、及びクランク軸24を含んでいる。ピストン22はシリンダ21内を往復動し、ピストン22の往復動がコンロッド23を介してクランク軸24に伝達され、これにより同クランク軸24が回転するようになっている。シリンダ21とピストン22のヘッドは、シリンダヘッド部30とともに燃焼室25を形成している。
シリンダヘッド部30は、燃焼室25に連通した吸気ポート31、吸気ポート31を開閉する吸気弁32、吸気弁32を駆動するインテークカムシャフトを含むとともに同インテークカムシャフトの位相角を連続的に変更する可変吸気タイミング装置33、可変吸気タイミング装置33のアクチュエータ33a、燃焼室25に連通した排気ポート34、排気ポート34を開閉する排気弁35、排気弁35を駆動するエキゾーストカムシャフト36、点火プラグ37、点火プラグ37に与える高電圧を発生するイグニッションコイルを含むイグナイタ38、燃料を吸気ポート31内に噴射するポート噴射弁39P、燃料を燃焼室25内に直接噴射する筒内噴射弁39Cを備えている。
吸気系統40は、吸気ポート31に連通し同吸気ポート31とともに吸気通路を形成するインテークマニホールドを含む吸気管41、吸気管41の端部に設けられたエアフィルタ42、吸気管41内にあって吸気通路の開口断面積を可変とするスロットル弁43、及びスロットル弁駆動手段を構成するDCモータからなるスロットル弁アクチュエータ43aを備えている。
排気系統50は、排気ポート34に連通したエキゾーストマニホールド51、エキゾーストマニホールド51(実際には、各排気ポート34に連通したそれぞれのエキゾーストマニホールド51が集合した集合部)に接続されたエキゾーストパイプ(排気管)52、エキゾーストパイプ52に配設(介装)された三元触媒53を備えている。排気ポート34、エキゾーストマニホールド51、及びエキゾーストパイプ52は、排気通路を構成している。
一方、このシステムは、熱線式エアフローメータ61、カムポジションセンサ62、クランクポジションセンサ63、水温センサ64、三元触媒53の上流の排気通路(本例では、上記各々のエキゾーストマニホールド51が集合した集合部)に配設された空燃比センサ65を備えている。
熱線式エアフローメータ61は、吸気管41を流れる吸入空気の単位時間あたりの質量流量に応じた電圧を出力するようになっている。この出力から吸入空気量(流量)Gaが算出される。カムポジションセンサ62は、インテークカムシャフトが90°回転する毎に(即ち、クランク軸24が180°回転する毎に)一つのパルスを有する信号(G2信号)を発生するようになっている。この信号は、吸気弁32の開閉タイミングVTをも表す。
クランクポジションセンサ63は、クランク軸24が10°回転する毎に幅狭のパルスを有するとともに同クランク軸24が360°回転する毎に幅広のパルスを有する信号を出力するようになっている。この信号は、運転速度NEを表す。水温センサ64は、内燃機関10の冷却水の温度を検出し、冷却水温THWを表す信号を出力するようになっている。空燃比センサ65は、排ガスの空燃比に応じた電流を出力し、この電流に応じた電圧を出力するようになっている。この出力から排ガスの空燃比が算出される。
電気制御装置70は、互いにバスで接続されたCPU71、CPU71が実行するルーチン(プログラム)、テーブル(ルックアップテーブル、マップ)、及び定数等を予め記憶したROM72、CPU71が必要に応じてデータを一時的に格納するRAM73、電源が投入された状態でデータを格納するとともに同格納したデータを電源が遮断されている間も保持するバックアップRAM74、並びにADコンバータを含むインターフェース75等からなるマイクロコンピュータである。
インターフェース75は、前記センサ61〜65に接続され、CPU71にセンサ61〜65からの信号を供給するとともに、同CPU71の指示に応じて可変吸気タイミング装置33のアクチュエータ33a、イグナイタ38、ポート噴射弁39P、筒内噴射弁39C、及びスロットル弁アクチュエータ43aへ駆動信号を送出するようになっている。これにより、吸気弁32の開閉タイミングVTが機関の運転状態に応じて変更されるようになっている。
(ポート噴射量fip、及び筒内噴射量ficの決定方法の概要)
次に、上記のように構成された燃料噴射量制御装置(以下、「本装置」と云うこともある。)による燃料噴射量、即ち、ポート噴射量fip、及び筒内噴射量ficの決定方法について説明する。
次に、上記のように構成された燃料噴射量制御装置(以下、「本装置」と云うこともある。)による燃料噴射量、即ち、ポート噴射量fip、及び筒内噴射量ficの決定方法について説明する。
このようなデュアルインジェクションシステムにおいては、ポート噴射弁39Pによるポート噴射量fipと筒内噴射弁39Cによる筒内噴射量ficの噴射割合(以下、この噴射割合として、ポート噴射割合R(=fip/(fip+fic))を使用する。)を、運転速度NE、冷却水温THW等の機関の運転状態に応じて変更することが好ましい。
このため、本装置は、機関の運転状態と、同運転状態に基づくポート噴射割合(以下、「基本噴射割合R1」と称呼する。)との関係を規定する基本噴射割合決定テーブルをROM72内に格納している。また、本装置は、後述するように得られる筒内吸入空気量Mcと目標空燃比abyfr(理論空燃比stoich)とから、空燃比を目標空燃比abyfrに一致させるために筒内で燃焼させるべき燃料の量(即ち、上記基本燃料噴射量Fbase)を求める。
そして、本装置は、原則的に、この基本噴射割合決定テーブルと現時点での機関の運転状態(運転速度NE、冷却水温THW等)とに基づいて基本噴射割合R1を求め、上記求めた基本燃料噴射量Fbaseと、基本噴射割合R1と、後述する吸気通路構成部材への燃料付着についての燃料挙動モデル(の逆モデル)等に基づいてポート噴射量fip、及び筒内噴射量ficを決定していく。なお、上記基本噴射割合決定テーブルにおいては、後述する安定範囲が考慮されていない。
このように、ポート噴射割合Rは、原則的に、機関の運転状態に応じて時々刻々と変更されていく。一方、後述するように、燃料挙動モデルで用いられる付着率の値、及び残留率の値が安定範囲を逸脱する場合、本装置は、ポート噴射割合Rを、機関の運転状態にかかわらず強制的に予め定められた特定の値に固定して、ポート噴射量fip、及び筒内噴射量ficを決定していく。以上が、ポート噴射量fip、及び筒内噴射量ficの決定方法の概要である。
以下、ポート噴射量fip、及び筒内噴射量ficの具体的な決定方法を説明する前に、本装置がポート噴射量fipを決定するために使用する燃料挙動(付着)モデルについて説明する。
(燃料挙動(付着)モデル)
図2に概念的に示したように、燃料が噴射される気筒のポート噴射弁39Pから噴射された燃料は、その一部が吸気管41の壁面、及び吸気弁32の傘部等(即ち、吸気通路構成部材)に付着する。
図2に概念的に示したように、燃料が噴射される気筒のポート噴射弁39Pから噴射された燃料は、その一部が吸気管41の壁面、及び吸気弁32の傘部等(即ち、吸気通路構成部材)に付着する。
より具体的に述べると、ポート噴射される気筒に着目した図3に示したように、fipをポート噴射弁39Pから今回の吸気行程に対してポート噴射される燃料の量であるポート噴射量、fwv(fwv(k))を前回のポート噴射後であって、今回のポート噴射直前において吸気通路構成部材に付着している燃料の量(燃料付着量)、Pvを燃料付着量fwv(k)のうち吸気通路構成部材に付着したまま残留する燃料の量の割合(残留率)、Rvを上記ポート噴射量fipのうち吸気通路構成部材に付着する燃料の量の割合(付着率)とすると、燃料付着量fwv(k)のうち今回のポート噴射後であって、次回のポート噴射直前において、吸気通路構成部材に残留する燃料の量はPv・fwv(k)となり、ポート噴射量fipの燃料のうち吸気通路構成部材に新たに付着する燃料の量はRv・fipとなる。従って、今回のポート噴射後であって、次回のポート噴射直前において吸気通路構成部材に付着している燃料の量である燃料付着量fwv(k+1)について下記(12)式が成立する。漸化式である下記(12)式は、燃料挙動モデルを記述したものであり、下記(12)式の演算を行う手段が燃料付着量取得手段に対応する。また、下記(12)式において、残留率Pv、及び付着率Rvは、前記燃料挙動パラメータに対応する。
fwv(k+1)=Pv・fwv(k)+Rv・fip ・・・(12)
<残留率、及び付着率の決定方法>
以下、残留率Pv、及び付着率Rvの決定方法について説明する。吸気通路構成部材に付着する燃料の挙動(従って、上記Pv,Rvの値)は、機関の運転状態、特に、冷却水温THW、運転速度NE、筒内吸入空気量Mc、及び吸気弁32の開閉タイミングVT(以下、これらの因子を「基本因子」と総称する。)の値に強く影響される。
以下、残留率Pv、及び付着率Rvの決定方法について説明する。吸気通路構成部材に付着する燃料の挙動(従って、上記Pv,Rvの値)は、機関の運転状態、特に、冷却水温THW、運転速度NE、筒内吸入空気量Mc、及び吸気弁32の開閉タイミングVT(以下、これらの因子を「基本因子」と総称する。)の値に強く影響される。
また、本発明者は、デュアルインジェクションシステムにおいては、吸気通路構成部材に付着する燃料の挙動がポート噴射割合Rに大きく影響され、上記基本因子の値が一定であってもポート噴射割合Rが大きいほど上記Pv,Rvの値をより大きくすることが燃料付着量fwvを精度良く推定する上で好ましいことを見出した。これは、以下の理由に基づくと考えられる。
上記基本燃料噴射量Fbaseが同一である場合、ポート噴射割合Rが大きくなるほど、ポート噴射量fipが大きくなる。また、上記(12)式から容易に理解できるように、ポート噴射量fipが大きくなるほど上記燃料付着量fwvがより大きくなり、吸気通路構成部材へ付着している燃料の液膜の厚さが大きくなる。
上記吸気通路構成部材へ付着している燃料の液膜の厚さが大きくなると、同付着している燃料よりも温度が高い吸気通路構成部材から伝達される熱により同付着している燃料の温度が上昇し難くなる。この結果、上記燃料付着量fwvが大きくなる傾向が強くなる。これが、ポート噴射割合Rが大きいほど上記Pv,Rvの値をより大きくする理由である。
加えて、本発明者は、上記ポート噴射割合Rの増加に対する上記残留率Pvの値の増加勾配を同ポート噴射量Rの増加に対する上記付着率Rvの値の増加勾配よりも大きくすることが燃料付着量fwvを精度良く推定する上でより好ましいことも見出した。以上のことから、上記Pv,Rvは、上記基本因子のみならずポート噴射割合Rをも引数とする予め取得されている所定のPR決定テーブルに従って決定される。
図4は、上記基本因子を一定とした場合において上記PR決定テーブルから得られる、ポート噴射割合Rと、残留率Pv、及び付着率Rvとの関係を示したグラフである。図4から理解できるように、上記Pv,Rvの値は、上記ポート噴射割合Rが大きいほどより大きい値となるように、且つ、上記Pvの増加勾配が上記Rvの増加勾配よりも大きくなるように決定される。
以上が、本装置が使用する燃料挙動(付着)モデルの概要である。本装置は、このようにして決定される上記燃料挙動パラメータである上記Pv,Rvと、燃料挙動モデルを表す漸化式である上記(12)式とを使用して、燃料付着量fwv(k)を吸気行程毎、且つ気筒毎に更新していく。
(ポート噴射量fip、及び筒内噴射量ficの具体的な決定方法)
次に、ポート噴射量fip、及び筒内噴射量ficの具体的な決定方法について説明する。本装置は、原則的に(即ち、残留率Pv、及び付着率Rvの値が後述する安定範囲内にある場合)、上記基本噴射割合R1と、上記基本燃料噴射量Fbaseとを使用して、吸気行程において筒内に流入する燃料量が下記(13)式にて求められる必要ポート流入燃料量Fcと一致するように、下記(14)式で表される上記燃料挙動モデルの逆モデルを使用してポート噴射量fipを求める。
次に、ポート噴射量fip、及び筒内噴射量ficの具体的な決定方法について説明する。本装置は、原則的に(即ち、残留率Pv、及び付着率Rvの値が後述する安定範囲内にある場合)、上記基本噴射割合R1と、上記基本燃料噴射量Fbaseとを使用して、吸気行程において筒内に流入する燃料量が下記(13)式にて求められる必要ポート流入燃料量Fcと一致するように、下記(14)式で表される上記燃料挙動モデルの逆モデルを使用してポート噴射量fipを求める。
Fc=Fbase・R1 ・・・(13)
fip=(Fc−(1−Pv)・fwv(k))/(1−Rv) ・・・(14)
この燃料挙動モデルの逆モデルは、今回の吸気行程に対してポート噴射された燃料のうち吸気通路構成部材に付着することなく筒内に流入する燃料量(1−Rv)・fip、及び吸気通路構成部材に付着していた燃料のうち筒内に流入する燃料量(1−Pv)・fwv(k)を考慮して、上記(13)式にて算出される必要ポート流入燃料量Fcの燃料を気筒に流入させるために必要とされるポート噴射量fipを算出するモデルである(図3を参照)。
また、本装置は、原則的に、上記基本噴射割合R1と、上記基本燃料噴射量Fbaseと、下記(15)式とを用いて筒内噴射量ficを求める。このように、本装置は、同基本噴射割合R1、上記燃料付着量fwv、及び上記(14)式を用いてポート噴射量fipを求める。この結果、筒内に供給される総燃料の量が基本燃料噴射量Fbaseと一致し得、この結果、空燃比を目標空燃比stoichに一致させることができる。
fic=Fbase・(1−R1) ・・・(15)
(ポート噴射割合に基づく残留率、及び付着率の制御)
上述のように本装置は、背景技術の欄に示した上記(2)式と同様の上記燃料挙動モデルの逆モデルを表す式である上記(14)式を利用してポート噴射量fipを決定する。従って、上述した特許文献1に記載された装置の場合と同様、上記Pv,Rvにおいては、上記(12)式にて更新されていく燃料付着量fwvの値(従って、上記(14)式にて更新されていくポート噴射量fipの値)を「安定した解」とするために必要な範囲である安定範囲が存在し、同安定範囲は、「残留率Pvの値が付着率Rvの値以上(Pv≧Rv)となる範囲」(図11の領域C、及び上記(11)式を参照)になる。
上述のように本装置は、背景技術の欄に示した上記(2)式と同様の上記燃料挙動モデルの逆モデルを表す式である上記(14)式を利用してポート噴射量fipを決定する。従って、上述した特許文献1に記載された装置の場合と同様、上記Pv,Rvにおいては、上記(12)式にて更新されていく燃料付着量fwvの値(従って、上記(14)式にて更新されていくポート噴射量fipの値)を「安定した解」とするために必要な範囲である安定範囲が存在し、同安定範囲は、「残留率Pvの値が付着率Rvの値以上(Pv≧Rv)となる範囲」(図11の領域C、及び上記(11)式を参照)になる。
ところで、上述した基本噴射割合R1は、上述したように安定範囲が一切考慮されることなく作製された上記基本噴射割合決定テーブルに従って決定される。従って、上記PR決定テーブルの引数の一つであるポート噴射割合Rの値として上記基本噴射割合R1を常に使用して上記残留率Pv、及び付着率Rvの値を決定すると、機関の運転状態によっては、同残留率Pv、及び付着率Rvの値が上記安定範囲を逸脱する事態(即ち、「Pv<Rv」となる事態)が発生し得る。
従って、上記基本噴射割合R1に基づいて決定された残留率Pv、及び付着率Rvの値が上記安定範囲を逸脱する場合、ポート噴射割合Rを同基本噴射割合R1と異なる値(即ち、「燃料挙動パラメータの値を安定範囲内とするための値」)に変更して残留率Pv、及び付着率Rvの値を同安定範囲内とする(即ち、「Pv≧Rv」とする)必要がある。
ここで、上述したように、残留率Pv、及び付着率Rvの値は、ポート噴射割合Rが大きいほどより大きく、且つ、上記残留率Pvの増加勾配が上記付着率Rvの増加勾配よりも大きくなるように決定される(図4を参照)。このことは、ポート噴射割合Rを大きくすれば、「Pv≧Rv」とすることができることを意味する。
即ち、基本噴射割合R1に基づいて決定された残留率Pv、及び付着率Rvの値が「Pv<Rv」の関係にあるとき、同残留率Pv、及び付着率Rvの値を、同基本噴射割合R1に代えて同基本噴射割合R1の値よりも大きいポート噴射割合Rに基づいて決定することで、残留率Pv、及び付着率Rvの値を「Pv≧Rv」の関係とすることができる。この場合、上記ポート噴射割合Rを最大値である「1」に設定すると、最も効果的に残留率Pv、及び付着率Rvの値を「Pv≧Rv」の関係とすることができる。
そこで、本装置は、上記基本噴射割合R1に基づいて決定された残留率Pv、及び付着率Rvの値が「Pv≧Rv」の関係にあるとき(即ち、残留率Pv、及び付着率Rvの値が上記安定範囲内にあるとき)、ポート噴射割合Rとして基本噴射割合R1をそのまま使用して、ポート噴射量fip、及び筒内噴射量ficを、上述したように、原則的に、同基本噴射割合R1に基づいて決定する(上記(13),(14),(15)式を参照)。
一方、本装置は、上記基本噴射割合R1に基づいて決定された残留率Pv、及び付着率Rvの値が「Pv<Rv」の関係にあるとき(即ち、残留率Pv、及び付着率Rvの値が上記安定範囲を逸脱するとき)、ポート噴射割合Rとして「1」を使用して、ポート噴射割合Rの値が「1」となるように、ポート噴射量fip、及び筒内噴射量ficを決定する。この場合、ポート噴射量fipは、上記(13)式において必要ポート流入燃料量Fcを基本燃料噴射量Fbaseに置き換えることで得られる値となり、筒内噴射量ficは「0」となる。以上が、ポート噴射割合に基づく残留率、及び付着率の制御の概要である。
(実際の作動)
次に、電気制御装置70の実際の作動について、図5、及び図6に示した一連のフローチャートを参照しながら説明する。以下、説明の便宜上、「MapX(a1,a2,…)」は、a1,a2,…を引数とする値Xを求めるためのテーブルを表すものとする。
次に、電気制御装置70の実際の作動について、図5、及び図6に示した一連のフローチャートを参照しながら説明する。以下、説明の便宜上、「MapX(a1,a2,…)」は、a1,a2,…を引数とする値Xを求めるためのテーブルを表すものとする。
CPU71は、図5、及び図6にフローチャートにより示したポート噴射量fip、筒内噴射量ficの計算、及び燃料噴射の指示を行う一連のルーチンを、各気筒のクランク角が吸気上死点前の所定クランク角度(例えば、BTDC90°CA)となる毎に、気筒毎に、繰り返し実行するようになっている。
従って、任意の気筒のクランク角度が前記所定クランク角度になると、CPU71はステップ500から処理を開始してステップ505に進み、MapMc(NE,Ga)を利用して吸気行程を迎える気筒の吸入空気量である筒内吸入空気量Mcを求める。ここで、吸入空気流量Gaの値としては、エアフローメータ61により計測される現時点での値が使用され、運転速度NEの値としては、クランクポジションセンサ63の出力に基づいて得られる現時点での値が使用される。
次に、CPU71はステップ510に進み、上記求めた筒内吸入空気流量Mcを現時点での目標空燃比abyfr(=stoich)で除した値に係数αを乗じることで、空燃比を目標空燃比stoichとするための基本燃料噴射量Fbaseを求める。係数αは、空燃比センサ65の出力に基づく空燃比フィードバック制御等により適宜変更される係数である。
次いで、CPU71はステップ515に進み、基本噴射割合決定テーブルであるMapR1(NE,Mc,THW)を利用して基本噴射割合R1を求めるとともに、続くステップ520にて、PR決定テーブルであるMapPv(THW,NE,Mc,VT,R1)、及びMapRv(THW,NE,Mc,VT,R1)を利用して残留率Pv、及び付着率Rvをそれぞれ決定する。ここで、冷却水温THWとしては、水温センサ64から得られる現時点での値が使用され、吸気弁32の開閉タイミングVTとしては、カムポジションセンサ62の出力に基づいて得られる現時点での値が使用される。基本噴射割合R1としては上記ステップ515で求めた値が使用される。
続いて、CPU71はステップ525に進んで、上記決定された残留率Pvの値が上記決定された付着率Rvの値以上であるか否かを判定し、「No」と判定する場合、ステップ530に進んでポート噴射割合Rを「1」に固定する。
一方、CPU71は、上記ステップ525の判定において「Yes」と判定する場合、ステップ535に進んでポート噴射割合Rを上記ステップ515で求めた基本噴射割合R1に設定する。これらのステップ515,525〜535が噴射割合決定手段に対応する。
次に、CPU71は図6のステップ540に進んで、MapPv(THW,NE,Mc,VT,R)、及びMapRv(THW,NE,Mc,VT,R)を利用して残留率Pv、及び付着率Rvをそれぞれ決定し直す。ここで、ポート噴射割合Rとしては、上記決定されたポート噴射割合Rの値を用いる。これにより、残留率Pv、及び付着率Rvの値は、ポート噴射割合Rが基本噴射割合R1に設定される場合、上記ステップ520で決定される値(従って、上記安定範囲内の値)と等しくなり、ポート噴射割合Rが「1」に固定される場合、同ステップ520で決定される値と異なる値であって同安定範囲内の値となる。換言すれば、残留率Pv、及び付着率Rvの値は、常に安定範囲内の値となる。このステップ540が燃料挙動パラメータ決定手段に対応する。
次いで、CPU71はステップ545に進んで、上記決定されたポート噴射割合Rと、上記(13)式に相当するステップ545内に記載の式とに基づいて必要ポート流入燃料量Fcを求め、続くステップ550にて同基本燃料噴射量Fbaseと、同ポート噴射割合Rと、上記(15)式に相当するステップ550内に記載の式とに基づいて筒内噴射量ficを求める。このステップ550が筒内噴射量決定手段に対応する。
次に、CPU71はステップ555に進み、上記求めた必要ポート流入燃料量Fcと、上記ステップ540にて決定された残留率Pv、及び付着率Rvと、燃料付着量fwv(k)と、上記(14)式とに基づいてポート噴射量fipを求める。ポート噴射量fipが負の値となる場合、ポート噴射量fipは「0」とされる。燃料付着量fwv(k)としては、前回の本ルーチン実行時において後述するステップ570にて既に更新されている最新値を使用する。このステップ555がポート噴射量決定手段に対応する。
次いで、CPU71はステップ560に進んで、上記求めたポート噴射量fipの燃料を所定の時期に噴射するための指示を吸気行程を迎える気筒のポート噴射弁39Pに対して行い、且つ上記求めた筒内噴射量ficの燃料を所定の時期に噴射するための指示を同一の気筒の筒内噴射弁39Cに対して行う。
続いて、CPU71はステップ565に進むと、上記ステップ540にて決定された残留率Pv、及び付着率Rvと、燃料付着量fwv(k)と、上記(12)式とに基づいて燃料付着量fwv(k+1)を更新する。ここで、燃料付着量fwv(k)としては、ステップ555と同様、前回の本ルーチン実行時において次のステップ570にて既に更新されている最新値を使用する。即ち、CPU71はステップ570に進むと、fwv(k)の値を、今回の本ルーチン実行時において上記ステップ565で更新されたfwv(k+1)の値に更新する。
そして、CPU71はステップ595に進み、本ルーチンを一旦終了する。以上により、上記残留率Pv、及び付着率Rvの値が上記安定範囲内とになるように制御されるとともに、上記ポート噴射量fip、及び筒内噴射量ficは、同残留率Pv、及び付着率Rvを使用する燃料挙動モデルを用いて筒内にて燃焼する総燃料量が基本燃料噴射量Fbaseと一致するように決定されていく。
以上、説明したように、本発明による内燃機関の燃料噴射量制御装置の第1実施形態は、ポート噴射弁39Pと、筒内噴射弁39Cとの2つの燃料噴射弁を気筒毎に備えたデュアルインジェクションシステムを備えた内燃機関に適用される。上記第1実施形態によれば、基本噴射割合R1に基づいて決定された残留率Pv、及び付着率Rvの値が「Pv≧Rv」の関係にあるとき(即ち、安定範囲内にあるとき)、ポート噴射割合Rとして基本噴射割合R1がそのまま使用される。即ち、残留率Pv、及び付着率Rvとして上記基本噴射割合R1に基づいて決定された値そのものが使用されるとともに、同基本噴射割合R1、上記決定された残留率Pv、及び付着率Rv等に基づいてポート噴射量fipと、筒内噴射量ficとが決定されていく。
一方、基本噴射割合R1に基づいて決定された残留率Pv、及び付着率Rvの値が「Pv<Rv」の関係にあるとき(即ち、安定範囲を逸脱するとき)、ポート噴射割合Rとして基本噴射割合R1に代えて「1」が使用される。即ち、ポート噴射割合R=1に基づいて残留率Pv、及び付着率Rvが決定されるとともに、ポート噴射割合R=1、同残留率Pv、及び付着率Rv等に基づいてポート噴射量fipと、筒内噴射量fic(=0)とが決定される。これにより、残留率Pv、及び付着率Rvの値は、安定範囲内に維持される。この結果、燃料付着量fwvの値(従って、ポート噴射量fip)が「安定した解」となり、空燃比を目標空燃比に安定して一致させることができる。
本発明は上記第1実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記第1実施形態においては、残留率Pv、及び付着率Rvが安定範囲を逸脱するとき、ポート噴射割合Rとして「1」が使用されるが、上記基本噴射割合R1に所定の係数(>1)を乗じた値、或いは同基本噴射割合R1に所定の定数(>0)を加えた値(「1」を超える場合には「1」)をポート噴射割合Rとして使用してもよい。これによっても、残留率Pv、及び付着率Rvの値が「Pv≧Rv」の関係に維持され得、空燃比を目標空燃比に安定して一致させることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る燃料噴射量制御装置について説明する。この燃料噴射量制御装置は、空燃比を目標空燃比に安定して一致させるために、ポート噴射割合Rを調整することでポート噴射割合Rに基づいて決定される残留率Pv、及び付着率Rvの値を上記安定範囲内に維持する点では同様であるが、安定範囲内における残留率の目標値、及び付着率の目標値である残留率目標値Pvt、及び付着率目標値Rvtをそれぞれ決定し、残留率Pv、及び付着率Rvの値が同付着率目標値Rvt、及び同残留率目標値Pvtにそれぞれ近づくようにポート噴射割合Rをフィードバック制御する点で、第1実施形態と異なっている。従って、以下、係る相違点を中心に説明する。
次に、本発明の第2実施形態に係る燃料噴射量制御装置について説明する。この燃料噴射量制御装置は、空燃比を目標空燃比に安定して一致させるために、ポート噴射割合Rを調整することでポート噴射割合Rに基づいて決定される残留率Pv、及び付着率Rvの値を上記安定範囲内に維持する点では同様であるが、安定範囲内における残留率の目標値、及び付着率の目標値である残留率目標値Pvt、及び付着率目標値Rvtをそれぞれ決定し、残留率Pv、及び付着率Rvの値が同付着率目標値Rvt、及び同残留率目標値Pvtにそれぞれ近づくようにポート噴射割合Rをフィードバック制御する点で、第1実施形態と異なっている。従って、以下、係る相違点を中心に説明する。
この燃料噴射量制御装置は、残留率目標値Pvt、及び付着率目標値Rvtを、後述する「安定範囲(図7に示す領域C)内の小さい一定値」であって、且つ、安定範囲の境界より十分に離れた点に対応する値β,γにそれぞれ決定する。以下、この理由について説明する。
一般に、上記(12)式から容易に理解できるように、残留率Pv、及び付着率Rvの値を大きくするほど燃料付着量fwvの値が増大する。燃料付着量fwvの値が増大すると、吸気通路から筒内に流入する総燃料の量(「(1−Pv)・fwv+(1−Rv)・fip」。図3を参照)における、吸気通路構成部材から脱離して筒内に間接的に流入する燃料の量(1−Pv)・fwvの割合が増大していく。
ここで、上記筒内に間接的に流入する燃料の量は、ポート噴射により筒内に直接流入する燃料の量(1−Rv)・fipに比してより大きな推定誤差を含んでいると考えられる。従って、残留率Pv、及び付着率Rvの値を大きくすると、ポート噴射量fipを、空燃比を目標空燃比abyfrに一致させるための値に精度良く決定することが困難となる。
また、残留率Pv、及び付着率Rvの値が変動すると上記燃料付着量fwvの値も変動する(上記(12)式を参照)。上記燃料付着量fwvの値が変動すると同燃料付着量fwvの推定精度が低下する。これによっても、ポート噴射量fipを、空燃比を目標空燃比abyfrに一致させるための値に精度良く決定することが困難となる。
これらより、残留率目標値Pvt、及び付着率目標値Rvtを、「安定範囲内の小さい一定値」に決定すると、残留率Pv、及び付着率Rvの値が上記「安定範囲内の小さい一定値」に近づくように制御されるから、燃料付着量fwvの値の増大・変動を抑制できる(即ち、ポート噴射量fipの値を精度良く決定できる)。
一方、残留率目標値Pvt、及び付着率目標値Rvtを過度に小さい値に決定すると、同残留率目標値Pvt、及び付着率目標値Rvtは、図7に示す安定範囲を表す領域Cの境界近傍に対応する値となるから、残留率Pv、及び付着率Rvの値を確実に安定範囲内に維持することが困難となる事態が発生し得る。
以上が、残留率目標値Pvt、及び付着率目標値Rvtが上記「安定範囲内の小さい一定値」であって、且つ、安定範囲の境界より十分に離れた点に対応する値β,γにそれぞれ決定される理由である。ここで、値β,γは、例えば「0.20」,「0.15」にそれぞれ決定される。
また、この装置は、残留率偏差DPv(=残留率目標値Pvt−残留率Pv)を「0」に近づけるためのポート噴射割合Rである残留率側噴射割合についてのフィードバック補正量DRPvと、付着率偏差DRv(=付着率目標値Rvt−付着率Rv)を「0」に近づけるためのポート噴射割合Rである付着率側噴射割合についてのフィードバック補正量DRRvとを後述するようにそれぞれ求める。
そして、この装置は、上記基本噴射割合R1に、上記フィードバック補正量DRPv,DRRvの平均値(算術平均値)であるポート噴射割合Rについてのフィードバック補正量DRを加えることで最終的にポート噴射割合R(0≦R≦1)を決定する。
これにより、上記フィードバック補正量DRが、残留率Pv、及び付着率Rvの値を共に現在値から大きくする方向に制御する値、或いは同現在値から小さくする方向に制御する値(即ち、フィードバック補正量DRPv,DRRvによる基本噴射割合R1の補正が共に増量補正、或いは減量補正になる値)となる場合、残留率Pv、及び付着率Rvの値が、残留率目標値Pvt、及び付着率目標値Rvtにそれぞれ近づくように積極的に制御されていく。
一方、上記フィードバック補正量DRが、残留率Pv、及び付着率Rvの値のうち一方を現在値から大きくする方向に制御するとともに、他方を現在値から小さくする方向に制御する値(即ち、フィードバック補正量DRPv,DRRvによる基本噴射割合R1の補正のうち一方が増量補正、且つ、他方が減量補正になる値)となる場合、残留率Pv、及び付着率Rvの値のうち何れか一方が対応する目標値から大きく乖離した値に決定される事態の発生が確実に防止され得る。よって、燃料付着量fwvの値の大きな変動を確実に防止でき、空燃比を目標空燃比abyfrに安定して一致させることができる。
(第2実施形態の実際の作動)
以下、第2実施形態に係る燃料噴射量制御装置の実際の作動について説明する。この装置のCPU71は、第2実施形態のCPU71が実行する図5、及び図6に示した一連のルーチンに代えて図8、及び図9にフローチャートにより示した一連のルーチンを実行する。なお、図8、及び図9において、図5、及び図6に示したステップと同一のステップについては図5、及び図6のステップ番号と同一のステップ番号を付している(後述する図10についても同様)。
以下、第2実施形態に係る燃料噴射量制御装置の実際の作動について説明する。この装置のCPU71は、第2実施形態のCPU71が実行する図5、及び図6に示した一連のルーチンに代えて図8、及び図9にフローチャートにより示した一連のルーチンを実行する。なお、図8、及び図9において、図5、及び図6に示したステップと同一のステップについては図5、及び図6のステップ番号と同一のステップ番号を付している(後述する図10についても同様)。
CPU71は、図8、及び図9に示したポート噴射量fip、筒内噴射量ficの計算、及び燃料噴射の指示を行う一連のルーチンを、各気筒のクランク角が吸気上死点前の所定クランク角度(例えば、BTDC90°CA)となる毎に、気筒毎に、繰り返し実行するようになっている。
従って、任意の気筒のクランク角度が前記所定クランク角度になると、CPU71はステップ800から処理を開始してステップ505〜515に順に進み、上述したように、筒内吸入空気量Mc、基本燃料噴射量Fbase、及び基本噴射割合R1を順に求める。
次に、CPU71はステップ805に進んで、噴射割合フィードバック制御条件が成立しているか否かを判定する。ここで、噴射割合フィードバック制御条件は、例えば、このポート噴射割合Rのフィードバック制御に使用される各種センサが総て正常である場合に成立する。
いま、噴射割合フィードバック制御条件が成立しているものとすると、CPU71はステップ805にて「Yes」と判定してステップ520に進み、上述したように、基本噴射割合R1に基づいて残留率Pv、及び付着率Rvをそれぞれ求める。
次いで、CPU71はステップ810に進んで、残留率目標値Pvt、及び付着率目標値Rvtを、所定値β、及びγにそれぞれ決定する。このステップ810がパラメータ目標値決定手段に対応する。
続いて、CPU71はステップ815に進んで、上記求めた残留率Pv、及び付着率Rvと、上記決定された残留率目標値Pvt、及び付着率目標値Rvtと、ステップ815内に記載の式とに基づいて、残留率偏差DPv、及び付着率偏差DRvをそれぞれ求める。
次に、CPU71はステップ820に進み、上記求めた残留率偏差DPv、及び付着率偏差DRvと、前回の残留率偏差DPvb、及び前回の付着率偏差DRvbと、ステップ820内に記載の式とに基づいて、残留率偏差微分値DDPv、及び付着率偏差微分値DDRvをそれぞれ求める。なお、前回の残留率偏差DPvb、及び前回の付着率偏差DRvbとしては、前回の本ルーチン実行時において後述するステップ835にて既に更新されている最新値をそれぞれ使用する。また、Δtは前回の本ルーチン実行時から今回の本ルーチン実行時までの時間である。
次いで、CPU71はステップ825に進んで、上記求めた残留率偏差DPv及び付着率偏差DRvと、上記求めた残留率偏差微分値DDPv及び付着率偏差微分値DDRvと、残留率偏差積分値SDPv及び付着率偏差積分値SDRvと、ステップ825内に記載の式とに基づいて残留率側噴射割合についてのフィードバック補正量DRPv、及び付着率側噴射割合についてのフィードバック補正量DRRvをそれぞれ求める。なお、残留率偏差積分値SDPv、及び付着率偏差積分値SDRvとしては、前回の本ルーチン実行時において後述するステップ840にて既に更新されている最新値をそれぞれ使用する。また、Kp,Ki,Kdはそれぞれ、比例ゲイン、積分ゲイン、微分ゲインである。続いて、CPU71はステップ830に進んで、ポート噴射割合Rのフィードバック補正量DRを、上記求めたフィードバック補正量DRPv,DRRvの平均値に設定する。
次に、CPU71はステップ835に進み、上述したように前回の残留率偏差DPvb、及び前回の付着率偏差DRvbをそれぞれ更新するとともに、続くステップ840にて残留率偏差積分値SDPv、及び付着率偏差積分値SDRvをそれぞれ更新する。このようにして、ポート噴射割合Rについてのフィードバック補正量DRが決定される。
次いで、CPU71は図9のステップ845に進んで、ポート噴射割合R(0≦R≦1)を、上記求めた基本噴射割合R1に上記求めたフィードバック補正量DRを加えた値に設定する。これらのステップ515,810〜845が噴射割合決定手段に対応する。
続いて、CPU71はステップ540に進み、上記設定したポート噴射割合Rに基づいて、残留率Pv、及び付着率Rvをそれぞれ決定し直す。次に、CPU71はステップ545〜555に順に進み、上述したように、必要ポート流入燃料量Fc、筒内噴射量fic、ポート噴射量fip(>0)を順に求め、続くステップ560にてポート噴射量fip、及び筒内噴射量ficの燃料噴射指示を行う。
そして、CPU71はステップ565,570に順に進んで、上述したように燃料付着量fwv(k+1)を更新するとともに、次回の本ルーチン実行時に備えてfwv(k)の値を更新した後、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このようにして、噴射割合フィードバック制御条件が成立している場合、ステップ830にて決定されたポート噴射割合Rについてのフィードバック補正量DRに基づいてポート噴射割合Rがフィードバック制御されていく(ステップ845)。この結果、残留率Pv、及び付着率Rvの値が共に現在値から大きくなる方向に、或いは、同現在値から小さくなる方向に制御される場合、残留率偏差DPv、及び付着率偏差DRvが共に「0」に近づくように(従って、残留率Pv、及び付着率Rvの値が、残留率目標値Pvt、及び付着率目標値Rvtにそれぞれ近づくように)積極的に制御されていく。また、残留率Pv、及び付着率Rvの値のうち一方が現在値から大きくなる方向に制御されるとともに、他方が現在値から小さくなる方向に制御される場合、残留率Pv、及び付着率Rvの値のうち何れか一方が対応する目標値から大きく乖離した値に決定される事態の発生が確実に防止され得る。
一方、噴射割合フィードバック制御条件が成立していない場合、CPU71は、図8のステップ805に進んだとき「No」と判定してステップ850に進み、ポート噴射割合Rについてのフィードバック補正量DRを「0」に設定し、続くステップ855にて残留率偏差積分値SDPv、及び付着率偏差積分値SDRvをそれぞれ「0」に設定する。
このように、噴射割合フィードバック制御条件が成立していない場合、ポート噴射割合Rについてのフィードバック補正量DRが「0」に決定されるから、ポート噴射割合Rがフィードバック制御されない。即ち、ポート噴射割合Rは上記基本噴射割合R1と等しい値に設定されることになる。
以上、説明したように、本発明による内燃機関の燃料噴射量制御装置の第2実施形態によれば、噴射割合フィードバック制御条件が成立している間、残留率Pv、及び付着率Rvの値が、上記「安定範囲(図7に示す領域C)内の小さい一定値」であって、且つ、安定範囲の境界より十分に離れた点に対応する値β,γにそれぞれ決定される残留率目標値Pvt、及び付着率目標値Rvtに近づくように積極的に制御されていく。この結果、残留率Pv、及び付着率Rvの値が確実に安定範囲内に維持されることに加え、燃料付着量fwvの値の増大・変動が抑制され(即ち、ポート噴射量fipの値が精度良く決定され得)、空燃比を目標空燃比abyfrに安定して一致させることができる。
本発明は上記第2実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記第2実施形態においては、残留率目標値Pvt、及び付着率目標値Rvtを上記β,γにそれぞれ決定するように構成されているが、安定範囲(図7に示す領域C)内において機関の運転状態に応じて変化する値に決定してもよい。更には、以下のように残留率目標値Pvt、及び付着率目標値Rvtを決定してもよい。
即ち、この場合、原則的に、ポート噴射割合Rは上記基本噴射割合R1と等しい値に設定される。即ち、原則的に、ポート噴射割合R(従って、残留率Pv、及び付着率Rv)のフィードバック制御が行われない。一方、機関が定常運転状態にあって、且つ、現時点から短時間後において機関の負荷が予め既知の所定量だけ増大(或いは、減少)することで残留率Pv、及び付着率Rvが或る値(予測残留率Pvfwd、及び予測付着率Rvfwd)まで増大(或いは、減少)することが現時点で予測され得る場合、現時点以降上記短時間の間に限り、残留率目標値Pvt、及び付着率目標値Rvtが、安定範囲を逸脱しないように、現時点での残留率Pv、及び付着率Rvに等しい値から予測残留率Pvfwd、及び予測付着率Rvfwdまで徐々に増大(或いは、減少)するように設定される。そして、上記短時間の間に限り、残留率Pv、及び付着率Rvが上記残留率目標値Pvt、及び付着率目標値Rvtにそれぞれ近づくようにポート噴射割合Rがフィードバック制御される。
ここで、上記予測残留率Pvfwd、及び予測付着率Rvfwdは、例えば、適合実験等により予め作製された、上記基本因子(THW,NE,Mc,VT)と、予測残留率Pvfwd及び予測付着率Rvfwdとの関係を規定するテーブルと、現時点での上記基本因子の値とに基づいて決定される。なお、「現時点から短時間後において機関の負荷が予め既知の所定量だけ増大(或いは、減少)することが現時点で予測される場合」とは、例えば、車両のエアーコンディショナーなどの補機類が短時間後においてOFF状態からON状態(或いは、ON状態からOFF状態)へと変更されることが現時点で予測される場合等である。
これにより、上記短時間の間において、ポート噴射割合Rが徐々に増大(或いは、減少)していき、この結果、機関の負荷が増大(或いは、減少)する時点(直前)において残留率Pvの値、及び付着率Rvの値が予測残留率Pvfwdの値、及び予測付着率Rvfwdの値に一致し得る。従って、上記負荷が増大(或いは、減少)する時点以降において残留率Pv、及び付着率Rvの値が急変することで空燃比が乱れる事態が発生することを未然に防止することができる。
また、上記第2実施形態においては、上記噴射割合フィードバック制御条件が成立していない場合、ポート噴射割合Rは上記基本噴射割合R1と等しい値に常に設定されるように構成されているが、上記噴射割合フィードバック制御条件が成立していない場合、上記第1実施形態と同様、残留率Pv、及び付着率Rvの値が、「Pv<Rv」の関係にある場合(従って、安定範囲を逸脱する場合)、ポート噴射割合Rを「1」に固定するように構成してもよい。
更には、上記第1、第2実施形態においては、前記噴射割合として、ポート噴射割合R(=fip/(fip+fic))を採用するように構成されているが、筒内噴射割合(fic/(fip+fic))を採用するように構成してもよい。また、前記噴射割合として、値「fip/fic」、或いは、値「fic/fip」を採用するように構成してもよい。
加えて、上記第1、第2実施形態においては、安定範囲が一切考慮されることなく作製された基本噴射割合決定テーブルに従って決定される基本噴射割合R1を利用してポート噴射割合Rを決定するように構成されているが、残留率Pv、及び付着率Rvの値が常に安定範囲内となる(即ち、残留率Pv、及び付着率Rvの値が「Pv≧Rv」の関係となる)ポート噴射割合の値(以下、「安定噴射割合R2」と称呼する。)を決定するテーブル(安定噴射割合決定テーブル)を用いてポート噴射割合R(=安定噴射割合R2)を決定するように構成してもよい。
この場合、安定噴射割合決定テーブルとしては、例えば、上記基本因子(THW,NE,Mc,VT)を引数とする適合実験等により予め作製されたテーブルが使用される。これにより、上記基本因子と、ポート噴射割合R(=安定噴射割合R2)とを引数とするPR決定テーブルに従って決定される残留率Pv、及び付着率Rvの値は、同基本因子の値にかかわらず常に安定範囲内となる。
図10は、安定噴射割合決定テーブルを用いてポート噴射割合R(=安定噴射割合R2)を決定する場合における、図5及び図6、或いは、図8及び図9に示した一連のルーチンに対応するルーチンを示したフローチャートである。
この場合、ステップ1005にて、安定噴射割合決定テーブルであるMapR2(THW,NE,Mc,VT)を利用して安定噴射割合R2が決定される。次いで、ステップ1010にてポート噴射割合Rが上記ステップ1005で求めた安定噴射割合R2に決定される。そして、ステップ540にて、上記決定したポート噴射割合R(=安定噴射割合R2)に基づいて残留率Pv、及び付着率Rvが決定される。なお、本変形例では、ステップ1005,1010が噴射割合決定手段に対応する。
これによっても、残留率Pv、及び付着率Rvの値を、上記基本因子の値にかかわらず常に安定範囲内とすることができる。従って、空燃比を目標空燃比に安定して一致させることができる。
10…火花点火式多気筒内燃機関、25…燃焼室、32…吸気弁、39C…筒内噴射弁、39P…ポート噴射弁、41…吸気管、70…電気制御装置、71…CPU
Claims (8)
- 内燃機関の吸気弁よりも上流の吸気通路に燃料を噴射するポート噴射手段と、
燃焼室内に燃料を噴射する筒内噴射手段と、
を備えた内燃機関に適用され、
前記ポート噴射手段から噴射される燃料の量であるポート噴射量と前記筒内噴射手段から噴射される燃料の量である筒内噴射量の割合である噴射割合を決定する噴射割合決定手段と、
前記吸気通路における燃料の挙動についてのモデルを表した式に使用される同燃料の挙動を表すパラメータである燃料挙動パラメータの値を決定する燃料挙動パラメータ決定手段と、
前記ポート噴射手段による噴射により前記吸気通路を構成する部材に付着している燃料の量である燃料付着量の値を、前記決定された燃料挙動パラメータの値と、前記燃料挙動モデルを表した式とを用いて求める燃料付着量取得手段と、
前記噴射割合決定手段により決定された噴射割合と、前記求められた燃料付着量の値と、前記燃料挙動モデルを表した式とを用いて前記ポート噴射量を決定するポート噴射量決定手段と、
前記噴射割合決定手段により決定された噴射割合を用いて前記筒内噴射量を決定する筒内噴射量決定手段と、
を備えた内燃機関の燃料噴射量制御装置において、
前記燃料挙動パラメータ決定手段は、
前記燃料挙動パラメータの値を少なくとも前記噴射割合決定手段により決定された噴射割合に基づいて決定するように構成され、
前記噴射割合決定手段は、
前記決定された燃料挙動パラメータの値が前記求められた燃料付着量の値を安定した解とするために必要な範囲である安定範囲内となるように、前記噴射割合を決定するように構成された内燃機関の燃料噴射量制御装置。 - 請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射量制御装置において、
前記噴射割合決定手段は、
前記噴射割合を前記内燃機関の運転状態に基づく基本噴射割合に決定するように構成されるとともに、
前記決定された燃料挙動パラメータの値が前記安定範囲を逸脱する場合、前記噴射割合を、前記基本噴射割合に代えて、前記燃料挙動パラメータの値を同安定範囲内とするための値に決定するように構成された内燃機関の燃料噴射量制御装置。 - 請求項2に記載の内燃機関の燃料噴射量制御装置において、
前記燃料挙動パラメータ決定手段は、前記燃料挙動パラメータとして、
前記ポート噴射手段から噴射される燃料の量のうち前記吸気通路構成部材へ付着する燃料の量の割合を表す付着率と、前記吸気通路構成部材に付着している燃料の量のうち同吸気通路構成部材に付着したまま残留する燃料の量の割合を表す残留率とを使用するとともに、前記付着率の値と前記残留率の値とを、
前記噴射割合決定手段により決定された噴射割合に対応する前記ポート噴射量の割合が大きくなるほど大きくなるように、且つ、同ポート噴射量の割合の増加に対する前記残留率の値の増加の程度が同ポート噴射量の割合の増加に対する前記付着率の値の増加の程度よりも大きくなるように決定するよう構成され、
前記噴射割合決定手段は、前記安定範囲として、
前記残留率の値が前記付着率の値以上となる範囲を使用するとともに、前記決定された付着率の値及び前記決定された残留率の値が同安定範囲を逸脱する場合、前記噴射割合を、前記基本噴射割合に代えて同基本噴射割合よりも前記ポート噴射量の割合が大きくなる値に決定するように構成された内燃機関の燃料噴射量制御装置。 - 請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射量制御装置であって、
前記安定範囲内において前記燃料挙動パラメータの目標値を決定するパラメータ目標値決定手段を更に備え、
前記噴射割合決定手段は、
前記決定された燃料挙動パラメータの値が前記燃料挙動パラメータ目標値に近づくように前記噴射割合を少なくとも同決定された燃料挙動パラメータの値と同燃料挙動パラメータ目標値とに基づいて決定するように構成された内燃機関の燃料噴射量制御装置。 - 請求項4に記載の内燃機関の燃料噴射量制御装置において、
前記パラメータ目標値決定手段は、
前記燃料挙動パラメータ目標値を一定値に決定するように構成された内燃機関の燃料噴射量制御装置。 - 請求項4又は請求項5に記載の内燃機関の燃料噴射量制御装置において、
前記燃料挙動パラメータ決定手段は、前記燃料挙動パラメータとして、
前記ポート噴射手段から噴射される燃料の量のうち前記吸気通路構成部材へ付着する燃料の量の割合を表す付着率と、前記吸気通路構成部材に付着している燃料の量のうち同吸気通路構成部材に付着したまま残留する燃料の量の割合を表す残留率とを使用するとともに、前記付着率の値と前記残留率の値とを、前記噴射割合決定手段により決定された噴射割合に対応する前記ポート噴射量の割合が大きくなるほど大きくなるように決定するように構成され、
前記パラメータ目標値決定手段は、
前記安定範囲において前記付着率の目標値と前記残留率の目標値とを決定するように構成され、
前記噴射割合決定手段は、
前記決定された付着率の値を前記付着率目標値に近づけるための前記噴射割合と前記決定された残留率の値を前記残留率目標値に近づけるための同噴射割合とに基づいて同噴射割合を決定するように構成された内燃機関の燃料噴射量制御装置。 - 請求項6に記載の内燃機関の燃料噴射量制御装置において、
前記噴射割合決定手段は、前記噴射割合として、
前記決定された付着率の値を前記付着率目標値に近づけるための前記噴射割合と前記決定された残留率の値を前記残留率目標値に近づけるための同噴射割合の平均値を使用するように構成された内燃機関の燃料噴射量制御装置。 - 請求項6又は請求項7に記載の内燃機関の燃料噴射量制御装置において、
前記噴射割合決定手段は、
前記安定範囲として、前記残留率の値が前記付着率の値以上となる範囲を使用するように構成された内燃機関の燃料噴射量制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005214091A JP2007032343A (ja) | 2005-07-25 | 2005-07-25 | 内燃機関の燃料噴射量制御装置 |
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JP2005214091A JP2007032343A (ja) | 2005-07-25 | 2005-07-25 | 内燃機関の燃料噴射量制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005214091A Pending JP2007032343A (ja) | 2005-07-25 | 2005-07-25 | 内燃機関の燃料噴射量制御装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20150240740A1 (en) * | 2014-02-25 | 2015-08-27 | Mitsubishi Jidosha Kogyo Kabushiki Kaisha | Engine controlling apparatus |
CN114962031A (zh) * | 2022-06-08 | 2022-08-30 | 中国第一汽车股份有限公司 | 内燃机进气系统管路结焦的检测方法及其系统、车辆 |
-
2005
- 2005-07-25 JP JP2005214091A patent/JP2007032343A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US10221802B2 (en) * | 2014-02-25 | 2019-03-05 | Mitsubishi Jidosha Kogyo Kabushiki Kaisha | Engine controlling apparatus |
CN114962031A (zh) * | 2022-06-08 | 2022-08-30 | 中国第一汽车股份有限公司 | 内燃机进气系统管路结焦的检测方法及其系统、车辆 |
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