JP2007030639A - 座席位置復帰メモリー機構付き自動車用スライドシート - Google Patents

座席位置復帰メモリー機構付き自動車用スライドシート Download PDF

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Abstract

【課題】 シートバックの前倒し操作で座席を前方へ移動させて元の位置に復帰できるメモリー機構の構成を簡単にして信頼性を確保する。
【解決手段】 操作レバーの操作とシートバック51の前倒し操作で開錠可能なスライドロック機構13を備え、アッパー側10bが当接可能なメモリープレート31を、ロア側10aに移動可能に支持し、後傾状態でロア側10aと係合すると共に起立状態で離脱する位置決め部31aを設けて後傾方向にバネ偏倚させ、アッパー側10bに連結リンク32を装着し、アッパー側10bがメモリープレート31に当接した状態でメモリープレート31と係合乃至は離脱可能な連結部37を連結リンク32の後端側に設けて係合方向にバネ偏倚させ、連結部37をメモリープレート31に係合すると、メモリープレート31を連結すると共に起立状態に保持でき、連結部37をメモリープレート31から離脱させると、メモリープレート31を分離すると共に後傾状態にしてロア側10bと係合させることが可能である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、シートクッションのレバー操作により座席位置を調整可能であると共に、シートバックの前倒し操作によって座席を前方へ大きく移動可能な自動車用スライドシートに係り、特に、座席を前方へ大きく移動させた後、元の座席位置に復帰するための座席位置復帰メモリー機構を備えた自動車用スライドシートに関するものである。
自動車用スライドシートにおいては、着座者の体格等に合わせて座席位置を前後に調整するため、シートクッションのレバー操作により開錠可能なスライドロック機構が備えられている。このスライドロック機構として、ウオークイン空間や荷物スペース等を車内に確保するべく、シートバックの前倒し操作によっても開錠可能に構成されているものが知られている。
そのような自動車用スライドシートでは、シートバックの前倒し操作によりスライドロック機構を開錠して座席を車内前方へ大きく移動させた後、座席を元の座席位置に速やかに復帰させるための座席位置復帰メモリー機構を備えたものが提案されている。
その自動車用スライドシートと機能的に近似する一例として、特許文献1が挙げられる。この特許文献1では、床に固定された固定部分に、座席に固定された可動部分がスライド可能に装着され、可動部分の内側に弾性により上下動可能な留め具が固定され、留め具の歯状突起を上下動させて固定部分の底部に設けられた切欠きに係合乃至は離脱させることにより、固定部分に対する可動部分のスライドが規制乃至は許容されるように構成されている。
可動部分にはクランクが揺動可能に装着されており、このクランクの一端側に留め具に連結され、他端側に座席の下に配置された第1の制御手段としての制御棒が固定されている。制御棒の操作によりクランクを揺動させると、留め具を上下動させることが可能となっている。また、シートバックの前倒し操作によりクランクを押圧可能な第2の制御手段も設けられており、シートバックの前倒し操作でも留め具を上下動させることが可能となっている。従って、制御棒の操作とシートバックの前倒し操作とのそれぞれで、留め具を係合乃至は離脱させて開錠乃至は施錠できるスライドロック機構が構成されている。
可動部分より後方の固定部分に記憶ランナがスライド可能に装着され、固定部分に設けられた切欠きと係合乃至は離脱可能なランナ留め具がこの記憶ランナに回動可能に装着されており、ランナ留め具が固定部分に係合することにより記憶ランナが固定部分にスライド不能に配置されるようになっている。
前記のクランクには、縦方向レバーが後方側に突出して揺動可能に装着されており、可動部分が記憶ランナに当接した状態で縦方向レバーの後端側を下降させると、縦方向レバーの後端側が記憶ランナと係合して可動部分と記憶ランナとを連結することができる。また、縦方向レバーの後端側の先端はランナ留め具を回動可能に形成されており、縦方向レバーを記憶ランナに係合した際に押圧して、ランナ留め具を固定部分の切欠きから離脱させることができるようになっている。そのため、縦方向レバーの後端側を下降させて記憶ランナと係合させると、可動部分と記憶ランナとを連結してランナ留め具を固定部分から離脱させ、可動部分と記憶ランナとを連結した状態でスライドさせることが可能となる。
縦方向レバーを可動部分に係合させない状態では、可動部分と記憶ランナとは連結されず、ランナ留め具が固定部分の切欠きに係合して記憶ランナが固定部分にスライド不能に配置される。そのため、可動部分を記憶ランナから分離して前方へスライドさせることができ、座席と共に可動部分を前方へ移動させた後、後方へ移動させれば、可動部分が記憶ランナに当接することにより、元の位置に復帰させることができる。
従って、シートバックの前傾し操作により、縦方向レバーを可動部分に係合させずに、スライドロック機構を開錠すれば、座席を車両前方へ大きく移動させて、元の座席位置まで速やかに復帰させることができる。
特開平11−33443号公報
上述の座席位置復帰メモリー機構では、記憶ランナに装着されたランナ留め具により記憶ランナを固定部に固定しておき、この記憶ランナに可動部分を当接させて位置を復帰させるように構成されているため、可動部分を記憶ランナに当接させた際、ランナ留め具に大きな衝撃力が作用し易い。ところが、ランナ留め具が記憶ランナに回動可能に装着されたものであるため、強度が不足し易くて動作の十分な信頼性を確保し難かった。
また、座席の制御棒によりクランクを下降させる際には、クランクに揺動可能に装着された縦方向レバーの後端側を下降させるのに対し、シートバックの前倒し操作によりクランクを下降させる際には、縦方向レバーの後端側を下降させないため、制御棒の操作時とシートバックの前倒し操作時とで、同一のクランクの下降動作で縦方向レバーの動作を異ならせなければならない。そのため、座席位置復帰メモリ−機構の構成が複雑なものとなっていた。
本発明の解決しようとする課題は、座席位置の調整とは別にシートバックの前倒し操作により座席を大きく前方へ移動させた際、容易に元の座席位置に復帰でき、しかも、簡単な構成で信頼性を確保し易い座席位置復帰メモリー機構付自動車用スライドシートを提供することにある。
本発明の請求項1は、車体フロアの前後方向に亘って敷設されたロア側と、シートクッションの下部側に取付けられてロア側に移動可能に支持されたアッパー側とからなる左右一対のスライドレールに、ロア側と係合乃至は離脱可能なロック部と、このロック部を一端側に支持してアッパー側に揺動可能に軸承装着されると共にロック部の係合方向に付勢されたロックレバーとを有し、シートクッションの操作レバーの操作と、シートバックの前倒し操作とのそれぞれでロックレバーの他端側が押え込まれることによりロック部がロア側から離脱可能なスライドロック機構を備えた自動車用スライドシートにおいて、後傾乃至は起立可能な位置記憶部材がアッパー側より後方のロア側に移動可能に、且つ、アッパー側と当接可能に支持され、この位置記憶部材に後傾状態でロア側と係合すると共に起立状態で離脱する位置決め部が設けられて後傾方向に付勢され、アッパー側に揺動可能な連結リンクが軸承装着され、この連結リンクの後端側に、アッパー側が位置記憶部材に当接した状態で、位置記憶部材と係合して連結すると共に位置記憶部材を起立させる連結部が設けられて連結部の係合方向に付勢され、シートバックの前倒し操作で連結リンクの前端側が押さえ込まれることにより、連結部が位置記憶部材から離脱してアッパー側と位置記憶部材とが分離可能に構成されていることを特徴とする。
本発明の請求項2は、位置記憶部材は、支持軸により後傾乃至は起立可能にロア側に支持され、支持軸より前方に連結リンクの連結部との被係合部を備えると共に、支持軸より後方に位置決め部を備え、後傾用バネ部材により後傾方向に付勢されていることを特徴とする。
本発明の請求項3は、シートバックの前倒し操作で連結リンクの前端側を押さえ込む押圧部を有し、この押圧部が、連結リンクの前端側と共にロックレバーの後端側を押え込み可能に配置されていることを特徴とする。
本発明の請求項4は、位置記憶部材と当接可能な当接移動片が、アッパー側に前後に移動可能に配置されると共に、連結リンクの後端側を係合方向に付勢するリンク用バネ部材により連結リンクの後端側と連結され、当接移動片が位置記憶部材に当接してアッパー側に対して前方へ移動することにより、リンク用バネ部材の引張力を増加可能に構成されたことを特徴とする。
本発明の請求項5は、互いに係合乃至は離脱可能なロック部係合部及びロック部被係合部がロック部と当接移動片とに設けられ、ロック部がロア側から離脱した位置で当接移動片がアッパー側に対して後方へ移動することにより係合すると共に、当接移動片がアッパー側に対して前方へ移動することにより離脱するようにロック部係合部とロック部被係合部とが構成されたことを特徴とする。
本発明の請求項6は、一端側で当接移動片に連結された解除アームが、アッパー側に揺動可能に軸承装着されると共に、他端側でアッパー側の下部より下方に突出してロアの最前方位置に設けられた解除部材と当接可能に配置され、
解除アームの他端側が解除部材に当接して揺動することにより、当接移動片をアッパー側に対して前方へ移動させてロック部係合部を被係合部から離脱させるように構成されたことを特徴とする。
本発明の請求項7は、当接移動片が、アッパー側に対して後方へ移動することにより、位置記憶部材から離脱した連結リンクと係止可能に構成されたことを特徴とする。
請求項1に記載の座席位置復帰メモリー機構付き自動車用スライドシートでは、後傾乃至は起立可能な位置記憶部材がアッパー側より後方のロア側に移動可能に、且つ、アッパー側と当接可能に支持され、この位置記憶部材に後傾状態でロア側と係合すると共に起立状態で離脱する位置決め部が設けられているので、位置記憶部材を後傾させれば移動不能に配置して位置を記憶でき、起立させれば移動可能にして解除することができる。そのため、位置記憶及び解除の際に、位置決め部を位置記憶部材に対して移動させる必要がなく、これらを一体的に固定して設けることができる。そのため、位置決め部の十分な強度を確保できる。
また、位置記憶部材が後傾方向に付勢されており、アッパー側に軸承装着された連結リンクの後端側に、位置記憶部材と係合してアッパー側と連結すると共に起立させる連結部が設けられているので、連結部を位置記憶部材に係合するだけで、アッパー側と位置記憶部材とを連結して位置決め部をロア側から離脱させることができ、確実にアッパー側に対応して位置記憶部材を移動させることができる。一方、連結部を位置記憶部材から離脱させるだけで、アッパー側と位置記憶部材とを分離して位置決め部をロア側に係合させることができ、確実に位置記憶部材により位置を記憶させることができる。そのため、連結リンクや位置記憶部材の動作を単純化でき、簡単な構成により信頼性を確保し易い座席位置復帰メモリー機構付き自動車用スライドシートを提供できる。
本発明の請求項2に係る座席位置復帰メモリー機構付き自動車用スライドシートでは、位置記憶部材が、支持軸によりロア側に移動可能に支持され、支持軸より前方に連結リンクの連結部との被係合部を備えると共に、支持軸より後方に位置決め部を備え、後傾用バネ部材により後傾方向に付勢されているので、位置記憶部材が支持軸を支点に起立又は後傾でき、位置記憶部材の動作をより確実にし易い。
本発明の請求項3に係る座席位置復帰メモリー機構付き自動車用スライドシートでは、シートバックの前倒し操作で連結リンクの前端部を押さえ込む押圧部を有し、この押圧部が連結リンクの前端側と共にロックレバーの後端側を押え込み可能に配置されているので、ロックレバーと連結リンクとを同時に操作でき、ロックレバーの後端側とを押さえ込むための部材を簡略化でき、座席位置復帰メモリー機構をより簡単に構成することができる。
本発明の請求項4係る自座席位置復帰メモリー機構付き動車用スライドシートでは、位置記憶部材と当接可能な当接移動片が、アッパー側に前後に移動可能に配置されると共に、連結リンクの後端側を係合方向に付勢するリンク用バネ部材により連結リンクの後端側と連結され、当接移動片が位置記憶部材に当接してアッパー側に対して前方へ移動することにより、リンク用バネ部材の引張力を増加可能に構成されているので、当接移動片を位置記憶部材に当接させれば、連結リンクの連結部を位置記憶部材により係合させ易いと共に、位置記憶部材に当接させない間には、連結リンクの連結部を位置記憶部材から離脱した状態に維持し易く、座席位置復帰メモリー機構の動作をより確実にし易い。
本発明の請求項5に係る自座席位置復帰メモリー機構付き自動車用スライドシートでは、互いに係合乃至は離脱可能なロック部係合部及びロック部被係合部がロック部と当接移動片とに設けられ、ロック部がロア側から離脱した位置で当接移動片がアッパー側に対して後方へ移動することにより係合すると共に、当接移動片がアッパー側に対して前方へ移動することにより離脱するようにロック部係合部とロック部被係合部とが構成されているので、連結リンクの連結部を位置記憶部材から離脱させてアッパー側を大きく前方へ移動させる際に、ロック部をロア側から離脱した状態で確実に維持することができ、スライドロック機構が開錠状態のままで座席のシートバックを起立状態にすることができる。一方、位置記憶部材に当接させれば、ロック部係合部がロック部から離脱できるため、スライドロック機構を施錠できる。そのため、座席の移動及び固定を容易に行うことが可能である。
本発明の請求項6に係る自動車用スライドシートでは、一端側で当接移動片に連結された解除アームが、アッパー側に揺動可能に軸承装着されると共に、他端側でアッパー側の下部より下方に突出してロアの最前方位置に設けられた解除部材と当接可能に配置され、解除アームの他端側が解除部材に当接して揺動することにより、当接移動片をアッパー側に対して前方へ移動させてロック部係合部を被係合部から離脱させるように構成されているので、最前方位置でロック部をロア側に係合させてスライドロック機構を施錠することができ、座席を前方に移動して固定しておくことが可能である。
請求項7の座席位置復帰メモリー機構付き自動車用スライドシートにあっては、当接移動片がアッパー側に対して後方へ移動することにより、位置記憶部材から離脱した連結リンクと係止可能に構成されているので、アッパー側が位置記憶部材から離間した状態で、当接移動片がアッパー側に対して後方へ移動している間は、確実に連結リンクを所定の離脱位置に維持することができ、動作をより確実に行い易い。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係るスライドロック機構及び座席位置復帰メモリー機構を備えた自動車用スライドシートのスライドレール周辺を示す。図中、矢印Xfが車内前部側で、矢印Xrが車内後部側である。
この自動車用スライドシートは、例えばワゴン車等に搭載されるフロントシート、セカンドシート、サードシートの何れを構成するにも適用できる。主としては、ウオークイン空間や荷物スペース等を車内に確保するべく、ロングタイプのスライドレールを備えることから、セカンドシート、サードシートを含むリア側シートを構成するのに適用される。
スライドレール10は、シートクッション(図示せず。)の下方に左右一対設けられており、車体フロアの前後方向に亘って敷設されたロア側10a(以下、「ロアレール」という。)と、図示しないシートクッションの下部側に取付けられて、ロアレール10aに移動可能に支持されたアッパー側10b(以下「アッパーレール」という。)とを備えて組み立てられている。
図1及び図2に示すように、ロアレール10aは、全長にわたり連続する中空部10c及び上方の開口部10dを備えた略C字状の断面形状を呈している。ロアレール10aの底部には、後述するロック片24及びメモリープレート31が噛合乃至は離脱可能な止め孔10eが、長手方向に沿って一定の間隔で複数設けられている。
アッパーレール10bは、上部がロアレール10aの開口部10dから突出して起立するように配置された一対の板状体からなる立上りフレーム12と、この立上りフレーム12の前端側及び後端側の下部にそれぞれ配置されてロアレール10aの中空部10cに収容された回転自在なローラ11a、11bとを備えている。
このスライドレール10には、図1に示すように、ロアレール10aに対するアッパーレール10bの移動を規制及び許容可能なスライドロック機構13と座席位置復帰メモリー機構14とが設けられている。
スライドロック機構13は、立上りフレーム12に揺動可能に軸承装着されたロックレバー22と、ロックレバー22の前端側に保持され、ロアレール10aの止め孔10eと係合乃至は離脱可能なロック部としてのロック片24と、ロック片24の係合方向にロックレバー24を付勢する引張りバネ25と、ロックレバー22の後端側を押え込み乃至は解除可能にロックレバー22の後端側の上方に配置された通常操作用アーム26及びウオークイン用アーム27とを備えて組み立てられている。
ロック片24は、図3に示すように、立上りフレーム12に沿う板状体で、一対の立上りフレーム12間の間隙からなる案内部28内で上下にスライド可能に配置されている。下端部の前後2箇所には、ロアレール10aの前後に隣接する2つの止め孔10eに係合乃至は離脱可能な噛合突起24aが設けられている。上端部には回転ピン23が装着され、この回転ピン23を介してロックレバー22の前端側に支持されている。ロック片24の前端側には、後述するスライドプレート43の係合突起43aと係合乃至は離脱可能な係合凹部24bが設けられている。
ロックレバー22は、立上りフレーム12の一方の側面に、回転ピン21によりシーソ形態で揺動可能に軸承装着されている。回転ピン21より前端側には長手方向に延びる長孔22bが設けられて回転ピン23を支持している。
ロックレバー22の回転ピン21の近傍には、突起22aが上方に突出して設けられ、突起22aと立上りフレーム12の前端側との間に引張りバネ25が架け渡されている。この引張りバネ25により、ロックレバー22をロック片24の係合方向、即ち、ロック片24を下降させる方向に付勢されている。
ロックレバー22の回転ピン21より後端側の上方には、通常操作用アーム26が当接して配置されており、詳細な図示は省略されているが、シートクッションに設けられた操作レバーのレバー操作に連動して通常操作アーム26が下降可能に構成されいる。同じく、ウオークイン用アーム27も、ロックレバー22の回転ピン21より後端側の上方に配置されており、シートバックの前倒し操作により下降可能に構成されている。これらの通常操作用アーム26とウオークイン用アーム27とは、それぞれ下降することにより、ロックレバー22の後端側を押え込むことが可能となっている。
このようなスライドロック機構13では、通常、ロックレバー22が引張りバネ25によりバネ偏倚されており、ロック片24が下降して、噛合突起24aがロアレール10aの止め孔10eに係合した施錠状態となっている。
この状態からシートクッションのレバー操作又はシートバックの前倒し操作を行うと、通常操作用アーム26又はウオークイン用アーム27が下降し、ロックレバー22の後端側が押え込まれて前端側に保持されたロック片24が上昇し、ロック片24の噛合突起24aがロアレール10aの止め孔10eから離脱して開錠状態にすることができる。
次に、座席位置復帰メモリー機構14は、ロアレール10aのアッパーレール10bより後方に移動可能に支持された位置記憶部材としてのメモリープレート31と、アッパーレール10bの立上りフレーム12に揺動可能に軸承装着された連結リンク32と、この連結リンク32の後端側に設けられてメモリープレート31に係合乃至は離脱可能な連結部としてのフック37と、連結リンク32の後端側をメモリープレート31に係合する方向に付勢する引張りバネ33とを備えて組み立てられている。
メモリープレート31は、アッパーレール10bの立上りフレーム12と当接可能な形状を有し、図4に示すように、ロアレール10aの中空部10c内に配置され、支持軸としてのローラ軸34aに装着された一対のローラ34により、ロアレール10aに沿って移動可能に支持されている。このメモリープレート31は、ローラ軸34aを支点にして、後傾乃至は起立可能となっている。
メモリープレート31のローラ軸34aより後端側には、下方に突出する位置決め部としての噛合突起31aが設けられている。メモリープレート31を後傾状態にすると、噛合突起31aがロアレール10aの底部に設けられた止め孔10eと係合し、起立状態にすると、離脱することが可能である。この実施の形態では、噛合突起31aはロック片24の噛合突起24aと同様の形状を有しており、ロック片24の噛合突起24aが係合乃至は離脱されるロアレール10a止め孔10eと共通に使用可能となっている。
このメモリープレート31には、後傾方向に付勢する後傾用バネ部材としてのバネ構造部36が装着されている。この実施の形態では、バネ構造部36は、メモリープレート31に一端側が固定された板バネ36aと、板バネ36aの他端側に回転自在に装着されて、ロアレール10aの中空部10cの天面10fに当接した付勢ローラ36cとからなっている。付勢ローラ36cが天面10fを押圧する反力により、メモリープレート31が後傾方向に付勢されている。
メモリープレート31の上部には、連結リンク32のフック37が係合可能な被係合部としての係合凹部35が設けられている。この係合凹部35は、ローラ軸34aより前方側に形成されており、バネ構造部36の付勢力に抗する力が係合凹部35に作用すると、メモリープレート31が起立するようになっている。
メモリープレート31に係合可能な連結リンク32は、立上りフレーム12のロックレバー22と同じ側面側に配置され、回転ピン29によりシーソ形態で揺動可能に軸承装着されている。連結リンク32のフック37は、回転ピン29より後端側であって、アッパーレール10bがメモリープレート31と当接した状態で、メモリープレート31の係合凹部35に係合乃至は離脱可能な位置に設けられている。
フック37と回転ピン29との間には固定ピン38が突出しており、アッパーレール10bの固定ピン39との間にリンク用バネ部材としての引張りバネ33が架け渡されている。この固定ピン39は立上りフレーム12に固定されていてもよいが、この実施の形態では、後述するスライドプレート43に固定されている。ここでは、引張りバネ33で連結リンク32がバネ偏倚してフック37が係合凹部35に係合することにより、メモリープレート31の係合凹部35が下方に押さえ込まれ、バネ構造部36の付勢力に抗してメモリープレート31が起立状態となるように、フック37及び係合凹部35の形状、並びに引張りバネ33及びバネ構造部36の強度が設定されている。
連結リンク32の回転ピン29より前端側には、図5に示すように、固定ピン41が横方向に突出して固定されており、固定ピン41の上方に接した状態で、前述の押圧部としてのウオークイン用アーム27が配置されている。ここでは、ウオークイン用アーム27がシートバックの前倒し操作により下降して押圧動作を行うと、連結リンク32の前端側が押さえ込まれて後端側が上昇し、フック37が係合凹部35から離脱可能となっている。
このとき、固定ピン41の下方には、スライドロック機構13のロックレバー22の後端側が配置されているため、ウオークイン用アーム27の下降時には、連結リンク32の前端と共に、ロックレバー22の後端側が押さえ込まれる。
この実施の形態の座席位置復帰メモリー機構14では、アッパーレール10bの立上りフレーム12の連結リンク32が設けられた側の側面に、前後にスライドして移動可能な当接移動片としてのスライドプレート43が装着されている。このスライドプレート43には、後端部がメモリープレート31と当接可能な位置に配置され、上述の通り、固定ピン39により引張りバネ33の一端が支持されており、スライドプレート43と連結リンク32の後端側とが引張りバネ33を介して連結された状態となっている。
ここでは、連結リンク32の後端側のフック37が上昇した状態では、スライドプレート43を後方にバネ偏倚させるための付勢力が増加される。そのため、アッパーレール10bがメモリープレート31から離間すると、スライドプレート43が立上りフレーム12に対して後方へ移動可能である。スライドプレート43の移動後には、引張りバネ33の引張力が減少するため、連結リンク32の後端側のフック37が上昇してメモリープレート31の係合凹部35から離脱した状態が維持し易くなる。
立上りフレーム12に対して後方に移動した状態のスライドプレート43が、再びメモリープレート31に当接すると、スライドプレート43が立上りフレーム12に対して前方へ移動し、引張りバネ33の引張力が増加する。そのため、連結リンク32の後端側のフック37を、メモリープレート31の係合凹部35と係合する方向にバネ偏倚させることが可能である。
このスライドプレート43の前端側には、スライドロック機構13のロック片24に設けられた係合凹部24bに係合乃至は離脱可能なロック部係合部としての係合突起43aが形成されている。この係合突起43aはスライドプレート43が立上りフレーム12に対して後方に移動することにより、ロック片24のロック部被係合部としての係合凹部24bと係合可能に構成されている。ロック片24が上昇してロック片24の噛合突起24aがロアレール10aの止め孔10eから離脱した状態で、スライドプレート43が立上りフレーム12に対して後方に移動すると、ロック片24の係合凹部24bにスライドプレート43の係合突起43aが係合でき、ロック片24を上昇した位置で保持することができる。一方、スライドプレート43がメモリープレート31に当接して、立上りフレーム12に対して前方に移動すると、ロック片24の係合凹部24bからスライドプレート43の係合突起43aが離脱し、ロック片24を下降することができる。
このスライドプレート43には、ロック片24の係合凹部24bとスライドプレート43の係合突起43aとの係合状態を解除するための解除アームとしての解除プレート45が連結されている。
解除プレート45は、アッパーレール10bの立上りフレーム12に揺動可能に軸承装着され、上端側に形成された長孔45aによりスライドプレート43に取付られた回転ピン46と連結されており、下端部が立上りフレーム12より下方のロアレール10aの底面近傍まで突出して配置されている。ロアレール10aの最前方位置の底部には、上方に突出して解除部材47が固定されており、解除プレート45の下端部が当接可能となっている。そのため、アッパーレール10bがロアレール10aの最前方位置まで移動すると、解除プレート45の下端部が解除部材47に当接して揺動し、スライドプレート43を立上りフレーム12に対して前方に移動させることができる。これによりロック片24の係合凹部24bとスライドプレート43の係合突起43aとの係合状態を解除し、ロック片24を下降させてロアレール10aの最前方位置に形成された止め孔10eに噛合突起24aを係合させることができるように構成されている。
次に、以上のような構成を有するスライドロック機構13及び座席位置復帰メモリー機構14を備えた自動車用スライドシートの動作について説明する。
まず、座席50を使用しない状態又は通常の着座状態では、図6に示すように、スライドロック機構13のロック片24が下降した状態で、噛合突起24aがロアレール10aに係合して施錠状態となっている。そのため、アッパーレール10bがロアレール10aに対して一定位置に維持されている。
このとき、座席位置復帰メモリー機構14では、連結リンク32のフック37がメモリープレート31の係合凹部35に係合されている。そのため、アッパーレール10bとメモリープレート31とが連結されており、メモリープレート31が起立状態で、噛合突起31aがロアレール10aの止め孔10eから離脱している。
座席位置を調整するときには、図7に示すように、シートクッション49に設けられたレバー49aの操作を行う。このレバー操作により、通常操作用アーム26がスライドロック機構13のロックレバー22の後端側を押さえ込み、ロック片24を上昇させて、噛合突起24aをロアレール10aの止め孔10eから離脱させ、開錠状態とし、アッパーレール10bがロアレール10a内で移動可能となる。
このとき、座席位置復帰メモリー機構14では、連結リンク32のフック37がメモリープレート31に係合した状態のまま維持される。そのため、アッパーレール10bとメモリープレート31とが連結されており、メモリープレート31が起立状態で、噛合突起31aがロアレール10aと止め孔10eから離脱した状態で維持される。
これにより、アッパーレール10bをロアレール10aに沿って前後に移動させて、座席位置を調整することができる。同時に、アッパレール10bの移動に伴ってメモリープレート31を移動させることができるため、常に調整された座席位置に対応する位置にメモリープレート31を配置することができる。
座席位置の調整が終了した後、シートクッション49に設けられたレバー49aの操作を解除すると、通常操作用アーム26が上昇し、ロックレバー22及びロック片24が復帰してスライドロック機構13が再び施錠状態となり、座席位置が調整後の位置で座席50が固定される。
次に、座席50を大きく前方へ移動させることにより、ウオークイン空間や荷物スペース等を車内に確保するには、図8に示すように、座席50のシートバック51の前倒し操作を行い、ウオークイン用アーム27を下降させて座席位置復帰メモリー機構14の連結リンク32の前端側を押さえ込み、後端側のフック37を上昇させてメモリープレート31の係合凹部35から離脱させる。これにより、アッパーレール10bがメモリープレート31から分離されると共に、図9に示すように、メモリープレート31がバネ構造部36により後傾状態になり、メモリープレート31の噛合突起31aがロアレール10aの止め孔10eに係合し、メモリープレート31がロアレール10aに対して移動不能に配置される。
このウオークイン用アーム27の下降時には、連結リンク32の固定ピン41を介してスライドロック機構13のロックレバー22の後端側も同時に押さえ込まれる。これにより、ロック片24が上昇して、噛合突起24aがロアレール10aの止め孔10eから離脱し、開錠状態となる。そのため、アッパーレール10bがメモリープレート31から分離した状態でロアレール10aに対して前方へ移動可能となる。
この状態で、座席50を前方へ移動させてアッパーレール10bを移動させると、図9に示すように、メモリープレート31から離間すると同時に、スライドプレート43が、連結リンク32との間に架け渡されている引張りバネ33の引張力により、立上りフレーム12に対して後方へ移動する。これによりスライドプレート43の前端側に設けられた係合突起43aが、上昇しているロック片24の係合凹部24bに係合してロック片24を保持し、スライドロック機構13が開錠状態に維持される。
この状態で、座席を最前方位置まで移動させると、図10に示すように、アッパーレール10bの下方に突出して配置された解除プレート45の下端が、ロアレール10aに設けられた解除部材47に当接して揺動し、スライドプレート43を立上りフレーム12に対して前方に移動させる。そのため、スライドプレート43の係合突起43aがロック片24の係合凹部24bから離脱し、スライドプレート43と連結リンク32との間の引張りバネ33の引張力が増加する。
このとき、シートバック51が前倒し状態の場合には、ウオークイン用アーム27が下降してロックレバー22の後端側が押さえ込まれたままであるためロック片24は上昇した状態で維持される。一方、シートバック51を前倒し状態から起立状態にした場合には、図11に示すように、スライドプレート43の係合突起43aがロック片24の係合凹部24bから離脱することにより、ロック片24が下降して、噛合突起24aがロアレール10aの最前方位置に設けられた止め孔10eに係合し、スライドロック機構13が施錠状態となって座席50が最前方位置で固定される。何れにおいても、これによりウオークイン空間や荷物スペース等が車内に確保される。
座席を最前方位置から元の座席位置に復帰させるには、図12に示すように、シートバック51が前倒し状態で、スライドロック機構13を開錠状態にし、座席を後方へ移動させる。
このとき、解除プレート45がロアレール10aの解除部材47から離脱すると、図13に示すように、スライドプレート43と連結リンク32との間の引張りバネ33の引張力により、スライドプレート43が再び立上りフレーム12に対して後方へ移動する。これにより、スライドプレート43の前端側の係合突起43aが、再び、上昇しているロック片24の係合凹部24bに係合してロック片24を上昇した位置で保持することができる。そのため、シートバック51を前倒し状態から起立状態にしても、ロック片24は下降せず、起立状態で座席を後方へ移動させることも可能である。
座席が元の位置に達すると、図14に示すように、アッパーレール10bのスライドプレート43が、ロアレール10aに移動不能に配置されていたメモリープレート31に当接し、立上りフレーム12に対して前方へ移動し、スライドプレート43の前端側の係合突起43aがロック片24の係合凹部24bから離脱する。
これにより、図15に示すように、再びロック片24か下降して、ロック片24の噛合突起24aがロアレール10aの止め孔10eに係合し、スライドロック機構13が施錠状態となる。同時に、スライドプレート43が前方へ移動することにより、スライドプレート43と連結リンク32との間の引張りバネ33の引張力が増加し、連結リンク32のフック37が下降して、メモリープレート31の係合凹部35と係合し、再び、アッパーレール10bとメモリープレート31とが連結されると共に、メモリープレート31を起立状態にして、メモリープレート31の噛合突起31aをロアレール10aの止め孔10eから離脱させることができる。これにより、座席を元の座席位置に復元して、再び通常の状態に戻すことができる。
以上のような自動車用スライドシートによれば、アッパーレール10bと当接可能なメモリープレート31が、アッパーレール10bより後方のロアレール10aに移動可能に支持されると共に、後傾乃至は起立可能に形成されて、後傾状態でロアレール10aと係合すると共に起立状態で離脱する噛合突起31aを有するので、メモリープレート31を起立状態にすれば移動させることができ、起立状態を解除して後傾状態にすればロアレール10aに移動不能に配置することができる。そのため、メモリープレート31の本体部に対して噛合突起31aを移動させる必要がないため、メモリープレート31に噛合突起31aを一体的に固定状態で設けることができ、十分な強度を確保し易い。
また、このようなメモリープレート31が後傾方向に付勢されており、アッパーレール10bに装着された連結リンク32の後端側にメモリープレート31と係合乃至は離脱可能なフック37が設けられて係合方向に付勢されているので、連結リンク32の前端側が解除状態に保たれて連結リンク32のフック37がメモリープレート31に係合された状態となるだけで、アッパーレール10bとメモリープレート31とを連結すると共に、メモリープレート31を起立させてアッパーレール10bと共に移動可能にできる。
一方、連結リンク32の前端側が押さえ込まれて、連結リンク32のフック37がメモリープレート31から離脱するだけで、アッパーレール10bがメモリープレート31から分離されると共に、メモリープレート31が後傾してロアレール10aと係合し、移動前の座席位置におけるアッパーレール10bに対応するロアレール10aの位置に移動不能に配置して座席位置を記憶させることができる。そのため、アッパーレール10bの連結リンク32やメモリープレートの動作を単純化でき、簡単な構成にして確実な動作を確保し易い。
ここでは、メモリープレート31が、一本のローラ軸34a及びローラ34によりロアレール10aに移動可能に支持され、ローラ軸34aより前方に連結リンク32のフック37との係合凹部35を備えると共に、ローラ軸34aより後方に噛合突起31aを備えたメモリープレート31を備え、このメモリープレート31をバネ構造部36により後傾方向にばね偏倚させているので、各部の位置やバネ構造部36の強度等を設定しておくだけで、ローラ軸45aを支点にメモリープレート31をより確実に起立又は後傾させ易い。
また、ウオークイン用アーム27が連結リンク32の前端側と共にロックレバー22の後端側を押え込み可能に配置されているので、ロックレバー22と連結リンク32とを同時に操作でき、ロックレバー22の後端側とを押さえ込むための部材を簡略化できる。
更に、メモリープレート31と当接可能なスライドプレート43が、アッパーレール10bに前後に移動可能に配置されると共に、連結リンク32の後端側を係合方向に付勢する引張りバネ33を介して連結リンク32の後端側と連結され、スライドプレート43がメモリープレート31に当接してアッパーレール10bに対して前方へ移動することにより、引張りバネ33の引張力を増加するように構成されているので、スライドプレート43をメモリープレート31に当接させれば、連結リンク32のフック37をメモリープレート31に確実に係合させ易いと共に、メモリープレート31に当接させない間には、連結リンク32のフック37をメモリープレート31から離脱した状態に維持し易く、動作をより確実にし易い。
ここでは、互いに係合乃至は離脱可能な係合凹部24b及び係合突起43aがロック片24及びスライドプレート43に設けられ、ロック片24がロアレール10aから離脱した位置でスライドプレート43がアッパーレール10bに対して後方へ移動することにより係合すると共に、スライドプレート43がアッパーレール10bに対して前方へ移動することにより離脱するように係合凹部24bと係合突起43aとが構成されているので、連結リンク32のフック37をメモリープレート31から離脱させてアッパーレール10bを大きく前方へ移動させる際に、ロック片24をロアレール10aから離脱した状態で確実に維持することができ、スライドロック機構13を開錠状態にして座席50のシートバック51を起立状態にすることができる。一方、メモリープレート31に当接させれば、係合突起43aがロック片24から離脱できるため、スライドロック機構13を施錠できる。そのため、座席50の移動及び固定を容易に行うことができる。
また、スライドプレート43に一端側で連結された解除プレート45が、アッパーレール10bに揺動可能に軸承装着されると共に、他端側でアッパーレール10bの下部より下方に突出してロアレール10aの最前方位置に設けられた解除部材47と当接可能に配置され、解除プレート45の他端側が解除部材47に当接して揺動することにより、スライドプレート43がアッパーレール10bに対して前方へ移動して係合突起43aが係合凹部24bから離脱するように構成されているので、最前方位置でロック片24をロアレール10aに係合させてスライドロック機構13を施錠することが可能であり、座席50を前方に移動して固定しておくことが可能である。
[第2の実施の形態]
図16は、第2の実施の形態に係るスライドロック機構及び座席位置復帰メモリー機構を備えた自動車用スライドシートのスライドレール周辺を示す。図中、矢印Xfが車内前部側で、矢印Xrが車内後部側として向き設定されている。
この実施の形態の自動車用スライドシートでは、スライドプレート43及び解除プレート45の代りに、略T字形状を有して前傾乃至は起立可能な当接移動片としてのT字プレート55が立上りフレーム12に揺動可能に軸承装着されており、このT字プレート55と連結リンク32との間に引張りバネ33が架け渡されている。また、ロック片24には、スライドプレート43と係合可能な係合凹部24bは形成されていない。その他は、実施の形態1と同一の構成となっている。
T字プレート55は、前後方向に配置されて揺動により前後に移動可能な横片55aと、この横片55aから下方に延びる縦片55bとからなり、縦片55bの中間位置で回転ピン57により前傾乃至は起立可能に支持されている。
横片55aの後端は、起立状態で立上りフレーム12の後方に突出し、前傾状態で立上りフレーム12の側面に収容可能となっている。図17に示すように、T字プレート55は、フック37が上昇した状態で起立すると、立上りフレーム12から後方に突出した横片55aの後端側が連結リンク32の下部に係合して、フック37を上昇した位置に維持できる。横片55aの前端側には、固定ピン59が取付られており、この固定ピン59と連結リンク32のフック37側との間に引張りバネ33が架け渡されている。
縦片55bの下端は、起立状態で立上りフレーム12の下方に突出し、ロアレール10aの最前方位置の底部に固定された解除部材47に当接することにより、T字プレート55を前傾させることが可能となっている。
このようなT字プレート55を有する自動車用スライドシートのスライドレールであっても、実施の形態1と同様に動作させることができる。即ち、自動車用スライドシートを使用しない状態又は通常の着座状態では、図16に示すように、スライドロック機構13のロック片24が下降して施錠され、連結リンク32のフック37がメモリープレート31に係合してメモリープレート31が起立し、噛合突起31aがロアレール10aの止め孔10eから離脱している。
座席位置を調整するときには、シートクッション49のレバー操作により、通常操作用アーム26でロックレバー22の後端側を押え込んで、ロック片24を上昇させて開錠できる。連結リンク32のフック37がメモリープレート31に係合した状態に維持されているため、アッパーレール10bと共にメモリープレート31を移動させて座席位置の調整を行うことができる。
座席のシートバックの前倒し操作で座席を大きく前方へ移動させることきには、図17に示すように、ウオークイン用アーム27が下降し、フック37が上昇してメモリープレート31の係合凹部35から離脱する。メモリープレート31が後傾状態になるため、ロアレール10aに対して移動不能に配置される。同時に、ウオークイン用アーム27により連結リンク32の固定ピン41を介してロックレバー22の後端側も押え込まれるため、スライドロック機構13が開錠状態となる。
この状態で、座席50を移動させてアッパーレール10bを移動させると、アッパーレール10bがメモリープレート31から離間すると同時に、T字プレート55が連結リンク32との間に架け渡されている引張りバネ33の引張力により、起立状態となる。すると、横片55aの後端が立上りフレーム12の後方に突出して、連結リンク32の下方に係合し、フック37が上昇した位置で維持される。
そのため、連結リンク32の前端側が押え込まれた位置で維持され、連結リンク32の固定ピン41を介して、ロックレバー22の後端側が押え込まれてロック片24が上昇した状態で維持され、スライドロック機構13が開錠状態で維持さる。
座席50が最前方位置まで移動すると、図18に示すように、アッパーレール10bの下方に突出しているT字プレート55の縦片55bの下端が、ロアレール10aに設けられた解除部材47に当接して揺動し、T字プレート55が前傾状態となり、T字プレート55の横片55aの後端が立上りフレーム12の側面に収容される。
この最前方位置においてシートバック51が前倒状態では、ウオークイン用アーム27が下降しているため、ロックレバー22の後端側が押さえ込まれている。そのため、ロック片24が上昇した状態で維持されて、スライドロック機構13は開錠状態となっている。
一方、最前方位置においてシートバック51が起立状態では、図19に示すように、T字プレート55が前傾状態であるため、T字プレート55と連結リンク32との間の引張りバネ33の引張力が増加しており、連結リンク32の後端側が下降して前端側が上昇し、ロックレバー22の後端側が上昇する。そのため、ロック片24が下降して、噛合突起24aがロアレール10aの最前方位置に設けられた止め孔10eに係合し、スライドロック機構13が施錠状態となる。従って、座席50が最前方位置で固定されて、ウオークイン空間や荷物スペース等を車内に確保することができる。
座席を最前方位置から元の座席位置に復帰させるには、シートバック51を前倒し状態にすることにより、ウオークイン用アーム27でロックレバー22の後端側を押え込み、スライドロック機構13を開錠状態にすれば、座席を後方へ移動させることができる。
このとき、T字プレート55がロアレール10aの解除部材47から離脱すると、図17に示すように、横片55aの後端が立上りフレーム12の後方に突出して連結リンク32の下方に係合することにより、フック37が上昇した位置で維持され、連結リンク32の前端側が下降した位置で維持される。そのため、連結リンク32に取付けられている固定ピン41により、ロックレバー22の後端側を押え込んでロック片24を上昇させた状態で維持され、スライドロック機構13が開錠状態に維持され、アッパーレール10bがロアレール10aの後方側に自在に移動できる。
座席50が元の座席位置に達すると、T字プレート55の横片55aがロアレール10aに移動不能に配置されていたメモリープレート31に当接し、T字プレート55が前傾状態となる。これにより、T字プレート55と連結リンク32との間の引張りバネ33の引張力が増加し、連結リンク32のフック37が下降して、メモリープレート31の係合凹部35に係合する。同時に、連結リンク32の前端側が上昇することにより、ロックレバー22の後端側が上昇して、ロック片24か下降し、スライドロック機構13が施錠状態となる。
これにより、座席50が元の座席位置に復帰し、再び、アッパーレール10bとメモリープレート31とが連結されて、メモリープレート31が起立状態になり、メモリープレート31の噛合突起31aがロアレール10aの止め孔10eから離脱し、通常の状態に戻すことができる。
以上のような、この実施の形態の自動車用スライドシートによれば、上記実施の形態1と同様に、座席50を大きく前方に移動させた後、容易に元の座席位置に復帰させることができると共に、強度を確保しつつ各部の構成を簡単にして、確実な動作を得ることができる。
しかも、アッパーレール10bに揺動可能に装着されたT字プレート55を用いることにより、T字プレート55の横片55aの後端をメモリープレート31に当接させれば、連結リンク32のフック37をメモリープレート31に確実に係合させ易いと共に、メモリープレート31に当接させない間には、連結リンク32のフック37をメモリープレート31から離脱した状態に維持し易く、動作をより確実にし易い。
また、T字プレート55の横片55aがアッパーレール10bに対して後方へ移動することにより、メモリープレート31から離脱した連結リンク32と係止乃至は離脱可能に構成されているので、アッパーレール10bがメモリープレート31から離間した状態では、T字プレート55の横片55aがアッパーレール10bに対して後方へ移動して、確実に連結リンク32を所定の離脱位置に維持することができ、動作をより確実に行い易い。
本発明の第1の実施の形態のスライドロック機構及び座席位置復帰メモリー機構を概略的に示す側面図である。 図1のA−A端面図である。 図1のB−B端面図である。 図1のC−C端面図である。 図1のD−D端面図である。 図1のスライドロック機構及び座席位置復帰メモリー機構の動作を説明する図であり、通常状態を示す。 (a)、(b)は、図1のスライドロック機構及び座席位置復帰メモリー機構の動作を説明する図であり、座席位置の調整状態を示す。 (a)、(b)は、図1のスライドロック機構及び座席位置復帰メモリー機構の動作を説明する図であり、シートバックの前倒し操作をした状態を示す。 (a)、(b)は、図1のスライドロック機構及び座席位置復帰メモリー機構の動作を説明する図であり、シートバックの前倒し操作をして、前方へ移動を開始した状態を示す。 (a)、(b)は、図1のスライドロック機構及び座席位置復帰メモリー機構の動作を説明する図であり、座席を最前方位置に移動させた状態を示す。 (a)、(b)は、図1のスライドロック機構及び座席位置復帰メモリー機構の動作を説明する図であり、座席を最前方位置に移動させて、シートバックを起立させた状態を示す。 (a)、(b)は、図1のスライドロック機構及び座席位置復帰メモリー機構の動作を説明する図であり、最前方位置に配置された座席のシートバックを再び前倒しした状態を示す。 (a)、(b)は、図1のスライドロック機構及び座席位置復帰メモリー機構の動作を説明する図であり、最前方位置に配置された座席のシートバックを前倒しして、後方へ移動を開始した状態を示す。 (a)、(b)は、図1のスライドロック機構及び座席位置復帰メモリー機構の動作を説明する図であり、座席を後方へ移動させて、メモリープレートにアッパーレール10bを当接させた状態を示す。 (a)、(b)は、図1のスライドロック機構及び座席位置復帰メモリー機構の動作を説明する図であり、座席を元の位置に復帰させた状態を示す。 本発明の第2の実施の形態のスライドロック機構及び座席位置復帰メモリー機構を概略的に示す側面図である。 図16のスライドロック機構及び座席位置復帰メモリー機構の動作を説明する図であり、シートバックの前倒し操作をして、座席を前方へ移動させた状態を示す。 図16のスライドロック機構及び座席位置復帰メモリー機構の動作を説明する図であり、座席を最前方位置に移動させてシートバックを前倒ししたままの状態を示す。 図16のスライドロック機構及び座席位置復帰メモリー機構の動作を説明する図であり、座席を最前方位置に移動させてシートバックを起立させた状態を示す。
符号の説明
10 スライドレール
10a ロアレール
10b アッパーレール
10e 止め孔
12 立上りフレーム
13 スライドロック機構
14 座席位置復帰メモリー機構
22 ロックレバー
24 ロック片
24a 噛合突起
24b 係合凹部
25 引張りバネ
26 通常操作用アーム
27 ウオークイン用アーム
31 メモリープレート
31a 噛合突起
32 連結リンク
33 引張りバネ
35 係合凹部
36 バネ構造部
37 フック
41 固定ピン
43 スライドプレート
43a 係合突起
45 解除プレート
47 解除部材
49 シートクッション
51 シートバック
55 T字プレート

Claims (7)

  1. 車体フロアの前後方向に亘って敷設されたロア側と、シートクッションの下部側に取付けられてロア側に移動可能に支持されたアッパー側とからなる左右一対のスライドレールに、ロア側と係合乃至は離脱可能なロック部と、このロック部を一端側に支持してアッパー側に揺動可能に軸承装着されると共にロック部の係合方向に付勢されたロックレバーとを有し、シートクッションの操作レバーの操作と、シートバックの前倒し操作とのそれぞれでロックレバーの他端側が押え込まれることによりロック部がロア側から離脱可能なスライドロック機構を備えた自動車用スライドシートにおいて、
    後傾乃至は起立可能な位置記憶部材がアッパー側より後方のロア側に移動可能に、且つ、アッパー側と当接可能に支持され、この位置記憶部材に後傾状態でロア側と係合すると共に起立状態で離脱する位置決め部が設けられて後傾方向に付勢され、
    アッパー側に揺動可能な連結リンクが軸承装着され、この連結リンクの後端側に、アッパー側が位置記憶部材に当接した状態で、位置記憶部材と係合して連結可能であると共に位置記憶部材を起立可能な連結部が設けられて係合方向に付勢され、
    この連結リンクの前端側がシートバックの前倒し操作で押さえ込まれることにより、連結部が位置記憶部材から離脱してアッパー側と位置記憶部材とが分離可能に構成されていることを特徴とする座席位置復帰メモリー機構付自動車用スライドシート。
  2. 位置記憶部材は、支持軸により後傾乃至は起立可能にロア側に支持され、支持軸より前方に連結リンクの連結部との被係合部を備えると共に、支持軸より後方に位置決め部を備え、後傾用バネ部材により後傾方向に付勢されていることを特徴とする請求項1に記載の座席位置復帰メモリー機構付自動車用スライドシート。
  3. シートバックの前倒し操作で連結リンクの前端側を押さえ込む押圧部を有し、この押圧部が、連結リンクの前端側と共にロックレバーの後端側を押え込み可能に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の座席位置復帰メモリー機構付き自動車用スライドシート。
  4. 位置記憶部材と当接可能な当接移動片が、アッパー側に前後に移動可能に配置されると共に、連結リンクの後端側を係合方向に付勢するリンク用バネ部材により連結リンクの後端側と連結され、
    当接移動片が位置記憶部材に当接してアッパー側に対して前方へ移動することにより、リンク用バネ部材の引張力を増加可能に構成されたことを特徴とする請求項1乃至は3の何れか一つに記載の座席位置復帰メモリー機構付き自動車用スライドシート。
  5. 互いに係合乃至は離脱可能なロック部係合部及びロック部被係合部がロック部と当接移動片とに設けられ、
    ロック部がロア側から離脱した位置で当接移動片がアッパー側に対して後方へ移動することにより係合すると共に、当接移動片がアッパー側に対して前方へ移動することにより離脱するようにロック部係合部とロック部被係合部とが構成されたことを特徴とする請求項4に記載の座席位置復帰メモリー機構付き自動車用スライドシート。
  6. 一端側で当接移動片に連結された解除アームが、アッパー側に揺動可能に軸承装着されると共に、他端側でアッパー側の下部より下方に突出してロアの最前方位置に設けられた解除部材と当接可能に配置され、
    解除アームの他端側が解除部材に当接して揺動することにより、当接移動片をアッパー側に対して前方へ移動させてロック部係合部を被係合部から離脱させるように構成されたことを特徴とする請求項5に記載の座席位置復帰メモリー機構付き自動車用スライドシート。
  7. 当接移動片が、アッパー側に対して後方へ移動することにより、位置記憶部材から離脱した連結リンクと係止可能に構成されたことを特徴とする請求項4乃至は6の何れか一つに記載の座席位置復帰メモリー機構付き自動車用スライドシート。

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