JP2007030427A - 液体滴吐出検査装置、液体滴吐出装置、及び、液体滴吐出システム - Google Patents

液体滴吐出検査装置、液体滴吐出装置、及び、液体滴吐出システム Download PDF

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Abstract

【課題】液体滴の吐出状態の検査の際に、液体滴を受ける導電体の堆積物が検査精度に与える影響を小さくすることが可能な液体滴吐出検査装置等を提供する。
【解決手段】(A)対向状態のノズルから吐出された液体滴を受けるための導電体と、(B)帯電した液体滴の接近によって前記導電体に生じる誘導電流を検出する検出部と、(C)前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電体に電圧を印加する電圧印加部と、(D)前記ノズルと前記導電体との間隔を調整するための間隔調整機構と、を備え、(E)前記導電体に受けられた液体滴に起因して前記導電体に堆積する堆積物の堆積高さが所定高さ以上になった際には、前記ノズルと前記導電体との間隔が、前記所定高さ以上になる前の間隔よりも広くした後に、前記ノズルから前記導電体へ向けて液体滴が吐出されることを特徴とする液体滴吐出検査装置。
【選択図】 図23

Description

本発明は、ノズルからの液体滴の吐出状態の検査をする液体滴吐出検査装置、液体滴吐出装置、及び、液体滴吐出システムに関する。
液体滴吐出装置として、紙や布、フィルムなどの各種媒体に対してインク滴(液体滴に相当)を吐出して印刷を行うインクジェットプリンタが知られている。このインクジェットプリンタは、シアン(C)やマゼンダ(M)、イエロ(Y)、ブラック(K)等といった各色のインク滴をノズルから吐出して媒体上にドットを形成して画像を印刷するものである。
このようなインクジェットプリンタにあっては、インクの固着などによってノズルに目詰まりを生じ、インク滴が正常に吐出されないことがある。そして、その場合には、媒体上にきちんとドットを形成できずに綺麗な印刷を行えなくなる。
そこで、インク滴の吐出状態の検査方法が色々と提案されており、その一例として、インク滴の吐出を光学的に検査する方法がある(特許文献1を参照。)。
特開2000−233520号公報
しかし、この方法では光学センサ等の高価な部品を用いる関係上、コストアップが必至である。このため、現在、安価な部品で対応可能な電気的方法が検討されている。
この電気的方法とは、ノズルから導電体に向けて帯電したインク滴を吐出し、このインク滴の接近によって前記導電体に生じる誘導電流の検出の有無からインク滴の吐出状態を判定するというものである。そして、インク滴の帯電処理は、導電体に電圧を印加し、これによってノズルとの間に形成される電界によって吐出前にインクを分極させることで行われる。
但し、導電体に所定電圧を印加しても、前記ノズルと前記導電体との間隔が変化すると、前記電界の変化を通してインク滴の帯電量に変化を来たし、その結果、誘導電流の大きさも変化してしまい、吐出状態を正しく検査できなくなってしまう。従って、検査精度の観点からは、ノズルと導電体との間隔の管理が重要となる。
この間隔の変動要因としては、導電体に堆積する堆積物が挙げられる。すなわち、この導電体はインク滴を受けるためにインク中の染料や顔料等の固形成分が徐々に堆積する一方、この堆積物はインクの溶媒によって濡れると導電性を示す。このため、堆積物が生じるとその高さ分だけノズルとの間隔を実質的に狭めてしまうことになる。
本発明は、このような事情に鑑みたものであって、その目的は、液体滴の吐出状態の検査の際に、液体滴を受ける導電体の堆積物が検査精度に与える影響を小さくすることが可能な液体滴吐出検査装置等を提供することを目的とする。
前記目的を達成するための主たる発明は、
(A)対向状態のノズルから吐出された液体滴を受けるための導電体と、
(B)帯電した液体滴の接近によって前記導電体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
(C)前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電体に電圧を印加する電圧印加部と、
(D)前記ノズルと前記導電体との間隔を調整するための間隔調整機構と、を備え、
(E)前記導電体に受けられた液体滴に起因して前記導電体に堆積する堆積物の堆積高さが所定高さ以上になった際には、
前記所定高さ以上になる前の前記間隔よりも、前記ノズルと前記導電体との間隔が広くされた後に、前記ノズルから前記導電体へ向けて液体滴が吐出されることを特徴とする液体滴吐出検査装置である。
また、前記目的を達成するためのその他の主たる発明は、
(A)ノズルから吐出された液体滴を受けるための導電体と、
(B)帯電した液体滴の接近によって前記導電体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
(C)前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電体に電圧を印加する電圧印加部と、を備え、
(D)前記導電体に受けられた液体滴に起因して前記導電体に堆積する堆積物の堆積高さが所定高さ以上になった際には、
前記堆積物を崩すための液体滴が、ノズルから前記堆積物へ向けて吐出されることを特徴とする液体滴吐出検査装置である。
また、前記目的を達成するためのその他の主たる発明は、
(A)ノズルから吐出された液体滴を受けるための導電体と、
(B)帯電した液体滴の接近によって前記導電体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
(C)前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電体に電圧を印加する電圧印加部と、を備え、
(D)前記導電体に受けられた液体滴に起因して前記導電体に堆積する堆積物の堆積高さが所定高さ以上になった際には、
前記導電体に印加する電圧が、前記所定高さ以上になる前の電圧値よりも低くされた後に、前記導電体へ向けて液体滴が吐出されることを特徴とする液体滴吐出検査装置である。
また、前記目的を達成するためのその他の主たる発明は、
(A)ノズルから吐出された液体滴を受けるための導電体と、
(B)帯電した液体滴の接近によって前記導電体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
(C)前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電体に電圧を印加する電圧印加部と、
(D)前記導電体に受けられた液体滴に起因して前記導電体に堆積する堆積物の堆積高さを評価する評価部と、
(E)前記評価部によって前記堆積高さが所定高さ以上になったと判断された場合に、前記導電体のメンテナンスの実施の必要性を報知する報知部と、
(F)を備えたことを特徴とする液体滴吐出検査装置である。
また、前記目的を達成するためのその他の主たる発明は、
(A)ノズルから吐出された液体滴を受ける部分が、複数箇所用意された導電体と、
(B)帯電した液体滴の接近によって前記導電体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
(C)前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電体に電圧を印加する電圧印加部と、を備え、
(D)前記導電体に受けられた液体滴に起因して前記導電体に堆積する堆積物の堆積高さが所定高さ以上になった際には、
前記液体滴を受ける部分が、前記複数箇所のなかで、堆積物の堆積高さが前記所定高さよりも低い部分に変更されることを特徴とする液体滴吐出検査装置である。
また、前記目的を達成するためのその他の主たる発明は、
(A)ノズルから吐出された液体滴を受けるための導電体と、
(B)帯電した液体滴の接近によって前記導電体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
(C)前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電体に電圧を印加する電圧印加部と、
(D)前記ノズルからの液体滴の吐出状態を検査すべく、前記ノズルから前記液体滴を所定の周波数で連続吐出させるための信号を発生するコントローラと、を備え、
(E)前記導電体に受けられた液体滴に起因して前記導電体に堆積する堆積物の堆積高さが所定高さになった際には、
前記コントローラは、前記所定高さ以上になる前の周波数よりも低い周波数で液体滴を吐出する信号を発生することを特徴とする液体滴吐出検査装置である。
また、前記目的を達成するためのその他の主たる発明は、
(A)ノズルから吐出された液体滴を受けるための導電体と、
(B)帯電した液体滴の接近によって前記導電体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
(C)前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電体に電圧を印加する電圧印加部と、
(D)前記導電体に受けられた液体滴に起因して前記導電体に堆積する堆積物の堆積高さを評価する評価部と、
(E)前記検出部によって検出された誘導電流の大きさを、所定の判定閾値と比較することによって、ノズルの吐出異常を判定する判定部と、を備え、
(F)前記評価部によって前記堆積高さが所定高さ以上になったと判断された場合には、
前記判定部は、前記所定高さ以上になる前の判定閾値よりも判定閾値を高くすることを特徴とする液体滴吐出検査装置である。
また、前記目的を達成するためのその他の主たる発明は、
(A)対向状態のノズルから吐出された液体滴を受けるための導電体と、
(B)帯電した液体滴の接近によって前記導電体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
(C)前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電体に電圧を印加する電圧印加部と、
(D)前記ノズルからの液体滴の吐出状態を検査すべく、前記ノズルから前記液体滴を所定周波数で連続吐出させるための信号を発生するコントローラと、を備え、
(E)前記導電体に受けられた液体滴に起因して前記導電体に堆積する堆積物の堆積高さが所定高さ以上になった際には、
前記コントローラは、前記所定高さ以上になる前の液体滴よりも小さいサイズの液体滴を吐出する信号を発生することを特徴とする液体滴吐出検査装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
(A)対向状態のノズルから吐出された液体滴を受けるための導電体と、
(B)帯電した液体滴の接近によって前記導電体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
(C)前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電体に電圧を印加する電圧印加部と、
(D)前記ノズルと前記導電体との間隔を調整するための間隔調整機構と、を備え、
(E)前記導電体に受けられた液体滴に起因して前記導電体に堆積する堆積物の堆積高さが所定高さ以上になった際には、
前記所定高さ以上になる前の前記間隔よりも、前記ノズルと前記導電体との間隔が広くされた後に、前記ノズルから前記導電体へ向けて液体滴が吐出されることを特徴とする液体滴吐出検査装置。
このような液体滴吐出検査装置によれば、堆積高さが所定高さ以上になる前の前記間隔よりも、前記ノズルと前記導電体との間隔が広くされた後に、前記ノズルから前記導電体へ向けて液体滴が吐出されて吐出状態の検査が行われる。従って、前記間隔を狭くする堆積物の検査精度への影響を小さくすることができる。
また、(A)ノズルから吐出された液体滴を受けるための導電体と、
(B)帯電した液体滴の接近によって前記導電体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
(C)前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電体に電圧を印加する電圧印加部と、を備え、
(D)前記導電体に受けられた液体滴に起因して前記導電体に堆積する堆積物の堆積高さが所定高さ以上になった際には、
前記堆積物を崩すための液体滴が、ノズルから前記堆積物へ向けて吐出されることを特徴とする液体滴吐出検査装置。
このような液体滴吐出検査装置によれば、堆積高さが所定高さ以上になった際には、堆積物を崩すための液体滴がノズルから前記堆積物へ向けて吐出されて、これを崩す。従って、前記間隔を狭くする堆積物の検査精度への影響を小さくすることができる。
また、(A)ノズルから吐出された液体滴を受けるための導電体と、
(B)帯電した液体滴の接近によって前記導電体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
(C)前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電体に電圧を印加する電圧印加部と、を備え、
(D)前記導電体に受けられた液体滴に起因して前記導電体に堆積する堆積物の堆積高さが所定高さ以上になった際には、
前記導電体に印加する電圧が、前記所定高さ以上になる前の電圧値よりも低くされた後に、前記導電体へ向けて液体滴が吐出されることを特徴とする液体滴吐出検査装置。
このような液体滴吐出検査装置によれば、堆積高さが所定高さ以上になった際には、前記導電体に印加する電圧が、前記所定高さ以上になる前の電圧値よりも低くされた後に、前記ノズルから前記導電体へ向けて液体滴が吐出されて吐出状態の検査が行われる。従って、前記間隔を狭くする堆積物の検査精度への影響を小さくすることができる。
また、(A)ノズルから吐出された液体滴を受けるための導電体と、
(B)帯電した液体滴の接近によって前記導電体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
(C)前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電体に電圧を印加する電圧印加部と、
(D)前記導電体に受けられた液体滴に起因して前記導電体に堆積する堆積物の堆積高さを評価する評価部と、
(E)前記評価部によって前記堆積高さが所定高さ以上になったと判断された場合に、前記導電体のメンテナンスの実施の必要性を報知する報知部と、
(F)を備えたことを特徴とする液体滴吐出検査装置。
このような液体滴吐出検査装置によれば、堆積高さが所定高さ以上になったと判断された場合には、報知部はメンテナンスの実施の必要性をユーザに報知し、ユーザは、前記導電体のメンテナンスを行う。従って、前記間隔を狭くする堆積物の検査精度への影響を小さくすることができる。
また、(A)ノズルから吐出された液体滴を受ける部分が、複数箇所用意された導電体と、
(B)帯電した液体滴の接近によって前記導電体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
(C)前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電体に電圧を印加する電圧印加部と、を備え、
(D)前記導電体に受けられた液体滴に起因して前記導電体に堆積する堆積物の堆積高さが所定高さ以上になった際には、
前記液体滴を受ける部分が、前記複数箇所のなかで、堆積物の堆積高さが前記所定高さよりも低い部分に変更されることを特徴とする液体滴吐出検査装置。
このような液体滴吐出検査装置によれば、堆積高さが所定高さ以上になった際には、液体滴を受ける部分が、前記所定高さよりも堆積高さが低い部分に変更される。従って、前記間隔を狭くする堆積物の検査精度への影響を小さくすることができる。
また、(A)ノズルから吐出された液体滴を受けるための導電体と、
(B)帯電した液体滴の接近によって前記導電体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
(C)前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電体に電圧を印加する電圧印加部と、
(D)前記ノズルからの液体滴の吐出状態を検査すべく、前記ノズルから前記液体滴を所定の周波数で連続吐出させるための信号を発生するコントローラと、を備え、
(E)前記導電体に受けられた液体滴に起因して前記導電体に堆積する堆積物の堆積高さが所定高さになった際には、
前記コントローラは、前記所定高さ以上になる前の周波数よりも低い周波数で液体滴を吐出する信号を発生することを特徴とする液体滴吐出検査装置。
このような液体滴吐出検査装置によれば、堆積高さが所定高さになった際には、前記所定高さ以上になる前の周波数よりも低い周波数で、前記導電体へ向けて液体滴が吐出されて吐出状態の検査が行われる。従って、前記間隔を狭くする堆積物の検査精度への影響を小さくすることができる。
また、(A)ノズルから吐出された液体滴を受けるための導電体と、
(B)帯電した液体滴の接近によって前記導電体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
(C)前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電体に電圧を印加する電圧印加部と、
(D)前記導電体に受けられた液体滴に起因して前記導電体に堆積する堆積物の堆積高さを評価する評価部と、
(E)前記検出部によって検出された誘導電流の大きさを、所定の判定閾値と比較することによって、ノズルの吐出異常を判定する判定部と、を備え、
(F)前記評価部によって前記堆積高さが所定高さ以上になったと判断された場合には、
前記判定部は、前記所定高さ以上になる前の判定閾値よりも判定閾値を高くすることを特徴とする液体滴吐出検査装置。
このような液体滴吐出検査装置によれば、堆積高さが所定高さ以上になったと判断された場合には、前記所定高さ以上になる前の判定閾値よりも判定閾値は高くされて、吐出状態の検査が行われる。従って、前記間隔を狭くする堆積物の検査精度への影響を小さくすることができる。
また、(A)対向状態のノズルから吐出された液体滴を受けるための導電体と、
(B)帯電した液体滴の接近によって前記導電体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
(C)前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電体に電圧を印加する電圧印加部と、
(D)前記ノズルからの液体滴の吐出状態を検査すべく、前記ノズルから前記液体滴を所定周波数で連続吐出させるための信号を発生するコントローラと、を備え、
(E)前記導電体に受けられた液体滴に起因して前記導電体に堆積する堆積物の堆積高さが所定高さ以上になった際には、
前記コントローラは、前記所定高さ以上になる前の液体滴よりも小さいサイズの液体滴を吐出する信号を発生することを特徴とする液体滴吐出検査装置。
このような液体滴吐出検査装置によれば、堆積高さが所定高さ以上になった際には、前記所定高さ以上になる前の液体滴よりも小さいサイズの液体滴を吐出して、吐出状態の検査を行う。従って、前記間隔を狭くする堆積物の検査精度への影響を小さくすることができる。
かかる液体滴吐出検査装置において、
前記導電体に受けられた液体滴に起因して前記導電体に堆積する堆積物の堆積高さを評価する評価部を備え、
前記評価部は、前記検出部によって検出された誘導電流の大きさが、所定の閾値以上の場合には、前記堆積高さが所定高さ以上になったと判断することを特徴とするのが望ましい。
このような液体滴吐出検査装置によれば、堆積高さが所定高さ以上になったことを容易に把握できる。
かかる液体滴吐出検査装置において、
前記導電体は、前記ノズルから吐出された液体滴を受けるための面を前記ノズルに対向させながら、不導体からなる有底容器に収容されているのが望ましい。
このような液体滴吐出検査装置によれば、有底容器に収容された導電体の印加電圧に基づく漏電を、前記有底容器によって確実に阻止することができる。よって、導電体からの漏電による電圧降下に起因して誘導電流に基づく吐出状態の検査精度が悪くなるのを防ぐことができる。
かかる液体滴吐出検査装置において、
前記導電体は海綿状の多孔質体であるのが望ましい。
このような液体滴吐出検査装置によれば、海面状の多孔質体であることから、吸液性に優れ、前記面に液体が滞留することを可及的に防ぐことができる。その結果、前記液体中の染料や顔料等の固形成分が前記面に堆積することも有効に抑制され、もって、ノズルとの間隔を狭める堆積物の堆積速度を遅くすることができる。
かかる液体滴吐出検査装置において、
前記液体は、少なくとも水を溶媒として含み該溶媒に染料又は顔料を含有するインクであるのが望ましい。
このような液体滴吐出検査装置によれば、染料又は顔料に起因して、前記導電体には堆積物が堆積するため、上述の作用効果を享受することができる。
また、上述の液体滴吐出検査装置を備えた液体滴吐出装置であって、
前記ノズルが媒体に対して液体滴を吐出することを特徴とする液体滴吐出装置の実現も可能である。
また、上述の液体滴吐出検査装置を備えた液体滴吐出システムであって、
コンピュータ本体と、
前記コンピュータ本体に接続可能で、前記ノズルが媒体に対して液体滴を吐出する液体滴吐出装置と、を備えたことを特徴とする液体滴吐出システムの実現も可能である。
===液体滴吐出装置の概要===
以下、本発明に係る液体滴吐出装置の実施形態について、インクジェットプリンタ1を例に説明する。
<液体滴吐出装置>
図1乃至図4にプリンタ1の説明図を示す。図1はプリンタ1の外観斜視図である。図2はプリンタ1の内部構成を示す図である。図3はプリンタ1の搬送部を示す断面図である。図4はプリンタ1のシステム構成を示すブロック図である。
このインクジェットプリンタ1は、図1に示すように、背面から供給された紙等の媒体Sを前面から排出する構造を備えており、その前面部には操作パネル2および排紙部3が設けられ、その背面部には給紙部4が設けられている。操作パネル2には、各種操作ボタン5および表示ランプ6が設けられている。また、排紙部3には、不使用時に排紙口を塞ぐ排紙トレー7が設けられている。給紙部4には、カット紙(図示しない)を保持する給紙トレー8が設けられている。なお、インクジェットプリンタ1は、カット紙など単票状の紙のみならず、ロール紙などの連続紙にも印刷できるような給紙構造を備えていても良い。
このプリンタ1の内部には、図2に示すように、キャリッジ41が、所定の方向(以下、キャリッジ移動方向と言う)に沿って相対的に移動可能に設けられている。キャリッジ41の周辺には、キャリッジモータ42と、プーリ44と、タイミングベルト45と、ガイドレール46と、が設けられている。キャリッジモータ42は、DCモータなどにより構成され、キャリッジ41をキャリッジ移動方向に沿って相対的に移動させるための駆動源として機能する。また、タイミングベルト45は、プーリ44を介してキャリッジモータ42に接続されるとともに、その一部がキャリッジ41に接続され、キャリッジモータ42の回転駆動によってキャリッジ41をキャリッジ移動方向に沿って相対的に移動させる。ガイドレール46は、キャリッジ41をキャリッジ移動方向に沿って案内する。
この他に、キャリッジ41の周辺には、キャリッジ41の位置を検出するリニア式エンコーダ51と、媒体Sをキャリッジ移動方向と直交する方向に沿って搬送するための搬送ローラ17Aと、この搬送ローラ17Aを回転駆動させる紙送りモータ15とが設けられている。
一方、キャリッジ41には、各種インク(溶媒としての水の中に、着色成分としての顔料又は染料を含有したもの)を収容したインクカートリッジ48と、媒体Sに対して印刷を行うヘッド21とが設けられている。インクカートリッジ48は、例えば、イエロ(Y)やマゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)などの各色のインクを収容しており、キャリッジ41に設けられたカートリッジ装着部に着脱可能に装着されている。ヘッド21は、インク滴を吐出するための多数のノズルnを備え、媒体Sに対してインク滴を吐出して印刷を施す。ヘッド21のインク滴の吐出機構については後述する。
この他に、このインクジェットプリンタ1の内部には、ヘッド21のノズルnの目詰まりを解消するためのクリーニングユニット30が設けられている。クリーニングユニット30は、ポンプ装置31とキャッピング装置35とを有する。ポンプ装置31は、ヘッド21のノズルnの目詰まりを解消するために、ノズルnからインクを吸い出す装置であり、ポンプモータ(不図示)により作動する。一方、キャッピング装置35は、インクの乾燥によるノズルnの目詰まりを防止すべく、待機時などの非印刷時にヘッド21のノズルnを封止する。
次にインクジェットプリンタ1の搬送部の構成について説明する。この搬送部は、図3に示すように、紙挿入口11A及びロール紙挿入口11Bと、給紙モータ(不図示)と、給紙ローラ13と、プラテン14と、紙送りモータ15と、搬送ローラ17Aと排紙ローラ17Bと、フリーローラ18Aとフリーローラ18Bとを有する。
紙挿入口11Aは、媒体である紙Sを挿入するところである。給紙モータ(不図示)は、紙挿入口11Aに挿入された紙Sをプリンタ1内に搬送するモータであり、パルスモータ等で構成される。給紙ローラ13は、紙挿入口11Aに挿入された媒体Sを図中矢印A方向(ロール紙の場合は矢印B方向)にプリンタ1の内部に自動的に搬送するローラであり、給紙モータによって駆動される。給紙ローラ13は、略D形の横断面形状を有している。給紙ローラ13の円周部分の周囲長さは、紙送りモータ15までの搬送距離よりも長く設定されているので、この円周部分を用いて媒体Sを紙送りモータ15まで搬送できる。なお、給紙ローラ13の回転駆動力と分離パッド(不図示)の摩擦抵抗とによって、複数の媒体Sが一度に給紙されることを防いでいる。
プラテン14は、印刷中の紙Sを支持する支持部材である。紙送りモータ15は、媒体Sである例えば紙を搬送方向に送り出すモータであり、DCモータで構成される。搬送ローラ17Aは、給紙ローラ13によってプリンタ1内に搬送された紙Sを印刷可能な領域まで送り出すローラであり、紙送りモータ15によって駆動される。フリーローラ18Aは、搬送ローラ17Aと対向する位置に設けられ、紙Sを搬送ローラ17Aとの間に挟むことによって紙Sを搬送ローラ17Aに向かって押さえる。
排紙ローラ17Bは、印刷が終了した紙Sをプリンタ1の外部に排出するローラである。排紙ローラ17Bは、不図示の歯車により、紙送りモータ15によって駆動される。フリーローラ18Bは、排紙ローラ17Bと対向する位置に設けられ、紙Sを排紙ローラ17Bとの間に挟むことによって紙Sを排紙ローラ17Bに向かって押さえる。
<システム構成>
次にインクジェットプリンタ1のシステム構成について説明する。このインクジェットプリンタ1は、図4に示すように、バッファメモリ122と、イメージバッファ124と、システムコントローラ126と、メインメモリ127と、EEPROM129とを備えている。バッファメモリ122は、ホストコンピュータ140から送信された印刷データ等の各種データを受信して一時的に記憶する。また、イメージバッファ124は、受信した印刷データをバッファメモリ122より取得して格納する。また、メインメモリ127は、ROMやRAMなどにより構成される。
一方、システムコントローラ126は、メインメモリ127から制御用プログラムを読み出して、当該制御用プログラムに従ってプリンタ1全体の制御を行う。本実施形態のシステムコントローラ126は、キャリッジモータ制御部128と、搬送制御部130と、ヘッド駆動部132(コントローラに相当)と、ロータリ式エンコーダ134と、リニア式エンコーダ51とを従えている。キャリッジモータ制御部128は、キャリッジモータ42の回転方向や回転数、トルクなどを駆動制御する。また、ヘッド駆動部132は、ヘッド21の駆動制御を行う。搬送制御部130は、搬送ローラ17Aを回転駆動する紙送りモータ15など、搬送系に配置された各種駆動モータを制御する。
ホストコンピュータ140から送られてきた印刷データは、一旦、バッファメモリ122に蓄えられる。ここで蓄えられた印刷データは、その中から必要な情報がシステムコントローラ126により読み出される。システムコントローラ126は、その読み出した情報に基づき、リニア式エンコーダ51やロータリ式エンコーダ134からの出力を参照しながら、制御用プログラムに従って、キャリッジモータ制御部128や搬送制御部130、ヘッド駆動部132を各々制御する。
イメージバッファ124には、バッファメモリ122に受信された複数の色成分の印刷データが格納される。ヘッド駆動部132は、システムコントローラ126からの制御信号に従って、イメージバッファ124から各色成分の印刷データを取得し、この印刷データに基づきヘッド21に設けられた各色のノズルnを駆動制御する。
なお、本実施形態にかかるインクジェットプリンタ1にあっては、これらの他に、プラテン14とノズルnとの間隔PGを調整するためのPG調整機構90や、液体滴吐出検査装置60(80,80a)を備えており、これについては後述する。
<ヘッド21>
図5は、ヘッド21の下面に設けられたノズルnの配列図である。ヘッド21の下面には、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の色毎にそれぞれ複数のノズルn(♯1)〜n(♯180)からなるノズル列211が設けられている。
各ノズル列211の各ノズルn(♯1)〜n(♯180)は、紙Sの搬送方向に沿って直線状に配列されている。各ノズル列211は、キャリッジ移動方向に沿って相互に間隔をあけて平行に配置されている。各ノズルnには、インク滴を吐出するための駆動素子としてピエゾ素子(不図示)が設けられている。
ピエゾ素子は、その両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加すると、電圧の印加時間に応じて伸張し、インクの流路の側壁を変形させる。これによって、インクの流路の体積がピエゾ素子の伸縮に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、インク滴となって各色の各ノズルnから吐出される。
図6は、ノズルn(♯1)〜n(♯180)の駆動回路220の説明図である。この駆動回路220は、前記ヘッド駆動部132に設けられ、原駆動信号発生部221と複数のマスク回路222とを備えている。原駆動信号発生部221は、各ノズルnに共通して用いられる原信号ODRVを生成する。この原信号ODRVは、一画素分の区間内(キャリッジ41が一画素の間隔を横切る時間内)において、図中下部に示すように、第1パルスP1と第2パルスP2の2つのパルスを含む信号である。原駆動信号発生部221で生成された原信号ODRVは、各マスク回路222に出力される。
マスク回路222は、ヘッド21の各ノズルnをそれぞれ駆動する複数のピエゾ素子に対応して設けられている。各マスク回路222には、原駆動信号発生部221から原信号ODRVが入力されるとともに、前記印刷データに基づいて印刷信号PRT(i)が入力される。この印刷信号PRT(i)は、画素に対応する画素データであり、一画素に対して2ビットの情報を有する2値信号である。その各ビットは、それぞれ第1パルスP1と第2パルスP2とに対応している。マスク回路222は、印刷信号PRT(i)のレベルに応じて、原信号ODRVを遮断したり通過させたりするためのゲートである。すなわち、印刷信号PRT(i)がレベル『0』のときには、原信号ODRVのパルスを遮断する一方、印刷信号PRT(i)がレベル『1』のときには、原信号ODRVの対応するパルスをそのまま通過させて駆動信号DRVとして、各ノズルnのピエゾ素子に向けて出力する。各ノズルnのピエゾ素子は、マスク回路222からの駆動信号DRVに基づき駆動してインク滴の吐出を行う。
図7は、原駆動信号発生部221の動作を示す原信号ODRV、印刷信号PRT(i)、駆動信号DRV(i)のタイミングチャートである。原信号ODRVは、各画素区間T1、T2、T3、T4において、第1パルスP1と第2パルスP2とを順に発生する。なお、画素区間とは、一画素分のキャリッジ41の移動区間と同じ意味である。
ここで、印刷信号PRT(i)が2ビットの画素データ『10』に対応しているとき、第1パルスP1のみが一画素区間の前半で出力される。これにより、ノズルnから小サイズのインク滴が吐出され、媒体Sには小さいドット(小ドット)が形成される。また、印刷信号PRT(i)が2ビットの画素データ『01』に対応しているとき、第2パルスP2のみが一画素区間の後半で出力される。これにより、ノズルnから中サイズのインク滴が吐出され、媒体Sには、中サイズのドット(中ドット)が形成される。また、印刷信号PRT(i)が2ビットの画素データ『11』に対応しているとき、第1パルスP1と第2パルスP2とが一画素区間で出力される。これにより、ノズルnから大サイズのインク滴が吐出され、媒体Sには、大きいサイズのドット(大ドット)が形成される。以上説明したとおり、一画素区間における駆動信号DRV(i)は、印刷信号PRT(i)の3つの異なる値に応じて互いに異なる3種類の波形を有するように整形され、これらの信号に基づいてヘッド21は、3種類のサイズのドットを形成し、また画素区間内のインクの吐出量を調整することが可能である。また、画素区間T4のように、印刷信号PRT(i)が2ビットの画素データ『00』に対応しているときには、ノズルnからインク滴が吐出されず、媒体Sには、ドットが形成されないことになる。
本実施形態に係るインクジェットプリンタ1では、このようなノズルn(♯1)〜n(♯180)の駆動回路220が、ノズル列211毎、即ち、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の色毎に各々個別に設けられ、各ノズル列211の各ノズルn(♯1)〜n(#180)ごとに個別にピエゾ素子の駆動が行われるようになっている。
なお、後述の液体滴吐出検査装置60を用いてインク滴の吐出状態の検査を行う際には、上述のヘッド駆動部132は、印刷データ無しに、システムコントローラ126からの制御に従って駆動信号DRVを生成し、ノズルnにインク滴を吐出させる。すなわち、検査用インク滴の吐出周波数を規定する吐出周波数情報、及び、そのインク滴のサイズを規定する検査用インク滴サイズ情報が前記システムコントローラ126から送られると、前記原駆動信号発生部222は、前記吐出周波数で前記パルスP1,P2が形成された原信号ODRVを生成するとともに、前記マスク回路222は、前記検査用インク滴サイズ情報に基づいて、原信号ODRVのパルスP1,P2を通過又は遮断して駆動信号DRVを生成する。そして、この駆動信号DRVに基づいて、ノズルnのピエゾ素子が駆動して、ノズルnからは前記サイズのインク滴が前記吐出周波数で吐出される。これら吐出周波数情報、及び、検査用インク滴サイズ情報はEEPROM129に格納されている。
<PG調整機構90>
図8乃至図11はPG調整機構90の説明図である。図8は駆動伝達部92の周辺の斜視図であり、図9は駆動伝達部92のギアの噛み合い状態を示す側面図である。また、図10はガイドレール46を上下昇降させる機構の斜視図であり、図11はPG変更カム94周辺の構造の正面図である。
PG調整機構90は、キャリッジ41のガイドレール46を上下昇降させることにより、ヘッド21とプラテン14とのギャップPGを変更するものであり、モータ91と、駆動伝達部92と、ガイドレール46と、PG変更カム94と、固定ピン95と、案内溝96とを有する。
モータ91は、ヘッド21とプラテン14とのギャップPGを変更するために必要な駆動力を発生する。このモータ91の駆動力は、駆動伝達部92へ供給される。駆動伝達部92は、複数の歯車を有する。この駆動伝達部92は、ガイドレールギア93まで駆動力を伝達する。ガイドレールギア93の中心には、ガイドレール46が回転自由に支持されている。また、ガイドレールギア93には、PG変更カム94が固定されている。そのため、ガイドレールギア93が駆動伝達部92からの駆動力によって回転すると、PG変更カム94が一緒に回転する。但し、ガイドレール46はガイドレールギア93と回転自由であるため、ガイドレール46は回転しない。PG変更カム94の外周面は、固定ピン95と接触している。そして、この固定ピン95は、PG変更カム94のカムフォロアとして機能する。案内溝96は、ガイドレール46を上下方向に案内する。このため、ガイドレール46が外部から力を受けても、水平方向への移動は規制されている。
モータ91が駆動すると、駆動伝達部92を介して、ガイドレールギア93が回転する。ガイドレールギア93が回転すると、PG変更カム94が回転し、PG変更カム94の外周面と固定ピン95との作用により、ガイドレール46に力が加わる。そして、ガイドレール46は、案内溝96に案内されて、上下方向に移動する。ガイドレール46が上下方向に移動した結果、ガイドレール46に支持されるキャリッジ41も上下方向に移動する。これにより、ヘッド21とプラテン14とのギャップPGが変更される。
===印刷動作===
次に前述したインクジェットプリンタ1の印刷動作について説明する。ここでは、「双方向印刷」を例に説明する。図12は、インクジェットプリンタ1の印刷動作の処理手順の一例を示したフローチャートである。以下で説明される各処理は、システムコントローラ126が、メインメモリ127又はEEPROM129に格納されたプログラムを読み出して、当該プログラムに従って、各ユニットを制御することにより実行される。
システムコントローラ126は、ホストコンピュータ140から印刷データを受信すると、その印刷データに基づき印刷を実行すべく、まず、給紙処理を行う(S102)。給紙処理は、印刷しようとする媒体S、ここでは紙Sをプリンタ1内に供給し、印刷開始位置(頭出し位置とも言う)まで搬送する処理である。システムコントローラ126は、給紙ローラ13を回転させて、印刷しようとする紙Sを搬送ローラ17Aまで送る。システムコントローラ126は、搬送ローラ17Aを回転させて、給紙ローラ13から送られてきた紙Sを印刷開始位置に位置決めする。
次に、システムコントローラ126は、キャリッジ41を紙Sに対して相対的に移動させて紙Sに対して印刷を施す印刷処理を実行する。ここでは、まず、キャリッジ41をガイドレール46に沿って一の方向に向かって移動させながら、ヘッド21からインク滴を吐出する往路印刷を実行する(S104)。システムコントローラ126は、キャリッジモータ42を駆動してキャリッジ41を移動させるとともに、印刷データに基づきヘッド21を駆動してインク滴を吐出する。ヘッド21から吐出されたインク滴は、紙Sに到達しドットが形成される。
このようにして印刷を行った後、次に、紙Sを所定量だけ搬送する搬送処理を実行する(S106)。この搬送処理では、システムコントローラ126は、紙送りモータ15を駆動して搬送ローラ17Aを回転させて、紙Sをヘッド21に対して相対的に搬送方向に所定量だけ搬送する。この搬送処理により、ヘッド21は、先ほどの印刷した領域とは異なる領域に印刷をすることが可能になる。
このようにして搬送処理を行った後、排紙すべきか否か排紙判断を実行する(S108)。ここで、印刷中の紙Sに印刷すべき他のデータがなければ、排紙処理を実行する(S116)。一方、印刷すべき他のデータがあれば、排紙処理は行わずに、復路印刷を実行する(S110)。この復路印刷は、キャリッジ41をガイドレール46に沿って先ほどの往路印刷とは反対の方向に移動させて印刷を行う。ここでも、システムコントローラ126は、キャリッジモータ42を先ほどとは逆に回転駆動させてキャリッジ41を移動させるとともに、印刷データに基づきヘッド21を駆動してインク滴を吐出し、印刷を施す。
復路印刷を実行した後、搬送処理を実行し(S112)、その後、排紙判断を行う(S114)。ここで、印刷中の紙Sに印刷すべき他のデータがあれば、排紙処理は行わずに、ステップS104に戻って、再度往路印刷を実行する(S104)。一方、印刷中の紙Sに印刷すべき他のデータがなければ、排紙処理を実行する(S116)。
排紙処理を行った後、次に、印刷終了か否かを判断する印刷終了判断を実行する(S118)。ここでは、次にホストコンピュータ140から印刷データに基づき、次に印刷すべき紙Sがないかどうかチェックする。ここで、次に印刷すべき紙Sがある場合には、ステップS102に戻り、再び給紙処理を実行して、印刷を開始する。一方、次に印刷すべき紙Sがない場合には、印刷処理を終了する。
===液体滴吐出検査装置===
次に液体滴吐出検査装置について説明する。ここでは、この液体滴吐出検査装置が、インクジェットプリンタ1(液体滴吐出装置に相当)に搭載された場合を例示する。
<液体滴吐出検査装置60>
図13乃至図14Bに、液体滴吐出検査装置60の説明図を示す。図13は、プリンタ1内における液体滴吐出検査装置60の配置図である。また、図14Aは液体滴吐出検査装置60の縦断面図であり、図14Bは図14A中のB−B断面図である。
この液体滴吐出検査装置60は、図13の配置図に示すように、プリンタ1の印刷エリアAp(キャリッジ41のヘッド21が印刷可能なエリア)から外れた非印刷エリアAnに配置されており、キャリッジ41が、キャリッジ移動方向に沿って印刷エリアApから非印刷エリアAnへと移動することで、吐出状態の検査を行える状態となる。ここで、ノズルnからのインク滴の吐出方向が鉛直方向下方であることから、この液体滴吐出検査装置60は、非印刷エリアAnに移動したヘッド21のノズルnに対し、その下方から対向するように、ヘッド21の下面よりも下方に配置されている。
ちなみに、この非印刷エリアAnにおける液体滴吐出検査装置60よりも外側の領域には、前述のクリーニングユニット30が配置されており、そのポンプ装置31は、液体滴吐出検査装置60からの検査結果を受けて、ヘッド21のノズルnからインクを吸い出す動作(クリーニング処理)をする。
図14Aに示すように、液体滴吐出検査装置60は、ヘッド21のノズルnから吐出されたインク滴を受けるための導電性インク吸収体61(導電体に相当)と、帯電したインク滴の接近によって前記導電性インク吸収体61に生じる誘導電流を検出する検出部63と、ノズルnから前記インク滴を吐出する際にこのインク滴を帯電させるべく前記導電性インク吸収体61に電圧を印加する電圧印加部65と、導電性インク吸収体61を収容するための有底容器67と、を備えている。
先ず、図14Aを参照して検査原理を説明する。帯電したインク滴がノズルnから導電性インク吸収体61へ向けて吐出されると、このインク滴の接近に伴って導電性インク吸収体61には、静電誘導現象等に基づいて誘導電流が生じる。すなわち、インク滴の接近に伴って、導電性インク吸収体61には前記インク滴とは逆極性の電荷が誘起されるように誘導電流が流れる。よって、この誘導電流の検出の有無によってノズル詰まりを検査できる。なお、この検出の有無の判定は、例えば、図14Cに示すように、誘導電流の大きさが所定の閾値(以下、目詰まり閾値Fthと言う)以上であるか否かによって行うことができる。
インク滴の帯電処理は、図14Aの電圧印加部65によって導電性インク吸収体61に電圧を印加し、その際にノズルnとの間に形成される電界によって吐出前にインクを分極させることで行われる。よって、導電性インク吸収体61に印加する電圧値を、前記目詰まり閾値との関係で予め設定しておくことにより、吐出量が計画値の場合に、前記誘導電流の大きさが目詰まり閾値を超えるような帯電量を帯びさせることが可能である。なお、インク滴の吐出量が多い程に帯電量も大きくなるのは言うまでもなく、もって、検査精度向上の観点からは、インク滴の吐出に用いる駆動信号DRV(i)としては、大サイズのインク滴を吐出するための駆動信号DRV(i)を用いるのが望ましい(図7を参照)。よって、EEPROM129における検査用インク滴サイズ情報の格納領域には、「大サイズ」情報が記憶されている。
次に、図14A及び図14Bを参照しつつ、液体滴吐出検査装置60の各構成要素について説明する。
有底容器67は、下方が底の略直方体形状の箱体68を本体とし、この箱体68内に、前記導電性インク吸収体61が収容されている。そして、この有底容器67の開口した上端を通して、導電性インク吸収体61の上面61aがその上方のノズルnに対向可能であり、もって、当該上面61aが、ノズルnから鉛直下方へ吐出されるインク滴を受けるための面として機能する。
なお、好ましくは、この箱体68をゴム等の不導体素材で成形すると良く、そうすれば、これに収容される導電性インク吸収体61からの漏電を確実に防止可能となり、漏電による電圧降下に起因してインク滴の帯電量が計画値を下回って検査精度が悪くなることを防止できる。
また、より好ましくは、この箱体68の底面及び四側面を、電気的に接地された金属網や金属板等の遮蔽部材69で覆うと良い。そうすれば、箱体68には電磁遮蔽機能及び静電遮蔽機能が付与されるため、電磁ノイズ等の外乱を発する機器が周囲に存在しても、その影響は、箱体68内の導電性インク吸収体61には及ばず、もって、導電性インク吸収体61に生じる誘導電流は、専らインク滴の接近に基づいたものとなりその検査精度を高めることができる。
導電性インク吸収体61は、例えば、弾性を有する海綿状の多孔質体であり、その具体的一例としては、セル数が約40セル/インチで電気抵抗率が10000Ω・cmのエステル系ウレタンスポンジ(商品名:エバーライトSK−E、ブリジストン(株)社製)等が挙げられる。但し、適度な導電性及び吸液性を有していれば何等これに限るものではない。
なお、ここで海綿状の多孔質体を用いている理由は、前記上面61a上のインクの滞留を防ぐためである。すなわち、前記上面61aにインクが滞留すると、その導電性に起因して、前記上面61aとノズルnとの間隔Dを実質的に狭くしてしまい、この後で説明する堆積物と同等の悪影響を検査精度に対して及ぼしてしまうからである。この点につき、導電性インク吸収体61は、海綿状の多孔質体であるので、前記上面61aに受けられたインク滴は、多数の孔によって導電性インク吸収体61の内部へと速やかに浸透し、前記上面61aのインクの滞留は抑制される。
この導電性インク吸収体61の上面61aの形状は、図14Aに示すように、ノズル列211の列方向に沿って長尺な長方形であり、その全長L1は、ノズル列211の全長L2よりも長くなっている。従って、前記キャリッジ41の移動によって、前記導電性インク吸収体61とノズル列211との位置合わせを一回行えば、前記ノズル列211の全ノズルn(#1)〜n(#180)を導電性インク吸収体61の上面61aに対向させることができて、もって、その後の位置合わせ無しに、前記ノズル列211の全てのノズルn(#1)〜n(#180)の吐出状態の検査を一斉に行うことができ、検査時間の短縮化が図れる。
検出部63は、コンデンサCと、入力抵抗R2と、帰還抵抗R3と、オペアンプAmpとを備えた電気回路により構成されている。コンデンサCは、導電性インク吸収体61に誘導電流が発生したときに、それを電気信号として入力抵抗R2を介してオペアンプAmpに入力する役割を果たす。また、オペアンプAmpは、コンデンサCを通じて入力された信号を増幅して出力する増幅回路としての役割を果たす。オペアンプAmpからの出力信号は、例えば、A/D変換器(不図示)によりアナログ信号からデジタル信号へとA/D変換されて、例えばデジタルデータなどの適宜な形態でシステムコントローラ126に向けて出力される。
このシステムコントローラ126は、検出部63からのデータ、すなわち導電性インク吸収体61に生じた誘導電流の大きさを、前記目詰まり閾値Fthと比較して、インク滴が正常に吐出されたか否かを判定する(図14Cを参照)。すなわち、誘導電流の大きさが前記目詰まり閾値Fth以上であれば、インク滴が正常に吐出されていると判定し、未満であればノズル詰まりと判定する。この目詰まり閾値Fthは、図4に示すEEPROM129における目詰まり閾値情報の格納領域に予め記憶されている。よって、システムコントローラ126は、誘導電流の大きさを前記目詰まり閾値Fthと比較するにあたって、EEPROM129から前記目詰まり閾値Fthを取得する。
なお、このシステムコントローラ126は、ヘッド21の各ノズルnからそれぞれ個別に導電性インク吸収体61へ向けて検査用のインク滴を吐出するように、ヘッド駆動部132の制御も行うのは言うまでもない。
電圧印加部65は適宜な電源であり、図14Aに示すように保護抵抗R1を介して前記導電性インク吸収体61に、例えば100ボルトの電圧を印加する。
<検査手順>
図15は検査の全体の流れを示すフローチャートである。図示のように、この液体滴吐出検査装置60では、上述した吐出状態の検査(S300)の前に、前記導電性インク吸収体61の上面61aに堆積する堆積物の状態を検査する(S200)。これは、堆積物によって吐出状態の検査精度が悪化する虞があるためである。この堆積物の状態の検査については後述することにし、ここでは、ステップS300に係る「吐出状態の検査」の手順について詳説する。
図16は吐出状態の検査手順のフローチャートである。この吐出状態の検査は、図16のフローチャートに対応するプログラムを、前記EEPROM129等のメモリから前記システムコントローラ126(判定部に相当)が読み出して実行される。
先ず、吐出状態の検査指令がかかると、システムコントローラ126は、キャリッジ41をキャリッジ移動方向に移動して、ノズル列211を、液体滴吐出検査装置60の検査ポジションCP上に位置させる(S302)。この検査ポジションCPは、導電性インク吸収体61の上面61aの幅中心に設定されており(図13を参照)、そのキャリッジ移動方向の位置は、EEPROM129における検査ポジション情報の格納領域に記憶されている。よって、移動に際しては、システムコントローラ126は、この検査ポジションCPの位置情報を取得し、これに基づいてキャリッジモータ制御部128を制御して、検査ポジションCP上に前記ノズル列211を停止させる。
そうしたら、検出部63で検出される誘導電流を監視しつつ、システムコントローラ126は、検査対象のノズルnを順番に替えながら各ノズルnから一滴ずつ、所定周期でインク滴を吐出し(S304)、検出された誘導電流に基づいて、ステップS306乃至S310を行ってノズル毎にノズル詰まりか否かを判定する。
すなわち、ステップS306において、検出された誘導電流の大きさが前記目詰まり閾値Fth未満の場合には、そのノズル番号を目詰まりノズルnとしてメインメモリ127に記録し(S308)、しかる後にステップS310へ移行する。一方、前記目詰まり閾値Fth以上の場合には(S306)、そのノズルnの吐出状態は正常なものとして、そのままステップS310へ移行する。
ステップS310では、検査対象のノズル列211内の全ノズルnに対して検査を終了したか否かが判定され、終了していない場合には、ステップS304へ戻って、未検査のノズルnを検査対象のノズルnとしてインク滴を吐出する。他方、終了している場合には、ステップ312へ移行する。
ステップS312では、全てのノズル列211に対して検査が終了したか否かが判定され、未検査のノズル列211がある場合には、ステップS302へ戻って、未検査のノズル列211を前記検査ポジションCPへ移動し、この未検査のノズル列211に対して上述と同じ手順で吐出状態の検査を行う。
他方、全ノズル列211に対して検査が終了していれば、ステップS314へ移行する。このステップS314では、前記メインメモリ127に記録されたノズル番号を参照して、目詰まりノズルの有無を判定する。そして、有り判定の場合には、目詰まりを解消させるべくステップS316のクリーニング処理へ移行してクリーニングユニット30を動作させる。一方、無し判定の場合には、一連の全ての検査が完了し、システムコントローラ126は、プリンタ1を、印刷動作等が受け付け可能な待機状態にする。
<吐出状態の検査タイミング>
この検査タイミングとしては、以下の三つが挙げられる。
(1)印刷処理中
印刷処理中に適宜なタイミングで検査を実行する。例えば、「双方向印刷」の場合には、移動方向が変更される際に、キャリッジ41が前記検査ポジションCPへと移動して、インク滴の吐出状態の検査を実行する。これにより、印刷処理中にノズルnからインク滴が吐出されずに印刷画像に不具合が生じるのを回避できる。
(2)電源投入時
電源投入時に検査を実行する。電源投入時は、しばらくの間ノズルnからインク滴を吐出しない状態が続いていた可能性があり、このような場合には、ノズルn内のインク滴が乾燥しノズルnからインク滴が吐出されない虞がある。また、これからまさに印刷を行うべくプリンタ1の電源を投入する場合もあるので、プリンタ1のイニシャライズ処理時における処理の1つとして、インク滴の吐出状態の検査を実行する。このようなタイミングで検査を実行することで、ノズルnからインク滴を確実に吐出させて良好な画像を印刷可能となる。
(3)給紙時
紙Sを印刷すべく所定の位置に送り込む動作の際、即ち給紙時に検査を実行する。このタイミングによれば、画像を印刷するために紙Sを給紙したときに、インク滴が正常に吐出されるか否かを検知可能である。なお、紙Sを給紙する度に、吐出状態の検査を実行しても良いし、または、所定の給紙枚数毎に実行しても良い。
===導電性インク吸収体61の上面61aに堆積する堆積物の状態の検査===
図15を参照して前述したように、この液体滴吐出検査装置60では、吐出状態の検査(S200)の前に、導電性インク吸収体61の上面61aに堆積する堆積物の状態を検査する(S300)。
これは、図14Aに示すように、導電性インク吸収体61に所定電圧を印加しても、上記堆積物に起因してノズルnと導電性インク吸収体61との間隔Dが変化すると、この間隔Dに形成される電界の変化を通してインク滴の帯電量に変化を来たす結果、誘導電流の大きさも変化してしまい、吐出状態を正確に検査できなくなるからである。
例えば、ノズルnが不完全に目詰まりを起こしている場合には、そのインク滴の吐出量は計画値よりも少なくなるため、本来は、このようなノズルnに対してもノズル詰まりと判定されるのが望ましい。つまり、この場合には、吐出量が少量であることに伴ってインク滴の帯電量も少なくなることから、発生する誘導電流の大きさは前述の目詰まり閾値Fthを下回って、ノズル詰まりと判定されるのが理想である。
しかしながら、図17A及び図17Bに示すように、インク滴を受ける導電性インク吸収体61の上面61aにインク中の固形成分(染料又は顔料等)が堆積し、しかもインクの溶媒によってその堆積物に導電性が与えられると、その堆積高さ分だけ実質的にノズルnと導電性インク吸収体61との間隔Dが本来の設計値D1からD2へと狭まってしまい、その結果として、ノズルnと導電性インク吸収体61との間に形成される電界の大きさも計画値より大きくなる。すると、この電界によって生じるインク滴の帯電量も、前述の少量のインク滴に見合った帯電量よりも大きくなってしまい、その結果として、本来ならば前記目詰まり閾値Fthよりも下回るべき誘導電流の大きさが目詰まり閾値Fthを上回り、もってノズル詰まりと判定されない虞があるのである。ちなみに、一般にノズルnと導電性インク吸収体61の上面61aとの間隔Dは1〜2mmに設定されるため、このような堆積物も十分検査精度に影響を及ぼすと考えられる。
図18A及び図18Bは、この堆積物の状態の検査原理の説明図である。この検査方法では、インク滴の接近によって導電性インク吸収体61に生じる誘導電流の大きさが、堆積物の堆積高さに応じて大きくなることに着目し、この変化を利用して堆積高さが、吐出状態の検査の許容範囲内か否かの判定を行っている。
すなわち、図18A及び図18Bの上段に示すように堆積高さが低い状態と高い状態とにおいて、互いに同値の電圧を導電性インク吸収体61に印加し、しかも同サイズのインク滴を吐出したとしても、図18Bの堆積高さが高い状態の方が、ノズルnと導電性インク吸収体61との間隔がD1からD2へと狭くなることから、この間隔に形成される電界が大きくなる。すると、吐出前のインクの分極の程度も大きくなって、インク滴の帯電量がより大きくなり、その結果として、このインク滴の接近に伴って導電性インク吸収体61に生じる誘導電流も大きくなる(図18A及び図18Bの下段を参照)。
よって、図18A及び図18Bの下段に示すように、誘導電流の大きさが、予め定めた所定の閾値(以下、堆積閾値と言う)以上であるか否かによって、堆積物の堆積高さが許容範囲外か否かを判定することができる。
なお、この判定に用いる堆積閾値の値は、次のような実験的手法で決めることができる。先ず、実際に導電性インク吸収体61上の堆積物の堆積高さを複数水準でふりながら、これらにめがけてインク滴を吐出し、各水準の誘導電流の大きさを計測する。そして、前記堆積高さ及び誘導電流の計測値を図19に示すようにグラフ化し、そのグラフから堆積高さの想定上限値に対応する誘導電流値を読み取って堆積閾値とすれば良い。ちなみに、この堆積閾値は、図18Aの下段に示すように、前述の目詰まり閾値Fthよりも大きい値であるのは言うまでもない。
そして、このように決められた堆積閾値は、出荷前に、プリンタ1のEEPROM129に格納され、これによって、出荷後、購入先のユーザの下で堆積物の状態を検査可能となる。
ちなみに、この堆積状態の検査を、全てのノズルnに対して行う必要はなく、例えば幾つかのノズルnに代表させて検査を行うようにしても良い。ここで、代表のノズルnとしては、図17Aに示すように、ノズル列211の列方向に関する中央付近のノズルnを選択すると良く、そうすれば、端よりも堆積高さが高くなりがちな中央の堆積状態に基づいて堆積高さが許容範囲外か否かの判定を行うことになるため、全ノズルnを検査した場合と比べて遜色の無い的確な判定を下すことが可能となる。
<検査手順>
図20は堆積物の検査手順のフローチャートである。この堆積物の検査も、図20のフローチャートに対応するプログラムを、前記EEPROM129から前記システムコントローラ126(評価部に相当)が読み出して実行される。
先ず、堆積物の検査指令がかかると、システムコントローラ126は、キャリッジ41をキャリッジ移動方向に移動して、図17Bに示すようにノズル列211を、液体滴吐出検査装置60の前記検査ポジションCP上に位置させる(S202)。
そうしたら、検出部63で検出される誘導電流を監視しつつ、システムコントローラ126は、例えば、図17Aに示すように、ノズル列211に沿う方向の中央のノズルnを代表ノズルnとして、このノズルnからインク滴を一滴だけ吐出し(S204)、その際に検出された誘導電流に基づいて堆積状態を評価する(S206)。
つまり、このステップS206にて誘導電流が堆積閾値以上の場合には、堆積高さが吐出状態の検査の許容範囲外であるものとして、ステップS208へ移行し「堆積物の検査への影響の軽減化処理」を行う。そして、この堆積物の検査への影響が軽減化された状態で、前述した図16の「吐出状態の検査(S300)」を実行する。なお、このステップS208の「堆積物の検査への影響の軽減化処理」については、この後で説明する。
他方、ステップS206にて誘導電流が堆積閾値未満の場合には、堆積物が及ぼす吐出状態の検査への影響は軽微と考えて、そのまま上記「吐出状態の検査(S300)」を実行する。
===堆積物の影響の軽減化処理(S208)について===
この軽減化処理とは、導電性インク吸収体61の堆積物が、「吐出状態の検査(S300)」に影響して、その吐出状態を誤判定するのを防ぐための処理である。
すなわち、図17Aを参照して前述したように、導電性インク吸収体61の上面61aに堆積物が生じると、ノズルnと導電性インク吸収体61との間隔が実質的に設計値D1よりも狭くなるために、この間隔に形成される電界の大きさは計画値よりも過大になる。すると、この電界によって生じるインク滴の帯電量も、その吐出量に見合った帯電量よりも過大となり、その結果として、計画値よりも過小な吐出量でも、その誘導電流が前記目詰まり閾値を上回ってしまってノズル詰まりと判定されない虞がある。
このため、図20のステップS206において誘導電流が前記堆積閾値以上の場合には、ステップS208へ移行して「堆積物の影響の軽減化処理」を行い、これによって、この後のステップS300の「吐出状態の検査」の際に起こり得る、堆積物起因の吐出状態の誤判定を防ぐようにしている。
この軽減化処理としては、以下の8つの方法が挙げられる。
(1)堆積物を崩すための液体を吐出する。
(2)導電性インク吸収体61の清掃又は交換をユーザに通知する。
(3)ノズルnと導電性インク吸収体61との間隔を変更する。
(4)導電性インク吸収体61への印加電圧を変更する。
(5)検査ポジションCPを変更する。
(6)目詰まり閾値Fthを変更する。
(7)検査用インク滴のサイズを変更する。
(8)検査用インク滴の吐出周波数を変更する。
なお、これらは、その処理内容から大まかに2グループに大別される。一方のグループは、上記(1)及び(2)に示すような、導電性インク吸収体61上の堆積物を除去して対処する方法であり、他方は、上記(3)乃至(8)に示すような、堆積物を除去せずに対処する方法である。以下、各方法について説明する。
(1)堆積物を崩すための液体を吐出する。
この一例としては、堆積物を溶解可能な液体をノズルnから吐出することが挙げられる。より具体的に言えば、水性インクの場合には、図21A及び図21Bに示すように、水を吐出するノズル列211(W)を前記ヘッド21に追設するのである。
そして、この構成によれば、ステップS206において軽減化処理(S208)を実行すべき判定が下されると、システムコントローラ126は、図21Bに示すようにキャリッジ41を移動して前記水吐出用のノズル列211(W)を前記検査ポジションCP上へ位置させた後に、ヘッド駆動部132を制御して前記ノズル列211(W)の全ノズルnから複数の水滴を吐出する。その結果、これら水滴によって、導電性インク吸収体61の上面61aの堆積物は崩されて導電性インク吸収体61の内方へと洗い流され、図22A及び図22Bに示すように、吐出状態の検査に影響する堆積物は概ね除去される。
なお、堆積し難いインクを前記ヘッド21が吐出可能な場合には、上述の水の代わりに、前記インクを用いて堆積物を崩しても良い。例えば、本実施形態のヘッド21は備えていないが、ライトシアンやライトマゼンダ等の淡色系インクのノズル列211を備えている場合には、これら淡色系インクは堆積し難いことから、これらのノズル列211を前記検査ポジションCP上へ移動して、これらのインク滴を、前記上面61aの堆積物へ向けて吐出するようにしても良い。
(2)導電性インク吸収体61の清掃又は交換をユーザに通知する。
この一例としては、図1に示す操作パネル2の表示ランプ6を、上記清掃等の通知用の報知部として利用することが挙げられる。すなわち、ステップS206において軽減化処理(S208)を実行すべき判定が下されると、システムコントローラ126は前記表示ランプ6を制御してこれを点滅させ、導電性インク吸収体61の清掃等のメンテナンス時期が来たことをユーザに報知する。
なお、操作パネル2やホストコンピュータ140が、液晶ディスプレイ等の表示画面を備えている場合には、その表示画面に前記清掃等の通知を表示しても良い。
(3)ノズルnと導電性インク吸収体61との間隔を変更する。
この処理は、堆積物の堆積高さ分だけ、ノズルnと導電性インク吸収体61との間隔を拡開するものである。この間隔の開閉動作は、前述のPG調整機構90(間隔調整機構に相当)を用いてなされる。
すなわち、ステップS206において軽減化処理(S208)を実行すべき判定が下されると、図23に示すように、システムコントローラ126は前記PG調整機構90を制御してヘッド21を上昇し、これによって、導電性インク吸収体61とノズルnとの間隔を、現状よりも堆積高さΔD分だけ広くする。すると、堆積物の上端とノズルnとの間隔がその設計値D1となるために、この間隔に形成される電界の大きさは概ね計画値となり、もって、インク滴の帯電量もほぼ計画値になる。
よって、この間隔のまま「吐出状態の検査(ステップS300)」を行えば、インク滴の吐出量が計画値どおりの場合には誘導電流の大きさも計画値となって、吐出状態の誤判定は防止される。なお、このステップS300の検査が終了したら、PG調整機構90によってヘッド21は降下されて、ノズルnとプラテン14とのギャップPGは元のギャップに戻されるのは言うまでもない。
また、ヘッド21を上昇させる際には、堆積高さΔDの現状値を知っていなければならないが、この現状値については、ステップS206にて検出された誘導電流の大きさと、前述の図19のグラフとに基づいて求めることができる。すなわち、システムコントローラ126は、前記誘導電流の大きさに対応する堆積高さの数値を図19のグラフから読み取って、この読み取り値を堆積高さの現状値として取得する。なお、図19のグラフの情報は、EEPROM129に予め記憶されている。
(4)導電性インク吸収体61への印加電圧を変更する。
この処理は、堆積物によってインク滴の帯電量が計画値よりも増える分に相当する分だけ印加電圧を設計値から降下させ、これによってインク滴の帯電量を計画値へと戻すものである。
この印加電圧の降下は、図24に示すように、電圧印加部65と導電性インク吸収体61との間に介装された適宜な変圧器65aを用いて達成される。すなわち、ステップS206において軽減化処理(S208)を実行すべき判定が下されると、システムコントローラ126は前記変圧器65aを制御して、導電性インク吸収体61への印加電圧を現状の設計値から降下する。すると、この印加電圧降下による帯電量の減少と、前記堆積物による帯電量の増加分とがほぼ相殺されて、インク滴の帯電量は概ね計画値となり、もって、この降下後の印加電圧値のまま「吐出状態の検査(ステップS300)」を行えば、吐出量が計画値どおりの場合には誘導電流の大きさも計画値となって、吐出状態の誤判定は防止される。
(5)検査ポジションCPを変更する。
この処理は、導電性インク吸収体61の上面61aの幅方向中央に初期設定されていた検査ポジションCPを、堆積物が少ないであろう前記中央以外の位置に変更するものである。
すなわち、検査ポジションCPとしては、上述の幅方向中央の第1検査ポジションCP1以外に幾つかの検査ポジションCPが予め用意されており、図25A及び図25Bに示す例では、前記上面61aにおける幅方向の中央と端との中間位置が第2検査ポジションCP2として用意されている。
よって、ステップS206において軽減化処理(S208)を実行すべき判定が下されると、システムコントローラ126は、検査ポジションCPを第1検査ポジションCP1から第2検査ポジションCP2へと切り替えるべく、EEPROM129を参照して第2検査ポジションCP2の位置情報を取得する。
そして、ステップS300の「吐出状態の検査」においてシステムコントローラ126は、前記位置情報に基づいてキャリッジモータ制御部128を制御し、ヘッド21のノズル列211を第2検査ポジションCP2上へ移動する。その結果、前記上面61aのなかで比較的堆積高さの低い前記中間位置を用いて吐出状態の検査を実行可能となり、もって、堆積物の影響を軽減化して吐出状態の検査を行うことができる。
(6)目詰まり閾値Fthを変更する。
この処理は、ステップS300の「吐出状態の検査」で吐出状態の判定に使用される目詰まり閾値Fthを、堆積物起因で前記誘導電流が大きくなった分だけ、大きな値に拡大変更するものである。
すなわち、ステップS206において軽減化処理(S208)を実行すべき判定が下されると、システムコントローラ126は、図26A及び図26Bに示すように、目詰まり閾値Fthを後述の拡大率Eで拡大変更し、この拡大変更後の目詰まり閾値Ftheを、前記EEPROM129における目詰まり閾値情報の格納領域に上書き保存する。そして、ステップS300の「吐出状態の検査」においては、システムコントローラ126は、前記誘導電流を、拡大変更後の目詰まり閾値Ftheと比較して吐出状態を判定する。
上述の拡大率Eは、図26A及び図26Bに示すように、ステップS206において検出部63で検出された誘導電流の大きさICmを、吐出量が計画値の場合に本来検出されるべき誘導電流の計画値ICiで除算することで求められる。従って、この拡大率Eに基づいて拡大変更された目詰まり閾値Ftheは、堆積物起因の前記誘導電流の増加分に対応させて拡大変更されたものであり、もって、この拡大変更後の目詰まり閾値Ftheを用いれば、吐出状態の誤判定を確実に防止することができる。
(7)検査用インク滴のサイズを変更する。
この処理は、ステップS300の「吐出状態の検査」においてノズルnから吐出するインク滴のサイズを現状の「大サイズ」から、これよりも小さい例えば「中サイズ」に変更するものである。
すなわち、ステップS206において軽減化処理(S208)を実行すべき判定が下されると、システムコントローラ126は、EEPROMにおける検査用インク滴サイズ情報の格納領域に「中サイズ」情報を上書き保存する。
そして、ステップS300の「吐出状態の検査」においては、システムコントローラ126は、「中サイズ」情報に基づいて前記ヘッド駆動部132に中サイズのインク滴を吐出させ、この中サイズのインク滴を用いて吐出状態の判定を行うこととなるが、その際には、インク滴サイズの縮小による帯電量の減少分が、堆積物による帯電量の増加分とほぼ相殺されて、インク滴の帯電量は概ね計画値となり、その結果、吐出状態の誤判定は防止される。
(8)検査用インク滴の吐出周波数を変更する。
以上説明してきた(1)乃至(7)の方法では、ノズルから吐出する検査用のインク滴が一滴であるものとして説明したが、ここで説明する(8)の方法は、ステップS300の「吐出状態の検査」において、複数のインク滴を所定の吐出周波数で連続吐出してインク滴群を形成する場合であって、しかも、そのインク滴群の全長TLが所定長さに規定されている場合に有効な方法である(図27A及び図27Bを参照)。
この処理は、ステップS300の「吐出状態の検査」において、ノズルnから検査用に吐出されるインク滴の吐出周波数を、図27Aに示す現状の吐出周波数よりも、図27Bに示すように、堆積物起因による誘導電流の増加分だけ低くするものである。
すなわち、ステップS206において軽減化処理(S208)を実行すべき判定が下されると、システムコントローラ126は、後述の比率Rで吐出周波数を低くし、この低下後の吐出周波数を、前記EEPROM129における吐出周波数情報の格納領域に上書き保存する。
そして、ステップS300の「吐出状態の検査」においては、システムコントローラ126は、前記EEPROM129から前記低下後の吐出周波数を取得し、これに基づいてヘッド駆動部(コントローラに相当する)132を制御して、ノズルnから複数のインク滴を連続吐出する。
ここで、図27Cを参照して前記比率Rの求め方について説明すると、この比率Rは、例えば、ステップS206において検出部63で検出された誘導電流の大きさICmで、吐出量が計画値の場合に本来検出されるべき誘導電流の計画値ICiを除算することで求められる。そして、この比率Rに基づいて低くされた吐出周波数によれば、前記間隔に存在するインク滴の滴数を、堆積物起因の前記誘導電流の増加分に対応させて少なくすることができて、その結果として、「吐出状態の検査(S300)」において生じる誘導電流の大きさを概ね計画値にすることができる。
なお、この吐出周波数の低下によって、インク滴群に含まれるインク滴の総数も減ることになるため、以降の検査においては、堆積物の堆積速度が遅くなるという効果も奏する。
===液体滴吐出検査装置の変形例===
<第1変形例>
図28Aに、第1変形例に係る液体滴吐出検査装置80の縦断面図を、また、図28Bには、図28A中のB−B断面図を示す。前述した液体滴吐出検査装置60との主な相違点は、有底容器67の箱体68に、導電性インク吸収体61のノズル側への移動を拘束する保持部68aが設けられている点に有る。この理由は、導電性インク吸収体61が経時的にノズル側へ移動して、ノズルnと導電性インク吸収体61の上面61aとの間隔Dを狭めてしまう虞があるからである。よって、それ以外の構成は、ほぼ前述の液体滴吐出検査装置60と同じであり、同一の構成については同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
前記保持部68aは、有底容器67の箱体68の内周面における前記上面61aに対応する高さに形成された凸部68aであり、この凸部68aの下面が前記上面61aの縁部に当接している。よって、この凸部68aは、前記上面61aの上方への移動を拘束する。
ここで、この凸部68aの望ましい形態としては、前記上面61aの縁部の全周に亘って当接すべく、箱体68の内周に沿って環状に形成されていると良く、そうすれば、前記上面61aをほぼ平面状に保ったまま、その上方への移動を拘束できる。
なお、上面61aが下方へ移動する虞がある場合には、前記上面61aよりも下方の部分に食い込んで導電性インク吸収体61に係合する凸部(不図示)を、箱体68の内周面に形成すれば良く、そうすれば、前記上面61aの移動を上下両方向について確実に拘束できる。また、この拘束性をより高めるには、前記凸部(不図示)を上下方向の複数の位置に設けると良い。
<第2変形例>
図29Aに、第2変形例の液体滴吐出検査装置80aの縦断面図を、また、図29Bには、図29A中のB−B断面図を示す。上述の第1変形例との主な相違点は、導電性インク吸収体61の厚みを薄くし、それによって空いた有底容器67の底部側の空間、即ち下方側の空間に、膨潤性のインク保持体81を収容した点に有り、それ以外の構成は、ほぼ第1変形例と同じである。従って、同一の構成については、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
有底容器67の底部側に収容されたインク保持体81は、その上方の導電性インク吸収体61からインクをほぼ不可逆的に吸い取って保持するものであり、前記底部側の空間とほぼ同形の直方体形状に成形されている。そして、このインク保持体81は、その長方形の上面81aを、前記導電性インク吸収体61の長方形の下面61bにほぼ全面に亘って当接させつつ前記空間に収容されており、これによって、導電性インク吸収体61からの一層速やかなインクの吸い取りを達成している。
このインク保持体81に好適な素材としては、吸い取ったインクをゲル化して保持する素材が挙げられ、特に、少なくとも水を溶媒として含むインクの場合には、所謂吸水性ポリマーが好適である。この吸水性ポリマーは、その分子間に水を取り込んで膨張する性質(膨潤性)を有し、一旦取り込んだ水を容易には離さない。このため、一旦吸い取ったインクを、再び導電性インク吸収体61へと戻してしまうことは殆ど無く、つまり導電性インク吸収体61から概ね非可逆的にインクを吸い取り可能である。この吸水性ポリマーとしては、架橋ポリアクリル酸塩系樹脂等が挙げられる。
そして、この第2変形例によれば、上述の保持部68aによる前記上面61aの上方への移動拘束作用を有効に享受することができる。これは、インク保持体81が、その膨潤性からインクの吸い取りに伴って膨張し、これによって導電性インク吸収体61が上方へ押し上げられるが、その際には、前記保持部68aが、前記上面61aのノズルn側への移動を確実に拘束するからである。ちなみに、インク保持体81の膨張は、導電性インク吸収体61の弾性圧縮変形によって吸収され、これによって、導電性インク吸収体61の上面61aは上方へ移動することなく初期位置に維持される。
ところで、この第2変形例では、図29A及び図29Bに示すように、導電性インク吸収体61とインク保持体81との当接面間に、金属製の電極部材83が介装されており、この電極部材83を介して導電性インク吸収体61は電圧印加部65に対して電気的に接続されているが、この理由は次の通りである。導電性を有するとはいえ、導電性インク吸収体61は樹脂素材であるために、その電気抵抗は金属よりも大きい。このため、導電性インク吸収体61の一部に電圧印加部65との接点を設けると、ノズル毎に、それが対面する上面61aの部分の電圧値が異なってしまい、その結果として、ノズル毎にインク滴の帯電量が異なってしまう虞があるためである。
ここでは、この電極部材83として、ノズル列211の全長L2よりも長い矩形の金属平板たる電極板83を使用し(図中では電極板83の長さをL3で示す)、ノズル列211が導電性インク吸収体61の上面61aと対向状態になった際には、電極板83の板面は、ノズル列211の全ノズルn(#1)〜n(#180)と対向するようになっている。従って、各ノズルnと対向する導電性インク吸収体61の各部分に均等に電圧を印加できる結果、インク滴の帯電量がノズル毎にばらつくことは有効に抑えられ、吐出状態の検査精度を良好に維持可能となる。
なお、図29Bを参照してわかるように、この電極板83の幅W3は、導電性インク吸収体61の上面61aの幅W1よりも幅狭に形成されており、これによって、前記電極板83の幅方向の両端縁には、導電性インク吸収体61の内部のインクをインク保持体81へと導く流路が確保される。よって、導電性インク吸収体61からのインク保持体81のインクの吸い取りを、前記電極板83が阻害することは抑制される。
===液体滴吐出システム1000等の構成===
次に、本発明に係る液体滴吐出システム1000の一例として、液体滴吐出装置としてのプリンタ1106を備えた液体滴吐出システム1000を例に説明する。
図30は、液体滴吐出システム1000の外観斜視図である。液体滴吐出システム1000は、コンピュータ本体1102と、表示装置1104と、プリンタ1106と、入力装置1108と、読取装置1110とを備えている。コンピュータ本体1102は、本実施形態ではミニタワー型の筐体に収納されているが、これに限られるものではない。表示装置1104は、CRT(Cathode Ray Tube:陰極線管)やプラズマディスプレイや液晶表示装置等が用いられるのが一般的であるが、これに限られるものではない。プリンタ1106は、上記に説明されたインクジェットプリンタ1が用いられている。入力装置1108は、本実施形態ではキーボード1108Aとマウス1108Bが用いられているが、これに限られるものではない。読取装置1110は、本実施形態ではフレキシブルディスクドライブ装置1110AとCD−ROMドライブ装置1110Bが用いられているが、これに限られるものではなく、例えばMO(Magnet Optical)ディスクドライブ装置やDVD(Digital Versatile Disk)等の他のものであっても良い。
図31は、図30に示した液体滴吐出システム1000の構成を示すブロック図である。コンピュータ本体1102が収納された筐体内にRAM等の内部メモリ1202と、ハードディスクドライブユニット1204等の外部メモリがさらに設けられている。
上述したプリンタ1の動作を制御するコンピュータプログラムは、例えばインターネット等の通信回線を経由して、プリンタ1106に接続されたコンピュータ本体1102等にダウンロードさせることができるほか、コンピュータ本体1102による読み取り可能な記録媒体に記録して配布等することもできる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスクFD、CD−ROM、DVD−ROM、光磁気ディスクMO、ハードディスク、メモリ等の各種記録媒体を用いることができる。なお、このような記憶媒体に記憶された情報は、各種の読取装置1110によって、読み取り可能である。
なお、以上の説明においては、プリンタ1106が、コンピュータ本体1102、表示装置1104、入力装置1108、及び、読取装置1110と接続されて液体滴吐出システム1000を構成した例について説明したが、これに限られるものではない。例えば、液体滴吐出システム1000が、コンピュータ本体1102とプリンタ1106から構成されても良く、液体滴吐出システム1000が表示装置1104、入力装置1108及び読取装置1110のいずれかを備えていなくても良い。また、例えば、プリンタ1106が、コンピュータ本体1102、表示装置1104、入力装置1108、及び、読取装置1110のそれぞれの機能又は機構の一部を持っていても良い。
===その他の実施の形態===
以上、一実施形態に基づき、液体滴吐出検査装置、液体滴吐出装置、及び、液体滴吐出システムについて説明したが、上記の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更または改良され得るとともに、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施の形態であっても、本発明に係る液体滴吐出検査装置、液体滴吐出装置、及び、液体滴吐出システムに含まれるものである。
また、本実施形態において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部又は全部をソフトウェアによって置き換えてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアによって置き換えてもよい。
また、液体滴吐出装置(インクジェットプリンタ1)側にて行っていた処理の一部をホストコンピュータ140側にて行ってよく、また液体滴吐出装置(インクジェットプリンタ1)とホストコンピュータ140の間に専用の処理装置を介設して、この処理装置にて処理の一部を行わせるようにしてもよい。
<液体滴吐出検査装置60,80,80aについて>
前述した実施の形態では、液体滴吐出検査装置60,80,80aが液体滴吐出装置(インクジェットプリンタ1)に搭載された場合を例に説明したが、何等これに限るものではなく、液体滴吐出検査装置60,80,80aが液体滴吐出装置から分離して、液体滴の吐出検査のみを独立して実行可能な装置であっても良く、また、前述した液体滴吐出装置以外の他の装置に搭載されても良い。
<液体滴吐出装置1について>
前述した実施の形態では、液体滴吐出装置としてインクジェットプリンタ1を例示したが、液体滴を吐出する装置であれば何等これに限るものではない。
<液体滴について>
前述した実施の形態では、液体滴としてインク滴を例示したが、帯電する液体滴であれば何等これに限るものではない。例えば、金属材料、有機材料(例えば高分子材料)、磁性材料、導電性材料、配線材料、成膜材料、電子インク、各種加工液、遺伝子溶液等の液体滴であっても良い。
<液体滴の吐出数について>
前述した実施の形態では、検査用インク滴の吐出数が一滴の場合を主に説明したが、各ノズルnから、検査用に、複数のインク滴を連続吐出しても良い。なお、この場合には、一滴の場合と比べて誘導電流の大きさが増大するが、その増大率で、前述の目詰まり閾値Fth及び堆積閾値も拡大変更されるのは言うまでもない。
<導電体61について>
前述した実施の形態では、導電体として導電性のウレタンスポンジ(導電性インク吸収体61)を例示したが、ノズルnから吐出されたインク滴を受ける導電性の部材であれば、何等これに限るものではなく、例えば、金属の棒材や線材、平板あるいはメッシュ等を用いても良い。なお、これら金属素材を用いた場合には、その電気抵抗が低いことから、前述の第2変形例に関して電極部材83を省略できるというメリットがある。
<判定部126が誘導電流に基づいて行う判定について>
前述した実施の形態では、判定部(システムコントローラ126)が誘導電流に基づいて行う判定の一例として、堆積物の堆積高さが許容範囲外であるか否かを判定する例を説明したが、何等これに限るものではない。例えば、誘導電流の大きさに基づいて、ノズル列211に沿う方向の堆積分布を判定するようにしても良い。すなわち、検出部63が検出した各ノズルnに対応する誘導電流の大きさを、図19の堆積高さと誘導電流のグラフに照らし合わせて各ノズルnに対応する堆積高さをそれぞれ読み取れば、ノズル列211に沿う方向の堆積分布を知ることができる。
<有底容器67の保持部68a,68bについて>
前述した実施の形態では、導電性インク吸収体61の保持部としての凸部68a,68bを、有底容器67の箱体68の内周の全周に亘って連続させて設け、環状にしたが、何等これに限るものではなく、内周方向の適宜位置で分断させても良い。
<インク保持体81について>
前述した第2変形例では、インク保持体81として吸水性ポリマーを例示したが、導電性インク吸収体61からインクを吸い取って保持する機能を有していれば、何等これに限るものではなく、例えば、導電性インク吸収体61よりも大きな毛細管力を有する部材を適用しても良い。その素材例としては、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、レーヨン等の合成繊維やパルプ等を原料とするフエルト材や、スポンジ等の多孔質材が挙げられるが、インク保持能力に優れている点でフエルト材が好ましい。
<電極部材83について>
前述の第2変形例では、電極部材として金属平板の電極板83を例示したが、何等これに限るものではなく、例えば、金属の棒材や線材等を用いても良い。
また、電極部材83の配置位置としては、導電性インク吸収体61とインク保持体81との当接面間に限るものではない。例えば、図32に示すように導電性インク吸収体61の内部に埋設しても良いし、図33に示すように導電性インク吸収体61の上面61aに載置しても良い。但し、この上面61aに載置するのは、電極部材83上にインクが滞留する虞があるため得策ではない。
インクジェットプリンタ1の外観斜視図である。 プリンタ1の内部構成を示す図である。 プリンタ1の搬送部を示す断面図である。 プリンタ1のシステム構成を示すブロック図である。 ヘッド21の下面に設けられたノズルnの配列図である。 駆動回路220の説明図である。 原駆動信号発生部221の動作を示す原信号ODRV、印刷信号PRT(i)、駆動信号DRV(i)のタイミングチャートである。 PG調整機構90の駆動伝達部92の周辺の斜視図である。 駆動伝達部92のギアの噛み合い状態を示す側面図である。 ガイドレール46を上下昇降させる機構の斜視図である。 PG変更カム94周辺の構造の正面図である。 印刷動作の処理手順の一例を示すフローチャートである。 プリンタ1内における液体滴吐出検査装置60の配置図である。 液体滴吐出検査装置60の縦断面図である。 図14A中のB−B断面図である。 導電性インク吸収体61に生じる誘導電流の説明図である。 検査の全体の流れを示すフローチャートである。 吐出状態の検査手順のフローチャートである。 図17Aは、導電性インク吸収体61の上面61aの堆積物が吐出状態の検査精度へ及ぼす影響を説明するための縦断面図であり、図17Bは、図17A中のB−B断面図である。 図18A及び図18Bは、それぞれ、堆積状態の検査原理の説明図である。 堆積高さと誘導電流の関係のグラフである。 堆積物の検査手順のフローチャートである。 図21Aは、(1)の軽減化処理を説明するための液体滴吐出検査装置60の縦断面図であり、図21Bは、図21A中のB−B断面図である。 図22Aは、(1)の軽減化処理を説明するための液体滴吐出検査装置60の縦断面図であり、図22Bは、図22A中のB−B断面図である。 (3)の軽減化処理を説明するための液体滴吐出検査装置60の縦断面図である。 (4)の軽減化処理を説明するための液体滴吐出検査装置60の縦断面図である。 (5)の軽減化処理を説明するための液体滴吐出検査装置60の縦断面図である。 (6)の軽減化処理を説明するための誘導電流の波形図である。 (8)の軽減化処理を説明するための液体滴吐出検査装置60の縦断面図である。 (8)の軽減化処理を説明するための液体滴吐出検査装置60の縦断面図である。 (8)の軽減化処理を説明するための誘導電流の波形図である。 第1変形例に係る液体滴吐出検査装置80の縦断面図である。 図28A中のB−B断面図である。 第2変形例の液体滴吐出検査装置80aの縦断面図である。 図29A中のB−B断面図を示す。 本実施形態に係る液体滴吐出システム1000の外観斜視図である。 前記液体滴吐出システム1000の構成を示すブロック図である。 第2変形例に係る電極部材83の他の配置例を示す断面図である。 第2変形例に係る電極部材83の他の配置例を示す断面図である。
符号の説明
1 インクジェットプリンタ、 2 操作パネル、 3 排紙部、 4 給紙部、
5 操作ボタン、 6 表示ランプ、 7 排紙トレー、 8 給紙トレー、
11A 紙挿入口、 11B ロール紙挿入口、
13 給紙ローラ、 14 プラテン、 15 紙送りモータ、
17A 搬送ローラ、 17B 排紙ローラ、
18A、フリーローラ、18B フリーローラ、
21 ヘッド、 211 ノズル列、 22 ヘッドドライバ、
30 クリーニングユニット、 31 ポンプ装置、 35 キャッピング装置、
41 キャリッジ、 42 キャリッジモータ、44 プーリ、
45 タイミングベルト、 46 ガイドレール、
48 インクカートリッジ、 51 リニア式エンコーダ、
60 液体滴吐出検査装置、61 導電性インク吸収体、
61a 上面、61b 下面、63 検出部、
65 電圧印加部、65a 変圧器、67 有底容器、68 箱体、68a 凸部、
69 遮蔽部材、
80 液体滴吐出検査装置、80a 液体滴吐出検査装置、
81 インク保持体、81a 上面、83 電極板、
90 PG調整機構、91 モータ、92 駆動伝達部、93 ガイドレールギア、
94 PG変更カム、95 固定ピン、96 案内溝、
122 バッファメモリ、 124 イメージバッファ、
126 システムコントローラ、 127 メインメモリ、
128 キャリッジモータ制御部、 129 EEPROM、
130 搬送制御部、 132 ヘッド駆動部、
134 ロータリ式エンコーダ、 136 リニア式エンコーダ、
140 ホストコンピュータ、211 ノズル列、
220 駆動回路、 221 原駆動信号発生部、 222 マスク回路、
1000 液体滴吐出システム、1102 コンピュータ本体、1104 表示装置、
1106 プリンタ、1108 入力装置、
1108A キーボード、1108B マウス、
1110 読取装置、1110A フレキシブルディスクドライブ装置、
1110B CD−ROMドライブ装置、1202 内部メモリ、
1204 ハードディスクドライブユニット、
Ap 印刷エリア、 An 非印刷エリア、
S 媒体、R1 保護抵抗、 R2 入力抵抗、 R3 帰還抵抗、
C コンデンサ、 Amp オペアンプ、n ノズル、
CP 検査ポジション、CP1 第1検査ポジション、CP2 第2検査ポジション

Claims (14)

  1. (A)対向状態のノズルから吐出された液体滴を受けるための導電体と、
    (B)帯電した液体滴の接近によって前記導電体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
    (C)前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電体に電圧を印加する電圧印加部と、
    (D)前記ノズルと前記導電体との間隔を調整するための間隔調整機構と、を備え、
    (E)前記導電体に受けられた液体滴に起因して前記導電体に堆積する堆積物の堆積高さが所定高さ以上になった際には、
    前記所定高さ以上になる前の前記間隔よりも、前記ノズルと前記導電体との間隔が広くされた後に、前記ノズルから前記導電体へ向けて液体滴が吐出されることを特徴とする液体滴吐出検査装置。
  2. (A)ノズルから吐出された液体滴を受けるための導電体と、
    (B)帯電した液体滴の接近によって前記導電体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
    (C)前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電体に電圧を印加する電圧印加部と、を備え、
    (D)前記導電体に受けられた液体滴に起因して前記導電体に堆積する堆積物の堆積高さが所定高さ以上になった際には、
    前記堆積物を崩すための液体滴が、ノズルから前記堆積物へ向けて吐出されることを特徴とする液体滴吐出検査装置。
  3. (A)ノズルから吐出された液体滴を受けるための導電体と、
    (B)帯電した液体滴の接近によって前記導電体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
    (C)前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電体に電圧を印加する電圧印加部と、を備え、
    (D)前記導電体に受けられた液体滴に起因して前記導電体に堆積する堆積物の堆積高さが所定高さ以上になった際には、
    前記導電体に印加する電圧が、前記所定高さ以上になる前の電圧値よりも低くされた後に、前記導電体へ向けて液体滴が吐出されることを特徴とする液体滴吐出検査装置。
  4. (A)ノズルから吐出された液体滴を受けるための導電体と、
    (B)帯電した液体滴の接近によって前記導電体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
    (C)前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電体に電圧を印加する電圧印加部と、
    (D)前記導電体に受けられた液体滴に起因して前記導電体に堆積する堆積物の堆積高さを評価する評価部と、
    (E)前記評価部によって前記堆積高さが所定高さ以上になったと判断された場合に、前記導電体のメンテナンスの実施の必要性を報知する報知部と、
    (F)を備えたことを特徴とする液体滴吐出検査装置。
  5. (A)ノズルから吐出された液体滴を受ける部分が、複数箇所用意された導電体と、
    (B)帯電した液体滴の接近によって前記導電体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
    (C)前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電体に電圧を印加する電圧印加部と、を備え、
    (D)前記導電体に受けられた液体滴に起因して前記導電体に堆積する堆積物の堆積高さが所定高さ以上になった際には、
    前記液体滴を受ける部分が、前記複数箇所のなかで、堆積物の堆積高さが前記所定高さよりも低い部分に変更されることを特徴とする液体滴吐出検査装置。
  6. (A)ノズルから吐出された液体滴を受けるための導電体と、
    (B)帯電した液体滴の接近によって前記導電体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
    (C)前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電体に電圧を印加する電圧印加部と、
    (D)前記ノズルからの液体滴の吐出状態を検査すべく、前記ノズルから前記液体滴を所定の周波数で連続吐出させるための信号を発生するコントローラと、を備え、
    (E)前記導電体に受けられた液体滴に起因して前記導電体に堆積する堆積物の堆積高さが所定高さになった際には、
    前記コントローラは、前記所定高さ以上になる前の周波数よりも低い周波数で液体滴を吐出する信号を発生することを特徴とする液体滴吐出検査装置。
  7. (A)ノズルから吐出された液体滴を受けるための導電体と、
    (B)帯電した液体滴の接近によって前記導電体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
    (C)前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電体に電圧を印加する電圧印加部と、
    (D)前記導電体に受けられた液体滴に起因して前記導電体に堆積する堆積物の堆積高さを評価する評価部と、
    (E)前記検出部によって検出された誘導電流の大きさを、所定の判定閾値と比較することによって、ノズルの吐出異常を判定する判定部と、を備え、
    (F)前記評価部によって前記堆積高さが所定高さ以上になったと判断された場合には、
    前記判定部は、前記所定高さ以上になる前の判定閾値よりも判定閾値を高くすることを特徴とする液体滴吐出検査装置。
  8. (A)対向状態のノズルから吐出された液体滴を受けるための導電体と、
    (B)帯電した液体滴の接近によって前記導電体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
    (C)前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電体に電圧を印加する電圧印加部と、
    (D)前記ノズルからの液体滴の吐出状態を検査すべく、前記ノズルから前記液体滴を所定周波数で連続吐出させるための信号を発生するコントローラと、を備え、
    (E)前記導電体に受けられた液体滴に起因して前記導電体に堆積する堆積物の堆積高さが所定高さ以上になった際には、
    前記コントローラは、前記所定高さ以上になる前の液体滴よりも小さいサイズの液体滴を吐出する信号を発生することを特徴とする液体滴吐出検査装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載の液体滴吐出検査装置において、
    前記導電体に受けられた液体滴に起因して前記導電体に堆積する堆積物の堆積高さを評価する評価部を備え、
    前記評価部は、前記検出部によって検出された誘導電流の大きさが、所定の閾値以上の場合には、前記堆積高さが所定高さ以上になったと判断することを特徴とする液体滴吐出検査装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載の液体滴吐出検査装置において、
    前記導電体は、前記ノズルから吐出された液体滴を受けるための面を前記ノズルに対向させながら、不導体からなる有底容器に収容されていることを特徴とする液体滴吐出検査装置。
  11. 請求項10に記載の液体滴吐出検査装置において、
    前記導電体は海綿状の多孔質体であることを特徴とする液体滴吐出検査装置。
  12. 請求項1乃至11のいずれかに記載の液体滴吐出検査装置において、
    前記液体は、少なくとも水を溶媒として含み該溶媒に染料又は顔料を含有するインクであることを特徴とする液体滴吐出検査装置。
  13. 請求項1乃至12のいずれかに記載の液体滴吐出検査装置を備えた液体滴吐出装置であって、
    前記ノズルが媒体に対して液体滴を吐出することを特徴とする液体滴吐出装置。
  14. 請求項1乃至12のいずれかに記載の液体滴吐出検査装置を備えた液体滴吐出システムであって、
    コンピュータ本体と、
    前記コンピュータ本体に接続可能で、前記ノズルが媒体に対して液体滴を吐出する液体滴吐出装置と、を備えたことを特徴とする液体滴吐出システム。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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