JP2007030161A - 打撃ツールのツールチャック - Google Patents

Abstract

【課題】防振性を有する打撃ツール用のツールチャック、特に、錠止体を制振できるツールチャックを得る。
【解決手段】半径方向に移動可能な少なくとも１個の錠止体３と、この錠止体が半径方向外方に移動するのを錠止するよう、錠止体３に対して半径方向に対向する錠止面４を有する錠止手段５，６とを設け、少なくとも部分的に打撃駆動されるツールのためのツールチャックにおいて、錠止手段５，６は、錠止面４を有する半径方向内側部分５と、外側部分６とにより構成し、少なくとも錠止面４で半径方向の衝撃吸収性を有する構成とする。好適には、錠止面４は、０℃と１００℃の間の温度範囲および１Ｈｚから１００Ｈｚの周波数帯域において、複素弾性係数の虚数部分が最大になる性質を有する材料により半径方向に弾性を有するよう、また錠止体３よりも柔らかいものとして構成する。
【選択図】図１

Description

本発明は、機械によって少なくとも部分的に打撃駆動する、例えばチゼルもしくは打撃ドリルのようなツールのための、半径方向に移動可能な錠止体を有するツールチャックに関するものである。

この種の打撃ツール用のツールチャックは、シャンクの錠止溝に対して半径方向に掛合するよう半径方向に移動可能な錠止体を、半径方向外方に移動するのを阻止する錠止手段を有する。

特に、目的に応じて高出力の手持ち工具装置に連結して使用された場合に、打撃ツール用ツールチャックの内部において高いスラスト荷重が生じ、この荷重は、錠止体をはじめとするすべての構成部材に複合的な振動を発生させるので、これら構成部材に摩耗と疲労が生じうる。

特許文献１、特許文献２および特許文献３には、この種の打撃ツール用ツールチャックのうち、半径方向に移動可能な錠止体と、この錠止体の半径方向外方への移動を阻止するよう錠止する錠止手段とを有するものが記載されており、この錠止手段は２個の部分からなり、その２個の異なる部材からなる部分を、軸線方向に順次に配置する。
米国特許第６２４１０２６号明細書 独国特許第４４０５６９７号明細書 米国特許出願公開第２００３０８９５０９号明細書

特許文献４には、半径方向に移動可能な錠止体と、この錠止体の半径方向外方への移動を阻止するよう錠止する錠止手段と、錠止体から軸線方向に離間された別個の緩衝リングとを有する打撃ツール用ツールチャックが記載されており、この緩衝リングは、操作可能な操作スリーブが、伝達されるスラスト荷重によって故障するのを防止するために、ゴムから形成する。
独国特許第１９５３６１５４号明細書

さらに、特許文献５には、打撃ツール用ツールチャックのうち、シールとして機能するゴム製カフを、２個の個別の部材により構成した錠止スリーブのうちの半径方向内側部分としたものが記載されており、この錠止スリーブは、錠止のために軸線方向に移動可能である。しかし、その錠止位置においては、ゴム製カフは錠止体を半径方向に錠止しない。
独国特許第１０２４３２８８号明細書

さらに、複素弾性係数の虚数部分が大きい材料による衝撃吸収作用が知られており、この複素弾性係数の虚数部分は、合成材料について、温度と周波数に基づくＷＬＦ(Williams，Landel，Ferry）方程式によって近似的に決定され、分子の弛緩プロセスにおける消散部分を表す。

本発明の目的は、防振性を有する打撃ツール用のツールチャック、特に、錠止体を制振できるツールチャックを得るにある。

この目的は、基本的に、請求項１の特徴部分によって達成される。従属請求項に、好適な実施態様を記載する

すなわち、本発明は、少なくとも部分的に打撃駆動されるツールのためのツールチャックにおいて、半径方向に移動可能な少なくとも１個の錠止体と、この錠止体が半径方向外方に移動するのを防止するよう錠止し、錠止体に対して半径方向に対向する錠止面を有する錠止手段とを設け、該錠止手段は、少なくとも前記錠止面で半径方向への衝撃吸収性を有するよう構成することを特徴とする。

錠止面が半径方向への衝撃吸収性を有するように構成されることによって、半径方向に移動可能な錠止体は、それ自体の主振動自由度が減衰されるので、錠止体の振動が、最適に抑制される。

錠止面は、０℃と１００℃の間の温度範囲および１Ｈｚから１００Ｈｚの周波数帯域において、複素弾性係数の虚数部分が最大になる性質を有する材料により構成すると好適であり、これによって、通常考えられる使用状況下で、このような緩衝材料による最適な衝撃吸収が実現する。

錠止面は、半径方向に弾性を有する構成にすると好適であり、ゴムやシリコーンゴムといったエラストマーから形成するとさらに好適である。これによって、錠止体に半径方向に強い振動が生じた場合にも、錠止手段との接触面で衝撃が吸収される。

錠止面は、錠止体よりも柔らかいものにすると好適であり、ショア硬度をＡ８０からＡ９５とするとさらに好適である。これによって、錠止体がヘルツ圧力に応じて、広面積で衝撃吸収性の接触面を介して錠止手段に嵌まり込む。

錠止手段を回転対称形状に構成すると好適であり、スリーブ状もしくは環状にするとさらに好適である。これによって、錠止力が環状に吸収される。

錠止手段を２個の個別の部材により構成し、その半径方向内側部分が錠止面を構成するようにすると好適である。これによって、内側部分が別個に衝撃吸収を最適化する。

内側部分の半径方向厚みを、前記錠止体の半径方向寸法の１／５倍から１倍の範囲の寸法にすると好適であり、これによって、錠止体が内側部分において、充分な深さで衝撃吸収可能に収まる。

内側部分を緩衝リングとして構成すると好適であり、これによって、錠止力が環状に吸収される。

２個の個別の部材により構成されている錠止手段の外側部分（６）を、内側部分よりも高い強度、剛性および靱性を有する材料から形成すると好適であり、金属から形成するとさらに好適である。これによって、外側部分に充分な安定性が備わる。

本発明ツールチャックの好適な実施例を、ツールチャックの縦断面図につきさらに詳述する。

部分的にのみ図示した打撃駆動されるツールのシャンク（差込端部）２のためのツールチャック１は、錠止ボールとして形成した半径方向に移動可能な２個の錠止体３を有する。これら錠止ボールを半径方向外方への移動から錠止し、ほぼ環状でかつ外部から手動により軸線方向に移動可能な錠止手段５＋６は、錠止体３に半径方向に対向する錠止面４を有する。錠止手段５＋６自体は、２個の別個の部分から構成し、緩衝リングとして構成した半径方向内側部分５は、錠止面４をなし、軸線方向に移動可能な外側部分６は金属から形成する。緩衝リングは、ショア硬度がＡ９０で、５０℃かつ１０Ｈｚの場合に損失係数が最大になるシリコーンゴムからなり、緩衝リングの半径方向厚みは、錠止ボールの半径方向寸法の３分の１とする。

本発明ツールチャックの縦断面図である。

符号の説明

１ ツールチャック
２ シャンク
３ 錠止体
４ 錠止面
５ 錠止手段の内側部分
６ 錠止手段の外側部分

Claims (9)

1. 半径方向に移動可能な少なくとも１個の錠止体（３）と、
   この錠止体が半径方向外方に移動するのを錠止するよう、錠止体（３）に対して半径方向に対向する錠止面（４）を有する錠止手段（５＋６）とを設け、少なくとも部分的に打撃駆動されるツールのためのツールチャックにおいて、
   前記錠止手段（５，６）は、少なくとも前記錠止面（４）で半径方向の衝撃吸収性を有する構成としたことを特徴とするツールチャック。
2. 前記錠止面（４）は、０℃と１００℃の間の温度範囲および１Ｈｚから１００Ｈｚの周波数帯域において、複素弾性係数の虚数部分が最大になる性質を有する材料により構成したことを特徴とする請求項１に記載のツールチャック。
3. 前記錠止面（４）は、半径方向に弾性を有する構成としたことを特徴とする請求項１または２に記載のツールチャック。
4. 前記錠止面（４）は、前記錠止体（３）よりも柔らかいものとしたことを特徴とする請求項１〜３のいずれか一項に記載のツールチャック。
5. 前記錠止手段（５＋６）を、回転対称形状に構成したことを特徴とする請求項１〜４のいずれか一項に記載のツールチャック。
6. 前記錠止手段（５＋６）を、２個の個別の部分により構成し、その半径方向内側部分（５）が前記錠止面（４）をなすようにしたことを特徴とする請求項１〜５のいずれか一項に記載のツールチャック。
7. 前記内側部分（５）の半径方向厚みを、前記錠止体（３）の半径方向寸法の１／５倍〜１倍の範囲の寸法としたことを特徴とする請求項６に記載のツールチャック。
8. 前記内側部分（５）を緩衝リングとして構成したことを特徴とする請求項６または７に記載のツールチャック。
9. ２個の個別の部材により構成した錠止手段（５＋６）の外側部分（６）を、前記内側部分（５）よりも高い強度、剛性および靱性を有する材料により形成したことを特徴とする請求項６〜８のうちいずれか一項に記載のツールチャック。

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