JP2007029633A - 歩行補助装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】荷重伝達部1に第1関節部3を介して連結される脚リンク2L,2Rを備える歩行補助装置であって、各脚リンクは、中間の第2関節部5で屈伸自在であり、且つ、脚リンクの前後方向の揺動支点3aと脚リンクの下端の第3関節部7とを結ぶ線を基準線L2として、利用者の直立状態においても、第2関節部が基準線の前方に張り出す屈曲状態になるような長さに形成されるものにおいて、利用者の直立状態で脚リンクに発生する前傾方向のモーメントを減少させて、安定性を向上させる。
【解決手段】各脚リンク2L,2Rに、基準線L2に対し第2関節部5とは前後方向反対側に張り出す張出し部42を設け、ここに第2関節部5用の駆動源9搭載して、基準線L2の前後の重量バランスを取る。駆動源9の駆動力は駆動力伝達手段91を介して第2関節部5に伝達する。
【選択図】図2

Description

本発明は、利用者の脚に作用する荷重を軽減して歩行を補助する歩行補助装置に関する。
従来、この種の歩行補助装置として、荷重伝達部と、この荷重伝達部に連結される脚リンクとを備え、利用者の体重の少なくとも一部を荷重伝達部を介して脚リンクで支え、利用者の脚に作用する荷重を軽減して、利用者の歩行を補助するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このもので荷重伝達部は、利用者の腰回りに装着される腰支持ベルトで構成され、腰支持ベルトの横方向両側に人の股関節に相当する第1関節部を介して左右の一対の脚リンクを連結している。尚、脚リンクは、上下方向中間に人の膝関節に相当する第2関節部を有する屈伸自在なリンクで構成され、各脚リンクの下端には、利用者の足平に装着される足平装着部が第3関節部を介して連結されている。そして、脚リンクに第2関節部と同軸上の駆動源を搭載し、該駆動源による第2関節部の回転駆動で使用者の体重の一部を支える体重免荷アシスト力を発生させるようにしている。
ところで、脚リンクは、一般的に、利用者の直立状態で伸張状態になるように、利用者の脚の長さに合わせた長さに形成されるが、これでは、個人毎に専用の装置を製作することが必要になって、コストが高くなる。この場合、第1関節部における脚リンクの前後方向の揺動支点と第3関節部とを結ぶ線を基準線として、脚リンクを、利用者の直立状態においても、第2関節部が基準線よりも前方または後方に張り出す屈曲状態になるような長さに形成し、駆動源の制御で荷重伝達部の高さを利用者に合わせて自動調節すれば、個人毎に専用の装置を製作する必要がなく、汎用性があってコストダウンを図ることができる。
然し、利用者の直立状態で脚リンクが屈曲状態になっていると、以下の不具合を生ずる。即ち、利用者の直立状態では上記基準線がほぼ鉛直になり、第2関節部が基準線より前方に張り出している場合は、第2関節部と同軸上の駆動源を含む脚リンクの重量により脚リンクに第3関節部を中心にした前傾方向の揺動モーメントが発生して、荷重支持部に前方への押し力が作用し、また、第2関節部が基準線より後方に張り出している場合は、脚リンクに第3関節部を中心にした後傾方向の揺動モーメントが発生し、荷重伝達部に後方への押し力が作用してしまう。
特開2003−220102号公報(0143〜0149、図1)
本発明は、以上の点に鑑み、利用者の直立状態においても屈曲状態になるような長さの脚リンクを用いるにも拘らず、荷重伝達部に前後方向の押し力が作用することを防止して安定性を向上できるようにした歩行補助装置を提供することをその課題としている。
上記課題を解決するために、本発明は、荷重伝達部と、この荷重伝達部に第1関節部を介して前後方向に揺動自在に連結される脚リンクとを備え、利用者の体重の少なくとも一部を荷重伝達部を介して脚リンクで支えるようにした歩行補助装置であって、前記脚リンクは、上下方向中間に第2関節部を有する屈伸自在なリンクで構成され、前記脚リンクの下端に、利用者の足平に装着される足平装着部が第3関節部を介して連結され、且つ、前記第1関節部における前記脚リンクの前後方向の揺動支点と前記第3関節部とを結ぶ線を基準線として、前記脚リンクは、利用者の直立状態においても、前記第2関節部が基準線の前方または後方に張り出す屈曲状態になるような長さに形成されるものにおいて、前記脚リンクに、前記基準線に対し前記第2関節部とは前後方向反対側に張り出す張出し部が設けられ、該張出し部にウェイト部材が搭載されることを特徴とする。
利用者の直立時には、脚リンクの重量(ウェイト部材を除く)により脚リンクに第3関節部を中心にした前傾方向(第2関節部が基準線の前方に張り出す場合)または後傾方向(第2関節部が基準線の後方に張り出す場合)への揺動モーメントが発生する。然し、本発明によれば、ウェイト部材が基準線を挟んで第2関節部とは前後方向反対側に位置することになり、そのため、脚リンクの重量による揺動モーメントとは逆向きの揺動モーメントがウェイト部材の重量により発生する。即ち、ウェイト部材がカウンタウェイトとして機能して、ウェイト部材を含む脚リンク全体の揺動モーメントは小さくなる。その結果、この揺動モーメントによって荷重伝達部に作用する前後方向の押し力も小さくなり、安定性が向上する。
尚、第2関節部が基準線の前方に張出すように脚リンクが屈曲している場合、利用者の脚を前方に振り出す際に、脚リンクに第1関節部における前後方向の揺動支点を中心にした後方への揺動モーメントが発生して、脚の前方への振り出しに対する抵抗力になる。ここで、本発明によれば、第2関節部が基準線の前方に張出す場合、張出し部が基準線の後方に張り出すから、張出し部に搭載するウェイト部材の重量により第1関節部における前後方向の揺動支点を中心にした前方への揺動モーメントが発生し、このモーメントで脚の前方への振り出しがアシストされる。従って、第2関節部が基準線の前方に張出すように脚リンクが屈曲している場合でも、脚の前方への振り出しに抵抗感を与えることはない。
ところで、第1関節部回りの脚リンクの慣性モーメントが大きくなると、歩行時に利用者の脚が脚リンクの慣性モーメントを受けて重く感じる。この場合、第1関節部の近傍に張出し部を設ければ、これに搭載するウェイト部材と第1関節部との間の距離が短くなり、第1関節部回りの脚リンクの慣性モーメントを小さくすることができ、歩行しやすくなる。
ここで、ウェイト部材は、第2関節部用の駆動源で構成されることが望ましい。即ち、第2関節部用の駆動源は元々脚リンクに搭載されているものであり、この駆動源をウェイト部材に兼用することにより、脚リンクの重量アップを回避することができ、合理的である。この場合、駆動源により発生する駆動力が駆動力伝達手段を介して第2関節部に伝達されるようにする。
尚、駆動力伝達手段としては、平行リンクを用いたリンク機構や、油圧シリンダを用いた油圧伝達機構も使用できるが、軽量化及びコストダウンのためには、第2関節部と駆動源とを結ぶワイヤを用いたワイヤ式伝達機構で駆動力伝達手段を構成することが望ましい。
以下、本発明の実施形態の歩行補助装置について説明する。歩行補助装置は、図1乃至図3に示す如く、利用者Pが跨ぐようにして着座する荷重伝達部たる着座部材1と、着座部材1の下側に配置される左右一対の脚リンク2L,2Rとを備えている。
各脚リンク2L,2Rは、着座部材1の下面に第1関節部3を介して前後方向に揺動自在に連結される第1リンク部4と、第1リンク部4の下端に第2関節部5を介して連結される第2リンク部6とを備える屈伸自在なリンクで構成される。また、第2リンク部6の下端には、第3関節部7を介して、利用者の左右の各足平に装着される足平装着部8が連結されている。各脚リンク2L,2Rには、更に、第2関節部5用の駆動源9が搭載されており、駆動源9による第2関節部5の回転駆動で各脚リンク2L,2Rに展伸方向の力を加え、利用者の体重の少なくとも一部を支持する支持力(以下、体重免荷アシスト力という)を発生させる。各脚リンク2L,2Rで発生された体重免荷アシスト力は着座部材1を介して利用者Pの胴体に伝達され、利用者Pの脚に作用する荷重が軽減される。尚、図示しないが、駆動源9用の電源及びコントローラは利用者が背負うバックパックに収納される。
本実施形態の歩行補助装置は、利用者Pが足平に足平装着部8を装着して着座部材1に着座するだけで使用することができ、殆ど束縛感を受けない。また、脚リンク2L,2Rの第1関節部3及び第1リンク部4は利用者Pの股下に位置するため、歩行時の腕振りに際し手が第1関節部3や第1リンク部4に当たることがなく、自由な腕振りが可能になる。更に、装置が小型になって、狭い場所でも使用でき、束縛感の軽減及び腕振りの自由さの確保と相俟って、使い勝手が著しく向上する。
各脚リンク2L,2R用の各第1関節部3は、図4、図5に明示する如く、前後方向に長手の円弧状の案内軌道32と、案内軌道32を支持する支持板33とから成る関節部材31で構成されている。尚、本実施形態では、案内軌道32を円弧状のレールで構成しているが、支持板33に形成する円弧状の溝で案内軌道32を構成することも可能である。各脚リンク2L,2Rの第1リンク部4の上端部には、案内軌道32を上下から挟む上下各一対のローラ41aを有するスライダ41が取付けられており、案内軌道32にスライダ41がローラ41を介して移動自在に係合する。かくして、各脚リンク2L,2Rは案内軌道32の曲率中心を中心にして前後方向に揺動することになり、各脚リンク2L,2Rの前後方向の揺動支点は案内軌道32の曲率中心になる。
図2に示す如く、案内軌道32の曲率中心、即ち、各第1関節部3における各脚リンク2L,2Rの前後方向の揺動支点3aは着座部材1の上方に位置する。ここで、利用者Pが上半身を前傾する等して着座部材1に対する利用者Pの上半身の体重の作用点が各脚リンク2L,2Rの前後方向の揺動支点3aの前方にずれると、着座部材1が前下がりに傾斜する。そして、着座部材1がこのまま傾斜し続けると、着座部材1が利用者Pに対し後方にずれてしまう。然し、本実施形態では、着座部材1の前下がりの傾斜に伴い体重作用点は揺動支点3aの下側で後方に変位し、該支点3aと体重作用点との間の前後方向距離が減少して、着座部材1に作用する回転モーメントも減少する。そして、体重作用点が揺動支点3aの真下の位置まで変位したところで、着座部材1に作用する回転モーメントが零になり、この状態で着座部材1が安定する。このようにして着座部材1が自動的に安定状態に収束するため、着座部材1が利用者Pの股下で前後方向にずれることを抑制できる。
また、各脚リンク2L,2Rの上端部であるスライダ41は、各脚リンク2L,2Rの第2関節部5と各脚リンク2L,2Rの前後方向の揺動支点3a(案内軌道32の曲率中心)とを結ぶ線L1よりも後方に位置する案内軌道32の部分に係合している。これにより、利用者Pの各脚の前方への振り出しに追従する各脚リンク2L,2Rの前方への揺動ストロークを案内軌道32の長さを左程長くせずに確保できる。尚、案内軌道32の前後の各端部には、第1リンク部4の離脱防止のためのストッパ32aが取付けられている。
また、左右の各脚リンク2L,2R用の各第1関節部3を構成する上記各関節部材31は、着座部材1の下面の横方向中央に取付けられる前後一対の支持ブロック34,34に夫々支持させた前後方向の支軸35,35に、支持板33の前後の上端部に取り付けたヒンジ部材36,36を介して軸支される。従って、各関節部材31(第1関節部3)は、着座部材1の下面に横方向に揺動自在に連結されることになり、各脚リンク2L,2Rの横方向への揺動が許容されて、利用者Pの脚を外転できるようになる。
また、左側の脚リンク2L用の関節部材31と右側の脚リンク2R用の関節部材31とは共通の支軸35で軸支されている。即ち、左側の脚リンク2L用の第1関節部3の横方向の揺動支点と右側の脚リンク2R用の第1関節部3の横方向の揺動支点とが前後方向の同一軸線上に位置する。ここで、片脚支持状態では、遊脚(足平が床面から離れている脚)側の脚リンクの重量(後述するように脚リンクにこれを屈曲させる方向の力を加えて遊脚の持ち上げを補助するアシスト力を発生させる場合にはこのアシスト力)が、当該脚リンク用の第1関節部3の横方向の揺動支点を介して着座部材1に作用する。そして、左側の脚リンク2L用の第1関節部3の横方向の揺動支点と右側の脚リンク2R用の第1関節部3の横方向の揺動支点とが離れていると、片脚支持状態では、着座部材1に、遊脚側の脚リンクの重量により、支持脚(足平が床面に接地している脚)側の脚リンク用の第1関節部3の横方向の揺動支点を中心にした横転モーメントが作用し、着座部材1がローリングする。
これに対し、本実施形態では、片脚支持状態において、遊脚側脚リンクの重量の作用箇所である遊脚側脚リンク用の第1関節部3の横方向の揺動支点が支持脚側脚リンク用の第1関節部3の横方向の揺動支点と同一軸線(支軸35)上に位置するから、着座部材1に支持脚側脚リンク用の第1関節部3の横方向の揺動支点を中心にした横転モーメントは作用しない。従って、片脚支持状態での着座部材1のローリングを防止できる。尚、遊脚側の脚リンクの重量は支持脚側の脚リンクを介して床面に伝達され、着座部材1には、遊脚側の脚リンクの重量は作用しない。
また、第1関節部3における各脚リンク2L,2Rの前後方向の揺動支点3aと第3関節部7とを結ぶ線を基準線L2(図2参照)として、各脚リンク2L,2Rは、利用者Pの直立状態においても、第2関節部5が基準線L2の前方に張り出す屈曲状態になるような長さに形成されている。そして、駆動源9の制御で着座部材1の高さを利用者Pに合わせて自動的に調節できるようにしている。そのため、個人毎に専用の装置を製作したり、脚リンクの長さを調節する必要がなく、汎用性があってコストダウンを図ることができる。
ここで、利用者Pの直立状態において、基準線L2はほぼ鉛直になり、第2関節部5を含めて脚リンク2L,2Rの殆どの部分が第3関節部7より前方に位置してしまう。従って、駆動源9を第2関節部5と同軸上に配置した場合には、利用者Pの直立状態において、駆動源9を含む各脚リンク2L,2Rの重量により、各脚リンク2L,2Rに第3関節部7を中心にした前傾方向の大きな揺動モーメントが発生する。そして、この揺動モーメントで着座部材1に前方への押し力が作用してしまう。更に、利用者Pの脚を前方に振り出す際に、脚リンク2L,2Rに第1関節部3における前後方向の揺動支点3aを中心にした後方への揺動モーメントが発生し、脚の前方への振り出しに対する抵抗感を与えてしまう。また、駆動源9を第2関節部5と同軸上に配置すると、第1関節部3回りの脚リンク2L,2Rの慣性モーメントが大きくなり、歩行時に利用者Pの脚が脚リンク2L,2Rの慣性モーメントを受けて重く感じる。
そこで、本実施形態では、各脚リンク2L,2Rの第1関節部3の近傍部分、即ち、第1リンク部4の上端のスライダ41に、基準線L2に対し第2関節部5とは前後方向反対側である後方に張り出す板部材から成る張出し部42を取付け、この張出し部42にウェイト部材として第2関節部5用の駆動源9を搭載している。これによれば、利用者Pの直立時に、駆動源9を除く各脚リンク2L,2Rの重量によって各脚リンク2L,2Rに発生する第3関節部7を中心にした前傾方向の揺動モーメントが、駆動源9の重量により発生する逆向きの揺動モーメントにより減殺される。即ち、駆動源9がカウンタウェイトとして機能して、駆動源9を含む脚リンク2L,2R全体の揺動モーメントは小さくなる。その結果、着座部材1に作用する前方への押し力も小さくなり、安定性が向上する。
更に、利用者Pの脚を前方に振り出す際には、駆動源9の重量により前後方向の揺動支点3aを中心にした前方への揺動モーメントが発生し、このモーメントで脚の前方への振り出しがアシストされる。従って、第2関節部5が基準線L2の前方に張出すように脚リンク2L,2Rが屈曲している場合に問題になる脚の前方への振り出しに対する抵抗感を解消できる。また、重量物たる駆動源9と揺動支点3aとの間の距離が短くなり、そのため、第1関節部3回りの脚リンク2L,2Rの慣性モーメントが小さくなる。従って、歩行時に利用者Pの脚が脚リンク2L,2Rの慣性モーメントを受けて重く感じることを防止できる。
駆動源9により発生する駆動力は駆動力伝達手段91を介して第2関節部5に伝達される。駆動力伝達手段91としては、第2リンク部6の第2関節部5から離れた部分に第1リンク部4と平行に連結されるリンクを用いた平行リンク機構や、油圧シリンダを用いた油圧伝達機構も使用できるが、本実施形態では、軽量化とコストダウンとを図るため、第2関節部5と駆動源9とを結ぶワイヤ91aを用いたワイヤ式伝達機構で駆動力伝達手段91を構成している。駆動源9からは2本のワイヤ91aが導出されており、駆動源9から一方のワイヤ91aが繰り出されるとき他方のワイヤ91aが駆動源9に引き込まれる。尚、駆動源9は、電動モータと該モータにより駆動されるワイヤ91a用の駆動プーリとで構成される。両ワイヤ91a,91aは、第1リンク部4の第2関節部5の近傍部分に形成したフランジ43と駆動源9との間に配設した2本のガイドチューブ91b,91bに挿通されている。また、第2リンク部6に第2関節部5の軸51と同軸上のプーリ52を固定し、このプーリ52に2本のワイヤ91a,91aを互いに逆方向から巻きつけ、各ワイヤ91aの端末をプーリ52に固定している。かくして、駆動源9によるワイヤ91a,91aの繰り出しと引き込みとにより、プーリ52が回転され、この回転で第2リンク部6が第1リンク部4に対し第2関節部5の軸51を中心にして揺動し、脚リンク2L,2Rが屈伸される。尚、図示しないが、プーリ52の側面に円弧状の溝を形成すると共に、第1リンク部4にこの溝に係合する突起部を形成し、第1リンク部4に対する第2リンク部6の揺動ストロークを所定範囲に規制している。
第3関節部7は、図6に示す如く、第2リンク部6の下端に、2軸の力センサ10を介して連結されるヨーク71と、ヨーク71の下端部に横設した軸72に回転自在に且つ軸方向に傾動自在に連結した可動子73とから成るフリージョイントで構成される。ここで、上記した体重免荷アシスト力は、横方向から見て、第1関節部3における脚リンク2L,2Rの前後方向の揺動支点3aと第3関節部7とを結ぶ上記基準線L2上に作用する。そして、基準線L2上に作用する実際の体重免荷アシスト力(正確には体重免荷アシスト力と着座部材1及び各脚リンク2L,2Rの重量による力との合力)を力センサ10で検出される2軸方向の力の検出値に基づいて算出している。
足平装着部8は、靴81と、靴81に組み込まれた図6に示す高剛性の鐙状連結リング82とを備えている。連結リング82の上面にはカラー83が立設され、このカラー83に第3関節部7の可動子73の下端が連結されている。また、図2に示すように、連結リング82の下辺部には靴81の中敷となる弾性板84が載っており、弾性板84の下面に、利用者の足平の中趾節関節(MP関節)部分と踵部分とに作用する荷重を検出する前後一対の圧力センサ85,85が取付けられている。そして、各足平装着部8の両圧力センサ85,85の検出値に基づいて、利用者の両足平に作用する全荷重に対する各足平の作用荷重の割合を算出し、予め設定される体重免荷アシスト力の設定値に各足平の荷重割合を乗算した値を各脚リンクで発生すべき体重免荷アシスト力の制御目標値とし、上記力センサ10の検出値に基づいて算出される実際の体重免荷アシスト力が制御目標値になるように駆動源9を制御している。尚、片脚支持状態では、支持脚側の脚リンクのみで設定値の体重免荷アシスト力を発生させる。この場合、遊脚側の脚リンクの駆動源の駆動を停止して、第2関節部5を自由回転状態にしても良いが、遊脚側の脚リンクに駆動源により屈曲方向の力を加え、遊脚の足平の持ち上げをアシストすることも可能である。
ところで、体重免荷アシスト力は、前方から見て、第1関節部3の横方向の揺動支点たる支軸35と第3関節部7とを結ぶ線上に作用する。そのため、支軸35と第3関節部7との間の横方向距離が長くなると、体重免荷アシスト力の横方向成分が大きくなり、足平装着部8及び着座部材1に作用する横力が増加する。そこで、本実施形態では、図3に示す如く、第3関節部7が足平装着部8の横幅中央より横方向内方に位置するように、連結リング82の上面のカラー83を横方向内側にずらして配置している。これによれば、支軸35と第3関節部7との間の横方向距離が短くなり、足平装着部8及び着座部材1に作用する横力が小さくなって、足平装着部8と着座部材1の安定性が向上する。
以上の如く着座部材1の安定化のための種々の工夫を施しているが、本実施形態では、着座部材1そのものにも工夫を施している。以下、これについて詳述する。着座部材1は、図7(a)に示す如く、前後方向中間に後部1aと前部1bに比し横幅を狭めたくびれ部1cを有する形状に形成されている。また、前部1bは、上方に湾曲し(図2参照)、且つ、横方向中間部が切欠かれた二股形状に形成されている。利用者は左右の脚をくびれ部1cの横方向両側に位置させて着座部材1に着座する。これによれば、幅広の後部1aと前部1bとにより利用者に対する着座部材1の前後方向の位置ずれを抑制でき、且つ、前部1bが上方に湾曲しているため、歩行時に前方に振り出される脚が前部1bに当りにくくなり、歩行時の脚の動きの自由度が確保される。更に、前部1bを二股形状に形成することで、前部1bが横方向に撓み易くなる。そのため、前方に振り出される脚が前部1bに当接しても、この当接力を前部1bの撓みで吸収し、脚の当接で着座部材1がヨーイングすることを抑制できる。また、利用者の股間部等が前部1bに当たらなくなり、座り心地が良くなる。後部1aは、利用者の左右の坐骨を受けるのに十分な横幅を持っている。そのため、利用者に対し坐骨接触により体重免荷アシスト力を確実に伝達することができる。
尚、着座部材1は、カーボンファイバー等で形成される芯材101と、芯材101の上面に取付けたクッション材102と、これら芯材101とクッション材102とを覆うカバー103とで構成されている。芯材101には、図7(b)に示す如く、生体組織の圧迫を避けるために、前後方向にのびる横方向中央の窪み104が形成されており、窪み104の両側にクッション材102を取付けている。また、芯材101の周縁部の肉厚を薄くし、側方からの脚の当接力を柔軟に吸収できるようにしている。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、第2関節部5と同軸上に駆動源9を設け、張出し部42にバッテリ等の重量物をウェイト部材として搭載することも可能である。また、各脚リンクは、利用者の直立状態において、基準線の後方に第2関節部が張り出す屈曲状態になっていても良く、この場合は、各脚リンクに基準線の前方に張り出す張出し部を設けて、これに駆動源やバッテリ等をウェイト部材として搭載する。また、上記実施形態では、第1関節部3を円弧状の案内軌道32を有するものに構成して、第1関節部3における各脚リンク2L,2Rの前後方向の揺動支点3aが着座部材1の上方に位置するようにしているが、各脚リンク2L,2Rの上端部を前後方向に揺動自在に軸支する横方向の軸を有する単純な構造の関節部で第1関節部3を構成することも可能である。更に、荷重伝達部を従来例のような腰支持ベルトで構成することも可能である。また、片方の脚が骨折等で不自由な利用者の歩行を補助するため、上記実施形態の左右の脚リンク2L,2Rのうち利用者の不自由な脚側の脚リンクのみを残して他方の脚リンクを省略することも可能である。
本発明の実施形態の歩行補助装置の斜視図。 実施形態の歩行補助装置の側面図。 実施形態の歩行補助装置の正面図。 実施形態の歩行補助装置の第1関節部の部分の斜視図。 実施形態の歩行補助装置の第1関節部の部分の側面図。 実施形態の歩行補助装置の脚リンクの下端部分の斜視図。 (a)実施形態の歩行補助装置の着座部材の斜視図、(b)着座部材の芯材の斜視図。
符号の説明
1…着座部材(荷重伝達部)、2L,2R…脚リンク、3…第1関節部、4…第1リンク部、42…張出し部、5…第2関節部、7…第3関節部、8…足平装着部、9…駆動源、91…駆動力伝達手段、91a…ワイヤ。

Claims (5)

  1. 荷重伝達部と、この荷重伝達部に第1関節部を介して前後方向に揺動自在に連結される脚リンクとを備え、利用者の体重の少なくとも一部を荷重伝達部を介して脚リンクで支えるようにした歩行補助装置であって、
    前記脚リンクは、上下方向中間に第2関節部を有する屈伸自在なリンクで構成され、前記脚リンクの下端に、利用者の足平に装着される足平装着部が第3関節部を介して連結され、且つ、前記第1関節部における前記脚リンクの前後方向の揺動支点と前記第3関節部とを結ぶ線を基準線として、前記脚リンクは、利用者の直立状態においても、前記第2関節部が基準線の前方または後方に張り出す屈曲状態になるような長さに形成されるものにおいて、
    前記脚リンクに、前記基準線に対し前記第2関節部とは前後方向反対側に張り出す張出し部が設けられ、該張出し部にウェイト部材が搭載されることを特徴とする歩行補助装置。
  2. 前記第2関節部は前記基準線の前方に張出し、前記張出し部は前記基準線の後方に張り出すことを特徴とする請求項1記載の歩行補助装置。
  3. 前記張出し部は、前記第1関節部の近傍に設けられることを特徴とする請求項1または2記載の歩行補助装置。
  4. 前記ウェイト部材は、前記第2関節部用の駆動源で構成され、この駆動源により発生する駆動力が駆動力伝達手段を介して前記第2関節部に伝達されるようにしたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の歩行補助装置。
  5. 前記駆動力伝達手段は、前記第2関節部と前記駆動源とを結ぶワイヤを用いたワイヤ式伝達機構で構成されることを特徴とする請求項4記載の歩行補助装置。
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