JP2007028950A - ピロリン−5−カルボン酸合成酵素(p5cs)をマーカーとした大腸癌の検出方法 - Google Patents

ピロリン−5−カルボン酸合成酵素(p5cs)をマーカーとした大腸癌の検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】発癌過程で発現が増加する蛋白質である、ピロリン-5-カルボン酸合成酵素(以下P5CSと表記する)を特異的に認識する抗体を産生するハイブリドーマ、該ハイブリドーマが産生する抗P5CS特異的モノクローナル抗体および該抗体を利用するP5CSの免疫化学的検出方法を提供する。
【解決手段】P5CSの65-76番目のアミノ酸配列と特異的に結合するモノクローナル抗体は、例えば、融合細胞クローン1B3(受託番号 FERM AP-20587)により産生される。このモノクローナル抗体1B3を検出用抗体として利用してWB、免疫沈降、ELISAなどを行なえば、検体中のP5CS蛋白質またはP5CS関連ペプチドを検出することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、P5CS特異的モノクローナル抗体、このモノクローナル抗体を産生する融合細胞、並びに、このモノクローナル抗体を用いたP5CS蛋白質及びその関連ペプチドの免疫化学的手法に基づいた検出方法に関するものである。
従来、消化器癌、特に、大腸癌、直腸癌等の一般的な診断は予備診断として便潜血検査を実施し、陽性となった患者に対して、確認検査として、注腸X線検査、大腸内視鏡検査等により癌の診断が行われている。現在、大腸癌等の予備診断として広く行われている便潜血検査は主として便中への出血の有無及び出血量等を検査するものであり、大腸癌等の癌の特異的検出法とは言えず、大腸癌等の予備診断方法としては必ずしも十分ではない。また、確認検査として行われている注腸X線検査、大腸内視鏡検査は煩わしい前処理を必要とし、且つ検査自体も患者に多大の負担をかける等の不都合を免れない。しかも、医療機関においては消化器系統の不調を訴える患者の全てにこれらの検査を実施することは現実的に不可能に近い。
ピロリン-5-カルボン酸合成酵素(P5CS、Pyrroline-5-Carboxylate Synthetase)はミトコンドリア内膜に局在し、シトルリン合成系(P5CS-OAT代謝系)の初発反応(ATP、NADPH依存的にグルタミン酸を還元し、P5Cに変換する)に関与する2機能酵素である(非特許文献1および2)。正常組織でのシトルリン合成の活性化は、小腸粘膜上皮などのような細胞増殖の活発な部位に限局しており、正常大腸ではシトルリン合成活性が殆どないが大腸癌ではOAT(Ornithine Aminotransferase)が強く発現していることが免疫化学的手法により証明されたことから、大腸癌ではP5CS-OAT代謝系の活性化が起こっていることが示唆されている。また、癌胞巣では非癌部と比較すると、OATの発現は非常に高く、p53(変異型も含む)、Ki-67(増殖因子)の発現とも相関性が確認されることから、P5CS-OAT代謝系の活性化は癌細胞の異常増殖と関連があると推定されている。ことから、P5CS-OAT代謝系の初発反応に関与するP5CSはP5CS-OAT代謝系の活性化が原因となる大腸癌を含めた多くの癌のマーカー蛋白質となりうることが示唆されている(非特許文献3)。しかしながら、大腸癌患者糞便を用いて、P5CSが排便中に存在することを見出し、P5CS蛋白質及び関連ペプチドを糞便中から検出して大腸癌との関連性を検討した報告、文献等は未だ知られていない。
AralB., et al., C. R. Acad. Sci. III, 319, 171-178, 1996 Hu C.A., et al., J. Biol. Chem., 274, 6754-6762, 1999 笠原正男ら、病理と臨床 17、臨時増刊号「病理学の挑戦・B人体病理学・4.消化管」, 265, 1999
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、P5CS蛋白質およびその関連ペプチドを特異的にかつ高親和的に認識する新たなモノクローナル抗体を提供するとともに、このモノクローナル抗体を産生する細胞、該モノクローナル抗体を用いてP5CS蛋白質およびその関連ペプチドを特異的かつ高感度で測定する免疫化学的測定方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段は、以下のとおりである。
<1> P5CS蛋白質の65-76番目のアミノ酸配列よりなるアミノ酸配列SELKHAKRIVVKを有するペプチド、または上記アミノ酸配列において1ないし数個のアミノ酸が欠失、置換または追加されたアミノ酸配列からなりかつ上記アミノ酸配列と同等の抗原活性を示すペプチドからなる抗原を免疫感作させた哺乳動物から取得される抗体産生細胞と哺乳動物骨髄腫系細胞との融合により得られる融合細胞。
<2> 前記<1>記載の融合細胞が受託番号 FERM AP-20587であることを特徴とする、融合細胞。
<3> 前記<1>または<2>の融合細胞が産生するモノクローナル抗体。
<4> P5CSタンパク質またはその関連ペプチドを認識することを特徴とする、前記<3>に記載のモノクローナル抗体。
<5> 前記<3>または<4>に記載のモノクローナル抗体を用いて、検体中のP5CS蛋白質またはその関連ペプチドを免疫化学的手法を用いて検出することを特徴とする方法。
<6> モノクローナル抗体を標識物質により標識化したことを特徴とする、前記<5>記載の方法。
<7> 標識物質が酵素またはビオチンであることを特徴とする、前記<6>記載の方法。
すなわち、本発明の第1である融合細胞としては、前記<1>記載したように、P5CSの65-76番目の12個のペプチドを免疫感作させた哺乳動物から取得される抗体産生細胞と哺乳動物由来骨髄系細胞との融合により得られることを特徴する。また、前記<2>に記載したように、融合細胞クローン1B3(受託番号 FERM AP-20587)であることが好ましい。
本発明の第2であるモノクローナル抗体としては、前記<3>に記載したように、前記<1>または<2>の融合細胞が産生することを特徴とする。また、前記<4>に記載したように、そのモノクローナル抗体がP5CSタンパク質またはその関連ペプチドを認識することを特徴とするのが望ましい。
本発明の第3であるP5CS及びその関連ペプチドの免疫化学的測定方法は前記<5>に記載したように、前記<3>または<4>記載のモノクローナル抗体を検出用抗体として用いて、検体中のP5CS及びその関連ペプチドを測定する方法である。即ち、(1)検体をSDS-PAGEを行い、PVDFメンブレンに転写後、請求項1記載のモノクローナル抗体で検出する方法(ウエスタンブロット法:WB)、(2)抗体をセファロースなどの不溶性担体に固相化後、検体と反応させた後、抗体固相化担体を遠心分離し回収し、請求項1記載のモノクローナル抗体を用いて、WBにて検出する方法(免疫沈降法:IP)、(3)検体と請求項1記載のモノクローナル抗体とを混合させた後、予め準備しておいた、請求項1に記載の、P5CSの65-76番目の12個のアミノ酸残基を含むペプチドをBSAなどのキャリアー蛋白質に結合させた抗原を96-wellマイクロタイタープレートなどの不溶性支持体に結合せしめてなるプレート中で反応させ、プレートに結合する抗体量を測定することにより、検体中に含まれるP5CS及びその関連ペプチドを検出する方法(酵素免疫測定法:ELISA)である。検出としては、免疫学的便潜血検査用ヘモグロビン検査用便採取チューブなどを用いて便を採取し、固形残渣を分離除去したものが好ましいが、細胞及び細胞抽出液、血清等を用いることも出来る。
ここで、前記<6>に記載したように、モノクローナル抗体は標識化したものが望ましい。また前記<7>に記載したように、標識物質はペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ等の酵素およびビオチンからなる群から選ばれたものが好ましい。
本発明の方法は糞便中のP5CS蛋白質及び関連ペプチドを検出するものであるため、患者に身体的負担を与えることがなく、しかも通常の便潜血検査に用いるサンプルを使用して測定を行なうことができる。
本発明の抗原であるアミノ酸配列SELKHAKRIVVK(以下「アミノ酸配列(1)」と記す。)は以下のようにして見だした。基本的なヒト由来P5CSは793又は795残基のアミノ酸からなる。P5CSのアミノ酸配列に基づいて、定法に従い、その二次構造をエピトープ解析ソフトウエアにより比較した。(1)親水性予測によって親水性の高い部位、(2)二次構造予測によってβ−ターンのある部位、(3)Flexibility予測によってフレキシブルな部位がP5CSの立体構造表面に存在しエピトープとなりうる部位であると予測し、P5CSの65-76番目のアミノ酸配列を選定した(配列番号1のアミノ酸残基)。アミノ酸配列(1)を抗原としてウサギでポリクローナル抗体を作製した。得られたウサギポリクローナル抗体中にはP5CS蛋白質を認識する抗体が含まれていることが確認できた。しかし、衆知のように、ポリクローナル抗体は免疫個体間で抗原蛋白質に対する反応性、つまり、目的蛋白質に対する抗体の中に含まれる測定系を構築するために必要となる抗体の割合に違いがある。安定的に測定系を供給していく為には、モノクローナル抗体を用いることが望ましい。哺乳類動物で抗体を作製する場合、ウサギが免疫反応誘導が起こりやすく、その理由で一般的に抗体を得たい場合にはよく使われている。しかし、抗原蛋白に対してより特異的な抗体を大量に必要になる場合にはモノクローナル抗体が必要になる。モノクローナル抗体を得るためには、抗原を免疫感作させた哺乳動物から取得される抗体産生細胞と哺乳動物骨髄腫系細胞とを細胞融合させたのち、目的とする抗体を産生する融合細胞を選択することを特徴とする。融合細胞を作製するためには免疫に用いた動物種と同じ動物種の骨髄腫系細胞株が必要である。現在、通常に使用されている骨髄腫系細胞株はマウス、ラットなどのげっ歯類動物由来の細胞しか存在しない。そのため、モノクローナル抗体を作製することは、ウサギがよりも免疫反応誘導が起こりにくいマウス、ラットを免疫動物に用いなければならないため困難である。
このモノクローナル抗体の作製とこの抗体を用いたP5CSの検出方法について以下に説明する。
A.抗原
アミノ酸配列(1)を有するペプチドを固相法または液相法により合成し、続いて得た粗精製物を逆相クロマトグラフィーにより95%以上の純度に精製し、免疫原として使用した。当該ペプチドは比較的低分子であるため、このものをそのまま免疫しても抗体ができにくい。そこでアミノ酸配列(1)はC末端側に人為的にシステイン残基を導入し、システイン残基に存在しているSH基を介して、m-maleimide-benzoyl-N-hydoroxysuccinimide(MBS)を用いてキャリアー蛋白質と結合させることにより免疫原として使用する。N末端側のアミノ基を1-ethyl-3-(3-dimethylaminoprppyl)carbodiimide hydrochloride(EDC)を用いてキャリアー蛋白質と結合させることにより免疫原として使用することも可能である。EDCを用いる場合は、リジン残基のようにアミノ基が存在するアミノ酸が抗原ペプチド内に存在する場合は注意を要する。キャリアー蛋白質はKeyhole Limpet Hemocyanin (KLH)を用いたが、アルブミン、サイログロブリンを用いることもできる。
B.上記抗原による免疫
免疫動物としては哺乳動物であるマウスのほかラット、ハムスターなども用いることができる。通常マウスが最も汎用され、BALB/cマウス、その他の系統のマウス(BDF1、C3Hなど)を用いることができる。この際、免疫計画及び抗原の濃度は十分な量の抗原刺激を受けたリンパ球が形成されるよう選ばれるべきである。例えば抗原はフロイント完全アジュバントまたはフロイント不完全アジュバントと共に混合しエマルジョンとする。マウス1匹にペプチド量として25μgの抗原を複数回皮下、皮内または腹腔に免疫する。該マウスの血液を採取して常法に従い血液中に抗体が産生されていることを確認した後、さらにPBSなどで溶解した25μgの抗原を静脈に投与する。最終免疫の数日後に融合のための脾臓細胞を取り出す。
C.細胞融合
上記のごとく免疫した哺乳動物の個体から脾臓を無菌的に取り出し、そこから単細胞懸濁液を調製する。この脾臓細胞(抗体産生細胞)を適当な細胞株として確立されている骨髄腫細胞と適当な細胞融合促進剤の使用により細胞融合させる。骨髄腫細胞としては免疫動物と同種の哺乳動物に由来するものが望ましいが、ラット、ハムスター等の脾臓細胞とマウス骨髄腫細胞とを融合させることもできる。抗体産生細胞としてはフットパッドに免疫することにより抗原刺激を行ったリンパ節細胞を用いることもできる。抗体産生細胞と骨髄腫細胞の好ましい融合比率は約20:1〜約2:1の範囲である。約108個の抗体産生細胞について0.5〜1.5mLの融合媒体の使用が適当である。好ましい融合促進剤としては、例えば平均分子量1000〜6000のポリエチレングリコールを有利に使用できるが、この分野で知られている他の融合促進剤(例えばセンダイウイルス)を用いることもできる。また、これら融合促進剤を用いた方法以外に電気ショックを用いる方法により細胞融合を行ってもよい。
D.目的とするモノクローナル抗体を産生する融合細胞の選択
細胞融合処理を行った細胞は未融合の抗体産生細胞、未融合の骨髄腫細胞及び融合した細胞(抗体産生細胞と骨髄腫細胞の融合細胞、抗体産生細胞と抗体産生細胞の融合細胞、骨髄腫細胞と骨髄腫細胞の融合細胞)が混合した状態である。混合細胞は別の容器(例えばマイクロタイタープレート)で骨髄腫細胞を支持しない選択培地で希釈し、骨髄腫細胞を死滅させるのに十分な時間(約2週間)培養する。選択培地としては、例えばHAT培地が使用できる。この選択培地中では骨髄腫細胞は死滅する。抗体産生細胞は非腫瘍性細胞なので不死化されていない。そのため、ある一定期間経過(約1週間)すると死滅する。これに対して抗体産生細胞と骨髄腫細胞の融合細胞は親骨髄腫細胞の不死性と親抗体産生細胞の選択培地での生存性の性格を合せ持つため、選択培地中で生存できる。かくして、融合細胞が検出された後、前記アミノ酸配列(1)を有するペプチドに対する抗体について酵素免疫測定法(ELISA)によりスクリーニングを行い、免疫原と特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する融合細胞だけを選択する。目的とするモノクローナル抗体が蛋白質であり、免疫原が合成ペプチドなどの目的とする蛋白質の一部からなる物質であった場合は、さらに、目的とする蛋白質と特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する融合細胞選択する。このような融合細胞として、例えば融合細胞クローン1B3(受託番号 FERM AP-20587)が挙げられる。
E.目的とするモノクローナル抗体の取得
目的とするモノクローナル抗体を産生する融合細胞を適当な方法(例えば限界希釈法)でクローン化した後、抗体は2つの異なった方法で産生することができる。その第一の方法によれば、融合細胞を一定期間、適当な培地で培養することにより、その培養上清からその融合細胞の産生するモノクローナル抗体を得ることができる。第二の方法によれば、融合細胞は同質遺伝子、または半同質遺伝子を持つ免疫動物の腹腔内に投与し増殖させることができる。融合細胞を腹腔内に投与後一定期間の宿主の腹水中より、その融合細胞の産生するモノクローナル抗体を得ることができる。通常、効率的に腹水を得るため、融合細胞を腹腔内に投与する前に、予め腹腔にプリステンなどを投与することが行われる。
F.P5CSの免疫化学的測定方法
本発明の免疫学的測定方法は、前記モノクローナル抗体を検出用抗体として用いる公知のイムノブロット法で行なうことができる。検査試料をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動後、PVDFメンブレンなどに固定化する。次いでメンブレンと検出用抗体であるモノクローナル抗体1B3との非特異的結合を避けるために適当な物質(例えばスキムミルク)でメンブレンの表面を被覆する。このようにして得られた検査試料が固定化されたメンブレンを、モノクローナル抗体1B3(第1抗体)と反応させる。かくして検査試料のP5CSタンパク質と第1抗体が結合する。次いで適当な洗浄剤で洗った後、適当な標識物質(例えば酵素)で標識化した抗マウスIgG抗体(第2抗体)と反応させる。これを適当な洗浄剤で洗い、次いで不溶性担体上に結合した第2抗体(標識化抗体)の標識物質を測定する。
また、本発明の免疫学的測定方法は、一段法でも行なうこともできる。すなわち、第1抗体として、酵素標識を行った抗体を準備する。次いで、検査試料が固定化されたメンブレンと接触反応させ、そして第1抗体の標識物質の量を測定することにより行なうことができる。標識化抗体の標識物質としては、酵素、蛍光物質、発光物質および放射性物質等を使用するのが有利である。酵素としては、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、蛍光物質としてはフルオレッセインイソチオシアネート、フイコビリプロテイン等、発光物質としてはイソルシノール、ルシゲニン等、そして放射性物質としては125I、131I、14C、3H等を用いることができるが、これらは例示したものに限らず、免疫学的測定法に使用し得るものであれば、他のものでも使用できる。
標識物質が酵素である場合には、その活性を測定するために基質、必要により発色剤が用いられる。酵素としてペルオキシダーゼを用いる場合には、基質としてH2O2を用い、発色剤として3,3’-diaminobenzidine (DAB)等、酵素にアルカリフォスファターゼを用いる場合は基質として5-bromo-4-chloro-3-indolyl phosphate (BCIP)等を用いることができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の技術的範囲を限定するためのものではなく、要旨を変更しない限り適当に変形して実施することができ、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもなく、均等の範囲にまで及ぶものである。当業者は本明細書の記載に基づいて容易に本発明に修飾・変更を加えることができ、それらも本発明の技術的範囲に含まれる。なお、以下の実施例において、特に記載がない限り、アミノ酸残基の立体構造はL体である。
ヒト組織及び培養細胞でのP5CS、OATのmRNA量の確認
大腸癌でP5CS-OAT代謝系活性の亢進が起こっているか否かをP5CS、OATのmRNA量で確認した結果を図1に示す。培養細胞、組織とも正常に比べ大腸癌で有意にmRNA量が増加していた。さらに、OATに比較してP5CSの方がmRNA量の増加が大きいことから、大腸癌マーカーとしてP5CSの方がOATより有効である可能性が示唆された。
抗原
次のアミノ酸配列を有するペプチドを合成し免疫原および抗体価確認用抗原として使用した。
(1) H-SELKHAKRIVVKC-OH
当該ペプチドは比較的低分子であるため、このものをそのまま免疫しても抗体ができにくい。そこでアミノ酸配列(1)はC末端側に人為的に導入したシステイン残基をm-maleimide-benzoyl-N-hydoroxysuccinimide(MBS)を用いてキャリアー蛋白質と結合させることにより免疫原として使用する。キャリアー蛋白質はKeyhole Limpet Hemocyanin (KLH)を用いたが、アルブミン、サイログロブリンを用いることもできる。
マウスの免疫
免疫動物としてBALB/cマウスを用いた。この際、上記実施例1記載の抗原をフロイント完全アジュバントまたはフロイント不完全アジュバントと共に混合しエマルジョンとし、マウス1匹にペプチド量として25μgの抗原を複数回皮下、皮内または腹腔に免疫した。該マウスの血液を採取して常法に従い血液中に抗体が産生されていることを確認した後、さらにPBSなどで溶解した25μgの抗原を静脈に投与し、最終免疫の数日後に融合のための脾臓細胞を取り出した。
細胞融合及び目的とするモノクローナル抗体を産生する融合細胞の選択と取得
上記のごとく脾臓細胞懸濁液を調製し、マウス骨髄腫細胞とを、平均分子量1000〜6000のポリエチレングリコールを用い融合した。抗体産生細胞と骨髄腫細胞の融合比率は約20:1〜約2:1の範囲で行った。混合細胞はマイクロタイタープレートで骨髄腫細胞を支持しない選択培地HAT培地で希釈し、骨髄腫細胞を死滅させるのに十分な時間(約2週間)培養し、融合細胞を得た。得られた融合細胞において、前記アミノ酸配列(1)を有するペプチドに対する抗体についてエンザイムイムノアッセイによりスクリーニングを行い、免疫原と特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する融合細胞だけを選択した。このようにして、融合細胞として、クローン1B3(受託番号 FERM AP-20587)が得られた。目的とするモノクローナル抗体を産生する融合細胞を限界希釈法でクローン化した後、融合細胞をマウスの腹腔内に投与し、一定期間の宿主の腹水中より、その融合細胞の産生するモノクローナル抗体を得た。なお、効率的に腹水を得るため、融合細胞を腹腔内に投与する前に、予め腹腔にプリステンを投与した。
モノクローナル抗体の特異性の確認
実施例4で得られた融合細胞クローンから産生されたモノクローナル抗体は合成ペプチドを免原として得られたモノクローナル抗体である。そこで、P5CS蛋白に対する反応性を以下に示した2種類の方法で確認した。
(1)大腸癌細胞を用いたWBによる反応性の確認
実施例4で得られた融合細胞クローン1B3(受託番号 FERM AP-20587)から産生されたモノクローナル抗体について、WBによりP5CS蛋白に対する反応性の確認をした結果を図2に示す。WBは定法に従い、大腸癌由来株化細胞(WiDr)及び正常人白血球細胞(WBC)をLysis Bufferに懸濁し、ソニケーション処理後、可溶性画分を回収した(12,000×g sup)。可溶性画分は蛋白定量後、SDS-PAGE用サンプル処理液で処理した後、1レーン当り(1)10μg、(2)7.5μg、(3)5μg、(4)2.5μgでSDS-PAGEを行い、PVDFメンブレンに蛋白を転写した。モノクローナル抗体1B3はビオチン化した後、1μg/mLの濃度で反応させた。さらに、ストレプトアビジン-HRPを反応させた後、ECL免疫化学発光試薬(アマシャムバイオサイエンス社)にて検出した。モノクローナル抗体1B3は細胞中のP5CS (75kDa)及び関連ペプチド(25kDa)を認識する抗体であり、P5CS (75kDa)及び関連ペプチド(25kDa)はWBCに比べWiDrで発現量が多いことが明らかとなった。
(2)免疫組織染色によるによるP5CSに対する反応性の確認
次に、大腸癌患者から摘出した中分化腺癌組織(A、B、C)を用いた免疫染色によりP5CSに対する反応性を確認した結果を図3に示す。組織切片は脱パラフィン後0.3%過酸化水素加メタノールにて内因性ペルオキシダ−ゼをブロック、0.1% TritonX-100にて膜の可溶化を行った。免疫染色はモノクローナル抗体1B3 (10ng/mL)を用いたAvidin-biotin complex法で実施した。何れの組織とも周囲の正常組織が染色されていないのに対して、中分化腺癌組織では染色されていた。モノクローナル抗体1B3は組織中のP5CS及び関連ペプチドを認識する抗体であり、P5CS及び関連ペプチドは正常組織に比べ癌化した組織で発現量が多いことが明らかとなった。
モノクローナル抗体を検出用抗体として用いるWBでのP5CSの測定方法の構築
大腸癌モデルマウス及び大腸がん患者糞便(250mg)をLysis Bufferを用い溶解し、10分間遠心分離(12,000×g)後、その上清をSDSサンプルバッファーと等量混和した。10%ポリアクリルアミドゲルを用いてSDS-PAGEを行った後に、ウェスタンブロッティングによりPVDF膜に転写した。転写後、P5CSのN末端ペプチドに対するモノクローナル抗体を反応させ、二次抗体にはHRP標識抗マウスIgG抗体を用いて免疫化学発光にて検出を行った。発光検出試薬として、ECL plus ウェスタンブロッティング検出試薬を用い、写真データ撮影及び解析は、ルミノイメージアナライザーLAS-1000(富士フィルム株式会社)を用いて行った。
(1)1,2-ジメチルヒドラジン-デキストランナトリウム塩誘発大腸癌モデルマウスでの検討結果
マウスに薬剤(1,2-ジメチルヒドラジン-デキストランナトリウム塩)投与後の体重変化と糞便中のP5CS量を経時的に測定した結果を図4に示した。体重はコントロール群に比較して薬剤投薬群では増加量は低くいが、両群とも18週までは体重の増加が認められた。しかし、20週目で薬剤投与群で体重の減少が認められた(図4左)。糞便中のP5CS量はコントロール群では増加が認められなかったが、薬剤投与群では投与後2週目から増加が認められた(図4右)。癌の発症の有無を確認するため投与後、24週目で開腹し確認したところ、コントロール群では癌の発症が認められなかったのに対し、薬剤投薬群では全てのマウスの大腸に癌が発症していた。この結果は、大腸癌発症の時間経過に伴い糞便中のP5CS量が増加することを示すものであり、糞便中の測定は大腸癌の早期発見のための有効なマーカーとなりうることを示唆するものである。
(2)患者検体での検討結果
大腸癌患者6例及び健常人5例の糞便を用いてP5CS量を測定した結果を図5に示した。尚、アミノ酸配列(1)を有する合成ペプチドをBSAに結合させた複合体を標準物質として用い、本複合体(1ng)を試料とは別のレーンで同時にSDS-PAGE、転写を行い、試料の蛍光強度を標準物質の蛍光強度で除した数字を測定値とした。健常者の測定値+SDを正常値域として、癌患者の測定値と比較したところ今回測定した癌患者6例全てが正常値域よりも有意に高い値を示した。この結果は大腸癌患者糞便中において、本測定系で測定できるP5CS及び関連ペプチドが上昇している検体があることを示唆すると共に、大腸癌の診断に本測定法が有効であることを示唆するものである。
本発明は、内視鏡検査実施前に行なう二次スクリーニング検査として有効であり、大腸癌の早期発見に貢献できる。
ヒト組織及び培養細胞中のOAT、P5CSのmRNA量を確認した図を示す。 モノクローナル抗体(1B3)のP5CS蛋白質に対する反応性をWB法で確認した図を示す。 モノクローナル抗体(1B3)のP5CS蛋白質に対する反応性を組織染色で確認した図を示す。 大腸癌モデルマウスと正常マウスの糞便中のP5CSを経時的に測定した結果を表すグラフを示す。左;体重変化、右;糞便中のP5CS量 大腸癌患者と正常人の糞便中のP5CSを測定した結果を表すグラフを示す。

Claims (7)

  1. P5CS蛋白質の65-76番目のアミノ酸配列よりなるアミノ酸配列SELKHAKRIVVKを有するペプチド、または上記アミノ酸配列において1ないし数個のアミノ酸が欠失、置換または追加されたアミノ酸配列からなりかつ上記アミノ酸配列と同等の抗原活性を示すペプチドからなる抗原を免疫感作させた哺乳動物から取得される抗体産生細胞と哺乳動物骨髄腫系細胞との融合により得られる融合細胞。
  2. 請求項1記載の融合細胞が受託番号 FERM AP-20587であることを特徴とする、融合細胞。
  3. 請求項1または2の融合細胞が産生するモノクローナル抗体。
  4. P5CSタンパク質またはその関連ペプチドを認識することを特徴とする、請求項3に記載のモノクローナル抗体。
  5. 請求項3または4に記載のモノクローナル抗体を用いて、検体中のP5CS蛋白質またはその関連ペプチドを免疫化学的手法を用いて検出することを特徴とする方法。
  6. モノクローナル抗体を標識物質により標識化したことを特徴とする、請求項5記載の方法。
  7. 標識物質が酵素またはビオチンであることを特徴とする、請求項6記載の方法。
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