JP2007028845A - モータの冷却装置および冷却方法。 - Google Patents

モータの冷却装置および冷却方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】 冷媒を自己循環させて冷却システムの小型化および軽量化を達成でき、かつ、循環する冷媒の戻り圧を更に高めて冷媒の循環効率を向上することにより冷却効果を更に向上できるモータの冷却装置の提供を図る。
【解決手段】 モータ1の発熱部に設けられて冷媒を流通する冷却流路21よりも鉛直上方にリザーバタンク22を配置して重力で冷媒を冷却流路21に供給し、冷却流路21から排出される気相状態の冷媒を冷媒戻し流路23に配置したコンデンサ24によって液相化し、その液相冷媒を冷却流路21内で気相化した冷媒圧でリザーバタンク22に押し出すことにより、冷媒を自己循環させて冷却システムの小型化を達成するとともに、モータインバータ10に供給した冷媒の膨張圧で冷却流路21の排出圧を更に加圧することにより、冷媒の循環効率を向上して冷却流路21のドライアウト現象を防止して冷却効果を更に向上する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、モータの冷却装置および冷却方法に関する。
電気自動車の駆動方式の1つとして、タイヤホイールの中にモータを挿入したインホイールドライブ方式が提案されており、このインホイールドライブ方式は車室内の有効利用空間が拡大することや各輪独立駆動による従来の自動車と異なる運転感覚が得られるという特徴がある。
このようなドライブシステムを実現するにはモータの小型化が必須であるが、モータ体積を小さくすると損失により発生する熱を放熱する面積も減るため、温度の上昇が顕著になり、ひいては、モータの冷却が大きな問題となる。
そのモータの冷却には液冷方式や空冷方式等が知られるが、液冷方式では高い冷却効率が期待できるが、タイヤホイールに取り付けられたモータに冷媒液を循環するためのポンプなどの循環装置や配管部品が必要となり、この場合、一般的にはフロントグリル近傍に冷媒液の熱交換器を設けて、この熱交換器とモータとを長い配管で繋ぐことになり、冷却システム全体が大型化してしまう。
一方、密閉型電動圧縮機で、モータハウジングの外壁に給湯用の水を流通させるチューブを巻き付け、吸入冷媒をモータハウジング内に流通させるようにしたものがあり、この場合、冷媒を循環させるためのポンプを一体に組み付けてある(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−12352号公報(第3頁、第2図)
しかしながら、かかる従来の密閉型電動圧縮機では冷媒を循環させるポンプを一体に組み付けた場合にも、その冷媒を冷却するための給湯用チューブ内の水は外部動力で循環させる必要があり、この場合にあっても冷却システムが大型化してしまうとともに、前記冷媒の循環は一体に組付けたとはいえ、やはりポンプが必要となり、その電動圧縮機をモータに適用した場合にもモータの大型化が余儀なくされる。
そこで、本発明は冷媒を自己循環させて冷却システムの小型化を達成できるとともに、冷媒の循環効率を高められて冷却効果を向上できるモータの冷却装置および冷却方法を提供するものである。
本発明のモータの冷却装置は、回転軸と、この回転軸に結合されたロータと、このロータの外周を囲繞するステータと、を備えたモータにおいて、モータの発熱部に設けられて所定温度で液相から気相に変化する冷媒を流通させる冷却流路と、前記冷却流路よりも鉛直上方に配置されてその冷却流路に前記冷媒を逆流阻止しつつ供給するリザーバタンクと、前記冷却流路から排出される冷媒を前記リザーバタンクに戻す冷媒戻し流路に配置され、前記冷却流路で気相化した冷媒を液相化する排熱機構と、前記冷却流路から前記リザーバタンクに至る冷媒戻し流路に、前記冷却流路の排出圧を更に加圧する加圧手段と、を設けたことを最も主要な特徴とする。
また、本発明のモータの冷却方法は、モータの発熱部に設けた冷却流路に所定温度で液相から気相に変化する冷媒を流通させてその発熱部を冷却し、前記冷却流路から排出される気相化した冷媒を排熱機構で液相化してリザーバタンクに戻すとともに、該リザーバタンクを前記冷却流路よりも鉛直上方に配置することにより冷媒を自己循環させる一方、前記冷却流路の排出圧を更に加圧して、前記排熱機構で液相化した冷媒をリザーバタンクに押し出す圧力をより高めることを特徴とする。
本発明のモータの冷却装置および冷却方法によれば、鉛直上方に配置したリザーバタンクから冷媒が重力によって冷却流路に供給され、この冷却流路を通過する間に液相の冷媒はモータ内部の発熱部で気相化し、この気相化した冷媒でステータやロータを効率良く冷却することができる。
また、前記冷却流路で気相化した冷媒を前記リザーバタンクに戻す際に、冷媒戻し流路に配置した排熱機構によって液相化されるようになっており、このとき、排熱機構で液相化された冷媒は、前記冷却流路で気相化されて膨張した冷媒圧によって押し出されるため、その液相化した冷媒をリザーバタンクに圧送して戻すことができる。
従って、鉛直上方に配置した前記リザーバタンクから冷媒を自重で冷却流路に供給できることと相俟って、冷媒を自己循環させることが可能となり、冷媒の循環経路にポンプ等の冷媒移動装置を設ける必要が無くなるため冷却装置のコンパクト化および軽量化を図ることができる。
また、前記冷媒戻し流路に加圧手段を設けて前記冷却流路の排出圧を更に加圧するようにしたので、前記排熱機構によって液相化した冷媒をより大きな圧力でリザーバタンクに押し戻すことができるため、冷媒の循環効率をより高めることができ、ひいてはモータの冷却効率を高めることができる。
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
図1〜図6は本発明にかかるモータの冷却装置の第1実施形態を示し、図1は本発明が適用されるモータの取付状態を示すサスペンション装置の斜視図であり、図2は冷却装置を組み付けたモータの断面図、図3は冷却装置の冷媒循環経路を示す全体構成図、図4は図2中A−A線に沿った断面図である。
また、図5はモータインバータの拡大斜視図、図6は図5中B−B線に沿った拡大断面図である。
本発明の冷却装置20が適用されるモータ1は、例えば図1に示すようにインホイールドライブ方式の電気自動車に適用され、モータ1をタイヤホイールWの裏側に形成される中心凹部Wh内に挿入した状態で車体側に取り付け、該モータ1の回転軸でタイヤホイールWを直接駆動するようになっている。
前記タイヤホイールWは、アッパリンクL1,ロアリンクL2およびショックアブソーバSaを備えたダブルウイッシュボーン方式のサスペンション装置Sによって車体に支持されているが、特にサスペンション装置Sはこのダブルウイッシュボーン方式に限定するものではない。
前記モータ1は、図2,図4に示すように回転軸2と、この回転軸2に結合したロータ3と、このロータ3の外周を囲繞するステータ4と、を備え、これら回転軸2、ロータ3、ステータ4はハウジング5内に収納される。
回転軸2はロータ3と一体となって、両端部がハウジング5の両端のエンドプレート5e1,5e2に軸受6を介して回転自在に支持されるとともに、ロータ3の周縁部内方には回転軸2の軸方向に沿って周方向に等間隔をもって複数(本実施形態では4個)のロータ磁石7が配置される。
ステータ4はハウジング5の内周に固定され、そのステータ4の内周には周方向に等間隔をもって複数(本実施形態では6本)のステータ凸極部4Sが突設され、それぞれのステータ凸極部4Sにはコイル8が巻回されている。
また、前記モータ1には図2に示すようにハウジング5の外側に、直流電力を交流電力に変換するモータインバータ10が設けられる。
前記モータインバータ10は、図5に示すように6面11a〜11fからなる直方体状の本体部分11を備え、この本体部分11の上面11cにインバータ制御用のサイリスタ素子などの複数の電子素子12が設置されることにより構成される。
前記モータ1は冷却装置20によって冷却されるようになっており、この冷却装置20は、図2,4に示すようにモータ1のコイル8や図外のバスバー等の銅損による発熱部に設けられて所定温度で液相から気相に変化する冷媒を流通させる冷却流路21と、前記冷却流路21よりも鉛直上方に配置されてその冷却流路21に前記冷媒を逆流阻止しつつ供給するリザーバタンク22と、前記冷却流路21から排出される冷媒を前記リザーバタンク22に戻す冷媒戻し流路23に配置され、前記冷却流路21で気相化した冷媒を液相化する排熱機構としてのコンデンサ24と、前記冷却流路21から前記リザーバタンク22に至る冷媒戻し流路23に、前記冷却流路21の排出圧を更に加圧する加圧手段としてのモータインバータ10と、を設けてある。
前記モータインバータ10は、図5,図6に示すように前記リザーバタンク22から冷媒を逆止弁29を介して逆流阻止しつつ導入するインバータ冷却流路13を形成してあり、該インバータ冷却流路13の冷媒排出口13outを、前記冷却流路21から前記リザーバタンク22に至る冷媒戻し流路23に連通してある。
特に、本実施形態では前記インバータ冷却流路13の冷媒排出口13outを、冷媒戻し流路23の前記コンデンサ24よりも上流側に連通するようにしている。
即ち、前記冷却流路21は、図2に示すようにステータ4の外周部分に回転軸2の軸方向に沿って形成される複数のステータ内通路21a〜21fによって構成され、それぞれのステータ内通路21a〜21fは、図4に示すように各ステータ凸極部4Sの突設部位に対応して周方向に略等間隔に6箇所形成される。
前記複数のステータ内通路21a〜21fは、図4に示すようにステータ内通路21aをステータ4の最上部位に配置して、残りのステータ内通路21b〜21fを反時計回りに順に等間隔に配置してあり、従って、ステータ内通路21dがステータ4の最下部位に配置されることになる。
ステータ内通路21a〜21fは、図2に示すようにそれらの冷媒導入側(図中右側)が、ハウジング5の一方のエンドプレート5e1内部に形成した第1環状通路5aによって連通されるとともに、冷媒排出側(図中左側)がハウジング5の他方のエンドプレート5e2内部に形成した第2環状通路5bによって連通される。
そして、前記冷却流路21よりも鉛直上方に配置した前記リザーバタンク22は上端に大気開放口22aが形成されて、該リザーバタンク22の下部側面に一端側25aが接続される第1導入流路25が設けられ、該第1導入流路25の他端側25bが逆止弁26を介して前記第1環状通路5aに接続される。
また、前記第2環状通路5bは、前記冷媒戻し流路23の一端側23aに接続されるとともに、該冷媒戻し流路23の他端側23bが前記コンデンサ24を経由した後に前記リザーバタンク22の上部側面に接続される。
コンデンサ24の下流側には逆止弁27が設けられ、冷媒がリザーバタンク22側からコンデンサ24に流入するのを阻止している。
尚、前記コンデンサ24は図中1本の直管にフィンを設けた状態で開示してあるが、必ずしも1本の直管である必要はなく、複数の直管若しくは蛇行する管であってもよい。
前記リザーバタンク22は、モータ1から分離して上方に配置されるが、本実施形態では図1に示すようにモータ1がインホイールドライブ方式として構成された際に、前記リザーバタンク22を車体後部両側の骨格部材となるリアサイドメンバに取り付けておくことができる。
前記リザーバタンク22には、その底部に一端側28aが接続される第2導入流路28が設けられ、この第2導入流路28の他端側28aが逆止弁29を介して前記インバータ冷却流路13の冷媒導入管13aに接続される。
インバータ冷却流路13は、前記モータインバータ10の本体部分11内に形成されるが、直方体状に形成された本体部分11の長手方向の一端面11aに前記冷媒導入管13aが設けられるとともに、この本体部分11の長手方向の他端面11bに冷媒排出管13bが設けられ、該冷媒排出管13bの先端が前記冷媒排出口13outとなっている。
そして、前記インバータ冷却流路13は、図6に示すように本体部分11の上下面11c,11eおよび左右側面11d,11fで囲まれた断面矩形状の通路で形成される。
このとき、前記インバータ冷却流路13は、多孔質材としてのポーラス材30で形成してある。
従って、本実施形態の冷却装置20では、リザーバタンク22内の冷媒の流れは、図3に示すように第1導入流路25(流れF1)から逆止弁26を介して第1環状通路5aに導入され、この第1環状通路5aに導入された冷媒は各ステータ内通路21a〜21fに分配されてステータ4内を流通(流れF2)する。
そして、前記ステータ内通路21a〜21fを通過した冷媒は、第2環状通路5bで合流した後に冷媒戻し流路23に排出(流れF3)され、この冷媒戻し流路23の途中に設けたコンデンサ24および逆止弁27を通過(流れF4)した後、リザーバタンク22に戻される。
また、前記リザーバタンク22内の冷媒は、第2導入流路28(流れF5)から逆止弁29を介してモータインバータ10のインバータ冷却流路13に導入され、このインバータ冷却流路13を流通(流れF6)した後に、冷媒排出口13outから前記冷媒戻し流路23の上流部分に流入(流れF7)される。
そして、このように構成された冷却装置20を用いたモータ1の冷却方法では、モータ1の発熱部に設けた冷却流路21(21a〜21f)に所定温度で液相から気相に変化する冷媒を流通させてその発熱部を冷却し、前記冷却流路21から排出される気相化した冷媒を排熱機構であるコンデンサ24で液相化してリザーバタンク22に戻すとともに、該リザーバタンク22を前記冷却流路21よりも鉛直上方に配置することにより冷媒を自己循環させる一方、前記冷却流路21の排出圧を更に加圧して、前記コンデンサ24で液相化した冷媒をリザーバタンク22に押し出す圧力をより高めるようにする。
以上の構成により本実施形態の冷却装置20およびその冷却方法によれば、鉛直上方位置に配置したリザーバタンク22内の液相状態の冷媒は、重力によって第1導入流路25から逆止弁26を介して第1環状通路5aおよびステータ内通路21a〜21fに供給され、ステータ内通路21a〜21fを通過する間に液相の冷媒はモータ1の発熱部で気化して膨張し、その気相状態となった冷媒で前記発熱部を効率良く冷却することができる。
このとき、液相から気相へと状態変化した場合、膨張圧により流路内の圧力は液相状態に比べて大きくなるが、前記逆止弁26により気相化した冷媒が第1環状通路5a方向に逆流するのが阻止される。
従って、ステータ内通路21a〜21fで気相となった冷媒は、前記逆止弁26によって第1導入流路25に逆流するのが防止されつつ、第2還流通路5bを経て冷媒戻し流路23に排出される。
すると、この排出された気相状態の冷媒は、冷媒戻し流路23の途中に設けたコンデンサ24で冷却されて液相化され、液相化状態の冷媒はコンデンサ24の下流側に設けた逆止弁27で逆流が阻止されつつ、コンデンサ24の上流側の気相状態にある冷媒の膨張圧により下流側に押し出される。
このため、コンデンサ24で液相化した冷媒はリザーバタンク22に順次圧送されて戻されるため、前述したようにリザーバタンク22から冷媒が自重でステータ内通路21a〜21fに供給されることと相俟って、冷媒を冷却装置20内で自己循環させることができるようになる。
従って、冷媒の循環経路にポンプ等の冷媒移動装置を用いる必要が無くなり、冷却装置20のコンパクト化を図ることができるとともに、ステータ内通路21a〜21fで冷媒が気化した際の気化熱をモータ1の発熱部の冷却に利用して冷却効率を向上できるとともに、ステータ内通路21a〜21f内の冷媒量を液相の状態で冷却する場合に比較して大幅に削減でき、冷却装置20全体の重量を減少することができる。
また、モータ1のコンパクト化および軽量化を達成できることにより、インホイールドライブ方式とした場合のタイヤホイールWへの組み込みを容易とし、かつ、冷却装置20の冷却効率が高まることによりモータ1の温度上昇を抑制して、高負荷状態での運転状態をより長時間維持することができる。
ところで、前記ステータ内通路21a〜21f内で液相状態の冷媒が気相化したときの膨張圧が十分でない場合は、コンデンサ24で液相化した冷媒戻し流路23内の冷媒をリザーバタンク22に押し出すための圧力が不足するため、冷媒が循環経路内で滞ってしまう。
このため、ステータ内通路21a〜21fには、第1導入流路25から液相状態の冷媒が十分に供給されなくなり、その結果、ステータ内通路21a〜21f内の温度が設計許容範囲を超えて温度上昇される、いわゆるドライアウト現象が起こってしまう。
従って、前記ドライアウト現象の発生を防止するためには、コンデンサ23やその下流側の冷媒戻し流路23内に存在する液相の冷媒を積極的にリザーバタンク22に戻してやる必要がある。
つまり、冷媒戻し流路23内の液相冷媒をリザーバタンク22に戻すことにより、ステータ内通路21a〜21f内の圧力が低下するため逆止弁26を開弁することができ、これにより第1導入流路25から液相の冷媒がステータ内通路21a〜21fに供給されるため、前記ドライアウト現象を防止できる。
ここで、前記逆止弁26の開閉状態を検討すると、図3に示すようにその逆止弁26の上流位置S1の圧力Pinは、
Pin=Pt+ρi・g・Hi …(1) となる。
ここで、Ptはリザーバタンク22内の冷媒液面に加わる圧力、ρiは上流位置S1での液相冷媒の密度、gは重力加速度、Hiは上流位置S1からリザーバタンク22の冷媒液面までの高さである。
一方、逆止弁26の下流位置S2での圧力Poutは、
Pout=Pt+ΔPls+ρo・g・Ho…(2)となる。
ここで、ρoは冷媒戻し流路23のコンデンサ24下流部での液相冷媒の密度、Hoは下流位置S2から冷媒戻し流路23がリザーバタンク22に接続する位置までの高さ、ΔPlsは流路内の抵抗圧力である。
従って、前記逆止弁26は、この抵抗を無視することにすればPin≧Pout、即ち、ρi・g・Hi≧ΔPls+ρo・g・Hoであれば逆止弁26は開弁し、Pin<Poutであれば閉弁することになる。
ここで、冷媒を水とし、上流位置S1における水温および冷媒戻し流路23の下流側の水温を50℃と仮定し、Hiを0.5m、Hoを0.6mとすれば、
ρi・g・Hi=988×9.8×0.5=4.84kPa(kN/m2
ρo・g・Ho=988×9.8×0.6=5.81kPa(kN/m2)となる。
このとき、Ptを標準大気圧(101.3kPa)とすると、
Pt+ρo・g・Ho=107.1kPa であり、水の飽和圧力が107.1kPaに対する飽和温度は約101.3℃である。実験結果によると飽和温度は約102℃であり、水の飽和蒸気表によると飽和温度102℃に対する飽和圧力は109.6kPaである。
これらの結果により、
ΔPls=109.6−107.1=2.5kPaとなり、ΔPlsはρo・g・Hoと同じオーダ値となる。
従って、本実施形態のようにコンデンサ24からリザーバタンク22に戻る冷媒戻し流路23内の液相冷媒を、外部の熱源を利用してリザーバタンク22に送り込めば、Pin≧Poutが達成でき、ドライアウト時でも逆止弁26が開くことになる。
このため、本実施形態ではモータインバータ10を利用して、このモータインバータ10に形成したインバータ冷却流路13に、リザーバタンク22から第2導入流路28を介して液相状態の冷媒を供給して、前記インバータ冷却流路13内で気相化した冷媒の圧力を用いて冷媒戻し流路23内の液相冷媒を強制的にリザーバタンク22に戻すようにしている。
即ち、前記第2導入流路28から逆止弁29を介してインバータ冷却流路13に導入された液相の冷媒には、図5,図6に示すように本体部分11の上面11cに配置した電子素子12の発熱が伝達されることにより気相化されて膨張し、その膨張圧が冷媒排出管13bから排出されて冷媒排出口13outが連通する冷媒戻し流路23の上流側に供給される。
すると、冷媒戻し流路23のコンデンサ24よりも上流側は、インバータ内通路21a〜21fの圧力に加えて前記インバータ冷却流路13内の圧力が作用するため、コンデンサ24の上流側により大きな圧力を発生させて、その大きな圧力で冷媒戻し流路23内の液相冷媒を強制的にリザーバタンク22に戻すことができる。
従って、冷媒の循環効率をより高めて前記ドライアウト現象を防止でき、ひいてはモータ1の冷却効率を高めることができるとともに、インバータ冷却流路13に冷媒を流通させることによりモータインバータ10の冷却をも行うことができる。
また、加圧手段として前記モータインバータ10を用いたので、このモータインバータ10は既存の部品であって新たに加圧手段を設ける必要がないためコストの大幅な上昇を抑えることができる。
更に、本実施形態では前記インバータ冷却流路13を、多孔質材としてのポーラス材30で形成してあるので、インバータ冷却流路13内の伝熱面積が増大するため、電子素子12で発熱する熱量をそのポーラス材30を通過する冷媒に伝達し易くなる。
更にまた、前記ポーラス材30を通過する冷媒の流通抵抗が大きくなるため、インバータ冷却流路13内の圧力は前記ステータ内通路21a〜21f内の圧力よりも高くなり、より大きな圧力を発生させることが可能となり、冷媒戻し流路23のコンデンサ24よりも上流側の圧力をより大きくして、冷媒戻し流路23内の液相冷媒をより確実にリザーバタンク22に戻すことができる。
図7〜図9は本発明の第2実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図7は冷却装置の冷媒循環経路を示す全体構成図、図8はモータインバータの拡大斜視図、図9は図8中C−C線に沿った拡大断面図である。
本実施形態の冷却装置20Aは、基本的に第1実施形態の冷却装置20と同様の構成となり、モータインバータ10を利用して加圧手段を構成し、このモータインバータ10に形成したインバータ冷却流路13に、リザーバタンク22から第2導入流路28を介して液相状態の冷媒を供給して、前記インバータ冷却流路13内で気相化した冷媒の圧力を用いて冷媒戻し流路23内の上流側の圧力を高めるようにしている。
ここで、本実施形態では前記モータインバータ10内に、前記インバータ冷却流路13に近接して冷媒を流通させる2つの第1・第2副冷却流路14,15を設けている。
即ち、前記モータインバータ10は、図8に示すように第1実施形態と同様に6面11a〜11fからなる直方体状の本体部分11の上面11cに、インバータ制御用の電子素子12が複数設置されており、前記第1・第2副冷却流路14,15は、図9に示すように前記インバータ冷却流路13の両側にそれぞれ隔壁16a,16bで仕切られた状態で配置される。
また、前記第1・第2副冷却流路14,15にあってもインバータ冷却流路13と同様に断面矩形状の通路として形成されるが、それら副冷却流路14,15は中空状に形成される。
そして、前記インバータ冷却流路13は、図7に示すように第1実施形態と同様に冷媒導入管13aに第2導入流路28を接続してあるとともに、冷媒排出管13b先端の冷媒排出口13outを冷媒戻し流路23のコンデンサ24よりも上流側に連通させてあり、本実施形態にあっても前記インバータ冷却流路13をポーラス材30で形成してある。
前記第1副冷却流路14は、インバータ冷却流路13の冷媒排出管13bが配置される側(図8中左側)に冷媒導入管14aを設けてあるとともに、インバータ冷却流路13の冷媒導入管13aが配置される側(図8中右側)に冷媒排出管14bを設けてあり、また、前記第2副冷却流路15は、インバータ冷却流路13の冷媒導入管13aが配置される側(図8中右側)に冷媒導入管15aを設けてあるとともに、インバータ冷却流路13の冷媒排出管13bが配置される側(図8中左側)に冷媒排出管15bを設けてある。
そして、前記第1副冷却流路14の冷媒排出管14bと前記第2副冷却流路15の冷媒導入管15aとを、図7に示すように互いに連通してある。
一方、前記冷媒戻し流路23の逆止弁27よりも下流側を途中で分断し、その分断した上流側戻し流路23cを第1副冷却流路14の前記冷媒導入管14aに接続するとともに、分断した下流側戻し流路23dを第2副冷却流路15の前記冷媒排出管15bに接続してある。
以上の構成により本実施形態のモータの冷却装置20Aによれば、第1実施形態と同様に第2導入流路28からモータインバータ10のインバータ冷却流路13に冷媒を導入して、このインバータ冷却流路13のポーラス材30で発生した高圧冷媒を冷媒戻し流路23の上流側に供給することにより、冷媒の循環効率を高めてステータ内通路21a〜21fのドライアウト現象を防止できるようになっているが、この場合、インバータ冷却流路13内で高圧蒸気が発生するようにそのインバータ冷却流路13の径やその前後の冷媒導入・排出管13a,13bの径などを調節する必要がある。
ところが、前記インバータ冷却流路13で冷媒が気相化される条件では、複数の電子素子12の除熱性能が得られない場合があるが、本実施形態では前記モータインバータ10内に、前記インバータ冷却流路13に近接して冷媒を流通させる2つの第1・第2副冷却流路14,15を設けて、一方の第1副冷却流路14に冷媒戻し流路23からリザーバタンク22に戻す液相の冷媒を導入して流通させた後、その冷媒を他方の第2副冷却流路15に導入して流通させた後に前記リザーバタンク22に戻すようにしてある。
従って、このようにリザーバタンク22に戻す液相冷媒を第1・第2副冷却流路14,15に流通させることにより、モータインバータ10を冷却することができるため、ポーラス材30で形成したインバータ冷却流路13を、専ら冷媒の気相化が促進されるように構成しつつ、前記第1・第2副冷却流路14,15を流通する液相冷媒により電子素子12の除熱性能を確保することができる。
このため、モータ1の発熱部のドライアウトを避けることができるとともに、モータインバータ10の電子素子12の冷却もより広範囲な除熱性能を確保し、更に、車両の坂道走行や加速時等に車両に作用する重力以外の力が加わった場合にもドライアウトを防止できる。
図10は本発明の第3実施形態を示し、前記各実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図10は冷却装置の冷媒循環経路を示す全体構成図である。
本実施形態の冷却装置20Bは、基本的に第1実施形態の冷却装置20と同様の構成となり、冷却流路21を、図4に示したようにステータ4の外周部分に回転軸2の軸方向に沿って形成した複数のステータ内通路21a〜21fによって構成してあり、第1導入流路25から導入される冷媒をそれぞれのステータ内通路21a〜21fを流通させた後、冷媒戻し流路23へと排出するようになっている。
尚、モータインバータ10は、第2実施形態と同様にインバータ冷却流路13以外に第1・第2副冷却流路14,15を設けて、冷媒戻し流路23からリザーバタンク22に戻す液相の冷媒を第1・第2副冷却流路14,15に流通させるようになっている。
そして、本実施形態では前記複数のステータ内通路21a〜21fの冷媒通過量を、リザーバタンク22の液面からの高さ(水頭)に応じてそれぞれ略等しくする冷媒通過量均等手段31を設けている。
即ち、前記ステータ内通路21a〜21fの径Da〜Dfが等しい場合には、リザーバタンク22の液面からの位置水頭の影響により、その液面からの高さ(水頭)が高い程冷媒が流れ易くなるため、それぞれのステータ内通路21a〜21fの上下位置によってドライアウト状況に差が生ずることになる。
このため、本実施形態では前記ステータ内通路21a〜21fの径Da〜Dfを、前記リザーバタンク22の液面からの高さ(水頭)が高くなる程小さくすることによって前記冷媒通過量均等手段31を構成してある。
前記ステータ内通路21a〜21fは、図4に示したようにステータ内通路21aがステータ4の最上部位に配置され、かつ、ステータ内通路21dがステータ4の最下部位に配置されるとともに、それらステータ内通路21a,21d間の上部にステータ内通路21b,21fが配置され、かつ、ステータ内通路21a,21d間の下部にステータ内通路21c,21eが配置されている。
従って、前記ステータ内通路21a〜21fを、それぞれの径Da〜Dfが、
Da>(Db=Df)>(Dc=De)>Ddの関係となるように形成してある。
以上の構成により本実施形態の冷却装置10Bによれば、ステータ内通路21a〜21fの径Da〜Dfをリザーバタンク22の液面からの高さ(水頭)が高くなる程小さくしたので、それぞれのステータ内通路21a〜21fを流通する冷媒の通過量を略等しくすることができる。
従って、前記複数のステータ内通路21a〜21fの除熱状態を略均等にすることができるため、それぞれのドライアウト状況に差が生ずるのを防止し、ひいては、ドライアウト現象を除去するための制御を行い易くなる。
尚、本実施形態ではステータ内通路21a〜21fの径Da〜Dfを変化させることにより、それぞれの冷媒通過量を略等しくしたが、それぞれのステータ内通路21a〜21fに前述の関係を満たすオリフィスを設けることによっても目的を達成することができる。
図11,図12は本発明の第4実施形態を示し、前記各実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図11は冷却装置の冷媒循環経路を示す全体構成図、図12はインバータ冷却流路の排出側の切換えバルブの切換え状態を(a),(b)に順を追って示す説明図である。
本実施形態の冷却装置20Cは、図11に示すように基本的に第1実施形態の冷却装置20と同様の構成となり、モータインバータ10を利用して加圧手段を構成してあり、また、第2実施形態と同様に前記モータインバータ10は、インバータ冷却流路13以外に、冷媒戻し流路23からリザーバタンク22に戻す液相の冷媒を流通させる第1・第2副冷却流路14,15を設けてある。
そして、本実施形態では前記インバータ冷却流路13の冷媒排出口13outを、前記冷却流路21内の冷媒温度が所定値よりも高い場合に、前記冷媒戻し流路23のコンデンサ24よりも下流側に連通するようにしている。
即ち、本実施形態では前記インバータ冷却流路13の冷媒排出管13bを主排出管13cと副排出管13dの2経路に分岐し、主排出管13cの先端に設けた冷媒排出口13outを、第1実施形態と同様に冷媒戻し流路23のコンデンサ24よりも上流側に連通してある。
また、前記冷媒戻し流路23のコンデンサ24よりも下流側に、前記副排出管13dに接続する分岐流路23eを設け、この分岐流路23eと前記主排出管13cとを交差させて、その交差部分に、図12(a)に示す主排出管13cの連通状態と、図12(b)に示す分岐流路23eと副排出管13dとの連通状態と、をアクチュエータ32により切り換える切換えバルブ33を設けてある。
一方、冷却流路21(ステータ内通路21a)に温度センサ34を設置し、この温度センサ34の検出信号をコントローラ35に出力して前記切換えバルブ33の切換えタイミングを演算し、その結果を前記アクチュエータ32に出力して切換えバルブ33を切換え制御するようになっている。
即ち、前記切換えバルブ33は、図12(a)に示すように主排出管13cの連通状態では前記分岐流路23eを遮断し、図12(b)に示すように分岐流路23eと副排出管13dとの連通状態では主排出管13cを遮断する構造となっている。
尚、主排出管13cの連通状態では、前記各実施形態と同様にその主排出管13cの先端が冷媒排出口13outとなって、その冷媒排出口13outが冷媒戻し流路23のコンデンサ24よりも上流側に連通するとともに、分岐流路23eと副排出管13dとの連通状態では、その副排出管13dの先端が冷媒排出口13outとなって、その冷媒排出口13outが前記分岐流路23eに連通する。
そして、前記温度センサ34の検出温度Tが予め設定した値Tdよりも低いとき(T<Td)は、前記切換えバルブ33は図12(a)に示す状態となり、前記検出温度Tが予め設定した値Tdよりも高いとき(T≧Td)は、前記切換えバルブ33は図12(b)に示す状態となる。
設定温度Tdは、実験等により求められた冷却流路21内の飽和温度Tsat以上(Td≧Tsat)であり、かつ、モータ1の耐熱許容温度をTmとした場合に、Td=α・Td (α<1)とする。例えば、α=0.8とすると、T≧Tdである場合に冷却流路21がドライアウト状態であり、かつ、モータ1温度が危険温度範囲となってしまう。
以上の構成により本実施形態の冷却装置10Cによれば、T<Tdの場合は危険温度範囲以下であると判断し、前記切換えバルブ33を図12(a)の状態として主排出管13cを連通状態にすることにより、第2実施形態の冷却装置10Aと同様の構成となり、その作用効果は第2実施形態と同様となる。
一方、T≧Tdの場合は危険温度範囲内であると判断し、切換えバルブ33を図12(b)の状態として分岐流路23eと副排出管13dとを連通状態とする。
すると、インバータ冷却流路13で発生した気相の高圧冷媒が分岐流路23eから上流側戻し流路23cに供給されて、冷媒戻し流路23内の液相冷媒をリザーバタンク22に押し出す。
この場合、インバータ冷却流路13の高圧冷媒は冷媒戻し流路23のコンデンサ24下流側に供給されるので、コンデンサ24の流通抵抗を受けることなく、より低い圧力で戻し流路23内の液相冷媒をリザーバタンク22に送り出すことができる。
即ち、前記分岐流路23eが冷媒戻し流路23から分岐する位置から冷媒戻し流路23eがリザーバタンク22に接続する位置までの高さHdを、逆止弁26の下流位置S2から冷媒戻し流路23がリザーバタンク22に接続する位置までの高さHo(図3参照)よりも低く設定した場合、ρo・g・(Ho−Hd)分の位置水頭が減ることになるため、前記コンデンサ24の流通抵抗が無くなることと相俟って、更に低い圧力でリザーバタンク22に戻る冷媒戻し流路23内の液相冷媒を押し出すことができる。
尚、本実施形態では前記分岐流路23eを上流側戻し流路23cから分岐した場合を開示したが、これに限ることなく下流側戻し流路23dから分岐流路23eを分岐しても同様の作用効果を奏することができる。
また、本実施形態は第2実施形態の冷却装置10A、つまり、モータインバータ10に第1・第2副冷却流路14,15を設けて、それら副冷却流路14,15に冷媒戻し流路23の上流側戻し流路23cと下流側戻し流路23dを接続した冷却装置10Aに適用した場合を開示したが、モータインバータ10に第1・第2副冷却流路14,15を設けない第1実施形態にあっても適用することができる。
図13,図14は本発明の第5実施形態を示し、前記第4実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図13は冷却装置の冷媒循環経路を示す全体構成図、図14はインバータ冷却流路への冷媒導入流路を開閉する開閉バルブの切換え状態を(a),(b)に順を追って示す説明図である。
本実施形態の冷却装置20Dは、図13に示すように基本的に第4実施形態の冷却装置20Cと同様の構成となり、インバータ冷却流路13の冷媒排出管13bを主排出管13cと副排出管13dの2経路に分岐し、そして、主排出管13cと冷媒戻し流路23の分岐流路23eとの交差部分に設けた切換えバルブ33を、冷却流路21に設けた温度センサ34、コントローラ35およびアクチュエータ32を介して切り換えるようになっている。
ところで、リザーバタンク22内の冷媒を第2導入流路28を介してインバータ冷却流路13内に導入するようになっているが、その際、インバータ冷却流路13内に多量の液相冷媒が存在する場合に、インバータ冷却流路13内で気相化した冷媒が直ちに液相状態に戻ってしまうサブクール現象が起こってしまう恐れがある。
そこで、本実施形態では図13に示すように、リザーバタンク22からインバータ冷却流路13に導入する冷媒量を、そのインバータ冷却流路13内の温度が低い場合に減少させる一方、インバータ冷却流路13内の温度が高い場合に増大させる冷媒量制御手段としての開閉バルブ36を設けている。
即ち、前記開閉バルブ36は、リザーバタンク22の冷媒をインバータ冷却流路13に導入する第2導入流路28の逆止弁29よりも上流側に設けられ、前記アクチュエータ32によって開閉切換えするようになっている。
前記開閉バルブ36の切換え制御は、インバータ冷却流路13内に設置した温度センサ37の検出信号をコントローラ35に入力して切換えタイミングを演算し、その結果を前記アクチュエータ32に出力することにより行われる。
つまり、インバータ冷却流路13内の温度T1が予め決められた値Td1よりも低い(T1<Td1)とき、切換えバルブ36は図14(a)に示すように閉弁して第2導入流路28を遮断する一方、前記温度T1が前記値Td1よりも高い(T1≧Td1)とき、切換えバルブ36は図14(b)に示すように開弁して第2導入流路28を連通し、インバータ冷却流路13内に液相冷媒を導入可能状態とする。
このとき、前記Td1は実験等で予め決定されるインバータ冷却流路13内の飽和温度Tsat1以上(Td1≧Tsat1)である。
以上の構成により本実施形態の冷却装置10Dによれば、インバータ冷却流路13内の温度が低い場合に開閉バルブ36を閉弁して、インバータ冷却流路13に導入する冷媒量を減少させる一方、インバータ冷却流路13内の温度が高い場合に開閉バルブ36を開弁して、インバータ冷却流路13に導入する冷媒量を増大させることにより、インバータ冷却流路13内で冷媒を確実に気相化させて冷媒圧力を高めることができるため、そのインバータ冷却流路13でのドライアウト現象を防止することができる。
勿論、本実施形態の冷却装置10Dは、モータインバータ10に第1・第2副冷却流路14,15を設けない第1実施形態の冷却装置10にあっても適用することができる。
ところで、本発明のモータの冷却装置は第1〜第5実施形態に例をとって説明したが、これら実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができ、例えば、モータ1はインホイールドライブ方式の電気自動車に限ることなく、通常のモータにあっても本発明を適用することができる。
本発明の冷却装置が適用されるモータの取付状態を示すサスペンション装置の斜視図。 本発明の第1実施形態における冷却装置を組み付けたモータの断面図。 本発明の第1実施形態における冷却装置の冷媒循環経路を示す全体構成図。 図2中A−A線に沿った断面図。 本発明の第1実施形態におけるモータインバータの拡大斜視図。 図5中B−B線に沿った拡大断面図。 本発明の第2実施形態における冷却装置を組み付けたモータの断面図。 本発明の第2実施形態におけるモータインバータの拡大斜視図。 図8中C−C線に沿った拡大断面図。 本発明の第3実施形態における冷却装置の冷媒循環経路を示す全体構成図。 本発明の第4実施形態における冷却装置の冷媒循環経路を示す全体構成図。 本発明の第4実施形態におけるインバータ冷却流路の排出側の切換えバルブの切換え状態を(a),(b)に順を追って示す説明図。 本発明の第5実施形態における冷却装置の冷媒循環経路を示す全体構成図。 本発明の第5実施形態におけるインバータ冷却流路への冷媒導入流路を開閉する開閉バルブの切換え状態を(a),(b)に順を追って示す説明図。
符号の説明
1 モータ
2 回転軸
3 ロータ
4 ステータ
10 モータインバータ(加圧手段)
12 電子素子
13 インバータ冷却流路
13out 冷媒排出口
14 第1副冷却流路
15 第2副冷却流路
20,20A,20B,20C,20D 冷却装置
21 冷却流路
21a〜21f ステータ内通路(冷却流路)
22 リザーバタンク
23 冷媒戻し流路
24 コンデンサ(排熱機構)
30 ポーラス材
31 冷媒通過量均等手段
36 開閉バルブ(冷媒量制御手段)

Claims (9)

  1. 回転軸と、この回転軸に結合されたロータと、このロータの外周を囲繞するステータと、を備えたモータにおいて、
    モータの発熱部に設けられて所定温度で液相から気相に変化する冷媒を流通させる冷却流路と、
    前記冷却流路よりも鉛直上方に配置されてその冷却流路に前記冷媒を逆流阻止しつつ供給するリザーバタンクと、
    前記冷却流路から排出される冷媒を前記リザーバタンクに戻す冷媒戻し流路に配置され、前記冷却流路で気相化した冷媒を液相化する排熱機構と、
    前記冷却流路から前記リザーバタンクに至る冷媒戻し流路に、前記冷却流路の排出圧を更に加圧する加圧手段と、を設けたことを特徴とするモータの冷却装置。
  2. 加圧手段は、前記リザーバタンクから冷媒を逆流阻止しつつ導入するインバータ冷却流路を形成したモータインバータであり、そのインバータ冷却流路の冷媒排出口を、前記冷却流路から前記リザーバタンクに至る冷媒戻し流路に連通したことを特徴とする請求項1に記載のモータの冷却装置。
  3. インバータ冷却流路の冷媒排出口を、前記冷媒戻し流路の前記排熱機構よりも上流側に連通したことを特徴とする請求項2に記載のモータの冷却装置。
  4. インバータ冷却流路を多孔質材で形成したことを特徴とする請求項2または3に記載のモータの冷却装置。
  5. モータインバータ内には、前記インバータ冷却流路に近接して冷媒を流通させる副冷却流路を設けたことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載のモータの冷却装置。
  6. モータの発熱部に設けた前記冷却流路をモータの周方向に適宜間隔をおいて複数本形成し、それら複数の冷却流路の冷媒通過量を、前記リザーバタンクの液面からの高さに応じてそれぞれ略等しくする冷媒通過量均等手段を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のモータの冷却装置。
  7. 前記インバータ冷却流路の冷媒排出口を、前記冷却流路内の冷媒温度が所定値よりも高い場合に、前記冷媒戻し流路の前記排熱機構よりも下流側に連通することを特徴とする請求項2〜6のいずれか1つに記載のモータの冷却装置。
  8. リザーバタンクからインバータ冷却流路に導入する冷媒量を、そのインバータ冷却流路内の温度が低い場合に減少させる一方、インバータ冷却流路内の温度が高い場合に増大させる冷媒量制御手段を設けたことを特徴とする請求項2〜7のいずれか1つに記載のモータの冷却装置。
  9. モータの発熱部に設けた冷却流路に所定温度で液相から気相に変化する冷媒を流通させてその発熱部を冷却し、前記冷却流路から排出される気相化した冷媒を排熱機構で液相化してリザーバタンクに戻すとともに、該リザーバタンクを前記冷却流路よりも鉛直上方に配置することにより冷媒を自己循環させる一方、前記冷却流路の排出圧を更に加圧して、前記排熱機構で液相化した冷媒をリザーバタンクに押し出す圧力をより高めることを特徴とするモータの冷却方法。
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