JP2007028714A - Dcブラシモータ装置 - Google Patents

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浩 松岡
Youni Hashimoto
擁二 橋本
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Abstract

【課題】薄型超偏平形のDCブラシモータを構成する。
【解決手段】最大エネルギー積が17MGOe 以上で少なくとも6磁極に着磁された中空円筒状の薄肉形状な異方性希土類ボンド磁石13が筐体12の内周部に圧接されている。モータ筐体外径(直径)をr、異方性希土類ボンド磁石の径方向厚さをd、電磁回転体長さをh、モータ筐体の厚さをwとする時、モータ筐体外径(直径)が50mm以上、100mm未満、筐体厚さ対磁石厚さ比w/dが1より大きく4以下であり、磁石厚さ対筐体外径比d/rが0.01以上、0.10以下であり、電磁回転体長さ対筐体外径比h/rが0.01以上、0.10以下とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、6極以上のDCブラシモータ装置に関する。特に、永久磁石に異方性希土類ボンド磁石を用い、偏平化、軽量化、高トルク化を可能にしたDCブラシモータ装置に関する。例えば、1W〜300Wクラスの高性能小型偏平DCブラシモータ装置に適用すると、その効果が高いものである。
一般に、DCブラシモータにおいては電磁回転体長さhとモータ筐体外径(直径)rとの関係において、h≒rとなるモータが製造上作り易く、磁気回路のバランスも取り易くく、モータ性能指標T(モータ最大出力/モータ磁気回路部体積)が良くなることが知られている。また、モータが使用される環境は、多岐にわたっているため、組み込まれる機械、装置によっては、モータの設置スペースの要請から、モータの長さ方向の寸法が小さく限られたり、外径方向の寸法が小さく限られる場合もある。このうち、長さが制限され、高トルクが要求される場合には、長さを大きくすることなくモータ筐体外径を大きくすることで高出力化を図り、長さの許容される上限を満足するようにしている。その結果として、モータは小型化されずに偏平化された形状となっている。ところが、近年の省資源、省エネルギー化の流れの中で、各種機械、装置は小型軽量化のニーズが高まり、偏平モータにおいても、モータ性能を低下させることなく、更なる小型、更なる偏平化が求められている。
しかしながら、小型化して偏平化するために、単純に電磁回転体長さhだけを小さくしようとすると、モータ性能指標はあまり変化しないが、電磁回転体長さhの減少に伴い磁石及び電磁回転体から入出力する磁束が大幅に減少するためモータ出力自体が小さくなるという問題がある。そこで、電磁回転体長さhを減少させた上で、モータ出力を低下させずに所定のモータ特性を得る為には、モータ筐体外径rを大きくすることが考えられるが、モータ筐体外径rを大きくすると、磁石使用量が増え、磁気回路の磁気抵抗も増大する結果、モータ性能指標Tが悪くなる。
このように、h/rを1以下に偏平化すると、モータ出力が低下したり、モータ性能指標が減少すると思われていた。
このため、従来では、モータ特性を低下させることなく、小型化と偏平化を共に達成することは困難であると考えられていた。
現に、市販されている偏平モータは、h/rが0.15〜0.35の間に存在しており、そのモータ性能指標は2.0(W/cm3 )程度に過ぎない。このため、偏平モータの分野においては、より偏平化された状態、すなわち、h/rが0.10以下の超偏平化した場合に、より高いモータ性能指標を有する超偏平モータの登場が望まれていた。
また、下記特許文献1には、DCブラシモータ装置の分野において従来のフェライト焼結磁石を使用した磁極を2極有する小型モータに対して、同じモータ性能を維持しつつ、大幅に小型化できる技術が開示されている。
この技術は、本発明の発明者らが開発したものであるが、その内容は、フェライト焼結磁石に比べ、4倍以上の最大磁気エネルギー積を有する異方性希土類ボンド磁石を、一体リング形状でかつ薄型化して使用することにより、その課題を達成したものである。
特許第3480733号
本発明者は、上記の小型高性能DCブラシモータに対して、モータ筐体外径(直径)rが50mm以上で、100mm未満と比較的径の大きい、さらに、薄いモータ、すなわち、超偏平型のモータを研究してきた。
上記の特許文献1の技術をこの偏平モータに単に適用すると、確かに、同じ出力特性でモータ性能指数はかなり向上し、ある程度は、偏平化できるるものの、より一層の小型化・超偏平化が求められており、更なるモータ性能指標の向上が必要であった。
すなわち、上記特許文献1の4極DCブラシモータの径を単純に2倍に大きくすると、1磁極当たりの周長が長くなると共に電磁回転体とボンド磁石間の間隙が大きくなる結果、磁気抵抗が大きくなり過ぎ、トルクが理論通り増加しないことが分かった。このことを回避するために、磁石の磁力を向上させようとすると、磁石の厚さが増加し、モータ性能/磁石使用料が低下するという問題がある。また、モータの体積も増加するために、モータ性能指標T(モータ最大出力/モータ磁気回路部体積)も低下するという問題がある。
さらに、特許文献1には、バックヨークの直径28.4mm、磁石厚さ0.7mmの6極モータが例示されているが、このモータにおいて、バックヨークの直径を65mmに増大させた場合には、磁石厚さは1.6mmとなるが、ギャップは1.14mmとなるために、フラックスは理論通り増大せず、径を大きくしたことによる理論通りの出力の増大が得られない。
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、従来の小型偏平モータよりもより偏平化させて、小型偏平化と、モータ性能指標T(モータ最大出力/モータ磁気回路部体積)の向上とを両立させた薄型の超偏平化した小型DCブラシモータを提供することである。
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、DCブラシモータの筐体内周部に配置した永久磁石と、中心部に配置した電磁回転体からなるDCブラシモータ装置であって、永久磁石は、筐体内周部に圧接され、最大エネルギー積が17MGOe 以上であり、少なくとも6磁極に着磁された中空円筒状の薄肉形状な異方性希土類ボンド磁石であり、モータ筐体外径(直径)をr、異方性希土類ボンド磁石の径方向厚さをd、電磁回転体長さをh、モータ筐体の厚さをwとする時、モータ筐体外径(直径)が50mm以上、100mm未満、筐体厚さ対磁石厚さ比w/dが1より大きく4以下であり、磁石厚さ対筐体外径比d/rが0.01以上、0.05以下であり、電磁回転体長さ対筐体外径比h/rが0.01以上、0.10以下であるであることを特徴とするDCブラシモータ装置である。電磁回転体長さ対筐体外径比h/rは、0.03以上、0.10以下が望ましく、さらには、0.05以上、0.10以下が望ましい。また、0.05以上、0.08以下がさらに望ましい。一般的に、電磁回転体の長さhは、0.9mm以上が、製造上望ましい。
ここで、DCブラシ偏平モータにおいて、モータ筐体外径(直径)rを50mm以上としたのは、上記の偏平率h/rの範囲において50mm未満となると、巻線等の製造が困難となるためである。また、モータ筐体外径(直径)rを100mm未満としたのは、偏平率h/rの範囲において100mm以上となると、電磁石の反磁界が大きくなり過ぎて、本発明の効果が減少するためである。また、異方性希土類ボンド磁石の長さu(軸方向の長さ)は、電磁回転体長さhに対して、h≦u≦1.2hが望ましい。ボンド磁石の長さuが電磁回転体長さhよりも小さいと、電磁回転体に有効に供給される磁石からの磁束量が低下するので望ましくない。また、ボンド磁石の長さuが電磁回転体長さhの1.2倍よりも大きいと、電磁回転体に供給されない磁束も発生するので、磁石を無駄に使用することになり望ましくない。
請求項2の発明は、異方性希土類ボンド磁石は筐体の内周面に圧入することにより、異方性希土類ボンド磁石の外周面が筐体の内周面と直接、圧接されていることを特徴とする請求項1に記載のDCブラシモータ装置である。
請求項1の圧接は、異方性希土類ボンド磁石の弾性力により筐体に、接着剤を介することなく接した状態を言い、この状態を実現する一つの方法として異方性希土類ボンド磁石を筐体の内周面に圧入することが考えられる。その他、圧接としては、筐体と異方性希土類ボンド磁石との一体成形によって得る方法が考えられる。
本発明に採用した異方性希土類ボンド磁石は、出願人によって提案された特開2001−76917号公報、特許第2816668号公報、特許第3060104号公報の製造方法で作製される磁石であって、例えば、Nd−Fe−Bからなる磁粉を樹脂成型することにより製造され、1軸方向に強く磁化される磁石である。この磁石は、従来の焼結フェライト磁石と比較して最大エネルギー積(BHmax )が4倍以上となる特徴がある。本発明者は、この異方性希土類ボンド磁石のポテンシャルをいかに引き出し得るかを鋭意検討した結果、特に、1〜300W級の小型ブラシモータに適用する場合に効果が大きいことを見い出した。そして、高性能異方性希土類ボンド磁石を使用することにより磁石を薄型化すると共に長さを極めて短くしてその直径を大きくし、その磁石をモータの筐体内周部に圧接して、同時に、磁極を6極以上とすることにより、1極当たりの磁気回路の磁路長を大幅に低減することができることを見出した。これにより、従来のDCブラシ偏平モータと同等の出力性能を有した薄形超偏平形DCブラシモータを得ることができた。
又、この異方性希土類ボンド磁石は樹脂成形で形成されるので、容易に精度よく形成される。これにより、モータ筐体内周部の永久磁石形状を精度のよい中空円筒形状とすることができる。即ち、永久磁石によるモータ内部磁場を精度のよい回転対称とすることができる。内部磁場の対称性が高精度となるので、中央部の電磁回転体は均一にトルクを受け回転することができる。また、異方性希土類ボンド磁石の直径を拡大して、長さを短くしているので、モータ性能指標T(モータ最大出力/モータ磁気回路部体積)を高い値に維持したまま、小型で超偏平形のDCブラシモータとすることができる。なお、モータ磁気回路部体積は、モータの軸方向に沿って電磁回転体の長さhの分だけとられたモータ筐体の円柱状部分の体積である。
異方性希土類ボンド磁石の弾性力と筐体の弾性力とにより、異方性希土類ボンド磁石の外周面は筐体の内周面と、直接、圧接され、その内周面には樹脂被膜層が存在しない。また、異方性希土類ボンド磁石は、その弾性力により筐体の形状に沿って圧接されているので、異方性希土類ボンド磁石の内径公差を筐体の外径公差程度に減少させることができる。また、異方性希土類ボンド磁石の内周面には、樹脂被膜層が存在しないことから、この樹脂被膜層の厚さのバラツキが与える異方性希土類ボンド磁石の内径公差の増大を排除できるので、異方性希土類ボンド磁石の内径公差を小さい値にすることができる。これらのために、電磁回転体と異方性希土類ボンド磁石の内周面との間隔を非常に小さくできる。例えば、0.05mm以上0.4mm以下の範囲に制御できる。このため、磁気回路の磁気抵抗を非常に小さくできるので、異方性希土類ボンド磁石の強大な磁力線がモータコアに効果的に供給される。この結果、モータトルクが向上する。
電磁回転体長さ対筐体外径比h/rが0.15未満のDCブラシモータは従来、存在しない。本発明は、電磁回転体長さ対筐体外径比h/rを0.1以下、0.01以上とすることで、DCブラシモータをより偏平形モータとすることができる。0.01≦h/r≦0.1を満たすことにより、直径に比べて長さが十分に小さいので、長さ方向に沿ったボンド磁石の直径偏差が小さくなる。また、磁石の軸と筐体の軸とが完全に同軸となっていない場合であっても、磁石の軸方向の長さが短いと、軸方向に沿った直径偏差が小さくなる。これらの結果、異方性希土類ボンド磁石の内径公差をより小さくでき、電磁回転体と異方性希土類ボンド磁石との間の間隙をより小さくできるので、磁気抵抗を小さくできモータトルクを向上させることができる。したがって、さらに、モータ性能指標T(モータ最大出力/モータ磁気回路部体積)を向上させることができる。
また、請求項2の発明では、異方性希土類ボンド磁石は筐体の内周面に圧入することにより、異方性希土類ボンド磁石の外周面が筐体の内周面と直接、圧接されていることを特徴とする。この結果、磁気回路の磁気抵抗を極力小さくすることができるので、モータトルクを向上させ、モータ性能指標T(モータ最大出力/モータ磁気回路部体積)を向上させることができる。
電磁回転体と磁石との間隙を小さくするためには、磁石の外径公差Aと筐体の内径公差Bとを小さくする必要がある。これは、従来技術のように磁石を筐体の内周面に接着剤で固定する場合、接着剤層の公差Cが上乗せされ全公差はA+B+Cとなる。公差が大きくなるため、間隙を小さくすると磁石が電磁回転体に接触する可能性がある。しかし、異方性希土類ボンド磁石を筐体の内周面に圧入すると、接着剤の交差Cが排除され、全公差は、A+Bとなるが、実際は、異方性希土類ボンド磁石は、筐体の内周面になぞってしまうため、全公差は、A’+B(ただし、A’<A)となり、単なる公差の和A+Bよりも小さくなる。
さらに、異方性希土類ボンド磁石の長さが短いと、磁石の外径公差Aは軸方向の平均範囲が狭くなるので、さらに、小さい値となる。また、磁石の軸と筐体の軸とが完全に同軸となっていない場合であっても、磁石の軸方向の長さが短いと、それによる、外径公差Aの増加分が抑制される。したがって、0.01≦h/r≦0.1を満たすことにより、全公差は、A" +B(ただし、A”<A’<A)となり、公差の和A+Bよりも小さくなる。全公差を小さくできることから、異方性希土類ボンド磁石と電磁回転体とが接触しないために必要な間隙の最小値を小さくすることができる。以上の理由から、電磁回転体長さ対筐体外径比h/rが0.01以上、0.1以下としたことと、異方性希土類ボンド磁石を筐体に圧入したこととにより、電磁回転体と異方性希土類ボンド磁石との間隙を小さくでき、磁気回路の磁気抵抗を極力小さくできる。このようにして、モータの外径を増大させても、異方性希土類ボンド磁石と電磁回転体との間隙を小さくできるので、トルクの低下がなく、モータ性能指標T(モータ最大出力/モータ磁気回路部体積)を高く維持し、または、増大させた、超偏平形のDCブラシモータとすることができる。
なお、上記のモータ筐体はバックヨークを含む概念であり、モータ筐体外径rは、バックヨークなどを含むモータ装置の外径の直径の意味で用いられている。
又、1<筐体厚さ対磁石厚さ比w/d≦4の範囲は次の観点から設定されている。フェライト磁石を使用したDCブラシモータの場合には、磁石の磁力が弱いために、磁石厚さに対して筐体厚さが薄くても十分磁気漏洩を防ぐ設計が可能となっている。それに対して、異方性希土類ボンド磁石を使用した場合には、w/dが1以下の時には、磁石の磁力が強力なために磁気漏洩を防ぐことが出来なくなるので、w/dは、通常1以上である。w/dが4より大きくなると、磁石の磁力が強力であっても、筐体厚さが厚くなり過ぎ、磁気漏洩はなくなるものの、無駄に筐体厚さを増加させることになり、十分な小型化ができなくなり、ひいては、モータ性能指標が劣化する。
一方、磁石厚さ対筐体外径比d/rの範囲は次の観点から決定されている。
永久磁石の磁力は磁石厚さに応じて増加する。磁石厚さ対筐体外径比d/rは0.01より小さくなると、反磁場が大となり急激に磁力が低下し、従来の所定トルクを得ることができない。よって、磁石厚さ対筐体外径比d/rは0.01以上が望ましい。
また、磁石厚さ対筐体外径比d/rが0.05を越えると、磁石の磁力が強すぎるために、筐体の厚さを増大させなければならないので望ましくない。また、電磁回転体に対する磁束の磁気回路に関しては、磁石がエアギャップとなり、磁気回路の磁気抵抗が増加し、モータ性能指標が劣化するので望ましくないので、磁石厚さ対筐体外径比d/rは0.05以下が望ましい。
よって、磁石厚さ対筐体外径比d/rは、0.01以上、0.05以下であることが望ましい。
以下、本発明を実施の形態に基づいて説明する。なお、本発明は、下記の実施形態に限定されるものではない。
図1(a)、(b)に本実施例のモータの1例を示す。図は、側面図(a)とbb断面図(b)である。本実施例のモータ装置は、モータ性能指標T(モータ最大出力/モータ磁気回路部体積)を高い値に維持したまま、超偏平化することを目的としている。本実施例のモータ装置は、筐体12、筐体12の内周部に設けられた中空円筒形状の永久磁石である異方性希土類ボンド磁石13、中央部に設けられた電磁回転体を形成するロータコア14、ロータコア14に旋巻されたコイル15、ロータコア14中心部から延出された回転軸11、そして磁束漏れ防止のためのバックヨーク10から構成される。なお、異方性希土類ボンド磁石13には、最大エネルギー積が17MGOe(135KJ/m3 )以上を用いることにより、その最大エネルギー積が大きいために、本発明を用いた場合における磁気回路の磁気抵抗の減少効果により、モータの性能向上が大きくなる。異方性希土類ボンド磁石13は6極に磁化されており、ロータコア14において巻線が配置されるスロットは15個である。尚、モータ筐体16は筐体12とバックヨーク10とを合わせた概念として使用している。バックヨーク10は必ずしも必要ではなく、筐体12だけでモータ筐体を構成しても良い。
尚、上記異方性希土類ボンド磁石13は、出願人により、近年ようやく量産化が可能となったものである。例えば、この異方性希土類ボンド磁石13は、特開2001−76917号公報、特許第2816668号公報、特許第3060104号公報、及び国際特許出願PCT/JP03/04532の製造方法で製造される。この異方性希土類ボンド磁石は、最大エネルギー積17MGOe〜28MGOe(135KJ/m3 〜223KJ/m3 )のものを、現在、製造することができる。
本実施例のモータ装置(図1(a)、(b))は、Nd−Fe−Bからなる薄型中空円筒状の異方性希土類ボンド磁石13を採用している。又、ボンド磁石13の径を65mmとして、その着磁を6極とすることで、1極当たりの磁気回路の磁路長が径を大きくしても増大しないようにして、ロータコア14の受けるトルクの減少の防止を図っている。異方性希土類ボンド磁石13は、Nd−Fe−Bからなる磁粉を樹脂成型することにより製造され、径方向に強く磁化された磁石である。異方性希土類ボンド磁石の材料は、Nd−Fe−Bの他、Nd−Fe−B系材料、例えばNdとNdの他の希土類元素を含んだり、その他の添加元素を含んだ材料を用いることができる。更に、Nd以外の希土類元素を含んだ材料、例えば、Sm−Fe−N系材料、SmCo系材料、または、Nd−Fe−B系材料とこれらの混合物質を用いることができる。
又、異方性希土類ボンド磁石はプラスチック磁石とも言われる。この磁石は、従来の焼結フェライト磁石と比較して最大エネルギー積(BH)max が約5倍以上となる特徴がある。即ち、標準的な焼結フェライト磁石23の最大エネルギー積(BH)max が3.5MGOe (28KJ/m3 )に対して、この異方性希土類ボンド磁石は、その約5倍の17MGOe(135KJ/m3 )以上の最大エネルギー積を有する。
異方性希土類ボンド磁石13における樹脂の重量割合は、2W%以上3W%以下の範囲とした。異方性磁石粉末と樹脂とを金型に供給し、加熱した状態で磁場を印加して配向させ、さらに圧縮成形する。
この成形体をキュアー処理して、樹脂の硬化度を90〜100%まで向上させた。これにより、磁粉と樹脂、樹脂と樹脂との間の結合を高めた。次に、この円筒状の成形体を、図3に示すように、圧入シリンダ30の位置決め凸リング32を有するピストン31に挿入して、硬化後の異方性希土類ボンド磁石13の成形体をガラス転移点温度以下の温度で加熱した。凸リング32によりピストン31における異方性希土類ボンド磁石13の位置が決定される。この加熱により、磁粉と樹脂、樹脂と樹脂との間の結合を切ることなく、材質強度を下げる、すなわち、硬化させた樹脂をガラス状領域からゴム状領域に近づけることにより、異方性希土類ボンド磁石13を筐体12に圧入する時に異方性希土類ボンド磁石に応力がかかるのを低減して機械的強度を保持した。この状態で、圧入シリンダ30を駆動して、図3に示すように、ピストン31の先端が筐体先端部に当接する状態とした。この状態で、筐体12の内部における異方性希土類ボンド磁石13の位置が決定される。このピストン31の動作により、筐体12の内周部に沿って、異方性希土類ボンド磁石13を圧入して、所定位置に位置決めした。その後、圧入シリンダ30を駆動して、ピストン31を抜くことで、異方性希土類ボンド磁石13を筐体12の内周部に圧入固定した。
このようにして、図2に示すように、異方性希土類ボンド磁石13の外周面は筐体12の内周面に対して、異方性希土類ボンド磁石13の弾性力と筐体12の弾性力とにより、直接、圧接されている。すなわち、異方性希土類ボンド磁石13の外周面と筐体12の内周面との間には、全面に渡り隙間が存在しない。したがって、磁気回路の磁気抵抗を減少させることができる。この結果、エネルギー積の大きい異方性希土類ボンド磁石13の能力を十分に発揮させることができ、出力トルクやモータ性能指標(モータ最大出力/モータ磁気回路部体積)の大きなモータを得ることができる。
上記の製造方法により、図4に示すように、異方性希土類ボンド磁石13を筐体12の内面に圧入により圧接した構造とすることができる。異方性希土類ボンド磁石13の厚さdは、図4に示すように、0.5mm以上2.0mm以下の範囲の薄さであることが好ましい。同じモータ筐体外径の場合、厚さdが0.5mm未満では反磁場が大となり急激に磁力が低下し、従来の所定のトルクを得ることができない。また、磁石厚さdが2.0mmを越えると、磁石の磁力が強すぎるために、筐体の厚さを増大させなければならないので望ましくない。また、電磁回転体に対する磁束の磁気回路に関しては、磁石厚さdは、エアギャップとなり、磁気回路の磁気抵抗が増加し、モータ性能指標が劣化するので望ましくない。よって、磁石厚さdは、0.5mm以上2.0mm以下の範囲が望ましい。
また、異方性希土類ボンド磁石13の内周面とロータコア14との間隙bは、0.05mm以上0.4mm以下の範囲のであることが好ましい。本発明においては、筐体と磁石が圧接状態にあること、及び、h/rを0.01以上、0.10以下に限定することで、異方性希土類ボンド磁石の内周面が精度良く形成される為、間隙を小さくすることができる。本発明のモータと磁気特性を同一にしたモータの場合には、異方性希土類ボンド磁石と電磁回転体との間隙が0.05mm未満では、モータの組み立て時における電磁回転体の位置決めが困難であり、さらに、電磁回転体の作製精度に限界があるため、クリアランスを確保できず、モータの製造が困難となる。また、間隙が0.4mmを超えると磁気抵抗が増大し、モータの性能指数の向上効果と、出力を低下させずにモータを偏平化させる効果が大幅に減少する。
また、好ましくは電磁回転体の直径2aを拡大するとトルクが更に向上し、モータ性能指標Tを下げることなく、超偏平形のDCブラシモータとすることができる。具体的には、電磁回転体直径対モータ筐体外径比2a/rが、0.82以上、0.90以下に電磁回転体の直径を拡大するとよい。2a/rが、0.82未満では、トルクの向上が十分ではなく、0.90を超えると磁石側からの供給磁束が減って逆にトルクが減少してしまう。本実施例では、ロータコア14の外径を固定し、ロータコア14と異方性希土類ボンド磁石13との間隙bを0.25mm、異方性希土類ボンド磁石13の厚さを1.5mm、磁石長さは5.5mmと従来の4極異方性希土類ボンド磁石の長さの約1/2、体積は58%とした。
また、異方性希土類ボンド磁石の厚さは、0.7mm以上2.0mm以下とすると、さらに、望ましい。異方性希土類ボンド磁石の内周面とロータのコアの外周面との間隔は、0.2mm以上0.4mm以下が、より望ましい。
Figure 2007028714
表1は、従来技術等と本発明のモータの諸元を比較して示した表である。電磁回転体の長さh、モータ筐体の外径(直径)r、磁石の長さuなどは、それらのモータの出力が同一となるように設定した。従来例は、現行使用されているフェライト焼結磁石を使用した磁極が4極の偏平モータである。比較例1は、従来例に対して、一体リング形状で、磁極が4極で薄型の異方性希土類ボンド磁石を適用した比較例である。比較例2は、比較例1に対して磁極を4極から6極にしたものである。比較例1、2、実施例は、モータ筐体の外径(直径)rを同一にして、モータ出力が同一となるように、磁石の長さu、電磁回転体の長さh等を設定した。なお、従来例と比較例1、2は、磁石は筐体に接着剤で接着されており、且つ、磁石の内表面が樹脂で覆われており、モータ筐体と磁石が圧接状態にあるのは、本発明だけである。
本実施例では、表1に示すように筐体外径(直径)を現在使用されているフェライト焼結磁石を使用したモータに比べ若干小さくしても、圧入により磁石と筐体間が圧接されていること、磁石の磁極を6極以上に選択していること、磁石を薄型化していること、電磁回転体を大径化し、h/rを0.01以上、0.10以下に薄くすることにより、エアギャップを小さくでき、従来困難であった、従来のフェライト焼結使用の小型DCブラシ偏平モータと同一出力特性での大幅な極偏平化とモータ性能指標の3倍もの向上を同時に達成することができた。
また、従来の偏平モータのモータ出力と同一の出力が得られるように、従来の偏平モータに対して特許文献1の異方性希土類ボンド磁石を用いたモータ(比較例1)と、本実施例と比較すれば明らかなように、モータ性能指標は1.7倍に向上していることが理解される。また、6極モータである比較例2と実施例とを比べても、モータ性能指標は1.4場合に向上していることが理解される。
本実施例のモータ性能指標の向上の理由は、磁極数6極とすること、異方性希土類ボンド磁石とモータ筐体を圧接状態とすること、電磁回転体長さ対筐体外径比h/rを0.01以上、0.1以下とすることのこれらの構成要件の相互作用によるものである。磁極数を6極とすることで、磁気回路の磁路長を短くすることで、筐体外径の増大に対して磁気回路の磁気抵抗の増大を抑制し、異方性希土類ボンド磁石と筐体とを圧接状態としてh/rを0.01以上、0.1以下とすることにより、異方性希土類ボンド磁石の内径公差を小さくすることで、電磁回転体と異方性希土類ボンド磁石の内面との間隙を極めて小さくすることにより、磁気回路の磁気抵抗を低減させて、磁力に対するモータ出力の比を向上させることができたからである。この結果、本実施例によると、偏平率h/r=0.077を実現し、モータ性能指標T(モータ最大出力/モータ磁気回路部体積)を従来の偏平率0.209のモータに比べて、3倍以上とすることができた。
また、現行品のフェライト焼結磁石使用の偏平モータに比べて、同一出力、モータ筐体外径をほぼ等しくした場合には、磁石長さが30%以下となり、電磁回転体の長さhも35%以下と大幅に偏平化したモータを得ることができた。
また、筐体厚さ、磁石厚さ、モータ外径間の比を所定の範囲内にすることで、本実施例においては、筐体厚さ+磁石厚さを5.15mmと薄くできるために、電磁回転体半径を大きくできる。この結果、電磁回転体のスロット数が12スロットから15スロットへと増えてもそれ以上に電磁回転体への巻線のペースが拡大し、筐体の外径を同一とすれば、モータ出力を向上させることができ、モータ性能指標T(モータ最大出力/モータ磁気回路部体積)を向上させることができる。
本発明は、小型の超偏平形の高トルクモータとして用いることができる。
本発明の具体的な第1実施例に係るDCブラシモータ装置を示した構成図。 第1実施例に係るDCブラシモータにおける異方性希土類ボンド磁石が筐体内周部に圧入された状態を示した軸方向断面図。 第1実施例に係るDCブラシモータにおける異方性希土類ボンド磁石を筐体内周部に圧入する機構の構成図。 ロータコアと異方性希土類ボンド磁石と空隙との関係を示した断面図。
符号の説明
10…バックヨーク
11…回転軸
12…筐体
13…異方性希土類ボンド磁石
14…ロータコア
15…コイル
16…モータ筐体
30…シリンダ
31…ピストン
32…凸リング

Claims (2)

  1. DCブラシモータの筐体内周部に配置した永久磁石と、中心部に配置した電磁回転体からなるDCブラシモータ装置であって、
    前記永久磁石は、前記筐体内周部に圧接され、最大エネルギー積が17MGOe 以上であり、少なくとも6磁極に着磁された中空円筒状の薄肉形状な異方性希土類ボンド磁石であり、
    前記モータ筐体外径(直径)をr、前記異方性希土類ボンド磁石の径方向厚さをd、前記電磁回転体長さをh、前記モータ筐体の厚さをwとする時、モータ筐体外径(直径)が50mm以上、100mm未満、筐体厚さ対磁石厚さ比w/dが1より大きく4以下であり、磁石厚さ対筐体外径比d/rが0.01以上、0.05以下であり、電磁回転体長さ対筐体外径比h/rが0.01以上、0.10以下であることを特徴とするDCブラシモータ装置。
  2. 前記異方性希土類ボンド磁石は前記筐体の内周面に圧入することにより、前記異方性希土類ボンド磁石の外周面が前記筐体の内周面と直接、圧接されていることを特徴とする請求項1に記載のDCブラシモータ装置。
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