JP2007027409A - 導体パターン形成方法 - Google Patents
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Abstract
【目的】従来の高温焼成に比べ低温度の加熱により導体パターンを形成でき、低耐熱性の材料からなる基体の表面にも導体パターンを形成できる導体パターン形成方法を提供することである。
【構成】金属粉体と熱硬化性樹脂を均一に分散した金属ペーストを用いて導体パターンを形成するので、熱硬化性樹脂の熱硬化温度以上で金属粉体の融点以下の温度で加熱すれば、金属ペーストを硬化させ基体に密着できる。従来の形成方法では、金属粉体の融点近傍での高温焼成が必要であったが、本発明に係る形成方法では、熱硬化性樹脂の硬化収縮により金属粉体を相互接触させて電気的導通性を付与して導体パターンを形成するので、簡易な加熱装置により比較的低温度で導体パターンを形成でき、低耐熱性の基体を用いることができる。
【選択図】図1
【構成】金属粉体と熱硬化性樹脂を均一に分散した金属ペーストを用いて導体パターンを形成するので、熱硬化性樹脂の熱硬化温度以上で金属粉体の融点以下の温度で加熱すれば、金属ペーストを硬化させ基体に密着できる。従来の形成方法では、金属粉体の融点近傍での高温焼成が必要であったが、本発明に係る形成方法では、熱硬化性樹脂の硬化収縮により金属粉体を相互接触させて電気的導通性を付与して導体パターンを形成するので、簡易な加熱装置により比較的低温度で導体パターンを形成でき、低耐熱性の基体を用いることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、導体パターンの形成方法に関し、更に詳細には、金属ペーストに含有される熱硬化性樹脂を熱硬化させて電子部品の電極等に用いられる導電パターンを形成する導体パターン形成方法に関する。
近年の情報通信技術や電子装置の進歩は、導体パターンを基体表面に形成した回路基板の小型化・高密度化を促進し、薄膜技術・厚膜技術と多層化技術を融合した高密度多層回路基板を出現させている。また、自動車などの走行車両やジェット機やロケット等の分野では、エンジン系や路面摩擦・空気摩擦などにより発生する高温・高湿・振動・粉塵に耐える電子装置の開発が急ピッチに進められている。導体パターンが表面に形成される基体材料としては、特に耐熱・耐高温特性を導入するためにセラミック基板が用いられている。
従来のセラミック基板を用いた導体パターンの形成方法では、最初にセラミック粉末と有機バインダーと溶剤を混練してスラリー化し、シート状に成形してセラミックグリーンシートが形成される。このグリーンシートに導電性ペーストをスクリーン印刷して内部電極パターンを形成し、この内部電極パターンが形成されたグリーンシートを積層して圧着しながら焼成し、この焼成体の側面に外部電極を形成して再度高温焼成することにより前記回路基板が完成される。このような積層セラミック電子部品の製造方法が特開平11−354374号公報(特許文献1)に記載されている。
従来、回路基板の電極材料として、導通性や耐熱性において信頼性の高い貴金属、例えばAg、Ag/Pdなどが使用されてきた。しかし、貴金属は高価であり、しかも投機の対象となるために価格変動が極めて激しい。従って、電極材料として卑金属が使用されるようになり、特に卑金属の中でもNiやCuが使用されている。従来の電極を形成する導体パターン(「電極パターン」と呼ぶ)の形成方法では、電気的導通性を付与するために金属粉体を融点附近の高温で加熱し、金属粒子同士の表面融解により焼結させていた。また、金属粉体を構成する金属微粒子の粒径が小さくなるに従ってその融点が降下することが知られており、刊行物:Size-dependent Melting of Au Particle, P. Buffat and J-P. Borel, Phys. Rev. A 2287-97(1975)(非特許文献1)には、金微粒子における融点の粒径依存性が記載されている。金属粉体同士の表面融解による焼結では、粒径によって変化する金属粉体の融点に応じた加熱温度制御が要求される。
特開平11−354374号公報
Size-dependent Melting of Au Particle, P. Buffat and J-P. Borel, Phys. Rev. A 2287-97(1975)
しかし、金属粉体同士の表面融解による焼結は、加熱温度制御が難しく、高温焼成によりCu膜などの金属膜が溶融して電極パターンが短絡する惧れがあり、回路基板の歩留を低減させる原因となっていた。更に、電極パターンにより好適な導電性を付与するためには、金属ペーストに含有される有機材料等を高温焼成により分解蒸発させる必要があったが、電極を形成するCu膜などの金属膜を溶融させ電極パターンを短絡させる惧れがあった。また、高温焼成が必要とされるため、セラミックなどの高耐熱性を有する材料しか使用できなかった。従って、耐熱性が低く、低融点の材料から形成される基板に内部電極や外部電極を形成することは極めて困難であった。
しかしながら、携帯電話に代表される電子機器の軽薄短小化に伴い、従来のセラミックに替って軽量のプラスチック基板等の使用が求められ、より低温度の加熱で電極膜を形成することが要求される。また、従来、回路基板における電極間の接合にはハンダが用いられてきたが、近年、環境保護の観点から鉛フリーのハンダを使用することが望まれている。しかし、鉛フリーのハンダは焼結時に高温での加熱を必要とするので、耐熱性が低く、低融点の材料から形成される基板に使用することが困難であった。
従って、本発明の目的は、低温での焼成により好適な電気的導通性を有する導体パターンを形成でき、耐熱性が低い種々の材料からなる基体表面にも微細な導体パターンを形成できる導体パターン形成方法を提供することである。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1の形態は、熱硬化性樹脂の熱硬化温度より大きな融点の粒径を有する金属粉体と前記熱硬化性樹脂を均一に分散した金属ペーストを用意し、この金属ペーストを基体の表面に塗着して金属ペーストパターンを形成し、金属ペーストパターンを熱硬化性樹脂の熱硬化温度以上で前記金属粉体の融点未満の温度範囲で加熱して硬化させ、熱硬化性樹脂の硬化収縮により金属粉体同士を接触させて電気的導通性を付与した導体パターンを形成する導体パターンの形成方法である。
本発明の第2の形態は、基体が耐熱有機基体であり、加熱温度が耐熱有機基体の耐熱温度以下である導体パターンの形成方法である。
本発明の第3の形態は、加熱温度が100〜400℃である導体パターンの形成方法である。
本発明の第4の形態は、金属ペーストの全体量を100重量部としたとき、熱硬化性樹脂が1〜50重量部である導体パターンの形成方法である。
本発明の第5の形態は、金属ペーストに有機溶剤が添加された導体パターンの形成方法である。
本発明の第6の形態は、導体パターンが電子部品の電極パターンである導体パターンの形成方法である。
本発明の第1の形態によれば、金属ペーストを熱硬化性樹脂の熱硬化温度以上で金属粉体の融点未満の温度範囲で加熱することにより前記金属ペーストを硬化させ基体に密着させることができる。熱硬化性樹脂の熱硬化温度以上の低温加熱により熱硬化性樹脂の硬化収縮を発生させ、この収縮により金属粉体同士の相互接触が増加して高い電気的導通性が付与される。従って、低温での焼成により導体パターンを形成でき、耐熱性の低い材料の基体にも使用することができる。しかも、高温焼成に比べより簡単な装置を用いて焼成できるから、導体パターンの製造コストを低減することができる。また、金属粒子の微小化に伴って金属粒子の融点降下が引起されることが一般的に知られており、熱硬化性樹脂の熱硬化温度より高い融点を有する粒径の金属粉体を選択し、この金属粉体の融点より低い温度で加熱して熱硬化性樹脂を硬化収縮させることにより、金属粉体同士を相互接触させて好適な電気的導通性を有する導体パターンを形成することができる。従って、融点の低い粒径の小さな金属粉体を用いる場合、熱硬化温度が金属粉体より低い熱硬化性樹脂を用いることにより、微細な導体パターンを形成することができる。更に、本発明に係る導体パターン形成方法は、金属粉体に熱硬化性樹脂を均一に分散した金属ペーストを用いるので、スクリーン印刷等の公知の塗着方法により基体に容易に塗着でき、高精度な導体パターンを形成することができる。
本発明の第2の形態によれば、熱硬化温度以上の耐熱性を有する耐熱有機基体に電極パターン等の導体パターンを形成できるので、電子部品等の軽量化を促進できる。従来の金属ペーストには基体との密着性を高める為にガラスフリットが添加されていたので高温での焼成が不可欠であった。本発明における金属ペーストには、ガラスフリットの替りに熱硬化性樹脂を使用しているので低温での加熱で導体パターンを形成できるので、従来のセラミック基体に比べて融点の低い耐熱有機基体を用いることができる。前記耐熱有機基体としては、耐熱性プラスチック、ポリイミドフィルムなどを用いることができ、前記熱硬化性樹脂の熱硬化温度以上の耐熱性を有するものならば種々の耐熱有機基体を使用することができる。より低い熱硬化温度を有する熱硬化性樹脂を用いれば、より耐熱温度の低い耐熱有機基体が使用でき、使用用途に応じて各種の耐熱有機基体を利用できる。
本発明の第3の形態によれば、金属パターンの加熱温度が400℃以下、特に100〜400℃の範囲にあるから、従来の形成方法に比べて低温での加熱により導体パターンを形成できる。本発明に係る熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂などを用いることができ、これらは100〜400℃の熱硬化温度を有している。従って、金属粉体の融点より低い熱硬化温度を有する熱硬化樹脂を適宜選択することができ、比較的熱硬化温度の低い熱硬化性樹脂を選択すれば、融点の低い微小な金属粉体を用いることができ、導体パターンの線幅を微小化することができる。従来の導体パターン形成方法では、金属粉体同士の表面融解による焼結により電気的導通性が付与されていたので、加熱温度制御が難しく生産効率がよくなかった。本発明に係る導体パターン形成方法では、金属パターンが前記熱硬化樹脂の硬化温度である100〜400℃で加熱されるから、金属粉体同士が熱硬化性樹脂の硬化収縮により接触して電気的導通性を付与することができ、簡易な加熱装置により比較的低温度で導体パターンを形成することができる。従って、従来のような高温で高精度な加熱温度制御を行う特別な装置を必要とすることがなく、設備費等を削減でき製造コストを大幅に低減できる。また、従来使用できなかった熱に弱い材質を基体に使用できるので、基体の軽薄化や軽量化を実現でき電子部品の軽量化を促進できる。
本発明の第4の形態によれば、金属ペーストの全体量を100重量部としたとき、熱硬化性樹脂の添加量が1〜50重量部であるから、基体との密着性が良く、好適な電気的導通性を有する導体パターンを形成することができる。熱硬化性樹脂の添加量が1重量部以下の場合は基体との密着が悪く、硬化収縮による金属粉体の相互接触が充分ではないから、形成される導体パターンの電気的導通性が低減し、50重量部以上の場合には、熱硬化性樹脂の添加量が多すぎて好適な電気的導通性が付与されなかった。本発明者等は、鋭意研究の結果、熱硬化性樹脂の添加量が1〜50重量部の範囲であれば、基体との密着性が良く、電気的導通性の高い導体パターンを形成できることを発見し、本発明を完成するに到った。更に、前記範囲内で熱硬化性樹脂の添加量を適宜調整すれば、所望の粘性を形成でき基体の表面に正確な金属パターンを塗着できる。
本発明の第5の形態によれば、金属ペーストに有機溶剤を添加すれば金属粉体を均一に分散させることができ、形成される導体パターンの電気的導通性を向上させることができる。本発明に使用される有機溶剤には、アルコール、アセトン、プロパノール、エーテル、石油エーテル、ベンゼンなどの石油系溶剤やテルピネオール、ジヒドロターピネオールやセロソルブ類などを用いるができる。これらの有機溶剤の中から熱硬化性樹脂の種別に応じて適宜選択すれば、最適な粘度を有する金属ペーストを形成できる。また、有機溶剤の添加量を適宜調整して塗着方法に応じた適度な粘度を形成すれば、正確な金属パターンを基体に塗着することができる。
本発明の第6の形態によれば、電子部品の電極パターンを低温度の加熱で形成することができ、従来使用できなかった低耐熱性の基体にも電極パターンを形成することができる。従って、プラスチックなどに電極パターンを形成でき、電子部品のより一層の軽量化を実現することができる。また、セラミックなどの高耐熱性の基体に対しても好適な電気的導通性を有する電極パターンを形成できる。また、従来の形成方法に比べ低温度の加熱で電極パターンを形成できるので、特別な加熱装置等を用いる必要がなく、電子部品の製造コストを低減することができる。
以下に、本発明に係る導体パターン形成方法の実施例を電極配線基板の製造に基いて、添付する図面により詳細に説明する。
図1は本発明に係る電子部品の電極配線基板の製造工程図である。最初に絶縁基板(s1)を用意し、この絶縁基板(s1)の表面にスクリーンを付着(s2)し、このスクリーンが付着された絶縁基板に金属ペーストをローラーにより塗布(s3)する。塗布された絶縁基板からスクリーンを取り除き(s4)、パターン化された金属ペーストを加熱(s5)して硬化収縮させれば、絶縁基板上に導体パターン(s6)が形成され電極配線基板が完成する。
図1の(s3)において塗布される金属ペーストは、有機溶剤に金属粉体と熱硬化性樹脂を均一に分散して形成されている。前記金属粉体としては、貴金属、卑金属のいずれの金属粉体も用いることができ、この実施形態では、Au、Pt、Ag、Ru、Pd、Cu又はNiからなる金属粉体を用いて電極配線基板を製造している。本発明に係る金属ペーストは、熱硬化性樹脂の熱硬化温度以上あれば良く、図1の(s5)において前記金属粉体の融点より低い温度で加熱して熱硬化性樹脂を硬化収縮させることにより、金属粉体同士が相互接触し、好適な電気的導通性を有する導体パターンが形成される。更に、硬化収縮した熱硬化性樹脂が保護膜として機能し、金属粉体の酸化を防止することができ、貴金属だけでなく卑金属も使用することができる。従って、電子部品の電極や配線などにAu、Pt、Ag、Ru、Pd等の貴金属、Cu、Ni等の卑金属、これらの合金、他の金属との合金など種々の金属を使用することができる。
前記金属粉体は、機械的方法と物理化学的方法により作製することができ、機械的方法としては、機械粉砕法、溶融粉化法、噴霧法、衝撃法などを、物理化学的方法としては還元法、電解法などを用いることができる。更に、本発明に利用する金属粉体は、各種方法により製造される金属粉体を利用でき、金属粒子の形状も球状、鱗片状、樹状等が含まれる。スクリーン印刷法を用いる場合は、印刷適応性の観点から球状粉体が好ましい。
上記金属粉体の配合量は、金属ペースト全体量100重量部に対して50重量部以上95重量部以下が望ましい。50重量部より少ないと充分な導電性が得られず、95重量部を超えると導電体としての物性が不良になる。更に、前記金属粉体を溶媒中に均一に溶解させるために分散剤を用いても良く、分散剤としては種々のものを利用でき、市販の分散剤を使用することができる。分散剤の使用量は、金属粉体の粒径に応じて適宜添加される。
図1の電極配線基板の製造工程では、パターニングにスクリーン印刷の技術が使用され、(s4)に示すように、金属ペーストを用いて金属導体が絶縁基板上にパターニングされる。従来、この金属ペーストには、基板との密着性を高めるためにガラスフリットが添加されていた。ガラスの融点は熱硬化性樹脂に比べ高いので、基板を500℃以上の高温で焼成しなければならず、基板の材質としては耐熱性の高いガラスやセラミックに限られていた。本発明に係る導体パターン形成方法においては、金属ペーストにガラスフリットの代わりに熱硬化性樹脂を用いるので、(s5)における低温度の加熱で硬化・固着されるから、高温での焼成を必要としない。従って、電子部品の基板として従来使用できなかった低耐熱性の材質を基板として使用できる。
図2は、実測されたAu微粒子の粒径と融点との関係図である。この関係図は、非特許文献1に記載された融点のサイズ依存性に基づいている。縦軸に融点を絶対温度(K)で表し、横軸に直径(D)を表す。図2から5nm以下のAu微粒子では、融点が約802℃から約30℃(2.5nm)まで急激に降下し、10nm以上ではバルク結晶の融点近傍(約997℃)からほぼ直線的にバルク結晶の融点(1064℃)に向かっていることがわかる。従って、5nm以上のAu微粒子を本発明の金属ペーストに使用すれば、熱硬化性樹脂の硬化温度(100〜400℃)以上金属融点未満の温度範囲で金属ペーストを硬化収縮できる。
図3は、Au、Pt、Ag、Ru、Pd、Cu、Niの融点(バルク結晶)を示した一覧図である。また、固体球状微粒子の融点と粒径の近似式として、
(To−T)/To=2M/px・1/r・бz/L・・・・・・・(1)
が知られている。Toは、バルク結晶の微粒子融点を示し、Tは粒径に応じた融点を示す。固体球状微粒子の半径をr、密度をpx、分子量をMとし、бzは、固・液界面の単位面積当たりの界面エネルギーを示し、Lは融解熱を示す。
式(1)から、融点降下はrに逆比例していることがわかるが、このことは図2からも明らかである。Au、Pt、Ag、Ru、Pd、Cu、Niの各融点(バルク結晶)をこの近似式に適用すれば各粒径の融点を推定でき、図2のAu微粒子と同様の傾向が想定される。
(To−T)/To=2M/px・1/r・бz/L・・・・・・・(1)
が知られている。Toは、バルク結晶の微粒子融点を示し、Tは粒径に応じた融点を示す。固体球状微粒子の半径をr、密度をpx、分子量をMとし、бzは、固・液界面の単位面積当たりの界面エネルギーを示し、Lは融解熱を示す。
式(1)から、融点降下はrに逆比例していることがわかるが、このことは図2からも明らかである。Au、Pt、Ag、Ru、Pd、Cu、Niの各融点(バルク結晶)をこの近似式に適用すれば各粒径の融点を推定でき、図2のAu微粒子と同様の傾向が想定される。
また、前記熱硬化性樹脂は、粉末または液体状の重合度の小さなプレポリマーを加熱し、分子間に三次元的な架橋を形成させて硬化・成形する立体的な網目構造をもつ物質である。前記導体ペーストに含有される熱硬化性樹脂としては、ホルムアルデヒド樹脂と架橋型樹脂等を用いられ、ホルムアルデヒド樹脂とはホルムアルデヒドとの縮合反応で架橋・硬化が行われる樹脂であり、架橋型樹脂とは架橋にホルムアルデヒドとの縮合以外の反応を利用する樹脂である。ホルムアルデヒド樹脂としては、フェノール樹脂、アミノ樹脂(ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾクアナミン樹脂等)などが用いられ、前記架橋型樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ケイ素樹脂が用いられる。
金属粉体の種類に応じて、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などから適宜選択される。例えば、銀とフェノール樹脂、金とエポキシ樹脂、銅とアクリル樹脂、ニッケルとポリイミド樹脂、鉄とメラミン樹脂、炭素とウレア樹脂などの組合せが好ましい。前記熱硬化性樹脂を用いることにより、金属ペーストに粘性と基板との密着性を得ることができ、加熱硬化時に収縮することにより金属粉体どうしが接触して導電性が付与される。
更に、本発明に係る熱硬化性樹脂として、特にエポキシ樹脂が好ましく、エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールボラック類とエピクロルヒドリンとの反応により得られるポリグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテルなどの脂肪族エポキシ、ジグリシジルヒダントインなどの複素環式エポキシ、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ジクロペンタジエンジオキサイドなどの脂環式エポキシ等を使用することができる。
熱硬化性樹脂を硬化させる場合、熱硬化を促進させるために硬化剤、硬化促進剤が用いられ、熱硬化性樹脂の種類に応じて、種々の硬化剤や硬化促進剤から適宜選択される。特に、エポキシ樹脂を使用する場合には、硬化剤として酸無水物、アミン化合物、イミダゾール化合物等を使用し、硬化促進剤としてアクリル樹脂等の他の樹脂を使用することが好ましい。
熱硬化性樹脂の添加量は、金属ペースト全体量100重量部に対して1〜50重量部の範囲であることが好ましい。添加量が1重量部未満であると基板との密着性が充分でなく、50重量部を超えると導電性が低下する。本発明における金属ペーストに有機溶剤を適宜加えることにより、ペースト粘性などの塗着条件や加熱温度等の硬化条件に金属ペーストを適応させることができる。前記有機溶剤としては、熱硬化性樹脂に溶け金属粉体を均一に分散できる溶剤が好ましく、アルコール、アセトン、プロパノール、エーテル、石油エーテル、ベンゼン、酢酸エチル、その他の石油系溶剤、テルピネール、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピネオールアセテート、プチルカルビトール、セロソルブ類、芳香族類、ジエチルフタレートなどを前記有機溶剤として使用される。
本発明の導体パターン形成方法においては、金属ペーストの塗着方法としては特に限定されず、従来の公知方法により基板に塗着することができる。例えば、ディスパン法、スクリーン印刷法、スタンピング法等が挙げられる。また、導体パターンの加熱硬化条件としては特に限定されず、例えば、100〜400℃の加熱温度、1〜60分の加熱時間で行うことができる。加熱方法は、熱風、熱線、電子ビーム、イオンビームなどの公知の方法により行われる。本発明の導体パターン形成方法では、低温度の加熱で硬化して硬化収縮により高い導電性が得られるため、熱に弱い基板や材質に対しても好適に用いることができる。
本発明の導体パターンの基板は特に限定されず、耐熱性プラスチック、ポリイミドフィルム、セラミック、ガラス、ガラスエポキシ基板、BT基板、銅等のリードフレーム等が挙げられる。更に、本発明の導体パターン形成方法の特徴は、第1に、熱硬化性樹脂の熱硬化温度以上の低温加熱により導体パターンを形成できること、第2に、加熱温度が、熱硬化性樹脂の熱硬化温度以上で金属粉体の融点未満の範囲であることであり、加熱条件により自在に加熱温度を設定でき、低耐熱性の材料に導体パターンを形成できることである。
以下、本発明に係る実施例について詳述する。尚、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1 低温硬化型Agペーストによる導体パターン]
平均粒径1μmのAg粉体80重量部に熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂を20重量部加えて硬化剤と溶剤としてブチルカルビトールアセテーを適宜添加して、温度25℃において回転数10rpmで測定した粘度が220Pa・s、粘度比2.6、鉛筆硬度H(150℃)のAgペーストを作製した。このペーストを用いてポリイミドフィルムの表面にファインラインが形成される。
平均粒径1μmのAg粉体80重量部に熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂を20重量部加えて硬化剤と溶剤としてブチルカルビトールアセテーを適宜添加して、温度25℃において回転数10rpmで測定した粘度が220Pa・s、粘度比2.6、鉛筆硬度H(150℃)のAgペーストを作製した。このペーストを用いてポリイミドフィルムの表面にファインラインが形成される。
図4は、低温硬化型Agペーストにより形成されたファインラインの拡大図である。本発明に係る導体パターン形成方法により熱硬化性樹脂の硬化温度を150℃と200℃でそれぞれ30分間加熱することによりポリイミドフィルムの表面に正確なファインラインが形成される。
図5は、実施例1におけるファインラインの硬化時間による比抵抗値の変化表である。Agペーストの硬化温度を150℃と200℃に設定して、硬化時間(Curing Time)による比抵抗値(Resistivity)の変化を調べた。縦軸は比抵抗値を示し、横軸は硬化時間を示す。図4から比抵抗値は、30分以後硬化温度150℃の場合は3.0E−05前後の値に、硬化温度200℃の場合は2.0E−05前後の値に収束していることがわかる。図4の結果から、本発明の導体パターン形成方法により30分程度の硬化時間で充分な導電性を有する導体パターンを形成できることが明らかである。
[実施例2 高温硬化型Agペーストによる導体パターン]
平均粒径1μmのAg粉体95重量部に熱硬化性樹脂としてポリイミド樹脂を5重量部加えて硬化剤と溶剤としてγ−ブチロラクトンを適宜添加して、温度25℃において回転数10rpmで測定した粘度が200Pa・s、粘度比2.4、鉛筆硬度H(350℃)のAgペーストを作製した。このペーストを用いてセラミック基板の表面にファインラインを形成した。
平均粒径1μmのAg粉体95重量部に熱硬化性樹脂としてポリイミド樹脂を5重量部加えて硬化剤と溶剤としてγ−ブチロラクトンを適宜添加して、温度25℃において回転数10rpmで測定した粘度が200Pa・s、粘度比2.4、鉛筆硬度H(350℃)のAgペーストを作製した。このペーストを用いてセラミック基板の表面にファインラインを形成した。
図6は、実施例2におけるファインラインの硬化時間による比抵抗値の変化表である。Agペーストの硬化温度を350℃に設定して、硬化時間(Curing Time)による比抵抗値(Resistivity)の変化を調べた。縦軸は比抵抗値を示し、横軸は硬化時間を示す。図5から比抵抗値は、30分以後5.0E−06付近の値に収束していることがわかる。図5の結果から実施例1と同様、本発明の導体パターン形成方法により30分程度の硬化時間で充分な導電性を有する導体パターンを形成できることが明らかである。
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明を構成する成分要素を含んでおれば本発明の作用及び効果を奏するものである。従って、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々の変形例、設計変更なども本発明の技術的範囲内に抱合されることは云うまでもない。
本発明に係る導体パターン形成方法は、低温度で短時間の加熱により導体パターンを形成でき、電子部品だけでなく他の分野でも利用することができ、印刷、塗装などの分野にも利用できる。
Claims (6)
- 熱硬化性樹脂の熱硬化温度より大きな融点の粒径を有する金属粉体と前記熱硬化性樹脂を均一に分散した金属ペーストを用意し、この金属ペーストを基体の表面に塗着して金属ペーストパターンを形成し、前記金属ペーストパターンを前記熱硬化性樹脂の熱硬化温度以上で前記金属粉体の融点未満の温度範囲で加熱して硬化させ、熱硬化性樹脂の硬化収縮により金属粉体同士を接触させて電気的導通性を付与した導体パターンを形成することを特徴とする導体パターンの形成方法。
- 前記基体が耐熱有機基体であり、前記加熱温度が前記耐熱有機基体の耐熱温度以下である請求項1に記載の導体パターンの形成方法。
- 前記加熱温度が100〜400℃である請求項1又は2に記載の導体パターンの形成方法。
- 前記金属ペーストの全体量を100重量部としたとき、前記熱硬化性樹脂が1〜50重量部である請求項1、2又は3に記載の導体パターンの形成方法。
- 前記金属ペーストに有機溶剤が添加された請求項1〜4のいずれかに記載の導体パターンの形成方法。
- 前記導体パターンが電子部品の電極パターンである請求項1〜5のいずれかに記載の導体パターンの形成方法。
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JP2011238596A (ja) * | 2010-04-14 | 2011-11-24 | Dowa Holdings Co Ltd | 熱硬化型導電性ペーストおよび配線基板 |
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-
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