JP2007024655A - 写像性測定方法および装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】被測定物のサンプル面の光量分布の幅が大きい場合でも信頼性の高い写像性の測定を行うことのできる写像性測定方法を提供する。
【解決手段】光源2からスリット3および第1のレンズ4を経て試験片1のサンプル面1aに測定光を照射し、その反射光を第2のレンズ5によってCCDカメラ6の受光面に集光し、スリット像であるスポット6aの光量分布をCCDカメラ6によって計測する。CCDカメラ6による光量分布から、受光面における所定領域の光量を求めて、前記単一領域の幅に対応するサンプル面1aの写像性の値を算出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラスチック、金属、紙、および印刷物等の写像性を測定する写像性測定方法および装置に関するものである。
従来、写像性の測定方法として、例えば、特許文献1に開示されたように、JIS規格(JISH−8686−2)による測定光学系を用いる方法が知られている。この方法は、図9に示すように、試験片(被測定物)101のサンプル面101aへの測定光の入射面に垂直な方向を長手方向とするスリット103を有するマスクを備えている。光源102からの光をスリット103を経て、スリット103を焦点面とする第1のレンズ104を透過させて、前記サンプル面101aに所定の入射角度で当てている。そしてその反射光を第2のレンズ105を経て、第2のレンズ105の焦点面上に配置した光学くし110を入射面内で面内移動させながら、透過光量を受光器106で測定する。
光学くし110は、光学くし110を面内移動させる方向に、光透過部分110aと光遮断部分110bのそれぞれの幅(くし幅)wが互いに等しくなるように構成されている。光学くし110は、くし幅wにより異なる5種類がある。光学くし110の種類ごとに受光器106による測定光量の最大値Mと最小値mを求め、
(M−m)÷(M+m)
を写像性の測定値CJISとしている。
特開平5−215681号公報
上記の写像性測定方法は、従来金属光沢面等の高い光沢性を有する表面に対して利用されていたため、第2のレンズ105の焦点面上の光量分布の幅は光学くし110のくし幅wに対して十分小さかった。
しかしながら、測定対象である試験片が、例えば顔料インクを用いたインクジェットプリンターによる印刷物である場合は、印刷した紙が高い光沢性を有する場合でも、印刷物上に分布した顔料により表面光沢が減少する場合がある。これは、第2のレンズ105の焦点面上の光量分布の幅w0が光学くし110のくし幅wより大きくなる場合に生ずる。このような表面光沢の減少はプラスチック等紙以外の印刷物に対しても同様に生じることがある。
また、測定する試験片が紙上のトナー印刷物の場合、写真等のべた印刷領域の表面光沢を高くしても、文書領域の光沢を低く押さえるため、光沢性の低い紙を用いる場合がある。
これらの例のように光沢が低い領域がある試験片に対して、前述のJISH−8686−2による写像性測定方法では、光学くしのくし幅wに対して、光学くし上の光量分布の幅w0が2wを超える場合がある。
図10は、この様子を詳しく説明するための図で、光学くし110の光透過部分110aと光遮断部分110bのくし幅wに対して、光学くし110上の光量分布の幅w0が2wを超える場合を示している。
図11は、横軸をくし幅w、縦軸を写像性の測定値CJIS=(M−m)÷(M+m)としたグラフで、光学くし上の光量分布の幅w0に対して、w<w0の領域では測定値CJISの単調性が成り立たない様子を説明している。
このように光沢が低い領域がある測定対象に対して、JISH8686−2の写像性測定方法では、光学くしの光透過部分と光遮断部分のそれぞれの幅であるくし幅wに対して、光学くし上の光量分布の幅w0が2wを超える場合がある。この場合は、測定値CJISが単調性を有するとは言えないため、測定値CJISからは、必ずしも写像性の良し悪しを比較判断できないという未解決の課題があった。
本発明は、上記従来の技術の有する未解決の課題に鑑みてなされたものであり、光沢性の低いプリンター用紙等であっても、その写像性を適正に判断できる写像性測定方法および装置を提供することを目的とするものである。
本発明の写像性測定方法は、光透過部分を有するマスクを透過した測定光を、前記マスクを焦点面とする第1のレンズを経て被測定物に所定の入射角度で当て、その透過光または反射光を第2のレンズを経て計測手段の受光面に集光し前記被測定物の写像性を測定する写像性測定方法において、前記受光面の、所定領域における受光量を前記計測手段によって測定し、その測定値を用いた演算によって前記写像性の値を求める工程を有することを特徴とする。
連続した単一領域の受光量を用いた演算によって写像性の値を求めるものであるため、測定範囲に対する写像性の値の単調性を保つことができる。従って、光沢性の低い表面であっても、写像性の良し悪しを常に適正に判断することが可能となる。
本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、被測定物である試験片1のサンプル面1aに対して、光源2からの光をマスクのスリット3を経て、マスクを焦点面とする第1のレンズ4を透過させて、所定の入射角度で当てる。さらに、試験片1の透過光または反射光を第2のレンズ5を透過させ、第2のレンズ5の焦点面上で光量を測定する。第2のレンズ5の焦点面上には試験片1の反射特性が影響したマスクのスリット像が形成され、このスリット像であるスポット6aの光量分布を撮像素子を有するCCDカメラ(計測手段)6によって測定する。
スリット3は、試験片1への光の入射面に垂直な方向を長手方向とし、光源2からの光を、スリット3を経て第1のレンズ4を透過させ、試験片1に所定の入射角度で当てるため、スリット3の長手方向の位置によらず、スリット各位置と対応する試験片1の照射面位置との距離は等しい。
さらに、試験片1の透過光または反射光を第2のレンズ5を透過させ、第2のレンズ5の焦点面である受光面で受光量を測定する。そのため、第2のレンズ5の焦点面上に形成されるスリット像の長手方向各部分への試験片1の作用が試験片内部の光学特性の分布による影響を除いて均一になる。
試験片1の透過光または反射光を第2のレンズ5を透過させ、第2のレンズ5の焦点面上で、入射面に対して平行な短辺を有する長方形領域内の受光量を求めて、演算によって前記長方形領域の短辺の長さの単調な関数となる写像性の値を求める。例えば、前記長方形領域の短辺の中心を通る垂線を、前記スリット像の、前記長方形領域内の光量分布の重心と概ね一致させることで、写像性の単調性を保つことができる。
また、短辺の長さが異なる複数の単一スリット(開口手段)を用意しておくことで、前記長方形領域の短辺の長さの単調な関数を定義域とし、前記長方形領域における受光量による単調な関数を値域とする写像性の値を得ることができる。
図1は、実施例1により、被測定物である試験片1のサンプル面1aの写像性を測定する写像性測定装置を示す。光源2から出た光は、スリット3を通して発散光となり、スリット3を焦点面とする第1のレンズ4を通して、試験片1である無印字のプリンター用紙のサンプル面1a上を照明する。その反射散乱光は、第2のレンズ5を通して、レンズ5の焦点面上にスポット6aを形成し、レンズ5の焦点面上に撮像部(受光面)を配置したCCDカメラ6で撮像する。
図2は、実施例1による写像性測定方法の処理の流れを示すフローチャートである。ステップ1で、初期化処理として、CCDカメラのスポットの光量分布データを取得後、ステップ2でスポットの全光量Q、光量分布幅Tを求める。さらに、スポットの光量測定範囲を入射面に垂直な方向ではスポットが全て含まれる範囲とし、入射面内の長方形領域である光量測定範囲の幅(長方形領域の短辺の長さ)をdとする。以降の処理で光量測定範囲の幅dを変化させて複数の条件で光量測定範囲内の光量(受光量)を求めるため、光量測定範囲の幅dの変化量(増分Δd)をT÷10とし、光量測定範囲の幅dの初期値を0とする。
繰り返し処理として、ステップ3で、光量測定範囲の幅dをΔdだけ増分して、ステップ4でその値がスポットの光量分布幅Tを超えたら、処理を終える。その値がスポットの光量分布幅T以下ならば、ステップ5で入射面内の光量測定範囲の重心位置を変えながら、光量測定範囲の幅dの範囲内の光量q(d)の最大値qx(d)を求める。光量測定範囲の幅dの範囲内の光量q(d)の最大値qx(d)が2箇所以上で存在する場合があるが、その場合でも、最大値qx(d)を求めればよい。
ステップ6で、光量測定範囲の幅dの写像性の値を演算式(2×qx(d)−Q)÷Qを用いた演算によって求める。以降、繰り返し処理を処理が終了するまで繰り返す。これにより、各光量測定範囲の幅dに対する写像性の値を求めることができる。
図3は、実施例1によるプリンター用紙の写像性の測定例である。このグラフから、各光量測定範囲の幅dに対する写像性の値の単調性が確保されていることが分かる。なお、上記の処理で、最大値qx(d)を求める代わりに、光量測定範囲の幅dを除いた領域の最小値qn(d)を求めてから、演算式qx(d)=Q−qn(d)によって求めてもよい。
また、上記の処理で、最大値qx(d)と、光量測定範囲の幅dを除いた領域の最小値qn(d)を求めて、全光量QをQ=qx(d)+qn(d)として求めて、写像性の値を演算式(qx(d)−qn(d))÷(qx(d)+qn(d))によって求めてもよい。
あるいは、全光量Qを初期化処理で求めず、光量測定範囲の幅dが光量分布幅T以上の場合のqx(d)を全光量Qとしてもよい。また、光量qx(d)に対して、qx(d)のべき乗や自然対数等を用いて、写像性を定義しても写像性の単調性を保つことができる。このような写像性を定義する演算式は例えばqx(d)×qx(d)÷Q÷Qなどがある。
また、図2のステップ2における、「入射面内の光量測定範囲の重心位置を変えながら、光量測定範囲の幅dの範囲内の光量q(d)の最大値qx(d)を求める」処理の代わりに、光量測定位置の中心を一定にした条件で、光量測定範囲の幅dに対する光量q(d)をqx(d)とする方法もある。
なお、長方形領域であるスリット3の代わりに円形領域である円形や楕円形等のピンホールを設けてもよい。円形のピンホールの場合は、光量分布幅Tに代わり、スポット直径Rを用い、Rを変化させながら、各直径Rの円内のCCD受光量の積分値の最大値qx(R)を求め、直径Rが変化してもCCD受光量の積分値の最大値qx(R)が変化しなくなった時の値を全光量Qとする。その後、写像性の値を演算式(2×qx(R)−Q)÷Qによって求める。
なお、図1で、CCDカメラの代わりに液晶などの空間光変調素子と光ダイオードなどの受光素子を用いても良い。
図4は実施例2を示す。これは、試験片1のサンプル面1aの反射光を測定する代わりに、サンプル面1aの透過光を測定する光学系を用いたものである。光源2、スリット3、レンズ4、5、CCDカメラ6等については実施例1と同様である。
図5は、実施例3による写像性測定装置の光学系を示す。実施例1と同様に、光源2から出た光は、スリット3を通して発散光となり、スリット3を焦点面とする第1のレンズ4を通して、試験片1である無印字のプリンター用紙のサンプル面1aを照明する。その反射散乱光は、第2のレンズ5を通して、レンズ5の焦点面上にスポット6aを形成し、レンズ5の焦点面上に撮像部を配置したCCDカメラ6で計測され、スポット6aの光量分布の入射面内方向の幅(光量分布幅)Tが測定される。その後、JIS規格による写像性測定器と同様に、CCDカメラ6のスポット6aの位置に光学くし10を置き、その透過全光量をCCDカメラ6で測定する。光学くし10は、光透過部分と光遮断部分の幅wがTの半分以上であるもののみを用い、光学くし10を入射面内で移動させながら、透過光量の最大値Mと最小値mを求め、演算式(M−m)÷(M+m)によって、写像性の値を求める。
試験片1として、印字済みのプリンター用紙や、プリンターによる印字済みまたは前のプラスチック、金属等を測定することも可能である。
図6は、実施例4による写像性測定装置を示し、図7は、実施例4の写像性測定装置に用いる光学くし11を示す図である。JIS規格による写像性測定器の光学系との違いは、光学くし11の単一スリットを用いることである。
図7に示すように、光学くし11は、スリット幅の異なる4つの単一スリットS1〜S4を有し、各スリットの光透過部分の幅、面積は、この順に大きい。図6は、図7の光学くし11のスリットS1が第2のレンズ5の光軸上にある場合を示している。光学くし11がレンズ5の焦点面上に配置され、測定光の入射面内で移動し、光学くし11の各スリット位置ごとに計測手段である受光器7によって受光量を測定するように構成されている。
光学くし11が、レンズ5の焦点面上を前述のように移動した場合、レンズ5を通して、レンズ5の焦点面上に形成したスポット光を受光器7に透過させる領域がいつでも、一つのスリットのみとなるようしなければならない。そのため、図7の光学くし11のスリット中心間距離は十分に大きく設定されている。従って、レンズ5を通して、レンズ5の焦点面上に形成したスポット光を受光器7に透過させる領域は連続である。またスリットS1、スリットS2、スリットS3、スリットS4に対して、受光器7によって受光する光量の最大値をq1、q2、q3、q4とすると、光量はこの順に大きな値となる。
図8は、図6の写像性測定装置で、光学くし11が無い状態を示す。この時の受光器7の測定光量をQとし、写像性の値をスリットの光量qを用いた演算式2×q÷Q−1によって求めると、スリットS1、スリットS2、スリットS3、スリットS4に対する写像性の値は単調増加を保つことができる。
実施例1による写像性測定装置を示す模式図である。 実施例1による写像性測定方法の処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1によるプリンター用紙の写像性の測定例である。 実施例2による写像性測定装置を示す模式図である。 実施例3による写像性測定装置を示す模式図である。 実施例4による写像性測定装置を示す模式図である。 実施例4の写像性測定装置に用いる光学くしを説明する図である。 実施例4による写像性測定装置で、光学くしが無い状態を示す。 一従来例によるJIS規格の写像性測定装置を示す図である。 光沢が低い領域がある試験片に対して、光学くしの光透過部分と光遮断部分のそれぞれの幅wに対して、光学くし上の光量分布の幅が2wを超える場合を説明する図である。 図9の従来例において、CJISの単調性が成り立たない様子を説明するグラフである。
符号の説明
2 光源
3 スリット
4 第1のレンズ
5 第2のレンズ
6 CCDカメラ
7 受光器
10、11 光学くし

Claims (9)

  1. 光透過部分を有するマスクを透過した測定光を、前記マスクを焦点面とする第1のレンズを経て被測定物に所定の入射角度で当て、その透過光または反射光を第2のレンズを経て計測手段の受光面に集光し前記被測定物の写像性を測定する写像性測定方法において、
    前記受光面の、所定領域における受光量を前記計測手段によって測定し、その測定値を用いた演算によって前記写像性の値を求める工程を有することを特徴とする写像性測定方法。
  2. 前記所定領域が前記測定光の入射面に対して平行な短辺を有する長方形領域であり、前記写像性の値は、前記短辺の長さの単調な関数であることを特徴とする請求項1記載の写像性測定方法。
  3. 光透過部分を有するマスクを透過した測定光を、前記マスクを焦点面とする第1のレンズを経て被測定物に所定の入射角度で当て、その透過光または反射光を第2のレンズを経て計測手段の受光面に集光し前記被測定物の写像性を測定する写像性測定方法において、
    前記受光面の、前記第2のレンズの焦点面上の円形領域における受光量を前記計測手段によって測定し、その測定値を用いた演算によって前記写像性の値を求める工程を有し、前記写像性の値が、前記円形領域の直径の単調な関数であることを特徴とする写像性測定方法。
  4. 光源と、前記光源から被測定物への照射される測定光を整形するマスクと、整形した前記測定光を、前記マスクを焦点面とする第1のレンズを経て前記被測定物に所定の入射角度で当て、その透過光または反射光を第2のレンズを経て受光面に集光させる光学系と、前記受光面において、前記測定光の所定領域の受光量を計測する計測手段と、を有し、前記計測手段の測定値を用いた演算により、前記所定領域の前記測定光の入射面に対して平行な長さの単調な関数である前記被測定物の写像性の値を求めることを特徴とする写像性測定装置。
  5. 前記マスクは前記測定光の入射面に垂直な方向を長手方向とするスリットを有し、前記所定領域は前記測定光の入射面に対して平行な短辺を有する長方形領域であり、前記写像性の値は、前記短辺の長さの単調な関数であることを特徴とする請求項4記載の写像性測定装置。
  6. 光源と、前記光源から被測定物への照射される測定光を整形するピンホールを有するマスクと、前記ピンホールを透過した測定光を、前記ピンホールを焦点とする第1のレンズを経て前記被測定物に所定の入射角度で当て、その透過光または反射光を第2のレンズを経て受光面に集光させる光学系と、前記受光面において、前記測定光の円形領域の受光量を計測する計測手段と、を有し、前記計測手段の測定値を用いた演算により、前記円形領域の直径の単調な関数である前記被測定物の写像性の値を求めることを特徴とする写像性測定装置。
  7. 前記計測手段が、前記第2のレンズの焦点面上に配置された撮像素子によって前記受光面の光量分布を取得することを特徴とする請求項4ないし6いずれか1項記載の写像性測定装置。
  8. 前記計測手段が、前記第2のレンズの焦点面上に配置された光空間変調素子と受光素子で構成されることを特徴とする請求項4ないし6いずれか1項記載の写像性測定装置。
  9. 前記計測手段が、前記長方形領域を確定するための開口手段を有することを特徴とする請求項5記載の写像性測定装置。
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