JP2007023923A - 垂直型風力発電機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】垂直型風力発電機1は、通常の運転状態においては、外側羽根体2と内側羽根体3との間の角度θが約45°である。これにより、どのような方向から風をうけても外側羽根体2および内側羽根体3が効率よく回転する。風速が小さくて、外側羽根体2および内側羽根体3の回転が停止している場合には、角度θを約35°にする。これにより、回転数を向上でき、また、風速が小さくても外側羽根体2および内側羽根体3が円滑に回転するようになる。暴風時のように、風速が大きくて、外側羽根体2および内側羽根体3の回転数が通常の回転数を上回った場合には、角度θを約±0°にする。これにより、外側羽根体2および内側羽根体3の回転数が低下する。
【選択図】図6
Description
このような垂直型風力発電機は、風の向きにかかわらず回転軸を鉛直方向に向けて設置すれば良いため、風の向きに応じて回転軸を変位させる首振り構成が不要であり、また、静粛性に優れているといった特徴を有している(たとえば、特許文献1参照)。
すなわち、上記特許文献1の垂直型風力発電機を含めて、従来の垂直型風力発電機は、回転軸が水平方向を向く水平型風力発電機に比べて静かであるため、街中に設置するのに適しているという利点を有する一方で、回転に偏りがあるといった問題点があった。
また、これらの問題点を解決するためにたとえば変速機を採用したり、複数のモータを併用したりするなどすると、垂直型風力発電機の構成が複雑になってしまい、コスト面からの実用化が困難である。
また、初動期には、外側羽根体の各羽根と内側羽根体の各羽根とに流れ込む空気の流れを調整して回転数を向上できる。そして、通常期には、風向きの変動にも対応できる最良な相対角度で回転させることができる。さらに、暴風時には、回転力を低減させ暴走を防止可能となり、また、回転を停止させる際には負荷を低減させた後に停止可能となる。よって、簡素な構成でありながら、風力に応じて回転数を調整できかつ暴走も防止することが可能となる。
なお、回転対称とは、羽根体を軸方向から見た場合に4枚羽根として90度毎に羽根が設けられているものや、3枚羽根として120度毎に羽根が設けられているものをいう。
また、外側羽根体と内側羽根体との相対角度を調整するとは、外側羽根体の各羽根の前端部と内側羽根体の各羽根の後端部とを近接させることや、外側羽根体の各羽根の後端部と内側羽根体の各羽根の前端部とを近接させることを含むものとし、これらの位置関係は、外側羽根体および内側羽根体の大きさや形状、また、回転軸とを連結する支持棒との間の取り付け角度や取り付け位置によって異なる。
なお、調製するに際しては、風速に対応した適切な相対角度をあらかじめ決定しておき、これを用いる様にしてもよいし、より動的に、負荷の多い方向(トルクをより発生させる方向)を探って相対角度を決定する様にしてもよい。
また、初動期には、外側羽根体の各羽根と内側羽根体の各羽根とに流れ込む空気の流れを調整して回転数を向上できる。そして、通常期には、風向きの変動にも対応できる最良な相対角度で回転させることができる。さらに、暴風時には、回転力を低減させ暴走を防止可能となり、また、回転を停止させる際には負荷を低減させた後に停止可能となる。よって、簡素な構成でありながら、風力に応じて回転数を調整できかつ暴走も防止することが可能となる。
また、回転対称とは、羽根体を軸方向から見た場合に4枚羽根として90度毎に羽根が設けられているものや、3枚羽根として120度毎に羽根が設けられているものをいう。
また、羽根体が鉛直方向に延伸するとは、各羽根がまっすぐ鉛直方向に延伸している場合に必ずしも限定されず、弓なりに反って羽根の中心部分が上下端部より軸に対して外側に膨らんでいるような場合も含むものとする。
また、羽根の形状としては、飛行機の翼のように揚力を発生させるような、断面が流線形状である翼形や、単に軸に対して所定の角度がついている平板を挙げることができる。
また、外側羽根体と内側羽根体との相対角度を調整するとは、外側羽根体の各羽根の前端部と内側羽根体の各羽根の後端部とを近接させることや、外側羽根体の各羽根の後端部と内側羽根体の各羽根の前端部とを近接させることを含むものとし、これらの位置関係は、外側羽根体および内側羽根体の大きさや形状、また、回転軸とを連結する支持棒との間の取り付け角度や取り付け位置によって異なる。
なお、調製するに際しては、風速に対応した適切な相対角度をあらかじめ決定しておき、これを用いる様にしてもよいし、より動的に、負荷の多い方向(トルクをより発生させる方向)を探って相対角度を決定する様にしてもよい。
なお、回転数に応じて相対角度を調整するとは、回転数と直接関係する垂直型風力発電機の出力数に応じて相対角度を調整することを含むものとする。
なお、ヘリカルギアを用いる方法としては、外側羽根体の回転軸および内側羽根体の回転軸のいずれか一方をヘリカルギアとして形成することや、外側羽根体の回転軸および内側羽根体の回転軸のいずれか一方に係合させるギアをヘリカルギアとすることが挙げられる。
図1は、本発明の一実施形態にかかる垂直型風力発電機の構成を示した斜視図であり、図2は、図1に示した垂直型風力発電機の平面図である。また、図3は、図1および図2に示した垂直型風力発電機の正面図であり、一部を断面により示した。
垂直型風力発電機1は、鉛直な軸線まわりに回転可能な外側羽根体2と、外側羽根体2の内側に位置し、外側羽根体2と同一の軸線まわりに回転可能な内側羽根体3と、外側羽根体2および内側羽根体3が取り付けられている基台部4とを備えている。
外側羽根体2は、同一の鉛直線上に位置する上回転軸21および下回転軸22、ならびに、鉛直方向に延伸する4枚の外羽根23を備えている。
上回転軸21は、中空円柱形状の部材であって、鉛直な軸線Lまわりに回転可能であり、4本の上支持棒24が取り付けられている。
下回転軸22は、中空円柱形状の部材であって、鉛直な軸線Lまわりに回転可能であり、上回転軸21の下方に位置している。そして、下回転軸22には、4本の下支持棒25が取り付けられている。
下支持棒25はそれぞれ、水平方向に延伸する同長の長手の部材であって、一端が外羽根23の下部に取り付けられていて、他端が下回転軸22に取り付けられている。すなわち、4本の下支持棒25は同様に、同一の水平面内において軸線Lを中心として略十字状に配される。
これにより、外側羽根体2は、各外羽根23の間隔を約90°に保ちながら、上回転軸21および下回転軸22を中心として(軸線Lを中心として)回転可能となっている。
内側羽根体3は、鉛直方向に延伸する回転軸31、および、鉛直方向に延伸する4枚の内羽根32を備えている。
回転軸31は、鉛直な軸線L上に延伸する略円柱形状の長手の部材であって、下方部31Aは、その外周面に螺旋状に歯が形成されたヘリカルギアになっている。また、回転軸31の下端には、略円板形状のストッパ31Bが設けられている。そして、回転軸31の上部には上支持体33が取り付けられており、回転軸31の下部には下支持体34が取り付けられている。
下支持体34は、水平面内に略十字状に拡がる格子状の部材であって、その端部が各内羽根32の下部に取り付けられている。そして、下支持体34の交差中心部分に、回転軸31の下部が挿通するようにして取り付けられている。
これにより、内側羽根体3は、各内羽根32の間隔を約90°に保ちながら、回転軸31を中心として(軸線Lを中心として)回転可能となっている。
外側羽根体2および内側羽根体3は、外側羽根体2を外側とし内側羽根体3を内側として、その回転軸線を同一としている。詳しくは、外側羽根体2の上回転軸21および下回転軸22には、それぞれベアリング27および28が内蔵されており、内側羽根体3の回転軸31の上部が上回転軸21のベアリング27に保持され、内側羽根体3の回転軸31の下部が下回転軸22のベアリング28に保持されている。これにより、内側羽根体3が外側羽根体2の内側に位置し、かつ、外側羽根体2と内側羽根体3との回転の軸線を同一として回転可能となる。また、内側羽根体3は、外側羽根体2の内側に位置しながら独自に回転できる。
基台部4の上部には、中空円柱形状の保持体41が設けられている。また、保持体41には、ベアリング42が内蔵されている。そして、保持体41のベアリング42に外側羽根体2の下回転軸22が保持されている。これにより、外側羽根体2は、軸線Lを中心として回転可能となる。以上の構成より、外側羽根体2および内側羽根体3は、それぞれ、軸線Lを中心として独自に回転可能となる。ただし、後述するように、外側羽根体2と内側羽根体3とは、相対角度をほぼ一定に保ちながら同調して一体的に回転するようにしている。
内側羽根体用ギア7が鉛直方向に変位すると、内側羽根体用ギア7と螺合している回転軸31の下方部31Aがヘリカルギアであるため、外側羽根体用ギア6および内側羽根体用ギア7の外周は位相を同じくしたまま、回転軸31が回転する。すなわち、内側羽根体用ギア7の鉛直方向への変位によって、内側羽根体3が外側羽根体2に対して回動し、外側羽根体2と内側羽根体3との相対角度が調整される。なお、回転軸31にはストッパ31Bが設けられているため、内側羽根体用ギア7の変位が所定の範囲内に規制される。
これにより、制御部10は、回転軸31の回転数に応じて、駆動部8を制御して内側羽根体用ギア7を変位させ、外側羽根体2と内側羽根体3との相対角度を種々に調整することができるようになっている。
垂直型風力発電機1は、通常の運転状態においては、外側羽根体2と内側羽根体3との間の角度θが約45°(約−45°)である。(図6(a)参照)。なお、角度θは、上方から見た状態において、外羽根23の前方側に内羽根32が位置する状態を正で表し、外羽根23の後方側に内羽根32が位置する状態を負で表す。そして、角度θを約45°に保った状態で、風を受けて外側羽根体2および内側羽根体3が一体的に回転する。なお、このときの外側羽根体2および内側羽根体3の回転方向は、図示したように、外羽根23および内羽根32が前方側に変位する方向となる。この角度によりどのような方向から風をうけても効率よく回転する。
風速が小さくて、外側羽根体2および内側羽根体3の回転が停止している場合には、垂直型風力発電機1は、蓄電装置5に蓄電されている電力を用いて駆動部8を動作させて、内側羽根体用ギア7を変位させ、外側羽根体2の各外羽根23の前端部に内側羽根体3の各内羽根32の後端部が近接するように、角度θを約35°にする(図6(b)参照)。また、外側羽根体2および内側羽根体3の回転数が所定の回転数よりも小さい場合には、発生している電力を用いて駆動部8を動作させて、内側羽根体用ギア7を変位させ、外側羽根体2の各外羽根23の前端部に内側羽根体3の各内羽根32の後端部が近接するように、角度θを約35°にする。
図示したように、角度θを約35°にした状態においては、外側羽根体2の各外羽根23と内側羽根体3の各内羽根32との微小な隙間を流れる風力を利用して、個々に羽根が存在する場合より相対的に大きな起動トルクを発生させて回転数を向上させ、止まっている際には始動性を高めることも可能となる。また、回転数が小さくなった際には風速が小さくても外側羽根体2および内側羽根体3が相対的に良く回転するようになる。
外側羽根体2および内側羽根体3が回転を始めて、その回転数が通常の回転数である所定の回転数となると、駆動部8を動作させて内側羽根体用ギア7を変位させ、角度θを約45°にする(図6(c)参照)。これにより、外側羽根体2と内側羽根体3との相対角度が通常の状態となり、垂直型風力発電機1が通常の運転を行う。
なお、角度θの値は、外羽根2および内羽根3の形状、大きさ等によって異なるものであり、上述したものは角度θの一例である。
また、初動期には、外側羽根体2の各外羽根23と内側羽根体3の各羽根32とに流れ込む空気の流れを調整して回転数を向上できる。そして、通常期には、風向きの変動にも対応できる最良な相対角度で回転させることができる。さらに、暴風時には、回転力を低減させ暴走を防止可能となり、また、回転を停止させる際には負荷を低減させた後に停止可能となる。よって、簡素な構成でありながら、風力に応じて回転数を調整できかつ暴走も防止することが可能となる。
また、外側羽根体2と内側羽根体3との相対角度を回転数に応じて調整するので、相対角度の適切な調整が可能となる。
また、内側羽根体用ギア7の内周面および回転軸31の下方部31Aがヘリカルギアに形成されているので、外側羽根体2と内側羽根体3との相対角度を容易に調整することができる。
また、駆動部8は、回転が停止している際には蓄電装置5に蓄電されている電力を用いて内側羽根体用ギア7を変位させるので、外側羽根体2および内側羽根体3の回転が停止していても、外部の動力を用いずに、初動期を含めて総ての相対角度の調製を発生した電力によってまかなうことができる。
たとえば、上述の説明では、外羽根23の前端部に内羽根32の後端部を近接させることにより垂直側風力発電機1の回転数を調整するとしたが、外羽根23の後端部に内羽根32の前端部を近接させることにより垂直型風力発電機1の回転数を調整してもよい。
また、内羽根32を断面が翼形の断面形状とし、外羽根23をヨットの帆が描く弧の断面形状として、内羽根32を通過した風を外羽根23で受けるようにすれば、内羽根32では揚力を推進力とし、外羽根23では抗力を推進力とすることが可能となる。
このように、回転力を向上可能な組み合わせであれば、その羽根形状は特に限定されず、たとえば、外羽根を翼形、内羽根を平板として、内羽根をフラップとして作動させて始動性を向上させるようにしてもよい。
また、ヘリカルギアに替えて、円弧歯型や揺動内接噛合遊星歯車を用いても良い。具体的にはサイクロ減速機の機構を応用する例を挙げることができる。
実験は、小型の垂直型風力発電機を用いて、外側羽根体を風に対して十字の位置になるようにして内側羽根体の相対角度を5°間隔でずらしながら、各相対角度における起動トルクの大きさを測定することとした。なお、このときの相対角度は、垂直型風力発電機を上方から見た状態において、外羽根の前方側に内羽根が位置する状態を正とし、外羽根の後方側に内羽根が位置する状態を負とした。
垂直型風力発電機は、外羽根が、長さ約300mm、幅約50mm、内羽根が、長さ約255mm、幅約50mmのものとし、外羽根の各羽根から回転軸までの長さが約150mm、内羽根の各羽根から回転軸までの長さが約145mmのものとした。いずれの羽根も紡錘形状であり、上方からみた状態において、羽根が接線方向に対して約10°上を向くようにして支持棒に取り付けた。また、起動トルクの測定は、回転軸から約110mmの位置におもりを取り付け、垂直型風力発電機に対して送風し、持ち上がったおもりの値から算出した。
風速は、1.2m/s(弱)、2.1m/s(中)、3.8m/s(強)の3段階とした。
実験の結果を表にしたものを図8に示した。
表に示したように、実験の結果は、外側羽根体と内側羽根体との相対角度が35°の場合の起動トルクが最も大きくなり、外側羽根体と内側羽根体との相対角度が−5°の場合の起動トルクが最も小さくなった。この実験からは、少なくとも、暴風時には羽根が遮蔽される位置関係となると、回転数が小さくなることが確認できた。また、遮蔽されていない相対角度の場合であっても、その角度により大きくトルクが変動することも確認できる。すなわち、風力に応じて相対角度を変動させることにより、たとえば、モータの特性に応じて効率的に回転数を変化させ、高効率の出力を得られることが可能であることが確認できた。
2 外側羽根体
3 内側羽根体
5 蓄電装置
7 内側羽根体用ギア
9 検出部
21 上回転軸
22 下回転軸
23 外羽根
31 回転軸
31A 下方部
32 内羽根
43 発電用モータ
Claims (6)
- 回転軸の中心を共通にし、回転対称に配された羽根をもつ外側羽根体と、外側羽根体と略相似形であって外側羽根体に近接した内側を回転する内側羽根体とを有し、暴風時には、外側羽根体と内側羽根体とを重ね合わせて回転数を低下させ、暴風時でないときには、回転数がより大きくなるように前記外側羽根体と前記内側羽根体とを近接させた位置ないし離した位置のいずれかの位置となるようにその相対角度を調整するようにしたことを特徴とする垂直型風力発電機。
- 鉛直方向を向いた回転軸の中心を共通にして回転する外側羽根体と内側羽根体とを有する垂直型風力発電機であって、
前記外側羽根体と前記内側羽根体とは、その相対角度が調整可能であるとともに一定の相対角度を保ったまま前記回転軸を中心に回転可能であり、
前記外側羽根体は、鉛直方向に延伸し前記回転軸を中心に回転対称に配された複数の羽根を有し、
前記内側羽根体は、鉛直方向に延伸し前記外側羽根体の各羽根の軌道に近接した内側に、前記外側羽根体と同様の回転対称形を有する羽根を有し、
暴風時などの所定の風速を超える場合には、前記外側羽根体の各羽根と前記内側羽根体の各羽根とが重なるように前記相対角度を調整して回転数を低下させ、
前記所定の風速以下では、回転数がより大きくなるように前記相対角度を調整するようにしたことを特徴とする垂直型風力発電機。 - 前記垂直型風力発電機は、単一の発電装置を備えるものであり、
前記外側羽根体の回転力と前記内側羽根体の回転力とは、前記単一の発電装置に伝達されるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の垂直型風力発電機。 - 前記外側羽根体および前記内側羽根体の回転数を検出する検出手段をさらに備え、
前記検出手段が検出した回転数に応じて、前記外側羽根体と前記内側羽根体との相対角度を調整するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の垂直型風力発電機。 - ヘリカルギアを用いることにより前記外側羽根体と前記内側羽根体との相対角度を調整するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の垂直型風力発電機。
- 発生した電力の一部を蓄電する蓄電装置をさらに備え、
少なくとも前記外側羽根体および前記内側羽根体の回転が停止している際には、前記蓄電装置に蓄電されている電力を用いて前記外側羽根体と前記内側羽根体との相対角度を調整し、始動性を向上させるようにしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の垂直型風力発電機。
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