JP2007023360A - 帯状転写型材用の電鋳ロールおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光の干渉縞(ホログラム)や絵あるいは写真などの微小な凹凸による紋様を目詰まりの影響を回避しながら高速大量生産する場合に用いる帯状転写型材を作るための電鋳用のロール原版である電鋳ロールおよびこの電鋳ロールの製造方法を提供する。
【解決手段】既存の鮮明な微小凹凸を備える金属薄板31をホルダー32の内周面に設けコーティングしてチタン系のコーティング層34を形成し、裏打ち層36を設けて補強したのち、金属薄板31を溶かすことで、チタン系のコーティング層34に鮮明な微小凹凸を備えて裏打ち層36で補強され耐久性に優れた電鋳ロールを製造する。
【選択図】 図7

Description

この発明は、帯状転写型材用の電鋳ロールおよびその製造方法に関し、光の干渉縞(ホログラム)や絵あるいは写真などの微小な凹凸による紋様を目詰まりの影響を回避しながらブリキやTFS等のスチール缶あるいはアルミ缶等の金属容器やPETボトルなどの合成樹脂容器等に紋様を転写して高速大量生産する場合に用いる帯状転写型材を作るためのロール状原版である電鋳ロールおよびこの電鋳ロールの製造方法に関するものである。
飲料用の缶や食品用の缶等のブリキやTFS等のスチール缶あるいはアルミ缶等の金属容器さらにはPETボトルなどの合成樹脂容器では、缶胴部分などに印刷等によって装飾を施すことが行われており、虹色に光るホログラム(干渉縞)や絵あるいは写真などの紋様を微小な凹凸で表現して金属容器などに付けることで、これまでの印刷による装飾と異なる意匠を施して差別化を図ることが提案されている。
例えば、微小な凹凸紋様の一つであるホログラムを直接金属容器に付ける方法として、例えば特許文献1に開示されたホログラム付容器の製法では、まず、フォトレジスト上にレーザー干渉光を照射して現像し、表面に微小な凹凸を形成し、この凹凸紋様を写し取ったニッケル製の電鋳原版を作成する。そして、このニッケル製の電鋳原版に金属容器の外面を押圧下で転がり接触させて微小な紋様を転写することで、金属容器の外面にホログラム等を再現して付けるようにしている。
また、特許文献2の金属表面にホログラフィ像を転写する方法では、上記と同様にフォトレジストによるマスターホログラム(陽画像)から電鋳によりニッケル製のマザーシム(陰画像)を作成し、このマザーシムから多数の子供のシムとなるシスターシム(陽画像)を同様に電鋳により作成したのち、必要に応じシスターシムのホログラム面を硬化する。さらに、このシスターシムの陽画像を印刷ロールの表面に転写した後、その表面(陰画像)を硬化するなどの処理を施し、この印刷ロールで缶の表面にエンボス加工することで、ホログラフィ像を転写するようにしている。
なお、ホログラムを間接的に付ける方法としてホットスタンピング箔を金属容器の表面に転写して接着するホットスタンプ印刷法があり、例えば特許文献3,4,5などに開示されているように、従来から広く用いられている。
特開平2−32946号公報 特表2002−508539号公報 特開平7−205536号公報 特開平7−315651号公報 特開平9−226770号公報
ところが、ニッケル製の電鋳原版に金属容器の外周面を回転させながら押し当てて微小な凹凸紋様を直接転写する方法や印刷ロールと金属容器との間で圧着・回転しながら微小な凹凸紋様を直接転写する方法のいずれでも、回転する金属容器と電鋳原版や印刷ロールとが接触しているほとんどの部位で、スリップ(ずれ)が生じ、これによってアルミ缶あるいはブリキやTFSなどのスチール缶の金属容器の素材が微小凹凸に噛み込んで目詰まりを起し、数缶乃至数十缶程度しか転写加工ができない。
このため、安定して微小凹凸紋様を転写するためには、毎回微小凹凸紋様が刻印された電鋳原版や印刷ロールをクリーニングする必要があり、高速で大量生産することができないという問題がある。
また、ホットスタンプ印刷法では、金属容器に直接微小凹凸紋様を形成するのとは異なり、ホットスタンピング箔を接着するものであり、高速での大量生産は難しく、接着後に表面被覆等の後処理が必要となるという問題もある。
そこで、微小な凹凸紋様を金属容器等に転写する場合の目詰まりについて鋭意検討を重ねた結果、微小凹凸の硬度を高めるなどの表面処理を施しても微小凹凸を押圧して転写する限り目詰まりによるビルドアップと微小凹凸の摩耗などの問題は避け難いことから、ビルドアップして使えなくなった微小凹凸部を廃棄しながら新生な微小凹凸部を連続的に供給することで、これらの問題を解消できることを見出だした。
すなわち、微小凹凸部と紋様面形成部とを分離した転写型材とすることで、微小凹凸部だけを帯状の転写型材に、レリーフ紋様を紋様面形成型材にそれぞれ形成しておき、缶の加工数に調和して帯状転写型材を僅かずつあるいは缶円周分など移動させるようにし、これによって目詰まりによるビルドアップや微小凹凸の摩耗などの影響を回避して連続した転写を可能とするものである。
このため微小凹凸を備えた帯状の転写型材を効率的に製造する方法の開発が望まれている。
この発明は上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたもので、光の干渉縞(ホログラム)や絵あるいは写真などの微小な凹凸による紋様を目詰まりの影響を回避しながら高速大量生産する場合に用いる帯状転写型材を作るための電鋳用のロール原版である電鋳ロールおよびこの電鋳ロールの製造方法を提供しようとするものである。
上記課題を解決するため、この発明の請求項1記載の帯状転写型材用の電鋳ロールは、補強用の裏打ち層を介して微小凹凸を表面に備えるチタン系のコーティング層を電鋳用の導電性ロールの表面に設けてなることを特徴とするものである。
この帯状転写型材用の電鋳ロールによれば、チタン系のコーティング層を裏打ち層で補強してロール表面に設けることで、鮮明な微小凹凸を備え耐久性に優れた電鋳ロールとすることができ、得られる帯状転写型材により鮮明なホログラムなどを転写できるようになる。
また、この発明の請求項2記載の帯状転写型材用の電鋳ロールは、請求項1記載の構成に加え、前記チタン系のコーティング層の微小凹凸を、金属薄板の微小凹凸表面に当該チタン系のコーティング層を形成し金属薄板を溶解させて構成してなることを特徴とするものである。
この帯状転写型材用の電鋳ロールによれば、既存の鮮明な微小凹凸を備える金属薄板にコーティングしてチタン系のコーティング層を形成して金属薄板を溶かすことで、チタン系のコーティング層の鮮明な微小凹凸を備え耐久性に優れる電鋳ロールにできるようになる。
さらに、この発明の請求項3記載の帯状転写型材用の電鋳ロールの製造方法は、電鋳ロールの表面から引き剥がすようにして帯状転写型材を電鋳する導電性ロールを製造するに際し、前記導電性ロールの外周を覆うホルダーの内周面に微小凹凸を備えた金属薄板を設け、この金属薄板の内周面にチタン系のコーティング層を設け、このチタン系のコーティング層の内周面に補強用の裏打ち層を設けて前記導電性ロールの外周面と一体としたのち、前記金属薄板を溶解するようにしたことを特徴とするものである。
この帯状転写型材用の電鋳ロールの製造方法によれば、既存の鮮明な微小凹凸を備える金属薄板をホルダーの内周面に設けコーティングしてチタン系のコーティング層を形成し裏打ち層を設けて補強したのち、金属薄板を溶かすことで、チタン系のコーティング層に鮮明な微小凹凸を備えて裏打ち層で補強され耐久性に優れた電鋳ロールを製造できるようになり、これを用いて電鋳される帯状転写型材により鮮明なホログラムなどを転写できるようになる。
また、この発明の請求項4記載の帯状転写型材用の電鋳ロールの製造方法は、請求項3記載の構成に加え、前記チタン系のコーティング層を設けた後、前記ホルダー内に環状の補強兼電極板を複数設置し、前記補強用裏打ち層を設けて当該チタン系のコーティング層と当該補強兼電極板を一体化するようにしたことを特徴とするものである。
この帯状転写型材用の電鋳ロールの製造方法によれば、ホルダー内の補強兼電極板とチタン系のコーティング層とを一体化することで、中空ロール状にでき、ロール表面には、鮮明で裏打ち層で補強され耐久性に優れた微小凹凸を備えた電鋳ロールを製造できるようになる。
さらに、この発明の請求項5記載の帯状転写型材用の電鋳ロールは、請求項4記載の構成に加え、前記補強兼電極板と前記補強用裏打ち層とで形成される前記ホルダー内の空間に補強用充填材を注入するようにしたことを特徴とするものである。
この帯状転写型材用の電鋳ロールの製造方法によれば、ホルダー内の空間に注入する補強用充填材で補強することで、一層剛性の高い電鋳ロールを製造できるようにしている。
また、この発明の請求項6記載の帯状転写型材用の電鋳ロールは、請求項4または5記載の構成に加え、前記補強兼電極板に、ロール回転支持用のロール軸部材を連結するようにしたことを特徴とするものである。
この帯状転写型材用の電鋳ロールの製造方法によれば、前記補強兼電極板に、ロール回転支持用のロール軸部材を連結することで、ロール軸部材によって回転支持が可能な電鋳ロールにしている。
この発明の請求項1記載の帯状転写型材用の電鋳ロールによれば、補強用の裏打ち層を介して微小凹凸を表面に備えるチタン系のコーティング層を電鋳用の導電性ロールの表面に設けたので、チタン系のコーティング層を裏打ち層で補強してロール表面に設けることで、鮮明な微小凹凸を備え耐久性に優れた電鋳ロールとすることができ、得られる帯状転写型材により鮮明なホログラムなどを転写することができる。
また、この発明の請求項2記載の帯状転写型材用の電鋳ロールによれば、前記チタン系のコーティング層の微小凹凸を、金属薄板の微小凹凸表面に当該チタン系のコーティング層を形成し金属薄板を溶解させて構成したので、チタン系のコーティング層の鮮明な微小凹凸を備え耐久性に優れる電鋳ロールにすることができる。
さらに、この発明の請求項3記載の帯状転写型材用の電鋳ロールの製造方法によれば、電鋳ロールの表面から引き剥がすようにして帯状転写型材を電鋳する導電性ロールを製造するに際し、前記導電性ロールの外周を覆うホルダーの内周面に微小凹凸を備えた金属薄板を設け、この金属薄板の内周面にチタン系のコーティング層を設け、このチタン系のコーティング層の内周面に補強用の裏打ち層を設けて前記導電性ロールの外周面と一体としたのち、前記金属薄板を溶解するようにしたので、チタン系のコーティング層に鮮明な微小凹凸を備えて裏打ち層で補強され耐久性に優れた電鋳ロールを製造することができ、これを用いて電鋳される帯状転写型材により鮮明なホログラムなどを転写することができる。
また、この発明の請求項4記載の帯状転写型材用の電鋳ロールの製造方法によれば、前記チタン系のコーティング層を設けた後、前記ホルダー内に環状の補強兼電極板を複数設置し、前記補強用裏打ち層を設けて当該チタン系のコーティング層と当該補強兼電極板を一体化するようにしたので、ホルダー内の補強兼電極板で中空ロール状にでき、ロール表面には、鮮明で裏打ち層で補強され耐久性に優れた微小凹凸を備えた電鋳ロールを製造することができるようになる。
さらに、この発明の請求項5記載の帯状転写型材用の電鋳ロールによれば、前記補強兼電極板と前記補強用裏打ち層とで形成される前記ホルダー内の空間に補強用充填材を注入するようにしたので、ホルダー内の空間に注入する補強用充填材で一層剛性の高い電鋳ロールを製造することができる。
また、この発明の請求項6記載の帯状転写型材用の電鋳ロールによれば、前記補強兼電極板に、ロール回転支持用のロール軸部材を連結するようにしたので、ロール軸部材によって回転支持が可能な電鋳ロールにすることができる。
以下、この発明の実施の形態について図面に基づき詳細に説明する。
まず、この発明の帯状転写型材用の電鋳ロールの製造対象である帯状転写型材を用いて行う紋様転写缶の製造原理について図1および図2により説明する。なお、図1は紋様転写缶の外観斜視図、図2は紋様転写缶の製造原理の説明図である。
この紋様転写缶10は、ブリキやTFS(tin-free-steel)等によるスチール缶あるいはアルミニウムによるアルミ缶等の金属缶11の缶胴部11aに微小凹凸紋様12が直接転写されて形成され、この微小な凹凸紋様12によって、例えば光の干渉縞によるホログラム像が見えるようにしたり、微小な凹凸による絵や写真等を表現するようにしたものである。
このような紋様転写缶10の素材となる金属缶11は、例えばアルミニウムやスチールのDI缶などの2ピース缶や缶胴部を溶接した3ピース缶などのいずれの構造の缶であっても良い。なお、紋様転写体としては、金属缶などの金属容器に限らず、PETボトルなどの合成樹脂容器であっても同様に適用できる。
この紋様転写缶10では、転写された微小な凹凸12aと微小な凹凸12aが形成されるレリーフ紋様などの紋様面12bが別々に分離された2つの型材に形成され、これに加えて押圧支持用の型材の3つの型材を用いて一度に転写して微小凹凸紋様12を形成し、ビルドアップ等で使用できなくなった微小凹凸部を廃棄するとともに、新生な微小凹凸部を追加して連続して転写するようにする。
すなわち、図2に製造原理を示すように、この紋様転写缶の転写に用いる3つの型材は、微小凹凸部13aが形成され帯状とされた帯状転写型材13と、この帯状転写型材13を金属缶11の缶胴部11aの外面に当てた状態でこれら帯状転写型材13および金属缶11を両側から挾む紋様面形成型材14および押圧支持型材15とを備えて構成され、例えば図示例のように、紋様面形成型材14を金属缶11の外側に配置し、押圧支持型材15を金属缶11の内側に配置して挾むようにしたり、逆に紋様面形成型材14を金属缶11の内側に配置し、押圧支持型材15を金属缶11の外側に配置して挾むようにする。
この紋様面形成型材14は、例えば図2に示すように、金属缶11の外側である帯状転写型材13の背面に配置されて金属缶11に形成される紋様面(陽画像)12bに対応する紋様面(陰画像)14aが形成され、図2では、一例として三角形と円形に突き出した2つの面が紋様面14aとして設けてあり、この紋様面14aの形状を絵や写真などに対応する形状面(陰画像)としたり、1字ないし複数の文字に対応する形状面(陰画像)やこれらの組み合わせに対応する形状面(陰画像)等とすることで、この紋様面(陰画像)14aに対応した形状の紋様面(陽画像)12bを金属缶11の外面に形成することができる。
このような紋様面形成型材14の紋様面14aとは別に分離して形成される帯状転写型材13は、帯状薄板の表面に微小凹凸部13aが形成されて構成され、この微小凹凸部13aを、例えば凹凸のピッチで0.5〜5μm程度、深さで0.1〜2.0μm程度とし、これによって光の干渉縞によるホログラムが見えるようにしたり、微小な凹凸による絵や写真等を表現するものであり、転写加工によってこの帯状転写型材13の微小凹凸部13aが金属缶11に転写できるものであれば良い。
このような帯状転写型材13の微小凹凸部13aは、図3(a)に示すように、各微小凹凸を独立した突起状としたものであっても、同図(b)に示すように、各微小凹凸が平行な畝状とされたものであっても良く、独立した突起状の場合には各突起を格子状に配列したものでも千鳥状に配列したものであっても良く、光の干渉縞によるホログラムが見える一定の配列であれば良い。
このような帯状転写型材13は、これまでと同様に、例えばフォトレジスト上にレーザー干渉光を照射して表面に微小な凹凸部を形成し、この微小凹凸部を電鋳により写し取って帯状のニッケル製の薄板として作成することができる。
そして、このニッケル製の薄板の電鋳原版を帯状転写型材13とし、金属缶11の外面に当て、帯状転写型材13および金属缶11を両側から紋様面形成型材14と押圧支持型材15とで挾んで押圧することで微小凹凸部13aと紋様面14aとで金属缶11の外面に微小凹凸紋様12のホログラム等を転写して紋様転写缶10を製造することができる。
このような製造原理に基づき紋様転写缶10などを製造するには、微小凹凸を備える長尺な帯状転写型材13が必要であり、この帯状転写型材を効率良く製造する方法のひとつに電鋳法があり、図4に示すように、微小凹凸が表面に形成された電鋳ロール21、例えばチタンでコーティングされた電鋳ロールをめっき浴22、例えばニッケルめっき浴に設置し、この電鋳ロール21にめっきされる金属薄板23、例えばニッケル薄板を連続的に巻き取るようにして製造することができる。
このような電鋳により連続成形することで、微小凹凸が形成された長尺な金属薄板を得ることができ、これを紋様転写用の帯状転写型材20とすることで、光の干渉縞(ホログラム)や絵あるいは写真などの微小な凹凸による紋様を目詰まりの影響を回避しながら被転写体に転写して高速大量生産できるようになる。
この電鋳には、表面に微小凹凸が形成され、少なくとも表面がチタンの電鋳ロール21が必要なる。これは、表面がチタンでないとめっきされた金属薄板23を剥がすことが難しくなるためである。
一方、チタン製のロールの表面に微小凹凸を直接成形加工することは、チタン自体が硬く、粘るということから切削やプレス加工あるいはエキシマ・レーザー加工では、必要な精度の微小凹凸を成形することが困難であり、特殊なレーザー加工が開発されつつあるが実用にまで至っていないのが現状である。
そこで、表面に微小凹凸が形成され、しかも表面をチタンとするこの発明の電鋳ロールの製造方法について、図5〜図9に基づいて具体的に説明する。
図5〜図9は、この発明の帯状転写型材用の電鋳ロールの製造方法の一実施の形態にかかる各工程図である。
この帯状転写型材用の電鋳ロール30の製造には、まず、図3に示すような微小凹凸を備えたニッケルのスタンパーシートとなる金属薄板としてのニッケル製の薄板(ニッケルスタンパー)31を作成する。このニッケル製の薄板31は、例えばフォトレジスト上にレーザー干渉光を照射して表面に微小な凹凸を形成し、この微小凹凸を電鋳により写し取って、例えば300mm×300mm程度のニッケル製の薄板として比較的容易に作成することができる。
この帯状転写型材用の電鋳ロール30の製造には、図5に示すように、電鋳ロール30の外周を覆うことができる分割構造のホルダー32を用いる。このホルダー32は、例えば円周4分割構造とされ、各フランジ部32aの一方に形成したねじ部32bに他方からコイルばね33aを介してボルト33をねじ込むことで熱変形などを許容した締付け力で内周部に円筒面を形成できるようになっている。
このホルダー32の内周面には、微小凹凸を形成した金属薄板31であるニッケルスタンパーの裏面をホルダー32に当てることで微小凹凸を内周側(ホルダー中心側)に向けて取り付け、図5中に拡大して示すように、予めホルダー32に形成した凹部32cに継目を位置させ、溶接用ニッケル板(アンバー)を当ててシーム溶接することで、微小凹凸が連続するように取り付ける。
次に、この金属薄板31が取り付けられたホルダー32の内周面の微小凹凸に向けてチタンのイオンコーティングを行い、図6に示すように、チタンイオンコーティング層34を均一に形成する。このチタンイオコーティング層34は、電鋳ロール30のロール表面をチタンで構成することで、剥離性と耐久性を確保するためのものであり、例えばその厚さを20μm程度としてコーティングする。
この後、ホルダー32の内周面に形成したチタンイオンコーティング層34を電鋳ロール30の外周面に位置させるため、図7に示すように、ホルダー32の軸方向に複数の環状の補強兼電極板35を装着する。これら補強兼電極板35は、例えばステンレス鋼製やチタン製とされ、外径がチタンイオンコーティング層34の内周にわずかな隙間を介して装着できる大きさとされ、軸方向に図示しない連結ロッドで連結されて剛性を確保できる枠状ないしカゴ状とされている。
こうして補強兼電極板35を装着したホルダー32内には、補強用の裏打ち層36を設けることで、チタンイオンコーティング層34と補強兼電極板35とを一体化するとともに、導通可能とする。このため、補強用の裏打ち層36としては、例えばチタンを溶射するチタン溶射層として構成したり、チタン溶射層とアルミニウム溶射層を組み合わせたもので構成する。そして、この補強用の裏打ち層36の厚さは、例えばチタン溶射層とする場合に、0.3〜1.0mm程度とする。
この後、ボルト33を取り外してホルダー32を解体すると、補強兼電極板35の外周面に補強用の裏打ち層36を介してチタンイオンコーティング層34が形成され、最外周にニッケルスタンパーとしての金属薄板31の裏面が露出した状態となったものが得られる。
そして、この補強兼電極板35の最外周の金属薄板31を構成するニッケルを溶解する。例えばホルダー32を外した後、硝酸に漬けることで、ニッケルスタンパーを溶かし、チタンイオンコーティング層34を露出させる。
すると、ニッケルスタンパーである金属薄板31に形成した微小凹凸を反転した微小凹凸のレプリカが形成された状態となる。そして、このチタンイオンコーティング層34の微小凹凸は、反転状態となるものの、鮮明度においてニッケルスタンパーと同程度となり、これまでのチタンイオンコーティング層34の裏面の微小凹凸を利用するものに比べ、格段に鮮明度を向上することができる。
また、チタンイオンコーティング層34が最外周面に位置することで、電鋳ロール30として必要な剥離性と耐久性を確保することもできる。
こうして最外周面に鮮明な微小凹凸を備えた状態から電鋳ロール30を完成するため、図9に示すように、枠状の補強兼電極板35で側面が補強用の裏打ち層36で覆われた円筒空間の内部に補強用充填材として補強用ゴム37を注入して硬化させることで、剛性を高めるとともに、軸方向両端部の補強兼電極板35にそれぞれ円板部38aの中心に回転軸部38bが取り付けられたロール軸部材38をボルト39を介して取り付ける。なお、補強用充填材としては、ゴムのほか樹脂、石膏などの材料を挙げることができる。
これにより、回転軸部38bが両端に突き出し、外周面に金属薄板31の微小凹凸をそのまま反転したチタンイオンコーティング層34を備える電鋳ロール30を完成することができる。
このような帯状転写型材用の電鋳ロール30によれば、電鋳用の金属製のロール表面にチタン系のコーティング層34による微小凹凸を備えたものとすることができ、ホログラム用などの微小凹凸と金属薄膜の剥離に必要な表面とすることで、電鋳で微小凹凸を備える帯状のニッケルや鉄などの金属薄膜を連続成形することができる。
したがって、この金属薄膜を紋様転写用の帯状転写型材とすることで、光の干渉縞(ホログラム)や絵あるいは写真などの微小な凹凸による紋様を目詰まりの影響を回避しながら被転写体に転写して高速大量生産することができる。
この発明が適用される紋様転写缶の外観斜視図である。 この発明が適用される紋様転写缶の製造原理の説明図である。 この発明が適用される帯状転写型材の微小凹凸部の部分拡大斜視図である。 この発明の紋様転写用の帯状転写型材の一実施の形態にかかる概略説明図である。 この発明の帯状転写型材用の電鋳ロールの一実施の形態にかかる一部分を拡大した概略断面図である。 この発明の帯状転写型材用の電鋳ロールの他の一実施の形態にかかり、(a)はロール芯材の正面図および横断面図、(b)は電鋳ロールの縦断面図および横断面図である。 この発明の帯状転写型材用の電鋳ロールの一実施の形態にかかるそれぞれ継目部分の拡大断面図である。 この発明の帯状転写型材用の電鋳ロールの他の一実施の形態にかかる概略断面図である。 この発明の帯状転写型材用の電鋳ロールのさらに他の一実施の形態にかかる概略断面図である。
符号の説明
10 紋様転写缶
11 金属缶
11a 缶胴部
12 微小凹凸紋様
12a 微小な凹凸
12b 紋様面
13 帯状転写型材
13a 微小凹凸部
14 紋様面形成型材
14a 紋様面
15 押圧支持型材
20 紋様転写用の帯状転写型材
21 電鋳ロール
22 めっき浴
23 金属薄板
30 帯状転写型材用の電鋳ロール
31 ニッケル製の薄板(金属薄板)
32 ホルダー
32a フランジ部
32b ねじ部
32c 凹部
33 ボルト
33a コイルばね
34 チタンイオンコーティング層
35 補強兼電極板
36 補強用の裏打ち層
37 補強用ゴム(補強用充填材)
38 ロール軸部材
38a 円板部
38b 回転軸部
39 ボルト

Claims (6)

  1. 補強用の裏打ち層を介して微小凹凸を表面に備えるチタン系のコーティング層を電鋳用の導電性ロールの表面に設けてなることを特徴とする帯状転写型材用の電鋳ロール。
  2. 前記チタン系のコーティング層の微小凹凸を、金属薄板の微小凹凸表面に当該チタン系のコーティング層を形成し金属薄板を溶解させて構成してなることを特徴とする請求項1記載の帯状転写型材用の電鋳ロール。
  3. 電鋳ロールの表面から引き剥がすようにして帯状転写型材を電鋳する導電性ロールを製造するに際し、前記導電性ロールの外周を覆うホルダーの内周面に微小凹凸を備えた金属薄板を設け、この金属薄板の内周面にチタン系のコーティング層を設け、このチタン系のコーティング層の内周面に補強用の裏打ち層を設けて前記導電性ロールの外周面と一体としたのち、前記金属薄板を溶解するようにしたことを特徴とする帯状転写型材用の電鋳ロールの製造方法。
  4. 前記チタン系のコーティング層を設けた後、前記ホルダー内に環状の補強兼電極板を複数設置し、前記補強用裏打ち層を設けて当該チタン系のコーティング層と当該補強兼電極板を一体化するようにしたことを特徴とする請求項3記載の帯状転写型材用の電鋳ロールの製造方法。
  5. 前記補強兼電極板と前記補強用裏打ち層とで形成される前記ホルダー内の空間に補強用充填材を注入するようにしたことを特徴とする請求項4記載の帯状転写型材用の電鋳ロールの製造方法。
  6. 前記補強兼電極板に、ロール回転支持用のロール軸部材を連結するようにしたことを特徴とする請求項4または5記載の帯状転写型材用の電鋳ロールの製造方法。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008111173A (ja) * 2006-10-31 2008-05-15 Toyo Seikan Kaisha Ltd 帯状転写型材用の電鋳ロールおよびその製造方法
KR101781918B1 (ko) * 2016-10-11 2017-09-26 김휘호 극 박막 제조용 회전 음극드럼의 제조방법

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