JP2007023261A - 被膜形成用塗布液及びその被膜並びに被膜形成方法 - Google Patents
被膜形成用塗布液及びその被膜並びに被膜形成方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2007023261A JP2007023261A JP2006140562A JP2006140562A JP2007023261A JP 2007023261 A JP2007023261 A JP 2007023261A JP 2006140562 A JP2006140562 A JP 2006140562A JP 2006140562 A JP2006140562 A JP 2006140562A JP 2007023261 A JP2007023261 A JP 2007023261A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- coating
- film
- formula
- polysiloxane
- forming
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Liquid Crystal (AREA)
- Materials Applied To Surfaces To Minimize Adherence Of Mist Or Water (AREA)
- Paints Or Removers (AREA)
- Formation Of Insulating Films (AREA)
Abstract
Description
この保護膜を形成するための塗布液として、テトラアルコキシシラン等の珪素化合物を加水分解縮重合させたポリシロキサンを主成分とする熱硬化型塗布液の開発がなされてきている。しかしながら、このような熱硬化型の塗布液は、被膜形成時の熱処理温度が基材の耐熱温度等によって制約されるため、被膜が充分に硬化せず、充分な耐擦傷性を得ることができない場合があり、熱処理温度の低温化が課題となっていた。
即ち、本発明は以下の要旨を有する。
(1)式(1)で表される硅素化合物を必須成分として縮重合して得られるポリシロキサン(A)と、式(2)で表される化合物(B)と、を含有することを特徴とする被膜形成用塗布液。
(2)ポリシロキサン(A)が、式(1)で表される硅素化合物のうちの少なくとも1種と、式(3)で表される硅素化合物のうちの少なくとも1種とを縮重合して得られるポリシロキサンである上記(1)に記載の被膜形成用塗布液。
(3)ポリシロキサン(A)が、式(1)の硅素化合物の1モルに対し式(3)の硅素化合物を0.02〜0.80モルの割合で縮重合して得られるポリシロキサンである上記(2)に記載の被膜形成用塗布液。
(4)ポリシロキサン(A)が、式(1)で表される硅素化合物のうちの少なくとも1種と、式(4)で表される硅素化合物のうちの少なくとも1種とを縮重合して得られるポリシロキサンである上記(1)に記載の被膜形成用塗布液。
(5)ポリシロキサン(A)が、式(1)で表される硅素化合物のうちの少なくとも1種と、式(4)で表される硅素化合物のうちの少なくとも1種と、式(5)で表される硅素化合物のうちの少なくとも1種とを縮重合して得られるポリシロキサンである上記(4)に記載の被膜形成用塗布液。
(6)ポリシロキサン(A)の硅素原子の1モルに対し化合物(B)を0.06〜0.20モル含有する上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の被膜形成用塗布液。
(7)ポリシロキサン(A)が、式(1)で表される硅素化合物を必須成分として加水分解縮重合して得られるポリシロキサンである上記(1)乃至(6)のいずれかに記載の被膜形成用塗布液。
(8)ポリシロキサン(A)が、式(1)で表される硅素化合物を必須成分とする硅素化合物、溶媒及び蓚酸の混合物を加熱して得られるポリシロキサンである上記(1)乃至(7)のいずれかに記載の被膜形成用塗布液。
(9)上記(1)乃至(8)のいずれかに記載の被膜形成用塗布液を用いて得られる被膜。
(10)上記(1)乃至(8)のいずれかに記載の被膜形成用塗布液を基材に塗布し、温度40°〜70°Cで硬化して得られる硬化被膜。
(11)上記(4)又は(5)に記載の被膜形成用塗布液を基材に塗布し、温度40°〜70°Cで硬化して得られる撥水性被膜。
(12)上記(11)に記載の撥水性被膜を有する反射防止基材。
(13)上記(11)に記載の撥水性被膜を有する反射防止フィルム。
(14)上記(1)乃至(8)のいずれかに記載の被膜形成用塗布液を基材に塗布し、温度40°〜70°Cで硬化することを特徴とする被膜形成方法。
<ポリシロキサン(A)>
本発明に用いるポリシロキサン(A)は、式(1)で表される硅素化合物を必須成分として、縮重合して得られる。
式(1)のR1は、炭化水素基を表し、炭素数が少ない方が反応性が高いので、炭素数1〜5の飽和炭化水素基が好ましい。より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基である。
このようなテトラアルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられ、市販品として容易に入手可能である。
本発明においては、式(1)で表される硅素化合物のうちの少なくとも1種を用いればよいが、必要に応じて複数種を用いてもよい。
また、ポリシロキサン(A)は、式(1)で表される硅素化合物と式(3)で表される硅素化合物とを縮重合させたものでもよい。
式(3)の硅素化合物は、アルコキシ基を1、2又は3個有するアルコキシシランであり、R7はそれぞれ炭化水素基である。即ち、nが1又は2の場合、一般的にはR7が同一の場合が多いが、本発明においては、R7は同一でも、それぞれ異なっていてもよい。
このような、式(3)で表される硅素化合物の具体例を以下に示す。
本発明においては、式(3)で表される硅素化合物のうちの少なくとも1種を用いればよいが、必要に応じて複数種を用いてもよい。
なお、本発明においては、式(1)で表される硅素化合物と併用する式(3)で表される硅素化合物の量は特に限定されないが、式(1)で表される硅素化合物の1モルに対して0.02〜0.80モルが好ましい。
このような式(4)で表される硅素化合物の中でも、式(4´)で表される硅素化合物が好ましい。
このような式(4´)で表される硅素化合物の具体例として、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
本発明の撥水性被膜形成用塗布液においては、式(4)で表される硅素化合物のうちの少なくとも1種を用いればよいが、必要に応じて複数種を用いてもよい。
また、ポリシロキサン(A)は、式(1)及び式(4)で表される硅素化合物と式(5)で表される硅素化合物とを縮重合させたものでもよい。
このような、式(5)で表される硅素化合物の具体例を以下に示す。
本発明においては、式(5)で表される硅素化合物を必要に応じて複数種用いることもできる。
なお、本発明においては、式(1)及び式(4)で表される硅素化合物と併用する式(5)で表される硅素化合物の量は特に限定されないが、式(1)及び式(2)で表される硅素化合物中の硅素原子の合計量の1モルに対して0.02〜0.80モルが好ましい。
本発明に用いるポリシロキサン(A)は、一般的には、公知の方法で、加水分解・縮重合して得ることができる。最も広く知られている方法としては、硅素化合物が溶媒に溶解した溶液に、純水又は純水と溶媒の混合溶液を滴下等の方法で加え、温度40℃以上で数時間以上加熱・撹拌する、加水分解法である。この方法において、用いる純水の量は、完全加水分解及び部分加水分解の目的に応じて任意に適宜選択される。通常は、硅素化合物の全アルコキシ基に対して、0.4〜4倍モルの量である。本発明においては、完全加水分解及び部分加水分解のいずれを用いてもよい。そして、この加水分解法においては、加水分解・縮重合の反応を促進するために、酸又はアルカリを触媒として添加することが一般的である。この酸触媒としては、塩酸、硫酸や硝酸等の無機酸や酢酸、蓚酸や蟻酸等の有機酸が挙げられる。アルカリ触媒としては、ナトリウム、カリウム、アンモニア等の無機アルカリや、各種アミン類が用いられる。加熱温度及び加熱時間は、適宜必要に応じて選択できる。例えば、50℃で24時間加熱・撹拌したり、還流下で8時間加熱・撹拌する等の方法が挙げられる。なお、硅素化合物が加水分解・縮重合する限りにおいては、加熱せずに、室温下で撹拌する方法も使用可能である。
上記の方法に用いられる溶媒は、式(1)及び式(3)、又は式(1)及び式(4)、又は式(1)、式(4)及び式(5)で表される硅素化合物を溶解するものであれば特に限定されない。一般的には、硅素化合物の縮重合反応によりアルコールが生成するため、アルコール類やアルコール類と相溶性の良好な有機溶媒が用いられる。
このような有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
本発明においては、上記の有機溶媒を複数種混合して用いてもよい。
本発明に用いる化合物(B)は、式(2)で表される尿素及びその誘導体である。
従って、式(2)のR2、R3、R4及びR5はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜12の有機基であり、好ましくは、R2、R3、R4及びR5がそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜5の有機基である。
このような尿素及びその誘導体の具体例として、尿素、1,1−ジメチル尿素、1,1−ジエチル尿素、1,3−ジメチル尿素、1,3−ジエチル尿素、テトラメチル尿素、テトラエチル尿素、ヒドロキシエチル尿素、ヒドロキシプロピル尿素、エチル尿素、プロピル尿素等が挙げられる。
このような化合物(B)の含有量は、ポリシロキサン(A)中の硅素原子の1モルに対して0.06モル以上の場合、低温で硬化し易いので好ましい。また、化合物(B)の含有量が0.20モル以下の場合、撥水性被膜が透明で、ムラがなく、高い被膜硬度を得易いので好ましい。
本発明においては、本発明の効果を損なわない限りにおいて、ポリシロキサン溶液(A)及び化合物(B)以外のその他の成分、例えば、無機微粒子、レベリング剤、更に界面活性剤等の成分が含まれていてもよい。
無機微粒子の分散媒としては、水及び有機溶剤を挙げることができる。コロイド溶液としては、被膜形成用塗布液の安定性の観点から、pH又はpKaが2〜10に調整されていることが好ましい。より好ましくは3〜7である。
また、レベリング剤及び界面活性剤等は、公知のものを用いることができ、特に市販品は入手が容易なので好ましい。
本発明の被膜形成用塗布液を調整する方法は特に限定されない。ポリシロキサン(A)と化合物(B)が均一に混合した状態であればよい。通常、ポリシロキサン(A)は、硅素化合物を溶媒中で縮重合し、溶液の状態で得られる。そのため、硅素化合物を縮重合して得られるポリシロキサン(A)の溶液(以下、ポリシロキサン(A)の溶液と称す。)をそのまま用いて、化合物(B)と混合する方法が簡便である。また、必要に応じて、ポリシロキサン(A)の溶液を、濃縮したり、溶媒を加えて希釈したり又は他の溶媒に置換してから、化合物(B)と混合してもよい。更に、ポリシロキサン(A)の溶液と化合物(B)を混合した後に、溶媒を加えることもできる。
この時の被膜形成用塗布液中のSiO2固形分換算濃度は、0.5〜15質量%が好ましく、SiO2濃度が0.5質量%より低いと、一回の塗布で所望の膜厚を得ることが難しく、15質量%より高いと、溶液のポットライフが不足し易い。
希釈や置換等に用いる溶媒は、硅素化合物の縮重合に用いたと同じ溶媒でもよいし、別の溶媒でもよい。この溶媒は、ポリシロキサン(A)及び化合物(B)との相溶性を損なわなければ特に限定されず、一種でも複数種でも任意に選択して用いることができる。
本発明において、被膜形成用塗布液の具体例を以下に挙げる。
[1]ポリシロキサン(A)と化合物(B)を含有する被膜形成用塗布液。
[2]上記[1]と無機微粒子を含有する被膜形成用塗布液。
[3]上記[1]又は[2]とレベリング剤及び界面活性剤の群から選ばれる少なくとも一種を含有する被膜形成用塗布液。
本発明の被膜形成用塗布液は、基材に塗布し、熱硬化することで所望の被膜を得ることができる。塗布方法は、公知又は周知の方法を採用できる。例えば、ディップ法、フローコート法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、エアーナイフコート法等の方法を採用できる。その際、用いる基材は、プラスチック、ガラス、セラミックス等からなる基材を挙げることができ、プラスチックとしては、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、トリメチルペンテン、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、(メタ)アクリロニトリル、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース等の板及びフィルム等が挙げられる。
熱硬化に要する時間は、所望の被膜特性に応じて適宜選択することができるが、通常、1時間から7日間である。低い硬化温度を選択する場合は、硬化時間を長くすることで充分な耐擦傷性を有する被膜を得られやすい。
また、本発明の被膜形成用塗布液は、70℃を超える硬化温度であっても耐擦傷性に優れた被膜を得ることができる。
本実施例における略語の説明。
TEOS:テトラエトキシシラン
MTES:メチルトリエトキシシラン
HTES:ヘキシルトリエトキシシラン
MPS:γ―メルカプトプロピルトリメトキシシラン
MAPS:γ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
GPS:γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
FS−03:3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン
FS−13:トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン
FS−17:ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン
1,1−DMU:1,1−ジメチル尿素
1,3−DMU:1,3−ジメチル尿素
TMU:テトラメチル尿素
HEU:ヒドロキシエチル尿素
BCS:ブチルセロソルブ
[残存アルコキシシランモノマー測定法]
ポリシロキサン(A)の溶液中の残存アルコキシシランモノマーをガスクロマトグラフィー(以下、GCと称す。)で測定した。
GC測定は、島津製作所(株)製 Shimadzu GC−14Bを用い、下記の条件で測定した。
カラム:キャピラリーカラム CBP1−W25−100(25mm×0.53mmφ×1μm)
カラム温度:開始温度50℃から15℃/分で昇温して到達温度290℃(3分)とした。
サンプル注入量:1μL、インジェクション温度:240℃、検出器温度:290℃、キャリヤーガス:窒素(流量30mL/min)、検出方法:FID法。
還流管を備えつけた4つ口反応フラスコにエタノール61.16gを投入し、攪拌下に蓚酸18.01gを少量づつ添加して、蓚酸のエタノール溶液を調製した。次いでこの溶液を加熱し、還流下にTEOS20.83gを滴下した。滴下後、5時間還流し、室温まで放冷してポリシロキサン(A)の溶液(P1)を調製した。このポリシロキサン(A)の溶液(P1)をGCで測定したところ、アルコキシシランモノマーは検出されなかった。
表I−1に示す組成で、合成例1と同様方法でポリシロキサン(A)の溶液(P2〜P4)を得た。その際、合成例1におけるTEOSの代わりに、あらかじめ複数種の硅素化合物(以下、モノマーと称す。)を混合した、モノマー混合物を用いた。
得られたポリシロキサン(A)の溶液(P2〜P4)をそれぞれGCで測定したところ、アルコキシシランモノマーは検出されなかった。
還流管を備え付けた4つ口反応フラスコにエタノール50.11gを投入し、攪拌下にTEOS34.73gを加え、次いで、蓚酸0.15gを水15.01gに溶解した溶液を少量ずつ滴下した。その後、加熱して、1時間還流し、室温まで法令してポリシロキサン(A)の溶液(P5)を調製した。このポリシロキサン(A)の溶液(P5)をGCで測定したところ、アルコキシシランモノマーは検出されなかった。
還流管を備え付けた4つ口反応フラスコにエタノール50.31gを投入し、攪拌下にTEOS31.26gとMPS3.27gとを加え、次いで、蓚酸0.15gを水15.01gに溶解した溶液を少量ずつ滴下した。その後、加熱して、1時間還流し、室温まで法令してポリシロキサン(A)の溶液(P6)を調製した。このポリシロキサン(A)の溶液(P6)をGCで測定したところ、アルコキシシランモノマーは検出されなかった。
300mlナスフラスコにエタノール48.59gを投入し、攪拌下にTEOS34.68gを加え、次いで、60%硝酸水溶液1.74gを水14.99gに加えた希釈溶液を少しずつ滴下した。その後、室温で1時間撹拌してポリシロキサン(A)の溶液(P7)を調製した。このポリシロキサン(A)の溶液(P7)をGCで測定したところ、アルコキシシランモノマーは検出されなかった。
表I−2に示す組成で、ポリシロキサン(A)の溶液、化合物(B)、BCS及びエタノールを混合して、塗布液(Q1〜Q11)を調製した。
また、比較例においては、表I−2に示す組成で、ポリシロキサン(A)の溶液、BCS及びエタノールを混合して、塗布液(T1〜T3)を調製した。
塗布液を室温で1ヶ月間静置した後に、孔径0.45μm、Φ×L:18×22mmの非水系ポリテトラフルオロエチレンフィルター(倉敷紡績(株)製クロマトディスク13N)で100cc濾過し、濾過できるものを○、目詰まりが生じたものを×とした。
また、調整した塗布液(Q1〜Q11及びT1〜T3)を、シリカ被膜付ガラス基板上にバーコーター(No.9)を用いて塗布し、塗膜を形成した。室温で30秒間放置した後、クリーンオーブン中、100℃で5分間乾燥させ、表I−3に示す条件で硬化被膜を形成した。得られた硬化被膜について、下記方法により密着性及び耐擦傷性を評価した。これらの評価方法は下記の通りであり、評価結果は表I−3に示す。
基材上の硬化被膜に1mm間隔で碁盤の目状に100点カットし、セロテープ(登録商標:ニチバン(株)製 24mm幅)を硬化被膜と強く貼り付けた後、セロテープを急激に剥がして硬化被膜の剥離の有無を目視により確認した。剥離がないものを○、剥離があるものを×とした。
硬化被膜を、日本スチールウール(株)製スチールウール#0000を用いて、300g/cm2の荷重で10往復擦り、硬化膜表面の傷の付き方を目視で判定した。
判定基準は以下のとおり。
A:傷無し〜5本、B:傷6〜10本、C:傷11〜20本、D:傷21本以上
化合物(B)を含有しない比較例1〜3は、耐擦傷性がDであり、膜表面に多くの傷が観察された。
調整した塗布液Q1を、シリカ被膜付ガラス基板上にバーコーター(No.9)を用いて塗布し、塗膜を形成した。室温で30秒間放置した後、クリーンオーブン中、100℃で5分間乾燥させ、その後は、硬化のための熱処理を行わなかった。この被膜について、上記した実施例と同様の方法のより、密着性及び耐擦傷性を評価したところ、密着性は○、耐擦傷性はDであった。
[合成例21]
還流管を備えつけた4つ口反応フラスコにメタノール58.56gを投入し、攪拌下に蓚酸18.01gを少量づつ添加して、蓚酸のエタノール溶液を調製した。次いでこの溶液を加熱し、還流下にTEOS(18.75g)とFS−13(4.68g)の混合物を滴下した。滴下後、5時間還流し、室温まで放冷してポリシロキサン(A)の溶液(P21)を調製した。このポリシロキサン(A)の溶液(P21)をGCで測定したところ、アルコキシシランモノマーは検出されなかった。
表II−1に示す組成で、合成例21と同様方法でポリシロキサン(A)の溶液(P2〜P7)を得た。その際、合成例21と同様に、あらかじめ複数種の硅素化合物(以下、モノマーと称す。)を混合して用いた。
得られたポリシロキサン(A)の溶液(P22〜P27)をそれぞれGCで測定したところ、アルコキシシランモノマーは検出されなかった。
表II−2に示す組成で、ポリシロキサン(A)の溶液、化合物(B)、BCS及びメタノールを混合して、塗布液(Q21〜Q31)を調製した。
また、比較例においては、表II−2に示す組成で、ポリシロキサン(A)の溶液、BCS及びメタノールを混合して、塗布液(T21〜T27)を調製した。
塗布液を室温で1ヶ月間静置した後に、孔径0.45μm、Φ×L:18×22mmの非水系ポリテトラフルオロエチレンフィルター(倉敷紡績(株)製クロマトディスク13N)で100cc濾過し、濾過できるものを○、目詰まりが生じたものを×とした。
日本製紙株式会社製ハードコート付きTACフィルム(フィルム厚80μm)を40℃に加熱した5質量%水酸化カリウム(KOH)水溶液に3分浸漬してアルカリ処理を行った後、水洗し、次いで、0.5質量%の硫酸(H2SO4)水溶液に室温で30秒間浸漬して中和させ、水洗、乾燥した。
協和界面科学(株)製の自動接触角計CA−Z型を使用して、純水3マイクロリットルを滴下したときの接触角を測定した。
硬化被膜表面に、ぺんてる(株)製油性ペンを用いて施されたインクを、旭化成(株)製ベンコットM−3を用いて拭き取り、その取り易さを目視で判定した。インクが完全に拭き取れたものを○、それ以外を×とした。
硬化被膜表面に指紋を付着させ、旭化成(株)社製ベンコットM−3を用いて拭き取り、その取り易さを目視で判定した。指紋が完全に拭き取れたものを○、それ以外を×とした。
基材上の硬化被膜に1mm間隔で碁盤の目状に100点カットし、セロテープ(登録商標、ニチバン(株)製 24mm幅)を硬化被膜と強く貼り付けた後、セロテープを急激に剥がして硬化被膜の剥離の有無を目視により確認した。剥離がないものを○、剥離があるものを×とした。
(株)島津製作所製の分光光度計UV3100PCを使用して、波長550nmの光を入射角5度で硬化被膜に入射させて、反射率を測定した。
硬化被膜を、日本スチールウール(株)製スチールウール#0000を用いて、200g/cm2の荷重で10往復擦り、硬化被膜表面の傷の付き方を目視で判定した。
判定基準は以下のとおり。
A:傷無し〜5本、B:傷6〜10本、C:傷11〜20本、D:傷21本以上
溝尻光学(株)製のエリプソメターDVA−36Lを使用して、波長633nmの光における屈折率を測定した。
そして、塗布液(Q21〜Q31)の保存安定性も良好であり、室温で6ヶ月間保存後も安定であった。
更に、実施例21〜31では、1.4以下の低い屈折率と低い反射率という特性が示された。
一方、化合物(B)を有しない塗布液(T21〜T27)を用いた比較例21〜27は、40℃の硬化温度では、耐擦傷性がC又はDという不十分なものであった。
また、表II−3及び表II−4に示されたように、実施例21〜31は、指紋拭き取り性及び油性ペン拭き取り性という防汚特性に優れ、且つ基材との密着性が高いものであった。
調整した塗布液Q21を、上記に示す処理を施したTACフィルム(フィルム厚80μm、波長550nmにおける反射率が4.5%)にバーコーター(No.3)を用いて塗布し、塗膜を形成した。室温で30秒間放置した後、クリーンオーブン中、100℃で5分間乾燥させ、その後は、硬化のための熱処理を行わなかった。この被膜について、実施例21〜31と同様の方法で、水接触角、油性ペン拭き取り性、指紋拭き取り性、密着性、反射率及び耐擦傷性を評価した。その結果、水接触角は100°より大きく(>100°)、油性ペン拭き取り性は○、指紋拭き取り性は○、密着性は○、反射率は1.5%、耐擦傷性はDであった。
また、本発明の撥水性被膜形成用塗布液は、保存安定性に優れ、温度40°C〜70°Cという低温の熱処理で充分に硬化し且つ低屈折率で耐擦傷性に優れる撥水性被膜を提供できる。そのため、特に、反射防止基材に好適に用いることができ、とりわけ、表示素子用の反射防止フィルムに好適に用いることができる。
さらに、前記のような被膜を形成する方法は、本発明の被膜形成用塗布液の優れた保存安定性と共に、工業的に有用である。
Claims (14)
- ポリシロキサン(A)が、式(1)の硅素化合物の1モルに対し式(3)の硅素化合物を0.02〜0.80モルの割合で縮重合して得られるポリシロキサンである請求項2に記載の被膜形成用塗布液。
- ポリシロキサン(A)の硅素原子の1モルに対し化合物(B)を0.06〜0.20モル含有する請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の被膜形成用塗布液。
- ポリシロキサン(A)が、式(1)で表される硅素化合物を必須成分として加水分解縮重合して得られるポリシロキサンである請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の被膜形成用塗布液。
- ポリシロキサン(A)が、式(1)で表される硅素化合物を必須成分とする硅素化合物、溶媒及び蓚酸の混合物を加熱して得られるポリシロキサンである請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の被膜形成用塗布液。
- 請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の被膜形成用塗布液を用いて得られる被膜。
- 請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の被膜形成用塗布液を基材に塗布し、温度40°〜70°Cで硬化して得られる硬化被膜。
- 請求項4又は請求項5に記載の被膜形成用塗布液を基材に塗布し、温度40°〜70°Cで硬化して得られる撥水性被膜。
- 請求項11に記載の撥水性被膜を有する反射防止基材。
- 請求項11に記載の撥水性被膜を有する反射防止フィルム。
- 請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の被膜形成用塗布液を基材に塗布し、温度40°〜70°Cで硬化することを特徴とする被膜形成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006140562A JP4893103B2 (ja) | 2005-06-17 | 2006-05-19 | 被膜形成用塗布液及びその被膜並びに被膜形成方法 |
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005178016 | 2005-06-17 | ||
JP2005178016 | 2005-06-17 | ||
JP2005177434 | 2005-06-17 | ||
JP2005177434 | 2005-06-17 | ||
JP2006140562A JP4893103B2 (ja) | 2005-06-17 | 2006-05-19 | 被膜形成用塗布液及びその被膜並びに被膜形成方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007023261A true JP2007023261A (ja) | 2007-02-01 |
JP4893103B2 JP4893103B2 (ja) | 2012-03-07 |
Family
ID=37784455
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006140562A Active JP4893103B2 (ja) | 2005-06-17 | 2006-05-19 | 被膜形成用塗布液及びその被膜並びに被膜形成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4893103B2 (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011040634A (ja) * | 2009-08-13 | 2011-02-24 | Ulvac Japan Ltd | 多孔質膜の前駆体組成物、多孔質膜及びその作製方法、並びに半導体装置 |
JP2014072248A (ja) * | 2012-09-27 | 2014-04-21 | Asahi Kasei E-Materials Corp | トレンチ埋め込み用縮合反応物溶液、及びトレンチ埋め込み膜の製造方法 |
JP2014173068A (ja) * | 2013-03-12 | 2014-09-22 | Nof Corp | はっ水/はつ油フィルム |
WO2015005333A1 (ja) * | 2013-07-11 | 2015-01-15 | 日産化学工業株式会社 | 高屈折率膜形成組成物 |
JP5957620B2 (ja) * | 2014-03-27 | 2016-07-27 | リンテック株式会社 | 防汚性シート及びその製造方法 |
Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6110043A (ja) * | 1984-06-26 | 1986-01-17 | Asahi Glass Co Ltd | 防汚性を有する低反射率ガラス |
JPH05105424A (ja) * | 1991-10-14 | 1993-04-27 | Toshiba Corp | 反射防止膜の製造方法 |
JPH06157076A (ja) * | 1992-11-13 | 1994-06-03 | Central Glass Co Ltd | 低反射ガラスおよびその製法 |
JPH0782486A (ja) * | 1993-09-13 | 1995-03-28 | Shin Etsu Chem Co Ltd | 室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物 |
JPH09208898A (ja) * | 1995-12-01 | 1997-08-12 | Nissan Chem Ind Ltd | 低屈折率及び撥水性を有する被膜 |
JPH11124514A (ja) * | 1997-10-23 | 1999-05-11 | Jsr Corp | 光硬化性樹脂組成物 |
JP2006093657A (ja) * | 2004-07-09 | 2006-04-06 | Jsr Corp | 有機シリカ系膜およびその形成方法、半導体装置の絶縁膜形成用組成物、ならびに配線構造体および半導体装置 |
-
2006
- 2006-05-19 JP JP2006140562A patent/JP4893103B2/ja active Active
Patent Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6110043A (ja) * | 1984-06-26 | 1986-01-17 | Asahi Glass Co Ltd | 防汚性を有する低反射率ガラス |
JPH05105424A (ja) * | 1991-10-14 | 1993-04-27 | Toshiba Corp | 反射防止膜の製造方法 |
JPH06157076A (ja) * | 1992-11-13 | 1994-06-03 | Central Glass Co Ltd | 低反射ガラスおよびその製法 |
JPH0782486A (ja) * | 1993-09-13 | 1995-03-28 | Shin Etsu Chem Co Ltd | 室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物 |
JPH09208898A (ja) * | 1995-12-01 | 1997-08-12 | Nissan Chem Ind Ltd | 低屈折率及び撥水性を有する被膜 |
JPH11124514A (ja) * | 1997-10-23 | 1999-05-11 | Jsr Corp | 光硬化性樹脂組成物 |
JP2006093657A (ja) * | 2004-07-09 | 2006-04-06 | Jsr Corp | 有機シリカ系膜およびその形成方法、半導体装置の絶縁膜形成用組成物、ならびに配線構造体および半導体装置 |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011040634A (ja) * | 2009-08-13 | 2011-02-24 | Ulvac Japan Ltd | 多孔質膜の前駆体組成物、多孔質膜及びその作製方法、並びに半導体装置 |
JP2014072248A (ja) * | 2012-09-27 | 2014-04-21 | Asahi Kasei E-Materials Corp | トレンチ埋め込み用縮合反応物溶液、及びトレンチ埋め込み膜の製造方法 |
JP2014173068A (ja) * | 2013-03-12 | 2014-09-22 | Nof Corp | はっ水/はつ油フィルム |
WO2015005333A1 (ja) * | 2013-07-11 | 2015-01-15 | 日産化学工業株式会社 | 高屈折率膜形成組成物 |
JP5957620B2 (ja) * | 2014-03-27 | 2016-07-27 | リンテック株式会社 | 防汚性シート及びその製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4893103B2 (ja) | 2012-03-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5382310B2 (ja) | 被膜形成用塗布液、その製造方法、その被膜、及び反射防止材 | |
US7758687B2 (en) | Coating fluid for forming film, and film thereof and film-forming process | |
US8329305B2 (en) | Coating film having low refractive index and water repellency | |
JP5262722B2 (ja) | 低屈折率被膜形成用塗布液、その製造方法及び反射防止材 | |
KR20180036762A (ko) | 모바일 디스플레이 기기의 커버 유리 등에 바람직한 유리 기판 | |
JP4887784B2 (ja) | 低屈折率及び大きい水接触角を有する被膜 | |
JP4893103B2 (ja) | 被膜形成用塗布液及びその被膜並びに被膜形成方法 | |
JP5458575B2 (ja) | 低屈折率被膜形成用塗布液、その製造方法及び反射防止材 | |
JP5293180B2 (ja) | リン酸エステル化合物を含有する被膜形成用塗布液及び反射防止膜 | |
JP5910494B2 (ja) | スプレー塗布用の反射防止被膜形成用塗布液 | |
JP5310549B2 (ja) | 低屈折率被膜形成用塗布液、その製造方法及び反射防止材 | |
KR101538177B1 (ko) | 메르캅토기로 수식한 폴리실록산을 함유하는 반사 방지 피막 형성용 도포액 | |
KR101334496B1 (ko) | 피막 형성용 도포액, 그 제조 방법, 그 피막 및 반사 방지재 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20090312 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20111122 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20111205 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 4893103 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150106 Year of fee payment: 3 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |