JP2007022889A - 歯科補綴物用セラミック焼結体、歯科補綴物及びそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 煩雑な作業であるサンドブラスト処理による表面粗化あるいはカップリング剤処理等の表面処理を施す必要がなく、自然歯との接着性が高められた歯科補綴物の提供を課題とする。
【解決手段】 酸化セリウム(CeO2)を8〜12モル%含有するジルコニア粉末と酸化アルミニウム(Al2O3)粉末とを含有するセラミック原料組成物を成形、焼結して得られ、5〜30%の気孔率を有することを特徴とする歯科補綴物用セラミック焼結体を用いる。
【選択図】 図1
【解決手段】 酸化セリウム(CeO2)を8〜12モル%含有するジルコニア粉末と酸化アルミニウム(Al2O3)粉末とを含有するセラミック原料組成物を成形、焼結して得られ、5〜30%の気孔率を有することを特徴とする歯科補綴物用セラミック焼結体を用いる。
【選択図】 図1
Description
本発明は歯科補綴物用セラミック焼結体、歯科補綴物及びそれらの製造方法に関する。
従来の歯科補綴物は、例えば、以下の特許文献1及び特許文献2に代表されるような工程により製造されていた。
すなわち、特許文献1にはセラミック義歯を製造する方法において、特定の素材を成形し、前記成形素材を金属結合されたダイヤモンド粒子からなる回転工具を用いて回転数10,000〜50,000rpm、送り込み量0.1〜0.5mm/min、送り速度0.3〜3.0cm/s及び工具の表面速度0.5〜9.0m/sで義歯に加工することを特徴とするセラミック義歯の製造方法が開示されており、前記製造方法で用いられるセラミック製の成形素材はその強度を高めるために高密度焼結または溶浸によりセラミックの空隙が緻密化されている。
また、特許文献2には、31〜50MPaの圧粉体強度の整形セラミック圧粉体を予備焼結して予備焼結品を得た後、フライス削り工程により前記予備焼結品を機械加工するステップと、1200〜1650℃の温度範囲で前記機械加工された予備焼結品を高密度焼結するステップとを含む歯科補綴物を作製する方法が記載されている。
前記特許文献1及び特許文献2に記載のような従来の歯科補綴物は何れも高密度焼結又は溶浸処理が施されているために、自然歯と接着するその表面は略平滑面であった。
従って、自然歯に歯科補綴物を接着剤で接着する場合には、その接着性を高めるために、その接着面にアンカー効果を目的としたサンドブラスト処理による表面粗化あるいはカップリング剤処理等の表面処理をする必要であった。しかしながら、前記表面処理等は煩雑な作業であり、省力化したいという要望があった。
特許第3492419号公報
特表2004−527280号公報
本発明は、煩雑な作業であるサンドブラスト処理による表面粗化あるいはカップリング剤処理等の表面処理を施す必要がなく、自然歯との接着性が高められた歯科補綴物の提供を課題とする。
本発明の歯科補綴物用セラミック焼結体は酸化セリウム(CeO2)を8〜12モル%含有するジルコニア粉末と酸化アルミニウム(Al2O3)粉末とを含有するセラミック原料組成物を成形、焼結して得られ、5〜30%の気孔率を有することを特徴とするものである。
また、前記歯科補綴物用セラミック焼結体の製造方法としては、前記セラミック原料組成物を冷間等方加圧法により圧粉して圧粉体を得る圧粉体形成工程と、前記圧粉体を所定の形状に加工してセラミック基体を得る整形加工工程と、前記セラミック基体を1200〜1350℃で焼結してセラミック焼結体基材を得る焼結工程と、前記セラミック焼結体基材を完成品となる歯科補綴物と略同一形状に切削加工して歯科補綴物用セラミック焼結体を得る切削加工工程とを含むことを特徴とする歯科補綴物用セラミック焼結体の製造方法を用いることができる。
さらに、前記歯科補綴物用セラミック焼結体の製造方法としては、前記セラミック原料組成物を完成品となる歯科補綴物と略同一形状の金型を用いて射出成形することにより射出成形体を得る射出成形工程と、前記射出成形体を1200〜1350℃で焼結する焼結工程とを含むことを特徴とする歯科補綴物用セラミック焼結体の製造方法も使用することができる。
また、本発明の歯科補綴物は完成品である歯科補綴物の形状と略同一形状に形成された前記歯科補綴物用セラミック焼結体の自然歯に接着される面以外の表面に第1の陶材からなる厚み5〜50μmの封止層とその表面に第2の陶材からなる陶材層とが形成されたものである。
さらに、前記歯科補綴物は完成品である歯科補綴物の形状と略同一形状に形成された前記歯科補綴物用セラミック焼結体の自然歯に接着される面以外の表面にその表面の気孔が略消失する程度に第1の陶材を塗布した後、焼結して封止層を形成する工程と、前記封止層の表面に第2の陶材を塗布し、前記第1の陶材の焼結温度以下の焼結温度で焼結して陶材層を形成することを特徴とする製造方法により製造することができる。
本発明の歯科補綴物は、煩雑な作業であるサンドブラスト処理による表面粗化あるいはカップリング剤処理等の表面処理を施す必要がなく、自然歯との接着性が高められた歯科補綴物である。また、本発明の歯科補綴物用セラミック焼結体を用いることにより前記歯科補綴物を容易に製造することができる。
本発明の歯科補綴物用セラミック焼結体は酸化セリウム(CeO2)を8〜12モル%含有するジルコニア粉末と酸化アルミニウム(Al2O3)粉末とを含有するセラミック原料組成物を成形、焼結して得られ、5〜30%の気孔率を有することを特徴とするものである。
本発明におけるセラミック原料組成物中の酸化セリウム(CeO2)を8〜12モル%含有するジルコニア粉末及び酸化アルミニウム(Al2O3)粉末の形状や性状等は特に限定されず、焼結体を製造するために用いられている公知のもの、具体的には特許3492419号公報等に記載のものが用いられる。
なお、本発明におけるセラミック原料配合物においては、酸化セリウム(CeO2)を8〜12モル%含有するジルコニア粉末と酸化アルミニウム(Al2O3)粉末との含有割合も特に限定されないが、好ましくは酸化セリウム(CeO2)を8〜12モル%含有するジルコニア粉末が50〜99.5体積%及び酸化アルミニウム(Al2O3)粉末0.5〜50体積%が含有されることが好ましい。前記ジルコニア粉末が50体積%未満の場合には強度が低くなる傾向があり、前記酸化アルミニウムが0.5体積%未満の場合には靭性が低くなる傾向がある。
歯科補綴物用セラミック焼結体は前記セラミック原料組成物を成形、焼結して得られ、5〜30%の気孔率を有することを特徴とするものである。
以下に、本発明の歯科補綴物用セラミック焼結体の製造方法の一例を図1及び図2を参照して詳しく説明する。なお、図1及び図2においては、左側に各工程の説明図、右側に各工程により作製された成形体を示している。
図1(a)に示されるように、セラミック原料組成物を冷間等方加圧法により圧粉して圧粉体を得る圧粉体形成工程においては、冷間等方加圧(CIP:Cold Isostatic Pressing)装置10を用い、セラミック原料組成物を成形モールド10a内に密封し、上パンチ10b及び下パンチ10cを介して圧力を加えて圧粉体1を得る。
なお、セラミック原料配合物には、この際、必要に応じて適宜、例えば、ポリスチレン、パラフィンワックス、ステアリン酸等の公知のバインダーが配合されている。
そして、得られた圧粉体1を図1(b)に示すように、旋盤装置20等を用いて、後述する切削加工工程において切削加工がし易いような円柱状(所定形状)等の形状に加工してセラミック基体2を形成する。
次に、セラミック基体2を図2(a)に示すように熱源30aを備えた焼結炉30内で1200〜1350℃、好ましくは1300〜1350℃で焼結し、セラミック焼結体基材3が形成される。
なお、前記焼結温度が1200℃未満の場合には製造される実用上必要な歯科補綴物の強度を充分に維持することができず、1350℃をこえる場合にはセラミック基体2が緻密に焼結されてその表面が比較的平滑になるために、サンドブラスト等の表面処理を必要とせずに自然歯との接着力を高めるという本発明の効果が充分に得られない場合がある。
本発明の歯科補綴物の製造に用いられる焼結体は、前記のように1200〜1350℃で焼結し、気孔率が5〜30%になるように得られる。
従来の歯科補綴物の製造に用いられていた焼結体においては、例えば、前記気孔率が5%未満程度の緻密な焼結がなされていたが、本発明においては、その気孔率が5〜30%、好ましくは5〜15%になるような焼結条件で焼結させることにより、自然歯等と接着する際にアンカー効果が期待できる程度の開気孔を表面に存在させることができる。
前記気孔率が5%未満の場合には自然歯等と接着する際にその接着面での充分なアンカー効果が得られず、また、30%をこえる場合には強度が低くなり歯科補綴物としての使用が困難である。
また、本発明におけるセラミック原料組成物から得られるセラミック焼結体基材3は気孔率が5〜30%であるとともに、曲げ強度が200MPa以上、さらには400MPa以上であることが好ましい。このように、曲げ強度が200MPa以上の場合には、溶浸や焼結によって緻密化せずとも実用上充分使用することができる。
次に、セラミック焼結体基材3は図2(b)に示されるように、切削ドリル等の切削器具21により完成品となる歯科補綴物と略同一形状に切削加工され、歯科補綴物用セラミック焼結体4が形成される。
なお、切削加工工程では、予めその形状がプログラムされたCAD/CAM装置を用いて完成品となる歯科補綴物と略同一形状に切削加工されることが好ましい。
一方、本発明における歯科補綴物用セラミック焼結体は以下の方法によっても得られる。
すなわち、前記と同様のセラミック原料配合物をCIM(Ceramic Injection Molding)技術により、完成品となる歯科補綴物と略同一形状の金型を用いて射出成形することにより射出成形体を得、得られた射出成形体を前記と同様に1200〜1350℃で焼結することによっても歯科補綴物用セラミック焼結体が得られる。
このようにして得られる気孔率が5〜30%の歯科補綴物用セラミック焼結体は、その表面に開気孔を5〜30%程度有するものであるために、その表面に陶材または接着材料を容易に侵入させることができる。
次に、本発明の歯科補綴物用セラミック焼結体を用いて歯科補綴物を製造する方法を説明する。
前記歯科補綴物用セラミック焼結体は、自然歯に接着される面以外の表面に第1の陶材がその表面の気孔が略消失する程度に塗布された後、焼結されて封止層が形成され、実質上口腔内で露出する部分における開気孔部が埋められる。そして、さらに、封止層の表面に第2の陶材を塗布し、前記第1の陶材の焼結温度以下の焼結温度で焼結される。
なお、本発明においては前記第1の陶材を塗布することにより、自然歯に接着される面以外の表面の開気孔部を埋める。これにより、陶材層を形成する際に陶材が自身の重力により歯科補綴物用セラミック焼結体内部及びその裏側の自然歯に接着される面にまで浸透することを抑制することができ、その自然歯等との接着面の気孔を一定割合で維持することができるために、煩雑な作業であるサンドブラスト処理等を施さないで自然歯との接着性を高めることができる。
次に、封止層の表面に第2の陶材を塗布し、前記第1の陶材の焼結温度以下の焼結温度で焼結することにより陶材層を形成させ、本発明における歯科補綴物が得られる。
前記陶材層を形成するための焼結温度が封止層を形成するための焼結温度以下であるために焼結体内部への陶材侵入を防ぎ、また、熱によるクラック発生の抑制効果が得られる。
本発明の歯科補綴物の製造方法においては、さらに多層の陶材層を設けてもよい。
前記第1、第2及びさらに多層の陶材層を形成するための陶材は特に限定されず、歯科用途に用いられているいわゆるポーセレンとも言われるものであれば、特に制限されなく用いられる。
具体的には、例えば、SiO2、Al2O3、K2O、Na2O、Li2O、ZrO2、CaO、MgO、SnO2、B2O3、CeO2、P2O5、F2O3、La2O3、Sb2O3、BaO、SrO、ZnO、TiO2、CeO2、Y2O3、Tb2O3、及びFe2O3等をその成分とする酸化物セラミック等が挙げられる。
なお、第1の陶材と第2の陶材としては、その熱膨張率の差が0.5×10−6/℃以下であることが好ましい。
前記封止層及び陶材層は、粉末状態の陶材(ポーセレン)を水又は専用に調合された溶媒と練和して基体(前記フレーム等)の表面上に筆のような器具で築盛する方法により形成される。
このようにして得られる本発明の歯科補綴物は前記歯科補綴物用セラミック焼結体の自然歯に接着される面以外の表面に第1の陶材からなる厚み5〜50μmの封止層とその表面に第2の陶材からなる陶材層とが形成された歯科補綴物である。
前記封止層の厚みが5μm未満の場合には、歯科補綴物用セラミック焼結体の表面の気孔を充分に埋めることができないために、陶材層の形成の際に歯科補綴物用セラミック焼結体内部及びその裏側の自然歯に接着される面にまで浸透して接着面の開気孔を消失させるおそれがあり、また、50μmをこえる封止層を形成させるためには、封止層の形成の際に歯科補綴物用セラミック焼結体内部及びその裏側の自然歯に接着される面にまで浸透して接着面の開気孔を消失させるおそれがある。
以下に実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例になんら限定されるものではない。
(実施例1)
酸化セリウムを10モル%含有するジルコニア粉末70体積%と酸化アルミニウム粉末30体積%からなるセラミックス原料配合物を調整した。
酸化セリウムを10モル%含有するジルコニア粉末70体積%と酸化アルミニウム粉末30体積%からなるセラミックス原料配合物を調整した。
そして、得られたセラミックス原料配合物を176MPaの圧力で冷間静水圧プレス成形(CIP成形)することによりφ17.4mm、長さ87mmの圧粉体を得た。
次に、得られた圧粉体を大気中、焼結温度1200℃、保持時間2時間の条件下で常圧焼結し、セラミック焼結体基材を得た。
得られたセラミック焼結体基材は、気孔率が30%の多孔質なものであり、熱膨張率は(10.1×10−6/℃)であった。また、JIS R 1601に規定される方法により室温における3点曲げ強度を測定したところ200MPaであった。
なお、前記気孔率は走査型電子顕微鏡(SEM)による表面観察像から観察される気孔の面積比率を算出したものである。
そして、得られたセラミック焼結体基材を独Hint-ELs社製、DentaCAD systeme dmmxを使用して切削加工して3連歯冠形状の歯科補綴物用セラミック焼結体を得た。
次に、前記歯科補綴物用セラミック焼結体の自然歯に接着される面以外の表面に熱膨張率(9.4×10−6/℃)を有する第1の陶材(GC社製 商品名initial Zr)を筆を用いて塗布した後、850℃で10分間焼結することにより封止層を形成した。
得られた封止層の厚みを測定した結果10μmであった。
なお、前記厚みは封止層が形成された歯科補綴物用セラミック焼結体を形成された封止層に対して垂直方向に切断し、その切断面をSEMにより観察してその観察像から算出した。
そして、前記封止層が形成された歯科補綴物用セラミック焼結体の表面にさらに、第1の陶材と同じ種類の第2の陶材を塗布した後810℃で20分間焼結することにより陶材層を形成した。
SEMで観察した結果、前記歯科補綴物用セラミック焼結体の封止層及び陶材層が形成された面には開気孔は観察されなかった。また、封止層及び陶材層が形成されていない面には直径2.1μm程度の開気孔が観察され、その面の開気孔率は30%であった。
(実施例2)
セラミックス原料配合物から圧粉体を得た後、その焼結温度を実施例1の1200℃の代わりに1350℃で焼結した以外は実施例1と同様にして歯科補綴物用セラミック焼結体を得、同様に評価した。結果を表1に示す。
セラミックス原料配合物から圧粉体を得た後、その焼結温度を実施例1の1200℃の代わりに1350℃で焼結した以外は実施例1と同様にして歯科補綴物用セラミック焼結体を得、同様に評価した。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1と同様の成分割合のセラミックス原料配合物を用いて、射出成形により歯科補綴物用セラミック焼結体を製造した以外は実施例1と同様にして評価した。
実施例1と同様の成分割合のセラミックス原料配合物を用いて、射出成形により歯科補綴物用セラミック焼結体を製造した以外は実施例1と同様にして評価した。
なお、前記射出成形は以下の方法により行なった。
はじめに、前記成分割合のセラミックス原料配合物82質量%と有機バインダー18質量%とを配合して得られる射出成形用材料を調製した。
そして、得られた射出成形用材料を射出温度160℃で歯科フレーム形状の金型に射出し、成形体を得た。
得られた成形体から製品部である歯科フレーム以外のランナー部等の部分を切り落とし、焼結前の3連歯冠形状の歯科補綴物用成形体を得た。
そして、前記歯科補綴物用成形体を実施例1と同様にして、1300℃で焼結し、歯科補綴物用セラミック焼結体を得た。
結果を表1に示す。
(比較例1及び比較例2)
セラミックス原料配合物から圧粉体を得た後、その焼結温度を実施例1の1200℃の代わりに表1に示すように、それぞれ1100℃及び1400℃で焼結した以外は実施例1と同様にして歯科補綴物用セラミック焼結体を得、同様に評価した。結果を表1に示す。
(比較例1及び比較例2)
セラミックス原料配合物から圧粉体を得た後、その焼結温度を実施例1の1200℃の代わりに表1に示すように、それぞれ1100℃及び1400℃で焼結した以外は実施例1と同様にして歯科補綴物用セラミック焼結体を得、同様に評価した。結果を表1に示す。
表1の結果より実施例1で得られた歯科補綴物はその自然歯に接着する部分の気孔率が30%であり、また、その曲げ強度が200MPaであり、開気孔率が比較的高いにも関わらず、曲げ強度も歯科補綴物として実用上充分耐えうる強度であった。また、自然歯に接着する表面に30%の気孔率を有するためにサンドブラスト処理等による表面粗化を施さずとも接着時にアンカー効果を発揮させることができる。
また、前記歯科補綴物は自然歯に接着する部分以外の部分に封止層を形成した後、陶材層が形成されているために、陶材層が焼結体内部にまで浸透して自然歯に接着する部分の気孔を封じることがない。
また、実施例2で得られた歯科補綴物は気孔率が7%であり、また、その曲げ強度が780MPaと曲げ強度が非常に高く、また、表面粗化を施さずとも接着時にアンカー効果を発揮させるに充分な7%の気孔率を有していた。
さらに、実施例3においては射出成形法を用いても同様に、気孔率が18%で、曲げ強度が450MPaである歯科補綴物として実用上充分耐えうる強度を有し、接着時のアンカー効果を期待できる歯科補綴物が得られた。
一方、比較例1において得られた歯科補綴物は気孔率が43%で高すぎるために曲げ強度が70MPaと低くなりすぎ、歯科補綴物として実用上使用に耐えない強度のものが得られ、また、比較例2において得られた歯科補綴物は強度は1000MPaと非常に高いものが得られたが、気孔率が1.5%であり、接着時のアンカー効果が充分に期待できない程度の気孔率を有する歯科補綴物が得られた。
1 圧粉体
2 セラミック基体
3 セラミック焼結体基材
4 歯科補綴物用セラミック焼結体
2 セラミック基体
3 セラミック焼結体基材
4 歯科補綴物用セラミック焼結体
Claims (5)
- 酸化セリウム(CeO2)を8〜12モル%含有するジルコニア粉末と酸化アルミニウム(Al2O3)粉末とを含有するセラミック原料組成物を成形、焼結して得られ、5〜30%の気孔率を有することを特徴とする歯科補綴物用セラミック焼結体。
- 請求項1に記載の歯科補綴物用セラミック焼結体を製造する歯科補綴物用セラミック焼結体の製造方法であって、
前記セラミック原料組成物を冷間等方加圧法により圧粉して圧粉体を得る圧粉体形成工程と、
前記圧粉体を所定の形状に加工してセラミック基体を得る整形加工工程と、
前記セラミック基体を1200〜1350℃で焼結してセラミック焼結体基材を得る焼結工程と、
前記セラミック焼結体基材を完成品となる歯科補綴物と略同一形状に切削加工して歯科補綴物用セラミック焼結体を得る切削加工工程とを、
含むことを特徴とする歯科補綴物用セラミック焼結体の製造方法。 - 請求項1に記載の歯科補綴物用セラミック焼結体を製造する歯科補綴物用セラミック焼結体の製造方法であって、
前記セラミック原料組成物を完成品となる歯科補綴物と略同一形状の金型を用いて射出成形することにより射出成形体を得る射出成形工程と、
前記射出成形体を1200〜1350℃で焼結する焼結工程とを、
含むことを特徴とする歯科補綴物用セラミック焼結体の製造方法。 - 完成品である歯科補綴物の形状と略同一形状に形成された請求項1に記載の歯科補綴物用セラミック焼結体の自然歯に接着される面以外の表面に第1の陶材からなる厚み5〜50μmの封止層とその表面に第2の陶材からなる陶材層とが形成された歯科補綴物。
- 完成品である歯科補綴物の形状と略同一形状に形成された請求項1に記載の歯科補綴物用セラミック焼結体の自然歯に接着される面以外の表面にその表面の気孔が略消失する程度に第1の陶材を塗布した後、焼結して封止層を形成する工程と、
前記封止層の表面に第2の陶材を塗布し、前記第1の陶材の焼結温度以下の焼結温度で焼結して陶材層を形成することを特徴とする歯科補綴物の製造方法。
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