JP6218617B2 - 歯科用ジルコニア質焼結体、クラウン用フレーム、ブリッジ用フレーム - Google Patents

歯科用ジルコニア質焼結体、クラウン用フレーム、ブリッジ用フレーム Download PDF

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Description

本発明は歯冠修復材料として使用される歯科用ジルコニア質焼結体、該焼結体よりなるクラウン用フレーム及びブリッジ用フレームに関する。
近年、歯冠修復材料は高度な審美への要求と金属アレルギーの問題から、更には金属価格が高騰していることから、自然歯に近い審美性と生体親和性に優れたセラミックスへの注目が高まっている。中でもジルコニアは他のセラミックス材料に比べて高靱性・高強度といった優れた機械的特性を有することから主流になりつつある。例えば、特許文献1には、焼結体密度及び強度が高く透光感の優れたジルコニア焼結体が開示されているが、クラウン用フレーム及びブリッジ用フレームとして適用する場合、陶材との接着強度が低いため口腔で陶材の破折や剥離が生じ安全面に劣るという問題がある。この陶材との接着強度を高めるため、アルミナなどの硬い微粒子を高圧でジルコニアフレームに吹き付け、表面に微細な凹凸を付けるブラスト処理が採用されている。しかしながら、ブラスト処理後の表面に亀裂などが生じてフレームの強度が著しく低下するという問題がある。
そこで特許文献2には、陶材との接着性を改善するためジルコニア質焼結体を多孔質化する技術が開示されている。この文献では、陶材が表面の気孔に浸入して高い接着強度が実現できるとしているが、多孔質ジルコニアは緻密質ジルコニアに比べて強度や靱性が低いため、強度が必要とされるオールセラミックスクラウンなどには適用できない。
このような多孔質体の強度低下を防止するため、多孔質体の気孔部に特定のガラスを含侵させて強度と靱性の低下を防止する技術が特許文献3に開示されている。しかしながら、抜歯した部分の歯冠とその両隣の歯冠が一体化したブリッジにおいては、歯冠の連結部下部に大きな応力が集中するため特に高強度が必要であり、ガラス含侵型の多孔質セラミックスは、この大きな応力に耐え得るだけの強度を有するものでは無い。
このように従来の緻密質単体からなる歯科用ジルコニア質焼結体は、陶材との接着強度が低いため陶材の破折や剥離を生じるという問題があり、多孔質単体は緻密質よりも強度や靱性が低いため、高強度を必要する部分には適用できないという問題がある。
一方、現状の歯科用ジルコニアの大部分を占めるYを安定化剤とした部分安定化ジルコニアは、高湿度の低温域で使用すると正方晶系ジルコニアから単斜晶系ジルコニアへ相転移し、その際に生じる体積変化によって微小クラックが多数発生して強度低下につながる低温劣化の問題が指摘されてきた。この低温劣化を克服するため、安定化剤を増やしたり、特許文献1に開示されているようなジルコニア焼結体の結晶粒径を特定範囲に制御する技術などが提案されてきた。しかしながら、口腔のような低温で湿潤な環境下であっても、長期間に渡って咬合力が繰り返し加わるため、唾液などの水分によってジルコニア結晶粒界で応力腐食を生じ低温劣化をきたす。したがって、従来の歯科用ジルコニア質焼結体では信頼性に劣るという問題が指摘されており、低温劣化が抑制された歯科用ジルコニア質焼結体が望まれている。
特開2009−269812号公報 特開2007−22889号公報 特開平5−58835号公報
本発明は、従来のYを安定化剤とした歯科用ジルコニア質焼結体よりも、フレームに使用したとき及び該フレームを陶材と接着したときの破折や剥離などが少なく、低温劣化が抑制された歯科用ジルコニア質焼結体、並びに、該焼結体からなるクラウン用フレーム及びブリッジ用フレームの提供を目的とする。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、従来の緻密質単体で構成されていた歯科用ジルコニア質焼結体を緻密質層と多孔質層の2層構造とすることが極めて有効であることを知見した。そして緻密質層と多孔質層の気孔率、多孔質層の平均気孔径、緻密質層と多孔質層のY/ZrOモル比及び平均結晶粒径を特定範囲に制御することにより、陶材の破折や剥離を抑制することができ、クラウンなどに適用した時の破折が少ない歯科用ジルコニア質焼結体を見出し、本発明を完成させた。
更に、緻密質層と多孔質層のSiO含有量を特定範囲に制御することにより、従来の歯科用ジルコニア質焼結体よりも低温劣化の抑制を実現できることも見出した。
即ち、上記課題は、次の1)〜5)の発明によって解決される。
1) 少なくともZrOとYを含有し、次の(a)〜(f)の要件を満たすことを特徴とする歯科用ジルコニア質焼結体。
(a)緻密質層と多孔質層の2層構造を有する。
(b)緻密質層の気孔率が1.0%以下である。
(c)多孔質層の気孔率が5〜20%である。
(d)多孔質層の平均気孔径が5〜40μmである。
(e)緻密質層及び多孔質層のY/ZrOモル比が2.0/98.0〜5.0/95.0である。
(f)緻密質層及び多孔質層の平均結晶粒径が0.20〜0.50μmである。
2) (g)更にSiOを含有し、緻密質層及び多孔質層のSiO含有量が0.10〜0.50重量%である1)記載の歯科用ジルコニア質焼結体。
3) (h)更にAlを含有し、緻密質層及び多孔質層のAl含有量が0.10〜0.40重量%である1)又は2)記載の歯科用ジルコニア質焼結体。
4) 1)〜3)のいずれかに記載の歯科用ジルコニア質焼結体からなるクラウン用フレーム。
5) 1)〜3)のいずれかに記載の歯科用ジルコニア質焼結体からなるブリッジ用フレーム。
本発明に依れば、従来のYを安定化剤とした歯科用ジルコニア質焼結体よりも、フレームに使用したとき及び該フレームを陶材と接着したときの破折や剥離などが少なく、低温劣化が抑制された歯科用ジルコニア質焼結体、並びに、該焼結体からなるクラウン用フレーム及びブリッジ用フレームを提供できる。
本発明の歯科用ジルコニア質焼結体は、陶材や支台歯を接着する部分を多孔質層とし、高強度が必要な部分を緻密質層とした2層構造とすることにより、従来の緻密質のみからなるものよりも陶材や支台歯との接着性が向上し、陶材やフレームの破折や剥離が少なくなり、信頼性を向上することができる。また、保険適用でない従来の歯科用ジルコニア質焼結体のクラウンやブリッジでは、陶材が破折すると再製が必要となり、患者の経済的な負担が大きかったが、本発明の歯科用ジルコニア質焼結体を使用すれば、このような負担を大幅に軽減できる。更に、低温劣化が抑制されることにより、人口股関節で報告されたジルコニア関節頭の破壊のようなフレームの破壊の可能性を低くすることができる。
このように、本発明の歯科用ジルコニア質焼結体は、従来よりも優れた特性を有するので、歯科用インプラント材料にも使用することができる。
本発明の2層構造の歯科用ジルコニア質焼結体を臼歯部のクラウン用フレームに使用した時の一例を示す図。 従来の歯科用ジルコニア質焼結体を臼歯部のクラウン用フレームに使用した時の一例を示す図。 本発明の2層構造の歯科用ジルコニア質焼結体の緻密質層と多孔質層の境界部を走査型電子顕微鏡で観察した写真。 剪断試験用治具を装着した万能試験機により、陶材を築盛した試料の接合界面に荷重を負荷して剪断試験を行い、接着強度を測定する様子を説明するための模式図。 実施例1の試料と比較例1の試料の破壊荷重試験後の外観写真。(A)実施例1、(B)比較例1 万能試験機を使用した加速劣化試験の3点曲げ試験の模式図。
以下、本発明の歯科用ジルコニア焼結体が充足すべき各要件について詳細に説明する。
(a)緻密質層と多孔質層の2層構造とする点
従来の緻密質単体よりなる歯科用ジルコニア質焼結体は、高強度であるが、陶材との接着強度が低く接着性に劣るため、陶材の破折や剥離が生じるという問題があった。一方、多孔質単体は接着性には優れているが、緻密質よりも強度と靱性が低いため、高強度が必要とされるフレームには適用できなかった。そこで、本発明では、これらの問題を解決するため、緻密質層と多孔質層の2層構造とした。
本発明における多孔質層は、陶材との高い接着強度を得るために設ける。多孔質層があると、陶材築盛時の陶材ペーストが多孔質層の気孔に浸込してアンカー効果が大きくなり、接着性が向上する。同様に接着用レジンセメントが多孔質層の気孔に浸込することにより、支台歯との接着性も向上する。その結果、本発明のジルコニア質焼結体は、ブラスト処理無しでも高い接着性を実現できる。
一方、多孔質層による強度低下を補うため、高強度の緻密質層を多孔質層の下部に設けて、ジルコニアフレーム全体の強度を確保し、フレームの破折を抑制する。
このような本発明の2層構造の歯科用ジルコニア質焼結体を臼歯部のクラウン用フレームに使用した時の一例を図1に示す。また、従来の緻密質単体からなる歯科用ジルコニア質焼結体を使用した時の一例を図2に示す。図1に示すように、本発明の2層構造の焼結体からなるフレームは、陶材を築盛する部分と支台歯と接着する部分に多孔質層が位置し、多孔質層の下部に緻密質層が位置する構造である。
緻密質層と多孔質層の厚みは特に限定されず、歯の種類や形状などに応じて適宜調整できるが、緻密質層と多孔質層の厚み比は10:90〜90:10が好ましく、20:80〜80:20がより好ましい。
なお、本発明の2層構造の歯科用ジルコニア質焼結体について、緻密質層と多孔質層の境界部を走査型電子顕微鏡で観察した写真を図3に示す。この図から解るように、緻密質層と多孔質層との間に境界面が存在しないため層間の結合強度が高く、層が剥離する危険性は極めて低い。
(b)緻密質層の気孔率を、1.0%以下とする点
緻密質層の気孔率は1.0%以下、好ましくは0.8%以下とする。該気孔率が1.0%を越えると、2層構造のジルコニア質焼結体全体の強度が低下する。気孔率の下限は、製造上の限界から0.3%程度である。
本発明でいう気孔率とは下記式により算出したものを指す。なお、かさ密度はアルキメデス法で測定する。
気孔率(%)=〔100−(焼結体かさ密度/理論密度)〕×100
(c)多孔質層の気孔率を、5〜20%とする点
多孔質層の気孔率は5〜20%、好ましくは5〜18%とする。該気孔率が5%未満では、陶材築盛時の陶材ペーストや支台歯固定時の接着用レジンセメントが浸込する気孔が少なくなるため、陶材や支台歯との接着強度が低下する。また多孔質層の気孔率が20%を越えると、ジルコニア質焼結体全体の強度が低下する。気孔率の測定法は前記緻密質層の場合と同様である。
(d)多孔質層の平均気孔径を、5〜40μmとする点
多孔質層の平均気孔径は5〜40μm、好ましくは5〜38μmとする。該平均気孔径が5μm未満では、陶材ペースト及び接着用レジンセメントが気孔に浸込せず、接着強度が低下する。一方、平均気孔径が40μmを越えると、ジルコニア質焼結体全体の強度が低下する。
平均気孔径はジルコニア質焼結体を鏡面仕上げし、走査型電子顕微鏡(測定倍率200〜500倍)により観察し、無作為で100個の気孔径の長径側を測定し、その平均値Dを求めて、下記式により算出する。
平均気孔径(μm)=1.5×D(μm)
(e)緻密質層及び多孔質層のY/ZrOモル比を、2.0/98.0〜5.0/95.0とする点
緻密質層及び多孔質層のY/ZrOモル比は2.0/98.0〜5.0/95.0、好ましくは2.2/97.8〜4.8/95.2とする。なお、ジルコニア原料中に少量含有されることのあるHfOが混入していても良く、ジルコニアとHfOの合計量をZrO量とする。
前記モル比が2.0/98.0未満では、焼結体中の単斜晶系ジルコニア量が増加し、焼結体内部にクラックが発生して、負荷が加わるとクラックが進展しジルコニア質焼結体全体の強度が低下する。一方、前記モル比が5.0/95.0を越えると、立方晶系ジルコニアが増加して正方晶系ジルコニア量が低下するため、正方晶系ジルコニアから単斜晶系ジルコニアへ変態する量が少なくなって応力誘起変態強化の効果が得られず、強度が低下する。単斜晶系ジルコニアの含有量は5容積%以下とする。該含有量は、焼結体表面を鏡面にした試料を用いて、X線回折により、回折角27°〜33°の走査範囲で測定し、下記の式より求める。
なお、X線回折条件は、X線源:CuKα、出力:40kV/40mA、発散スリット:1/2°、散乱スリット:1/2°、受光スリット:0.15mm、スキャンスピード:0.5°/min、走査軸:2θ/θ、モノクロ受光スリット:0.8mm、カウンタ:シンチレーションカウンタ、モノクロメーター:自動モノクロメーターで行う。
本発明では緻密質層と多孔質層のY/ZrOモル比を前記範囲内に調整することにより、多孔質層と緻密質層との間に境界面が存在しない微構造を得ることができる。
(f)緻密質層及び多孔質層の平均結晶粒径を、0.20〜0.50μmとする点
緻密質層及び多孔質層の平均結晶粒径は0.20〜0.50μm、好ましくは0.22〜0.48μmとする。平均結晶粒径が0.20μm未満では、ジルコニア質焼結体中の結晶粒界面積が増加して水による応力腐食が進み易くなり、低温劣化を抑制する効果が低下する。また、結晶粒界面積の増加によって結晶界面での光散乱が多くなり、透光感が失われ、自然歯に近い審美性の再現が難しくなる。一方、平均結晶粒径が0.50μmを越えると、ジルコニア質焼結体全体の強度が低下するだけでなく、正方晶系ジルコニアの熱安定性が低下し、低温劣化を抑制する効果が低下する。
平均結晶粒径は、焼結体表面を鏡面まで研磨加工し、得られた鏡面に熱エッチング又は化学エッチングを施した後、走査型電子顕微鏡(測定倍率1000〜3000倍)で観察して、インターセプト法により10点測定した平均値とする。算出式は次の通りである。
D=1.5×L/n
D:平均結晶粒径(μm)
n:長さL当たりの結晶粒子数
L:測定長さ(μm)
なお、緻密質層と多孔質層の平均結晶粒径は、各特性の安定性を図る上で近似していることが望ましく、緻密質層と多孔質層の結晶粒径比(緻密質層の平均結晶粒径/多孔質層の平均結晶粒径)は0.8〜1.2が好ましく、より好ましくは0.9〜1.1である。
(g)緻密質層及び多孔質層のSiO含有量を、0.10〜0.50重量%とする点
本発明では、緻密質層及び多孔質層に微量のSiOを含有させることにより、SiOがジルコニア結晶粒界に偏析して、結晶粒界近傍のY及び/又はZrOの水との水和反応を抑えて応力腐食を抑制し、低温劣化を抑制する効果があるので好ましい。従来のジルコニア質焼結体におけるSiOは不純物であって、特性向上に何ら寄与することの無い有害成分であり、その含有量は極力低減しなければならなかった。これに対し、本発明におけるSiOは前述したようにジルコニア結晶粒界を制御し、低温劣化の抑制に寄与する成分であり、従来技術とは全く異なるものである。これは、後述する製造方法に記載するように、本発明では極めて微細なSiO粒子からなる微粒子粉末を使用することにより、不純物量よりも多量のSiOを含有させても、ジルコニア結晶粒界に偏析させることが可能となり、ジルコニア結晶粒界を制御することができるからである。
SiO含有量は0.10〜0.50重量%が好ましく、0.15〜0.45重量%がより好ましい。含有量が0.10重量%未満では、SiOの添加効果が得られないし、含有量が0.50重量%を越えると、不純物と反応してジルコニア結晶粒界の3重点にガラス相が多く形成され、応力腐食が進み、低温劣化を抑制する効果が低下する。
(h)緻密質層及び多孔質層のAl含有量を、0.10〜0.40重量%とする点
本発明では、緻密質層及び多孔質層に特定量のAlを含有させることにより、Alがジルコニアの焼結助剤として働き、焼結性が向上する効果があるため好ましい。これにより、緻密質層と多孔質層の収縮率差により発生する接合面に残存する歪みを抑制することができる。更に、焼結後の変形を抑制する効果もあるため、支台歯との適合性に優れ、フレームのような単冠の場合よりも形状が複雑で高い適合精度が要求されるブリッジに対しても好適に使用することができる。
Al含有量は0.10〜0.40重量%が好ましく、0.20重量%を越え、0.40重量%以下がより好ましく、0.30重量%越え、0.40重量%以下が更に好ましい。Al含有量が0.10重量%未満の場合、Alの添加効果が得られない。Al含有量が0.40重量%を越える場合、ジルコニア焼結体内部でAlが粒子として存在する量が多くなるため、ジルコニアとAlの屈折率差による光散乱が多くなって、透光感が失われる。更に、緻密質層と多孔質層間の接合強度の低下や、焼結後の変形が大きくなる。
本発明の歯科用ジルコニア質焼結体は種々の方法で作製できるが、その一例を示す。
本発明では、液相法により精製したジルコニア原料粉末を使用することができる。ジルコニアとYの含有量が所定のモル比となるようにジルコニウム化合物(例えばオキシ塩化ジルコニウム)の水溶液とイットリウム化合物(例えば塩化イットリウム)の水溶液を均一に混合し、加水分解して水和物を得、脱水、乾燥させた後、500〜1000℃で仮焼すれば、不純物の少ないイットリア含有のジルコニア仮焼粉体が得られる。また、ジルコニア原料とY原料を混合することもできる。Yの原料粉末は水酸化物、酸化物等の形態で用いることができる。使用する各原料粉末の純度は99.7%以上、平均粒子径は1.0μm以下とする。各原料粉末の純度が99.7%未満では、原料粉末中に含まれる不純物が多くなり、ジルコニア焼結体の結晶粒界にガラス相を多く形成することになって、強度が低下する。また、平均粒子径が1.0μmを越えると、所定の粉砕・混合・分散の処理時間が長くなり、その結果、粉砕機の摩耗による不純物が多く混入して強度が低下する。平均粒子径の下限値は0.2μm程度である。なお、本発明における不純物とは前述した入荷原料や製造工程から混入する成分であり、主にMgO、CaO、KO、TiO、Fe及びNaO等である。これら不純物の合計量は0.3重量%以下であり、下限は製造工程上の限界から0.05重量%程度である。
SiOを添加する場合には、前記ジルコニア仮焼粉体の粉砕・混合・分散時に酸化物の形態で添加するか、或いは熱分解により残存させることのできるエチルシリケートなどの有機金属化合物の形態で添加しても良い。有機金属化合物の形態で添加するとSiOを均一にジルコニア粉体中に分散させることができる。SiOは一次粒子径が50nm以下の微粒子を使用する。SiO微粒子の一次粒子径が50nmを越えると、SiOがジルコニア結晶粒界に偏析されずに不純物と反応してジルコニア結晶粒界の3重点にガラス相が多く形成され、応力腐食が進み、低温劣化を抑制する効果が低下する。なお、一次粒子径の下限値は5nm程度である。
Alを添加する場合には、Al原料粉末を使用することができる。Al原料粉末の平均粒子径は1.0μm以下である。Al原料粉末の平均粒子径が1.0μmを越える場合、ジルコニア結晶粒界にAlが粒子として析出する量が多くなるため、ジルコニアとAlの屈折率差による光散乱が多くなって、透光感が失われ、自然歯に近い審美性の再現が難しくなる。なお、平均粒子径の下限値は0.2μm程度である。
上記の原料粉末を所定の割合となるように配合し、ポットミル、アトリッションミル、媒体撹拌ミル等の粉砕・混合・分散装置により、水又は有機溶媒を用いて湿式で粉砕・混合・分散する。
粉砕・混合・分散処理で得られるスラリーの平均粒子径は0.2〜0.7μmとする。平均粒子径が0.2μm未満では、成形性が低下し、焼結体内部に微細な内部欠陥を多く含有することになり、強度が低下する。一方、0.7μmを超えると、焼結性が低下して気孔率が高くなり、強度が低下する。粉砕・混合・分散後の粉体の平均粒子径は、粉砕・混合・分散時のスラリー濃度や処理時間の調整などでコントロールすることができる。
なお、本発明における原料粉末及びスラリーの平均粒子径とは、一次粒子が凝集した二次粒子の体積平均粒子径の平均値のことであり、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置などで測定することができる。
粉砕・混合・分散後のスラリーに必要により公知の成形助剤〔例えばアクリル系樹脂、PVA(ポリビニルアルコール)等〕を添加し、スプレードライヤーなどの公知の方法で乾燥させて緻密質層用の成形用粉体を作製する。
多孔質層用の成形用粉体は、前記粉砕・混合・分散後のスラリーに目的の気孔率となるように気孔形成剤を添加した後、公知の攪拌機などで混合すれば得られる。混合後のスラリーに必要により公知の成形助剤(例えばアクリル系樹脂、PVA等)を添加し、スプレードライヤー等の公知の方法で乾燥させて多孔質層用の成形用粉体を作製する。また、前記緻密質層用の成形用粉体に所定量の気孔形成剤を添加して乾式で混合し、多孔質層用の成形用粉体を作製しても良い。
気孔形成剤の平均粒子径は6〜50μmとする。平均粒子径が6μm未満では、多孔質層の平均気孔径が5μm未満となり、接着強度が低下する。一方、平均粒子径が50μmを越えると、多孔質層の平均気孔径が40μmを越え、ジルコニア質焼結体全体の強度が低下する。なお、気孔形成剤の素材としては焼成過程で分解して飛散する有機物が好適であり、例えばポリエチレン樹脂粒子、多糖類粒子、パラフィン系粒子等が使用できる。
気孔形成剤の添加量は10〜50容積%とする。添加量が10容積%未満では多孔質層の気孔率が5%未満になり、接着強度が低下する。一方、添加量が50容積%を越えると、多孔質層の気孔率が20%を越えるため、ジルコニア質焼結体全体の強度が低下する。
スラリーに気孔形成剤を添加する場合は配合したセラミックス粉体の全量に対する添加量とし、乾式で混合する場合は緻密質層用の成形用粉体に対する添加量として、目的の気孔率になるように適宜調整する。
次いで、緻密質層用及び多孔質層用の各成形用粉体を順に金型やゴム型などに充填し、メカプレス成形、ラバープレス成形、CIP成形(静水圧プレス成形)等の公知の方法で成形する。各粉体の投入量により緻密質層と多孔質層の厚みを制御する。
以上のようにして得た成形体を大気中、1350〜1500℃で焼成する。焼成温度が1350℃未満では、単斜晶系ジルコニア量が増加したり緻密質層の気孔率が高くなり、強度が低下する。また、ジルコニアの平均結晶粒径が小さくなるため、低温劣化を抑制する効果が低下する。一方、焼成温度が1500℃を越えると、ジルコニアの平均結晶粒径が大きくなるため、強度が低下し、低温劣化を抑制する効果が低下する。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
〔実施例1〜12、比較例1〜13〕
実施例1〜12及び比較例1〜2と4〜13は、純度99.9%で平均粒子径0.9μmのジルコニア原料粉末、純度99.9%で平均粒子径0.5μmのY原料粉末、純度99.9%で一次粒子径30nmのSiO微粒子粉末、純度99.9%で平均粒子径0.6μmのAl原料粉末を、表1−1、表1−2の実施例及び比較例の各欄に示した組成となるように配合し、水を溶媒として媒体撹拌ミルで粉砕・混合・分散処理を行って各スラリーを得た。これらのスラリーの平均粒子径は、いずれも0.6μmであった。
比較例3は純度99.9%で平均粒子径0.9μmのジルコニア原料粉末、純度99.9%で平均粒子径0.5μmのY原料粉末、純度99.9%で一次粒子径30nmのSiO微粒子粉末、純度99.9%で平均粒子径0.6μmのAl原料粉末を、表1−1、表1−2の比較例3の欄に示した組成となるように配合し、水を溶媒として媒体撹拌ミルで他の実施例及び比較例よりも処理時間を1/2以下に短くして粉砕・混合・分散処理を行い、スラリーを得た。このスラリーの平均粒子径は0.8μmであった。
次いで、上記各スラリーに、バインダーとしてPVAを3重量%添加し、スプレードライヤーで乾燥して緻密質層用の成形用粉体を作製した。
多孔質層用の成形用粉体は、前記各スラリーに多糖類粒子(コーンスターチ)からなる気孔形成剤を添加し、撹拌機で混合した後、スプレードライヤーで乾燥して作製した。
次いで、金型に緻密質層用と多孔質層用の成形用粉体を順に入れて1tonf/cmの圧力でメカプレス成形し、2層構造の各成形体を作製した。なお、比較例1は緻密質層用の成形用粉体のみで、比較例2は多孔質層用の成形用粉体のみで作製した。
次いで、各成形体を、大気中、焼成温度1320〜1550℃で焼成して、焼結体を作製した。得られた各焼結体の特性を表1−1、表1−2に示す。
〔多孔質層と陶材との接着強度の試験〕
試験用の試料として、長さ12mm×幅10mm×厚み2.4mmに加工した緻密質層及び多孔質層の厚みが各1.2mmの2層構造体を使用した。なお、比較例1は緻密質層が2.4mm、比較例2は多孔質層が2.4mmの単相構造体とした。多孔質層側の面に対して、陶材(セラビアンZR、クラレノリタケデンタル社製)を直径5mm×高さ3mmになるように築盛し、陶材メーカー推奨の焼成スケジュールで焼き付けした。なお、比較例1は陶材を築盛する前にブラスト処理を施した。
剪断試験用治具を装着した万能試験機により、図4の模式図に示すように陶材を築盛した試料の接合界面に荷重を負荷し、クロスヘッドスピード1.0mm/minで剪断試験を行い、接着強度を測定した。結果を表1−1、表1−2に示す。なお、表中の接着強度は各試料10本測定時の平均値である。
〔クラウンの破壊荷重試験〕
クラウンとしての強度を評価するため、次のようにしてオールセラミックスクラウンを作製し、上部から荷重を掛けてクラウンが破壊した時の破壊荷重を測定した。
歯科用CAM/CAD(パナソニックデンタル社製)によりチタン製支台歯の計測、ジルコニアフレームの設計、切削加工を行い、2層構造のフレームを作製した。このフレームに陶材(セラビアンZR、クラレノリタケデンタル社製)を築盛・焼成して、オールセラミッククラウンを作製した。なお、比較例1の試料は陶材を築盛する前にブラスト処理を施した。このクラウンをチタン製支台歯に接着用レジンセメント(SAルーティング、クラレメディカル社製)で接着した。接着用レジンセメントが硬化した後、クラウンの上面の中央部に直径7mmの鉄球を介在させ、万能試験機を用いてクロスヘッドスピード0.5mm/minの速度で垂直方向から荷重を負荷して圧縮破壊試験を行い、破壊荷重を測定した。結果を表1−1、表1−2に示す。なお、表中の破壊荷重は各試料10個測定時の平均値である。
表1−1、表1−2に示す接着強度の試験結果から分かるように、実施例は全て接着強度が30MPa以上であり、陶材の破折や脱離を生じることの無い接着強度であった。
これに対し、比較例1、4、6は接着強度が30MPa未満のため、陶材の破折や脱離が危惧される接着強度であった。
また、表1−1、表1−2に示すクラウンの破壊荷重の試験結果から分かるように、実施例の試料の破壊荷重は全て2000N以上と高く、強度が要求されるオールセラミックスクラウンやブリッジに適用できる強度であった。これに対し、比較例の試料は、比較例4、6の試料を除き、破壊荷重が2000N未満であり、強度が要求される部分に適用できるものでは無かった。
実施例1の試料と比較例1の試料について、破壊荷重試験後の試料の外観写真を図5に示す。(A)は実施例1の試料、(B)は比較例1の試料のものである。図5から分かるように、実施例1の試料はジルコニアフレームごと破折しているのに対し、比較例1の試料は陶材が剥離しており破壊形態が全く異なるものであった。比較例1の試料は陶材とジルコニアフレームとの接着強度が低いため、接着強度が低い陶材とフレームの界面に応力が集中して陶材が剥離し、破壊荷重も1850Nと低い値であった。これに対し、実施例1の試料は接着強度が高いために陶材が剥離せず、破壊荷重は2720Nと高い値を示した。即ち、本発明のジルコニアフレームは高い破壊荷重を有し、比較例1の試料よりも陶材やフレームの破折や剥離が生じにくく、高い信頼性を有するものであった。
実施例に比べて比較例1〜13の試料の特性が劣る理由は以下のとおりである。
比較例1の試料は緻密質層単体からなるため、陶材との接着強度が低く、クラウンとしての破壊荷重も低いものであった。
比較例2の試料は多孔質層単体からなるため、クラウンとしての破壊荷重が低いものであった。
比較例3の試料は緻密質層の気孔率が規定範囲を超えているため、クラウンとしての破壊荷重が低いものであった。
比較例4の試料は多孔質層の気孔率が規定範囲未満のため、接着強度が低いものであった。
比較例5の試料は多孔質層の気孔率が規定範囲を超えているため、クラウンとしての破壊荷重が低いものであった。
比較例6の試料は多孔質層の平均気孔径が規定範囲未満のため、接着強度が低いものであった。
比較例7の試料は多孔質層の平均気孔径が規定範囲を超えているため、クラウンとしての破壊荷重が低いものであった。
比較例8の試料はY/ZrOモル比が規定範囲未満のため、単斜晶系ジルコニア量が多くなり、焼結体内部にクラックが発生して強度が低下し、クラウンとしての破壊荷重が低いものであった。
比較例9の試料はY/ZrOモル比が規定範囲を越えているため、正方晶系ジルコニア量が少なくなり応力誘起変態強化の効果が得られず、クラウンとしての破壊荷重が低いものであった。
比較例10の試料は焼成温度が高く、平均結晶粒径が規定範囲を超えているため、クラウンとしての破壊荷重が低いものであった。
比較例11の試料は焼成温度が低く、緻密質層の気孔率が規定範囲未満であり、平均結晶粒径が規定範囲未満のため、クラウンとしての破壊荷重が低いものであった。
比較例12の試料は緻密質層のY/ZrOモル比が規定範囲を越えているため、正方晶系ジルコニア量が少なくなり応力誘起変態強化の効果が得られず、クラウンとしての破壊荷重が低いものであった。
比較例13の試料は多孔質層のY/ZrOモル比が規定範囲未満のため、単斜晶系ジルコニア量が多くなり、焼結体内部にクラックが発生して強度が低下し、クラウンとしての破壊荷重が低いものであった。
実施例1〜12の試料と比較例3〜13の2層構造の試料について、下記の加速劣化試験を行い、強度劣化により低温劣化を評価した。また、焼結後の変形量を評価した。
〔加速劣化試験〕
試験用の試料として、長さ20mm×幅5mm×厚み1.2mmに加工した、緻密質層及び多孔質層の厚みが各0.6mmの2層構造体を使用した。
テフロン(登録商標)製容器を装着した分解容器に蒸留水を入れ、次いで各試料を投入し密閉した。この分解容器を恒温乾燥機に入れて200℃、2気圧の状態で50時間の加速劣化試験を行った。歯科用セラミックス規格であるISO6872に準じた3点曲げ試験を加熱試験前後の試料で行い、強度劣化の割合を評価した。なお、3点曲げ試験は万能試験機を使用し、図6の模式図に示すように各試料をセットし、クロスヘッドスピード1.0mm/min、支点間距離13.5mmで行った。結果を表2に示す。なお、表中の強度劣化は各試料10本測定時の平均値である。
〔変形量の評価試験〕
試験用の試料として、直径60mm×厚み2mmで、緻密質層及び多孔質層の厚みが各1.0mmの円盤状成形体を使用した。成形体を表1−1、表1−2の焼成温度の欄に示した焼成温度で焼成し、この焼結体を定盤上に置いて焼結体と定盤との隙間を測定し、この隙間を変形量とした。結果を表2に示す。なお、表中の変形量は各試料5個測定時の平均値である。
表2の結果から、請求項2の規定範囲を満足する試料は強度劣化が20%以下と小さく、低温劣化を抑制する効果が向上した。これに対し、請求項2の規定範囲を満足しない実施例9〜11と比較例3〜10の試料は強度劣化が30%を越え、低温劣化を抑制する効果が低下した。また、請求項3の規定範囲を満足する試料は変形量が35μm以下と小さく、変形を抑制する効果が向上した。これに対し、請求項3の規定範囲を満足しない実施例11〜12と比較例8〜13は変形量が55μmを越え、変形を抑制する効果が低下した。
各試料の低温劣化を抑制する効果が低下した理由と変形を抑制する効果が低下した理由は、以下のとおりである。
実施例9の試料は緻密質層及び多孔質層のSiO含有量が少ないため、強度劣化が大きく、低温劣化を抑制する効果が低下した。
実施例10の試料は緻密質層及び多孔質層のSiO含有量が多いため、強度劣化が大きく、低温劣化を抑制する効果が低下した。
実施例11の試料は緻密質層及び多孔質層のSiO含有量が少ないため、強度劣化が大きく、低温劣化を抑制する効果が低下した。また、緻密質層及び多孔質層のAl含有量が少ないため、変形を抑制する効果が低下した。
実施例12の試料は緻密質層及び多孔質層のAl含有量が多いため、変形を抑制する効果が低下した。
比較例3の試料は緻密質層及び多孔質層のSiO含有量が多いため、強度劣化が大きく、低温劣化を抑制する効果が低下した。
比較例4の試料は緻密質層及び多孔質層のSiO含有量が少ないため、強度劣化が大きく、低温劣化を抑制する効果が低下した。
比較例5の試料は多孔質層のSiO含有量が多いため、強度劣化が大きく、低温劣化を抑制する効果が低下した。
比較例6の試料は緻密質層のSiO含有量が少ないため、強度劣化が大きく、低温劣化を抑制する効果が低下した。
比較例7の試料は平均結晶粒径が小さいため、強度劣化が大きく、低温劣化を抑制する効果が低下した。
比較例8の試料は平均結晶粒径が大きいため、強度劣化が大きく、低温劣化を抑制する効果が低下した。また、焼成温度が高いため、変形を抑制する効果が低下した。
比較例9の試料は緻密質層及び多孔質層のSiO含有量が少ないため、強度劣化が大きく、低温劣化を抑制する効果が低下した。また、緻密質層及び多孔質層のAl含有量が少ないため、変形を抑制する効果が低下した。
比較例10の試料は多孔質層のSiO含有量が少ないため、強度劣化が大きく、低温劣化を抑制する効果が低下した。また、緻密質層のAl含有量が多いため、変形を抑制する効果が低下した。
比較例11の試料は緻密質層及び多孔質層のAl含有量が少ないため、変形を抑制する効果が低下した。
比較例12の試料は緻密質層のAl含有量が少ないため、変形を抑制する効果が低下した。
比較例13の試料は多孔質層のAl含有量が多いため、変形を抑制する効果が低下した。

Claims (5)

  1. 少なくともZrOとYを含有し、次の(a)〜(f)の要件を満たすことを特徴とする歯科用ジルコニア質焼結体。
    (a)緻密質層と多孔質層の2層構造を有する。
    (b)緻密質層の気孔率が1.0%以下である。
    (c)多孔質層の気孔率が5〜20%である。
    (d)多孔質層の平均気孔径が5〜40μmである。
    (e)緻密質層及び多孔質層のY/ZrOモル比が2.0/98.0〜5.0/95.0である。
    (f)緻密質層及び多孔質層の平均結晶粒径が0.20〜0.50μmである。
  2. (g)更にSiOを含有し、緻密質層及び多孔質層のSiO含有量が、0.10〜0.50重量%である請求項1記載の歯科用ジルコニア質焼結体。
  3. (h)更にAlを含有し、緻密質層及び多孔質層のAl含有量が0.10〜0.40重量%である請求項1又は2記載の歯科用ジルコニア質焼結体。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の歯科用ジルコニア質焼結体からなるクラウン用フレーム。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の歯科用ジルコニア質焼結体からなるブリッジ用フレーム。
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