JP2007022366A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】耐フラットスポット性と走行耐久性に優れている空気入りタイヤ。
【解決手段】ポリエステル繊維の紡糸または延伸工程で2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物で処理した後、150℃〜260℃で熱処理し、さらに、以下の(A)〜(D)からなる処理液を、ブロックドイソシアネート/ラテックスの固形分重量比が0.5/1〜3.0/1となるように処理し、また、下記式(a)と(b)の樹脂付着量が5〜12重量%、かつ100℃でのクリープ率が2.5%以下であるポリエステル繊維コードをベルトカバー材に用いる。(A)キャリアーを含む処理液(B)ブロックドイソシアネート水溶液(C)エポキシ樹脂の分散液(D)レゾルシン−ホルムアルデヒド−ラテックス(RFL)混合液 式(a) …2.0≦IRスペクトルの吸光度比(1510cm-1吸収/2920cm-1吸収)≦5.0 式(b) …8.0≦IRスペクトルの吸光度比(1510cm-1吸収/700cm-1吸収)≦22.0
【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤに関し、特に、良好な耐フラットスポット性と、優れた耐久性を有する空気入りタイヤに関する。
従来、高速道路などを長時間にわたって高速で走行した後などにおいて、車両を長時間にわたって駐車すると、各タイヤにそれが塑性変形を受けたかの如くのフラットスポットが発生し、接地面が特に大きく圧潰変形された状態となる。そして、このようなフラットスポットは、車両の再走行に当って、車両への振動の発生原因となるのみならず、操縦安定性にも影響を与えることがあった。
特に、ナイロン繊維からなるプライを用いたタイヤでは熱伸縮性に富み、換言すれば熱安定性に欠けるため、走行時の発熱によりプライが伸ばされてタイヤの接地部分が変形しやすく、駐車中にタイヤが冷されることでこの接地部分が変形したままとなり、しかも、走り出しても、しばらくはこの接地部分の変形が元に戻りにくいためにフラットスポットの問題が大きかった。
このようなフラットスポットの問題を軽減して、良好な耐フラットスポット性を得るために、例えば、ナイロン66繊維よりも高弾性材料であるポリエステル系繊維をベルトカバー材に使用することが検討されている。
しかし、ナイロン66繊維の場合と比較して、一般にポリエステル系繊維は、ゴムとの接着性が良好ではないために、走行耐久性が劣るのが通常であった。
ここで、ポリエステル系繊維とゴムとの接着性を向上させた先行技術として、ゴム配合物中に埋め込まれた状態で長時間高温に曝露された場合や高温雰囲気下での接着状態の維持性が著しく改良されたゴム補強用ポリエステル繊維材料とその製造方法として、下式(イ)または(ロ)を満足する樹脂を3〜15重量%含有し、ガーレ式コード硬さが6000mg〜20000mgであるゴムとの接着性の改善されたポリエステル繊維材料について提案されている(特許文献1)。
式(イ)…2.0≦IRスペクトルの吸光度比(1510cm-1吸収/2920cm-1吸収)≦5.0
式(ロ)…8.0≦IRスペクトルの吸光度比(1510cm-1吸収/700cm-1吸収)≦22.0
しかし、かかる特許文献1において提案されているポリエステル繊維材料は、現実に空気入りタイヤ中に使用されることについては何ら具体的な使用法について提案するものではなかった。
また、有機繊維コードベルト層を備える空気入りラジアルタイヤのフラットスポットの発生を防止するために、ラジアルカーカスのクラウン部の外周側に、複数枚のベルト層からなるベルトおよびトレッドを順次に配設し、二枚のベルト層を、実質的にタイヤ周方向に延びる有機繊維コードにて構成し、80℃の下での、前記有機繊維コードの貯蔵弾性率(E′)を、1.0×1011(kgf/mm2 )以上とするとともに、荷重3kgfでのクリープ歪(δ)を3%以下としたという空気入りラジアルタイヤに関する提案がされている(特許文献2)。
しかし、かかる特許文献2において提案されている空気入りラジアルタイヤは、有機繊維コードとして、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)、レーヨン、あるいは芳香族ポリアミドなどを用いるというものであり、特に、ポリエステル繊維材料を現実に空気入りタイヤ中に使用することに際しての具体的な使用法について、特別な提案をするものではなかった。
また、 高速耐久性および低騒音化を向上させたラジアルタイヤとして、ベルトカバー材がベルト層全体およびベルト層の両端部を覆って配置され、ベルトカバー材を補強するコードがポリエステルを含んで構成されてタイヤ周方向に対して実質的に平行になるようにエンドレスにラセン状に巻き付けられて配置され、180℃におけるコード−ゴム剥離試験においてもコードにゴムが付着しており、180℃におけるコード−ゴム間の接着力が常温時の接着力の80%以上であるというラジアルタイヤが提案されている(特許文献3)。
しかし、かかる特許文献3において提案されているラジアルタイヤは、良好な耐フラットスポット性とその走行耐久性という点では、いまだ不十分なものであった。
また、本発明の発明者らは、先に、ベルト層を補強するベルトカバー層を改良することにより耐久性の維持とロードノイズの低減を実現した空気入りラジアルタイヤについて提案しているが、良好な耐フラットスポット性とその走行耐久性という点では、いまだ不十分なものであった(特願2004−350968号、特願2005−3312号、特願2005−66421号)。
特開2000−212875号公報(請求項2) 特開平10−297212号公報 特開2001−63312号公報
本発明の目的は、上述したような点に鑑み、良好な耐フラットスポット性を有するとともに、その走行耐久性にも優れている空気入りタイヤを提供することにある。
上述した目的を達成する本発明の空気入りタイヤは、以下の(1) の構成からなる。。
(1)ポリエステル繊維からなり、該ポリエステル繊維が紡糸または延伸工程で2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物で処理された後、150℃〜260℃で熱処理に供され、さらに、処理液として以下の(A)〜(D)の4者の処理液を、ブロックドイソシアネート/ラテックスの固形分重量比が0.5/1〜3.0/1となるように組合せて処理されてなるポリエステル繊維コードであって、下記式(a)および下記式(b)を満足する樹脂の付着量が5〜12重量%であって、かつ100℃下でのクリープ率が2.5%以下であるポリエステル繊維コードをベルトカバー材に用いてなることを特徴とする空気入りタイヤ。
(A)キャリアーを含む処理液
(B)ブロックドイソシアネート水溶液
(C)エポキシ樹脂の分散液
(D)レゾルシン−ホルムアルデヒド−ラテックス(RFL)混合液
式(a) …2.0≦IRスペクトルの吸光度比(1510cm-1吸収/2920cm-1吸収)≦5.0
式(b) …8.0≦IRスペクトルの吸光度比(1510cm-1吸収/700cm-1吸収)≦22.0
また、かかる(1) 記載の本発明の空気入りタイヤにおいて、より具体的に好ましくは、以下の(2)、または(3) の構成からなる空気入りタイヤである。
(2)(A)〜(D)の4者の処理液が、ブロックドイソシアネート/ラテックスの固形分重量比が0.5/1〜3.0/1となるように組合されて処理されるに際し、2段階または3段階のディップ処理にて行なわれてなることを特徴とする上記(1) の空気入りタイヤ。
(3)未走行タイヤでのベルトカバー材の100℃でのプライ間剥離力が、常温時のプライ間剥離力の70%以上の値を有するものであり、かつ、100℃でプライを剥離した後のポリエステル繊維コード上のゴム被覆率が60%以上であることを特徴とする上記(1) または(2) の空気入りタイヤ。
本発明によれば、良好な耐フラットスポット性を有するとともに、その走行耐久性にも優れている空気入りタイヤが提供される。
以下、更に詳しく本発明の空気入りタイヤについて、説明する。
本発明の空気入りタイヤは、ポリエステル繊維からなり、該ポリエステル繊維が紡糸または延伸工程で2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物で処理された後、150℃〜260℃で熱処理に供され、さらに、処理液として以下の(A)〜(D)の4者の処理液を、ブロックドイソシアネート/ラテックスの固形分重量比が0.5/1〜3.0/1となるように組合せて処理されてなるポリエステル繊維コードであって、下記式(a)および下記式(b)を満足する樹脂の付着量が5〜12重量%であって、かつ100℃下でのクリープ率が2.5%以下であるポリエステル繊維コードが、ベルトカバー材に用いられてなるものである。
(A)キャリアーを含む処理液
(B)ブロックドイソシアネート水溶液
(C)エポキシ樹脂の分散液
(D)レゾルシン−ホルムアルデヒド−ラテックス(RFL)混合液
式(a) …2.0≦IRスペクトルの吸光度比(1510cm-1吸収/2920cm-1吸収)≦5.0
式(b) …8.0≦IRスペクトルの吸光度比(1510cm-1吸収/700cm-1吸収)≦22.0
図1は、本発明にかかる空気入りタイヤの一実施態様例を説明する子午線半断面図である。
図1において、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部である。左右一対のビード部3、3間にはカーカス層4が装架され、カーカス層4の端部がビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されている。カーカス層4はタイヤ径方向に延びる複数本の補強コードから構成されている。トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には、2層のベルト層6がタイヤ全周にわたって配置されている。これらベルト層6は、タイヤ周方向に対して傾斜する補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層6の補強コードとしては、スチールコードが使用されている。該ベルト層6の外周側には、上述した本発明にかかるポリエステル繊維コードからなる補強コード8をタイヤ周方向に延長するように配列してなるベルトカバー材7が配置されている。ベルトカバー材7の端部付近には、端部ベルトカバー材7′が配置されていて端部付近を更に補強している。これらの構造は、この図に示した例にのみ限定されるものではなく、ベルトカバー材7は、タイヤ全幅方向にわたり2層以上積層された構造であってもよく、あるいは、端部ベルトカバー材7′は配置されてなくてもよい。このベルトカバー材7は、特に限定されるものではないが、通常は、ベルト層6の外周側に前述したポリエステル繊維コードからなる補強コードをタイヤ周方向に沿って巻き付けることによって形成される。
本発明においては、上述のように、補強コードとして使用されるポリエステル繊維コードに付着される樹脂成分および樹脂付着量を特定することにより、ベルトカバー材の接着状態の維持性(特に、熱時の接着状態の維持性)が良好となり、高速耐久性、走行耐久性が向上するものである。また、特に100℃下でのクリープ率が2.5%以下のポリエステル繊維コードを使用することにより、良好な耐フラットスポット性を達成することができる。
本発明者らの知見によれば、100℃下でのクリープ率が2.5%よりも大きい場合は、良好な耐フラットスポット性を得ることは困難であり、より好ましくは、100℃下でのクリープ率が2.0%以下のポリエステル繊維コードを使用することである。本発明者らの各種知見によれば、通常のポリエステル繊維コードの場合の100℃下でのクリープ率は約4.0%であり、ナイロン66繊維コードの場合では100℃下でのクリープ率は約7.0%である。
特に、100℃下でのクリープ率が2.5%以下のポリエステル繊維コードは、撚り係数αを、α≦2000として、上述の(A)〜(D)の処理液による処理(ディップ処理、シャワー処理、スプレー処理等の処理)を行うことにより製造することができる。
ここで、撚り係数αは、以下の式で求められる値であり、Nは撚り数(回/100mm)、Tは繊度(dtex)である。
撚り係数α=N×√(T/1.111)
本発明においては、特に上述の式(a) および 式(b) を満足しながら、100℃下でのクリープ率が2.5%以下であるポリエステル繊維コードを使用することが重要である。
すなわち、式(a) のIRスペクトルの吸光度比(1510cm-1吸収/2920cm-1吸収)の値が、2.0未満のときには、たとえ100℃下でのクリープ率が2.5%以下でも、ゴムとの接着性が不良のために、タイヤ耐久性が良好ではなく、本発明の所期の効果を得ることは難しい。
また、式(a) のIRスペクトルの吸光度比(1510cm-1吸収/2920cm-1吸収)の値が、5.0よりも大きい値であるときには、たとえ100℃下でのクリープ率が2.5%以下でも、コードの耐疲労性が低下するために、タイヤ耐久性が良好ではなく、やはり本発明の所期の効果を得ることは難しい。
さらにまた、式(b) のIRスペクトルの吸光度比(1510cm-1吸収/700cm-1吸収)の値が、8.0未満のときには、たとえ100℃下でのクリープ率が2.5%以下でも、ゴム接着性が不良のためにタイヤ耐久性が良好ではなく、本発明の所期の効果を得ることは難しい。
また、式(b) のIRスペクトルの吸光度比(1510cm-1吸収/700cm-1吸収)の値が、22.0よりも大きい値であるときには、たとえ100℃下でのクリープ率が2.5%以下でも、コードの耐疲労性が低下するためにタイヤ耐久性が良好ではなく、本発明の所期の効果を得ることは難しい。
さらに、式(a) と式(b) の双方を良好に満足する場合でも、上述したように、特に100℃下でのクリープ率が2.5%以下のものでない場合、すなわち、2.5%よりも大きな値である場合には、コードが伸びやすく、タイヤの変形量が大きくなり、優れた耐フラットスポット性を得ることは難しい。
本発明で用いられるポリエステル繊維コードは、ポリエチレンテレフタレートまたは少量の第3成分を共重合したポリエチレンテレフタレートを溶融紡糸して、かつ、紡糸または延伸工程で2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物で処理した後150℃〜260℃で熱処理して得られた糸条を複数本撚り合わせて形成された撚糸コードである。
該撚糸コードを処理するための処理液(A)〜(D)の処理条件は、上述した式(a)および式(b)により特徴づけられる。処理は、ディップ(浸漬)方式、シャワー方式、スプレー方式などのいずれでもよい。
ここで、1510cm-1の吸収は、芳香族イソシアネートを用いたポリウレタンウレアの吸収であり、ウレタン結合、ウレア結合のN−H基の変角振動と芳香環の吸収が重なった吸収である。また、2920cm-1の吸収は、C−Hの伸縮振動の吸収であり、主にスチレン・ブタジエン共重合体による吸収である。また、700cm-1の吸収は、1置換ベンゼンのC−H面外変角の吸収であり、ポリスチレンによる吸収である。
つまり、式(a)および式(b)は、共に処理液成分のイソシアネートに由来する吸収とラテックスに由来する吸収の吸光度比を表す式である。吸光度比が、それぞれ式(a)および式(b)で特定している下限の値よりも小さいと、つまり、イソシアネートに由来する成分が少ないと十分に良好な接着状態の維持性(特に、熱時の接着状態の維持性)を得ることができず、一方、式(a)および式(b)で特定している上限の値よりも大きいと、つまりラテックスに由来する成分が少ないとコードが硬くなり強力低下、耐疲労性低下といった問題も生じてくるのである。
また、ポリエステル繊維コードに対する式(a)および式(b)を満足する樹脂の付着量は、上述した5〜12重量%であることが重要である。
該樹脂付着量が5重量%より小さいと十分な熱時の接着状態の維持性が確保できず、12重量%より大きいとコードが硬くなり、コードの強力低下や耐疲労性低下、処理液かすの発生量が多くなるなどの点から好ましくない。
本発明で用いられる処理液(A)〜(D)による処理の詳細について説明する。
ポリエステル繊維にゴムとの接着性を付与するに際して、処理液として(A)キャリアーを含む処理液、(B)ブロックドイソシアネート水溶液、(C)エポキシ樹脂の分散液および(D)レゾルシン−ホルムアルデヒド−ラテックス(RFL)混合液の4者を、ブロックドイソシアネート/ラテックスの固形分重量比が0.5/1〜3.0/1となるように組み合わせて、1段または2段以上の多段により処理を施す。
コードの強力、耐疲労性、100℃下でのクリープ率、熱時の接着状態の維持性を両立させるには、処理液(B)ブロックドイソシアネート水溶液と、処理液(D)RFL中のラテックス成分の固形分重量比はブロックドイソシアネート/ラテックス=0.5/1〜3.0/1とする必要がある。
更に好ましくは、処理液(B)ブロックドイソシアネート水溶液と、処理液(D)RFL中のラテックス成分の固形分重量比が、ブロックドイソシアネート/ラテックス=1.0/1〜2.5/1の範囲内にあることである。特に、ブロックドイソシアネート成分が少ないと十分な熱時の接着状態の維持性が確保できず、一方、ラテックス成分が少ないとコードが硬くなり強力低下、耐疲労性低下という問題がある。
処理段数は、1段処理、2段以上の多段処理のいずれでもよいが、第1段の処理浴には少なくとも処理液(A)を、最終段の処理浴には少なくとも処理液(D)を含有することが好ましい。
更に、特に好ましくは、処理段数が2段または3段であり、かつ、第1段処理浴が処理液(A)および処理液(B)を含有していて、第2段および第3段処理浴が処理液(B)、処理液(C)および処理液(D)を含有しているものであることが好ましい。重量比は、処理液(A)/処理液(B)=0.02/1〜0.50/1、更には0.04/1〜0.20/1が好ましい。 特に、本発明においては、好ましくは(A)〜(D)の4者の処理液が、ブロックドイソシアネート/ラテックスの固形分重量比が0.5/1〜3.0/1となるように組合されて処理されるに際して、2段階または3段階のディップ処理によって行なわれてなるものである。このように2段階または3段階のディップ処理を行うことにより、処理液の付着の均一性を実現でき、安定して高性能な空気入りタイヤを製造することができるものである。
キャリアーを含む処理液(A)とは、キャリアーを水に溶解、分散または乳化せしめたものであり、その中にはキャリアー以外の溶剤、分散液、乳化剤あるいは安定剤等の助剤や紡糸油剤等が含有されていてもよい。ここで言うキャリアーとは、ポリエステル繊維内部に浸入拡散し、ポリエステル繊維の膨潤を高め、繊維内部構造を接着剤分子が入りやすいよう変化せしめる物質である。つまり、キャリアー作用を活用してブロックドイソシアネート水溶液、エポキシ樹脂の分散液およびRFL溶液をポリエステル繊維により強固に結合させ、熱時の接着状態の維持性を向上させようとするものである。
キャリアーとして好ましいものは、p−クロルフェノール、o−フェニルフェノール等のフェノール誘導体類、モノクロルベンゼン、トリクロルベンゼン等のハロゲン化ベンゼン類およびレゾルシンとp−クロルフェノールとホルムアルデヒドとの反応生成物等が挙げられる。中でも、特に好ましいのは、レゾルシンとp−クロルフェノールとホルムアルデヒドとの反応生成物である。処理液(D)であるRFL混合液は、レゾルシンとホルマリンを酸またはアルカリ触媒下で反応させて得られる初期縮合物とスチレンブタジエンラテックス、カルボキシル基含有スチレンブタジエンラテックス、スチレンブタジエンビニルピリジンラテックス、アクリロニトリルブタジエンラテックス等の1種または2種以上との混合水溶液であり、レゾルシン、ホルマリン、ラテックスの配合比率は、取り扱い性などを勘案して適宜に定めればよい。
処理液(B)であるブロックドイソシアネート水溶液は、3官能以上、更に好ましくは4官能以上のポリメチレンポリフェニルイソシアネート(2官能のジフェニルメタンジイソシアネートが混合されていてもよい)の混合体であるときに優れた熱時の接着状態の維持性が得られる。イソシアネート基を多官能化すると、同じ樹脂付着量で比較してコードが硬くなる方向であり、樹脂の架橋密度が向上していると考えられ、その結果、樹脂付着量を下げても優れた熱時の接着状態の維持性が得られるという利点がある。
処理液(C)の分散液であるエポキシ樹脂は、特に限定されないが、好ましくは2官能以上の多官能エポキシを用いることにより樹脂の架橋密度が高くなり、優れた熱時の接着状態の維持性が得られる。好ましい例としては、脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテル化合物がある。
本発明においては、特に好ましくは、未走行タイヤでのベルトカバー材の100℃でのプライ間剥離力が、常温時のプライ間剥離力の70%以上の値を有し、かつ、100℃でプライを剥離した後のポリエステル繊維コード上のゴム被覆率が60%以上である空気入りタイヤである。このことは、熱時の接着状態の維持性が良好であることを意味し、高速耐久性、走行耐久性がいっそう向上するものである。かかる未走行タイヤでのベルトカバー材の100℃でのプライ間剥離力が、常温時のプライ間剥離力の70%以上の値を有し、かつ、100℃でプライを剥離した後のポリエステル繊維コード上のゴム被覆率が60%以上である空気入りタイヤは、(A)〜(D)の4者の処理液を、ブロックドイソシアネート/ラテックスの固形分重量比が0.5/1〜3.0/1となるように組合せて処理をするに際して、2段階または3段階のディップ処理を行い、かつ、その条件を適宜に設定することにより得ることができる。
以下、実施例にもとづき本発明の空気入りタイヤの具体的構成、効果について説明をする。なお、本発明で説明に用いた各物性値は、以下の定義、測定方法によるものである。
(1)IR(赤外吸収)スペクトル
本発明にかかる処理液等でディップ処理等をされた処理コードを、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)液に浸漬させ、ポリエステル成分を溶解させ、次いで、固形分を分離しメタノールで洗浄した後、乾燥をする。得られたディップ樹脂をガラス板上で偏平にし、顕微透過法によりIR(赤外吸収)スペクトルを測定した。
(2)樹脂付着量
JIS L1017のディップピックアップ a)溶解法(ポリエステルの場合)により求めた。
(3)100℃下でのクリープ率:
試料長500mmの試料繊維コードを準備し、測定台に試料繊維コードの一端を固定し、撚りが戻らないようにしながら、他端に初荷重(試料繊維コードの総デシテックス数(表示繊度)×0.45mN)をかけ、他端から500mmの位置に印をつけ、その500mmを原試料繊維コード長Lとする。
次に、初荷重を除き、所定荷重(表示繊度×0.0088(N))をかけ100±2℃の乾燥機中に60分間載置して後、他端から上述した印の箇所までの試料長L′を測定する。
100℃下でのクリープ率は、以下の式に従い求め、測定は3回行い、その平均値を小数点以下1ケタまで四捨五入により求めた。
100℃下でのクリープ率(%)={(L′−L)/L}×100
(4)100℃でのプライ間剥離力、常温時のプライ間剥離力
ベルトカバー材を2層用いた未走行タイヤから、ベルトカバー材2層にまたがる幅25mm、長さ200mmの短冊状のピースを切り出して、プライ間剥離力試験用の試料ピースとした。
剥離試験は、試料ピースの一方端面において、外層側ベルトカバー材と内層側ベルトカバー材との境界面に25mmの全幅にわたりスライス切り込みを入れ、外層側ベルトカバー材の端部と内層側ベルトカバー材との端部を引張り試験機のクランプで把持できるだけの長さを分離させる。
その外層側ベルトカバー材の端部と内層側ベルトカバー材との端部をそれぞれ引張り試験機の上下クランプに把持して、引張り速度50.0mm±2.5mm/分で引張り、それら2層を徐々に剥離させていく。
このときチャート紙上に描かれる引張り力曲線のピーク点の上位5点と下位の5点の計10点の平均をとり剥離力とする。試験は、未走行タイヤから試料ピースを3ピース採取し、その平均をとる。
この剥離力試験を、常温時のプライ間剥離力試験では温度25±2℃の雰囲気条件で行い、100℃でのプライ間剥離力試験では100±2℃のチャンバー中で30分間、予熱した後に行って、それぞれ、常温時のプライ間剥離力、100℃でのプライ間剥離力とした。
(5)耐フラットスポット性
試作タイヤを実車に装着し、一定時間80km/hで走行させた後、タイヤに負荷をかけて24時間放置した後のタイヤの変形を、ユニフォミティー測定することにより評価し、負荷をかける前のユニフォミティー測定値との差をフラットスポット量として求めた。
評価は、比較例4の値を100とする指数で示した。指数値が大きいほど耐フラットスポット性に優れていることを意味する。
(6)高速耐久性
ドラム径1707mmで、JIS D−4230、JIS高速耐久試験終了後、30分ごとに10km/hrを加速して、タイヤが破壊するまで試験を続行した。
評価は、比較例4の値を100とする指数で示した。指数値が大きいほど高速耐久性に優れていることを意味する。
(7)ゴム被覆率
上記に説明した100℃でのプライ間剥離力の試験に供した後の、外層側ベルトカバー材、内層側ベルトカバー材のそれぞれの剥離面において、繊維コード上のゴム残余面積と、剥離させた総面積から下記式で求めた。
測定は、ピース3個の平均値を小数点以下1ケタまで四捨五入により求めた。
ゴム被覆率(%)
={(コード上のゴム面積)/(剥離させたコードの総面積)}×100
実施例1〜2、比較例1〜4
2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物で処理したポリエステル繊維糸条(1100デシテックス、190フィラメント糸)を2本撚り合わせたポリエステル繊維コード5種と、ナイロン66繊維糸条(940デシテックス、140フィラメント糸)を2本撚り合わせたナイロン66繊維コード1種とを準備した。
2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物の処理は、それぞれ延伸段階で実施したものであり、付着処理後、230℃で熱処理に供した。
それぞれの繊維コードを使用して、本文中で説明した以下の処理液(ディップ処理液)(A)〜(D)と、さらに、ペクセル系ディップ処理液、レゾルシン−ホルムアルデヒド−ラテックス(RFL)混合ディップ処理液を用意して、各実施例、比較例では、ディップ処理液として、以下のDL1、DL2、DL3、DL4を調整して使用した。
DL1…(A)と(B)を含むディップ処理液
DL2…(B)と(C)と(D)を含むディップ処理液
DL3…ペクセル系ディップ処理液
DL4…レゾルシン−ホルムアルデヒド−ラテックス(RFL)混合ディップ処理液
(A)キャリアーを含む処理液
(B)ブロックドイソシアネート水溶液
(C)エポキシ樹脂の分散液
(D)レゾルシン−ホルムアルデヒド−ラテックス(RFL)混合液
各実施例、比較例での各IRスペクトルの吸光度比、樹脂付着量、性能評価などは、表1に記載したとおりである。
各評価は、タイヤサイズ225/50R16 92Vの空気入りタイヤを作製して評価したものであり、耐フラットスポット性と高速耐久性は、比較例4の性能を100とした場合の指数表示であり、耐フラットスポット性と高速耐久性のそれぞれ、数値が大きいほど、該性能が優れていることを示す。
Figure 2007022366
かかる表1からわかるように、本発明によれば、耐フラットスポット性とその高速耐久性の良好な空気入りタイヤが得られる。
図1は、本発明にかかる空気入りタイヤの一実施態様例を説明する子午線方向のタイヤ半断面概略モデル図である。
符号の説明
1:トレッド部
2:サイドウォール部
3:ビード部
4:カーカス層
5:ビードコア
6:ベルト層
7:ベルトカバー材
8:補強コード

Claims (3)

  1. ポリエステル繊維からなり、該ポリエステル繊維が紡糸または延伸工程で2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物で処理された後、150℃〜260℃で熱処理に供され、さらに、処理液として以下の(A)〜(D)の4者の処理液を、ブロックドイソシアネート/ラテックスの固形分重量比が0.5/1〜3.0/1となるように組合せて処理されてなるポリエステル繊維コードであって、下記式(a)および下記式(b)を満足する樹脂の付着量が5〜12重量%であって、かつ100℃下でのクリープ率が2.5%以下であるポリエステル繊維コードをベルトカバー材に用いてなることを特徴とする空気入りタイヤ。
    (A)キャリアーを含む処理液
    (B)ブロックドイソシアネート水溶液
    (C)エポキシ樹脂の分散液
    (D)レゾルシン−ホルムアルデヒド−ラテックス(RFL)混合液
    式(a) …2.0≦IRスペクトルの吸光度比(1510cm-1吸収/2920cm-1吸収)≦5.0
    式(b) …8.0≦IRスペクトルの吸光度比(1510cm-1吸収/700cm-1吸収)≦22.0
  2. (A)〜(D)の4者の処理液が、ブロックドイソシアネート/ラテックスの固形分重量比が0.5/1〜3.0/1となるように組合されて処理されるに際し、2段階または3段階のディップ処理にて行なわれてなることを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 未走行タイヤでのベルトカバー材の100℃でのプライ間剥離力が、常温時のプライ間剥離力の70%以上の値を有し、かつ、100℃でプライを剥離した後のポリエステル繊維コード上のゴム被覆率が60%以上であることを特徴とする請求項1または2記載の空気入りタイヤ。
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