JP2007017056A - 反応器の熱交換装置の腐食抑制方法 - Google Patents

反応器の熱交換装置の腐食抑制方法 Download PDF

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Abstract


【課題】 熱交換媒体として水を用いて加熱操作あるいは加熱操作と冷却操作を交互に行って温度制御を行う反応器の熱交換装置に対して充分な腐食抑制効果を有し、かつ伝熱障害の原因となる付着物の生成を抑制できる腐食抑制方法を提供することにある。
【解決手段】 アルカリ金属水酸化物を添加してpH10〜12.5に調整した100℃未満の熱水を常圧下で反応器の熱交換装置に通水して加熱操作を行う反応器の熱交換装置の腐食抑制方法であり、さらに当該熱水に腐植防止剤を添加して加熱操作を行う熱交換装置の腐食抑制方法である。また、加熱操作と冷却操作を交互に行って温度制御を行う反応器の熱交換装置に対して、アルカリ金属水酸化物を添加してpH10〜12.5に調整した100℃未満の熱水を常圧下で反応器の熱交換装置に通水して加熱操作を行ない、且つ腐植抑制剤を添加した冷却水を通水して冷却操作を行う反応器の熱交換装置の腐食抑制方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、熱交換媒体として水を用いて加熱操作あるいは加熱操作と冷却操作を交互に行って温度制御を行う反応器の熱交換装置の腐食抑制方法に関する。
ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、アクリル酸系ポリマー、メタリル酸系ポリマー等の各種ポリマーの製造プロセスにおいて、ポリマーの重合反応容器内の温度は反応効率及び反応生成物の品質に重大な影響を及ぼすため、適正な範囲に維持する必要がある。
温度制御を行う方法としては、反応器に熱交換を行うための熱交換装置を設置することが一般的に行われる。例えば、ポリマーの製造プロセスの反応槽や反応管の外周にジャケットを装着して2重構造とし、反応器の内部には被熱交換物であるモノマー及びモノマー反応物を入れ、ジャケット内には熱交換媒体(通常は冷却水または加熱水)を流すことで、反応器内部の温度制御を行っている。熱交換媒体は伝熱材料、例えば伝熱板や伝熱管を介して間接接触によって被熱交換物であるモノマー及びモノマー反応物と熱交換を行うことによって予め定められた温度目標値で制御される。
通常、ジャケットは鉄系材質で作られているために水と接触することで腐食が発生し易い。特に加熱する場合には鉄系材質の腐食が促進され、加熱時の腐食が大きな問題となっている。また、金属表面に腐食反応に伴って生成する腐食生成物やスケール等の付着物が付着すると熱伝導度率が低下するため、反応器を所定の温度に制御するのが困難となる。
熱交換器や配管の腐食を防止するために一般的に腐食防止剤が添加されている。ボイラや蒸気システムでは、水は100℃以上となっているために水中の溶存酸素は非常に低いため、ボイラや蒸気システムの腐食抑制用に使用されている脱酸素剤や揮発性アミンを用いることで腐食を抑制することができる。しかし、100℃未満の熱水による加熱操作では、水中の溶存酸素や熱交換器の金属表面の加熱により、熱交換器の腐食性は高まり、ボイラや蒸気システムで用いられる脱酸素剤や揮発性アミンを添加しても、熱交換器の十分な腐食抑制効果は得られない。また、従来から使用されてきた腐食防止剤は一般に50〜70℃以下では有効であるが、70℃を超えると加熱操作での腐食を十分に抑制することは困難であった。そのため、加熱操作と冷却操作を交互に行う熱交換装置では、冷却操作時の腐食防止が十分に行われるものの、加熱操作時の腐食防止が十分に行われず、その腐食防止策の改善が強く求められていた。
そこで、種々の加熱操作時の腐食防止方法が提案されてきた。例えば、蒸気を注入して91〜96℃に加熱した熱水にモリブデン酸塩を添加して反応器の温度制御用ジャケットの腐食を防止する方法(非特許文献1参照)、亜鉛を含む腐食防止剤を用いたリアクタージャケットの腐食防止方法(非特許文献2参照)等が開示されている。しかし、これらの方法でも、依然、充分な防食効果を示すには至っていない。
NACE CORROSION85予稿集、No.133(1985) NACE CORROSION91予稿集、No.301(1991)
本発明の課題は、上記問題点に鑑み、熱交換媒体として水を用いて加熱操作あるいは加熱操作と冷却操作を交互に行って温度制御を行う反応器の熱交換装置に対して充分な腐食抑制効果を有し、かつ伝熱障害の原因となる付着物の生成を抑制できる腐食抑制方法を提供することにある。
上記課題を解決すべく、本発明者は鋭意検討を重ねた結果、熱水に特定の金属水酸化物を添加し、該水系のpHを特定の範囲に管理することで鉄系材料の腐食防止に有効であることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明請求項1の発明は、熱交換媒体として水を用いて温度制御を行う反応器の熱交換装置の腐食抑制方法であって、アルカリ金属水酸化物を添加してpH10〜12.5に調整した100℃未満の熱水を常圧下で反応器の熱交換装置に通水して加熱操作を行うことを特徴とする反応器の熱交換装置の腐食抑制方法である。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の反応器の熱交換装置の腐食抑制方法であり、前記アルカリ金属水酸化物に加えて、有機ホスホン酸、ホスフィノポリカルボン酸、ホスホノカルボン酸、マレイン酸系重合体(共重合体を含む)、アクリル酸系重合体(共重合体を含む)からなる群から選択される一種以上を熱水に添加し通水して加熱操作を行うことを特徴とする
請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の反応器の熱交換装置の腐食抑制方法であり、前記温度制御が加熱操作と冷却操作を交互に行なう温度制御であり、かつ腐食抑制剤を添加した冷却水を通水して冷却操作を行うことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項3記載の反応器の熱交換装置の腐食抑制方法であり、
腐食抑制剤が有機ホスホン酸、ホスフィノポリカルボン酸、ホスホノカルボン酸、マレイン酸系重合体(共重合体を含む)、アクリル酸系重合体(共重合体を含む)からなる群から選択される一種以上であることを特徴とする。
本発明により熱水による加熱操作による反応器の熱交換装置、さらには加熱操作と冷却操作を交互に行って温度制御を行う反応器の熱交換装置の腐食を有効に防止でき、かつ伝熱障害の原因となる付着物の生成を有効に防止することできる。また、本発明の腐食抑制方法では有害な化合物を使用しないため、加熱後の熱水を冷却後に河川等に放流しても環境への影響が小さい。
本発明は、熱交換媒体として水を用いて、加熱操作を行って温度制御を行う反応器の熱交換装置に対して、アルカリ金属水酸化物を添加してpH10〜12.5に調整した100℃未満の熱水を常圧下で反応器の熱交換装置に通水して加熱操作を行う熱交換装置の腐食抑制方法であり、さらに当該熱水に腐植防止剤を添加して加熱操作を行う熱交換装置の腐食抑制方法である。また、加熱操作と冷却操作を交互に行って温度制御を行う反応器の熱交換装置に対して、アルカリ金属水酸化物を添加してpH10〜12.5に調整した100℃未満の熱水を常圧下で反応器の熱交換装置に通水して加熱操作を行ない、且つ腐植抑制剤を添加した冷却水を通水して冷却操作を行う反応器の熱交換装置の腐食抑制方法である。さらに熱交換装置の伝熱障害の原因となる付着物の生成を抑制できる腐食抑制方法である。
本発明の対象となる反応器の熱交換装置が用いられる反応としては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、アクリル酸系ポリマー、メタリル酸系ポリマー等の製造プロセスにおける重合反応、分解反応、エステル化反応、加水分解反応等が挙げられる。
本発明における熱交換装置は、常圧下で水を熱媒体として用いて温度制御を行う熱交換装置であり、加熱を目的とした加熱操作を有する熱交換装置又は加熱を目的とした加熱操作と冷却を目的とした冷却操作を共に有する熱交換装置、さらに一つの熱交換装置で加熱操作と冷却操作を交互に実施している場合も含み、これらのいずれの形式の熱交換装置であってもかまわない。具体的な熱交換装置としては、前述のポリマーやエステル化合物の製造プロセスにおいて、重合反応を行う反応槽の外周にジャケットを装着したジャケット式熱交換装置や反応管の外周にジャケットを装着したニ重管式熱交換装置等が挙げられる。
本発明において熱媒体で用いる水は、加熱操作及び冷却操作のいずれの場合でも、清澄で臭気のない、中性あるいはそれに近い弱酸性又は弱アルカリ性の水であればよく、具体的にはイオン交換水、軟化水、工業用水、井戸水、水道水、開放式循環冷却水、スチ−ムコンデンセート等があり、これらの1種あるいは2種以上を混合して用いてもよい。好ましくは、加熱操作にはイオン交換水及び/又は軟化水を用い、冷却操作には開放式循環冷却水である。また、スケール防止のために加熱操作に用いる水は、Ca硬度が150mg−CaCO/L以下の水である。
加熱操作と冷却操作を共に有する熱交換装置では、加熱操作に使用する水にはイオン交換水及び/又は軟化水を用い、加熱操作後の熱水をそのまま系外へ排出しても良いが、冷却操作に開放式循環冷却水を用いれば、これと混合して冷却操作に使用し、冷却操作後に開放式循環冷却水系に戻せば、水を有効に使用でき、好ましい。
本発明の加熱操作で用いる熱水は、アルカリ金属水酸化物を添加し、そのpHが10.0〜12.5(20℃)で、熱交換装置に通水する際に常圧下で加熱対象の反応器中にある液温以上で100℃未満の熱水である。
熱水のpHは、20℃において10.0〜12.5で、この範囲になるようにアルカリ金属水酸化物を水に添加し、調整する。アルカリ金属水酸化物の添加量は、水のpHを10.0〜12.5(20℃)の範囲になるように維持する添加量であり、一律に決定できるものではないが、通常、熱交換装置の保有水量に対して30〜400mg/L、好ましくは100〜300mg/Lである。アルカリ金属水酸化物の添加量が30mg/L未満では十分な防食効果が得られず、アルカリ金属水酸化物の添加量が400mg/Lを超えると、アルカリ腐食や炭酸カルシウム等のスケールが付着し易くなるために好ましくない。pHが10.0未満では十分な防食効果が得られず、一方、pHが12.5を超えると、アルカリ腐食が発生し易く、また、炭酸カルシウムスケールが付着し易くなるために好ましくない。
熱水の調製方法は、加熱操作を行う熱交換装置に通水する際に、加熱対象の反応器中にある液温以上で常圧下100℃未満の熱水で、その熱水のpHが20℃でpH=10.0〜12.5(20℃)で有れば、特にその調製方法が限定されるものではなく、例えば、水にアルカリ金属水酸化物を添加してpHを10.0〜12.5(20℃)の範囲の調整し、次いで加熱スチームを直接注入して所定の熱水温度に加熱する方法、あるいは水に加熱スチーム、所定量のアルカリ金属水酸化物を一度に注入し、熱水のpHを10.0〜12.5(20℃)の範囲で所定の熱水温度に加熱する方法、また、水に加熱スチームを注入して所定の熱水温度に加熱し、次いで所定量のアルカリ金属水酸化物を添加して熱水を得る方法などがあり、いずれの方法でも良い。また、水の加熱方法として、水に加熱スチームを直接注入して加熱する方法、熱交換器を介して水を間接的に加熱する方法等があり、いずれでも良い。
本発明において用いるアルカリ金属水酸化物は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等であり、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムである。さらにこれらの2種以上を混合して用いてもよい。使用するアルカリ金属水酸化物には、固形状物、フレーク状物やこれらを溶解した高濃度水溶液などがあり、作業性を考慮すると高濃度水溶液が好ましい。
アルカリ金属水酸化物の添加方法は、特に限定されないが、通常、アルカリ金属水酸化物の水溶液、例えば10〜50%水酸化ナトリウム水溶液を薬品注入用ポンプや電磁弁等の薬注装置を作動させて一定量を水に投入する方法、タイマーやシーケンサー等からの制御用信号に薬注装置を連動させて10〜50%水酸化ナトリウム水溶液の一定量を自動的に水に添加する方法、pH調節装置により一定のpHになるように自動的に10〜50%水酸化ナトリウム水溶液添加する方法等があり、いずれを用いても良い。
本発明において加熱操作に用いる水にアルカリ金属水酸化物を添加して、当該水のpHを10.0〜12.5(20℃)の範囲になるように維持することにより、鉄表面に鉄水酸化物の保護皮膜が形成して腐食を抑制すると推定される。
本発明で用いる腐植抑制剤(以下「腐食抑制剤」とする)は、有機ホスホン酸、ホスフィノポリカルボン酸、ホスホノカルボン酸、マレイン酸系重合体(共重合体を含む)、アクリル酸系重合体(共重合体を含む)からなる群から選択される一種以上である。腐食抑制剤は、熱媒体として用いる水にCaイオン、Mgイオン、炭酸イオン、シリカ等の成分が存在するとスケールとして付着したり、あるいはオルトリン酸塩、重合リン酸、亜鉛塩等の成分が存在すると水を加熱し熱水とすることによるスケールの生成及び付着を抑制する。
具体的には有機ホスホン酸として、1‐ヒドロキシエチリデン‐1、1‐ジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸等が挙げられる。ホスホノカルボン酸としては、2−ホスホノブタン−1、2、4−トリカルボン酸、ヒドロキシホスホノ酢酸、ホスホノポリマレイン酸、ホスホンコハク酸等が挙げられる。本発明のホスフィノポリカルボン酸としては、アクリル酸と次亜リン酸の反応物であるビス−ポリ(2−カルボキシエチル)ホスフィン酸、マレイン酸と次亜リン酸の反応物すなわちビス−ポリ(1,2−ジカルボキシエチル)ホスフィン酸、マレイン酸とアクリル酸と次亜リン酸の反応物すなわちポリ(2−カルボキシエチル)(1,2−ジカルボキシエチル)ホスフィン酸、アクリル酸と2‐アクリルアミド‐2‐メチルプロパンスルホン酸と次亜リン酸の反応物等が挙げられる。
マレイン酸系重合体としては、(α−1)マレイン酸重合体及び/又はマレイン酸が30〜99重量%と、(β−1)2−アクリルアミド−2‐メチルプロパンスルホン酸、3‐アリロキシ‐2‐ヒドロキシ‐1‐プロパンスルホン酸、共役ジエンスルホン化物、スチレンスルホン酸、スルホアルキル(メタ)アクリレートエステル類、スルホアルキル(メタ)アリルエーテル類、スルホフェノ(メタ)アリルエーテル、(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルアルキルエステル、(メタ)アクリルアミド、N‐アルキル置換(メタ)アクリルアミド、炭素数2〜8のオレフィン、ビニルアルキルエーテル、マレイン酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸から選択される1種以上を1〜70重量%含む共重合体で、重量平均分子量が200〜50,000、好ましくは300〜20、000である。
アクリル酸系重合体としては、(α−2)アクリル酸重合体及び/又はアクリル酸が30〜99重量%と、(β−2)2−アクリルアミド−2‐メチルプロパンスルホン酸、3‐アリロキシ‐2‐ヒドロキシ‐1‐プロパンスルホン酸、共役ジエンスルホン化物、スチレンスルホン酸、スルホアルキル(メタ)アクリレートエステル、スルホアルキル(メタ)アリルエーテル、スルホフェノ(メタ)アリルエーテル、(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルアルキルエステル、アクリルアミド、N‐アルキル置換(メタ)アクリルアミド、炭素数2〜8のオレフィン、ビニルアルキルエーテル、マレイン酸アルキルエステルから選択される1種以上を1〜70重量%含む共重合体で、重量平均分子量が300〜20、000であり、好ましくは500〜10,000である。
これらの中で好ましくはアクリル酸重合体及び/又はアクリル酸が30〜99重量%と、2−アクリルアミド−2‐メチルプロパンスルホン酸及び/又は3‐アリロキシ‐2‐ヒドロキシ‐1‐プロパンスルホン酸を1〜70重量%含む共重合体である。
腐食抑制剤の添加量は、Caイオン、Mgイオン、炭酸イオン、シリカ、オルトリン酸塩、重合リン酸、亜鉛塩等の成分によるスケール生成と付着を抑制する添加量であれば、特に限定されるものではないが、通常、加熱操作あるいは冷却操作で用いる水に対して、0.5〜500mg/L、好ましくは1〜100mg/L、より好ましくは3〜30mg/Lである。
本発明の腐食抑制方法において、本発明の効果を妨げない範囲においてスケール防止剤、分散剤、スライムコントロール剤、消泡剤等の公知の化合物を併用してもよい。
以下に本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔腐食試験1〕
下記の水質の試験水、腐食防止剤(表1参照)を用いて腐食試験を行った。
(試験水水質)
・pH:7.5、
・電気伝導率:323(μS/cm)
・Ca硬度:70(mg−CaCO/L)
・Mg硬度:33(mg−CaCO/L)
・Mアルカリ度:71(mg−CaCO/L)
・塩化物イオン濃度:41(mg/L)
・硫酸イオン:59(mg/L)
・シリカ:20(mg/L)
Figure 2007017056
(腐食試験)
寸法が75×13×1mmの低炭素鋼(JIS G3141に記載のSPCC)試験片をアセトン脱脂し、乾燥して試験前の試験片の重量を測定した。所定量の水酸化ナトリウムを入れて水酸化ナトリウム濃度50mg/Lとした試験水120mLを耐熱性ねじ口瓶に入れ、試験片を入れて蓋を締め、予め95℃に設定した恒温槽中に入れ24時間静置した。瓶を恒温槽から取り出し、試験液のみを排出後、再度、水酸化ナトリウム濃度50mg/Lとした試験水120mLを耐熱性ねじ口瓶に入れ、蓋を締め、予め40℃に設定した恒温槽中に入れスターラー攪拌下で24時間静置した。上記操作を2回繰り返した後、試験片を取り出し、試験片表面に付着した腐食性生成物やスケール付着物を流水下、ブラシで除去した後、乾燥して試験片の重量を測定した。試験前後の重量減より腐食速度(mdd)を次式により計算した。
腐食速度(mdd)=(α)/〔β×(試験日数:日)〕
ここで、α:試験前後の試験片の重量減(mg)、β:試験片の表面積(dm2)である。腐食速度(mdd)が10以下であれば、腐食抑制効果が良好と判断した。また、試験片への腐食付着物量及びスケール付着物を「試験片付着物量の多少」として目視評価した。これらの結果を表2に示した。
Figure 2007017056

本発明の腐食抑制方法(アルカリ金属水酸化物により水のpHを10〜12.5に維持する)により熱水時の腐食は、従来のリン酸系腐食抑制剤よりも大きく改善されることが分かる。
〔腐食試験2〕
(試験装置)
JIS G0593‐2002『水処理剤の腐食及びスケール防止評価試験方法』のオンサイト試験法に示された試験装置をもとに、加熱工程と冷却工程を交互に実施される反応器の熱交換装置の試験装置の概略を図1に示す。試験用伝熱管として外径12.7mm、長さ510mmの炭素鋼鋼管STKM11A(JIS G3445)を用い、熱交換器7と熱交換器17に装着した。水槽2及び配管を含む系全体の水容量は62Lとし、水槽2の水温は35℃になるように水温制御装置9で制御した。試験用伝熱管評価部である熱交換器7と熱交換器17の線流速0.3m/sに相当する流量210L/hとなるように流量調整バルブ5と流量調整バルブ14でそれぞれ制御しながら冷却水循環ポンプ3で通水した。熱交換器7と熱交換器18の試験用伝熱管内面にカートリッジヒーターを装着し、熱交換器7と熱交換器18の熱流束は70kW/mとなるように熱負荷を設定した。冷却塔1は冷却能力1.8冷却トンの誘引通風向流接触型のものを使用した。冷却塔入口・出口の循環水の温度差は15℃であった。蒸発水量は4.4L/h、補給水量は5.5L/h、ブローダウン水量は1.1L/h、濃縮度は5倍であった。循環水の電気伝導率を電気伝導率測定セル4で連続的に測定され、電気伝導率の入力信号より電気伝導率制御装置11を用いて濃縮度5倍に相当する電気伝導率になるようにブローダウンポンプ10を制御した。
毎日1回、熱交換器18のカートリッジヒーターの電源を切った後、バルブ16とバルブ19を閉め、バルブ17とバルブ20を開けて熱水製造装置で95℃に調整した熱水を循環ポンプ22で熱交換器18に0.1m/sの流速で通水した。熱水には所定量の腐食抑制剤を添加した。熱水を8時間通水後、熱水循環ポンプ22を停止し、バルブ16とバルブ19を開け、バルブ17とバルブ20を閉めて、冷却塔からの循環水の通水を再開し、同時に熱交換器18のカートリッジヒーターの電源を入れ、熱負荷を再開した。
(試験水)
補給水12として以下の水質の四日市市水を使用した。
・pH:7
・電気伝導率:10mS/m
・Ca硬度:22mg−CaCO/L
・Mg硬度8mg−CaCO/L
・Mアルカリ度:20mg−CaCO/L
・塩化物イオン:12mg/L
・硫酸イオン:11mg/L
・シリカ:12mg/L
(腐食試験−実施例1)
初期処理として水槽に四日市市水を張り、ヘキサメタリン酸ソーダ75mg/Lと塩化亜鉛40mg/Lを添加して、常温で48時間循環後、全量を排出した。その後、新たに四日市市水を水槽に張り、水酸化ナトリウムを200mg/Lになるように添加した後、循環を開始し、熱負荷を開始した。熱負荷開始3日後に濃縮度が5倍に達し、直ちにブローダウンを開始して濃縮度5倍を維持した。ブローダウン開始と同時に水処理剤注入装置13により冷却工程用の腐食抑制剤組成物Aを80mg/L(ブローダウン量に対して)添加した。また、熱水に対しては加熱工程用の水酸化ナトリウムを200mg/Lになるように一括添加した。熱交換器18に対して8時間の熱水通水と16時間の冷却塔循環水通水を交互に実施した。試験期間は1ヶ月間とした。試験終了後、試験用伝熱管を取り外して、腐食度、最大腐食深さ、付着速度を測定した。同様に表3記載のアルカリ金属水酸化物と腐食抑制剤を用いて、腐食試験を行った。結果を表3に示す。
Figure 2007017056
本発明の腐食抑制方法により、従来の有機リン酸系処理よりも腐食度、最大腐食深さ、付着速度のいずれもが改善されることが分かる。


実施例に使用した試験装置を示す系統図である。
符号の説明
1 冷却塔
2 水槽
3 冷却水循環ポンプ
4 電気伝導率測定セル
5 流量調整バルブ
6 流量計
7、18 熱交換器
8 試験片保持器
9 水温制御装置
10 ブローダウンポンプ
11 電気伝導率制御装置
12 補給水
13 水処理剤注入装置
14 流量調整バルブ
15 流量計
16、17、19、20 バルブ
21 熱水製造装置
22 熱水循環ポンプ



Claims (4)

  1. 熱交換媒体として水を用いて温度制御を行う反応器の熱交換装置の腐食抑制方法であって、アルカリ金属水酸化物を添加してpH10〜12.5に調整した100℃未満の熱水を常圧下で反応器の熱交換装置に通水して加熱操作を行うことを特徴とする反応器の熱交換装置の腐食抑制方法。
  2. 前記アルカリ金属水酸化物に加えて、有機ホスホン酸、ホスフィノポリカルボン酸、ホスホノカルボン酸、マレイン酸系重合体(共重合体を含む)、アクリル酸系重合体(共重合体を含む)からなる群から選択される一種以上を熱水に添加し通水して加熱操作を行うことを特徴とする請求項1記載の反応器の熱交換装置の腐食抑制方法。
  3. 前記温度制御が加熱操作と冷却操作を交互に行なう温度制御であり、かつ腐食抑制剤を添加した冷却水を通水して冷却操作を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の反応器の熱交換装置の腐食抑制方法。
  4. 腐食抑制剤が、有機ホスホン酸、ホスフィノポリカルボン酸、ホスホノカルボン酸、マレイン酸系重合体(共重合体を含む)、アクリル酸系重合体(共重合体を含む)からなる群から選択される一種以上であることを特徴とする請求項3記載の反応器の熱交換装置の腐食抑制方法。


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