JP5970884B2 - 防食方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ボイラ水系におけるエコノマイザの防食方法に関し、さらに詳しくは、鋼材製エコノマイザを有するボイラにおいて、前記エコノマイザを効果的に防食する方法に関するものである。
従来、ボイラ系統の腐食を引き起こす主な要因としては、ボイラ給水あるいは缶水が、(1)溶存酸素濃度が高い、(2)pHの適正範囲から外れている、(3)塩化物イオンや硫酸イオン等の有害イオン濃度が高い、の3点が挙げられる。
したがって、ボイラ水系における缶内の水側の腐食を防止するための方法として、一般に薬剤を注入し、pHを適正範囲にコントロールしたり、溶存酸素を除去したり、又は鋼材表面に防食皮膜を形成する等の方法が行われている。この際、ボイラ缶内での濃縮を考慮して薬剤を注入するために、非濃縮部においては、pHが低く薬剤濃度が低いため、防食皮膜の形成が不充分となる。
ボイラのエコノマイザは一般に非濃縮部であるため、低pHでかつ薬剤を添加した場合も濃度が低く防食皮膜の形成が不十分となる。また、エコノマイザ内部では水温が上昇するにもかかわらず、溶存酸素濃度が高いため、腐食性が高く、障害が多く発生している。特に脱酸素装置が設置されていない低圧ボイラの炭素鋼製エコノマイザは、腐食破孔障害の発生頻度が高く、設置から2〜3年で破孔に至ることもある。
エコノマイザの防食技術としては、薬剤による防食方法と、脱酸素装置による防食方法が挙げられる。
まず、薬剤による防食方法としては、薬剤を給水ポンプ下流側に注入し、pHを調整し、鋼材表面に防食皮膜の形成等を行う方法が挙げられる。この際、エコノマイザの防食に十分な濃度の薬剤を添加すると、ボイラ缶内のような濃縮部においては、pH、電気伝導度が上昇しすぎてキャリオーバやアルカリ腐食が生じ易い。一方、ボイラ缶内での濃縮を考慮して薬剤を低濃度で注入すると、給水配管やエコノマイザ等の非濃縮部においては、pHの上昇が小さく薬剤濃度も低いため防食皮膜の形成が不十分となる。
特許文献1に記載の技術においては、加水分解型のタンニン又はその中性塩と、アルカリ金属水酸化物とを混合反応させた溶液を脱酸素剤として、給水タンク又は補給水経路の途中に供給している。この技術は循環水と脱酸素剤の混合時間を長くすることで、脱酸素反応の時間を稼ぎ、これにより給水中の溶存酸素を低減し、エコノマイザを含む給水系全体の腐食防止性能の向上を図っている。
一方、窒素置換式などの脱酸素装置による防食の場合、エコノマイザの防食が可能な低濃度まで酸素を除去できる性能を有する脱酸素装置は大型で、多額の設備投資が必要となることが多く、適用範囲が限定されるのを免れず、一般に防食剤を用いる方法が多く使用されている。
特開2001−116207号公報
一般に、脱酸素剤は、給水ポンプ下流側のエコノマイザ入口近くに薬注されている場合が多く、実際、これらの防食処理を実機ボイラにおいて実施してもエコノマイザの防食効果は十分とは言えない。
給水タンクは、通常上部が開放されているか、又は上部にエアベント(空気抜き弁)が設置されている。このため、前記特許文献1に記載の防食方法のように、給水タンクで脱酸素処理を行う場合、給水タンク中の空気の酸素が給水に再溶解する。
このため、溶存酸素濃度に対応して脱酸素剤の添加量を設定すると、溶存酸素を十分に除去することができなくなるという問題が生じる。この問題は、給水に添加する脱酸素剤の量を多くすることで解決し得るが、その場合、薬剤の添加量が増えるために、処理コストの増大、キャリオーバの発生、ブロー量の増加に伴うエネルギーコストの増加といった問題が生じる。また、給水配管内でスライム障害が発生し、ストレーナの閉塞により、最悪ボイラ停止に追い込まれる。
また、補給水経路の途中に薬注した場合、低温のため脱酸素効果が低く、エコノマイザの防食効果は十分とは言えない。また、補給水温度を高くすると、混合溶液が高濃度の薬液であるために、鋼材の薬注配管などに対して腐食が生じ、薬注配管材をSUS材等に変更するための設備投資が必要となる。
そこで、本発明は、鋼材製エコノマイザを有するボイラの防食方法において、特に薬注点の配管の腐食性を低く保ち、スライムの発生を防止しつつ、前記エコノマイザを効果的に防食する方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ボイラの防食方法において、脱酸素剤の種類、薬剤の添加位置及び給水の温度を所定のものとすることによって、上記課題を解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
[1]鋼材製エコノマイザと、該エコノマイザに給水を供給する給水配管を有する給水系と、を少なくとも備えるボイラのエコノマイザを防食する方法において、55℃以上の温度を有する給水に対して、給水系に設置された給水ポンプより上流側の給水配管から、エリソルビン酸、アスコルビン酸及びこれらの塩の中から選ばれる少なくとも1種の脱酸素剤を添加する、エコノマイザの防食方法、
[2]前記給水ポンプより上流側の給水配管からアルカリ剤を添加して、給水のpH値が9.0以上とする、[1]に記載の防食方法、
[3]前記脱酸素剤の添加位置からエコノマイザ入口までの給水の最大負荷運転時の平均滞留時間が0.5分以上である、[1]又は[2]に記載の防食方法、
を提供するものである。
本発明によれば、給水の温度を55℃以上として、給水ポンプよりも上流側で所定の脱酸素剤を添加することで、エコノマイザの防食効果において顕著な効果が得られる。このような効果が得られた理由は定かでないが、給水ポンプよりも上流で混合することで、脱酸素剤が給水と十分に混合、拡散し、濃度ムラがなく、均一に脱酸素処理ができるため、脱酸素速度が上昇し、給水がエコノマイザに到達するまでに十分な脱酸素効果が得られると考えられる。
また、特定の脱酸素剤を使用することにより、高温での薬剤混合であっても、薬注点の腐食を防止することができ、さらに、当該脱酸素剤を用いて高い温度で脱酸素処理を行うことで、給水配管内で微生物の繁殖によるスライムの発生を防止することができる。
さらに、給水ポンプより上流側の給水配管からアルカリ剤を添加して、給水のpH値が9.0以上とすることで、より顕著に脱酸素速度を増すと共に、腐食生成物の溶解度が低下することにより、鋼材製エコノマイザの金属表面に耐食性のある酸化膜が形成され、防食効果がより顕著に発揮される。
本発明において好適に使用されるボイラの一般的な構成を示した概略図である。 試験例3で用いたエコノマイザを模擬して作製した試験装置の概略図である。
[防食方法]
本発明の防食方法は、鋼材製エコノマイザと、該エコノマイザに給水を供給する給水配管を有する給水系と、を少なくとも備えるボイラのエコノマイザを防食する方法である。本発明の方法は、55℃以上の温度を有する給水に対して、給水系に設置された給水ポンプより上流側の給水配管から、エリソルビン酸、アスコルビン酸及びこれらの塩の中から選ばれる少なくとも1種の脱酸素剤を添加する。これにより、ボイラの給水系内に通水してエコノマイザの内部を防食する。
本発明の防食方法において使用されるボイラは、少なくともエコノマイザが鋼材製である。鋼材とは、ステンレス鋼、炭素鋼などを含む、鉄成分を含有する金属材料を意味する。これらの鋼材中でも、炭素鋼が好適であり、炭素鋼としては、鋼、鋳鉄等が挙げられる。
本発明の防食方法における対象とする給水系は、ボイラ水系システムであって、給水種としては、純水給水、逆浸透(RO)給水、軟水給水のいずれも適用可能である。
ボイラの形式は特に制限されず、ボイラの排気ガス熱をボイラ給水の加熱に利用する鋼材製エコノマイザを備えるものであればよく、小型貫流ボイラ、水管ボイラ、丸ボイラ、排熱回収ボイラ等を使用することができるが、給水ポンプのON/OFFにより流動、停止が繰り返されるケースが多い小型貫流ボイラを好適に使用することができる。
本発明における小型貫流ボイラとは、JIS B8223における特殊循環ボイラを意味する。すなわち、主として管によって構成され、一端から水を送り込み、他端から汽水混合物を取り出し、汽水分離器で分離後、加熱管へ戻る熱水の量が汽水混合物の50%以下となる水管ボイラをいう。
適用するボイラの圧力に特に制限はないが、圧力が高くなりすぎると添加する防食剤等が熱分解し易くなるため、好ましくは3.0MPa以下、より好ましくは2.0MPa以下の圧力下で使用することが望ましい。
本発明において使用するボイラは、脱酸素装置が設置されていないことが好適である。本発明の防食方法によれば脱酸素装置を設置しなくとも、充分な防食効果が得られ、さらに脱酸素装置を設置しないことにより、小型であり、小額の設備投資により設置可能なボイラが得られる。ここで、脱酸素装置としては、ボイラに一般的に使用されるものであり、例えば、窒素置換式、膜式、真空式等の脱酸素装置が挙げられる。
本発明において好適に使用されるボイラの具体例を示す。図1は、ボイラの構成を示す概略図である。ボイラ100は、給水を貯水して加熱する給水タンク101と、該給水タンクの水を汲み出す給水ポンプ102と、該給水ポンプを介して水が供給される鋼材製エコノマイザ103と、前記エコノマイザの下流に設置されたボイラ本体104と、これらをつなぐ給水配管を有する給水配管系Pと、を備える。また、ボイラ100は、薬剤を給水に供給するための薬注タンク105及び薬注ポンプ106を有し、これらは、薬注配管系Dにより給水配管系Pと接続する。エコノマイザ103と、ボイラ本体104とは、ボイラで発生した排ガスの熱を利用するため、熱交換配管系Hにより接続されている。
給水配管系Pは、給水タンクから、ボイラ本体へと水を供給する配管系統を意味し、当該配管Pは、給水タンク101と給水ポンプ102とを接続する給水配管P1と、給水ポンプ102とエコノマイザ103を接続する給水配管P2と、エコノマイザ103とボイラを接続する給水配管P3とを有する。
また、本明細書において「上流」とは、給水配管系の上流、すなわち給水タンク側を意味し、「下流」とは、給水配管系の下流、すなわちボイラ側を意味する。
給水タンク101は、エコノマイザのガス側での露点腐食抑制のための蒸気又はドレン回収用配管107と接続されている。また給水タンク101は、当該給水タンク内に水を供給する補給水経路108と接続されている。
薬注系配管Dは、給水タンク101と給水ポンプ102の間に設置された給水配管P1において給水配管系Pと接続する。このように薬注系配管Dと給水系配管Pとの接続点を薬注点Cと称する。
ボイラ100では、給水が、配管107より供給される蒸気又はドレンによって加熱され、給水タンク101から給水ポンプ102を用いてエコノマイザ103に供給されて、エコノマイザ内で熱交換された後に、ボイラ本体に供給される。
本発明の防食方法では、給水系に設置された給水ポンプより上流側の給水配管から、脱酸素剤を添加する。例えば、上記のボイラ100においては、脱酸素剤を、薬注タンク105から薬注ポンプ106を介して、薬注点Cで給水内に添加する。
[脱酸素剤]
本発明の防食方法で使用する脱酸素剤としては、エリソルビン酸、アスコルビン酸及びこれらの塩の中から選ばれる少なくとも1種が用いられる。なお、アスコルビン酸は、エリソルビン酸の立体異性体である。脱酸素剤としてこれらを使用することで、高温条件においても、金属が腐食しにくくなり、特に脱酸素剤が高濃度となる薬注点における配管の腐食を防止することができる。
脱酸素剤の使用量は、給水中の溶存酸素濃度に応じて決定することが好適であり、給水中の溶存酸素濃度(mg/L)と、当該脱酸素剤濃度(mg/L)との比率は、1:1以上であることが好ましい。当該脱酸素剤は高い方が防食効果は高いが、後段でのボイラ運転に影響を与えることと、コスト面や、防食効果をより顕著に得る観点から、1:2〜20の範囲がより好ましく、1:3〜10の範囲がさらに好ましい。
なお、給水中における当該脱酸素剤の濃度は、上記のとおり溶存酸素濃度に応じて適量を定められ、特に限定されないが、例えば、給水全体に対して、1〜150質量%が例示される。
本発明の防食方法においては、本発明の効果が損なわれない範囲で、エリソルビン酸、アスコルビン酸及びこれらの塩の中から選ばれる少なくとも1種と共に、他の脱酸素剤を併用することができる。
(他の脱酸素剤)
他の脱酸素剤としては、例えばヒドラジン、カルボヒドラジド、1−アミノピロリジン、1−アミノ−4−メチルピペラジン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、及びその塩等が挙げられる。上記脱酸素剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
給水温度は、55℃以上である。給水は、より高温となるにつれて、より効果的に脱酸素処理が行われ、エコノマイザの腐食を防止することができ、さらに、スライム付着の防止効果をより顕著なものとすることができる。当該給水の温度は、55〜90℃の範囲が好ましく、55〜85℃の範囲がより好ましく、55〜80℃の範囲がさらに好ましい。このような範囲とすることで、薬注点の腐食を防止しつつ、エコノマイザの防食において顕著な効果を得ることができる。
この給水温度は、例えば給水タンク(ホットウェルタンク)に、蒸気や高温のドレン水を流入させて補給軟水と混合することにより、調整することができる。また、ヒータ等の熱源で熱処理して昇温してもよい。
また、本発明において、脱酸素剤の添加位置(薬注点)から、エコノマイザ入口までの給水の最大負荷運転時の平均滞留時間は、好ましくは0.5分以上、より好ましくは1分以上、さらに好ましくは2分以上とする。当該平均滞留時間が0.5分以上となると、脱酸素剤による処理時間が多く確保されるためより顕著な防食効果が得られる。当該平均滞留時間の上限は、特に限定されないが、5分である。当該平均滞留時間が5分を超えると、溶存酸素濃度の低下が鈍くなり、また、滞留時間の維持などのために、新たにバッファータンク等の設備投資が必要となり、好ましくない。
「最大負荷運転時の平均滞留時間」とは、薬剤を添加された時点から、給水がエコノマイザ入り口に到達までに要する時間を意味し、下記式(1)により算出される。
「最大負荷運転時の平均滞留時間(分)」=[脱酸素剤添加の位置からエコノマイザ入り口までの給水系流路長(m)×配管平均断面積(m2)]/[最大負荷運転時の給水総流量(m3/分)・・・式(1)
[アルカリ剤]
本発明の防食方法においては、給水ポンプより上流側の給水配管からアルカリ剤を添加して、給水のpH値を9.0以上とすることが好ましい。本発明において脱酸素剤として用いられるエリソルビン酸若しくはその塩、又は、アスコルビン酸若しくはその塩は、溶存酸素と反応して有機酸を生じるため、それを中和するのに必要なアルカリ剤を、給水に添加することが好ましく。さらに、給水のpHを9.0以上とすることで、腐食生成物の溶解性が低下して、金属表面に耐食性被膜を形成するため好ましい。
給水のpHは高い方が防食効果は高いが、ボイラ水系のように、後段で濃縮が行われる水系では、pHを高くしすぎると、後段の装置の運転に影響を与えるため、給水のpHは9.0〜10.5がより好ましく、9.0〜10.0がさらに好ましく、9.0〜9.5がよりさらに好ましい。
アルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、リン酸三ナトリウム、リン酸水素ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩等が挙げられる。これらの中では、pH調整効果及び熱分解により二酸化炭素を発生させない観点から、アルカリ金属水酸化物が好ましく、経済性の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等がより好ましい。
上記アルカリ剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
[他の添加成分]
本発明の防食方法では、本発明の目的を阻害しない範囲において、他の添加成分として、スケール防止剤(又は、スケール除去剤)、防食剤、揮発性アミン等を併用することができる。これらの他の添加成分は、任意に混合してボイラ水系に添加してもよく、また別々に添加してボイラ水系内で混合してもよい。
(スケール防止剤(又は、スケール除去剤))
スケール防止剤(又は、スケール除去剤)としては、例えば各種リン酸塩や、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、及びそれらのナトリウム塩等の水溶性高分子化合物、ホスホン酸塩,キレート剤等が挙げられる。
(揮発性アミン)
揮発性アミンとしては、例えばモノエタノールアミン(MEA)、シクロへキシルアミン(CHA)、モルホリン(MOR)、ジエチルエタノールアミン(DEEA)、モノイソプロパノールアミン(MIPA)、3−メトキシプロピルアミン(MOPA)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)等を用いることができる。
[水質の調整]
ボイラ給水のM−アルカリ度やシリカが不足する場合には、アルカリ剤及びケイ酸塩(Na2SiO2等)を給水中に添加することで、防食効果がさらに改善される。
アルカリ剤及びケイ酸塩の添加濃度は、M−アルカリ度が5mgCaCO3/L以上、かつシリカが5mgSiO2/L以上、好ましくはM−アルカリ度が10mgCaCO3/L以上、かつシリカが10mgSiO2/L以上、より好ましくはM−アルカリ度が15mgCaCO3/L以上、かつシリカが15mgSiO2/L以上となるように、薬注量を調節するのがよい。
なお、M−アルカリ度とは、pH4.8まで下げるのに要する酸の当量数をCaCO3換算した濃度(mgCaCO3/L)を示す。
本発明の防食方法においては、給水温度を55℃以上とし、脱酸素剤としてエリソルビン酸、アスコルビン酸及びそれらの塩の中から選ばれる少なくとも1種を用い、給水ポンプより上流側の給水配管に添加することで、薬注点を腐食させにくくし、かつ給水配管内で微生物の繁殖によるスライムの発生を生じさせにくくし、さらに脱酸素速度を上昇させて、当該エコノマイザを防食することができる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
<試験例1:耐食試験>
実施例1及び比較例1
下記の条件で耐食試験を行った。
テストピース材質:SS41(構造圧延鋼)、FC(ねずみ鋳鉄)
テストピース形状:3.0mm×5mm×1mm
100mLのビーカーを各薬剤に対して材質の数だけ用意し、試験液を約50mL各ビーカーに注いだ。次いで、予め秤量したテストピースをそれぞれビーカーに入れ、半浸漬状態にし、40℃恒温器中で、14日間静置した。なお、各ビーカーはそれぞれラップと輪ゴムを用いて蓋をした。
試験期間終了後、テストピースをピンセットで取り出し、流水ですすぎながら軽くガーゼや非金属ブラシで薬品を落としたのち、水洗後、JIS K 0100−1900の試験法に準じて酸洗浄を行い秤量し、腐食減量、試験片の形状、試験液の色から耐食性を評価した。
条件及び結果を表1に示す。
Figure 0005970884
なお、比較例1はタンニン(ケブラチョ)20質量%、48質量%水酸化カリウム水溶液30質量%及び水50質量%の比率で混合した薬液を使用した。
実施例1は、エリソルビン酸20質量%、48質量%水酸化カリウム水溶液30質量%及び水50質量%の比率で混合した薬液を使用した。
表1の結果より、タンニンに比べエリソルビン酸は炭素鋼や鋳鉄製の材質に対して腐食しにくいことが確認された。
<試験例2>
実施例2〜7及び比較例2〜8
下記の条件で、小型貫流ボイラを用いた脱酸素試験を行った。
給水 :野木町水(給水水質:EC17mS/m、Cl-10mg/L、SO4 2- 22mg/L、SiO213mg/L、M−アルカリ度22mg/L)
給水温度:60℃
運転圧力:0.7MPa
給水量 :270L/h
濃縮倍数:10倍
試験期間:6日間
薬注点を給水ポンプ後、給水ポンプ前、給水ポンプ手前でエコノマイザ入口までの滞留時間が0.5分及び2分となるように、給水ライン上にそれぞれ薬注点を設けた。炭素鋼製のテストピース(1.5mm×5mm×1mm)と合成ゴム板が設置されたSUS支持棒を小型貫流ボイラのエコノマイザ入口に挿入し、プラグで塞ぎボイラを起動した。
起動と共に、給水に対して、表2に示す薬剤を、給水中で表2に示す濃度になるように給水ポンプに連動して添加した。また、アルカリ剤としてKOHを表2に示すpHになるように添加した。
試験期間終了後、ボイラを停止し、冷却後にテストピースを取り出し、JIS K 0100−1990に準じて脱錆処理を行い、腐食減量から腐食速度を算出した。また、取り出したゴム板を目視観察し、スライムの付着の有無を確認した。
表2に、各条件についての腐食速度(mdd)及びスライムの付着の有無を示した。
Figure 0005970884
[注]
腐食速度(mdd)は、温度60℃における6日間の腐食速度(mg/dm2・day)を示し、濃度は給水に対する添加濃度である。
比較例2は、ブランク試験として、給水温度40℃、pH7.5とした。
比較例3は、タンニン酸を給水中の濃度25mg/Lとなるように給水タンクに添加した。
比較例4は、前記比較例3と同様の方法で、かつ給水温度を55℃に昇温した。
比較例5は、エリソルビン酸を給水中の濃度25mg/Lとなるように給水ポンプ手前で添加し、滞留時間が0.2分、給水温度を40℃とした。
実施例2は、前記比較例5と同様の方法で給水温度を55℃に昇温した。
実施例3は、前記比較例5と同様の方法で給水温度を70℃に昇温した。
比較例6は、Dグルコースを給水中の濃度25mg/Lとなるように給水ポンプ手前で添加し、滞留時間が0.2分、給水温度を55℃とした。
比較例7は、α−グルコヘプトネートを給水中の濃度25mg/Lとなるように給水ポンプ手前で添加し、滞留時間が0.2分、給水温度を55℃とした。
実施例4は、実施例2と同様の方法及び条件に加えアルカリ剤を添加し、pHを9.0に上昇した。
比較例8は、エリソルビン酸を給水ポンプ後に添加した以外は、実施例2と同様の方法及び条件で実施した。
実施例5は、実施例2と同様の条件で、添加場所を給水ポンプ手前で滞留時間が0.5分となるような方法で実施した。
実施例6は、前記実施例5と同様の条件で、添加場所を給水ポンプ手前で滞留時間が2.0分となるような方法で実施した。
実施例7は、前記実施例6と同様の方法及び条件に加えアルカリ剤を添加し、pHを9.0に上昇させた。
表2の結果より、給水温度を55℃以上にすることで、給水配管内で微生物の繁殖によるスライムの発生を生じさせることなく脱酸素速度を上昇させて、エコノマイザを防食することを確認した。更に、pH9に上昇することでも防食効果が向上することを確認した。また、滞留時間を0.5分以上に延ばすことで、同じ添加量でも脱酸素速度が上昇し、エコノマイザの防食効果が向上することを確認した。さらに、エリソルビン酸は、他の有機酸、糖類よりも防食効果が高いことが確認された。
<試験例3>
実施例8〜12
図2に示すボイラのエコノマイザを模擬して作製した試験装置を用いて、次のように運転を行い、本発明の防食効果を確認した。
試験水タンク2の内部に設置されているヒータ3と、熱媒タンク13の内部に設置されているヒータ14を、それぞれ稼働させて、試験水及び熱媒を加温した。給水は純水に試薬を所定の濃度になるように添加した下記に示す合成水を用い、エリソルビン酸は、薬注タンク4より、給水ポンプ6に連動させた薬注ポンプ5を介して表3に示す濃度となるように給水ラインに添加した。
その後、テストカラム8及びテストカラム10に、それぞれ脱脂、秤量したテストチューブを設置し、給水ポンプ6及び熱媒ポンプ15を稼働させて試験を開始した。なお、薬注前の給水60℃の溶存酸素は平均して約5.0mg/Lであった。温度条件は、エコノマイザの水側の入口の温度領域を想定し、60℃にて試験を行った。給水方法は、実機ポンプを模した運転として断続給水(給水ポンプが起動1分40秒(起動時流速24cm/s)、停止1分の繰り返し運転)で防食効果を確認した。また、1時間当たりの給水量は、それぞれ37.5L/hに設定した。14日間の試験期間経過後に装置を停止し、冷却後にJIS K 0100−1990に準じて脱錆処理を行い、テストチューブ腐食減量から腐食速度を算出した。表3に、各条件についての腐食速度(mdd)を示した。
(合成水の組成)
ベース :超純水
NaHCO3 :CaCO3として40mg/L
HCl及びNaCl:Cl-として40mg/L
Na2SO4 :SO4 2-として40mg/L
Na2SiO3 :SiO2として30mg/L
給水pH :25℃ 8.0又は9.0(NaOH又はHClで調整)<試験液>
Figure 0005970884
表3の結果より、エリソルビン酸は5〜50mg/Lの濃度範囲では、濃度が高くなるに連れて、脱酸素反応速度が向上し、防食効果が高くなることが確認された。また、50〜100mg/Lの範囲では防食効果の差は小さかった。
なお、図2において、符号1は補給水、7は流量計、9は温度計、11は温度計、12は背圧弁、16は熱交換器、17は流量調節バルブである。
本発明の防食方法によれば、特に薬注点の配管の腐食性を低く保ち、スライムの発生を防止しつつ、前記エコノマイザを効果的に防食する方法が提供されるため、大型装置の設置や、多額の設備投資をしなくても、防食性の高いボイラを得ることができる。
1 補給水
2 試験水タンク
3、14 ヒータ
4 薬注タンク
5 薬注ポンプ
6 給水ポンプ
7 流量計
8 テストカラム1
9、11 温度計
10 テストカラム2
12 背圧弁
13 熱媒タンク
15 熱媒ポンプ
16 熱交換器
17 流量調節バルブ
100 ボイラ
101 給水タンク
102 給水ポンプ
103 鋼材製エコノマイザ
104 ボイラ本体
105 薬注タンク
106 薬注ポンプ
107 蒸気又はドレン回収用配管
108 補給水経路
P 給水配管系
C 薬注点
D 薬注配管系
H 熱交換配管系

Claims (3)

  1. 鋼材製エコノマイザと、該エコノマイザに給水を供給する給水配管を有する給水系と、を少なくとも備えるボイラのエコノマイザを防食する方法において、55〜90℃の温度を有する給水に対して、給水系に設置された給水ポンプより上流側の給水配管から、エリソルビン酸、アスコルビン酸及びこれらの塩の中から選ばれる少なくとも1種の脱酸素剤を添加する、エコノマイザの防食方法。
  2. 前記給水ポンプより上流側の給水配管からアルカリ剤を添加して、給水のpH値9.0〜10.5とする、請求項1に記載の防食方法。
  3. 前記脱酸素剤の添加位置からエコノマイザ入口までの給水の最大負荷運転時の平均滞留時間が0.5分以上である、請求項1又は2に記載の防食方法。
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