JP2007014311A - スギ花粉由来の新規アレルゲン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 スギ花粉中に含まれ、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により測定すると分子量50,000〜60,000ダルトンを示し、等電点電気泳動法により測定すると3.5〜5.0付近に等電点を示すスギ花粉アレルゲンCPA63を見出した。また質量分析によって、その部分アミノ酸配列を明らかにし、さらにはCPA63をコードするcDNA配列およびCPA63の全アミノ酸配列を明らかにした。天然型CPA63および組換え体CPA63のスギ花粉症患者血清との反応頻度を示し、CPA63が既知のアレルゲンCry j 1、Cry j 2とは免疫学的特性の異なる新規なアレルゲンであることを明らかにした。
【選択図】 なし
Description
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(2)部分アミノ酸配列として
X-Val-Glu-Pro-Ala-Tyr-Asn-Ala-Met-Arg または Phe-Thr-Pro-X-X-Ser-Asn-Ser-Arg (XはIleまたはLeuを示す)の配列を有する前記(1)のスギ花粉アレルゲン。
(3)配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する前記(1)または(2)のスギ花粉アレルゲン。
(4)スギ花粉粗抗原から、アフィニティー精製、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、遠心分離、濃縮、透析など方法によって得られたことを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかのスギ花粉アレルゲン。
(5)配列番号2に記載のアミノ酸配列または少なくともその一部のアミノ酸配列を含むスギ花粉アレルゲンタンパク質。
(7)配列番号2に記載のスギ花粉アレルゲンタンパク質のアミノ酸配列または少なくともその一部のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する核酸分子。
(8)スギ花粉アレルゲンをコードする配列番号1に記載の塩基配列または少なくともその一部の塩基配列を有する核酸分子。
(9)スギ花粉またはスギ雄花に由来する単離された前記(6)〜(8)に記載の核酸分子。
(11)無細胞発現系によって調製された前記(1)〜(5)のいずれかに記載のタンパク質または少なくともその一部のアミノ酸配列を含むタンパク質。
(12)化学的な合成によって調製された前記(1)〜(5)のいずれかに記載のタンパク質または少なくともその一部のアミノ酸配列を含むタンパク質。
(13)スギ花粉症患者血清中のIgEと反応する前記(5)または(10)〜(12)のタンパク質。
(14)スギ花粉で感作された患者のT細胞を増殖させることが可能な前記(1)〜(5)、(10)〜(12)のいずれかに記載のスギ花粉タンパク質のT細胞エピトープペプチド。
(16)前記(1)〜(4)、(10)〜(12)のスギ花粉アレルゲンを用いた花粉症患者用の診断薬。
(15)前記(1)〜(4)、(10)〜(12)に記載のスギ花粉タンパク質を用いた減感作用の治療薬。
スギ花粉アレルギーにおいては、Cry j 1とCry j 2の主要抗原が同定され詳細に研究されているが、その他のアレルゲンに関しては、未だ充分なされていない。そこで、本発明者らは、スギ花粉中に含まれるアレルゲンの網羅的解析を目指して、スギ花粉粗抗原を二次元電気泳動により展開した後、イムノブロッティング法によってスギ花粉症患者血清IgEと特異的に反応するスポットを検索した。その結果、塩基性域のCry j 1およびCry j 2以外に、IgEと反応するアレルゲンが塩基性域ばかりでなく、酸性域にも多くのアレルゲンが存在することを見出した。その後、得られた陽性スポットのアミノ酸シークエンスをMALDI-TOF MSを用いて行い、陽性スポットの部分アミノ酸配列を決定し、CPA63と命名した。得られたアミノ酸配列を用いてホモロジー検索をしたところ、既知の他の植物由来の配列の中に有意な相同性を示すものは存在せず、本タンパク質の分子種を類推することはできなかった。次に、得られたアミノ酸配列を用いてCryptomeria japonica(日本スギ)のESTデータベースを検索したところ、一致する翻訳配列を有するEST(Accession number BP173910)を見出した。
また本発明のCPA63タンパク質の少なくとも一部をコードする核酸には、CPA63の免疫学的性質の少なくとも一部を有しているCPA63のアミノ酸配をコードする核酸が含まれ、例えばCPA63の少なくとも1つのエピトープを含むアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸は本発明に含まれる。
ここでいうCPA63の免疫学的性質とは、CPA63のヒトに対する免疫学的性質だけでなく、例えば、イヌ、ネコ、サル、ラット、マウス、ウサギ等、他の動物に対する免疫学的性質も含まれる。
本発明の単離された天然型CPA63タンパク質は、免疫染色法によってそのアレルゲン性が評価された。スギ花粉粗抗原(CJP)を二次元電気泳動し、スギ花粉症患者血清を用いてCPA63の特異IgE抗体価を分析した一つの実施例では、47.5%の患者血清で陽性反応を示した。
本発明の単離された天然型CPA63タンパク質および少なくともその一部を含むタンパク質断片は、スギ由来の試料から、好ましくはスギ花粉あるいはスギ花粉抽出物から、アフィニティー精製、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、遠心分離、濃縮、透析などの当業者に公知の技術を利用して得ることができる。
<実施例1> スギ花粉粗抗原のプロテオーム解析
スギ花粉粗抗原の調製
日本スギ花粉(広島県呉市豊町にて採取)80 gに抽出バッファー(20 mM PBS+3 mM EDTA pH 7.6)を3.0 L加えた後、4℃で4時間攪拌した。その後、遠心分離(7,000 rpm, 30分間)によって得た上清に対して、終濃度80%飽和になるよう硫酸アンモニウムを加え、4℃で一晩攪拌した。次に、遠心分離(7,000 rpm, 30分間)によって沈殿を採取し、ミリQ水で一晩透析を行った。その後、遠心分離(10,000 rpm, 30 分間)をすることで得られた上清の凍結乾燥を行い、スギ花粉粗抗原(CJP)を得た。
スギ花粉粗抗原(CJP)200 mgに4 mlのPBS+ジチオトレイトール(DTT) 60 mgを加えて懸濁し、PBSで60%に調製したトリクロロ酢酸2 mlを加えた後、氷上で90分間静置した。その後、遠心分離(3,500 rpm, 15分間)を行い、沈殿を回収した。この沈殿に冷アセトン10 mlを加えて懸濁し、洗浄した。さらに、遠心分離(3,500 rpm, 20 分間)を行った後、スピードバックで沈殿を乾燥させた。その沈殿にLysis Buffer(8 M 尿素、2 Mチオ尿素、2% CHAPS, 2% SB3-10, 1% DTT, 0.8% Ampholine)1 mlを加えて懸濁し、超音波破砕によって完全に溶解させた。その後、遠心分離(18,000 rpm, 20分間)を行い、その上清を二次元電気泳動用のサンプルに用いた。
9〜18%ポリアクリルアミド・グラジエントゲルを作製し、その上に等電点電気泳動後のゲルをセットした。ゲルの上から低融点アガロースを重層し固化させた後、80 Vで一晩、2次元目(分子量)の電気泳動を行った。
二次元目の電気泳動が終了した後、ゲルを染色することによってタンパク質を検出した。その結果の一例を、図1に示した。スギ花粉粗抗原中には、主要抗原であるCry j 1とCry j 2以外にも多くのタンパク質が確認された。
二次元電気泳動後のタンパク質を、ブロッティングキット(Hoefer DALT)を用いて約6時間、60Vの条件でメンブレンに転写した。その後、メンブレンをPBST(0.1% Tween20/PBS)で洗浄し、ブロッキング液(5% skim milk, 1% BSA/PBST)で一晩振とうした。その後、PBSTで洗浄し、ブロッキング液で10倍希釈したスギ花粉症患者血清中で4時間振とうしながらインキュベートした。洗浄後、ブロッキング液で2,500倍希釈した抗ヒトIgE−ビオチン標識(Biosource)を加え、2時間振とうしながらインキュベートした。PBSTで洗浄した後、ブロッキング液で2,500倍希釈したストレプトアビジン−HRP標識(ZYMED)と共に、1時間インキュベートした。その後、PBSTで洗浄した後、ECL Western blotting detection reagents (Amersham Pharmacia Biotech)と共に5分間インキュベートを行い、X線フィルムに感光させて陽性スポットを検出した。
ウエスタンブロットによる解析の結果、スギ花粉粗抗原中にはCry j 1とCry j 2以外にも陽性反応を示すスポットが多く存在することが明らかになった。12名のスギ花粉症患者血清IgEで調査した内、とくに強い陽性反応があったスポットを、図1中に線で囲んで示した。
スギ葯トータルRNAの精製
液体窒素中で粉砕したスギ葯5 gを50 ml容量の遠沈管に入れ、4℃のConcertTM Plant RNA Reagent(Invitrogen)を25 ml加えて懸濁した。遠沈管を横にした状態で、室温で5分間静置した。これを遠心分離(2,600×g、5分間、4℃)した。その上清をメッシュサイズ100 μmのセルストレーナー(BDファルコン)で濾過した。濾過した上清10 mlにつき5 M 塩化ナトリウムを2 ml加えて懸濁した。濾過した上清10 mlにつきクロロホルムを6 ml加えて懸濁した。これを遠心分離(2,600×g、30分間、4℃)した。上清に、上清の0.9倍量のイソプロパノールを加えて懸濁した。これを室温で10分間静置した。次にこれを遠心分離(2,600×g、30分間、4℃)した。上清を除き、沈殿したトータルRNAに75% エタノールを10 ml加えて軽く懸濁した。これを遠心分離(2,600×g、5分間、4℃)した。上清を除き、遠沈管のふたを開けた状態で、室温で15分間静置してトータルRNAを乾燥した。これにRNase free water を300 μl加え、トータルRNAを溶解した。得られたトータルRNA溶液は-80℃で保存した。
スギ葯トータルRNAからmRNAの精製には、OligotexTM-dT30 <Super> mRNA Purification kit(TaKaRa)を用いた。スギ葯トータルRNA 250 μgを含むトータルRNA溶液150 μlを調製した。これに2×Binding bufferを150 μl、OligotexTM-dT30 <Super>を15 μl加えて懸濁した。70℃で3分間インキュベートし、室温で10分間静置した。これを遠心分離(15,000 rpm、5分間、室温)した。上清を除き、沈殿したOligotexTM-dT30 <Super>にWash bufferを350 μl加えて懸濁した。これをスピンカラムセットのカップに移し、遠心分離(15,000 rpm、30秒間、室温)した。カップを新しいスピンカラム用遠心チューブに移した。カップ内のOligotexTM-dT30 <Super>にWash bufferを350 μl加えて懸濁した。これを遠心分離(15,000 rpm、30秒間、室温)した。カップを新しいスピンカラム用遠心チューブに移した。(1)カップ内のOligotexTM-dT30 <Super>に70℃のRNase free waterを30 μl加えて懸濁し、遠心分離(15,000 rpm、30秒間、室温)して、mRNA溶液を回収した。(1)の操作をさらに2回行った。一連のmRNA精製操作をさらに5回行い、mRNA溶液を約500 μl以上得た。
スギ葯mRNAから5'-RACE用および3'-RACE用cDNAの合成には、BD SMARTTM RACE cDNA Amplification Kit(BD Biosciences)を用いた。5'-RACE用cDNAの合成は、0.5 ml容量のマイクロチューブに、1 μg/μl mRNA溶液を1 μl、5'-CDS primerを1 μl、BD SMART II A oligoを1 μl、RNase free waterを2 μl加えて懸濁した。一方、3'-RACE用cDNAの合成は、0.5 ml容量のマイクロチューブに、1 μg/μl mRNA溶液を1 μl、3'-CDS primer Aを1 μl、RNase free waterを3 μl加えて懸濁した。70℃で2分間インキュベートし、氷上で2分間静置した。各反応液に、5×First-Strand Bufferを2 μl、20 mM ジチオトレイトールを1 μl、dNTP mixを1 μl、BD PowerScript Reverse Transcriptaseを1 μl加えて懸濁した。42℃で90分間インキュベートした。反応液にTricine-EDTA Bufferを250 μl加えて懸濁した。これを72℃で7分間インキュベートした。得られたcDNA溶液は-30℃で保存した。
質量分析法を用いて推定したCPA63のアミノ酸配列 (X-Val またはVal-X)-Glu-Pro-Ala-Tyr-Asn-Ala-Met-Arg (XはIleまたはLeuを示す)を検索子として、GenBankのESTデータベースを検索した。その結果、Leu-Val-Glu-Pro-Ala-Tyr-Asn-Ala-Met-Argの翻訳配列を有する、Cryptomeria japonicaのEST(Accession number BP173910)を見出した。CPA63遺伝子の未知領域を取得するために、BP173910の塩基配列をもとに、5'-RACE用プライマー 5'-CTC CAC CAG CCT AGT GAT GAC TGT TCC-3'、および3'-RACE用プライマー 5'-CGG CGA CGT GGA GTT TCC TCT CAT C-3'を作製した。作製したそれぞれのプライマーとUniversal Primer A Mix(BD SMART TM RACE cDNA Amplification Kit付属プライマー)を用いて、スギ葯cDNAをテンプレートとした5'-RACEおよび3'-RACEを行った。このRACE反応はBD Advantage TM 2 PCR Kit(BD Biosciences)を用いた。5'-RACE産物および3'-RACE産物を、QIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN)を用いて精製し、DNA Ligation Kit ver. 2.1(TaKaRa)を用いてpGEM-T Easy Vector(Promega)に連結した後、Competent high E. coli DH5α(TOYOBO)に形質転換した。得られた形質転換体から、QIAprep Spin Miniprep Kit(QIAGEN)を用いてプラスミドを調製した。調製したプラスミドをテンプレートとして、BigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems)を用いてサイクル反応を行った。
GenBankデータベースを用いたFASTA及びBLAST検索によって、得られたCPA63の遺伝子およびタンパク質の配列について相同性検索を行った。図2にスギ花粉アレルゲンCPA63のアミノ酸配列(配列番号2)と他の植物由来の aspartyl protease family protein/nucleoid DNA-binding-like protein とのアミノ酸配列の相同性を比較した結果を示した。
以上のようにCPA63が他種のaspartyl protease family protein/nucleoid DNA-binding-like proteinと高い相同性を保持していることが確認された。一方これまでにaspartyl proteaseはアレルゲンとしても報告されており、例えばチャバネゴキブリ由来Bla g 2 (Pollart SM, J. Allergy Clin. Immunol., 87, 511-21, 1991)やAspergillus fumigatus(真菌)由来Asp f 10 (Crameri R., Int. Arch. Allergy Immunol., 115, 99-114, 1998) などが知られている。このことから本発明のCPA63は、スギ花粉以外のアレルゲンとの交差反応性に関する情報を提供しうる手段に使用することが可能である。
組換え型CPA63タンパク質(rCPA63)をバキュロウイルス−昆虫細胞系で発現させた。CPA63をコードするcDNAを鋳型として、DNA増幅酵素であるKOD-plus-を用いたPCRによって増幅し、両末端にBamH IおよびEcoR Iサイトを有するCPA63遺伝子断片を得た。この増幅物を、BamH IとEcoR Iで制限酵素処理し、同様にBamH IとEcoR Iで処理した昆虫細胞発現用ベクターpVL1393中にインサートし、CPA63/pVL1393を得た。インサートしたCPA63遺伝子の配列はDNAシークエンサー 3100-Avant(Applied Biosystems)によって確認した。CPA63/pVL1393を、バキュロウイルスDNA(SapphireTM DNA(Orbigen))とともに昆虫培養細胞Sf9へコトランスフェクションし、CPA63遺伝子を有する組換えバキュロウイルスを調製した。本組換えバキュロウイルスのゲノムDNAを鋳型として、CPA63遺伝子特異的PCRを行うことによって、ウイルスゲノム中にCPA63遺伝子が組み込まれたことを確認した。次にこの組換えバキュロウイルスを、昆虫培養細胞Sf9に接種した後、27℃で、4日間培養し、rCPA63タンパク質を発現させた。rCPA63タンパク質は、C末端にポリヒスチジン(6×ヒスチジン残基)が付加したヒスチジンタグ融合タンパク質として発現させた。培養液を3,000 rpm、4℃で、10分間遠心分離した後、上清を回収した。この上清を分取して、SDS-PAGEにかけた後、銀染色とウエスタンブロット解析を行い、rCPA63の発現を確認した(図4と図5)。ウエスタンブロットは、一次抗体としてPenta-His Antibody(QIAGEN)抗体、二次抗体としてHRP標識されたAnti-mouse IgG (生化学工業)抗体を使用し、ECL Plus Western Blotting Detection System(Amersham Biosciences)で発光させrCPA63を検出した。図4および図5のレーン1は分子量マーカー、レーン2は培養上清を示す。
実施例4にて発現させたrCPA63タンパク質を、昆虫細胞の培養上清から精製した。rCPA63のC末端に付加したヒスチジンタグを利用し,Hisカラムによる精製を行った。培養上清をHiTrap Chelating HPカラム (Amersham Biosciences)に供してカラムに吸着させ、PBS緩衝液で非特異的にカラムに吸着したタンパク質を洗浄した。その後、PBS緩衝液中のイミダゾールの濃度を10 mM〜500 mMへグラジエントし、rCPA63をカラムから溶出させた。得られた画分を、SDS-PAGE/ウエスタンブロット解析し、rCPA63の溶出画分を確認した(図4レーン2)。その後、rCPA63を含む溶液を攪拌型ウルトラホルダー(ADVANTEC)によって濃縮した。その濃縮液をHiTrap Desaltingカラム (Amersham Biosciences)に供してPBS緩衝液から20 mM Tris-HCl緩衝液に置換した。その液を、陰イオン交換カラムHiTrap Q FFカラム (Amersham Biosciences)に供して、rCPA63をカラムに吸着させた。その後、NaClの濃度を20 mM〜1 Mへグラジエントし、rCPA63をカラムから溶出させた。得られた画分を、SDS-PAGE/ウエスタンブロット解析し、rCPA63の溶出画分を確認した。その後、rCPA63を含む溶液を攪拌型ウルトラホルダーによって濃縮した。
また、得られた精製rCPA63について、スギ花粉粗抽出タンパク質をウサギに免疫して作製した 抗-粗スギ花粉タンパク質 ウサギ抗血清を一次抗体としたウエスタンブロット解析も行った。 二次抗体はHRP標識されたAnti-Rabbit Ig抗体 (Amersham Biosciences) を使用し、ECL Plus Western Blotting Detection System (Amersham Biosciences)で発光させ免疫染色を行った。その結果(図6)、51,000ダルトンにrCPA63由来の発色バンドが確認され、rCPA63が天然のスギ花粉由来タンパク質と同様に、抗-粗スギ花粉タンパク質 ウサギ抗血清と反応することが示された(図6レーン3)。なお図6のレーン1は分子量マーカー、レーン2はCry j 2、レーン4はBSAを示す。
スギ花粉粗抗原から分離したnCPA63について、スギ花粉症患者血清との反応を調べた。実施例1と同様の方法で、スギ花粉粗抗原の調製および二次元電気泳動を行い、nCPA63を分離した。スギ花粉症患者血清40検体それぞれについて、実施例1と同様の方法でウェスタンブロッティングを行い、nCPA63との反応を調べた。比較例として、既知の主要アレルゲンCry j 1およびCry j 2との反応も調べた。その結果を表1に示した。nCPA63はスギ花粉症患者血清40検体中19検体(47.5%)で陽性反応を示した。また、nCPA63の反応状況は、Cry j 1およびCry j 2の反応状況とは異なっていた。このことから、nCPA63はスギ花粉症患者血清と高頻度で反応し、かつ、Cry j 1およびCry j 2とは免疫学的性質の異なる新規なスギ花粉アレルゲンであることが示された。
実施例4および実施例5によって発現および精製されたrCPA63タンパク質のスギ花粉症患者血清由来のIgEに対する結合能をELISA法により測定した。まず、マイクロタイタープレートのウェルに100 mM Sodium bicarbonate buffer (pH 9.6)で希釈した抗原溶液(10 μg/ml)を50 μlアプライした。また、human IgE standardをまず200 ng/mlになるように希釈し、倍希釈系列をそれぞれのウェルに50 μlずつ加え、室温で2時間静置した。PBSTにて洗浄した後、blocking buffer[PBS(pH 7.4), 0.5% Tween20, 3% skim milk, 1% BSA]を200 μlアプライし、4℃で一晩静置した。PBSTで洗浄後、blocking bufferで10倍希釈したスギアレルギー患者及び健常者血清を50 μlをアプライし、4℃で4時間静置した。PBSTで洗浄後、blocking bufferで1,000倍に希釈したanti-human IgE EPSILON CHAIN BIOTIN CONJUGATE (Biosource International, Inc.) 50 μlをアプライし、室温で2時間静置した。PBSTで洗浄後、blocking bufferで1,000倍に希釈したアルカリフォスファターゼ標識Streptavidinを50 μlアプライし、室温で1時間静置した。充分洗浄した後、50 μlの AttoPhosTMを加え CytoFluorTMII(PerSeptive Biosyatems)にて蛍光強度を測定した。
Claims (17)
- スギ花粉中に含まれるタンパク質で、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により測定すると分子量が50,000〜60,000ダルトンを示し、等電点電気泳動法により測定すると等電点が3.5〜5.0付近に示すことを特徴とする、スギ花粉アレルゲン。
- 部分アミノ酸配列として
X-Val-Glu-Pro-Ala-Tyr-Asn-Ala-Met-Arg または Phe-Thr-Pro-X-X-Ser-Asn-Ser-Arg (XはIleまたはLeuを示す)の配列を有する請求項1に記載のスギ花粉アレルゲン。 - 配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する請求項1または2に記載のスギ花粉アレルゲン。
- スギ花粉粗抗原から、アフィニティー精製、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、遠心分離、濃縮、透析などの方法によって得られたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスギ花粉アレルゲン。
- 配列番号2に記載のアミノ酸配列または少なくともその一部のアミノ酸配列を含むスギ花粉アレルゲンタンパク質。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のスギ花粉アレルゲンタンパク質の全部またはその少なくとも一部のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む核酸分子。
- 配列番号2に記載のスギ花粉アレルゲンタンパク質のアミノ酸配列または少なくともその一部のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する核酸分子。
- スギ花粉アレルゲンをコードする配列番号1に記載の塩基配列または少なくともその一部の塩基配列を有する核酸分子。
- スギ花粉またはスギ雄花に由来する単離された請求項6〜8に記載の核酸分子。
- 請求項6〜8に記載の核酸分子で形質転換された宿主細胞において産生された請求項1〜5のいずれかに記載のタンパク質またはその少なくとも1部のアミノ酸配列を含むタンパク質。
- 無細胞発現系によって調製された請求項1〜5のいずれかに記載のタンパク質または少なくともその一部のアミノ酸配列を含むタンパク質。
- 化学的な合成によって調製された請求項1〜5のいずれかに記載のタンパク質または少なくともその一部のアミノ酸配列を含むタンパク質。
- スギ花粉症患者血清中のIgEと反応する請求項5、10〜12のいずれかに記載のタンパク質。
- スギ花粉で感作された患者のT細胞を増殖させることが可能な請求項1〜5、10〜12のいずれかに記載のスギ花粉タンパク質のT細胞エピトープペプチド。
- 請求項1〜5、10〜12のいずれかに記載のスギ花粉タンパク質またはその少なくとも1つのタンパク質断片に特異的に反応するモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体。
- 請求項1〜4、10〜12に記載のスギ花粉アレルゲンを用いた花粉症患者用の診断薬。
- 請求項1〜4、10〜12に記載のスギ花粉タンパク質を用いた減感作用の治療薬。
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