JP4730764B2 - スギ花粉由来の新規アレルゲン - Google Patents

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Description

本発明は、スギ花粉に由来する新規なアレルゲンタンパク質、およびこれを用いたアレルギーの診断、予防および治療等に関するものである。
アレルギー疾患の罹患率および死亡率は、食生活や居住環境の変化などに伴い、近年、世界的にも増加傾向にある。民間調査(新薬開発の現状と将来展望 91年度版、(株)シードプランニング)によると、我国で3人に1人は、スギ花粉症、アトピー性皮膚炎、気管支喘息などの典型的なIgE依存型(I型)アレルギー疾患の症状を示しているという。これは2003年の調査結果でも同様で、約4万1000人を対象として行われた 平成15年保健福祉動向調査 アレルギー様症状(厚生労働省大臣官房統計情報部)によれば、皮膚・呼吸器・目鼻のアレルギー様症状のうち、過去一年間にいずれかの症状があった者は35.9%であった。アレルギー疾患は、直接生命に関わることがない反面、ごく若い世代に突然発症し、早い時期での自然治癒はまず期待できず慢性に経過することによって、本人や家族の負担は勿論のこと、長期に亘って社会的活動にも大きな影響を及ぼしていると考えられる。
スギ花粉症は、日本国民の10人に1人が罹患していると言われてきたが、実際には次のような疫学的データがある。1998年に獨協医科大学耳鼻咽喉科の馬場廣太郎らによって行われた約1万7,000名を対象とした疫学調査によると、スギ花粉症の有症率は18.1%であった。また、科学技術庁振興調整費 生活者ニーズ対応研究「スギ花粉症克服に向けた総合研究」第II期成果報告書によると、2001〜2002年において行った客観的診断基準による疫学調査では、スギ花粉症の有症率は、都市部(東京都品川区)で33.8%、地方(山梨県牧丘町)で26.7%であった。とりわけ、花粉の飛散する春の時期には、多くの患者がこのアレルギー症状に苦しめられている。
花粉症の治療に最も有効な方法は、アレルゲンとの接触を避けることであるが、居住環境の至る所に遊離して存在するアレルゲンで感作、発症している患者では、抗ヒスタミン剤などの副作用もある、対症療法剤を用いた一時的な解決策に依存せざるを得ないのが実状である。このため、これを使用し続けない限り発症を繰り返すことになり、財政的にも、肉体的にも大きな負担を強いられ、使用を中止するとリバウンドによる症状の悪化も懸念されるという問題を抱えている。
一方、アレルギーの原因物質であるアレルゲン自体を、患者に繰り返し投与して根治しようとする、減感作療法の試みがなされてきている。ホヤ喘息における減感作治療では90%以上の患者で症状の改善がみられたとの報告もあり(例えば、非特許文献1参照)、欧米ではアレルギーの標準的な治療方法の1つとして確立されている(例えば、非特許文献2参照)。しかしながら、使用抗原の選択を誤るとアナフィラキシーショックなどの副作用もあるため、患者個々に対する適切な診断が求められている。
スギ(Cryptomeria japonica)花粉のアレルゲンには、主要アレルゲンとして、抗原性の異なる2つの分子種、Cry j 1とCry j 2が知られている。Cry j 1は、安枝らによって報告されたもので(例えば、非特許文献3参照;本文献ではCry j 1はSBP(Sugi basic protein)と呼ばれていた)、分子量が45,000〜50,000ダルトン、等電点が約9.0のタンパク質である。Cry j 2は、坂口らによって報告された分子量が約37,000ダルトン、等電点が約9.5のタンパク質である(例えば、非特許文献4参照)。Cry j 1をコードするcDNAの塩基配列およびCry j 1のアミノ酸配列が明らかとなり(例えば、非特許文献5参照)、またCry j 2をコードするcDNAの塩基配列およびCry j 2のアミノ酸配列が明らかとなった(例えば、非特許文献6参照)。これら2つの主要アレルゲンは、スギ花粉症患者血清中のIgEと高頻度に反応する。
スギ花粉症の減感作療法においては、上記主要アレルゲンCry j 1とCry j 2のみでは、充分な治療効果が得られていない。治療のためには、まず、的確な診断が重要であるが、現状においては主要アレルゲン以外での診断は殆どなされていない。このような状況の下、近年、Cry j 1とCry j 2以外のスギ花粉アレルゲンタンパク質の詳細な免疫化学的特性の解明が望まれている。
これまでにCry j 1とCry j 2以外のスギ花粉アレルゲンがいくつか報告されてきた。河本らによって、イソフラボンレダクターゼと高い相同性を示すスギ花粉由来タンパク質CJP−6のcDNA配列およびアミノ酸配列が明らかにされ、CJP−6がスギ花粉症患者IgEによって認識される新規なアレルゲンであることが示された(例えば、非特許文献7および特許文献1参照)。一方、藤村らは、キチナーゼと高い相同性を示すスギ花粉由来タンパク質CJP−4を単離するとともに、そのcDNA配列およびアミノ酸配列を明らかにし、CJP−4がスギ花粉症患者IgEによって認識される新規アレルゲンであることを示した(例えば、非特許文献8参照)。
井川らは、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法で測定した分子量が57,000〜67,000ダルトンで等電点が7.0〜9.0の範囲にあるスギ花粉由来のタンパク質が、新規なアレルゲンを含むことを見出した(例えば、特許文献2参照)。該アレルゲンは、質量分析による該アレルゲンのペプチド断片のアミノ酸配列の解析結果から、ピルビン酸キナーゼであると推定された(澤崎健、(財)広島県産業技術振興機構研究交流推進部「緊急共同研究・戦略的権利化プロジェクト」第3回研究推進会議 (第3回プロテオームプロジェクト全体会議)(広島)、2001年3月15日)。しかしながら、該アレルゲンの全アミノ酸配列や該アレルゲンをコードするcDNA配列等の、該アレルゲンの分子種を特定する情報は得られていない。
二村らは、スギ花粉cDNAライブラリから、マウンテンセダー (Juniperus ashei)のアレルゲンとして知られる Jun a 3と相同性のある、3つのタンパク質のcDNA (Cry j 3.1、Cry j 3.2、および Cry j 3.3)を単離し(例えば、非特許文献9参照)、さらにその後、同じくJun a 3と相同性のあるCry j 3.4、Cry j 3.5、および Cry j 3.6 のcDNAの単離も報告した(例えば、非特許文献10参照)。彼らは、これら6つの遺伝子のうち、Cry j 3.5の遺伝子だけが発達中の雄性球果と花粉で発現レベルが高いことを示し、該遺伝子がコードするタンパク質がアレルゲン活性を有する可能性を示唆した(例えば、非特許文献11参照)。一方、宮原もJun a 3と相同性を有するCry j 3a、Cry j 3b、およびCry j 3cのcDNA配列を開示した(例えば、特許文献3参照)。これらのcDNAによってコードされるCry j 3タンパク質の、スギ花粉症患者血清との反応性等の免疫学的特性が明らかとなれば、これらのCry j 3あるいはこれらCry j 3のいくつかは、スギ花粉症の重要なアレルゲンに含まれる可能性がある。
このように、Cry j 1とCry j 2以外の多くのスギ花粉アレルゲンの存在とその重要性が示唆されているにもかかわらず、その分子種の同定ならびに免疫学的特性の評価がなされているものは少ない。
特開2002−58487号公報 特開2001−151797号公報 特開2004−89103号公報 Sigeta S. et al., Arerugi, 39(3), 313-21, 1990 Bousquet J, et al., J. Allergy Clin. Immunol. 102, 558-62, 1998 Yasueda, H. et al.,J. Allergy Clin. Immunol. 71, 77-86, 1983 Sakaguchi, M. et al., Allergy, 45, 309-312, 1990 Sone, T. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 199: 619-625, 1994 Komiyama, N. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 201: 1021-1028, 1994 Kawamoto S. et al.,Clin. Exp. Allergy, 32(7), 1064-70, 2002 藤村孝志ら、日本農芸化学会2004年度大会(広島)、講演番号3C02p05、2004年3月30日 Futamura. N. et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., 66, 2495-2500, 2002 Futamura. N. et al., 7th International Congress of Plant Molecular Biology (Barcelona), 講演番号S10-87, 2003年6月25日 篠原健司ら、スギ花粉症克服に向けた総合研究(第II期成果報告書)、218-226、2003
上述のような従来技術に鑑み、本発明は、スギ花粉症に関するCry j 1、Cry j 2以外の新規アレルゲン、それらを用いたアレルギーの診断薬、予防薬、および治療薬等を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく、スギ花粉粗抗原のプロテオーム解析によって、スギ花粉症患者血清中のIgE抗体と高頻度に反応するスポットを広く検索した。その結果、分子量が50,000〜66,000ダルトンで、等電点が5〜6付近にあるタンパク質(CPA39)に高いアレルゲン性があることを初めて見出した。さらに、種々の分析手法および遺伝子工学的手法を用いた鋭意検討の末、そのアミノ酸配列、cDNA配列および、免疫学的な特性を明らかにして、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)スギ花粉中に含まれるタンパク質で、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により測定すると分子量が50,000〜66,000ダルトンを示し、等電点電気泳動法により測定すると等電点が5〜6付近に示すことを特徴とする、スギ花粉アレルゲン。
(2)部分アミノ酸配列として
Ser-X-Gly-X-X-Ala-Ala-Ser-Glu (XはIleまたはLeuを示す)の配列を有する前記(1)のスギ花粉アレルゲン。
(3)配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する前記(1)または(2)のスギ花粉アレルゲン。
(4)スギ花粉粗抗原から、アフィニティー精製、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、遠心分離、濃縮、透析など方法によって得られたことを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかのスギ花粉アレルゲン。
(5)配列番号2に記載のアミノ酸配列または少なくともその一部のアミノ酸配列を含むスギ花粉アレルゲンタンパク質。
(6)前記(1)〜(4)のいずれかに記載のスギ花粉アレルゲンタンパク質の全部またはその少なくとも一部のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する核酸分子。
(7)配列番号2に記載のスギ花粉アレルゲンタンパク質のアミノ酸配列または少なくともその一部のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する核酸分子。
(8)スギ花粉アレルゲンをコードする配列番号1に記載の塩基配列または少なくともその一部の塩基配列を有する核酸分子。
(9)スギ花粉またはスギ雄花に由来する単離された前記(6)〜(8)に記載の核酸分子。
(10)前記(6)〜(8)に記載の核酸分子で形質転換された宿主細胞において産生された前記(1)〜(5)のいずれかに記載のタンパク質またはその少なくとも1部のアミノ酸配列を含むタンパク質。
(11)無細胞発現系によって調製された前記(1)〜(5)のいずれかに記載のタンパク質または少なくともその一部のアミノ酸配列を含むタンパク質。
(12)化学的な合成によって調製された前記(1)〜(5)のいずれかに記載のタンパク質または少なくともその一部のアミノ酸配列を含むタンパク質。
(13)スギ花粉症患者血清中のIgEと反応する前記(5)または(10)〜(12)のタンパク質。
(14)スギ花粉で感作された患者のT細胞を増殖させることが可能な前記(1)〜(5)、(10)〜(12)のいずれかに記載のスギ花粉タンパク質のT細胞エピトープペプチド。
(15)前記(1)〜(5)、(10)〜(12)のいずれかのスギ花粉タンパク質またはその少なくとも1つのタンパク質断片に特異的に反応するモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体。
(16)前記(1)〜(4)、(10)〜(12)のスギ花粉アレルゲンを用いた花粉症患者用の診断薬。
(15)前記(1)〜(4)、(10)〜(12)に記載のスギ花粉タンパク質を用いた減感作用の治療薬。
本発明の新規のスギ花粉アレルゲンは、アレルギーの診断薬、予防薬、および治療薬等に利用することができ、また、このアレルゲンタンパク質ならびにそのタンパク質断片は、Cry j 1、Cry j 2、およびその他のスギ花粉アレルゲンと組み合わせることによって、スギ花粉症の診断または減感作治療等に使用することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
スギ花粉アレルギーにおいては、Cry j 1とCry j 2の主要抗原が同定され詳細に研究されているが、その他のアレルゲンに関しては、未だ充分なされていない。そこで、本発明者らは、スギ花粉中に含まれるアレルゲンの網羅的解析を目指して、スギ花粉粗抗原を二次元電気泳動により展開した後、イムノブロッティング法によってスギ花粉症患者血清IgEと特異的に反応するスポットを検索した。その結果、塩基性域のCry j 1およびCry j 2以外に、IgEと反応するアレルゲンが酸性域にも存在することを見出した。その後、得られた陽性スポットのアミノ酸シークエンスをMALDI-TOF MSを用いて行い、陽性スポットCPA39の部分アミノ酸配列を決定した。得られたアミノ酸配列を用いてホモロジー検索をしたところ、既知の他の植物由来の配列の中に有意な相同性を示すものは存在せず、本タンパク質の分子種を類推することはできなかった。次に、得られたアミノ酸配列を用いてCryptomeria japonica(日本スギ)のESTデータベースを検索したところ、一致する翻訳配列を有するEST(Accession number BP176098)を見出した。
本発明のスギ花粉アレルゲン(CPA39)の遺伝子を単離するため、スギ葯から精製したトータルRNAを用いてスギcDNAライブラリを構築した。EST(Accession number BP176098)の塩基配列を基にして、オリゴヌクレオチドプライマーの設計を行い、RACE法によって未知の遺伝子領域を取得した。その後さらに、その塩基配列をもとに全長遺伝子を取得するべくプライマーを設計し、PCR法で全長遺伝子を取得した。得られた配列(配列番号1)は、開始コドンおよび終始コドンを含み、そのORFは1416塩基であった。このORFは471アミノ酸のタンパク質をコードしており、これによってCPA39タンパク質の全アミノ酸配列が明らかとなった(配列番号2)。
得られたCPA39タンパク質の全アミノ酸配列を用いてホモロジー検索をしたところ、この配列が、他の植物由来のβ-1,3-グルカナーゼのアミノ酸配列と相同性を有することが明らかになった。CPA39と相同性を有するこれらのβ-1,3-グルカナーゼには、オリーブ(Olea europaea) の花粉に含まれ、地中海におけるオリーブ花粉症のアレルゲンの1つとして知られているOle e 9(Huecas, S. et al., J. Biol. Chem., 276, 27959-27966, 2001)や、ラテックスアレルギーの主要アレルゲンHev b 2(例えばChye, M.L. et. al., Plant Mol. Biol. 29, 397-402 ,1995参照)が含まれる。β-1,3-グルカナーゼは、1,3-β-D-グルコシド結合の加水分解によるendo型切断を触媒する酵素であり、高等植物の広く多様な種において見出されている。β-1,3-グルカナーゼは、PR (pathogenesis-related)タンパク質あるいはPR-likeタンパク質と呼ばれるスーパーファミリーのグループ2に属する(PR-2 タンパク質)。またβ-1,3-グルカナーゼは、同一植物種中においても、アミノ酸配列、サイズ、等電点、細胞局在、および発現パターン等が異なる複数のβ-1,3-グルカナーゼが存在することが知られている。なお、β-1,3-グルカナーゼは、グルカン endo-1,3-β-グルコシダーゼあるいは1,3-β-グルカナーゼなどと呼ばれることもあるが、これらは同じものを指す名称である。
最近、森らによって、スギ花粉から単離したcDNAがコードするβ-1,3-グルカナーゼ様配列を有する約38kDaのタンパク質(CJP38)にアレルゲン活性があることが報告された(森啓太ら、第54回日本アレルギー学会総会 (横浜)、講演番号202、2004年11月4日)。しかしながら、森らの報告したCJP38タンパク質は、本発明のCPA39とは異なるタンパク質である。本発明のCPA39のアミノ酸配列およびcDNA配列は、森らの報告したCJP38タンパク質のアミノ酸配列およびcDNA配列とは異なっている。また、森らのタンパク質は349アミノ酸からなり(推定分子量38.1 kDa)、本発明の471アミノ酸からなるCPA39タンパク質に比べてずいぶんサイズが小さい。
本発明のCPA39のアミノ酸配列と相同性を有するタンパク質の中には、別のオリーブ花粉主要アレルゲン Ole e 10 (Barral, P. et al., J. Immunol., 172, 3644-3651, 2004)が含まれる。Ole e 10 は Ole e 9 のC末端領域と相同性を有することが知られているが、同様にCPA39のC末端領域とも相同性を示した。一方、森らの報告したCJP38の配列には、Ole e 9 のC末端領域およびOle e 10と相同性を有する領域は存在しない。
CPA39のN末端にはSignalP Ver. 3.0 (Bendtsen, J.D. et al., J. Mol. Biol., 340, 783-795, 2004) によって予測される25アミノ酸のシグナルペプチドが存在する。それに続くN末端側領域中には、種々の生物種由来のβ-1,3-グルカナーゼ活性に共通の保存ドメインglycosyl hydrolases family 17 domain (GH17) を含んでいることが、BLASTおよびCDD (conserved domain database) 検索によって明らかになった。CPA39中のGH17に相当する部分は、 26位〜339位のアミノ酸配列である。その下流には、Pro-Val-Thrをコンセンサス配列とする繰り返し配列(356位〜381位)があり、さらにその下流にはOle e 9 等の他のいくつかのβ-1,3-グルカナーゼにも保存されているC末端ドメイン(385位〜471位)を有している。このCPA39のドメイン構成と、Ole e 9、Ole e 10 および他のβ-1,3-グルカナーゼの構造との比較を模式的に表した図を、図1に示した。図1中、TaGlc1;コムギ由来β-1,3-グルカナーゼ(Accession number P52409)、Ole e 10;オリーブ花粉由来アレルゲン(Accession number AAL92578)、Ole e 9;オリーブ花粉由来アレルゲン(Accession number AAK58515)、CPA39;スギ花粉由来アレルゲン(配列番号2)、CJP38;スギ花粉由来38 kDaタンパク質、Tom PR-Q'a;トマト由来酸性β-1,3-グルカナーゼ(Accession number CAA52871)、Hev b 2;ラテックスアレルゲン(Accession number AAP87281)である。各タンパク質のアミノ酸配列の長さを同スケールの横棒で表し、シグナル配列部分、GH17 (glycosyl hydrolases family 17 domain)、および CtD (C末端ドメイン)を示した。パーセンテージで示した数字は、GH17およびCtDについての2つのタンパク質間のアミノ酸配列の同一性である。図1に示したように植物由来のβ-1,3-グルカナーゼはC末端ドメインを有するロングタイプのものと、C末端ドメインを持たないショートタイプのものが存在し、本発明の完全長のCPA39はロングタイプのβ-1,3-グルカナーゼである。
本発明のCPA39のアミノ酸配列の少なくとも一部を含むタンパク質には、GH17に相当する部分、すなわち配列番号2の26位〜339位のアミノ酸配列またはその少なくとも一部のアミノ酸配列を含むタンパク質が含まれる。また、本発明のCPA39のアミノ酸配列の少なくとも一部を含むタンパク質には、C末端ドメインに相当する部分、すなわち配列番号2の385位〜471位のアミノ酸配列またはその少なくとも一部のアミノ酸配列を含むタンパク質が含まれる。
本発明のCPA39タンパク質の少なくとも一部をコードする核酸には、GH17に相当する部分、すなわち配列番号2の26位〜339位のアミノ酸配列またはその少なくとも一部のアミノ酸配列をコードする核酸が含まれる。また、本発明のCPA39のアミノ酸配列の少なくとも一部を含むタンパク質には、C末端ドメインに相当する部分、すなわち配列番号2の385位〜471位のアミノ酸配列またはその少なくとも一部のアミノ酸配列をコードする核酸が含まれる。本発明の核酸にはデオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)が含まれる。
本発明のCPA39のアミノ酸配列の一部とは、CPA39の免疫学的性質の全てが消失してしまわないかぎりにおいて、どのような短い一部分でもよい。例えばCPA39のアミノ酸配列中の10〜20アミノ酸程度の長さのペプチドであっても、CPA39の免疫学的性質の少なくとも一部を有しているものは本発明に含まれる。例えば、アレルギー発症機序の過程において、抗原−抗体反応の特異性を決定するアレルゲン分子の局所構造をエピトープと呼ぶが、本発明のCPA39のアミノ酸配列の一部には、CPA39の少なくとも1つのエピトープを含むアミノ酸配列が含まれる。T細胞が特異的に認識する領域は、特にT細胞エピトープと呼ばれるが、一般的にその配列長は10〜20アミノ酸程度である。
また本発明のCPA39タンパク質の少なくとも一部をコードする核酸には、CPA39の免疫学的性質の少なくとも一部を有しているCPA39のアミノ酸配をコードする核酸が含まれ、例えばCPA39の少なくとも1つのエピトープを含むアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸は本発明に含まれる。
ここでいうCPA39の免疫学的性質とは、CPA39のヒトに対する免疫学的性質だけでなく、例えば、イヌ、ネコ、サル、ラット、マウス、ウサギ等、他の動物に対する免疫学的性質も含まれる。
本発明のCPA39をコードする核酸または少なくともその1つの断片をコードする核酸は、当業者ならば、本発明によって開示されたCPA39のアミノ酸配列およびそれをコードする核酸配列の情報を利用し、公知の技術を用いて天然由来の試料やライブラリから容易に調製することができる。また当業者に公知の化学的な核酸合成技術を用いて調製することも可能である。
本発明の単離された天然型CPA39タンパク質は、免疫染色法によってそのアレルゲン性が評価された。スギ花粉粗抗原(CJP)を二次元電気泳動し、スギ花粉症患者血清を用いてCPA39の特異IgE抗体価を分析した一つの実施例では、47.5%の患者血清で陽性反応を示した。
本発明の単離された天然型CPA39タンパク質および少なくともその一部を含むタンパク質断片は、スギ由来の試料から、好ましくはスギ花粉あるいはスギ花粉抽出物から、アフィニティー精製、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、遠心分離、濃縮、透析などの当業者に公知の技術を利用して得ることができる。
本発明のCPA39および少なくともその一部のアミノ酸配列を含むタンパク質は、公知の種々のタンパク質発現系のいずれかを用いて合成することができる。そのような方法には、例えば大腸菌発現系、乳酸菌発現系、酵母発現系、麹菌発現系、昆虫細胞発現系、動物細胞発現系、無細胞発現系などがある。当業者ならば、これらの発現系のそれぞれの長所および欠点等を理解しているので、当業者は目的に応じて適切な発現系を選択することが可能である。例えば、大腸菌などの原核細胞を使う発現系は、糖鎖付加などの適切な修飾が行われないために、組換えCPA39の発現には酵母などの真核細胞を使用する方がよい場合がある。
組換えタンパク質を発現させる際には、その発現効率を向上させるため、あるいは後の精製や検出を容易にするために、あるいは発現したタンパク質が細胞内で不溶化してしまうのを防ぐために、分泌シグナル部分の配列を改変したり(例えば、特開2001-258565号公報、および、特開2000-175686号公報)、GSTタグやヒスチジンタグなどのタグ配列を付加したり(例えばTerpe, K., Appl. Microbiol. Biotechnol., 60, 523-533, 2003)、あるいはGFPなどの蛍光タンパク質や他のタンパク質または他のタンパク質の一部の配列との融合タンパク質として発現させる等(例えばBreitwieser, A. et al., Protein Eng., 15, 243-249, 2002、および、WO2002/036785 など)の方法が、当業者の間ではしばしば行われる。組換えCPA39の発現の際にも、当業者ならば必要に応じてこのような技術を利用し、本発明のCPA39および少なくともその一部のアミノ酸配列を含むタンパク質を調製することができる。
本発明者らは一つの実施例として、バキュロウイルス−昆虫細胞系を利用して、組換えCPA39タンパク質(rCPA39)の発現を行った。培養上清からHiTrap Chelating HP Columnsと陽イオン交換カラムを用いてrCPA39を精製した。その結果、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法で測定すると分子量約60,000ダルトンを示すrCPA39タンパク質が得られた。さらに一つの実施例として、得られた組換え型CPA39のアレルゲン性をELISA法によって評価した。スギ花粉症患者血清を用いて、CPA39特異IgE抗体価を分析したところ、この実施例では約60%の患者血清で陽性反応を示した。
このように、本発明のスギから単離した天然型CPA39でも、本発明の組換え技術によって調製したCPA39でも、スギ花粉症患者血清との反応が観測され、これらどちらのCPA39にもアレルゲン性があることが発明者らによって初めて示された。当業者は、目的によって本発明のCPA39を取得するための方法を適宜選択することができる。
本発明のCPA39および少なくともその一部のアミノ酸配列を含むタンパク質は、その免疫学的性質の全てが消失してしまわないような状態であれば、他の一つ以上の物質と、化学的あるいは物理的な方法で、可逆的あるいは不可逆的に結合させた状態で使用することもできる。例えば、ガラス、プラスチック、樹脂、無機物、金属、半導体、蛍光物質、放射性物質、色素分子、タンパク質、核酸、糖、脂質、水溶性高分子、水溶性低分子、生分解性材料、有機合成分子、生物由来分子、ウイルス粒子などに結合させた状態で使用することができる。また結合させるものの形状はどのようなものでも良く、例えば、プレート状、ビーズ状、キューブ状、膜状、カプセル状、ゲル状、結晶状、液晶状、線維状、中空糸状、多孔質状、溶液中の分子、ナノ粒子、コロイド、あるいはそれらの複合体、あるいはもっと複雑な形状などでもかまわない。
本発明で得られた新規のスギ花粉アレルゲンCPA39は、スギ花粉症の診断試薬として利用ができる。また、その診断結果からオリーブ花粉やラテックス等をはじめとする他のアレルゲンについての交差感作に関する情報提供も可能である。
また、本発明によってCPA39タンパク質の全アミノ酸配列が明らかにされたため、CPA39タンパク質のT細胞エピトープ部位の同定が可能になった。そのため、それらのT細胞エピトープペプチドは、スギ花粉症の免疫療法において用途がある。本発明のCPA39のアミノ酸配列の少なくとも一部を含むタンパク質には、このようなCPA39のT細胞エピトープペプチドを含むタンパク質も含まれる。
アレルギーの治療法の1つとして減感作療法があるが、アナフィラキシーなどの副作用も考えられることから、最近の治療においては、患者にアレルゲン全体を投与するのではなく、T細胞が特異的に認識するアレルゲンの最小領域、つまり、T細胞エピトープのみからなるペプチドを投与する、ペプチドワクチンが注目されている。
アレルゲンタンパク質のT細胞エピトープの同定方法は、既に確立された技術になっている。例えばこれまでに、主要抗原であるCry j 1およびCry j 2のT細胞エピトープが報告されている(例えば、橋口周平ら, 日本臨牀, 54, 2233-2242, 1996、特開平7-118295号公報、および、特開平8-47392号公報)。また、それらを連結させる試みも開示されている(例えば、Sone, T. et al., J. Immunol., 161, 448-457, 1998、および、特開平10-259198号公報)。CPA39タンパク質のT細胞エピトープペプチドも、このような公知の方法によって取得することが可能である。
本発明で得られたCPA39タンパク質のT細胞エピトープペプチドは、それ単独、あるいは、Cry j 1、Cry j 2およびその他のスギ花粉アレルゲンのT細胞エピトープペプチドと混在、もしくは結合させることによって、花粉症の免疫療法に用いることができる。
さらに、本発明は、CPA39タンパク質、またはそのタンパク質断片に特異的に反応するモノクローナル抗体、およびポリクローナル抗体を提供することが可能である。タンパク質、またはそのタンパク質断片に特異的に反応するモノクローナル抗体、およびポリクローナル抗体を作製する方法は、当業者には公知である。
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<実施例1> スギ花粉粗抗原のプロテオーム解析
スギ花粉粗抗原の調製
日本スギ花粉(広島県豊田郡豊町にて採取)80 gに抽出バッファー(20 mM PBS+3mM EDTA pH 7.6)を3.0 L加えた後、4℃で4時間攪拌した。その後、遠心分離(7,000 rpm, 30分間)によって得た上清に対して、終濃度80%飽和になるよう硫酸アンモニウムを加え、4℃で一晩攪拌した。次に、遠心分離(7,000 rpm, 30分間)によって沈殿を採取し、ミリQ水で一晩透析を行った。その後、遠心分離(10,000 rpm, 30分間)をすることで得られた上清の凍結乾燥を行い、スギ花粉粗抗原(CJP)を得た。
スギ花粉粗抗原の二次元電気泳動
スギ花粉粗抗原(CJP)200 mgに4 mlのPBS+ジチオトレイトール(DTT) 60 mgを加えて懸濁し、PBSで60%に調製したトリクロロ酢酸2 mlを加えた後、氷上で90分間静置した。その後、遠心分離(3,500 rpm, 15分間)を行い、沈殿を回収した。この沈殿に冷アセトン10 mlを加えて懸濁し、洗浄した。さらに、遠心分離(3,500 rpm, 20分間)を行った後、スピードバックで沈殿を乾燥させた。その沈殿にLysis Buffer(8 M 尿素、2Mチオ尿素、2% CHAPS, 2% SB3-10, 1% DTT, 0.8% Ampholine)1 mlを加えて懸濁し、超音波破砕によって完全に溶解させた。その後、遠心分離(18,000 rpm, 20分間)を行い、その上清を二次元電気泳動用のサンプルに用いた。
pIレンジ3〜10のドライストリップをLysis bufferで一晩膨潤させた後、CJPのサンプルをストリップにアプライして1次元目(等電点)の泳動を行った。
アクリルアミド濃度9〜18%のグラジエンドゲルを作製し、その上に等電点電気泳動後のゲルをセットした。ゲルの上から低融点アガロースを重層し固化させた後、80 Vで一晩、2次元目(分子量)の電気泳動を行った。
二次元目の電気泳動が終了した後、ゲルを染色することによってタンパク質を検出した。その結果の一例を、図2に示した。スギ花粉粗抗原中には、主要抗原であるCry j 1とCry j 2以外にも多くのタンパク質が確認された。
ウェスタンブロッティング
二次元電気泳動後のタンパク質を、ブロッティングキット(Hoefer DALT)を用いて約6時間、60Vの条件でメンブレンに転写した。その後、メンブレンをPBST(0.1% Tween20/PBS)で洗浄し、ブロッキング液(5% skim milk, 1% BSA/PBST)で一晩振とうした。その後、PBSTで洗浄し、ブロッキング液で10倍希釈したスギ花粉症患者血清中で4時間振とうしながらインキュベートした。洗浄後、ブロッキング液で2,500倍希釈した抗ヒトIgE−ビオチン標識(Biosource)を加え、2時間振とうしながらインキュベートした。PBSTで洗浄した後、ブロッキング液で2,500倍希釈したストレプトアビジン−HRP標識(ZYMED)と共に、1時間インキュベートした。その後、PBSTで洗浄した後、ECL Westernblotting detection reagents(Amersham Pharmacia Biotech)と共に5分間インキュベートを行い、X線フィルムに感光させて陽性スポットを検出した。
ウェスタンブロットによる解析の結果、スギ花粉粗抗原中にはCry j 1とCry j 2以外にも陽性反応を示すスポットが多く存在することが明らかになった。12名のスギ花粉症患者血清IgEで調査した内、とくに強い陽性反応があったスポットを、図2に□の囲みで示した。
その中で、約50%以上の反応頻度を示したCPA39タンパク質のアミノ酸シークエンスをMALDI-TOF MSを用いて行った。その結果、Ser-X-Gly-X-X-Ala-Ala-Ser-Glu(XはIleまたはLeuを示す)の配列が得られた。本配列を用いてホモロジー検索をしたところ、既知の他の植物由来の配列の中に有意な相同性を示すものは存在せず、本タンパク質の分子種を類推することはできなかった。次に、得られたアミノ酸配列を用いてCryptomeria japonica(日本スギ)のESTデータベースを検索したところ、一致する翻訳配列を有するEST(Accession number BP176098)を見出した。そこでさらに未知遺伝子領域の配列を決定し、CPA39の全長遺伝子を取得するために、実施例2の方法をとった。
<実施例2> CPA39遺伝子の塩基配列およびアミノ酸配列の決定
スギ葯トータルRNAの精製
液体窒素中で粉砕したスギ葯5 gを50 ml容量の遠沈管に入れ、4℃のConcertTM Plant RNA Reagent(Invitrogen)を25 ml加えて懸濁した。遠沈管を横にした状態で、室温で5分間静置した。これを遠心分離(2,600×g、5分間、4℃)した。その上清をメッシュサイズ100 μmのセルストレーナー(BDファルコン)で濾過した。濾過した上清10 mlにつき5M 塩化ナトリウムを2 ml加えて懸濁した。濾過した上清10 mlにつきクロロホルムを6 ml加えて懸濁した。これを遠心分離(2,600×g、30分間、4℃)した。上清に、上清の0.9倍量のイソプロパノールを加えて懸濁した。これを室温で10分間静置した。次にこれを遠心分離(2,600×g、30分間、4℃)した。上清を除き、沈殿したトータルRNAに75% エタノールを10 ml加えて軽く懸濁した。これを遠心分離(2,600×g、5分間、4℃)した。上清を除き、遠沈管のふたを開けた状態で、室温で15分間静置してトータルRNAを乾燥した。これにRNase free water を300 μl加え、トータルRNAを溶解した。得られたトータルRNA溶液は-80℃で保存した。
スギ葯mRNAの精製および濃縮
スギ葯トータルRNAからmRNAの精製には、OligotexTM-dT30 <Super> mRNA Purification kit(TaKaRa)を用いた。スギ葯トータルRNA 250 μgを含むトータルRNA溶液150 μlを調製した。これに2×Binding bufferを150 μl、OligotexTM-dT30 <Super>を15 μl加えて懸濁した。70℃で3分間インキュベートし、室温で10分間静置した。これを遠心分離(15,000 rpm、5分間、室温)した。上清を除き、沈殿したOligotexTM-dT30 <Super>にWash bufferを350 μl加えて懸濁した。これをスピンカラムセットのカップに移し、遠心分離(15,000 rpm、30秒間、室温)した。カップを新しいスピンカラム用遠心チューブに移した。カップ内のOligotexTM-dT30 <Super>にWash bufferを350 μl加えて懸濁した。これを遠心分離(15,000 rpm、30秒間、室温)した。カップを新しいスピンカラム用遠心チューブに移した。(1)カップ内のOligotexTM-dT30 <Super>に70℃のRNase free waterを30 μl加えて懸濁し、遠心分離(15,000 rpm、30秒間、室温)して、mRNA溶液を回収した。(1)の操作をさらに2回行った。一連のmRNA精製操作をさらに5回行い、mRNA溶液を約500 μl以上得た。
mRNA溶液500 μlに3M 酢酸ナトリウム(pH5.2)を16.5 μl加えて懸濁した。これにEthachinmate(ニッポンジーン)を3 μl加えて懸濁した。これにイソプロパノールを500 μl加えて懸濁した。これを遠心分離(15,000 rpm、10分間、4℃)した。上清を除き、沈殿したmRNAに75% エタノールを1 ml加えて軽く懸濁した。これを遠心分離(15,000 rpm、5分間、4℃)した。上清を除き、マイクロチューブのふたを開けた状態で、室温で15分間静置してmRNAを乾燥した。これにRNase free water を10μl加え、mRNAを溶解した。得られたmRNA溶液は-80℃で保存した。
スギ葯cDNAの合成
スギ葯mRNAから5'-RACE用および3'-RACE用cDNAの合成には、BD SMARTTM RACE cDNA Amplification Kit(BD Biosciences)を用いた。5'-RACE用cDNAの合成は、0.5 ml容量のマイクロチューブに、1 μg/μl mRNA溶液を1 μl、5'-CDS primerを1 μl、BD SMART II A oligoを1 μl、RNase free waterを2 μl加えて懸濁した。一方、3'-RACE用cDNAの合成は、0.5 ml容量のマイクロチューブに、1 μg/μl mRNA溶液を1 μl、3'-CDS primer Aを1 μl、RNase free waterを3 μl加えて懸濁した。70℃で2分間インキュベートし、氷上で2分間静置した。各反応液に、5×First-Strand Bufferを2 μl、20 mM ジチオトレイトールを1 μl、dNTP mixを1 μl、BD PowerScript Reverse Transcriptaseを1 μl加えて懸濁した。42℃で90分間インキュベートした。反応液にTricine-EDTA Bufferを250 μl加えて懸濁した。これを72℃で7分間インキュベートした。得られたcDNA溶液は-30℃で保存した。
CPA39のcDNA配列の決定
質量分析で得られたCPA39のアミノ酸配列 Ser-Leu-Gly-Ile-Leu-Ala-Ala-Ser-Glu を検索子として、GenBankのESTデータベースを検索したところ、一致する翻訳配列を有するCryptomeria japonica(日本スギ)のEST(Accession number BP176098)を見出した。このことからBP176098はCPA39の遺伝子断片であることが考えられた。CPA39遺伝子の未知領域を取得するために、BP176098の塩基配列をもとに、5'-RACE用プライマー 5'-GTT CTT CAC CCA TTC CTG AGC TAC ACC C-3'、および3'-RACE用プライマー 5'-CCT TAC CCC TAC TTT GGT TTC ACT GCC-3' を作製した。作製したそれぞれのプライマーとUniversal Primer A Mix(BD SMARTTM RACE cDNA Amplification Kit付属プライマー)を用いて、スギ葯cDNAをテンプレートとした5'-RACEおよび3'-RACEを行った。このRACE反応はBD AdvantageTM 2 PCR Kit(BD Biosciences)を用いた。5'-RACE産物および3'-RACE産物を、QIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN)を用いて精製し、DNA Ligation Kit ver. 2.1(TaKaRa)を用いてpGEM-T Easy Vector(Promega)に連結した後、Competent high E.coli DH5α(TOYOBO)に形質転換した。得られた形質転換体から、QIAprep Spin Miniprep Kit(QIAGEN)を用いてプラスミドを調製した。調製したプラスミドをテンプレートとして、BigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems)を用いてサイクル反応を行った。反応液をエタノール沈殿で精製し、DNAシークエンサー(3100-Avant、Applied Biosystems)を用いて、5'-RACE産物および3'-RACE産物の塩基配列を解析した。CPA39の全長遺伝子を取得するために、得られた塩基配列をもとに、プライマー 5'-ATA AGA AGC TGC CCA TAT GCT CAT ATT GTA AAC GGT C-3' および 5'-AAG ATG AGG CAT TCA GTC ATT TTC AAG AG-3' を作製した。これらのプライマーを用いて、5'-RACE用スギ葯cDNAをテンプレートとしたPCRを行い、CPA39の全長遺伝子を増幅した。このPCR反応はKOD-Plus-DNA Polymerase(TOYOBO)を用いた。得られたCPA39の全長遺伝子を精製し、pUC118 DNA HincII/BAP(TaKaRa)に連結した後、E.coli DH5αに形質転換した。形質転換体からプラスミドを調製し、CPA39の全長遺伝子の塩基配列を解析した。その結果、CPA39の全長cDNAの塩基配列(配列番号1)およびアミノ酸配列(配列番号2)が得られた。CPA39の全長cDNAは1974 bpの塩基からなり、そのORFは471アミノ酸をコードしていた。
<実施例3> CPA39遺伝子およびタンパク質の相同性検索
GenBankデータベースを用いたFASTA及びBLAST検索によって、得られたCPA39の遺伝子およびタンパク質の配列について相同性検索を行った。CPA39のアミノ酸配列と他の植物由来β-1,3-グルカナーゼとの相同性について調査した結果を、図3に示す。*は一致したアミノ酸残基を示す。CPA39は、Pisum sativum β-1,3-グルカナーゼ(Buchner, P. et al., Plant Mol. Biol., 49, 171-186, 2002)とアミノ酸レベルで50.0%、DNAレベルで55.2%、Arabidopsis thaliana β-1,3-グルカナーゼ(Accession number AAM66982)とアミノ酸レベルで48.8%、DNAレベルで45.6%の同一性を示した。以上のようにCPA39が他種のβ-1,3-グルカナーゼと高い相同性を保持していることが確認された。
これまでにアレルゲンとして報告されているβ-1,3-グルカナーゼとCPA39のアミノ酸配列のホモロジーを図4に示す。*は一致したアミノ酸残基を示す。オリーブ(Olea europaea)の花粉の主要アレルゲンとして報告されているOle e 9と48.4%、ラテックス(Hevea brasiliensis)アレルゲンのHev b 2と36.0%のアミノ酸の同一性を示し、CPA39がこれらのアレルゲンとの交差反応性を有する可能性が示された。
<実施例4> 組換え型CPA39タンパク質の発現
組換え型CPA39タンパク質(rCPA39)をバキュロウイルス−昆虫細胞系で発現させた。CPA39をコードするcDNAを鋳型として、DNA増幅酵素であるKOD-plus-を用いたPCRによって増幅し、両末端にBamH IおよびEcoR Iサイトを有するCPA39遺伝子断片を得た。この増幅物を、BamH IとEcoR Iで制限酵素処理し、同様にBamH IとEcoR Iで処理した昆虫細胞発現用ベクターpVL1393中にインサートし、CPA39/pVL1393を得た。インサートしたCPA39遺伝子の配列はDNAシーケンサーによって確認した。CPA39/pVL1393を、バキュロウイルスDNA(SapphireTM DNA(Orbigen))とともに昆虫培養細胞Sf9へコトランスフェクションし、CPA39遺伝子を有する組換えバキュロウイルスを調製した。本組換えバキュロウイルスのゲノムDNAを鋳型として、CPA39遺伝子特異的PCRを行うことによって、ウイルスゲノム中にCPA39遺伝子が組み込まれたことを確認した。次にこの組換えバキュロウイルスを、昆虫培養細胞Sf9に接種した後、27℃で、4 日間培養し、rCPA39タンパク質を発現させた。rCPA39タンパク質は、C末端にポリヒスチジン(6×ヒスチジン残基)が付加したヒスチジンタグ融合タンパク質として発現させた。培養液を3,000 rpm、4℃で、10 分間遠心分離した後、上清を回収した。この上清を分取して、SDS-PAGEにかけた後、CBB染色とウエスタンブロット解析を行い、rCPA39の発現を確認した(図5と図6)。ウエスタンブロットは、一次抗体としてPenta-His Antibody(QIAGEN)抗体、二次抗体としてHRP標識されたAnti-mouse IgG抗体を使用し、ECL Plus Western Blotting Detection System (Amersham Biosciences)で発光させrCPA39を検出した。
<実施例5> 組換え型CPA39のタンパク質の精製
実施例4にて発現させたrCPA39タンパク質を、昆虫細胞の培養上清から精製した。培養上清をHiTrap Chelating HP Columns (Amersham Biosciences)に供してカラムに吸着させ、PBS緩衝液で洗浄した。その後、PBS緩衝液中のイミダゾールの濃度を20 mM〜500 mMへグラジエントし、rCPA39をカラムから溶出させた。その後、攪拌型ウルトラホルダー(ADVANTEC)を用いて、カラムから溶出した液の濃縮と脱塩を行った。濃縮した液を、陽イオン交換カラムHiTrap Q FF (Amersham Biosciences)に供して、NaClの濃度を10 mM〜1 Mへグラジエントし、rCPA39をカラムから溶出させた。その後、攪拌型ウルトラホルダーを用いて、カラムから溶出した液の濃縮と脱塩を行った。
rCPA39タンパク質の精製過程を、図5に示す。昆虫細胞の培養上清(図5レーン2)、HiTrap Chelating HP Columnsに供した後の画分(図5レーン3)、および陽イオン交換カラムで精製したrCPA39タンパク質(図5レーン4)をサンプルとして用いて、SDS-PAGEを行った。ポリアクリルアミド濃度12.5%の分離ゲルを用いて電気泳動した後、Quick-CBB染色液(和光純薬工業)でタンパク質を染色した。その後、ミリQ水で余分な染色を除いた。分子量が約60,000ダルトン(図5レーン4)に単一のバンドが確認され、Anti-Penta His抗体を用いてウエスタンブロットを行った結果(図6)から該タンパク質がrCPA39であることが確認された。なお、図5のレーン1は分子量マーカーである。
<実施例6> 天然型CPA39タンパク質のアレルゲン性
スギ花粉粗抗原から分離したCPA39について、スギ花粉症患者血清との反応を調べた。実施例1と同様の方法で、スギ花粉粗抗原の調製および二次元電気泳動を行い、CPA39を分離した。スギ花粉症患者血清40検体それぞれについて、実施例1と同様の方法でウェスタンブロッティングを行い、CPA39との反応を調べた。比較例として、既知の主要アレルゲンCry j 1およびCry j 2との反応も調べた。その結果を表1に示した。CPA39はスギ花粉症患者血清40検体中19検体(47.5%)で陽性反応を示した。また、CPA39の反応状況は、Cry j 1およびCry j 2の反応状況とは異なっていた。このことから、CPA39はスギ花粉症患者血清と高頻度で反応し、かつ、Cry j 1およびCry j 2とは免疫学的性質の異なる新規な花粉アレルゲンであることが示された。
<実施例7> 組換え型CPA39タンパク質のアレルゲン性
実施例4および実施例5によって発現および精製されたrCPA39タンパク質のスギ花粉症患者血清由来のIgEに対する結合能をELISA法により測定した。まず、マイクロタイタープレートのウェルに100 mM Sodium bicarbonate buffer(pH 9.6)で希釈した抗原溶液(10 μg/ml)を50 μlアプライした。また、human IgE standardをまず200 ng/mlになるように希釈し、倍希釈系列をそれぞれのウェルに50 μlずつ加え、室温で2時間静置した。PBSTにて洗浄した後、blocking buffer[PBS(pH 7.4), 0.5% Tween20, 3% skim milk, 1% BSA]を200 μlアプライし、4℃で一晩静置した。PBSTで洗浄後、blocking bufferで10倍希釈したスギアレルギー患者及び健常者血清を50 μlをアプライし、4℃で4時間静置した。PBSTで洗浄後、blocking bufferで1,000倍に希釈したanti-human IgE EPSILON CHAIN BIOTIN CONJUGATE (Biosource International,Inc.) 50 μlをアプライし、室温で2時間静置した。PBSTで洗浄後、blocking bufferで1,000倍に希釈したアルカリフォスファターゼ標識Streptavidinを50 μlアプライし、室温で1時間静置した。充分洗浄した後、50 μlのAttoPhosTMを加えCytoFluorTMII(PerSeptive Biosyatems)にて蛍光強度を測定した。
スギ花粉症患者血清28検体(RAST Score≧2)および健常者血清3検体(皮内反応(−))を用いて、rCPA39特異的IgE抗体価を分析した結果を、図7に示す。基準として健常者3人の平均値に標準偏差の3倍を足した値を破線で示した。破線の値以上のIgE値を示した検体を危険率5%以下で当rCPA39に対して陽性であると評価した。その結果、28検体中17検体(P1, 9, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 19, 20, 21, 22, 23, 25, 26, 27 ,28)の患者血清(60.7%)が、rCPA39に対してIgE反応陽性であった。
配列番号1−人工配列の説明:CPA39のアミノ酸配列をもとに作製したcDNA
CPA39および他のβ-1,3-グルカナーゼのドメイン構成を模式的に示す図である。 スギ花粉粗抗原(CJP)の二次元電気泳動を示す図である。 スギ花粉アレルゲンCPA39と他の植物由来β-1,3-グルカナーゼとの相同性を示す図である。 スギ花粉アレルゲンCPA39とアレルゲン性を有する他種β-1,3-グルカナーゼとの相同性を示す図である。 組換え型CPA39アレルゲンの精製過程を、SDS-PAGEで解析した図である。 組換え型CPA39アレルゲンの精製過程を、ウエスタンブロットで解析した図である。 スギ花粉症患者血清(RAST Score≧2) 28検体(P1〜P28)および健常者血清3検体(H1〜H3)を用いて、rCPA39特異的IgE抗体価を分析した結果を示す図である。

Claims (10)

  1. スギ花粉中に含まれるタンパク質で、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により測定すると分子量が50,000〜66,000ダルトンを示し、等電点電気泳動法により測定すると等電点が5〜6付近に示し、配列番号2に記載のアミノ酸配列からなることを特徴とする、スギ花粉アレルゲンタンパク質。
  2. スギ花粉粗抗原から、アフィニティー精製、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、遠心分離、濃縮および透析からなる群から選ばれる方法によって得られたことを特徴とする請求項1に記載のスギ花粉アレルゲンタンパク質。
  3. 配列番号2に記載のスギ花粉アレルゲンタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む核酸分子。
  4. スギ花粉アレルゲンタンパク質をコードする配列番号1に記載の塩基配列を含む核酸分子。
  5. スギ花粉またはスギ雄花に由来する単離された請求項3または4に記載の核酸分子。
  6. 請求項3または4に記載の核酸分子で形質転換された宿主細胞において産生された請求項1または2に記載のスギ花粉アレルゲンタンパク質。
  7. 化学的な合成によって調製された請求項1または2に記載のスギ花粉アレルゲンタンパク質。
  8. スギ花粉症患者血清中のIgEと反応する請求項1、6および7のいずれか1項に記載のスギ花粉アレルゲンタンパク質。
  9. 請求項1、2、6および7のいずれか1項に記載のスギ花粉アレルゲンタンパク質またはその少なくとも1つのタンパク質断片に特異的に反応するモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体。
  10. 請求項1、2、6および7のいずれか1項に記載のスギ花粉アレルゲンタンパク質を用いた花粉症患者用の診断薬。
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