JP4919486B2 - スギ花粉由来の新規アレルゲン - Google Patents

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Description

本発明は、スギ花粉に由来する新規なアレルゲンタンパク質、および該タンパク質を用いたアレルギーの診断、予防および治療等に関するものである。
アレルギー疾患の罹患率および死亡率は、食生活や居住環境の変化などに伴い、近年、世界的にも増加傾向にある。民間調査(新薬開発の現状と将来展望 91年度版、(株)シードプランニング)によると、日本において3人に1人は、スギ花粉症、アトピー性皮膚炎、気管支喘息などの典型的なIgE依存型(I型)アレルギー疾患の症状を示しているという。これは2003年の調査結果でも同様で、約41,000人を対象として行われた平成15年保健福祉動向調査 アレルギー様症状(厚生労働省大臣官房統計情報部)によれば、皮膚・呼吸器・目鼻のアレルギー様症状のうち、過去一年間にいずれかの症状があった者は35.9%であった。アレルギー疾患は、直接生命に関わることがない反面、ごく若い世代に突然現れ、早い時期での自然治癒はまず期待できず慢性に経過することによって、本人や家族の負担は勿論のこと、長期に亘って社会的活動にも大きな影響を及ぼしていると考えられる。
スギ花粉症は、日本国民の10人に1人が罹患していると言われてきたが、実際には次のような疫学的データがある。1998年に獨協医科大学耳鼻咽喉科の馬場廣太郎らによって行われた約17,000名を対象とした疫学調査によると、スギ花粉症の有症率は18.1%であった。また、科学技術庁振興調整費 生活者ニーズ対応研究「スギ花粉症克服に向けた総合研究」第II期成果報告書によると、2001〜2002年において行った客観的診断基準による疫学調査では、スギ花粉症の有症率は、都市部(東京都品川区)で33.8%、地方(山梨県牧丘町)で26.7%であった。とりわけ、花粉の飛散する春の時期には、多くの患者がこのアレルギー症状に苦しめられている。
花粉症の治療に最も有効な方法は、アレルゲンとの接触を避けることであるが、居住環境の至る所に遊離して存在するアレルゲンで感作、発症している患者では、抗ヒスタミン剤などの副作用もある、対症療法剤を用いた一時的な解決策に依存せざるを得ないのが実状である。このため、これを使用し続けない限り発症を繰り返すことになり、財政的にも、肉体的にも大きな負担を強いられ、使用を中止するとリバウンドによる症状の悪化も懸念されるという問題を抱えている。
一方、アレルギーの原因物質であるアレルゲン自体を、患者に繰り返し投与して根治しようとする、減感作療法の試みがなされてきている。ホヤ喘息における減感作治療では90%以上の患者で症状の改善がみられたとの報告もあり(例えば、非特許文献1参照)、欧米ではアレルギーの標準的な治療方法の1つとして確立されている(例えば、非特許文献2参照)。しかしながら、使用抗原の選択を誤るとアナフィラキシーショックなどの副作用もあるため、患者個々に対する適切な診断が求められている。
主要なスギ(Cryptomeria japonica)花粉のアレルゲンタンパク質として、抗原性の異なる2つの分子種、Cry j 1とCry j 2が知られている。Cry j 1は、安枝らによって報告されたもので(例えば、非特許文献3参照;本文献ではCry j 1はSBP(Sugi basic protein)と呼ばれていた)、分子量が45〜50 kDa、等電点が約9.0のタンパク質ある。Cry j 2は、坂口らによって報告された分子量が約37 kDa、等電点が約9.5のタンパク質である(例えば、非特許文献4参照)。Cry j 1をコードするcDNAの塩基配列およびCry j 1のアミノ酸配列が明らかとなり(例えば、非特許文献5参照)、またCry j 2をコードするcDNAの塩基配列およびCry j 2のアミノ酸配列が明らかとなった(例えば、非特許文献6参照)。これら2つの主要アレルゲンタンパク質は、スギ花粉症患者血清中のIgEと高頻度に反応する。
スギ花粉症の減感作療法においては、上記主要アレルゲンタンパク質Cry j 1とCry j 2のみでは、充分な治療効果が得られていない。治療のためには、まず、的確な診断が重要であるが、現状においては主要アレルゲンタンパク質以外での診断は殆どなされていない。このような状況の下、近年、Cry j 1とCry j 2以外のスギ花粉アレルゲンタンパク質の詳細な免疫化学的特性の解明が望まれている。
これまでにCry j 1とCry j 2以外のスギ花粉アレルゲンタンパク質がいくつか報告されてきた。河本らによって、イソフラボンレダクターゼと高い相同性を示すスギ花粉由来タンパク質CJP−6のcDNA配列およびアミノ酸配列が明らかにされ、CJP−6がスギ花粉症患者IgEによって認識される新規なアレルゲンであることが示された(例えば、非特許文献7および特許文献1参照)。一方、藤村らは、キチナーゼ高い相同性を示すスギ花粉由来タンパク質CJP−4を単離するとともに、そのcDNA配列およびアミノ酸配列を明らかにし、CJP−4がスギ花粉症患者IgEによって認識される新規アレルゲンであることを示した(例えば、非特許文献8参照および特許文献4(本文献ではCJP-16と呼ばれている)参照)。
井川らは、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法で測定した分子量が57〜67 kDaで等電点が7.0〜9.0の範囲にあるスギ花粉由来のタンパク質が、新規なスギ花粉アレルゲンタンパク質を含むことを見出した(例えば、特許文献2参照)。該アレルゲンタンパク質は、質量分析による該アレルゲンタンパク質のペプチド断片のアミノ酸配列の解析結果から、ピルビン酸キナーゼであると推定された(澤崎健、(財)広島県産業技術振興機構研究交流推進部「緊急共同研究・戦略的権利化プロジェクト」第3回研究推進会議(第3回プロテオームプロジェクト全体会議)(広島)、2001年3月15日)。しかしながら、該アレルゲンタンパク質の全アミノ酸配列や該アレルゲンタンパク質をコードするcDNA配列等の、該アレルゲンタンパク質の分子種を特定する情報は得られていない。
二村らは、スギ花粉cDNAライブラリーから、マウンテンセダー(Juniperus ashei)のアレルゲンとして知られる Jun a 3と相同性のある、3つのタンパク質のcDNA(Cry j 3.1、Cry j 3.2、および Cry j 3.3)を単離し(例えば、非特許文献9参照)、さらにその後、同じくJun a 3と相同性のあるCry j 3.4、Cry j 3.5、および Cry j 3.6 のcDNAの単離も報告した(例えば、非特許文献10参照)。彼らは、これら6つの遺伝子のうち、Cry j 3.5の遺伝子だけが発達中の雄性球果と花粉で発現レベルが高いことを示し、該遺伝子がコードするタンパク質がアレルゲン活性を有する可能性を示唆した(例えば、非特許文献11参照)。一方、宮原もJun a 3と相同性を有するCry j 3a、Cry j 3b、およびCry j 3cのcDNA配列を開示した(例えば、特許文献3参照)。これらのcDNAによってコードされるCry j 3タンパク質の、スギ花粉症患者血清との反応性等の免疫学的特性が明らかとなれば、これらのCry j 3あるいはこれらCry j 3のいくつかは、スギ花粉症の重要なアレルゲンタンパク質に含まれる可能性がある。
また他にも、スギ花粉アレルゲンタンパク質としてCPA39(例えば特許文献5)、CJP38(例えば特許文献6)、CPA121(例えば特許文献7)などが開示されている。
このように、Cry j 1とCry j 2以外の多くのスギ花粉アレルゲンタンパク質の存在とその重要性が示唆されているにもかかわらず、その分子種の同定ならびに免疫学的特性の評価がなされているものはまだまだ少ない。
特開2002−58487号公報 特開2001−151797号公報 特開2004−89103号公報 特開2005−65536号公報 特開2006−217896号公報 特開2006−238861号公報 特開2006−217830号公報 Sigeta S. et al., Arerugi, 39(3), 313-21, 1990 Bousquet J, et al., J. Allergy Clin. Immunol. 102, 558-62, 1998 Yasueda, H. et al.,J. Allergy Clin. Immunol. 71, 77-86, 1983 Sakaguti, M. et al., Allergy, 45, 309-312, 1990 Sone, T. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 199: 619-625, 1994 Komiyama, N. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 201: 1021-1028, 1994 Kawamoto S. et al.,Clin. Exp. Allergy, 32(7), 1064-70, 2002 Fujimura, T. et al., Clin Exp Allergy, 35(2), 234-243, 2005 Futamura. N. et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., 66, 2495-2500, 2002 Futamura. N. et al., 7th International Congress of Plant Molecular Biology (Barcelona), 講演番号S10-87, 2003年6月25日 篠原健司ら、スギ花粉症克服に向けた総合研究(第II期成果報告書)、218-226頁、2003年
上述のような従来技術に鑑み、本発明は、スギ花粉症に関するCry j 1、Cry j 2以外の新規なアレルゲンタンパク質、それらを用いたアレルギーの診断薬、予防薬、および治療薬等を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく、スギ花粉粗抗原のプロテオーム解析によって、スギ花粉症患者血清中のIgE抗体と高頻度に反応するスポットを広く検索した。その結果、分子量が70〜110 kDaで、等電点が6.0〜8.0付近にあるタンパク質(cedar pollen allergen 9、以下CPA9と呼称する。)に高いアレルゲン性があることを初めて見出した。さらに、種々の分析手法および遺伝子工学的手法を用いた鋭意検討の末、そのアミノ酸配列、cDNA配列および、免疫学的な特性を明らかにして、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)スギ花粉由来であって、以下の(a)および(b)の性質を有するスギ花粉アレルゲンタンパク質。
(a)分子量70〜110kDa(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法)
(b)等電点6.0〜8.0付近(等電点電気泳動法)
(2)セリンプロテアーゼである、前記(1)に記載のスギ花粉アレルゲンタンパク質。
(3)部分アミノ酸配列として-Gly-His-Gly-Thr-His-Thr-Ser-Ser-Thr-Ala-Ala-の配列を有する前記(1)または(2)に記載のスギ花粉アレルゲンタンパク質。
(4)スギ花粉粗抗原から、アフィニティー精製、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、遠心分離、濃縮、透析および電気泳動から選ばれる少なくとも1種の方法によって得られることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のスギ花粉アレルゲンタンパク質。
(5)スギ花粉症患者由来のIgEへの結合能を有する前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のスギ花粉アレルゲンタンパク質。
(6)以下の(a)または(b)のタンパク質または少なくともその一部を有するタンパク質。
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質
(b)配列番号1に記載のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列を有し、かつアレルゲン性を有するタンパク質。
(7)前記(6)記載のタンパク質をコードする遺伝子。
(8)以下の(a)または(b)のDNAからなる遺伝子。
(a)配列番号2に記載の塩基配列からなるDNA
(b)配列番号2に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつアレルゲン性を有するタンパク質をコードするDNA
(9)スギ花粉またはスギ雄花由来である前記(8)に記載の遺伝子。
(10)前記(7)〜(9)に記載の遺伝子を含有する組換えベクター。
(11)前記(10)の組み換えベクターによって形質転換された形質転換体。
(12)前記(11)記載の形質転換体を培養し、その培養物からアレルゲン性を有するタンパク質を回収することを特徴とする、スギ花粉アレルゲンタンパク質の製造方法。
(13)前記(7)〜(9)のいずれか1項に記載の遺伝子又は前記(10)記載の組換えベクターを用いて、スギ花粉アレルゲンタンパク質を無細胞発現系により発現させることを特徴とする、スギ花粉アレルゲンタンパク質の製造方法。
(14)前記(12)または(13)に記載の製造方法により製造されたスギ花粉アレルゲンタンパク質。
(15)前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のタンパク質に含まれるペプチドであって、スギ花粉症患者由来のT細胞を刺激および/または抑制する作用を有することを特徴とするペプチド。
(16)前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のタンパク質に特異的に反応するモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体。
(17)前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のタンパク質を含むことを特徴とする花粉症診断用試薬。
(18)前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のタンパク質を含むことを特徴とする減感作用の治療薬。
本発明のスギ花粉アレルゲンタンパク質は、アレルギーの診断薬、予防薬、および治療薬等に利用することができる。また、本発明のスギ花粉アレルゲンタンパク質ならびにその一部を有するタンパク質は、Cry j 1、Cry j 2、およびその他のスギ花粉アレルゲンタンパク質と組み合わせることによって、スギ花粉症の診断または減感作治療等に使用することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
スギ花粉アレルギーにおいては、Cry j 1とCry j 2の主要抗原が同定され詳細に研究されているが、その他のアレルゲンタンパク質に関しては、未だ充分なされていない。そこで、本発明者らは、スギ花粉中に含まれるアレルゲンタンパク質の網羅的解析を目指して、スギ花粉粗抗原を二次元電気泳動により展開した後、イムノブロッティング法によってスギ花粉症患者血清IgEと特異的に反応するスポットを検索した。その結果、塩基性域のCry j 1およびCry j 2以外に、IgEと反応するアレルゲンタンパク質が中性域から酸性域にも存在することを見出した。その後、得られた陽性スポットのアミノ酸シークエンスをMALDI-TOF MSを用いて行い、陽性スポットの部分アミノ酸配列を決定し、CPA9と命名した。得られたCPA9のアミノ酸配列を用いてホモロジー検索をしたところ、CPA9のアミノ酸配列は他の植物由来のスブチリシン様セリンプロテアーゼのアミノ酸配列と高い相同性を有することが明らかになった。従ってCPA9タンパク質はセリンプロテアーゼであると考えられた。
CPA9遺伝子を単離するため、スギ葯から精製したトータルRNAを用いてスギcDNAライブラリーを構築した。さらに、MALDI-TOF MSから得られたアミノ酸配列を基にしてオリゴヌクレオチドプライマーを設計し、RACE法により全長CPA9遺伝子を取得した。得られた全長CPA9遺伝子の塩基配列(配列番号2)は開始コドンおよび終始コドンを含み、そのORFは2,271塩基であった。このORFは757アミノ酸長のタンパク質をコードしており、CPA9タンパク質の全アミノ酸配列(配列番号1)が明らかとなった。
本発明のスギ花粉アレルゲンタンパク質は、以下の性質を有するものである。
(1)分子量
SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(ポリアクリルアミドゲル濃度5〜20%のグラジエントゲル)により測定した本アレルゲンタンパク質の分子量は70〜110 kDaである(但し、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法では測定条件により10 kDa程度上下することがある)。
(2)等電点
等電点電気泳動法(1次元:ドライストリップpI3〜10、2次元:アクリルアミドゲル濃度9〜18%のグラジエントゲル)により測定した等電点は、6.0〜8.0付近である。
本発明のスギ花粉アレルゲンタンパク質は、さらに以下のいずれかの性質を有するスギ花粉アレルゲンタンパク質も包含する。
(3)セリンプロテアーゼ
本発明のスギ花粉アレルゲンタンパク質は、セリンプロテアーゼであることが好ましい。CPA9タンパク質の全アミノ酸配列を用いてホモロジー検索をしたところ、CPA9タンパク質の配列が、他の植物由来のスブチリシン様セリンプロテアーゼのアミノ酸配列と相同性を有することが明らかになった。CPA9タンパク質と相同性を有するこれらのセリンプロテアーゼとして、例えば、メロン(Cucumis melo)の果汁に含まれ、メロンアレルギーのアレルゲンタンパク質の1つとして知られているCuc m 1(例えばJ. Cuesta-Herranz, et. al., Clin Exp Allergy. 33, 827-33, 2003参照)が挙げられる。セリンプロテアーゼは、一般的に中性付近でタンパク質を切断し、活性部位にセリン残基のあるプロテアーゼである。活性部位にはセリン(Ser)の他にヒスチジン(His)、アスパラギン酸(Asp)などのアミノ酸残基が共通に存在する。これら3残基は一次構造上では隣接していないが、空間的には水素結合によってSer-His-Aspの順に配列している。CPA9タンパク質はスブチリシン様セリンプロテアーゼと相同性が高いばかりでなく、酵素の活性中心を構成する3つのアミノ酸残基Ser、His、およびAspを保存していた。このことから、CPA9タンパク質がセリンプロテアーゼ活性を有する可能性が示された。
最近、内木場らによって、スギ花粉から分子量が約67 kDaのセリンプロテアーゼが単離され、そのN末端配列がAla-Glu-Thr-Ala-Ala-Phe-Gly-Tyr-Thr-Val-Lys-Pro-Phe- であることが報告された(特開2005−312448号公報)。しかしながら、内木場らの報告したセリンプロテアーゼは、CPA9タンパク質とは異なるタンパク質である。CPA9タンパク質のN末端アミノ酸配列は、内木場らの報告したセリンプロテアーゼのアミノ酸配列とは異なっている。また、内木場らのタンパク質は分子量が約67 kDaであり、分子量約90 kDaであるCPA9タンパク質と比べて分子量が小さい。
(4)部分アミノ酸配列
本発明のスギ花粉アレルゲンタンパク質は、部分アミノ酸配列として-Gly-His-Gly-Thr-His-Thr-Ser-Ser-Thr-Ala-Ala-の配列を有することが好ましい。このアミノ酸配列は、配列表の配列番号1に記載されるアミノ酸配列の197番目のアミノ酸から207番目のアミノ酸までのアミノ酸配列に相当するものである。
本発明のスギ花粉アレルゲンタンパク質には、(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質若しくは(b)配列番号1に記載のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質または少なくともその一部を有するタンパク質が含まれる。
ここで、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列とは、配列番号1に記載のアミノ酸配列と等価のアミノ酸配列を意味し、1または数個、好ましくは1〜10個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列であって、以前としてCPA9タンパク質の免疫学的性質を保持する配列をいい、付加には両末端への1〜数個のアミノ酸配列の付加が含まれる。
CPA9タンパク質の「免疫学的性質」として、例えば、アレルゲン性が挙げられる。天然型CPA9タンパク質は、免疫染色法によってそのアレルゲン性が評価された。スギ花粉粗抗原(CJP)を二次元電気泳動し、スギ花粉症患者血清を用いてCPA9の特異IgE抗体価を分析した一つの実施例では、50.0%の患者血清で陽性反応を示した。また、免疫学的性質には、ヒトに対する免疫学的性質だけでなく、例えば、イヌ、ネコ、サル、ラット、マウス、ウサギ等、他の動物に対する免疫学的性質も含まれる。
また、「タンパク質の一部」とは、(a)又は(b)のタンパク質の任意の一部を意味し、CPA9タンパク質の免疫学的性質の全てが消失してしまわないかぎりにおいて、どのような短い一部分でもよい。例えばCPA9タンパク質のアミノ酸配列中の10〜20アミノ酸程度の長さのタンパク質であっても、CPA9タンパク質の免疫学的性質の少なくとも一部を有しているものは本発明に含まれる。例えば、アレルギー発症機序の過程において、抗原−抗体反応の特異性を決定するアレルゲン分子の局所構造をエピトープと呼ぶが、本発明のスギ花粉アレルゲンタンパク質のアミノ酸配列の一部には、CPA9タンパク質の少なくとも1つのエピトープを含むアミノ酸配列が含まれる。T細胞が特異的に認識する領域は、特にT細胞エピトープと呼ばれ、一般的にその配列長は10〜20アミノ酸程度である。また、「少なくとも一部を有する」とは、(a)又は(b)のタンパク質の全部又は一部のN末端、C末端のいずれか一方、もしくはその両方に、任意の1つ以上のアミノ酸が付加してなるアミノ酸配列で規定されるものであってもよいことを意味する。
本発明の遺伝子は、配列番号1に示すアミノ酸配列または当該アミノ酸配列と等価のアミノ酸配列からなるタンパク質、またはこれらのアミノ酸配列の少なくとも一部を含むタンパク質をコードするものである。当該アミノ酸配列少なくとも一部を含むタンパク質をコードする核酸には、CPA9の免疫学的性質の少なくとも一部を有しているCPA9のアミノ酸配列をコードする核酸が含まれ、例えばCPA9の少なくとも1つのエピトープを含むアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸は本発明に含まれる。
また、本発明の遺伝子は、(a)配列番号2に記載の塩基配列からなるDNA、または(b)配列番号2に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつアレルゲン性を有するタンパク質をコードするDNAからなる遺伝子が好ましい。すなわち、本発明の遺伝子には、配列番号2の塩基配列で示されるDNAにおいて、変異剤処理、ランダム変異、特定部位突然変異、欠損あるいは挿入等によって部分的に塩基配列が変化したものであっても、これらのDNA変異体が配列番号2に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつアレルゲン性を有するタンパク質をコードする核酸からなる遺伝子を包含するものである。
ここで「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。この条件を明確に数値化することは困難であるが、一例を示せば、相同性が高い核酸同士、例えば、70%以上、好ましくは80%以上の相同性を有するDNA同士がハイブリダイズし、それより相同性が低い核酸同士がハイブリダイズしない条件が挙げられる。例えばMolecular cloning a laboratory manual, 2nd edition(Sambrookら、1989)に記載の条件等が挙げられる。すなわち、6×SSC(1×SSCの組成:0.15 M 塩化ナトリウム、0.015 M クエン酸ナトリウム、pH7.0)、0.5% SDS、5×デンハートおよび100 mg/mlニシン精子DNAを含む溶液にプローブとともに65℃で8〜16時間恒温し、ハイブリダイズさせる条件等が挙げられる。
本発明の遺伝子は、当業者であれば、本発明によって開示されたCPA9タンパク質のアミノ酸配列およびそれをコードする核酸配列の情報を利用し、公知の技術を用いて天然由来の試料やライブラリーから容易に取得することができる。また当業者に公知の化学的な核酸合成技術を用いて取得することも可能である。
本発明のスギ花粉アレルゲンタンパク質および少なくともその一部を含むタンパク質断片は、いかなる方法で生産されたものであってもよい。例えば、ペプチド合成機を使用して化学合成したものであってもよく、天然物から精製されたものであってもよい。本発明のスギ花粉アレルゲンタンパク質は、スギ由来試料、好ましくはスギ花粉あるいはスギ花粉抽出物からのの抽出には、アフィニティー精製、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、遠心分離、濃縮、透析、電気泳動などの当業者に公知の技術を利用できる。
また、本発明のスギ花粉アレルゲンタンパク質および少なくともその一部を有するタンパク質は、遺伝子工学的に生産されたもの、すなわち、組換えタンパク質であってもよく、公知の種々のタンパク質発現系のいずれかを用いて合成することができる。例えば、CPA9遺伝子をスギ由来の試料の染色体DNAからクローニングし、本発明のスギ花粉アレルゲンタンパク質を大量に生産、取得できる。CPA9遺伝子のクローニング方法としては、例えば当該遺伝子を安定に増幅できるDNAベクターに連結させる、あるいは当該遺伝子を安定に維持できる染色体DNAに導入させる等の方法でCPA9タンパク質をコードするDNAを安定に増幅し、さらに当該遺伝子を安定にかつ効率よく発現させることができる宿主に導入し、CPA9タンパク質を生産させる方法が挙げられる。また、本発明の遺伝子を含む組換えベクターを作製するには、宿主菌体内で複製維持が可能であり、当該酵素を安定に発現させることができ、当該遺伝子を安定に保持できるベクターに本発明の遺伝子を組込めばよい。
前記タンパク質発現系としては、例えば大腸菌発現系、乳酸菌発現系、酵母発現系、麹菌発現系、昆虫細胞発現系、動物細胞発現系、無細胞発現系などがある。当業者ならば、これらの発現系のそれぞれの長所および欠点等を理解しているので、当業者は目的に応じて適切な発現系を選択することが可能である。例えば、大腸菌などの原核細胞を使う発現系は、糖鎖付加などの適切な修飾が行われないために、組換えCPA9タンパク質の発現には酵母などの真核細胞を使用する方がよい場合がある。
前記無細胞発現系としては、例えば遺伝子の転写、アミノ酸の翻訳に必要な構成成分であるトランスファーRNA、リボソーム、RNAポリメラーゼ、ヌクレオチド、アミノ酸、ピロリン酸、リン酸、ヌクレオチド一リン酸、ヌクレオチド二リン酸等を含んだ大腸菌、コムギ胚芽の細胞溶解物(ライセート)等を用いることが知られている。これらライセートと本発明の遺伝子を含むベクターを加えて反応させることで、in vitroで本発明のスギ花粉アレルゲンタンパク質の製造が可能である。
組換えタンパク質を発現させる際には、その発現効率を向上させるため、あるいは後の精製や検出を容易にするために、あるいは発現したタンパク質が細胞内で不溶化してしまうのを防ぐために、分泌シグナル部分の配列を改変したり(例えば、特開2001-258565号公報、および、特開2000-175686号公報)、GSTタグやヒスチジンタグなどのタグ配列を付加したり(例えばTerpe, K., Appl. Microbiol. Biotechnol., 60, 523-533, 2003)、あるいはGFPなどの蛍光タンパク質や他のタンパク質または他のタンパク質の一部の配列との融合タンパク質として発現させる等(例えばBreitwieser, A. et al., Protein Eng., 15, 243-249, 2002、および、国際公開第2002/036785号パンフレットなど)の方法が、当業者の間ではしばしば行われる。組換えCPA9の発現の際にも、当業者ならば必要に応じてこのような技術を利用し、本発明のスギ花粉アレルゲンタンパク質および少なくともその一部のアミノ酸配列を含むタンパク質を調製することができる。
一つの具体例として、大腸菌タンパク質発現系(pET System発現系)を利用して、組換えCPA9(rCPA9)タンパク質を発現させた。菌体内の不溶性画分を4% TritonTMX-100で洗浄した後、rCPA9タンパク質を多く含む画分を得た。それを、6 Mグアニジン塩酸塩溶液に溶解させた。その液を、HiTrap HPカラムに供した後、イミダゾール濃度を高くし、カラムからrCPA9タンパク質を溶出させ精製した。その結果、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法で測定すると分子量が約90 kDaを示すrCPA9タンパク質が得られた。
さらに一つの具体例として、得られたrCPA9タンパク質のアレルゲン性をウェスタンブロット法によって評価した。スギ花粉症患者血清を用いて、CPA9タンパク質特異IgE抗体価を分析したところ、CPA9タンパク質はスギ花粉症患者血清5検体中2検体で陽性反応を示した。このように、スギから単離した天然型CPA9タンパク質によっても、あるいは組換え技術によって調製した組換えCPA9タンパク質によっても、スギ花粉症患者血清との反応が観察され、これらどちらのCPA9タンパク質にもアレルゲン性があることが示された。当業者は、目的によって本発明のCPA9を取得するための方法を適宜選択することができる。
また、さらなる具体例として、大腸菌コールドショック発現系を用いて、CPA9タンパク質のN末端にグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)を融合した組換え融合タンパク質GST-CPA9(rGST-CPA9タンパク質)を発現させた。その結果、大腸菌コールドショック発現系によりrGST-CPA9タンパク質を可溶性タンパク質として取得することができた。このように、可溶性発現を促進する大腸菌コールドショック発現系およびGSTなどのタンパク質と融合することにより、rCPA9タンパク質を、可溶性タンパク質として発現させることができる。また、不溶性タンパク質として発現したrCPA9を、当業者に公知の方法で変性、リフォールディングを行った後に、可溶化rCPA9タンパク質を得ることもできる。当業者は、目的によって本発明のスギ花粉アレルゲンタンパク質を取得するための方法を適宜選択することができる。
本発明のスギ花粉アレルゲンタンパク質および少なくともその一部のアミノ酸配列を含むタンパク質は、その免疫学的性質の全てが消失してしまわないような状態であれば、他の1種または複数種の物質と、化学的あるいは物理的な方法で、可逆的あるいは不可逆的に結合させた状態で使用することもできる。例えば、ガラス、プラスチック、樹脂、無機物、金属、半導体、蛍光物質、放射性物質、色素分子、タンパク質、核酸、糖、脂質、水溶性高分子、水溶性低分子、生分解性材料、有機合成分子、生物由来分子、ウイルス粒子などに結合させた状態で使用することができる。また結合させるものの形状はどのようなものでも良く、例えば、プレート状、ビーズ状、キューブ状、膜状、カプセル状、ゲル状、結晶状、液晶状、線維状、中空糸状、多孔質状、溶液中の分子、ナノ粒子、コロイド、あるいはそれらの複合体、あるいはもっと複雑な形状などでもかまわない。
本発明によってCPA9タンパク質の全アミノ酸配列が解明されたことにより、CPA9タンパク質のT細胞エピトープ部位の同定が可能になった。そのため、それらのT細胞エピトープペプチドは、スギ花粉症の免疫療法において用途がある。したがって、本発明のCPA9タンパク質のアミノ酸配列の少なくとも一部を有するタンパク質には、このようなCPA9タンパク質のT細胞エピトープペプチドを含むタンパク質も含まれる。
アレルギーの治療法の1つとして減感作療法があるが、アナフィラキシーなどの副作用も考えられることから、最近の治療においては、患者にアレルゲンタンパク質全体を投与するのではなく、T細胞が特異的に認識するアレルゲンタンパク質の最小領域、つまり、T細胞エピトープのみからなるペプチドを投与する、ペプチドワクチンが注目されている。
アレルゲンタンパク質のT細胞エピトープの同定方法は、既に確立された技術になっている。例えばこれまでに、主要抗原であるCry j 1およびCry j 2のT細胞エピトープが報告されている(例えば、橋口周平ら、日本臨牀、54、2233-2242頁、1996年、特開平7-118295号公報、および、特開平8-47392号公報)。また、それらを連結させる試みも開示されている(例えば、Sone, T. et al., J. Immunol., 161, 448-457, 1998、および、特開平10-259198号公報)。CPA9タンパク質のT細胞エピトープペプチドも、このような公知の方法によって取得することが可能である。
本発明のT細胞エピトープペプチドは、スギ花粉症患者由来のT細胞の活性を刺激及び/又は抑制する作用を有することが好ましい。すなわち、本発明のペプチドは、T細胞増殖又はリンホカイン分泌等のT細胞応答を誘導することができ、及び/又はT細胞アネルギー(不応答)を誘導する作用を有することが好ましい。
本発明のT細胞エピトープペプチドは、少なくとも10アミノ酸残基を含むことが好ましい。また、これらの領域をカテプシン又はトリプシンなどの酵素切断に感受性のリンカーによりつないで、抗原提示細胞によるプロセッシングに対する感受性を増加させ、一つ以上のT細胞エピトープを含むペプチドの部分を生成させることができる。又、本発明のT細胞エピトープは、Cry j 1 T細胞エピトープペプチド(特表平8-502163号公報)及び/又はCry j 2 T細胞エピトープペプチド(特開平8-47392号公報)等の他のペプチドと混在、もしくは結合させることによって、花粉症の免疫療法に用いることができる。
本発明によれば、本発明のスギ花粉アレルゲンタンパク質、または該タンパク質断片に特異的に反応するモノクローナル抗体、およびポリクローナル抗体を提供することが可能である。当該タンパク質に特異的に反応するモノクローナル抗体、およびポリクローナル抗体は公知の方法により取得することができる。
本発明のスギ花粉アレルゲンタンパク質は、スギ花粉症患者由来のIgEへの結合能を有することが好ましい。スギ花粉症患者由来のIgEへの結合能とは、125I標識抗IgE血清を用いたRAST法、酵素標識抗IgE血清を用いたDirect−RAST RIA法やELISA法やウェスタンブロット法により評価して、健常者血清との比較等により有意な結合が得られることをいう。
本発明のスギ花粉アレルゲンタンパク質は、スギ花粉アレルゲン又は当該アレルゲンと免疫学的に交差反応性のある他の樹木花粉により引き起こされる花粉症診断用の試薬としても用いることができる。例えば、患者末梢血リンパ球に当該タンパク質を適量加え、1週間培養した後、[H]チミジンのリンパ球への取り込み量を測定し評価することにより、花粉症の診断が可能となる。また、本発明のスギ花粉アレルゲンタンパク質は、メロン等をはじめとする他のアレルゲンについての交差感作に関する情報提供も可能である。
本発明のスギ花粉アレルゲンタンパク質は、製薬上許容しうる適当な希釈剤、担体と組み合わせて、花粉症患者に対する減感作療法に使用することができる。花粉症患者には、スギ花粉アレルゲンと免疫学的に交差反応性を示すスギ花粉アレルゲン患者が含まれる。投与方法としては、例えば、注射(皮下、静脈注射等)、点眼、点鼻、経口、吸入、経皮などの簡便な方法を用いることができる。
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<実施例1> スギ花粉粗抗原のプロテオーム解析
(スギ花粉粗抗原の調製)
日本スギ花粉(広島県豊田郡豊町にて採取)80 gに抽出バッファー(20 mM PBS+3 mM EDTA pH 7.6)を3.0 L加えた後、4℃で4時間攪拌した。その後、遠心分離(7,000 rpm、30分間)によって得た上清に対して、終濃度80%飽和になるよう硫酸アンモニウムを加え、4℃で一晩攪拌した。次に、遠心分離(7,000 rpm、30分間)によって沈殿を採取し、Milli-Q水で一晩透析を行った。その後、遠心分離(10,000 rpm、30分間)をすることで得られた上清の凍結乾燥を行い、スギ花粉粗抗原(CJP)を得た。
(スギ花粉粗抗原の二次元電気泳動)
スギ花粉粗抗原(CJP)200 mgに4 mlのPBS+ジチオトレイトール(DTT)60 mgを加えて懸濁し、PBSで60%に調製したトリクロロ酢酸2 mlを加えた後、氷上で90分間静置した。その後、遠心分離(3,500 rpm、15分間)を行い、沈殿を回収した。この沈殿に冷アセトン10 mlを加えて懸濁し、洗浄した。さらに、遠心分離(3,500 rpm、20分間)を行った後、スピードバックで沈殿を乾燥させた。その沈殿にLysis Buffer(8 M 尿素、2 Mチオ尿素、2% CHAPS、2% SB3-10、1% DTT、0.8% Ampholine)1 mlを加えて懸濁し、超音波破砕によって完全に溶解させた。その後、遠心分離(18,000 rpm、20分間)を行い、その上清を二次元電気泳動用のサンプルに用いた。
pIレンジ3〜10のドライストリップをLysis bufferで一晩膨潤させた後、CJPのサンプルをストリップにアプライして一次元目(等電点)の泳動を行った。
アクリルアミド濃度9〜18%のグラジエントゲルを作製し、その上に等電点電気泳動後のゲルをセットした。ゲルの上から低融点アガロースを重層し固化させた後、80 Vで一晩、二次元目(分子量)の電気泳動を行った。
二次元目の電気泳動が終了した後、ゲルを銀染色することによってタンパク質を検出した。その結果の一例を、図1に示した。スギ花粉粗抗原中には、主要抗原であるCry j 1とCry j 2以外にも多くのタンパク質が確認された。
(ウェスタンブロッティング)
二次元電気泳動後のタンパク質を、ブロッティングキット(Hoefer DALT, Amersham Pharmacia Biotech製)を用いて約6時間、60 Vの条件でメンブレンに転写した。その後、メンブレンをPBST(0.1% Tween20/PBS)で洗浄し、ブロッキング液(5% skim milk、1% BSA/PBST)で一晩振とうした。その後、PBSTで洗浄し、ブロッキング液で10倍希釈したスギ花粉症患者血清中で4時間振とうしながらインキュベートした。洗浄後、ブロッキング液で2,500倍希釈した抗ヒトIgE−ビオチン標識(Biosource製)を加え、2時間振とうしながらインキュベートした。PBSTで洗浄した後、ブロッキング液で2,500倍希釈したストレプトアビジン−HRP標識(ZYMED製)と共に、1時間インキュベートした。その後、PBSTで洗浄した後、ECL Westernblotting detection reagents(Amersham Pharmacia Biotech製)と共に5分間インキュベートを行い、X線フィルムに感光させて陽性スポットを検出した。
ウェスタンブロットによる解析の結果、スギ花粉粗抗原中にはCry j 1とCry j 2以外にも陽性反応を示すスポットが多く存在することが明らかになった。12名のスギ花粉症患者血清IgEで調査した内、とくに強い陽性反応があったスポットを、図1に□の囲みで示した。
その中で、約50%以上の反応頻度を示したCPA9タンパク質のアミノ酸配列を、MALDI-TOF MSを用いてシークエンシングした。その結果、-Gly-His-Gly-Thr-His-Thr-Ser-Ser-Thr-Ala-Ala-(配列番号3)の配列が得られ、ホモロジー検索をしたところ、Cucumis melo由来のセリンプロテアーゼを含む他の植物由来のスブチリシン様セリンプロテアーゼのアミノ酸配列と高い相同性を示すことが明らかになった。
<実施例2> CPA9遺伝子の塩基配列およびアミノ酸配列の決定
(スギ葯トータルRNAの精製)
液体窒素中で粉砕したスギ葯5 gを50 ml容量の遠沈管に入れ、4℃のConcertTM Plant RNA Reagent(Invitrogen製)を25 ml加えて懸濁した。遠沈管を横にした状態で、室温で5分間静置した。これを遠心分離(4℃、2,600 × g、5分間)した。その上清をメッシュサイズ100 μmのセルストレーナー(BDファルコン製)で濾過した。濾過した上清10 mlにつき5 M 塩化ナトリウムを2 ml加えて懸濁した。濾過した上清10 mlにつきクロロホルムを6 ml加えて懸濁した。これを遠心分離(4℃、2,600 × g、30分間)した。上清に、上清の0.9倍量のイソプロパノールを加えて懸濁した。これを室温で10分間静置した。次にこれを遠心分離(4℃、2,600 × g、30分間)した。上清を除き、沈殿したトータルRNAに75% エタノールを10 ml加えて軽く懸濁した。これを遠心分離(4℃、2,600 × g、5分間)した。上清を除き、遠沈管のふたを開けた状態で、室温で15分間静置してトータルRNAを乾燥した。これにRNase free water を300 μl加え、トータルRNAを溶解した。得られたトータルRNA溶液は-80℃で保存した。
(スギ葯mRNAの精製および濃縮)
スギ葯トータルRNAからmRNAの精製には、OligotexTM-dT30 <Super> mRNA Purification kit(TaKaRa製)を用いた。スギ葯トータルRNA 250 μgを含むトータルRNA溶液150 μlを調製した。これに2 × Binding bufferを150 μl、OligotexTM-dT30 <Super>を15 μl加えて懸濁した。70℃で3分間インキュベートし、室温で10分間静置した。これを遠心分離(室温、15,000 rpm、5分間)した。上清を除き、沈殿したOligotexTM-dT30 <Super>にWash bufferを350 μl加えて懸濁した。これをスピンカラムセットのカップに移し、遠心分離(室温、15,000 rpm、30秒間)した。カップを新しいスピンカラム用遠心チューブに移した。カップ内のOligotexTM-dT30 <Super>にWash bufferを350 μl加えて懸濁した。これを遠心分離(室温、15,000 rpm、30秒間)した。カップを新しいスピンカラム用遠心チューブに移した。(1)カップ内のOligotexTM-dT30 <Super>に70℃のRNase free waterを30 μl加えて懸濁し、遠心分離(室温、15,000 rpm、30秒間)して、mRNA溶液を回収した。(1)の操作をさらに2回行った。一連のmRNA精製操作をさらに5回行い、mRNA溶液を約500 μl以上得た。
mRNA溶液500 μlに3 M 酢酸ナトリウム(pH 5.2)を16.5 μl加えて懸濁した。これにEthachinmate(ニッポンジーン製)を3 μl加えて懸濁した。これにイソプロパノールを500 μl加えて懸濁した。これを遠心分離(4℃、15,000 rpm、10分間)した。上清を除き、沈殿したmRNAに75% エタノールを1 ml加えて軽く懸濁した後、遠心分離(4℃、15,000 rpm、5分間)した。上清を除き、マイクロチューブのふたを開けた状態で、室温で15分間静置してmRNAを乾燥し、RNase free waterを10 μl加えてmRNAを溶解した。得られたmRNA溶液は-80℃で保存した。
(スギ葯cDNAの合成)
スギ葯mRNAからの5'-RACE用および3'-RACE用cDNAの合成には、BD SMARTTM RACE cDNA Amplification Kit(BD Biosciences製)を用いた。5'-RACE用cDNAの合成は、0.5 ml容量のマイクロチューブに、1 μg/μl mRNA溶液を1 μl、5'-CDS primerを1 μl、BD SMART II A oligoを1 μl、RNase free waterを2 μl加えて懸濁した。一方、3'-RACE用cDNAの合成は、0.5 ml容量のマイクロチューブに、1 μg/μl mRNA溶液を1 μl、3'-CDS primer Aを1 μl、RNase free waterを3 μl加えて懸濁した。70℃で2分間インキュベートし、氷上で2分間静置した。各反応液に、5 × First-Strand Bufferを2 μl、20 mM ジチオトレイトールを1 μl、dNTP mixを1 μl、BD PowerScript Reverse Transcriptaseを1 μl加えて懸濁した。42℃で90分間インキュベートした。反応液にTricine-EDTA Bufferを250 μl加えて懸濁した。これを72℃で7分間インキュベートした。得られたcDNA溶液は-30℃で保存した。
(CPA9のcDNA配列の決定)
質量分析で得られたCPA9の内部アミノ酸配列-Gly-His-Gly-Thr-His-Thr-Ser-Ser-Thr-Ala-Ala-をもとに、5'-RACE用の縮重プライマーを作製し、5'-RACE法を用いてCPA9の5'-側未知遺伝子領域の取得を行った。まず、縮重プライマー 5'-GCI GTI SWI SWI GTR TGI GTN CC-3'とUniversal Primer A Mix(BD SMART TMRACE cDNA Amplification Kit付属プライマー)を用いて、5'-RACE用スギ葯cDNAをテンプレートとした5'-RACEを行った。RACE反応はBD AdvantageTM 2 PCR Kit(BD Biosciences製)を用いた。次に、得られた5'-RACE反応液をテンプレートとして、プライマー 5'-SWI SWI GTR TGI GTI CCR TGN CC-3'とNested Universal Primer A(BD SMARTTMRACE cDNA Amplification Kit付属プライマー)を用いたNested PCRを行った。反応液をアガロース電気泳動し、増幅した約700 bpの5'-側未知遺伝子領域を、QIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN製)を用いてゲルから精製した。これをDNA Ligation Kit ver. 2.1(TaKaRa製)を用いてpGEM-T Easy Vector(Promega製)に連結し、Competent high E.coli DH5α(TOYOBO製)を形質転換した。得られた形質転換体から、QIAprep Spin Miniprep Kit(QIAGEN製)を用いてプラスミドを調製した。調製したプラスミドをテンプレートとして、BigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems製)を用いてサイクル反応を行った。反応液をエタノール沈殿法で精製し、DNAシークエンサー 3100-Avant(Applied Biosystems製)を用いて、CPA9の5'-側未知遺伝子領域の塩基配列を解析した。
次に、CPA9の3'-側未知遺伝子領域を取得するために、得られた塩基配列をもとに、3'-RACE用プライマー 5'-GCC GGA AAG TGA GAG CTT CGA TGA TAA GGG-3'(配列番号4)を作製した。このプライマーとUniversal Primer A Mixを用いて、3'-RACE用スギ葯cDNAをテンプレートとした3'-RACEを行った。増幅した約2.1 kbの3'-側未知遺伝子領域は、5'-側未知遺伝子領域と同様の方法で、その塩基配列を解析した。
次に、CPA9の全長遺伝子を取得するために、得られた塩基配列をもとに、プライマー 5'-ATA ACG TGA AGA GAT TCC AAT AAA TTG TCT AGT TGA GC-3'(配列番号5)および 5'-CTA CCA ATA CAA TTT AAT GCC TTG TCG TAT ACA AC-3'(配列番号6)を作製した。これらのプライマーを用いて、5'-RACE用スギ葯cDNAをテンプレートとしたPCRを行った。PCR反応はKOD-Plus-DNA Polymerase(TOYOBO製)を用いた。反応液をアガロース電気泳動し、増幅した約2.5 kbの全長CPA9遺伝子をゲルから精製した。これをpUC118 DNA HincII/BAP(TaKaRa製)に連結した後、E.coliDH5αを形質転換した。形質転換体からプラスミドを調製し、全長CPA9遺伝子の塩基配列を解析した。その結果、CPA9の全長cDNAの塩基配列(配列番号2)およびアミノ酸配列(配列番号1)が得られた。CPA9遺伝子の全長cDNAは2,467 bpの塩基からなり、そのORFは757アミノ酸をコードしていた。
<実施例3> CPA9遺伝子およびタンパク質の相同性検索
GenBankデータベースを用いたFASTA及びBLAST検索によって、得られたCPA9の遺伝子およびタンパク質の配列について相同性検索を行った。CPA9タンパク質のアミノ酸配列と他の植物由来セリンプロテアーゼとの相同性について調査した結果を、図2に示す。*は一致したアミノ酸残基を示す。CPA9は、Arabidopsis thaliana セリンプロテアーゼ(Accession number NP_569048)とアミノ酸レベルで59.0%、DNAレベルで60.0%、Lycopersicon esculentum セリンプロテアーゼ(Accession number CAA67429)とアミノ酸レベルで55.2%、DNAレベルで57.9%の同一性を示した。以上のようにCPA9が他種のスブチリシン様セリンプロテアーゼと高い相同性を保持していることが確認された。
これまでにアレルゲンとして報告されているセリンプロテアーゼとCPA9タンパク質のアミノ酸配列のホモロジーを図3に示す。*は一致したアミノ酸残基を示す。メロン(Cucumis melo)の果汁の主要アレルゲンとして報告されているCuc m 1と40.6%のアミノ酸の同一性を示し、CPA9タンパク質がこれらのアレルゲンとの交差反応性を有する可能性が示された。
<実施例4> 組換え型CPA9(rCPA9)タンパク質の発現
組換え型CPA9(rCPA9)タンパク質を大腸菌系(pET System発現系)で発現させて、ウェスタンブロットにより発現を確認した。CPA9タンパク質をコードするcDNAを鋳型として、DNA増幅酵素であるKOD-plus-DNA Polymerase(TOYOBO製)を用いたPCRによって増幅し、両末端にBamH Iサイトを有するCPA9遺伝子断片を得た。この増幅物を、BamH I(TaKaRa製)で制限酵素処理し、同様にBamH Iで処理した大腸菌発現用ベクターpET21(a)(Merck製)中に挿入し、CPA9/pET21(a)を得た。挿入したCPA9遺伝子の配列はDNAシークエンサー 3100-Avant(Applied Biosystems製)によって確認した。CPA9/pET21(a)を用いて、BL21(DE3) Competent Cells(Merck製)を形質転換した。タンパク質の発現は、形質転換したBL21(DE3)株を5 mlのLB培地(カルベニシリン:50 μg/ml)に植菌し、37℃、6時間、300 rpmで前培養を行った。その培養液を1 ml分取し、2×YT培地(カルベニシリン:50 μg/ml)を加えて全体量を100 mlにし、37℃、300 rpmで本培養を行った。数時間後、培地のO.D.600が0.4〜0.6になった時点で、1 mMになるようにIPTG(ナカライテスク製)を添加し、37℃、250 rpm、3時間培養し、rCPA9タンパク質を発現させた。rCPA9タンパク質は、C末端にポリヒスチジン(6×ヒスチジン残基)が付加したヒスチジンタグ融合タンパク質として発現させた。その後、培養液を4℃、6,300 g、10分間遠心して大腸菌を回収した。その大腸菌を1 mM PMSF(和光純薬製)、1 μg/ml E-64(和光純薬製)、1 mM DTT(和光純薬製)を含む菌体破砕用緩衝液[PBS(pH7.6)]5 mlに懸濁し、氷冷しながら、超音波破砕を20秒×3回行った。その液を4℃、14,000 g、20分間遠心し、細胞内の可溶性画分と不溶性画分に分けた。
細胞内の不溶性画分を4% TritonTMX-100(和光純薬製)を含む菌体破砕用緩衝液に懸濁し、室温で160 rpm、30分間で振とうした。その後、不溶性画分を懸濁した緩衝液を、4℃、14,000 g、20分間遠心分離を行い、上清を除き、不溶性画分を回収した。本操作は、上清が透明になるまで、不溶性画分の洗浄を行った。その後、不溶性画分をMilli-Q水に懸濁し、4℃、14,000 g、20分間遠心分離を行い、TritonTMX-100を除去した。
それぞれの画分を、SDS-PAGEに供した後、銀染色とウェスタンブロット解析を行い、rCPA9タンパク質の発現・精製を確認した。その結果を図4および図5に示す。ウェスタンブロットは、一次抗体としてPenta-His Antibody(QIAGEN製)抗体、二次抗体としてHRP標識されたAnti-mouse IgG(生化学工業製)抗体を使用し、ECL Plus Western Blotting Detection System(Amersham Biosciences製)で発光させrCPA9を検出した。図4および図5のレーン1は分子量マーカー(Full-Range Rainbow Molecular Weight Markers、Amersham Biosciences製)、レーン2は全タンパク質、レーン3は培養上清、レーン4は菌体内可溶性画分、レーン5は菌体内不溶性画分、レーン6は4% TritonTMX-100洗浄画分を示す。
<実施例5> 組換え型CPA9(rCPA9)タンパク質の精製
組換え型CPA9(rCPA9)タンパク質を精製し、ウェスタンブロット解析により確認した。実施例4にて洗浄した不溶性画分を、6 M グアニジン塩酸溶液[50 mM Tris-HCl(pH 8.5)、10 mM DTT]を添加し、37℃で1時間還元、可溶化した。その溶液を、0.2 μmのフィルターでろ過を行い、溶液から不溶物を除去した。rCPA9タンパク質のC末端に付加したヒスチジンタグを利用し、HiTrap HPカラム(Amersham Biosciences製)による精製を行った。可溶化したrCPA9タンパク質をHiTrap HPカラムに供してカラムに吸着させた。6 M グアニジン塩酸溶液(50 mM イミダゾール)で非特異的にカラムに吸着したタンパク質を洗浄した。その後、6 M グアニジン塩酸溶液のイミダゾールの濃度を500 mMへスッテプワイズグラジエントし、rCPA9タンパク質をカラムから溶出させた。得られた画分を、SDS-PAGE/ウェスタンブロット解析し、rCPA9タンパク質の溶出画分を確認した(図6レーン5)。
rCPA9タンパク質の精製過程を、図6および図7に示す。図6のレーン1は分子量マーカー(Full-Range Rainbow Molecular Weight Markers、Amersham Biosciences製)である。6 M グアニジン塩酸溶液で可溶化させたrCPA9タンパク質(図6および図7のレーン2)、HiTrap HPカラムに供した後、カラムから流出した画分(図6および図7のレーン3)、50 mM イミダゾールでHiTrap HPカラムから溶出した画分(図6および図7のレーン4)、500 mM イミダゾールでHiTrap HPカラムから溶出した画分(図6および図7のレーン5)をサンプルとして用いて、SDS-PAGEを行った。ポリアクリルアミド濃度5〜20%のグラジエントゲル(和光純薬製)を用いて電気泳動した後、銀染色液(第一化学工業製)でタンパク質を染色した。その結果、分子量が約90 kDa(図6および図7のレーン5)の単一バンドが確認された。また、Anti-Penta His抗体を用いてウェスタンブロットを行った結果(図7レーン5)から該タンパク質がrCPA9タンパク質であることが確認された。
<実施例6> 組換え型GST-CPA9(rGST-CPA9)タンパク質の発現(大腸菌コールドショック発現系)
CPA9タンパク質のN末端にグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)を融合した組換え融合タンパク質GST-CPA9(rGST-CPA9)の発現を、大腸菌コールドショック発現系を用いて行った。GST遺伝子断片は、pET42(a)(Merck製)をNde I(TaKaRa製)とBamH I(TaKaRa製)で制限酵素処理した後、アガロースゲル電気泳動に供した後、エチジウムブロミドで染色し、302 nmのUVを照射しながら、GST遺伝子断片のバンドごとゲルを切り出した。そのゲルからQIAquickTM Gel Extraction KIT(QIAGEN製)を用いてGST遺伝子断片を抽出した。同様にNdeIとBamH Iで処理した大腸菌発現用ベクターpCold IV(TaKaRa製)中に、GST遺伝子断片を挿入し、GST/pCold IVを得た。GST/pCold IVをBamH Iで制限酵素処理した後、同様にBamH Iで処理したCPA9遺伝子断片を挿入し、GST-CPA9/pCold IVを得た。挿入したGST-CPA9遺伝子の配列はDNAシークエンサー 3100-Avant(Applied Biosystems製)によって確認した。GST-CPA9/pCold IVを用いて、BL21(DE3) Competent Cells(Merck製)を形質転換した。タンパク質の発現は、形質転換したBL21(DE3)株を10 mlのLB培地(カルベニシリン:50 μg/ml)に植菌し、37℃、300 rpm、6時間で前培養を行った。その培養液を分取し、SB培地(カルベニシリン:50 μg/ml)を加えて全体量を1 Lにし、37℃、250 rpmで本培養を行った。数時間後、培地のO.D.600が0.4〜0.6になった時点で、15℃、30分間静置した。その後、1 mMになるようにIPTG(ナカライテスク製)を添加し、15℃、300 rpm、12時間培養し、rGST-CPA9タンパク質を発現させた。rGST-CPA9タンパク質は、rCPA9タンパク質のN末端にrGSTタンパク質、rGSTタンパク質とrCPA9タンパク質C末端にポリヒスチジン(6×ヒスチジン残基)が付加した融合タンパク質として発現させた。その後、培養液を4℃、6,300 g、10分間遠心して大腸菌を回収した。その大腸菌を1 mM PMSF(和光純薬製)、1 μg/ml E-64(和光純薬製)、1 mM DTT(和光純薬製)を含む菌体破砕用緩衝液[PBS(pH7.6)]5 mlに懸濁し、氷冷しながら、超音波破砕を20秒×3回行った。その液を14,000 g、20分間遠心し、細胞内の可溶性画分と不溶性画分に分けた。
それぞれの画分を、SDS-PAGEに供した後、銀染色とウェスタンブロット解析を行い、rGST-CPA9タンパク質の発現を確認した。その結果を図8および図9に示す。ウェスタンブロットは、一次抗体としてPenta-His Antibody(QIAGEN製)抗体、二次抗体としてHRP標識されたAnti-mouse IgG (生化学工業製)抗体を使用し、ECL Plus Western Blotting Detection System(Amersham Biosciences製)で発光させrCPA9タンパク質を検出した。図8のレーン1は分子量マーカー(Full-Range Rainbow Molecular Weight Markers、 Amersham Biosciences製)、レーン2は菌体内可溶性画分を示す。
<実施例7> 組換え型GST-CPA9(rGST-CPA9)タンパク質の精製
実施例6にて発現させた組換え型GST-CPA9タンパク質(rGST-CPA9タンパク質)を、菌体内可溶性画分から精製し、ウェスタンブロット解析により確認した。rGSTタンパク質とrCPA9タンパク質のC末端に付加したヒスチジンタグを利用し、HiTrap FFカラム(Amersham Biosciences製)による精製を行った。菌体内可溶性画分をHiTrap FFカラムに供してカラムに吸着させ、PBS緩衝液で非特異的にカラムに吸着したタンパク質を洗浄した。その後、PBS緩衝液中のイミダゾールの濃度を10 mM〜500 mMへグラジエントし、rGST-CPA9タンパク質をカラムから溶出させた。得られた画分を、SDS-PAGE/ウェスタンブロット解析し、rGST-CPA9タンパク質の溶出画分を確認した(図8レーン3)。
次に、rGST-rCPA9タンパク質のN末端に付加したGSTタグを利用し、rGST-CPA9タンパク質を含む溶液をGSTrap HPカラム(Amersham Biosciences製)に供してカラムに吸着させ、PBS緩衝液で非特異的にカラムに吸着したタンパク質を洗浄した。その後、PBS緩衝液中の還元型グルタチオンの濃度を10 mMへスッテプワイズグラジエントし、rGST-CPA9タンパク質をカラムから溶出させた(図8レーン4)。得られた画分を、SDS-PAGE/ウェスタンブロット解析し、rGST-CPA9タンパク質の溶出画分を確認した。その後、rGST-CPA9タンパク質を含む溶液を攪拌型ウルトラホルダーによって濃縮した。
rGST-CPA9タンパク質の精製過程を、図8および図9に示す。図8および図9のレーン1は分子量マーカー(Full-Range Rainbow Molecular Weight Markers、Amersham Biosciences製)である。菌体内可溶性画分(図8レーン2)、HiTrap FFカラムに供した後の画分(図8レーン3)、およびGSTrap HPカラムで精製したrGST-CPA9タンパク質(図8レーン4)をサンプルとして用いて、SDS-PAGEを行った。ポリアクリルアミド濃度5〜20%のグラジエントゲル(和光純薬製)を用いて電気泳動した後、銀染色液(第一化学工業製)でタンパク質を染色した。その結果、分子量が約110 kDa(図8レーン4)のバンドが確認された。また、Anti-Penta His抗体を用いてウェスタンブロットを行った結果(図9レーン4)から該タンパク質がrGST-CPA9タンパク質であることが確認された。図9のレーン2は菌体内可溶性画分、レーン3はHiTrap FFカラムによる精製後のrGST-CPA9タンパク質を示す。
<実施例8> 天然型CPA9(nCPA9)タンパク質のアレルゲン性
二次元電気泳動を用いて、スギ花粉粗抗原(CJP)から分離したnCPA9タンパク質について、スギ花粉症患者血清との反応を調べた。実施例1と同様の方法で、CJPの調製および二次元電気泳動を行い、nCPA9タンパク質を分離した。スギ花粉症患者血清40検体それぞれについて、実施例1と同様の方法でウェスタンブロッティングを行い、nCPA9タンパク質との反応を調べた。比較例として、既知の主要アレルゲンCry j 1およびCry j 2との反応も調べた。その結果を表1に示す。
表1に示すように、nCPA9はスギ花粉症患者血清40検体中20検体(50.0%)で陽性反応を示した。また、nCPA9の反応状況は、Cry j 1およびCry j 2の反応状況とは異なっていた。このことから、nCPA9はスギ花粉症患者血清と高頻度で反応し、かつ、Cry j 1およびCry j 2とは免疫学的性質の異なる新規なスギ花粉アレルゲンであることが示された。
<実施例9> 組換え型CPA9(rCPA9)タンパク質のアレルゲン性
大腸菌を宿主とした実施例4の方法(pET System発現系)で発現し、実施例5の方法で精製したrCPA9タンパク質について、スギ花粉症患者血清との反応を調べた。まず、スギ花粉症患者血清5検体それぞれについて、実施例1と同様の方法でウェスタンブロッティングを行い、rCPA9タンパク質との反応を調べた。比較例として、既知の主要アレルゲンCry j 1、Cry j 2およびBSAとの反応も調べた。その結果を図9に示す。
次に、スギ花粉症患者血清(RAST Score ≧ 5)5検体および健常者血清1検体(RAST Score = 0)を用いて、CPA9特異的IgE抗体による組換え型CPA9アレルゲンタンパク質の免疫染色で解析した。SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動は常法(Laemmli, U.K., Nature 227, 680-685, 1970)に従って、12.5%分離ゲル、定常電流30 mAにて行った。試料はサンプルバッファー[0.5 M Tris-HCl (pH6.8) 1 ml、10% SDS 2 ml、β-メルカプトエタノール 0.6 ml、グリセロール 1 ml、蒸留水 5.4 ml、ブロモフェノールブルー 少量]に溶解して、5分間煮沸したのち、ゲルにアプライした。分子量マーカーとしてLMW(Amersham Biosciences製)を用いた。泳動後のゲルは、2D-銀染色試薬II「第一」キット(第一化学製薬製)を用いてタンパク質を染色した。また、免疫染色を行うために、セミドライ式転写装置(ATTO製)を用いて、泳動後のゲルから転写バッファー(2.5 mMトリスアミノメタン、19.2 mMグリシン、0.01% SDS、20% メタノール)で平衡化したPVDFメンブレン(Immobilon、 Millipore製)にタンパク質を転写した。転写後のメンブレンをblocking buffer(PBS、0.05% Tween 20、5% skim milk、1% BSA)中で、4時間室温で振盪した。その後、同溶液で10倍に希釈したスギ花粉症患者血清(Cry j 1陽性、スギ花粉RAST値5以上)あるいは健常者血清(RAST = 0)中で、4℃にて一晩振盪した。メンブレンをPBST(PBS、0.05% Tween 20)で十分に洗浄した後、blocking bufferで150倍に希釈したanti-human IgE epsilon chain-biotin conjugate(Vector Laboratories製)中で室温にて2時間振盪した。洗浄後、blocking bufferで2,000倍に希釈したhorse radish peroxidase-streptavidin conjugate(Zymed Laboratories製)中で1時間振盪した。洗浄後、ECL Plus Western Blotting Detection Reagents(Amersham Biosciences製)を用いて、特異抗体の結合を検出した。図10のレーン1は分子量マーカー、レーン2はrCPA9タンパク質、レーン3はBSA、レーン4はCry j 1、レーン5はCry j 2を示す。各レーンには、タンパク質を1 μgずつ供した。
図10に示すように、rCPA9タンパク質はスギ花粉症患者血清5検体中2検体で陽性反応を示し、健常者血清に反応しなかった。また、rCPA9タンパク質の反応状況は、Cry j 1およびCry j 2の反応状況とは異なっていた。このことから、rCPA9タンパク質はスギ花粉症患者血清と高頻度で反応し、かつ、Cry j 1およびCry j 2とは免疫学的性質の異なる新規なスギ花粉アレルゲンタンパク質であることが示された。
配列番号1:CPA9タンパク質のアミノ酸配列を示す。
配列番号2:CPA9タンパク質をコードするcDNAの塩基配列を示す。
配列番号3:CPA9タンパク質の部分アミノ酸配列を示す。
配列番号4:プライマー用の設計されたポリヌクレオチドの塩基配列を示す。
配列番号5:プライマー用の設計されたポリヌクレオチドの塩基配列を示す。
配列番号6:プライマー用の設計されたポリヌクレオチドの塩基配列を示す。
スギ花粉粗抗原(CJP)の二次元電気泳動を示す図である。 スギ花粉アレルゲンタンパク質CPA9と他の植物由来スブチリシン様セリンプロテアーゼとの相同性を示す図である。 スギ花粉アレルゲンタンパク質CPA9とアレルゲン性を有するメロン(Cucumis melo)由来のCuc m 1との相同性を示す図である。 組換え型CPA9アレルゲンタンパク質の発現箇所を、SDS-PAGEで解析した図である。 組換え型CPA9アレルゲンのタンパク質の発現箇所を、ウェスタンブロットで解析した図である。 組換え型CPA9アレルゲンタンパク質の精製過程を、SDS-PAGEで解析した図である。 組換え型CPA9アレルゲンタンパク質の精製過程を、ウェスタンブロットで解析した図である。 組換え型GST-CPA9アレルゲンタンパク質の精製過程を、SDS-PAGEで解析した図である。 組換え型GST-CPA9アレルゲンタンパク質の精製過程を、ウェスタンブロットで解析した図である。 スギ花粉症患者血清(RAST Score ≧ 5)5検体および健常者血清1検体(RAST Score = 0)を用いて、CPA9特異的IgE抗体による組換え型CPA9アレルゲンタンパク質の免疫染色で解析した図である。

Claims (16)

  1. スギ花粉由来であって、以下の(a)および(b)の性質を有し、配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるスギ花粉アレルゲンタンパク質。
    (a)分子量70〜110 kDa(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法)
    (b)等電点6.0〜8.0付近(等電点電気泳動法)
  2. セリンプロテアーゼである、請求項1に記載のスギ花粉アレルゲンタンパク質。
  3. スギ花粉粗抗原から、アフィニティー精製、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、遠心分離、濃縮、透析および電気泳動から選ばれる少なくとも1種の方法によって得られることを特徴とする請求項1または2に記載のスギ花粉アレルゲンタンパク質。
  4. スギ花粉症患者由来のIgEへの結合能を有する請求項1〜のいずれか1項に記載のスギ花粉アレルゲンタンパク質。
  5. 配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載のタンパク質をコードする遺伝子。
  7. 配列番号2に記載の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子
  8. スギ花粉またはスギ雄花由来である請求項に記載の遺伝子。
  9. 請求項7または8に記載の遺伝子を含有する組換えベクター。
  10. 請求項の組み換えベクターによって形質転換された形質転換体。
  11. 請求項10記載の形質転換体を培養し、その培養物からアレルゲン性を有するタンパク質を回収することを特徴とする、スギ花粉アレルゲンタンパク質の製造方法。
  12. 請求項7または8に記載の遺伝子又は請求項記載の組換えベクターを用いて、スギ花粉アレルゲンタンパク質を無細胞発現系により発現させることを特徴とする、スギ花粉アレルゲンタンパク質の製造方法。
  13. 請求項11または12に記載の製造方法により製造されたスギ花粉アレルゲンタンパク質。
  14. 請求項1〜のいずれか1項に記載のタンパク質に特異的に反応するモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体。
  15. 請求項1〜のいずれか1項に記載のタンパク質を含むことを特徴とする花粉症診断用試薬。
  16. 請求項1〜のいずれか1項に記載のタンパク質を含むことを特徴とする減感作用の治療薬。
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