JP5279238B2 - 血圧降下作用を有する花粉の製造方法 - Google Patents
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Description
このように花粉には様々な栄養成分を含んでおり、例えば、整腸作用、貧血、滋養と体力回復、精神安定など数多くの効果が知られている。
ACE活性を抑制させることにより血圧を降下させるACE阻害物質として、例えば、カプトプリルが開発され医薬品として利用されている。
すなわち本発明は、
1.花粉のタンパク質を分解する工程を含むことを特徴とする、血圧降下作用を有する花粉の製造方法、
2.タンパク質を分解する工程がタンパク質分解酵素を花粉に作用させる工程である、前記1に記載の花粉の製造方法、
3.タンパク質分解酵素がバチルス(Bacillus)属、パエニバチルス(Paenibacillus)属、アスペルギルス(Aspergillus属)、リゾプス(Rhizopus)属またはストレプトマイセス(Streptomyces)属由来のタンパク質分解酵素である前記2に記載の花粉の製造方法、
4.血圧降下作用を有する花粉がアンジオテンシン変換酵素阻害作用を有することを特徴とする、前記1〜3のいずれか一に記載の花粉の製造方法、
5.前記1〜4のいずれかの方法によって得られる血圧降下作用を有する花粉を含有することを特徴とする、花粉組成物、
6.前記1〜4のいずれかの方法によって得られる血圧降下作用を有する花粉を有効成分として含有することを特徴とする、血圧降下剤
からなる。
花粉には、ミツバチが採取した団子状の花粉のほか、人間が直接採取した花粉であってもよい。ミツバチ花粉の起源植物の種類は好適にお茶、そば、ひまわり、アカシア、菜の花、ユーカリ、バラなどを挙げることができ、いずれの種類の花粉を用いてもよい。また、本発明に用いる花粉は、水またはアルコール等の有機溶媒により花粉から抽出した物であってもよい。さらにこれら抽出物をろ過、フリーズドライまたは熱風乾燥などの加工を行ったものであっても良い。
タンパク質分解酵素はタンパク質のペプチド結合を加水分解する酵素である。タンパク質分解酵素は微生物由来、動物由来または植物由来のものが例示される。微生物由来のタンパク質分解酵素は微生物培養することにより得られ、植物または動物由来のタンパク質分解酵素は植物または動物の臓器をホモジネートすることに得られる。これらタンパク質分解酵素はさらに精製を行ったものを用いてもよく、またポリエチレングリコールなどで修飾されたものであってもよい。さらに、2種類以上のタンパク質分解酵素を組み合わせて用いても良い。
subtilis)、バチルス ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、バチルス リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス アルカロフィルス(Bacillus
alcalophilus)、パエニバチルス ポリミキサ(Paenibacillus polymyxa)、アスペルギルス オリーゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス メレウス(Aspergillus melleus)、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス ホエニシス(Aspergillus phoenicis)、アスペルギルス ソウヤ(Aspergillus sojae)、リゾプス ニベウス(Rhizopus niveus)、ストレプトマイセス グリセウス(Streptomyces griseus)を好適に挙げることができる。さらに好適には、枯草菌、バチルス ステアロサーモフィルス、パエニバチルス ポリミキサを挙げることができる。例えば、後述の実施例で用いられているプロテアーゼNおよびアロアーゼAP−10は、いずれも、枯草菌(Bacillus subtilis)由来のタンパク質分解酵素である。
さらに、タンパク質分解酵素を花粉に作用させる際の温度は、花粉の成分の安定性及びタンパク質分解酵素の反応至適温度及び安定性を考慮して適宜決定することができる。
また、金属塩、キレート剤、無機塩類など適宜加えても良い。
微生物は単独で使用してもよく、2種以上の微生物を使用してもよい。また、微生物と花粉を混合する場合、必要な菌体量を一度に花粉と混合してもよいし、必要な菌体量を2回以上に分けて混合してもよい。また、2種以上の微生物を使用する場合、ぞれぞれの微生物を同時に花粉と混合してもよく、別々に分けて花粉と混合してもよい。
多糖類を分解する工程は多糖分解酵素または微生物を用いた発酵などにより行われる。
多糖分解酵素は糖と糖の結合を加水分解する酵素であり、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、ブルラナーゼ、グルコアミラーゼ、グルコシダーゼ、セルラーゼ、グルカナーゼを例示することができる。多糖分解酵素は微生物由来、動物由来または植物由来のものが例示される。微生物由来の多糖分解酵素は微生物培養することにより得られ、植物または動物由来の多糖分解酵素は植物または動物の臓器をホモジネートすることに得られる。これら多糖分解酵素はさらに精製を行ったものを用いてもよく、またポリエチレングリコールなどで修飾されたものであってもよい。さらに、2種類以上の多糖分解酵素を組み合わせて用いても良い。
subtilis)、ストレプトマイセス リビダンス(Streptomyces lividans)、トリコデルマ レェセイ(Trichoderma reesei)、トリコデルマ ビリィデェ(Trichoderma viride)由来のセルラーゼを好適に挙げることができる。
さらに、多糖分解酵素を花粉に作用させる際の温度は、花粉の成分の安定性及び多糖分解酵素の反応至適温度及び安定性を考慮して適宜決定することができる。
また、金属塩、キレート剤、無機塩類など適宜加えても良い。
微生物は単独で使用してもよく、2種以上の微生物を使用してもよい。また、微生物と花粉を混合する場合、必要な菌体量を一度に花粉と混合してもよいし、必要な菌体量を2回以上に分けて混合してもよい。また、2種以上の微生物を使用する場合、ぞれぞれの微生物を同時に花粉と混合してもよく、別々に分けて花粉と混合してもよい。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではない。
<ホウ酸緩衝液の調製>
50mM Na2B4O7450mLと220mM
H3BO4550mLを混合し、pH8.3のホウ酸緩衝液を調製した。
<基質溶液の調製>
約30mLのホウ酸緩衝液にBz−Gly−His−Leu・H2O(分子量447.49 ペプチド研究所社製)170mg、NaCl1.78gを溶解後、1NNaOHでpH8.3に調整し、ホウ酸緩衝液で50mLにメスアップして、基質溶液とした。
<ACE溶液の調製>
アンジオテンシン変換酵素(ウサギ肺由来 シグマ社製)をホウ酸緩衝液で溶解して60mU/mLの溶液をACE溶液とした。
<ACE阻害活性の測定方法>
サンプル30μLと基質溶液250μLを混合し、37℃で5分間放置した。5分間放置した後、ACE溶液を100μL添加し、37℃で30分間反応後、1NHClを250μL添加し、反応を停止させた。反応停止後1.5mLの酢酸エチルを添加し、激しく1分間攪拌した。次に3,000rpmで10分間遠心分離を行い上層の酢酸エチル層を0.5mL分取し、遠心エバポレーター(40℃、1.5時間)で蒸発乾固させた。蒸発乾固させたものに2mLの精製水を加え、溶解後、228nmにおける吸光度を測定した。このときの吸光度をAとする。
サンプル30μL及び基質溶液250μLを混合し、37℃で35分間放置した。35分間放置した後、1NHCl250μLを添加しその後ACE溶液を100μL添加した。さらに、1.5mLの酢酸エチルを添加し、激しく1分間攪拌した。次に3,000rpmで10分間遠心分離を行い上層の酢酸エチル層を0.5mL分取し、遠心エバポレーター(40℃、1.5時間)で蒸発乾固させた。蒸発乾固させたものに2mLの精製水を加え、溶解後、228nmにおける吸光度を測定した。このときの吸光度をBとする。
前記(1)活性の測定でサンプルの代わりにホウ酸緩衝液を用いて同様に操作を行い、228nmにおける吸光度を測定した。このときの吸光度をCとする。さらに、前記(2)ブランクの測定の測定でサンプルの代わりにホウ酸緩衝液を用いて同様に操作を行い、228nmにおける吸光度を測定した。このときの吸光度をDとする。
下式によりACE阻害活性を求めた。
ACE阻害活性(%)=(A−B)×100/(C−D)
ミキサーで粒子を細かくしたお茶由来の花粉12.5gに精製水15mLを添加し、お茶花粉を懸濁させ、トリコデルマ ビリィデェ(Trichoderma viride)由来のセルラーゼ(ナガセ産業株式会社)100mg添加し、50℃で30分間反応させた後、凍結乾燥を行いセルラーゼ処理お茶花粉を得た。
ミキサーで細かく粉砕した(1)のセルラーゼ処理お茶花粉を3.75g秤量し精製水50mLにメスアップしたものにプロテアーゼN(アマノエンザイム社製)を50mg添加し、50℃で15時間反応させた。反応後95℃で30分間処理して酵素を失活させるとともに花粉の殺菌を行い、プロテアーゼN処理お茶花粉を得た。
プロテアーゼN処理お茶花粉を遠心分離(3000rpm×10分間)に供し、その上清をホウ酸緩衝液で25倍希釈して、実施例1に示す方法でACE阻害活性を測定した。その結果を表1に示す。
ACE阻害活性(%)
プロテアーゼN酵素処理前 4.5
プロテアーゼN酵素処理後 44.5
また、(1)のセルラーゼ処理を行わず、ミキサーで細かく粉砕したお茶由来の花粉に(2)と同様にプロテアーゼNを作用させ、ホウ酸緩衝液で25倍希釈して、実施例1に示す方法でACE阻害活性を測定したときのACE阻害活性は22.3%となり、ACE阻害活性は検出されたもののセルラーゼ処理を行った花粉よりもACE阻害活性は低いものとなった。
さらに、プロテアーゼN処理によりお茶由来の大部分のタンパク質が分解されていることを電気泳動により確認した。
ミキサーで粒子を細かくしたソバ由来の花粉12.5gに精製水15mLを添加し、ソバ花粉を懸濁させ、トリコデルマ ビリィデェ(Trichoderma viride)由来のセルラーゼ(ナガセ産業株式会社)100mg添加し、50℃で30分間反応させた後、凍結乾燥を行いセルラーゼ処理ソバ花粉を得た。
ミキサーで細かく粉砕した(1)のセルラーゼ処理ソバ花粉を3.75g秤量し精製水50mLにメスアップしたものにプロテアーゼN(アマノエンザイム社製)を50mg添加し、50℃で15時間反応させた。反応後95℃で30分間処理して酵素を失活させるとともに花粉の殺菌を行い、プロテアーゼN処理ソバ花粉を得た。
プロテアーゼN処理ソバ花粉を遠心分離(3000rpm×10分間)に供し、その上清をホウ酸緩衝液で12倍希釈して、実施例1に示す方法でACE阻害活性を測定した。その結果を表2に示す。
ACE阻害活性(%)
プロテアーゼN酵素処理前 1.7
プロテアーゼN酵素処理後 16.4
アロアーゼ処理バラ花粉を遠心分離(3000rpm×10分間)に供し、その上清をホウ酸緩衝液で15倍希釈して、実施例1に示す方法でACE阻害活性を測定した。ただし、ウサギ肺由来のアンジオテンシン変換酵素のかわりにブタ腎臓由来アンジオテンシン変換酵素(シグマ社)を使用した。その結果を表3に示す。
ACE阻害活性(%)
アロアーゼAP−10酵素処理前 4.0
アロアーゼAP−10酵素処理後 53.9
バラ花粉は実施例2または4に示すセルラーゼ処理はACE阻害活性に影響を及ぼさなかった。
SDラットを1週間予備飼育後、6週目のSDラット(一群雄、雌各6匹)に体重1kgあたり2gの割合で経口投与し、14日間観察した。その結果、全例とも死亡動物はなく、また副作用も認められず、14日目の剖検においても、組織、臓器の異常はなんら観察されなかった。
Claims (4)
- お茶由来花粉、ソバ由来花粉またはバラ由来花粉のタンパク質をBacillus subtilis由来のタンパク質分解酵素で分解する工程を含むことを特徴とする、血圧降下作用を有する花粉のタンパク質分解酵素処理物の製造方法。
- 血圧降下作用を有する花粉のタンパク質分解酵素処理物がアンジオテンシン変換酵素阻害作用を有することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
- 請求項1または2に記載の方法によって得られる血圧降下作用を有する花粉のタンパク質分解酵素処理物を含有することを特徴とする、花粉組成物。
- 請求項1または2に記載の方法によって得られる血圧降下作用を有する花粉のタンパク質分解酵素処理物を含有することを特徴とする、血圧降下剤。
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