JP2007014310A - 遺伝子検出方法、及び標識剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 固相上に固定した前記検出すべき遺伝子配列に対して相補的な塩基配列を有する捕捉プローブと、一本鎖に変性された遺伝子サンプルと、前記検出すべき遺伝子配列に対して相補的で且つ前記捕捉プローブの塩基配列と異なる塩基配列を有する核酸プローブの末端に置換基が修飾された標識剤結合用プローブとをハイブリダイズさせて二本鎖核酸を形成する二本鎖核酸形成工程と、前記二本鎖核酸を形成した遺伝子サンプルに、電気化学的に活性である物質が複数連鎖してなる標識剤を添加し、前記標識剤結合用プローブと前記標識剤とを化学結合させる反応工程と、化学結合された前記標識剤を電気化学的測定により検出する検出工程、とを含む。
【選択図】図1
Description
なお、以下の実施の形態における遺伝子サンプルとは、例えば、血液、白血球、血清、尿、糞便、精液、唾液、培養細胞、各種臓器細胞のような組織細胞、その他遺伝子を含有する任意の試料から、該試料中の細胞を破壊して二本鎖核酸を遊離させ、熱処理あるいはアルカリ処理によって、一本鎖の核酸に解離させたものである。また、本実施の形態における遺伝子サンプルは、制限酵素で切断して電気泳動による分離等で精製した核酸断片でもよい。
以下、実施の形態1における遺伝子検出方法について説明する。
まず、検査対象となる遺伝子サンプルを作製する。この遺伝子サンプルは、前述したように、任意の試料中の細胞を破壊して二本鎖核酸を遊離させ、熱処理あるいはアルカリ処理によって、一本鎖に変性させる。
前記捕捉プローブは、固相に固定化される、前記検出すべき遺伝子配列に対して相補的な塩基配列を有するものであり、前記標識剤結合用プローブは、前記検出すべき遺伝子配列に対して相補的な塩基配列で、且つ前記捕捉プローブと塩基配列の異なる、核酸プローブの末端に、置換基が修飾されたものである。
前記捕捉プローブを固定化する固相としては、特に限定されないが、例えば、金、白金、白金黒、パラジウム、ロジウムのような貴金属や、グラファイト、グラシーカーボン、パイロリティックグラファイト、カーボンペースト、カーボンファイバーのような炭化物や、酸化チタン、酸化スズ、酸化マンガン、酸化鉛のような酸化物や、Si、Ge、 ZnO、 CdS、TiO、GaAsのような半導体等が挙げられ、これらの物質は、後の電気化学的な検出工程において、電極として利用することができる。さらに、前述した固相を導電性高分子によって被覆しても良く、このように被覆することによって、より安定な捕捉プローブ固定化電極(固相)を調製することができる。
そして、以上のようにして得られた捕捉プローブが結合した固相に、前記遺伝子サンプルと、前記標識剤結合用プローブを含む溶液とを接触させることにより、前記捕捉プローブ、及び前記標識剤結合用プローブと、相補的な配列を有する遺伝子サンプルがハイブリダイズし、二本鎖核酸が形成される。
本標識剤は、電気化学的に活性である物質が複数連鎖されてなるものであり、例えば、下記一般式(1)〜(4)で表すことができる。
(1)固相表面への核酸プローブの固定化
固相には、金電極を使用した。この金電極は、ガラス基板上にスパッタ装置(アルバック製SH−350)によりチタン10nmを下地に金200nmを形成し、フォトリソグラフィ工程により電極パターンを形成することで準備した。さらに、電極表面をピラニア溶液(過酸化水素:濃硫酸=1:3)で1分間洗浄し、純水ですすいだ後、窒素ブローで乾燥させた。
遺伝子サンプルには、ヒト由来Cytochrome P−450の遺伝子配列の5’−末端より599−698番目に位置するAATTGAATGA AAACATCAGG ATTGTAAGCA CCCCCTGGAT CCAGATATGC AATAATTTTC CCACTATCAT TGATTATTTC CCGGGAACCC ATAACAAATTの配列を有する100塩基のオリゴデオキシヌクレオチドを使用した。
電気化学的に活性である物質が複数連鎖されてなる標識剤は、下記の式(11)に示す物質を使用した。
まず、THF60.0mLに溶解させた4,4’−ジメチル−2,2’ビピリジン2.50g(13.5mmol)溶液を窒素雰囲気の容器に注入した後、リチウムジイソプロピルアミド2M溶液16.9mL(27.0mmol)を滴下し、冷却しながら30分撹拌した。一方、同様に窒素気流中で乾燥させた容器に、1,3−ジブロモプロパン4.2mL(41.1mmol)とTHF10mLとを加え、冷却しながら撹拌させた。この容器に、先程の反応液をゆっくり滴下させて2.5時間反応させた。反応溶液は2Nの塩酸で中和し、THFを留去した後、クロロホルムで抽出した。溶媒を留去して得た粗生成物をシリカゲルカラムで精製し、生成物Cを得た(収率47%)。
1H−NMR(300MHz、DMSO d−6)
σ:
1.68 (4H,m)
2.52 (3H,s)
2.84 (4H,m)
3.40 (2H,bs)
7.38 (2H,d)
7.58 (6H,m)
7.73 (4H,m)
8.15 (4H,t)
8.76 (2H,d)
8.86 (4H,d)
以上の工程の後、二本鎖核酸が形成された電極X、及び二本鎖核酸が形成されていない電極Yのそれぞれに、0.1MのPBS、及び0.1Mのトリエチルアミンを混合した電解液を80μL滴下した。その後、それぞれの電極X,Yに電圧を印加し、この時に生じた電気化学発光の測定を行った。なお、電圧の印加は、0Vから1.3Vまで走査し、3秒間電気化学測定を行った。電気化学発光量の測定は、光電子増倍管(浜松ホトニクス製H7360−01)を用いて行い、電圧走査中における最大発光量を測定した。
実施例2では、固相に磁気ビーズを使用した。磁気ビーズは、Bangs Laboratories社製のCM01N/5896ストレプトアビジン磁気ビーズを用いた(粒径0.35μm)。なお、捕捉プローブには、前記実施例1と同様のオリゴヌクレオチドで、その5’末端のリン酸基を介してビオチンを修飾したプローブを使用した。
浸漬後、TTバッファーと2XSSCで洗浄した。
遺伝子サンプル、及び標識剤結合用プローブは、前記実施例1と同様のものを使用した。
5μMに調製した前記(化27)4μLに、1MのWSC水溶液1μLと、1MのNHS水溶液1μLとを添加し、その溶液を前記(2)にて得た磁気ビーズに加え、1時間穏やかに反応させた。
以上の工程の後、二本鎖核酸が形成された磁気ビーズα、及び二本鎖核酸が形成されていない磁気ビーズβをそれぞれ5μLずつ電極に滴下した。電極の下には永久磁石のシートを取り付けており、作用極のみに磁気ビーズが集約するようにした。
Claims (33)
- 特定の配列を有する遺伝子を検出する遺伝子検出方法であって、
前記検出すべき遺伝子を一本鎖に変性して遺伝子サンプルを作製する遺伝子サンプル作製工程と、
前記検出すべき遺伝子配列に対して相補的な塩基配列を有する捕捉プローブを固相に固定化する固定化工程と、
前記検出すべき遺伝子配列に対して相補的で、且つ前記捕捉プローブの塩基配列と異なる塩基配列を有する核酸プローブの末端に置換基が修飾された標識剤結合用プローブを作製する標識剤結合用プローブ作製工程と、
前記固相に固定化された捕捉プローブと、前記遺伝子サンプルと、前記標識剤結合用プローブとをハイブリダイズさせて二本鎖核酸を形成する二本鎖核酸形成工程と、
前記二本鎖核酸形成工程にて得た、二本鎖核酸が形成された遺伝子サンプルに、電気化学的に活性である物質が複数連鎖してなる標識剤を添加し、該二本鎖核酸に含まれる前記標識剤結合用プローブと前記標識剤とを化学結合させる反応工程と、
前記反応工程にて化学結合させた前記標識剤を、電気化学的測定により検出する検出工程と、を含む、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。 - 請求項2ないし請求項5のいずれかに記載の遺伝子検出方法において、
前記標識剤結合用プローブと前記Saの化学結合は、アミド結合、エステル結合、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、イミノ結合、あるいは抗体−抗原結合のいずれかである、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。 - 請求項2ないし請求項5のいずれかに記載の遺伝子検出方法において、
前記La、前記Sa、前記Eの結合は、アミド結合、エステル結合、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、イミノ結合、あるいは抗体−抗原結合のいずれかである、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。 - 請求項2ないし請求項5のいずれかに記載の遺伝子検出方法において、
前記nは、2〜10000である、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。 - 請求項2ないし請求項5のいずれかに記載の遺伝子検出方法において、
前記Laは、天然高分子または合成高分子である、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。 - 請求項2ないし請求項5のいずれかに記載の遺伝子検出方法において、
前記Laは、糖、リン酸、ピリジン、アミノ酸、タンパク、メタクリル酸、アルキル、アルコール、アミド、イソプレン、ウレタン、ウロン酸、エステル、エチレン、カーボネート、ビニル、スチレンのいずれか、あるいはこれらの組み合わせから構成される、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。 - 請求項2ないし請求項5のいずれかに記載の遺伝子検出方法において、
前記Eは、前記Laに1〜10個化学結合している、
ことを特徴とする遺伝子検出方法 - 請求項2ないし請求項5のいずれかに記載の遺伝子検出方法において、
前記Eは、酸化還元性を有する化合物である、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。 - 請求項12に記載の遺伝子検出方法において、
前記酸化還元性を有する化合物は、電気化学発光を示す化合物である、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。 - 請求項13に記載の遺伝子検出方法において、
前記電気化学発光を示す化合物は、配位子に複素環系化合物を有する金属錯体、ルブレン、アントラセン、コロネン、ピレン、フルオランテン、クリセン、フェナントレン、ペリレン、ビナフチル、あるいはオクタテトラエンのいずれかである、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。 - 請求項14に記載の遺伝子検出方法において、
前記配位子に複素環系化合物を有する金属錯体は、配位子にピリジン部位を有する金属錯体である、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。 - 請求項15に記載の遺伝子検出方法において、
前記配位子にピリジン部位を有する金属錯体は、金属ビピリジン錯体、あるいは金属フェナントロリン錯体のいずれかである、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。 - 請求項16に記載の遺伝子検出方法において、
前記配位子に複素環系化合物を有する金属錯体の中心金属は、ルテニウム、あるいはオスニウムのいずれかである、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。 - 特定の配列を有する検出すべき遺伝子を標識する標識剤において、
前記標識剤は、前記検出すべき遺伝子に対して相補的な塩基配列を有し、且つその末端に置換基が修飾された標識剤結合用プローブの、前記置換基と化学結合する置換基と、
電気化学的に活性である物質が複数連鎖してなる電気化学活性部位と、
前記置換基と、前記電気化学活性部位とを連結する連結部位、とからなる、
ことを特徴とする標識剤。 - 請求項19ないし請求項22のいずれかに記載の標識剤において、
前記La、前記Sa、前記Eの結合は、アミド結合、エステル結合、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、イミノ結合、あるいは抗体−抗原結合のいずれかである、
ことを特徴とする標識剤。 - 請求項19ないし請求項22のいずれかに記載の標識剤において、
前記nは、2〜10000である、
ことを特徴とする標識剤。 - 請求項19ないし請求項22のいずれかに記載の標識剤において、
前記Laは、天然高分子または合成高分子である、
ことを特徴とする標識剤。 - 請求項19ないし請求項22のいずれかに記載の標識剤において、
前記Laは、糖、リン酸、ピリジン、アミノ酸、タンパク、メタクリル酸、アルキル、アルコール、アミド、イソプレン、ウレタン、ウロン酸、エステル、エチレン、カーボネート、ビニル、スチレンのいずれか、あるいはこれらの組み合わせから構成される
ことを特徴とする標識剤。 - 請求項19ないし請求項22のいずれかに記載の標識剤において、
前記Eは、前記Laに1〜10個化学結合している、
ことを特徴とする標識剤。 - 請求項19ないし請求項22のいずれかに記載の標識剤において、
前記Eは、酸化還元性を有する化合物である、
ことを特徴とする標識剤。 - 請求項28に記載の標識剤において、
前記酸化還元性を有する化合物は、電気化学発光を示す化合物である、
ことを特徴とする標識剤。 - 請求項29に記載の標識剤において、
前記電気化学発光を示す化合物は、配位子に複素環系化合物を有する金属錯体、ルブレン、アントラセン、コロネン、ピレン、フルオランテン、クリセン、フェナントレン、ペリレン、ビナフチル、あるいはオクタテトラエンのいずれかである、
ことを特徴とする標識剤。 - 請求項30に記載の標識剤において、
前記配位子に複素環系化合物を有する金属錯体は、配位子にピリジン部位を有する金属錯体である、
ことを特徴とする標識剤。 - 請求項31に記載の標識剤において、
前記配位子にピリジン部位を有する金属錯体は、金属ビピリジン錯体、あるいは金属フェナントロリン錯体のいずれかである、
ことを特徴とする標識剤。 - 請求項33に記載の標識剤において、
前記配位子に複素環系化合物を有する金属錯体の中心金属は、ルテニウム、あるいはオスニウムのいずれかである、
ことを特徴とする標識剤。
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