JP2007014266A - 核酸の解析法 - Google Patents
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Abstract
【課題】定量性の向上した正規直交化配列を用いた遺伝子検出方法を提供する。
【解決手段】標的核酸の塩基置換型に特異的に正規直交化配列に変換する方法であって、正規直交化配列と前記標的核酸に相補的な配列の領域とを有する上流プライマーであって、その5'末端に正規直交化配列を持ち、その3'末端に塩基置換部位に相補的な配列を有する上流プライマーを、前記標的核酸にアニーリングさせる工程と、前記上流プライマーから前記標的核酸の相補鎖を伸長させる工程と、前記伸長された相補鎖を変性させて1本鎖核酸にする工程と、前記標的核酸の一部の配列であって、上流プライマーがハイブリダイズする領域の下流の配列を有する下流プライマーを、前記1本鎖核酸にアニーリングさせる工程と、前記下流プライマーから前記正規直交化配列の相補鎖を伸長させる工程とを含む方法を提供する。
【選択図】なし
【解決手段】標的核酸の塩基置換型に特異的に正規直交化配列に変換する方法であって、正規直交化配列と前記標的核酸に相補的な配列の領域とを有する上流プライマーであって、その5'末端に正規直交化配列を持ち、その3'末端に塩基置換部位に相補的な配列を有する上流プライマーを、前記標的核酸にアニーリングさせる工程と、前記上流プライマーから前記標的核酸の相補鎖を伸長させる工程と、前記伸長された相補鎖を変性させて1本鎖核酸にする工程と、前記標的核酸の一部の配列であって、上流プライマーがハイブリダイズする領域の下流の配列を有する下流プライマーを、前記1本鎖核酸にアニーリングさせる工程と、前記下流プライマーから前記正規直交化配列の相補鎖を伸長させる工程とを含む方法を提供する。
【選択図】なし
Description
本発明は、核酸の解析法に関する。
遺伝情報の解析、例えば遺伝子の突然変異の解析、疾病の予知や診断、ウイルスのタイピング等を行うための、核酸解析技術が近年大幅に進歩している。例えば、数百個乃至数万個のDNAプローブを格子状に2次元的に配列させ、試料溶液中の核酸をこのアレイ上でハイブリダイズさせることで、または、種類の異なった蛍光ビーズに別々のDNAプローブを固相化し、試料溶液中の核酸を液相中で、ハイブリダイズさせることによって、複数の遺伝子の情報を一括して検出するDNAアレイと呼ばれるシステムが普及し始めている。
しかし、従来のマイクロアレイには、プローブが固定される各スポット上のプローブ固定量の測定が困難であるなどの問題があった。
また、複数のターゲット核酸において共通するプライマー配列などの共通配列を両端に備えたターゲット核酸を検出するときには、次のような問題があった。
1.共通配列がプローブ配列にあるとすべてのプローブにターゲット核酸がハイブリダイズすることになり、特定のターゲット核酸を特異的に検出することができない。
2.ターゲット核酸は比較的長いために比較的安定な分子内2次構造を形成する。このためターゲット核酸とプローブ間にハイブリダイズが形成されにくく、すなわち偽陰性データが出やすかった。
3.ターゲット核酸が比較的長く構造をとりやすい割に、ターゲット核酸の中央の特異配列の長さが短くハイブリダイズの安定性が低いため検出感度が上げられない。この安定性の低さのために非特異吸着物の洗浄の段階を穏やかな条件で行う必要があり、偽陽性データが出やすかった。
こうした方法を解決するために、正規直交化配列を用いたDNAの突然変異やmRNAのコピー数の増減を検出する方法がある。また、非特許文献1には、正規直交化配列を用いた遺伝子発現頻度解析について記載されている。
1.共通配列がプローブ配列にあるとすべてのプローブにターゲット核酸がハイブリダイズすることになり、特定のターゲット核酸を特異的に検出することができない。
2.ターゲット核酸は比較的長いために比較的安定な分子内2次構造を形成する。このためターゲット核酸とプローブ間にハイブリダイズが形成されにくく、すなわち偽陰性データが出やすかった。
3.ターゲット核酸が比較的長く構造をとりやすい割に、ターゲット核酸の中央の特異配列の長さが短くハイブリダイズの安定性が低いため検出感度が上げられない。この安定性の低さのために非特異吸着物の洗浄の段階を穏やかな条件で行う必要があり、偽陽性データが出やすかった。
こうした方法を解決するために、正規直交化配列を用いたDNAの突然変異やmRNAのコピー数の増減を検出する方法がある。また、非特許文献1には、正規直交化配列を用いた遺伝子発現頻度解析について記載されている。
この、従来の方法では、検出の特異性を上げるために、以下の方法が用いられている。プローブをビオチン標識した標的核酸特異的部位の一部に相補的な配列を持ったプローブと、それに続いて現れる標的核酸特異的部位の一部と相補的な配列部位と当該部位に対して一種類のみ対応させた正規直交化配列をもったプローブの二つを用い、この2種類のプローブは、2つのプローブに分断された標的核酸特異的部位の塩基間がライゲーション反応で連結できるように、少なくとも一方のプローブの末端がリン酸化されている。2つのプローブが確実にハイブリダイズした場合に、連続した塩基が形成され、ライゲーション反応によって結合し、5’末端のBiotinと磁性粒子表面のストレプトアビジンとを特異的に結合させ,未反応物を除去することで、先のライゲーション反応で連結された(つまり,ターゲット配列が正規直交化配列(DCN)へと変換された)ものだけが回収されることによりB/F分離を行っている。また、B/F分離後の試料を正規直交化配列を用いたPCRによってリニア増幅を行い、増幅産物を正規直交化配列によるハイブリダイゼーションによって検出する。
こうした正規直交化配列を用いた従来のDNAの突然変異やmRNAのコピー数の増減を検出する方法では、特異性を向上させるため、ライゲーション反応を用いている。しかしながら、ライゲーション反応は、反応を安定に生じさせるためには、ライゲーションプローブの設計に工夫が必要であり、また、反応を行うためには時間がかかった。
また、確実にB/F分離を行うために、マグネットビーズによる洗浄工程を用いていたが、工程が複雑になり、これを自動的に行うためには、専用の洗浄工程装置が必要になり、使用する試薬のコストもかかっていた。
さらに、一般的にも核酸配列を高感度に検出することが望まれている。免疫分析などの分野では、高感度な検出を行う場合、酵素と発色や発光基質を用いているが、こうした系は、抗原抗体反応など、非常に特異性の高い反応でなければ、高感度化によって非特異的なシグナルを増幅してしまう可能性がある。よって、通常の核酸配列を高感度に検出することは難しかった。
Intelligent DNA chips: logical operation of gene expression profiles on DNA computers. Genome Inform Ser Workshop Genome Inform. 2000; 11: 33-42. (Sakakibara Y, and Suyama A.)
Intelligent DNA chips: logical operation of gene expression profiles on DNA computers. Genome Inform Ser Workshop Genome Inform. 2000; 11: 33-42. (Sakakibara Y, and Suyama A.)
本発明は、これらの問題点を克服し、従来の正規直交化配列への変換操作のようにライゲーションによるビオチン標識やマグネットビーズによるB/F分離を行わずに、反応を簡素化することによって遺伝子解析に伴う情報処理を効率よく行い、更に定量性を向上させた遺伝子検出方法を提供することを目的とする。
本発明者は上記の問題点を念頭に鋭意研究した結果、簡便に標的核酸分子を人為的な正規直交化配列に符号化(変換)し、この遺伝子に対応する識別符号を表す人為的な正規直交化配列を検出する際に、ライゲーション反応を行わずに核酸の合成反応を用いることで、特異性や簡便性を上げることができ、従来技術の問題が解決され、簡便かつ定量性のよい画期的なシステムができ上がることを見いだし、本発明を完成するに至った。
また、本発明らは、これらの正規直交化配列の検出方法を改良し、標的核酸から変換された正規直交化配列の標識を行わずに、あらかじめ用意した固相化された正規直交化配列に対して相補的な標識プローブを用いることによって、これらの配列をマイクロアレイ上で検出できるように標識反応を簡素化し、尚且つ検出反応に正規直交化配列を用いることと組み合わせることによって、通常の核酸配列において検出される非特異的なシグナルの増幅を減少し、遺伝子解析に伴う情報処理を効率良く行え、更にシグナルの増感を簡便に行え、低コストかつ高感度に正規直交化配列を検出できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、標的核酸の塩基置換型に特異的に正規直交化配列に変換する方法であって、正規直交化配列と前記標的核酸に相補的な配列の領域とを有する上流プライマーであって、その5'末端に正規直交化配列を持ち、その3'末端に、もしくは3'末端から1〜2塩基上流に、塩基置換部位に相補的な配列を有する上流プライマーを、前記標的核酸にアニーリングさせる工程と、前記上流プライマーから前記標的核酸の相補鎖を伸長させる工程と、前記伸長された相補鎖を変性させて1本鎖核酸にする工程と、前記標的核酸の一部の配列であって、上流プライマーがハイブリダイズする領域の下流の配列を有する下流プライマーを、前記1本鎖核酸にアニーリングさせる工程と、前記下流プライマーから前記正規直交化配列の相補鎖を伸長させる工程とを含む方法を提供する。
また、本発明は、上記方法であって、前記上流プライマーが、標的核酸の塩基置換部位に相補的な配列を有し、前記上流プライマーを複数用いて、競合的に標的核酸の塩基配列を正規直交化配列へ変換することを特徴とする方法を提供する。
さらに、本発明は、上記方法であって、前記上流プライマーが、一つ以上のミスマッチを含んでいることを特徴とする方法。
さらに、本発明は、上記方法であって、前記伸長された正規直交化配列を増幅する工程をさらに含む方法を提供する。
さらに、本発明は、上記方法であって、前記上流プライマーと共に、前記上流プライマーの前記標的核酸に相補的な配列の領域のさらに上流にアニーリングする切り出しプライマーを使用して前記標的核酸の相補鎖を伸長させることにより、前記下流プライマーから伸長される領域を限定することを特徴とする方法を提供する。
また、本発明は、上記記載の正規直交化配列を有するプライマーを使用して、標的核酸の塩基置換部位の塩基置換型を決定するための方法であって、上記記載の方法を使用して前記標的核酸の塩基置換型に特異的に正規直交化配列に変換する工程と、前記変換された正規直交化配列の相補鎖を有する核酸を、前記正規直交化配列の少なくとも一部の配列を有するプローブ核酸にハイブリダイズさせる工程と、前記ハイブリダイズした核酸を検出する工程とを含む方法を提供する。
さらに、本発明は、上記記載の方法であって、前記下流プライマーは、標識物質で標識されていることと、前記ハイブリダイズした核酸を検出する工程は、前記標識物質を検出することによって行われることとを特徴とする方法を提供する。
さらに、本発明は、上記方法であって、前記ハイブリダイズさせる工程の前に、前記正規直交化配列を有する核酸またはその相補鎖にハイブリダイズしている前記上流プライマーを分解する工程を含むことを特徴とする方法を提供する。
さらに、本発明は、上記方法であって、前記前記上流プライマーの分解は、T7エキソヌクレアーゼで行われることを特徴とする方法を提供する。
さらに、本発明は、上記記載の方法であって、前記標識物質は蛍光標識であることを特徴とする方法を提供する。
さらに、本発明は、上記記載の方法であって、前記標識物質はビオチン標識であることを特徴とする方法を提供する。
さらに、本発明は、上記方法であって、前記蛍光標識を直接的に検出することを特徴とする方法を提供する。
さらに、本発明は、上記記載の方法であって、前記標識物質を間接的に検出することを特徴とする方法を提供する。
さらに、本発明は、上記記載の方法であって、前記ハイブリダイズした核酸を検出する工程は、前記標識物質に特異的に結合し、かつさらに第2の標識物質で標識された結合物質を前記標的物質に結合させて、第2の標識物質を検出することによって行われることを特徴とする方法を提供する。
さらに、本発明は、上記記載の方法であって、前記第2の標識物質は、ストレプトアビジンであることを特徴とする方法を提供する。
さらに、本発明は、上記記載の方法であって、前記第2の標識物質は、酵素であることと、前記標識物質の検出は、酵素によって触媒された基質のシグナルを観察することによって行われることとを特徴とする方法を提供する。
さらに、本発明は、上記記載の方法であって、前記第2の標識物質は、酵素であることと、前記標識物質の検出は、酵素によって触媒された基質の作用によって変化する第2の基質のシグナルを観察することによって行われることとを特徴とする方法を提供する。
さらに、本発明は、上記記載の方法であって、前記ハイブリダイズした正規直交化核酸を検出する工程は:前記正規直交化配列の相補鎖の少なくとも一部の配列を有し、かつ標識された第2のプローブ核酸を、さらに前記プローブ核酸にハイブリダイズさせることと、前記ハイブリダイズした第2のプローブ核酸の標識を検出することと、前記検出された第2のプローブ核酸の標識から、前記正規直交化核酸のハイブリダイズを推定することとによって行われることを特徴とする方法を提供する。
さらに、本発明は、上記記載の方法であって、前記第2のプローブ核酸の標識は、蛍光標識であることを特徴とする方法を提供する。
さらに、本発明は、上記記載の方法であって、前記プローブ核酸は個体支持体に固定化されており、かつ該固体支持体は透過性支持体であることを特徴とする方法を提供する。
図2〜図4は、本発明の方法の一態様として、特定の対立遺伝子を有する標的核酸を正規直交化配列に変換するための方法を示す。また、図5〜7は、本発明の方法のもう一つの態様として、変換された正規直交化配列を介して標的核酸の存在を検出するための方法を示す。
ここで、本明細書において使用する「核酸」とは、CDNA、ゲノムDNA、合成DNA、mRNA、全RNA、hnRNA、SiRNA、miRNA、SnoRNA等のnon-cording RNA、および合成RNAを含む全てのDNAおよびRNA、並びにペプチド核酸、モルホリノ核酸、メチルフォスフォネート核酸、およびS-オリゴ核酸などの人工合成核酸を含む。また、本明細書において「核酸」、「核酸分子」および「分子」とは交換可能に使用され得る。また、本明細書において使用される「塩基配列」および「配列」の語は共に、特定の核酸を構成する塩基の並びを示すものである。また、検出又は定量すべき標的核酸は、任意の配列を有する任意の核酸であり得るが、遺伝病の原因遺伝子、癌関連遺伝子、又はウイルス由来の核酸など疾病のマーカーとなり得る核酸は、とりわけ好ましい標的核酸である。それ故、前記試料には、血液、尿、唾液等の体液が含まれるが、体液以外の任意の試料を使用し得る。試料が固体であれば、酵素処理、界面活性剤又は有機溶媒の添加等の適切な方法で液体に溶解させればよい。上記の他にも、本方法の実施に当たって標的核酸は、随意に変更することができる。例えば細胞を株化して大量培養したり、抹消血を多めに取得したりすることで本方法に必要なヒトゲノムDNAを大量に調製することにより、直接ゲノムDNAから検出反応を始めることができる。また、これに代わって、少量のゲノムDNAを取得し、アマーシャムバイオサイエンス社の試薬キットGenomiPhiのようなWGA法(Whole Genome Amplification )で、非特異的にゲノムDNAを増幅した試料から検出反応を始めてもよい。また、PCR法や、マルチプレックスPCR法、アシンメトリックPCR法のようなプライマーを用いて特定の配列を増幅したものから検出反応を始めてもよい。特に、本発明の方法は、SNPなどにおける塩基置換型を特異的に検出するために使用することが想定され、この場合、標的核酸はゲノムDNAなどである。このような場合は、予め標的のSNPを含む領域をPCRなどで増幅しておいてもよい。そのほかの酵素的に増幅する方法によりそれぞれ得られた試料は、2重鎖試料の場合は、95℃まで加熱してから4℃に急冷して1本鎖化したり、塩濃度のきわめて低い溶液中で一本鎖化したり、また、超音波で断片化や制限酵素やヌクレアーゼで切断する等の1本鎖化、断片化操作を加えてから検出操作してもよい。また、「塩基置換型」とは、所定の塩基配列にSNPなどの多形が存在する場合に、その多形部位の塩基の種類を意味する。
また、正規直交化配列とは、核酸分子の配列であって、そのTm値が均一であるもの、即ちTm値が一定範囲内に揃うように設計された配列であって、核酸分子自身が分子内(intramolecular)で構造化して、相補的な配列とのハイブリッド形成を阻害することのない配列であり、尚且つこれに相補的な塩基配列以外とは安定したハイブリッドを形成しない塩基配列を意味する。すなわち、1つの正規直交化配列群に含まれる配列は、所望の組み合わせ以外の配列間および自己配列内において反応が生じ難いか、または反応が生じない。また、正規直交化配列は、PCRにおいて増幅させると、たとえば上述のクロスハイブリダイゼーションのような問題に影響されずに、当該正規直交化配列を有する核酸分子の初期量に応じた量の核酸分子が定量的に増幅される性質を有している。上記のような正規直交化配列は、H. Yoshida and A. Suyama, "Solution to 3-SAT by breadth first search", DIMACS Vol.54 9-20(2000)に詳細が記載されている。これらの文献に記載の方法を使用して正規直交化配列を設計することができる。簡単には、予め無作為に塩基配列を複数作出することと、それらの融解温度の平均値を求めることと、その平均値の±t℃で制限される閾値を基に候補配列を得ることと、独立して反応する配列であるか否かを指標に得られた候補配列から正規直交化配列群を得ることを具備する方法によって作製することができる。
以下、図2に示した工程図を参照して、一塩基置換部位を有する2種類の標的核酸の塩基置換型(対立遺伝子A 1およびG 2)を検出する場合を例に、本発明の方法の詳細を説明する。
本発明の方法は、正規直交化配列と標的核酸に相補的な配列の領域とを有する上流プライマーであって、その5'末端に正規直交化配列を持ち、その3'末端に塩基置換部位に相補的な配列を有する上流プライマーを、標的核酸にアニーリングさせる工程を含む(図2)。
上記工程においては、まず標的核酸を含む試料溶液を調製しておく(図2上段の対立遺伝子A 1および対立遺伝子G 2)。また、正規直交化配列と標的核酸に相補的な配列の領域とを有する上流プライマーを用意する(図2上段の上流プライマー3(DCN1-tag対立遺伝子特異的プライマーA)または4(DCN1-tag対立遺伝子特異的プライマーG))。この正規直交化タグを有する上流プライマーは、人為的な正規直交化配列であるDCN配列(DCN:DNA Coded Number)をその5'の末端側に有し、この末端に引き続いて、その反対の末端に標的核酸の領域の一部に対して相補的な配列が連結されている。図1A〜Cには、上記上流プライマーの一態様を示してある。このプライマーは5'末端側には、正規直交化配列CD(Coding Digit)配列を有している。そこから3'末端方向に検出したい標的核酸の塩基配列に対応する標的核酸特異的配列があり、その3'末端またはその1塩基もしくは2塩基上流の塩基は、標的核酸の塩基配列置換型に対応した配列を有するように設計されている。また、3'末端側の標的核酸特異的配列に存在する、塩基置換が見られないか箇所に一塩基以上のミスマッチが入っていてもよく、5'末端側の正規直交化配列は、3末端側の配列と1:1の関係にある。
次いで、上記調製された試料溶液1または2に、それぞれ上流プライマー3(DCN1-tag対立遺伝子特異的プライマーA)または4(DCN1-tag対立遺伝子特異的プライマーG)を混合して、上流プライマーを標的核酸にアニーリングさせる。アニーリング温度は、たとえば通常のPCR法と同様に使用するプライマーに応じて設定すればよい。上流プライマーは、その3'末端に塩基置換部位に相補的な配列を有する。上流プライマー3または4は、標的核酸に対応する一塩基置換部位(対立遺伝子TまたはC)を有する場合に標的核酸に特異的にアニーリングすることができる。
次いで、この標的核酸を鋳型にして、上流プライマー3または4から一塩基置換の型に特異的に核酸合成を行う(図1伸長工程)。核酸合成は、通常のPCR法と同様にポリメラーゼを使用して行うことができる。当業者であれば、本方法に適したポリメラーゼおよび条件などを容易に選択することができるであろう。
次いで、合成が行われた正規直交化タグを持つ2本鎖核酸を変性させて1本鎖核酸にする(図1変性工程)。変性工程は、たとえば95℃まで加熱してから4℃に急冷して1本鎖化したり、エキソヌクレアーゼを用いることにより一本鎖化することができる。
次いで、上記1本鎖核酸に下流プライマー5をアニーリングさせる。下流プライマーは、標的核酸の一部の配列を有し、かつ該配列は、上流プライマーがハイブリダイズする標的核酸の領域の下流の配列であるプライマーである。この場合も、アニーリング温度は、たとえば通常のPCR法と同様に使用するプライマーに応じて設定すればよい。
次いで、この正規直交化タグを持つ1本鎖核酸を鋳型にして、下流プライマー5から伸長反応を行って、それぞれ正規直交化配列タグに相補的な配列6および7を合成し、標識された正規直交化配列に相補的な配列8および9を得る(図1伸長工程)。核酸合成は、通常のPCR法と同様にポリメラーゼを使用して行うことができる。当業者であれば、本方法に適したポリメラーゼおよび条件などを容易に選択することができるであろう。
上記工程において、図1のように下流プライマーとして末端を標識した下流プライマー5を使用すれば、標識された正規直交化配列に相補的な配列8および9を得ることができる。
上記操作により、正規直交化配列へのエンコード(コード化、即ち標的核酸分子から人為的な正規直交化配列への変換)が終了される。これらの反応において、3つ以上の塩基置換型について同時に変換操作を行ってもよく、複数の対立遺伝子部位について同時に変換操作を行ってもよい。この反応は、単に核酸の重合反応(伸長工程)によって変換するだけではなく、PCR方や鎖置換型増幅法などのそのほかの増幅法として行ってもよい。たとえば、上流プライマーと下流プライマーを同時にプライマーとして使用し、標的核酸を鋳型として使用し、上記工程をPCRサイクルとして繰り返すことにより、正規直交化配列を有する核酸の変換を増大・増幅することができる。
また、上記変換方法においては、上記上流および下流プライマー核酸のうちの標的核酸に相補的な配列の領域は、標的核酸の配列中において、その核酸分子特有の配列(即ちこれに相補的な配列が他の遺伝子中には実質的に存在しないような配列)を有する領域を選択することが好ましく、これにより合成産物の形成における配列特異性を高めることができる。
本発明の変換方法は、増幅時の定量性が必ずしも保証されない試料中の核酸分子を、増幅時の定量性が高い正規直交化配列を有する分子に変換するものであり、この正規直交化配列を標的核酸分子のかわりに後の解析で使用することにより、マイクロアレイチップ上でのハイブリダイゼーション時にクロスハイブリダイゼーションが生じず、システム全体の定量性が有意に向上する。また、本発明の変換方法は、従来の変換操作において必要とされていたライゲーション反応を行わずに正規直交化配列に変換することができるので、特異性や簡便性を上げ、アレイ上でのシグナル増感技術と組み合わせることでさらに簡便性があがる。
さらに、本発明の変換方法のもう一つの態様において、上流プライマーと共に、上流プライマーの標的核酸に相補的な配列の領域のさらに上流にアニーリングする切り出しプライマーを使用して標的核酸の相補鎖を伸長させることもできる。この態様を図3に示してあるが、切り出しプライマーを使用することにより、下流プライマーから伸長される領域を限定することができる。すなわち、標識された正規直交化配列に相補的な配列8および9が、図2に示した配列よりも短いものとなる。これにより、その後の検出操作における精度をたかめることができる。また、切り出しプライマーをラベルしておくこともできる(図4)。
次に、本発明のもう一つの態様において、上記正規直交化配列を有するプライマーを使用して、標的核酸の塩基置換部位の塩基置換型を決定するための方法について説明する。ここでも、一塩基置換部位を有する2種類の標的核酸の塩基置換型(対立遺伝子A 1およびG 2)を検出する場合を例に、本発明の方法の詳細を説明する。
本方法は、まず、上記方法を使用して標的核酸の塩基置換型に特異的に正規直交化配列を有する核酸に変換する。この操作により、所定の塩基置換型の標的核酸の存在が、対応する正規直交化配列という情報に変換される。従って、以下の工程で、この正規直交化配列の存在を検出することによって標的核酸の塩基置換型を決定することができる。
正規直交化配列の検出においては、まず、変換された正規直交化配列(または相補鎖)を有する核酸を、正規直交化配列の少なくとも一部の配列を有するプローブ核酸にハイブリダイズさせる。また、正規直交化配列を有する核酸が二本鎖である場合には、1本鎖に変性させてからハイブリダイゼーションを行う。例えば90℃程度の高温で数分間静置して、相補的結合を解離させた後に、例えば50℃程度の温度でハイブリダイズを行えばよい。勿論、ハイブリダイゼーションの条件、すなわち使用する緩衝液の種類、温度条件、時間等は標的核酸の種類に応じて適宜選択し得ることは、当業者であれば自明であろう。
具体的には、上記の通り合成された正規直交化配列相補的タグを有する核酸8および9を、正規直交化配列の適した条件下でそれぞれマイクロアレイなどにハイブリダイズさせる(図5)。マイクロアレイには、上流プライマーのタグに使用した正規直交化配列10および11が既知の位置に固相化されており、ハイブリダイゼーションのパターンからその核酸の存在量を推定できる。なお、このとき熱変性を行うことでハイブリダイゼーションの効率が上昇することがある。
アレイ上でハイブリッドが安定に形成された後、標的核酸とハイブリダイズしなかった正規直交化配列相補的タグを有する核酸や上流プライマーや下流プライマーが含まれる溶液をアレイ上から洗浄によって除去し、B/F分離を行う。
次いで、B/F分離後、上記ハイブリダイズした核酸を検出する。正規直交化配列に変換する際に変換された核酸に標識をしておくことにより、その標識を検出することができる。たとえば、標識が蛍光標識などの直接検出できる標識である場合は、直接シグナルを検出することができる(図5)。たとえば、正規直交化配列に変換する際に使用するプライマーをFITC等の蛍光色素で標識することができる。また、図6に示したように、標識がビオチン13などの場合、酵素標識ストレプトアビジン14などを結合させ、酵素によって酵素基質15などを反応させ、基質反応物16自体によってシグナルを増幅させ、シグナルを検出することもできる。あるいは、酵素によって基質反応物16から第2基質の反応物を生成させ、その作用によって第2の反応基質17を反応させ第2の反応基質の分解物18によるシグナルを増幅させ、シグナルを検出する。アレイ上で検出されたシグナルからハイブリダイゼーションパターンを検出する。これらの標識は当業者であれば、上記以外の方法によっても、容易に行え、これによってプライマー核酸の存在を検出することができるであろう。
また、正規直交化配列へのエンコード反応をPCRなどにより回数を繰り返し、増幅された正規直交化配列を検出してもよい。すなわち、図2のフローを繰り返すことによって標的核酸から変換された正規直交化配列に相補的な配列8および9をPCR法により増幅する。
上記ように正規直交化配列に変換された試料を用いることにより、検出の正確性が著しく向上する。特に、本発明の方法によれば、ライゲーション反応を使用することなく、塩基配列特異的上流プライマーと下流プライマーによる核酸合成反応を使用することにより、従来技術の問題が解決され、簡便かつ定量性のよい画期的な方法が提供される。
また、本発明は、変換された正規直交化配列(またはその相補的な配列)に標識を行わなくても検出可能であり、その方法を図7に示す。調製された核酸は、一塩基置換部位の対立遺伝子2が存在し、これを正規直交化配列に変換する操作(エンコード反応)したものである。変換された正規直交化配列に相補的な配列19は、エンコード反応に用いる下流プライマーに標識を用いず、また合成時に標識ヌクレオチドを用いないで、非標識合成を行われた標的核酸から変換されたものである。これを、正規直交化配列の適した条件下でそれぞれマイクロアレイなどにハイブリダイズさせる。マイクロアレイには、上流プライマーのタグに使用した正規直交化配列10および11が既知の位置に固相化されている。ハイブリッドが安定に形成された後、マイクロアレイ上の正規直交化プローブにハイブリダイズしなかった正規直交化配列相補的タグを有する核酸や上流プライマーや下流プライマーが含まれるサンプル溶液を除去し、B/F分離を行う。
B/F分離後、ハイブリダイズしなかった正規直交化配列に相補的な配列を持つ標識プローブ(正規直交化プローブ)20、21をハイブリダイズさせる。標識プローブ20によるハイブリッドが安定に形成された後、マイクロアレイ上の正規直交化プローブにハイブリダイズしなかった標識プローブ21を除去し、B/F分離を行う。つづいて標識プローブによるシグナルを検出する。アレイ上で検出されたシグナルから推測される、正規直交化配列に相補的な配列が存在量は、正規直交化プローブのスポットにシグナルが少ない場合は、そこに多くの標的核酸から変換された正規直交化配列に相補的な配列が存在することが推測され、これより、ハイブリダイゼーションパターンを検出する。
また、上記のように正規直交化配列にエンコードされた試料を検出する際に、プライマーと同一のタグ配列を固相化し、下流プライマーによって正規直交化配列に相補的な配列を合成し、それをアレイで検出することによって、タグ配列に相補的な配列を固相化し、合成により伸長したタグ配列をそのまま検出する場合に比べ、残存する上流プライマーによる検出の影響は少なくなる。特に、本発明の方法によれば、酵素反応などを利用したシグナル増感技術用いることにより、検出感度が上昇し、アレイ上へのハイブリダイゼーション前にプライマーを除去する工程を必要とせず、検出の簡便性が著しく向上する。また、従来技術の問題が解決され、簡便かつ定量性のよい画期的な方法が提供される。
また、増幅産物の標識されていない正規直交化配列側鎖の5'末端を酵素で分解することによって、熱変性せずに、ハイブリ効率を高めることができる。たとえば、ハイブリダイズさせる工程の前に、正規直交化配列を有する核酸またはその相補鎖にハイブリダイズしている上流プライマーまたは下流プライマーなどを分解する工程を含めることができる。このような分解のためには、T7エキソヌクレアーゼ使用することにより、5'末端が標識及びまたは修飾されていないDNA鎖を分解することができる。当業者であれば、所望の核酸鎖を特異的に分解するための種々の方法を本発明の方法に容易に適用することができるであろう。
また、上記ように正規直交化配列にエンコードされた試料を標識しないで検出することにより、酵素反応による蛍光標識の取り込み効率の差によるデータの不安定性がなくなり、検出の正確性が著しく向上する。また、特に、本発明の方法によれば、標的核酸分子を担体に固定する工程を含むことにより、従来技術の問題が解決され、簡便かつ定量性のよい画期的な方法が提供される。
以下、本発明の方法の具体的な態様について、実施例により説明する。
本願発明に基づいて、p53ガン抑制遺伝子のCodon237における変異の有無を決定する方法を示す。マイクロアレイ上に、正規直交化プローブ(配列番号1、2)をスポットする。p53ガン抑制遺伝子由来のDNAの点突然変異部位を正規直交化相補的配列に変換し、その配列とそのマイクロアレイとの間のハイブリダイゼーションをおこなった。この蛍光シグナルを直接もしくは間接的に測定し、点突然変異を解析する実験ステップについて記載する。
細胞株由来のp53遺伝子の変異を検出する実験を行う。試料として、ヒトリンパ芽球腫WTK-1及び正常細胞株TK6の細胞株を利用する。WTK-1では、p53遺伝子のエクソン第7コドンの237部分がATGからATAへ変異していることが確認されている。各培養細胞株のgenomic DNAを定法によって抽出し、それぞれの培養細胞のDNAをTK6=100%、TK6:WTK-1=1:1、WTK-1=100%となるように混合し、3種類の標的DNAを作成した。コドン237の各点突然変異部分に3末端が特異的で、かつ5末端に各プライマーに対して1:1の関係にある正規直交化配列をもつ上流プライマー(配列番号3、4)と5末端にビオチンラベルをした配列番号5の下流プライマーを用いてPCR法により、各標的DNAを合成および増幅処理する。鋳型DNA量は20ng使用し、プライマー量は各250nM の、2個の上流プライマー及び2個の下流プライマーを用い、通常の2.5mM MgCl2、200uM dNTP、0.5UのTaq DNA polymeraseを用いた。サイクルは、95℃ 2 minの熱変性後、95℃(Ramping 1℃/sec to 95℃) 30 sec、60℃ 30 sec、 72℃ 30 sec を40回繰り返し、72℃ 7 minでfinal extension を行う。
得られた増幅DNAを、95℃で熱変性させる。5分後に急冷し、一本鎖のDNAサンプルとする。一方、これらのプライマーの5'末端に存在する正規直交化配列と同一のプローブ配列(配列番号1、2)を合成し、多孔質の構造を有するPamChip(登録商標)の基板上に固相化しておく。ハイブリダイゼーションの分析は、オリンパス(株)製のPAM マイクロアレイシステム:FD10によって行なうことができる。この実験システムは、反応フィルターの周りの溶液駆動と温度制御、および蛍光スポットの画像の記録を自動的に行なうことが出来るように設計されている。直径6mmのマイクロアレイが設置された専用チャンバーの反応部分に、50μLの反応溶液を加え、溶液駆動と温度変化を与え、蛍光画像を撮像した。ハイブリッド形成反応は、得られた正規直交化配列に相補的な配列を含む増幅産物をハイブリダイゼーションバッファーに3xSSPEになるように溶解し、マイクロアレイに添加後、50℃で、30回の多孔質構造を有する核酸反応担体への出し入れ(駆動制御)によって行う。これらの反応で、正規直交化配列に相補的な配列と正規直交化配列よりなる固相化プローブがハイブリダイズされる。次に、ハイブリダイゼーションに関与しなかった残存配列やプライマーをアレイ上から3xSSPEで1回のWashを行い事により、B/F分離する。この際、FITC TSA kit(パーキンエルマー社)に従い、次にブロッキング、酵素結合反応、シグナル増幅反応を行い、アレイ画像を取得する。
解析の結果、TK6=100%のサンプルを用いた場合、ATGの配列を持つ正常型p53ガン抑制遺伝子配列特異的なプライマー(配列番号3)と下流プライマー(配列番号5)のみによる合成・増幅産物が得られると考えられる、アレイ上のそれに対応する正規直交化タグ配列が固相化されているスポットにシグナルが見える(図8)。一方、WTK-1=100%のサンプルを用いた場合、ATAの配列を持つ正常型p53ガン抑制遺伝子配列特異的なプライマー(配列番号4)と下流プライマー(配列番号5)のみによる合成・増幅産物が得られると考えられ、アレイ上のそれに対応する正規直交化タグ配列が固相化されているスポットにシグナルが見える(図9)。また、TK6:WTK-1=1:1となるように混合したものをサンプルとして用いた場合、ATGの配列を持つ正常型p53ガン抑制遺伝子配列特異的なプライマー(配列番号3)と下流プライマー(配列番号5)合成・増幅産物と、ATAの配列を持つ正常型p53ガン抑制遺伝子配列特異的なプライマー(配列番号4)と下流プライマー(配列番号5)による合成・増幅産物が得られると考えられ、アレイ上のそれら両方に対応する正規直交化タグ配列が固相化されているスポットにシグナルが見える(図10)。この実施例に従って、下流プライマーにビオチン標識を行い、シグナル増幅反応を行うことによって、残存プライマーの除去を行わずに検出を行うことができる。
本実施例では、p53ガン抑制遺伝子のみを標的にしているが、そのほかの一塩基置換も同時にマルチプレックス反応で合成・増幅することも可能である。マイクロアレイで検出する場合、5以上の組合せを同時に行うことが望ましく、100以上でも可能である。
以下に、本実施例に使用される核酸の配列を示す。
配列番号1 AGCCATCGCATTTATATTTGCTCCC
配列番号2 TTAATCACCGACTGTCTTCGTTGCC
配列番号3 AGCCATCGCATTTATATTTGCTCCCCACCATCCACTACAACTACATG
配列番号4 TTAATCACCGACTGTCTTCGTTGCCCCACCATCCACTACAACTACATA
配列番号5 TCCCAAAGCCAGAGAAAAGGAAA
配列番号6 GGGAGCAAATATAAATGCGATGGCT
配列番号7 GGCAACGAAGACAGTCGGTGATTAA
配列番号2 TTAATCACCGACTGTCTTCGTTGCC
配列番号3 AGCCATCGCATTTATATTTGCTCCCCACCATCCACTACAACTACATG
配列番号4 TTAATCACCGACTGTCTTCGTTGCCCCACCATCCACTACAACTACATA
配列番号5 TCCCAAAGCCAGAGAAAAGGAAA
配列番号6 GGGAGCAAATATAAATGCGATGGCT
配列番号7 GGCAACGAAGACAGTCGGTGATTAA
正規直交化配列に相補的な配列を合成・増幅する際に、蛍光標識を行わない方法について記述する。この方法では、エンコードした非標識産物を最初にハイブリダイズさせ、続いて、あらかじめ標識したプローブをハイブリダイズさせると、エンコードの配列がサンプル中に存在し、これがハイブリしているプローブには標識プローブがハイブリダイズしないことを利用している。
実施例1で用いたTK6=100%、TK6:WTK-1=1:1、WTK-1=100%となるように各genomicを混合した、3種類の標的DNAを用いる。上流プライマー(配列番号3、4)と5末端に標識をしていない配列番号5の下流プライマーを用いてPCR法により、各標的DNAを合成および増幅処理する。鋳型DNA量は20ng使用し、プライマー量は各250nM の、2個の上流プライマー及び1個の下流プライマーを用い、通常の2.5mM MgCl2、200uM dNTP、0.5UのTaq DNA polymeraseを用いた。サイクルは、95℃ 2 minの熱変性後、95℃ 30 sec、60℃ 30 sec、 72℃ 30 sec を40回繰り返し、72℃ 7 minでfinal extension を行う。
得られたPCR産物にそのまま、増幅産物のプライマーを分解するために、S1ヌクレアーゼを100U添加し、37℃で10分間インキュベートする。そのあと、増幅産物の正規直交化配列側鎖の5末端を分解するために、T7 exonuclease 10Uを添加し、25℃で15分インキュベートする。ハイブリダイゼーションの分析は、PAMマイクロアレイとオリンパス(株)製のPAM マイクロアレイシステム:FD10によって行なう。ハイブリッド形成反応は、上記の酵素処理を行った産物を、ハイブリダイゼーションバッファーに3xSSPEになるように溶解し、マイクロアレイに添加後、50℃で、30回の多孔質構造を有する核酸反応担体への出し入れ(駆動制御)によって行う。これらの反応で、ターゲットと正規直交化がハイブリダイズされる。次に、ハイブリダイゼーションに関与しなかった残存配列やプライマーをB/F分離する。次に5末端にFITC標識をした配列番号アレイに固相化されている正規直交化配列に対して相補的なプローブ配列(配列番号6、7)をハイブリダイズさせる。次に、ハイブリダイゼーションに関与しなかった残存プローブをB/F分離する。続いてFITCによる蛍光強度を測定する。
TK6=100%のサンプルを用いた場合、ATGの配列を持つ正常型p53ガン抑制遺伝子配列特異的なプライマー(配列番号3)と下流プライマー(配列番号5)のみによる合成・増幅産物が得られ、アレイ上のそれに対応する正規直交化タグ配列が固相化されているスポットにハイブリダイズしていることが推測できるように、後で追加した蛍光標識プローブがそれに対応するスポットにほとんどハイブリしていない結果となる。もう一方のスポットでは、蛍光プローブによる明らかなシグナルが見えていることより、ここには標的のエンコード産物はハイブリダイズしていないことが推測される(図11)。一方、WTK-1=100%のサンプルを用いた場合、ATAの配列を持つ正常型p53ガン抑制遺伝子配列特異的なプライマー(配列番号4)と下流プライマー(配列番号5)のみによる合成・増幅産物が得られと考えられる結果となる。すなわち、アレイ上のそれに対応する正規直交化タグ配列が固相化されているスポットにシグナルが見えず、もう一方のスポットにはシグナルが見える(図12)。また、TK6:WTK-1=1:1となるように混合したものをサンプルとして用いた場合、ATGの配列を持つ正常型p53ガン抑制遺伝子配列特異的なプライマー(配列番号3)と下流プライマー(配列番号5)合成・増幅産物と、ATAの配列を持つ正常型p53ガン抑制遺伝子配列特異的なプライマー(配列番号4)と下流プライマー(配列番号5)による合成・増幅産物が得られと考えられ、アレイ上のそれら両方に対応する正規直交化タグ配列が固相化されているスポットにシグナルが見える(図13)。この実施例に従って、あらかじめ標識されたプローブを、最初のハイブリダイゼーションに続いてハイブリダイズさせることによって、サンプルの標識工程を行わずに検出を行うことができる。また、残存プライマーを酵素によって分解し、また、熱変性を行わずに酵素によって一本鎖部位を露呈させることによってハイブリダイゼーションを行うことができる。
1・・・対立遺伝子A、2・・・対立遺伝子G、3・・・DCN1-tag対立遺伝子特異的プライマーA、4・・・DCN1-tag対立遺伝子特異的プライマーG、5・・・標識された下流プライマー、6・・・標識されたrDCN1、7・・・標識されたrDCN2、8・・・rDCN1、9・・・rDCN2、10・・・DCN1、11・・・DCN2、13・・・ビ.オチン、14・・・酵素標識ストレプトアビジン、15・・・酵素基質、16・・・基質反応物等、17・・・第二反応基質、18・・・第二反応基質の反応物、19・・・非ラベルrDCN2、20・・・標識されたrDCN1プローブ、21・・・標識されたrDCN2プローブ
Claims (20)
- 標的核酸の塩基置換型に特異的に正規直交化配列に変換する方法であって、
正規直交化配列と前記標的核酸に相補的な配列の領域とを有する上流プライマーであって、その5'末端に正規直交化配列を持ち、その3'末端に、もしくは3'末端から1〜2塩基上流に、塩基置換部位に相補的な配列を有する上流プライマーを、前記標的核酸にアニーリングさせる工程と、
前記上流プライマーから前記標的核酸の相補鎖を伸長させる工程と、
前記伸長された相補鎖を変性させて1本鎖核酸にする工程と、
前記標的核酸の一部の配列であって、上流プライマーがハイブリダイズする領域の下流の配列を有する下流プライマーを、前記1本鎖核酸にアニーリングさせる工程と、
前記下流プライマーから前記正規直交化配列の相補鎖を伸長させる工程と、
を含む方法。 - 請求項1に記載の方法であって、前記上流プライマーが、標的核酸の塩基置換部位に相補的な配列を有し、前記上流プライマーを複数用いて、競合的に標的核酸の塩基配列を正規直交化配列へ変換することを特徴とする方法。
- 請求項1または2に記載の方法であって、前記上流プライマーが、一つ以上のミスマッチを含んでいることを特徴とする方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記伸長された正規直交化配列を増幅する工程をさらに含む方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記上流プライマーと共に、前記上流プライマーの前記標的核酸に相補的な配列の領域のさらに上流にアニーリングする切り出しプライマーを使用して前記標的核酸の相補鎖を伸長させることにより、前記下流プライマーから伸長される領域を限定することを特徴とする方法。
- 請求項1に記載の正規直交化配列を有するプライマーを使用して、標的核酸の塩基置換部位の塩基置換型を決定するための方法であって、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法を使用して前記標的核酸の塩基置換型に特異的に正規直交化配列に変換する工程と、
前記変換された正規直交化配列の相補鎖を有する核酸を、前記正規直交化配列の少なくとも一部の配列を有するプローブ核酸にハイブリダイズさせる工程と、
前記ハイブリダイズした核酸を検出する工程と、
を含む方法。 - 請求項6に記載の方法であって、
前記下流プライマーは、標識物質で標識されていることと、
前記ハイブリダイズした核酸を検出する工程は、前記標識物質を検出することによって行われることと、
を特徴とする方法。 - 請求項7に記載の方法であって、前記ハイブリダイズさせる工程の前に、前記正規直交化配列を有する核酸の相補鎖にハイブリダイズしている前記上流プライマーを分解する工程を含むことを特徴とする方法。
- 請求項8に記載の方法であって、前記前記上流プライマーの分解は、T7エキソヌクレアーゼで行われることを特徴とする方法。
- 請求項7に記載の方法であって、前記標識物質は蛍光標識であることを特徴とする方法。
- 請求項7に記載の方法であって、前記標識物質はビオチン標識であることを特徴とする方法。
- 請求項7に記載の方法であって、前記蛍光標識を直接的に検出することを特徴とする方法。
- 請求項7に記載の方法であって、前記標識物質を間接的に検出することを特徴とする方法。
- 請求項13に記載の方法であって、前記ハイブリダイズした核酸を検出する工程は、前記標識物質に特異的に結合し、かつさらに第2の標識物質で標識された結合物質を前記標的物質に結合させて、第2の標識物質を検出することによって行われることを特徴とする方法。
- 請求項14に記載の方法であって、前記第2の標識物質は、ストレプトアビジンであることを特徴とする方法。
- 請求項13に記載の方法であって、
前記第2の標識物質は、酵素であることと、
前記標識物質の検出は、酵素によって触媒された基質のシグナルを観察することによって行われることと、
を特徴とする方法。 - 請求項13に記載の方法であって、
前記第2の標識物質は、酵素であることと、
前記標識物質の検出は、酵素によって触媒された基質の作用によって変化する第2の基質のシグナルを観察することによって行われることと、
を特徴とする方法。 - 請求項6に記載の方法であって、
前記ハイブリダイズした正規直交化核酸を検出する工程は:
前記正規直交化配列の相補鎖の少なくとも一部の配列を有しかつ標識された第2のプローブ核酸を、さらに前記プローブ核酸にハイブリダイズさせることと、
前記ハイブリダイズした第2のプローブ核酸の標識を検出することと、
前記検出された第2のプローブ核酸の標識から、前記正規直交化核酸のハイブリダイズを推定することと、
によって行われることを特徴とする方法。 - 請求項18に記載の方法であって、前記第2のプローブ核酸の標識は、蛍光標識であることを特徴とする方法。
- 請求項18に記載の方法であって、前記プローブ核酸は固体支持体に固定化されており、かつ該固体支持体は透過性支持体であることを特徴とする方法。
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JP2005199068A JP2007014266A (ja) | 2005-07-07 | 2005-07-07 | 核酸の解析法 |
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