JP2009125018A - ハプロタイプの検出法 - Google Patents

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Abstract

【課題】少なくとも2つのSNP部位を有する標的核酸のハプロタイプの検出感度を更に向上させること。
【解決手段】少なくとも2つのSNP部位の全組み合わせに対応する2以上のプローブを含むスポットを担体上に設け、検体とのハイブリダイゼーション反応後に、エキソヌクレアーゼで処理する工程を付加することで、検出感度の更なる向上を図る。
【選択図】なし

Description

本発明は、遺伝子多型の検出の際に、離れた位置にある多型の組み合わせ(ハプロタイプ)を検出する方法に関する。
ゲノムの個人差に関する情報が蓄積され、広く一般にも公開されるにつれて、それら多型情報を利用した疾患遺伝子探索や、薬剤感受性遺伝子探索など様々な応用が考えられるようになった。特に、ゲノム中の数百万存在すると考えられている一塩基多型(SNP)は、ゲノム中を網羅する多型マーカーとして、集団遺伝学的な役割が期待されている。
SNPの検出技術としてはすでに多数のものが開発されている。代表的な手法として以下のものを挙げることができる。
・MALDI-TOF (Matrix-assisted laser desorption/ionization time-of-flight mass spectrometry)による方法
・DASH法(Dynamic allele-specific hybridization)
・一塩基伸長反応を用いる方法
・インベーダー法
・分子ビーコン法
・ASP(Allele-Specific primer)
("High-throughput SNP genotyping" Comp Funct Genom 2002; 3: 57-66)。
また、ゲノム全体を網羅的に解析することを目的とした、マイクロアレイによる技術も広く用いられている。(Parallel Genotyping of Over 10,000 SNPs Using a One-Primer Assay on a High-Density Oligonucleotide Array, Genome Research 14;414-425,2004)。
このような技術を用いて、ゲノム全体を複数の集団に属する多数のヒトゲノムに関して網羅的に解析し、ヒトゲノム全体の多型地図を描こうとするプロジェクトも各方面で進められている。代表的なプロジェクトとしては、国際HAPMAPプロジェクト("The International HAPMAP project" HYPERLINK "http://www.hapmap.org/index.html" http://www.hapmap.org/index.html Nature 426, 89-796 (18 December 2003) が知られていて、すでに多くのデータが一般公開されている。
このように、SNPのタイピングに関しては多くのデータが蓄積され、臨床応用を目指した開発なども進んでいる。しかしながら、SNPのジェノタイピングのみからは得ることができない情報も存在する。その一例として、以下に示すハプロタイプ・ディプロタイプ情報がある。
図1には、2箇所のSNPが示されている。(A)及び(B)はともに、左側のSNP部位でA/Gヘテロ、右側でC/Tヘテロとなって同一のジェノタイピング結果を示す。しかしながら、どのアレルが同一染色体上に存在するかによって(A)はAT/GCというディプロタイプ(diplotype)型を持ち、(B)はAC/GTというディプロタイプ型をもつ。このように、複数箇所の多型アレルの組み合わせ情報も含んだ結果をディプロタイプとよぶ。また、染色体一本ずつの情報をハプロタイプとよび、(A)の場合にはATとGC、(B)の場合はACとGTとなる。ディプロタイプとジェノタイプの大きな違いは、ディプロタイプがわかればジェノタイプが得られるが、ジェノタイプが得られてもディプロタイプは得られないために、ディプロタイプの方が完全情報となる。
実際のフェノタイプに影響を与える因子として、例えばある多型が正常な蛋白の合成を妨げる場合などは、そのような多型の数(遺伝子2本分、1本分、0本分)が重要である場合が多い。この場合は、ジェノタイプ情報があれば十分であってディプロタイプを検出する必要はない。
しかし、少数の例として、蛋白の構造に関する多型とプロモーター領域にある多型の双方に変異があるために機能の異なる蛋白が異常に発現する場合などがある。このような例でフェノタイプとの相関が確定している例がまだ少数であるために、現状ではハプロタイプの臨床での重要性がまだあまり認識されていないように思われる。しかし今後、ハプロタイピング技術の進歩につれて臨床応用が必要とされるようなハプロタイプも増えてくることが予想される。
これまでよく知られたハプロタイピングの技術としては、以下の方法がある。
・DNAを単分子となるまで希釈していくSingle Molecule Dilution法(Runao G Proc.Natl.Acad.Sci USA 87 6296-6300 (1990))。
・以下の2つのステップからなる方法
(1)SNP部位を3’末端塩基にもつそれぞれのアレルに対応したプライマを用いて1つのSNP部位のアレルに特異的な増幅を行う(Allele-specific PCR primer法)。
(2)増幅産物の中に含まれる2箇所目のアレルを別の手法(ゲル電気泳動など)で別個に検出する。
他にも基板に固定されたプローブを用いる方法としては、以下の方法がある。
・Landersの方法(High ThroughPut Methods for haplotyping US6844154B2)
・Gentalenらの方法(Methods of Using an Array of Pooled Probes in Genetic Analysis US6306643B1)
Gentalenらの方法は、Affymetrix社の基板上合成法をベースにしており、ハプロタイプを確定したい2箇所のSNP部位を混合したプローブセルを作製する。例えばSNP部位1の野生型を1W、変異型を1M、SNP部位2の野生型を2W、変異型を2Mとすると、4箇所のセルにそれぞれ1W-2W、1W-2M、1M-2W、1M-2Mに対応するプローブを作製する。このようにして作製された基板を、増幅及び標識された検体とハイブリダイゼーション反応させ、各セルからの輝度を比較する。この際、例えばSNP部位二箇所ともヘテロである場合には、ジェノタイプの結果はSNP部位1:W/M, 部位2:W/Mとなって区別がつかない。そこで、上記プローブの輝度を比較すると、1W-2Wと1M-2Mの輝度が高いか、1W-2Mと1M-2Wの輝度が高いかを比較することにより、1-2のハプロタイプが、WW/MMなのか、WM/MWなのかの判定をする。またそのような混合プローブをもつ基板の作成法としてUS6306643B1では、次のステップを有する方法が開示されている。まず、MeNPOCリンカー部に365nmの光を照射して分解する際に、MeNPOCの半減期を考慮し半分だけが分解されるように光照射を行いDMT保護基にかえる。これによって、MeNPOCをもつリンカーと、DMTをもつリンカーを半々作製し、それぞれに対して異なるプローブを合成する。
Gentalenらの方法以外にも、混合したプローブ(pooled probes)を用いた遺伝子の検出は試みられてきた(J.Theor.Biol.135,303-307(1988)、WO95 /11995)。
米国特許第6844154号明細書 米国特許第6306643号明細書 国際公開第95 /11995号パンフレット "High-throughput SNP genotyping" Comp Funct Genom 2002; 3: 57-66 Parallel Genotyping of Over 10,000 SNPs Using a One-Primer Assay on a High-Density Oligonucleotide Array, Genome Research 14;414-425,2004 "The International HAPMAP project" HYPERLINK "http://www.hapmap.org/index.html" http://www.hapmap.org/index.html, Nature 426, 89-796 (18 December 2003) Runao G Proc.Natl.Acad.Sci USA 87 6296-6300 (1990)
Gentalenらの方法では、混合プローブに対しその片方としかハイブリダイズしないターゲットと、二種類ともにハイブリダイズするターゲットでは、ハイブリダイゼーションの強度が2倍以上大きい(cooperativity)としている。例えばディプロタイプがWW/MMのものとWM/MWのものでは、4種類のプローブ1W、1M、2W、2Mに相補的な配列の含まれる量は同じである。それにも関わらず、混合プローブ1W-2W、1W-2M、1M-2W、1M-2Mからのシグナル強度にでる変化を検出している。
図3に、4種類の混合プローブとターゲットとのハイブリダイゼーションの様子を模式的に示した。ここでは、ターゲットのディプロタイプがAT/GCの場合を示している。スポット1&4には2箇所でハイブリダイズするのに対し、スポット2&3には一箇所ずつハイブリダイズするため、cooperativityが強ければ、2&3よりも1&4から強いシグナルが検出されることになる。また、3’末端標識プローブと5’末端標識プローブを組み合わせた場合の、二箇所でハイブリダイズする状態の模式図を図6に示す。
しかし、マイクロアレイによるハイブリダイゼーションのシグナル検出は様々なノイズの影響を受ける。PCR産物の状態やそれらの作る高次構造、非特異的ハイブリダイゼーションなどがその要因となるが、これらの要素はコントロールが難しく理論的に予測することも困難である。このような状況下では、ノイズの要因となりうるものは少しでも少なくすることが重要であり、例えば図2における2&3からのシグナルはなるべく小さなものにしたい。
よって本発明の解決しようとする課題は、図3において、検出するべき2箇所でのハイブリダイゼーション・シグナルに対して、ノイズとなる一箇所でのハイブリダイゼーション・シグナルの強度を弱くし、より大きなシグナル/ノイズ比を得ることである。
本発明にかかる標的核酸のハプロタイプの検出方法は、少なくとも2つのSNP部位を有する標的核酸のハプロタイプの検出方法であって、2つのSNP部位を選定してこれを第1のSNP部位及び第2のSNP部位として、
(i)該標的核酸の、野生型である第1のSNP部位を含む塩基配列部分に対して相補的な塩基配列を有する第1のプローブ、
該標的核酸の、変異型である第1のSNP部位を含む塩基配列部分に対して相補的な塩基配列を有する第2のプローブ、
該標的核酸の、野生型である第2のSNP部位を含む塩基配列部分に対して相補的な塩基配列を有する第3のプローブ、及び
該標的核酸の、変異型である第2のSNP部位を含む塩基配列部分に対して相補的な塩基配列を有する第4のプローブを用意する工程と、
(ii)前記第1及び第3のプローブを含み、第2及び第4のプローブを含まない第1のスポット、前記第1及び第4のプローブを含み、第2及び第3のプローブを含まない第2のスポット、前記第2及び第3のプローブを含み、第1及び第4のプローブを含まない第3のスポット、及び第2及び第4のプローブを含み、第1及び第3のプローブを含まない第4のスポットを固相上に有するプローブ担体を用意する工程と、
(iii)該標的核酸の該第1及び第2のSNP部位を含む塩基配列部分の標識化増幅産物を含む検体を該プローブ担体と反応させる工程と、
(iv)前記工程(iii)によって得られたプローブ担体上の各プローブにハイブリダイズした核酸をエキソヌクレアーゼで処理する工程と、
(v)前記工程(iv)によって得られたプローブ担体の前記第1〜第4のスポットにおける前記標識からのシグナルを検出し、各スポット間でのシグナル強度を対比する工程と
を有することを特徴とする標的核酸のハプロタイプの検出方法である。
本発明にかかるプローブ固定担体は、標的核酸の5’側に第1のSNP部位を有し、3’側に第2のSNP部位を有している標的核酸のハプロタイプの検出に用いるプローブ担体であって、
第1及び第3のプローブを含み、第2及び第4のプローブを含まない第1のスポット、第1及び第4のプローブを含み、第2及び第3のプローブを含まない第2のスポット、第2及び第3のプローブを含み、第1及び第4のプローブを含まない第3のスポット、及び第2及び第4のプローブを含み、第1及び第3のプローブを含まない第4のスポットが、固相上の互いに離隔した位置に配置されており、
前記第1のプローブは、該標的核酸の、野生型である第1のSNP部位を含む塩基配列部分に対して相補的な塩基配列を有し、
該第2のプローブは、該標的核酸の、変異型である第1のSNP部位を含む塩基配列部分に対して相補的な塩基配列を有し、
該第3のプローブは、該標的核酸の、野生型である第2のSNP部位を含む塩基配列部分に対して相補的な塩基配列を有し、
該第4のプローブは、該標的核酸の、変異型である第2のSNP部位を含む塩基配列部分に対して相補的な塩基配列を有するものであり、
更に、該第1のプローブと第2のプローブの各々は、3’末端側で固相に結合されており、該第3及び第4のプローブの各々は、5’末端側で固相に結合されていることを特徴とするプローブ担体である。
本発明にかかる標的核酸のハプロタイプの検出方法の他の一態様は、標的核酸の5’側に第1のSNP部位を有し、3’側に第2のSNP部位を有している標的核酸のハプロタイプの検出方法であって、
(i)上記構成のプローブ担体を、該標的核酸の第1及び第2のSNP部位を含む塩基配列部分の標識化増幅産物を含有する検体を該プローブ担体とハイブリダイゼーション反応させる工程と、
(ii)前記工程(i)によって得られたプローブ担体上の各プローブにハイブリダイズした核酸をエキソヌクレアーゼで処理する工程と、
(iii)前記工程(ii)によって得られたプローブ担体の第1〜第4のスポットにおける前記標識からのシグナルを検出し、各スポット間でのシグナル強度を対比する工程と
を有することを特徴とする標的核酸のハプロタイプの検出方法である。
本発明では、遺伝子多型の組み合わせ(ディプロタイプ)を判定する方法において、各SNPのアレルによりハイブリダイズする効果と、二箇所のSNP部位の双方でハイブリダイズするcooperativityによる効果の差を明確にしている。更に、ハプロタイプに対応したスポットの輝度を保持した状態で、ノイズとなるハプロタイプに対応しないスポットの輝度を減じている。その結果、本発明によれば、より精度の高いディプロタイプの判定を得ることが可能となる。
本発明にかかる標的核酸のハプロタイプの検出方法は、少なくとも2つのSNP部位を有する標的核酸のハプロタイプを検出する方法である。少なくとも2つのSPN部位から検出対象としてしての2つのSNP部位を選定する。3つのSNP部位が存在する場合には、そのうちの2つのSNP部位について検出を行い、更に、残りの2つのSNP部位の組み合わせの1つ又は全部について検出を行い、3つの全てのSPN部位のハプロタイプの検出を行うこともできる。すなわち、N(N≧2)箇所のSNPのハプロタイプを判別する場合に、2箇所のSNPの組み合わせ(2箇所のSNPに対応するプローブを混合したスポット)をNC2通り作ることで全ハプロタイプを判定することが可能である。
本発明において用いるプローブとして、検出対象として選定した第1及び第2のSNPの野生型と変異型のそれぞれを個々に検出し得る以下の第1〜第4のプローブを用意する。
(1)標的核酸の、野生型である第1のSNP部位を含む塩基配列部分に対して相補的な塩基配列を有する第1のプローブ。
(2)標的核酸の、変異型である第1のSNP部位を含む塩基配列部分に対して相補的な塩基配列を有する第2のプローブ。
(3)標的核酸の、野生型である第2のSNP部位を含む塩基配列部分に対して相補的な塩基配列を有する第3のプローブ。
(4)標的核酸の、変異型である第2のSNP部位を含む塩基配列部分に対して相補的な塩基配列を有する第4のプローブ。
プローブの長さは、SNPの判定ができ、かつ同程度のTmをもつことが好ましく、15塩基〜40塩基程度、好ましくは20塩基〜27塩基程度の範囲とすることができる。
次に、選択された2つのSNP部位について、各プローブ固定領域をスポット状とする場合には、以下の各スポットを互いに隔離して担体上(固相上)に配置して設ける。なお、第1のプローブと第2のプローブの各々は、3’末端側で固相に結合されており、第3及び第4のプローブの各々は、5’末端側で固相に結合されている。
(i)第1のスポット:
第1及び第3のプローブを含み、第2及び第4のプローブを含まない。
(ii)第2のスポット:
第1及び第4のプローブを含み、第2及び第3のプローブを含まない。
(iii)第3のスポット:
第2及び第3のプローブを含み、第1及び第4のプローブを含まない。
(iv)第4のスポット:
第2及び第4のプローブを含み、第1及び第3のプローブを含まない。
次に、ハプロタイプが未知の標的核酸の検出すべきハプロタイプを含む部分を含む標識化増幅産物を含む検体を定法により調製する。この増幅では、少なくともプローブでの検査対象の領域を含む鎖が増幅されているようにする。
得られた標識化増幅産物を含有する検体と、プローブ担体を、検体中にプローブの塩基配列と相補的な塩基配列を有する核酸が検体中に含まれている場合にこれらがハイブリダイズする条件下で反応させる。
ハイブリダイゼーションのための反応をプローブ担体に行った後、プローブ担体上のプローブ固定領域をエキソヌクレアーゼで処理してから、各プローブ固定領域からの検体に付与した標識に基づく信号を測定する。すなわち、プローブ担体の上述した第1〜第4のスポットにおける標識からのシグナルを検出し、各スポット間でのシグナル強度を対比する。信号強度が最も高いプローブ固定領域に含まれる複数のプローブで認識されるSNP部位を標的核酸のハプロタイプとする。
本発明にかかるプローブ固定担体は、上記のようにして選択された2個のSNP部位に対応した4個のスポットを少なくとも有する。更に、3個以上のSNPから選択された2つのSNPの組合せの2以上のそれぞれについて同様の4個のスポットの組合せをプローブ固定領域として形成して、全てのSNP部位のハプロタイプを検出できるようにすることもできる。
上記の構成にかかるハプロタイプの検出方法及びプローブ固定担体は、標的核酸の5’側に第1のSNP部位を有し、3’側に第2のSNP部位を有している標的核酸のハプロタイプの検出方法にもN=2の一態様として好適に利用できる。
本発明においては、ハイブリダイゼーション反応後のプローブ固定担体に対してエキソヌクレアーゼ処理が施され、これにより検出感度の向上効果を得ている。このエキソヌクレアーゼ処理により検出感度向上効果は、以下の原理に基づくものと推定される。
SNPが2つの場合について説明すると、図3に示されているように、ディプロタイプの違いに伴うハイブリダイゼーション結果の差は、ターゲットの一箇所でハイブリダイズするのか、二箇所でハイブリダイズするのかのみである。ハイブリダイゼーションの対象となる、プローブに相補的な配列のターゲット中に含まれる量は、図1(A)、(B)に関わらず等しい。しかし、一箇所でのハイブリダイズと二箇所でのハイブリダイズには、図3に示されているように、構造上の大きな違いが生じる。
図3はディプロタイプAT/GCがハイブリダイズした場合の模式図だが、スポット1や4のように二箇所でハイブリダイズした場合にはターゲットはループ状となるの。これに対し、スポット2や3のように一箇所でハイブリした場合には、ハイブリ箇所からターゲットの末端部分にいたるまで、ループ構造をとらない。この違いを利用して、ループ以外の部分を、核酸鎖の末端を認識して一本鎖核酸のみに作用するエキソヌクレアーゼで分解する。
ハプロタイプとなる二箇所のSNP間の距離は着目する多型により異なるが(数10bp~数千bp)、標識されたループ部分の配列長が長くなる場合には、スポット1及び4からのシグナルがスポット2及び3からのシグナルに比べて優位に大きくなることが予測される。
以下に、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。
モデル系として、P450ファミリーとして有名な代謝酵素群の中でも、特に多くの薬剤代謝に関わることが知られている遺伝子の1つであるCYP2D6の一塩基多型を用いる。以下にこのモデル系におけるプローブ設計およびマイクロアレイの作製、ターゲットの調整からハイブリダイゼーション反応&蛍光検出、エキソヌクレアーゼによる分解、データ解析までの流れを示す。
(マイクロアレイの構成)
プローブの固定は特開平11-187900号公報に詳細が示されているように、表面処理を行った基板にインクジェットにより5’末端をチオール化されたオリゴDNAを吐出する方法を用いる。ここでプローブとなるDNAは20塩基程度の長さをもち、(株)ベックスから購入したものである。
(ブロッキング)
ハイブリダイゼーション反応を行う前に、以下のブロッキング反応を行う。マイクロアレイのブロッキングは、マイクロアレイのプローブ以外の部分に核酸分子が吸着するのを防ぐために行う。ハイブリダイゼーションの直前に行うのが一般的である。
BSA(牛血清アルブミンFraction V:Sigma社製)を1wt%となるように100mM NaCl/10mMりん酸バッファに溶解し、この溶液にDNAマイクロアレイを室温で2時間浸す。ブロッキング終了後、0.1wt%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を含む0.1xSSC溶液(くえん酸三ナトリウムとNaCl)と、SDSを含まないSSC溶液で洗浄し、超純水でリンスしてから、スピンドライで水切りを行った。
(ターゲットの準備)
抽出されたヒトゲノムの増幅(PCR)反応の例を以下に示す。増幅反応液組成の例を以下に示す。
--PCR溶液組成--
・Expand Long Enzyme Mix(Roche):0.75μl
・Forward/Reverse Primer(1μM):8μl
・10x buffer(酵素付属品):5μl
・dNTP mix (2mM each):1.75μl
・Genomic DNA:2μl
・H 2 O:24.5μl
Total:50μl
上記組成の反応液を図9に示す温度サイクルのプロトコルに従って、サーマルサイクラーを用い増幅反応を行った。
反応終了後、精製用カラム(QIAGEN QIAquick PCR Purification Kit: QIAGEN社製)を用いてPrimerを除去した後、電気泳動(Bioanalyzer:Agilent社製)により、増幅産物の定量を行う。
その後Cy3-dCTPを含んだdNTP mixを用いてターゲットに標識を行う。
--PCR溶液組成--
・AmpliTaq Gold(TAKARA):0.2μl
・10x buffer(酵素付属品):2.5μl
・dNTP mix (〜2mM each):2.5μl
・Template DNA(8ng/μl):0.5ng
・Forward/Reverse Primer(10μM):1μl
・H 2 O:17.3μl
Total:25μl
上記組成の反応液を図10に示す温度サイクルのプロトコルに従って、サーマルサイクラーを用い増幅反応を行った。PCRでの増幅産物の長さは、数百塩基〜数千塩基程度とすることができる。
(ハイブリダイゼーション)
水切りしたDNAマイクロアレイをハイブリダイゼーション装置(Genomic Solutions Inc. Hybridization Station)にセットし、以下に示すハイブリダイゼーション溶液、条件でハイブリダイゼーション反応を行う。
6xSSPE / 10% Formamide / PCR product 20ng / 標識付きプローブ相補鎖(0.2nM)
上記ハイブリダイゼーション溶液を、65℃に加温し3分間保持したあと、さらに92℃で2分間、続いて45℃で4時間保持した。その後、2xSSCおよび0.1%SDSを用いて、40℃で洗浄をした。さらに2xSSCを用いて20℃で洗浄を行い、純水でリンスしてプローブと未反応の標識付きプローブ相補体を除去し、スピンドライ装置で水切りを行った。
(蛍光測定)
ハイブリダイゼーション反応終了後のDNAマイクロアレイを、DNAマイクロアレイ用蛍光検出装置(Axon社製、GenePix 4000B)を用いて、以下の条件で蛍光測定を行う。蛍光測定波長を標識付きプローブ相補鎖に含まれる蛍光物質の波長と合わせて、蛍光測定値が30000以下になるように励起光の強さを調製して測定する。
(酵素による分解)
ハイブリダイゼーション反応終了後のDNAマイクロアレイに、エキソヌクレアーゼVII(A
mersham社より購入)を適下し、37℃で30分反応させた。反応後は2xSSCを用いて20℃で洗浄を行い、純水でリンスしてプローブと未反応の標識付きプローブ相補体を除去し、スピンドライ装置で水切りを行った。その後再度蛍光測定を行い、酵素処理を行う前の蛍光輝度の値と比較した。
(スポット解析)
蛍光測定結果の画像を、マイクロアレイ用のデータ解析ソフトArrayPro(Media Cybernetics社製)で解析を行い、各スポットに対する輝度値のデータを得た。
以下の実施例で使用したプローブは以下のとおりである。
Figure 2009125018
(実施例1)
CYP2D6のSNPであるC100TとG310Tに着目し、各多型を検出するためのプローブを設計する。ここでP100C、P100T、P310G、P310Tはターゲットとする多型のフルマッチとなるアレルに相補的な配列を持つプローブであることを示している。これらプローブを先に説明した実施様態に従って、5’末端にチオール標識した形で合成した。
次に、P100C+P310G、P100C+P310T、P100T+P310G、P100T+P310Tの4種の組み合わせで合成したプローブ同一濃度で混合し、実施の様態例で示した方法で基板上に固定した。
C100T及びG310Tでジェノタイプがヘテロであることが分っている検体を用意し、CYP2D6全体を増幅して8ng/ulに希釈し、テンプレートを作製した。次にC100T、G310Tをともに含むようにプライマ-を設計し、実施の様態例に従ってCy3-dCTPを取り込ませる形で増幅反応を行った。
増幅されたPCR産物を、作成したマイクロアレイとハイブリダイゼーション反応を行い、蛍光輝度を測定した。その結果を図4に示す。確かにスポット1:P100C-P310Gと4:P100T-P310Tからのシグナルの方が2:P100C-P310T や3:P100T-P310Gに比べて大きくなるが、その差はわずかであることがわかる。
次に、この基板にエキソヌクレアーゼVIIを適下し、実施の様態例に示した方法で酵素反応を行った。基板を洗浄した後、再度蛍光輝度測定を行った結果を図5に示した。全体的に輝度は下がるが、スポット2、3からの輝度が大きく低下するために、相対的にスポット1、4からの輝度が、2,3からの輝度と比較して優位に大きな値となることが示されている。
(実施例2)
実施例1と同様に、CYP2D6のC100T、G310T多型に着目する。但し本実施例では、それぞれの多型に対応するプローブとして、C100Tに関しては、3’末端をチオール標識し、G310Tに関しては5’末端をチオール標識したものを合成する。これらのプローブを同一濃度となるように混合し、実施例1と同様にマイクロアレイを作製した。検体の調製法は実施例1と同じで、最初にCYP2D6全体を増幅したのち、C100TとG310Tをともに産物中に含むよう設計されたプライマーで増幅した。この際に、Cy3-dCTPによる標識も同様に行った。増幅された検体を用い、作製したマイクロアレイでハイブリダイゼーション反応を行った後、蛍光測定したのち、エキソヌクレアーゼによる酵素反応を行い、再度蛍光輝度を測定して結果の比較を行った。それぞれの結果を図7及び8に示す。
2箇所のSNPとハプロタイプの関係を示す図である。(A)及び(B)ともに、2箇所のSNP部位に対してA/Gヘテロ、C/Tへテロというジェノタイピング結果を示す。しかしながら、どのアレルの組み合わせが同一染色体上に存在するかによって(A)はAT/GCというディクロタイプ型を持ち、(B)はAC/GTというディプロタイプ型をもつ。 (a)は2箇所のSNPに対応するプローブを示す図であり、(b)は2箇所の多型に対応した混合プローブのスポットの構成を示す図である。図1の(A)のジェノタイプの場合にはスポット1&4が、(B)の場合にはスポット2&3がより高いシグナルを示す。 (A)ジェノタイプAT/GCが混合プローブにハイブリダイズする場合の模式図である。スポット1と4には二箇所でハイブリダイズし、2と3には一箇所でハイブリダイズする様子を示す。(B)エキソヌクレアーゼ処理をした結果の予想図である。スポット2と3は末端からの分解により大部分が分解されてしまうのに対して、1と4はループ部分が分解されずに残ることが示されている。 CYP2D6のC100TとG310Tによるハプロタイプ検出(酵素処理前)におけるシグナルの関係を示す図である。 CYP2D6のC100TとG310Tによるハプロタイプ検出(酵素処理後)におけるシグナルの関係を示す図である。 3’末端標識プローブと5’末端標識プローブを組み合わせた場合の、二箇所でハイブリダイズする状態の模式図である。 CYP2D6のC100TとG310Tによるハプロタイプ検出(酵素処理前)におけるシグナルの関係を示す図である。但し、C100Tに対応するプローブは3’末端を、G310Tに対応するプローブは5’末端をチオール標識している。 CYP2D6のC100TとG310Tによるハプロタイプ検出(酵素処理後)におけるシグナルの関係を示す図である。但し、C100Tに対応するプローブは3’末端を、G310Tに対応するプローブは5’末端をチオール標識している。 PCRのサイクル条件を示す図である。 PCRのサイクル条件を示す図である。

Claims (3)

  1. 少なくとも2つのSNP部位を有する標的核酸のハプロタイプの検出方法であって、2つのSNP部位を選定してこれを第1のSNP部位及び第2のSNP部位として、
    (i)該標的核酸の、野生型である第1のSNP部位を含む塩基配列部分に対して相補的な塩基配列を有する第1のプローブ、
    該標的核酸の、変異型である第1のSNP部位を含む塩基配列部分に対して相補的な塩基配列を有する第2のプローブ、
    該標的核酸の、野生型である第2のSNP部位を含む塩基配列部分に対して相補的な塩基配列を有する第3のプローブ、及び
    該標的核酸の、変異型である第2のSNP部位を含む塩基配列部分に対して相補的な塩基配列を有する第4のプローブを用意する工程と、
    (ii)前記第1及び第3のプローブを含み、第2及び第4のプローブを含まない第1のスポット、前記第1及び第4のプローブを含み、第2及び第3のプローブを含まない第2のスポット、前記第2及び第3のプローブを含み、第1及び第4のプローブを含まない第3のスポット、及び第2及び第4のプローブを含み、第1及び第3のプローブを含まない第4のスポットを固相上に有するプローブ担体を用意する工程と、
    (iii)該標的核酸の該第1及び第2のSNP部位を含む塩基配列部分の標識化増幅産物を含む検体を該プローブ担体と反応させる工程と、
    (iv)前記工程(iii)によって得られたプローブ担体上の各プローブにハイブリダイズした核酸をエキソヌクレアーゼで処理する工程と、
    (v)前記工程(iv)によって得られたプローブ担体の前記第1〜第4のスポットにおける前記標識からのシグナルを検出し、各スポット間でのシグナル強度を対比する工程と
    を有することを特徴とする標的核酸のハプロタイプの検出方法。
  2. 標的核酸の5’側に第1のSNP部位を有し、3’側に第2のSNP部位を有している標的核酸のハプロタイプの検出に用いるプローブ担体であって、
    第1及び第3のプローブを含み、第2及び第4のプローブを含まない第1のスポット、第1及び第4のプローブを含み、第2及び第3のプローブを含まない第2のスポット、第2及び第3のプローブを含み、第1及び第4のプローブを含まない第3のスポット、及び第2及び第4のプローブを含み、第1及び第3のプローブを含まない第4のスポットが、固相上の互いに隔離した位置に配置されており、
    前記第1のプローブは、該標的核酸の、野生型である第1のSNP部位を含む塩基配列部分に対して相補的な塩基配列を有し、
    該第2のプローブは、該標的核酸の、変異型である第1のSNP部位を含む塩基配列部分に対して相補的な塩基配列を有し、
    該第3のプローブは、該標的核酸の、野生型である第2のSNP部位を含む塩基配列部分に対して相補的な塩基配列を有し、
    該第4のプローブは、該標的核酸の、変異型である第2のSNP部位を含む塩基配列部分に対して相補的な塩基配列を有するものであり、
    更に、該第1のプローブと第2のプローブの各々は、3’末端側で固相に結合されており、該第3及び第4のプローブの各々は、5’末端側で固相に結合されていることを特徴とするプローブ担体。
  3. 標的核酸の5’側に第1のSNP部位を有し、3’側に第2のSNP部位を有している標的核酸のハプロタイプの検出方法であって、
    (i)請求項2に記載のプローブ担体を、該標的核酸の第1及び第2のSNP部位を含む塩基配列部分の標識化増幅産物を含有する検体を該プローブ担体とハイブリダイゼーション反応させる工程と、
    (ii)前記工程(i)によって得られたプローブ担体上の各プローブにハイブリダイズした核酸をエキソヌクレアーゼで処理する工程と、
    (iii)前記工程(ii)によって得られたプローブ担体の第1〜第4のスポットにおける前記標識からのシグナルを検出し、各スポット間でのシグナル強度を対比する工程と
    を有することを特徴とする標的核酸のハプロタイプの検出方法。
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