JP2009125020A - ハプロタイプの決定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】多型マーカーの位置に因らず、ハプロタイプをより正確に決定することができるハプロタイプの決定方法を提供する。
【解決手段】5’側に第1のSNP部位を有し、3’側に第2のSNP部位を有する標的核酸のハプロタイプの決定するためのプライマーとして、第1のSNP部位が野生型である標的核酸を増幅するための第1の標識を有する第1の順方向プライマーと、第1の標識と異なる信号を発する第2の標識を有し、第1のSNP部位が変異型である標的核酸を増幅するための第2の順方向プライマーと、これらのプライマーに共通する逆方向プライマーとを用いてハプロタイプが未知の標的核酸のPCR増幅を行い、増幅産物が第1及び第2の順方向プライマーのどちらに基づくものかを判定するとともに、得られた増幅産物に対して更にプローブを用いて第2のSNPのタイプを決定する。
【選択図】図3

Description

本発明は統計的な推定を用いず、実験的にハプロタイプを決定する方法に関する。
ハプロタイプとは、単一の染色体上に位置する2つまたはそれ以上の多型マーカーの組み合わせのことである。例えば、図1において、個体Aのゲノムの遺伝子座1と遺伝子座2とがある場合、一方のゲノム上ではA-Tというハプロタイプを持ち、もう一方のゲノム上ではA-Gというハプロタイプを持つと言う。
近年の研究で、ハプロタイプが疾患の発症や薬剤応答性(薬効・副作用)と関係があることが明らかになりつつある。例えば、薬物代謝酵素のN−アセチル化転移酵素2(NAT2)が挙げられる。このNAT2酵素をコードする遺伝子には3ヶ所のSNPが存在するが、2本の染色体のうち少なくとも一本の染色体において、3ヶ所のSNPが全て野生型でないと副作用のリスクが高まる。したがって、ハプロタイプを正確に検出することは大変重要である。
現在ハプロタイプの解析に用いられるものとして、統計学的にハプロタイプを推定する手法が注目されている。家系データが与えられたときのハプロタイプを決定する手法としては、Linkage Package(例えば、非特許文献1参照)やGENEHUNTER(例えば、非特許文献2参照)のようなソフトウェアがある。一方、家系データが存在しない場合に対応する方法としては、アルゴリズムを用いた最尤推定する手法(非特許文献3)がある。このアルゴリズムには、Clarkのアルゴリズムやハーディ・ワインバーグ平衡(Hardy-Weinberg equilibrium: HWE)を仮定して遺伝子を数えることによるEMアルゴリズムが利用される。しかし、これらの方法はあくまでも推定であり、パラメーターの設定によっては結果が異なってくるので、精度が高いと言い切ることはできない。つまり、統計学を利用している限り正確度が100%にはなりえない。
そこで、統計的な推定を用いず、実験的な方法でハプロタイプを検出することが望まれている。
現状、多型を解析する装置として代表的なものにシーケンサーとリアルタイムPCRが存在する。ただ、これらの装置では2本の染色体情報が1本の染色体情報としてまとめられて検出されるため、1本の染色体情報であるハプロタイプを正確に検出することは困難である。図2に示すように個体Aの遺伝子座1がA/A、遺伝子座2がT/Gという遺伝子型であることが解析された場合、一方のゲノム上のハプロタイプはA-Tであり、もう一方のゲノム上のハプロタイプはA-Gであることが分かる。しかし、個体Bの遺伝子座1にはA/C、遺伝子座2にはT/Gという遺伝子型が解析結果として得られた場合は、この解析結果から個体Bのハプロタイプを判定することは不可能である。つまり、個体Bのハプロタイプが、一方のゲノム上でA-T、他方のゲノム上でC-Gである場合と、一方のゲノムがA-G、他方のゲノムがC-Tである場合とがあり、これらのいずれかであるかは判定できない。
ハプロタイプを実験的に直接解析する方法として、アレル特異的PCRと電気泳動の解析を組み合わせたものがある(特許文献1参照)。この方法では2つの多型マーカーのハプロタイプを決定するもので、各多型マーカーに対してアレル特異的なプライマーを2種類ずつ用意し、2つの多型マーカーが含まれるように順方向と逆方向プライマーの両方でアレル特異的なPCRを行う。そして得られた増幅産物が、どの順方向および逆方向プライマー対の組み合わせで増幅されたかを、電気泳動にて解析することで、ハプロタイプを決定する。さらに具体的に示すと、第一の多型マーカーを含む順方向プライマーは5’末端に、アレルによって異なるシグナルを与える標識が修飾されている。また第二の多型マーカーを含む逆方向プライマーにおいては、5’末端にターゲット配列には含まれないフラップ配列をつけて、アレルによって異なる長さになるように設計されている。これらのプライマーを用いて両方向でアレル特異的にPCRを行い、増幅産物中の蛍光標識と増幅産物長を検出することによって、どのプライマー対により増幅されたかが分かり、ハプロタイプを決定することが可能となる。
G. M. Lathrop et al., "Multilocus linkage analysis in humans: detection of linkage and estimation of recombination," Am. J. Hum. Genet., vol.37, pp.482-498, 1985 L. Kruglyak, M. J. Daly, M. P. Reeve-Daly and E. S. Lander, "Parametric and nonparametric linkage analysis: a unified multipoint approach," Am. J. Hum. Genet., vol.58, pp.1347-1363, 1996 M. N. Chiano and D. G. Clayton, "Fine genetic mapping using haplotype analysis and the missing problem," Ann. Hum. Genet., vol.62, pp.55-60, 1998 特開2002-272482
しかし、上記方法においては、プライマーに多型配列部位が含まれることが必須である。そのため、プライマーの塩基配列の選択の自由度が制限を受ける。ここで、アレル特異的なPCRを行なう為には、PCRに用いるプライマー間でTmを揃えることが必要となる。しかしながら、上記した通り、プライマーの塩基配列の選定に制約があると、プライマー間でTmを揃えることが困難となる場合が想定される。言い換えると、上記特許文献1の方法によって精度よくハプロタイプを検出できるのはTmが揃ったプライマーを設定可能な位置に多型マーカーが存在している場合に限定されてしまう可能性がある。また、上記検出法では、両方向のプライマーの配列位置をずらすことが困難なため、順方向のプライマーと逆方向のプライマー間でプライマーダイマーを形成した場合には、ハプロタイプを検出できなくなる。
そこで、本発明の目的は、多型マーカーの位置に因らず、ハプロタイプをより正確に検出することができるハプロタイプの決定方法を提供することにある。
本発明のハプロタイプの決定方法は、5’側に第1のSNP部位を有し、3’側に第2のSNP部位を有する標的核酸のハプロタイプの決定方法であって、
(i)前記第1のSNP部位が野生型ヌクレオチドである場合に対応する第1の順方向プラマーとして、該第1のSNP部位を含む部分の塩基配列に対して同一な塩基配列を有し、前記第1のSNP部位にある野生型ヌクレオチドと同一のヌクレオチドを3’末端部に有し、且つ5’末端に、第1の標識を有するプライマーを用意する工程と、
(ii)前記第1のSNP部位が変異型ヌクレオチドである場合に対応する第2の順方向プラマーとして、該第1のSNP部位を含む部分の塩基配列に対して同一な塩基配列を有し、前記第1のSNP部位にある変異型ヌクレオチドと同一のヌクレオチドを3’末端部に有し、且つ5’末端に、前記第1の標識とは異なるシグナルを与える第2の標識を有するプライマーを用意する工程と、
(iii)前記標的核酸の相補鎖の、前記第2のSNP部位よりも5’末端側の、該第2のSNP部位に対応する部位を含まない部分の塩基配列に対して同一な塩基配列を有する逆方向プライマーを用意する工程と、
(iv)前記第1の順方向プライマー、前記第2の順方向プライマー及び逆方向プライマーを用いて、前記第1のSNP部位が野生型か変異型かが未知である標的核酸のPCR反応を行う工程と、
(v)前記工程(iv)の結果として得られる増幅産物を、該第2のSNP部位が野生型ヌクレオチドである標的核酸の該第2のSNP部位を含む部分を検出するための塩基配列を有する第1のプローブと、該第2のSNP部位が変異型ヌクレオチドである標的核酸の該第2のSNP部位を含む部分を検出するための塩基配列を有する第2のプローブと、ハイブリダイゼーション反応させ、該第1または第2のプローブとのハイブリッド体の形成を示すシグナルを検出する工程、
を含むことを特徴とするハプロタイプの決定方法である。
本発明に係るハプロタイプの決定方法によれば、逆方向プライマーはPCR産物が第2のSNP部位を含むよう設計すればよく、アレル特異的配列にする必要がない。したがって、逆方向プライマーのTmを順方向プライマーに合わせやすく、アレル特異的PCRを容易に達成可能である。その結果、前記アレル特異的PCRとマイクロアレイでの検出を組み合わせて、ハプロタイプの検出を正確に行うことができる。本発明によれば、考えられうる全てのハプロタイプの組み合わせをマイクロアレイ上の輝度プロファイルから一意に決定することが可能である。
本発明のハプロタイプの決定方法は、5’側に第1のSNP部位を有し、3’側に第2のSNP部位を有する標的核酸のハプロタイプの決定方法であり、以下の工程を有する。
(i)前記第1のSNP部位が野生型ヌクレオチドである場合に対応する第1の順方向プライマーとして、以下の構成のプライマーを用意する工程。
・該第1のSNP部位を含む部分の塩基配列に対して同一な塩基配列を有し、前記第1のSNP部位にある野生型ヌクレオチドと同一のヌクレオチドを3’末端部に有し、且つ5’末端に第1の標識を有するプライマー。
(ii)前記第1のSNP部位が変異型ヌクレオチドである場合に対応する第2の順方向プラマーとして、以下のプライマーを用意する工程。
・該第1のSNP部位を含む部分の塩基配列に対して同一な塩基配列を有し、前記第1のSNP部位にある変異型ヌクレオチドと同一のヌクレオチドを3’末端部に有し、且つ5’末端に、前記第1の標識とは異なるシグナルを与える第2の標識を有するプライマー。
(iii)前記標的核酸の相補鎖の、前記第2のSNP部位よりも5’末端側の、該第2のSNP部位に対応する部位を含まない部分の塩基配列に対して同一な塩基配列を有する逆方向プライマーを用意する工程。
(iv)前記第1の順方向プライマー、前記第2の順方向プライマー及び逆方向プライマーを用いて、前記第1のSNP部位が野生型か変異型かが未知である標的核酸のPCR反応を行う工程。
(v)前記工程(iv)の結果として得られる増幅産物を、以下の第1のプローブと第2のプローブとハイブリダイゼーション反応させ、該第1または第2のプローブとのハイブリッド体の形成を示すシグナルを検出する工程。
第1のプローブ:該第2のSNP部位が野生型ヌクレオチドである標的核酸の該第2のSNP部位を含む部分を検出するための塩基配列を有する第1のプローブ・
第2のプローブ:該第2のSNP部位が変異型ヌクレオチドである標的核酸の該第2のSNP部位を含む部分を検出するための塩基配列を有する第2のプローブ。
本発明に係る基本的な原理について図3を用いて説明する。図3において、標的核酸301は、その相補鎖303と二本鎖核酸を構成している。そして、標的核酸301は、5’側に第1のSNP、3´側に第2のSNPを有している。従って、相補鎖303は、3’側に核酸301の第1のSNPに対応する第3のSNP、5´側に、核酸301の第2のSNPに対応する第4のSNPを有していることとなる。ここで、標的核酸301の第1のSNP部位における野生型ヌクレオチドは「C」、変異型ヌクレオチドは「T」とする。また標的核酸301の第2のSNP部位における野性型ヌクレオチドは「G」、変異型ヌクレオチドは「T」とする。従って相補鎖303の第3のSNP部位における野性型ヌクレオチドは「G」、変異型ヌクレオチドは「A」、第4のSNP部位における野性型ヌクレオチドは「C」、変異型ヌクレオチドは「A」となる。
次いで、標的核酸301の5’側に位置している第一のSNPに対してアレル特異的な2種類の順方向プライマー305、307を用意する。第1の順方向プライマー305は、5’末端に第1の標識306を結合より有し、3’末端に、第1のSNP部位が野生型である場合のヌクレオチドと同じであるヌクレオチド「C」を有している。
第2の順方向プライマー307は、5’末端に第2の標識308を結合により有し、3’末端に、第1のSNP部位が変異型である場合のヌクレオチドと同じであるヌクレオチド「T」を有する。ここで、第1の標識306と第2の標識308とは、互いに区別し得るシグナルを生じるものである。例えば、異なる波長の蛍光を発する2種の標識の組み合わせが挙げられる。具体的には、下記(1)と(2)との組み合わせが挙げられる。
(1)1−(ε−カルボキシペンチル)−1’−エチル−3,3,3’,3’−テトラメチルインドカルボシアニン−5,5’−ジサルフォネート(商品名:Cy3;アマシャムバイオサイエンス社製);
(2)1−(ε−カルボキシペンチル)−1’−エチル−3,3,3’,3’−テトラメチルインドジカルボシアニン−5,5’−ジサルフォネート(商品名:Cy5;アマシャムバイオサイエンス社製)。また、ここで第1の順方向プライマー305と第2の順方向プライマー307のプライマーは、PCRがアレル特異的にかかる塩基長が好ましく、15から30塩基であることが望ましい。
一方、逆方向プライマー309も用意する。逆方向プライマー309は、相補鎖303の、第4のSNP部位よりも5´側の、該第4のSNPを含まない所定の長さの塩基配列に対して相補的な塩基配列を有するものとする。
そして上記第1、第2の順方向プライマー305、307と、上記逆方向プライマー309とを用いてハプロタイプが未知である標的核酸のPCR反応による増幅を行う。
ハプロタイプが未知である標的核酸の第1及び第2のSNPが野生型である場合には、相補鎖303は、第3のSNP部位にヌクレオチド「G」を有するため、第1の順方向プライマー305が伸長される。一方、第2の順方向プライマー307は、標的核酸301の第1のSNP部位、及び相補鎖303の第3のSNP部位において相補的なヌクレオチドを有しないため伸長しない。即ち、PCR増幅産物中には、図4に示した第1の順方向プライマー由来の増幅産物310が存在することとなる。増幅産物310は、5’末端に第1の標識306を有し、第1のSNPに対応する部位にヌクレオチド「C」を、第2のSNPに対応する部位にヌクレオチド「G」を有する。一方、第2の順方向プライマー由来の増幅産物は存在しない。
次に、核酸301の、第2のSNPについて野生型及び変異型の各々のヌクレオチド「G」、「T」を含む所定の長さ塩基配列に対して相補的な塩基配列を有する2つのプローブ311、313の各々を固相表面の異なる位置に固定したマイクロアレイ315を用意する。ここで、プローブ311と313はアレル特異的にハイブリ反応が行われる塩基長が好ましく、
15から30塩基であることが望ましい。そして、マイクロアレイ315と上記PCRによる増幅産物とをハイブリダイゼーション反応させる。すると図5(a)に示したように、増幅産物310がマイクロアレイ上の第1のプローブ311とハイブリッド体を形成する。一方、第2のプローブ313とハイブリッド体を形成する増幅産物は当該増幅産物中には存在しない。その結果、マイクロアレイ315のプローブ311の固定位置において、ハイブリッド体の形成を示すシグナルが観察される。且つそのシグナルは、第1の標識306由来のシグナルである。つまり、マイクロアレイ上の2本鎖核酸の形成を示すシグナルの位置から、標的核酸301の第2のSNP部位のヌクレオチドが「G」であることが決定される。また当該シグナルが第1の標識由来のシグナルであることにより、標的核酸301の第1のSNPのヌクレオチドが「C」であることが決定される。
次に、ハプロタイプが未知の標的核酸が、標的核酸301における第1のSNPが「T」、第2のSNPが「T」であった場合について説明する。上述の原理に基づいてPCR増幅産物中には、第2の順方向プライマー307由来の増幅産物が含まれることとなる。この増幅産物は、5´末端に第2の標識308を有し、第1のSNPに対応する部位にヌクレオチド「T」を、第2のSNPに対応する部位にヌクレオチド「T」を有する。従って当該増幅産物をマイクロアレイ315とハイブリダイゼーション反応させると、図5(b)に示したように、マイクロアレイ315のプローブ313の固定位置において第2の標識由来のシグナルが観察される。これにより、標的核酸301の第1のSNPが「T」、第2のSNPが「T」であることが決定される。
更に、ハプロタイプが未知の標的核酸が、標的核酸301における第1のSNPが「C」、第2のSNPが「T」であった場合は以下の通りとなる。PCR増幅産物中には、第1の順方向プライマー305由来の増幅産物が含まれる。この増幅産物は、5´末端に第1の標識306を有し、第1のSNPに対応する部位にヌクレオチド「C」、第2のSNPに対応する部位にヌクレオチド「T」を有する。従って、マイクロアレイ315と当該PCR増幅産物とをハイブリダイゼーション反応させると、図5(c)に示したように、マイクロアレイ上のプローブ313の固定位置において第1の標識由来のシグナルが観察される。これにより、核酸301の第1のSNPが「C」、第2のSNPが「T」であることが決定される。
また、ハプロタイプが未知の標的核酸が、標的核酸301における第1のSNPが「T」、第2のSNPが「G」であった場合には以下の通りである。PCR増幅産物中には、第1の順方向プライマー307由来の増幅産物が含まれる。この増幅産物は、5´末端に第2の標識308を有し、第1のSNPに対応する部位にヌクレオチド「T」、第2のSNPに対応する部位にヌクレオチド「G」を有する。従って、マイクロアレイ315と当該PCR増幅産物とをハイブリダイゼーション反応させると、図5(d)に示したように、マイクロアレイ上のプローブ311の固定位置において第2の標識308由来のシグナルが観察される。これにより、核酸301の第1のSNPが「T」、第2のSNPが「G」であることが決定される。
(染色体2本の場合)
ヒトは染色体を2本ずつ持っているため、ハプロタイプが2種存在し得る。即ち、図6において、501は第1の染色体を構成する核酸であり、503は第2の染色体を構成する核酸である。図6では、標的核酸501の相補鎖、及び標的核酸503の相補鎖は簡略のために不図示とした。そして標的核酸501及び標的核酸503の各々には、第1のSNPと第2のSNPが存在している。ここで、第1のSNPにおける野生型のヌクレオチドが「C」、変異型のヌクレオチドが「T」、第2のSNPにおける野生型のヌクレオチドが「G」、変異型のヌクレオチドが「T」であったとする。この場合、ハプロタイプには、下記表1に示した様に10通りの組み合わせがあり得る。
下記表1中、標的核酸501と標的核酸503とで、ハプロタイプが一致している場合をホモ検体、不一致の場合をヘテロ検体とよぶ。
Figure 2009125020
そして前記した本発明に係るハプロタイプの検出方法は、上記表に掲げた10通りの組み合わせの全てについて、マイクロアレイ上の蛍光の位置並びに第1及び第2の標識由来のシグナルの識別により一意に決定することが可能である。
以下具体的に説明する。
先ず、ホモ検体の場合、即ち、ハプロタイプの組み合わせが(C−G、C−G)、(T−T、T−T)、(C−T、C−T)及び(T−G、T−G)である場合について説明する。この場合、プライマー305、307及び309を用いて得られるPCR増幅産物とマイクロアレイ315とをハイブリダイゼーション反応させた結果として、マイクロアレイ上で観察されるシグナルの位置及び種類は、図5(a)〜(d)と同様となる。
一方、ヘテロ検体の場合、例えばハプロタイプの組み合わせが(C−T、C−G)の場合、PCR増幅産物中には、下記2種の第1の順方向プライマー由来の増幅産物が存在する。
1)5´末端に第1の標識を有し、第1のSNPに相当する部位にヌクレオチド「C」、第2のSNPに相当する部位にヌクレオチド「T」を有する増幅産物;及び
2)5´末端に第1の標識を有し、第1のSNPに相当する部位にヌクレオチド「C」、第2のSNPに相当する部位にヌクレオチド「G」を有する増幅産物。
従って、当該PCR増幅産物をマイクロアレイ315とハイブリダイゼーション反応させると、図7(e)に示すように、マイクロアレイ315上のプローブ311及び313の固定位置の双方で、第1の標識由来のシグナルが観察される。
ハプロタイプの組み合わせが(T−G、C−T)の場合、PCR増幅産物中には、下記2種の増幅産物が存在する。
3)5´末端に第2の標識を有し、第1のSNPに相当する部位にヌクレオチド「T」、第2のSNPに相当する部位にヌクレオチド「G」を有する増幅産物;及び
4)5´末端に第1の標識を有し、第1のSNPに相当する部位にヌクレオチド「C」、第2のSNPに相当する部位にヌクレオチド「T」を有する増幅産物。
従って、当該PCR増幅産物をマイクロアレイ315とハイブリダイゼーション反応させると、図7(b)に示した結果が得られることとなる。つまり、マイクロアレイ315上のプローブ311の固定位置において第2の標識由来のシグナルが観察され、プローブ313の固定位置において第1の標識由来のシグナルが観察される。
ハプロタイプの組み合わせが(C−G、T−T)の場合、PCR増幅産物中には、下記2種の増幅産物が存在する。
5)5´末端に第1の標識を有し、第1のSNPに相当する部位にヌクレオチド「C」、第2のSNPに相当する部位にヌクレオチド「G」を有する増幅産物;及び
6)5´末端に第2の標識を有し、第1のSNPに相当する部位にヌクレオチド「T」、第2のSNPに相当する部位にヌクレオチド「T」を有する増幅産物。
従って、当該PCR増幅産物をマイクロアレイ315とハイブリダイゼーション反応させると、図7(a)に示した結果が得られる。即ち、マイクロアレイ315上のプローブ311の固定位置において第1の標識由来のシグナルが観察され、プローブ313の固定位置において第2の標識由来のシグナルが観察される。
ハプロタイプの組み合わせが(C−G、T−G)の場合、PCR増幅産物中には、下記2種の増幅産物が存在する。
7)5´末端に第1の標識を有し、第1のSNPに相当する部位にヌクレオチド「C」、第2のSNPに相当する部位にヌクレオチド「G」を有する増幅産物;及び
8)5´末端に第2の標識を有し、第1のSNPに相当する部位にヌクレオチド「T」、第2のSNPに相当する部位にヌクレオチド「G」を有する増幅産物。
従って、当該PCR増幅産物をマイクロアレイ315とハイブリダイゼーション反応させると、図7(c)に示した結果が得られる。即ち、マイクロアレイ315上のプローブ311の固定位置において第1の標識由来のシグナル及び第2の標識由来のシグナルが混合したシグナルが観察され、プローブ313の固定位置においては2本鎖の形成を示すシグナルは観察されない。
ハプロタイプの組み合わせが(T−T、C−T)の場合、PCR増幅産物中には、下記2種の増幅産物が存在する。
9)5´末端に第2の標識を有し、第1のSNPに相当する部位にヌクレオチド「T」、第2のSNPに相当する部位にヌクレオチド「T」を有する増幅産物;及び
10)5´末端に第1の標識を有し、第1のSNPに相当する部位にヌクレオチド「C」、第2のSNPに相当する部位にヌクレオチド「T」を有する増幅産物。
従って、当該PCR増幅産物をマイクロアレイ315とハイブリダイゼーション反応させると、図7(d)に示した結果が得られる。即ち、マイクロアレイ315上のプローブ313の固定位置において第1の標識由来のシグナル及び第2の標識由来のシグナルが混合したシグナルが観察され、プローブ311の固定位置においては2本鎖の形成を示すシグナルは観察されない。
ハプロタイプの組み合わせが(T−T、T−G)の場合、PCR増幅産物中には、下記2種の増幅産物が存在する。
11)5´末端に第2の標識を有し、第1のSNPに相当する部位にヌクレオチド「T」、第2のSNPに相当する部位にヌクレオチド「T」を有する増幅産物;及び
12)5´末端に第2の標識を有し、第1のSNPに相当する部位にヌクレオチド「T」、第2のSNPに相当する部位にヌクレオチド「G」を有する増幅産物。
従って、当該PCR増幅産物をマイクロアレイ315とハイブリダイゼーション反応させると、図7(f)に示すように、マイクロアレイ315上のプローブ311及び313の固定位置において第2の標識由来のシグナルが観察される。
以上のとおり、本発明によれば、マイクロアレイ315上の2本鎖核酸の形成を示すシグナルの位置、及びシグナルの種類から、ヘテロ検体のハプロタイプの種類が決定される。
(マイクロアレイの構成)
図8にマイクロアレイ上にプローブが固定されている様子を示す。プローブの固定は特開平11−187900に詳細が示されているように、表面処理を行った基板にインクジェットにより3’末端をチオール化されたオリゴDNAを吐出する方法を用いる。ここでプローブとなるDNAは例えば25塩基程度の長さをもつものが適当に用い得る。
(ブロッキング)
ハイブリダイゼーション反応を行う前に、マイクロアレイのプローブ以外の部分に核酸分子が吸着することを防ぐ目的でブロッキングを行うことが好ましい。一般的にハイブリダイゼーションの直前に行うことが好ましい。具体的な方法としては、例えば、BSA(牛血清アルブミンFraction V : Sigma社製)を1wt%となるように100mM NaCl/10mMりん酸緩衝液に溶解し、この溶液にDNAマイクロアレイを室温で2時間浸す。ブロッキング終了後、0.1wt%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を含む0.1×SSC溶液(クエン酸三ナトリウムとNaCl)と、SDSを含まないSSC溶液で洗浄し、超純水でリンス後、スピンドライで水切りを行う。
(ターゲットの準備)
検体由来の核酸の増幅反応(PCR)の例を以下に説明する。先ず、増幅反応液を用意する。増幅反応液の組成の例を以下に示す。
---PCR溶液組成---
Expand Long Enzyme Mix (Roche):0.3μl
Template Genome DNA :〜5ng
Forward/Reverse Primer:0.12μM each
dNTP :0.7μl
buffer 1(Expand Long Template Buffer1;10×conc. With 17.5mM MgCl2):2μl
H2O:11.4μl
Total:20μl
上記組成の反応液を、図15に例を示す温度サイクルのプロトコルに従って、サーマルサイクラーを用い増幅反応を行う。
反応終了後、精製用カラム(QUIAGEN QIAquick PCR Purification Kit: QUIGEN社製)を用いてPrimerを除去した後、電気泳動(BioAnalyzer: Agilent社製)により、増幅産物の定量を行う。
(アレル特異的PCR)
前述の増幅したPCR産物を用い、アレル特異的PCRを行う。増幅ではCy3標識およびCy5標識されたForward Primerを用いてPCRを行う。このときのプロトコルの例を以下に示す。
--PCR溶液組成--
AmpliTaq Gold (Applied Biosystems):0.2μl
Template Genome DNA :4 ng
Forward/Reverse Primer:0.06μM each
dNTP mix:0.2 mM each
10xbuffer(GeneAmp 10×PCR Buffer;100mM Tris-HCl, pH8.3, 500mM KCl, 15mM MgCl2, 0.01%(w/v)geltatin):2.5μl
H2O:9.3μl
Total:25μl
上記組成の反応液を図16の温度サイクルのプロトコルに従って、サーマルサイクラーを用い増幅反応を行う。
(ハイブリダイゼーション)
水切りしたDNAマイクロアレイをハイブリダイゼーション装置(Genomic Solutions Inc. Hybridization Station)にセットし、以下に示すハイブリダイゼーション溶液、条件でハイブリダイゼーション反応を行う。ハイブリダイゼーション装置を用いずに、スライドガラスとハイブリダイゼーション用のチャンバーを用いてマニュアルで反応を行ってもよい。
(ハイブリダイゼーション溶液)
以下にハイブリダイゼーション溶液の組成の一例を示す。
6×SSPE / 10% Formamide / ターゲット(未知検体由来の核酸)(PCR産物 100ng) / 0.05% SDS
前述の増幅した未知検体由来の核酸100ng相当をバッファー(SSPE)に溶かし、最終濃度が10%になるように Formamideを加える。この溶液に最終濃度が0.05%になるようにSDS溶液を加え、ハイブリダイゼーション溶液とする。なお、バッファー(SSPE)の濃度は、最終溶液の状態で6×SSPEとなるよう、予め計算しておく。
上記ハイブリダイゼーション溶液を、92℃に加温し2分間保持したあと、さらに50℃で4時間保持する。その後、2×SSCおよび0.1%SDSを用いて、40℃で洗浄をした。さらに2×SSCを用いて20℃で洗浄を行い、必要に応じて通常のマニュアルに従い純水でリンス、スピンドライ装置で水切りを行う。
(蛍光測定)
前述のDNAマイクロアレイを、DNAマイクロアレイ用蛍光検出装置(Axon社製、GenePix 4000B)を用いて、例えば以下の条件で標識由来のシグナルの検出を行なう。前記したように、標識として「Cy3」及び「Cy5」を用いる場合には、具体的には、これらの標識が発する蛍光の測定を行う。蛍光測定波長を「Cy3」および「Cy5」測定波長とし、蛍光測定値が30000以下となるように励起光の強さを調整して測定する。
(スポット解析)
蛍光測定結果の画像を、マイクロアレイ用のデータ解析ソフトArrayPro(Media Cybernetics社製)で解析を行い、各スポットに対する輝度値のデータを得る。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。
(実施例1)
第1の多型C100Tおよび第2の多型G310Tのハプロタイプを決定するため、表2に示した検体に関してハプロタイプ決定を行った。
Figure 2009125020
マイクロアレイ上のプローブ配列をターゲットDNAの調製は実施様態例に従った。ただし、検出用プライマーとして順方向プライマーには配列a)および配列b)を、逆方向プライマーには配列c)を用いた。以下に各配列を示す。
配列a) 5' Cy3-GGGCTGCACGCTACC 3'
配列b) 5' Cy5-GGGCTGCACGCTACT 3'
配列c) 5' GCATCCCATTCCCAGATGA 3'
ここで順方向プライマーa)は5'末端に「Cy3」標識、3'末端に多型C100T野生型ヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを有する。また、プライマーb)は5'末端に「Cy5」標識、3'末端に多型C100T変異型ヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを有する。さらに、逆方向プライマーはPCR産物が多型G310Tを含むように設計した。各検体に関して上記プライマーを用いてPCR後、精製および電気泳動による定量を行い、ターゲットDNAとした。精製および電気泳動の各工程は実施様態例に従った。
上記工程で得られたターゲットDNAをハイブリダイゼーション反応に供した。ハイブリダイゼーション反応は核酸マイクロアレイを用いて行った。核酸マイクロアレイは、1つのブロックが9x16のスポットで構成され、その同一ブロックが3x3の9ブロック配置されている。各ヌクレオチドはプローブとしてマイクロアレイ上に2スポットずつ固定されている。以下にプローブ配列を示す。
配列d) 5' TCTCCAGGACGTCCCCCAAACC 3'
配列e) 5' TCTCCAGGAAGTCCCCCAAACC 3'
ここでプローブ配列d)はG310T野生型に対応し、プローブ配列e)はG310T変異型に対応する。このマイクロアレイに対して上記工程で調製したターゲットDNAをハイブリダイゼーション反応させた。ハイブリダイゼーション反応の各工程は実施様態例に従った。
ハイブリダイゼーション後のマイクロアレイの蛍光輝度は、蛍光検出装置を用いて測定した。測定は「Cy3」励起に波長532nmを、「Cy5」励起に波長635nmを選択した。得られた蛍光輝度画像および解析結果からC100TおよびG310Tの遺伝子型を決定し、ハプロタイプの判定を行った。蛍光輝度測定に関する工程およびスポット解析は実施様態例に従った。以下、各検体に関して得られた解析結果を図示し、ハプロタイプの決定を行う。
(アレル1/1)
図9は、鋳型DNAとしてC100TおよびG310Tの両多型に関して全て野生型を有する検体を用いた場合の解析結果である。図9に示したとおり、G310T野生型に対応するプローブにおいてCy3に由来する蛍光が観測された。
Cy3標識は、C100T野生型ヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを有するプライマーに付加されていることから、本検体の第1の多型C100Tは共にCであることがわかる。また、蛍光輝度がG310Tの野生型プローブのみで観測されたことから、第2の多型G310Tは共にGであることがわかる。以上のことから、本検体のハプロタイプはC-G、C-Gと決定できる。この結果は、使用した検体のアレルと一致する。
(アレル10/10)
図10は、鋳型DNAとしてC100TおよびG310Tの両多型に関して全て変異型を有する検体を用いた場合の解析結果である。図10に示したとおり、G310T変異型に対応するプローブでCy5に由来する蛍光が観測された。
Cy5標識は、C100T変異型ヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを有するプライマーに付加されていることから、本検体の第1の多型C100Tは共にTであることがわかる。また、蛍光輝度がG310Tの変異型プローブのみで観測されたことから、第2の多型G310Tは共にTであることがわかる。以上のことから、本検体のハプロタイプはT-T、T-Tであると決定できる。この結果は、使用した検体のアレルと一致する。
(アレル10/1)
図11は、鋳型DNAとして、多型C100Tに関してCおよびT、G310Tに関してGおよびTを有する検体を用いた場合の解析結果である。図11に示したとおり、Cy3に由来する蛍光がG310T野生型に対応するプローブで、Cy5に由来する蛍光がG310T変異型に対応するプローブで観測された。
Cy3標識は、C100T野生型ヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを有するプライマーに付加されており、この色素由来の蛍光がG310T野生型に対応するプローブで観測された。このことから、本検体のハプロタイプの一つはC-Gであると決定できる。またCy5標識は、C100T変異型ヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを有するプライマーに付加されている。この色素由来の蛍光がG310T変異型に対応するプローブで観測されたことから、本検体のもう一つのハプロタイプはT-Tであると決定できる。この結果は、使用した検体のアレルと一致する。
(アレル10/2)
図12は、鋳型DNAとしてC100Tに関してCおよびT、G310Tに関してTを有する検体を用いた場合の結果である。図12に示したとおり、G310T変異型に対応するプローブでCy3に由来する蛍光およびCy5に由来する蛍光が観測された。
Cy3標識は、C100T野生型ヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを有するプライマーに付加されており、Cy5標識はC100T変異型ヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを有するプライマーに付加されている。Cy3およびCy5に由来する蛍光がG310T変異型に対応するプローブで観測されたことから、本検体のハプロタイプはC-T、T-Tであると決定できる。この結果は、使用した検体のアレルと一致する。
(アレル2/1)
図13は、鋳型DNAとしてC100Tに関してC、G310Tに関してGおよびTを有する検体を用いた場合の結果である。図13に示したとおり、DNAマイクロアレイ上のG310T野生型および変異型に対応するプローブでCy3に由来する蛍光が観測された。
Cy3標識は、C100T野生型ヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを有するプライマーに付加されている。このことから、本検体のハプロタイプはC-G、C-Tであると決定できる。この結果は、使用した検体のアレルと一致する。
上記実施例で示したとおり、本発明の手法で得られる輝度パターンはアレルから予想されるパターンと一致する。従って、本発明を用いることで同一染色体上に存在するSNPの組み合わせを一意に決定することができる。
(実施例2)10/1 G1661C Cy3/Cy5
第1の多型G1661Cおよび第2の多型A2097Gのハプロタイプを決定するため、以下の実験を行った。ターゲットDNAの調製は、実施様態例に従った。ただし、鋳型DNAはG1661Cに関してGおよびC、A2097Gに関してAおよびGを有する既知の検体を用いた。また、検出用プライマーとして、順方向プライマーには配列f)および配列g)を、逆方向プライマーには配列h)を用いた。以下に各配列を示す。
配列f) 5' Cy3-GAGGCGCTTCTCCGTG 3'
配列g) 5' Cy5-GAGGCGCTTCTCCGTC 3'
配列h) 5' GAAAGCCTTTTGGAAGCGT 3'
ここで、順方向プライマーf)は5'末端に「Cy3」標識、3'末端に多型G1661Cの野生型ヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを有する。順芳香プライマーg)は5'末端に「Cy5」標識、3'末端に多型G1661Cの変異型ヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを有する。また、逆方向プライマーh)はPCR産物が多型A2097Gを含むように設計した。上記鋳型DNAおよびプライマーを用いてPCR後、精製および電気泳動による定量を行い、ターゲットDNAとした。精製および電気泳動の各工程は、実施様態例に従った。
上記工程で得られたターゲットDNAをハイブリダイゼーション反応に供した。ハイブリダイゼーション反応はマイクロアレイを用いて行った。マイクロアレイは、1つのブロックが9x16のスポットで構成され、その同一ブロックが3x3の9ブロック配置されている。各ヌクレオチドはプローブとしてマイクロアレイ上に2スポットずつ固定されている。以下にプローブ配列を示す。
配列i) 5' CCAAACCCATCTATGCAAATCCTGC 3'
配列j) 5' CCAAACCCATCTACGCAAATCCTGC 3'
ここで、プローブ配列i)はA2097G野生型に対応し、プローブ配列j)はA2097G変異型に対応する。このマイクロアレイに対して上記工程で調製したターゲットDNAをハイブリダイゼーション反応させた。ハイブリダイゼーション反応の各工程は実施様態例に従った。
ハイブリダイゼーション後のマイクロアレイの蛍光輝度は、蛍光検出装置を用いて測定した。測定は「Cy3」励起に波長532nmを、「Cy5」励起に波長635nmを選択した。得られた蛍光輝度画像および解析結果からG1661CおよびA2097Gの遺伝子型を決定し、ハプロタイプの判定を行った。蛍光輝度測定に関する工程およびスポット解析は実施様態例に従った。
図14は、スポット解析結果である。図14に示したとおり、「Cy3」に由来する輝度がA2097G野生型に対応するプローブで、「Cy5」に由来する輝度がA2097G変異型に対応するプローブで観測された。
「Cy3」標識は、G1661C野生型ヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを有するプライマーに付加されている。この色素由来の蛍光がA2097G野生型に対応するプローブで観測されたことから、本検体のハプロタイプの一つはG-Aであると決定できる。また、「Cy5」標識は、G1661C変異型ヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを有するプライマーに付加されている。この色素由来の蛍光がA2097G変異型に対応するプライマーで観測されたことから、本検体のハプロタイプの一つはC-Gであると決定できる。以上のことから、本検体のハプロタイプはG-A、C-Gであることがわかる。この結果は、使用した検体のアレルと一致する。
上記実施例で示したとおり、本発明の手法で得られる輝度パターンはアレルから予想されるパターンと一致する。従って、任意の多型位置においても本発明を用いることで同一染色体上に存在するSNPの組み合わせを一意に決定することができる。
ハプロタイプの説明図である。 ハプロタイプの説明図である。 本発明に係るハプロタイプの検出原理の説明図である。 図3に係るPCR増幅により得られる増幅産物の説明図である。 本発明に係るハプロタイプの検出原理の説明図である。 染色体2本の場合のハプロタイプの説明図である。 本発明に係るヘテロ型のハプロタイプの検出原理の説明図である。 核酸マイクロアレイの概略平面図である。 アレル1/1検体の解析結果(C100TとG310Tのハプロタイプ)を示す図である。 アレル10/10検体の解析結果(C100TとG310Tのハプロタイプ)を示す図である。 アレル10/1検体の解析結果(C100TとG310Tのハプロタイプ)を示す図である。 アレル10/2検体の解析結果(C100TとG310Tのハプロタイプ)を示す図である。 アレル2/1検体の解析結果(C100TとG310Tのハプロタイプ)を示す図である。 アレル10/1検体の解析結果(G1661CとA2097Gのハプロタイプ)を示す図である。 PCRのサイクル条件の一例を示す図である。 PCRのサイクル条件の一例を示す図である。
符号の説明
301:標的核酸
303:標的核酸の相補鎖
305:第1の順方向プライマー
306:第1の標識
307:第2の順方向プライマー
308:第2の標識
309:逆方向プライマー
310:増幅産物
311:第1のプローブ
313:第2のプローブ
315:マイクロアレイ
501:第1の染色体を構成する核酸
503:第2の染色体を構成する核酸

Claims (2)

  1. 5’側に第1のSNP部位を有し、3’側に第2のSNP部位を有する標的核酸のハプロタイプの決定方法であって、
    (i)前記第1のSNP部位が野生型ヌクレオチドである場合に対応する第1の順方向プライマーとして、該第1のSNP部位を含む部分の塩基配列に対して同一な塩基配列を有し、前記第1のSNP部位にある野生型ヌクレオチドと同一のヌクレオチドを3’末端部に有し、且つ5’末端に第1の標識を有するプライマーを用意する工程と、
    (ii)前記第1のSNP部位が変異型ヌクレオチドである場合に対応する第2の順方向プラマーとして、該第1のSNP部位を含む部分の塩基配列に対して同一な塩基配列を有し、前記第1のSNP部位にある変異型ヌクレオチドと同一のヌクレオチドを3’末端部に有し、且つ5’末端に、前記第1の標識とは異なるシグナルを与える第2の標識を有するプライマーを用意する工程と、
    (iii)前記標的核酸の相補鎖の、前記第2のSNP部位よりも5’末端側の、該第2のSNP部位に対応する部位を含まない部分の塩基配列に対して同一な塩基配列を有する逆方向プライマーを用意する工程と、
    (iv)前記第1の順方向プライマー、前記第2の順方向プライマー及び逆方向プライマーを用いて、前記第1のSNP部位が野生型か変異型かが未知である標的核酸のPCR反応を行う工程と、
    (v)前記工程(iv)の結果として得られる増幅産物を、該第2のSNP部位が野生型ヌクレオチドである標的核酸の該第2のSNP部位を含む部分を検出するための塩基配列を有する第1のプローブと、該第2のSNP部位が変異型ヌクレオチドである標的核酸の該第2のSNP部位を含む部分を検出するための塩基配列を有する第2のプローブと、ハイブリダイゼーション反応させ、該第1または第2のプローブとのハイブリッド体の形成を示すシグナルを検出する工程、
    を含むことを特徴とするハプロタイプの決定方法。
  2. 前記第1の標識及び該第2の標識が蛍光標識である請求項1記載のハプロタイプの決定方法。
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