本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は繰返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に従う不揮発性記憶装置の代表例として示されるMRAMデバイス1の全体構成を示す概略ブロック図である。
なお、以下の説明で明らかなように、本願発明の適用は、MTJメモリセルを備えたMRAMデバイスに限定されるものではなく、書込まれた記憶データのレベルに応じた通過電流が流れるメモリセルを備える不揮発性記憶装置に共通に適用することができる。
図1を参照して、MRAMデバイス1は、制御信号CMDに応答してMRAMデバイス1の全体動作を制御するコントロール回路5と、各々が、行列状に配置されたMTJメモリセルMCを含むメモリアレイ10とを備える。
ここで、メモリアレイ10の各々に行列状に集積配置された複数のメモリセルMCの行および列を、メモリセル行およびメモリセル列ともそれぞれ称する。
また、MRAMデバイス1は、行デコーダ20と、列デコーダ25と、入出力制御回路30とを備える。行デコーダ20は、アドレス信号ADDに含まれるロウアドレスRAに基づいて、選択的にアクセス対象となるメモリアレイ10における行選択を実行する。また、列デコーダ25は、アドレス信号ADDに含まれるコラムアドレスCAに基づいて選択的にアクセス対象となるメモリアレイ10の列選択を実行する。
また、入出力制御回路30は、入力データDIN、出力データDOUT等のデータの入出力を制御し、コントロール回路5からの指示に応答して内部回路に伝達もしくは外部に出力する。
なお、以下においては、信号、信号線およびデータ等の2値的な高電圧状態および低電圧状態をそれぞれ「H」レベルおよび「L」レベルとも称する。
なお、本例においては、メモリアレイ10において、代表的に単一のメモリセルMCが示され、メモリセル行に対応して設けられたワード線WLおよびデジット線DLと、メモリセル列に対応して設けられたビット線BLとが代表的に一本ずつ示されている。
図2は、メモリアレイ10およびメモリアレイ10のデータ読出を実行する周辺回路の概念図(以下、データ読出系回路とも称する)である。
図2を参照して、ここでは、入出力制御回路30に含まれるメモリアレイ10に対応して設けられたデータ読出動作のための回路群(データ読出回路系)が示される。
メモリアレイ10は、複数のメモリマットに分割されているものとする。ここでは、一例として2つのメモリマットMAT1,MAT2とに分割された場合が示されている。
メモリマットMAT1,MAT2は、それぞれ行列状に集積配置されたメモリセルMCとメモリセルMCの比較対象として設けられる複数のダミーメモリセルDMCとを有する。
複数のダミーメモリセルDMCは、メモリセル列を共有するように1個ずつ設けられている。本構成により、ダミーメモリセルを効率的に配置することができメモリアレイの面積を縮小することができる。
メモリマットMAT1において、メモリセル行にそれぞれ対応して複数のワード線WLが設けられる。本例においては、メモリセルMCに対応して設けられたワード線WLi(i:自然数)と、ダミーメモリセルDMCに対応して設けられたワード線DWLとが示されている。また、メモリセル行にそれぞれ対応してメモリセルMCに対してデータ書込を実行するデータ書込電流が供給されるデジット線DLi,DDLとが設けられる。
メモリマットMAT2において、メモリセル行にそれぞれ対応して複数のワード線/WLが設けられる。本例においては、メモリセルMCに対応して設けられたワード線/WLiと、ダミーメモリセルDMCに対応して設けられたワード線/DWLとが示されている。また、メモリセル行にそれぞれ対応してメモリセルMCに対してデータ書込を実行するデータ書込電流が供給されるデジット線/DLi,/DDLとが設けられる。
また、メモリセル列に対応してビット線が設けられる。具体的には、メモリマットMAT1においてはビット線BL1が示されている。また、メモリマットMAT2においてハビット線/BL1が示されている。ビット線BL1,/BL1はビット線対を構成する。
また、ビット線の一端側および他端側にはゲートスイッチ回路GSWがそれぞれ設けられる。たとえば、ビット線BL1の一端側および他端側にはゲートスイッチGSW1,/GSW1が設けられる。また、ビット線/BL1の一端側および他端側にはゲートスイッチGSW2,/GSW2が設けられる。
ゲートスイッチGSW1は、書込選択スイッチWS1と、読出選択スイッチRS1と、トランジスタスイッチTr3,Tr4とを含む。
書込選択スイッチWS1とトランジスタスイッチTr3は、ビット線BL1の一端側と書込データバスWDB1との間に接続され、それぞれ書込列選択信号WCSL1および書込制御信号/WTの入力をそれぞれ受ける。
読出選択スイッチRS1は、ビット線BL1の一端側と読出データバスRDBとの間に接続され、読出列選択信号RCSL1の入力を受ける。
トランジスタスイッチTr4は、ビット線BL1の一端側と接地電圧GNDとの間に接続され、書込制御信号WTの入力を受ける。
ゲートスイッチ/GSW1は、書込選択スイッチ/WS1と、トランジスタスイッチTr1,Tr2とを含む。
書込選択スイッチ/WS1とトランジスタスイッチTr1は、ビット線BL1の他端側と書込データバス/WDB1との間に接続され、それぞれ書込列選択信号WCSL1および書込制御信号WTの入力をそれぞれ受ける。
トランジスタスイッチTr2は、ビット線BL1の他端側と接地電圧GNDとの間に接続され、書込制御信号/WTの入力を受ける。
また、メモリマットMAT1,MAT2に対してそれぞれデータ書込電流を供給するための定電流源Iw1,/Iw1およびIw2,/Iw2が設けられる。
定電流源Iw1,/Iw1は、それぞれ書込データバスWDB1,/WDB1とそれぞれ接続される。また、定電流源Iw2,/Iw2は、それぞれ書込データバスWDB2,/WDB2とそれぞれ接続される。ここで、定電流源Iw1,/Iw1は、ビット線BLの一方から他方あるいは他方から一方に流すデータ書込電流を供給する。定電流源Iw2,/Iw2についても同様である。
図2においては、メモリアレイにおいて、ビット線対たとえばビット線BL1,/BL1に対応して設けられた書込列選択信号WCSLを伝達する書込列選択線および読出列選択信号RCSLを伝達する読出列選択線(図示せず)が示されている。
ここで、メモリセルMCの回路構成について説明する。
図3は、磁気トンネル接合部を有するMTJメモリセルMC(以下、単にメモリセルMCとも称する)の構成を示す概略図である。
図3を参照して、メモリセルMCは、磁気的に書込まれた記憶データのデータレベルに応じて電気抵抗が変化するトンネル磁気抵抗素子TMRと、アクセストランジスタATRとを含む。アクセストランジスタATRは、ビット線BLおよび接地電圧GNDの間に、トンネル磁気抵抗素子TMRと直列に接続される。代表的には、アクセストランジスタATRとして、半導体基板上に形成された電界効果型トランジスタが適用される。
メモリセルMCに対しては、データ書込時に異なった方向のデータ書込電流をそれぞれ流すためのビット線BLおよびデジット線DLと、データ読出時に活性化されるワード線WLとが設けられる。データ読出時においては、アクセストランジスタATRのターンオンに応答して、トンネル磁気抵抗素子TMRは、接地電圧GNDおよびビット線BLの間に電気的に結合される。
ここで、MTJメモリセルの構成およびデータ記憶原理について説明しておく。
図4は、MTJメモリセルの構造およびデータ記憶原理を説明する概念図である。
図4を参照して、トンネル磁気抵抗素子TMRは、固定された一定の磁化方向を有する強磁性体層(以下、単に「固定磁化層」とも称する)FLと、外部からの印加磁界に応じた方向に磁化可能な強磁性体層(以下、単に「自由磁化層」とも称する)VLとを有する。固定磁化層FLおよび自由磁化層VLの間には、絶縁体膜で形成されるトンネルバリア(トンネル膜)TBが設けられる。自由磁化層VLは、書込まれる記憶データのレベルに応じて、固定磁化層FLと同一方向または固定磁化層FLと反対方向に磁化される。これらの固定磁化層FL、トンネルバリアTBおよび自由磁化層VLによって磁気トンネル接合が形成される。
トンネル磁気抵抗素子TMRの電気抵抗は、固定磁化層FLおよび自由磁化層VLのそれぞれの磁化方向の相対関係に応じて変化する。具体的には、トンネル磁気抵抗素子TMRの電気抵抗は、固定磁化層FLの磁化方向と自由磁化層VLの磁化方向とが同じ(平行)である場合に低抵抗状態(最小値)Rminとなり、両者の磁化方向が反対(反平行)方向である場合に高抵抗状態(最大値)Rmaxとなる。
データ書込時においては、ワード線WLが非活性化されて、アクセストランジスタATRはターンオフされる。この状態で、自由磁化層VLを磁化するためのデータ書込電流は、ビット線BLおよびデジット線DLのそれぞれにおいて、書込データのレベルに応じた方向に流される。
図5は、MTJメモリセルへのデータ書込電流の供給とトンネル磁気抵抗素子の磁化方向との関係を示す概念図である。
図5を参照して、横軸H(EA)は、トンネル磁気抵抗素子TMR内の自由磁化層VLにおいて磁化容易軸(EA:Easy Axis)方向に印加される磁界を示す。一方、縦軸H(HA)は、自由磁化層VLにおいて磁化困難軸(HA:Hard Axis)方向に作用する磁界を示す。磁界H(EA)およびH(HA)は、ビット線BLおよびデジット線DLをそれぞれ流れる電流によって生じる2つの磁界の一方ずつにそれぞれ対応する。
MTJメモリセルにおいては、固定磁化層FLの固定された磁化方向は、自由磁化層VLの磁化容易軸に沿っており、自由磁化層VLは、記憶データのレベルに応じて、磁化容易軸方向に沿って、固定磁化層FLと平行あるいは反平行(反対)方向に磁化される。MTJメモリセルは、自由磁化層VLの2通りの磁化方向と対応させて、1ビットのデータを記憶することができる。
自由磁化層VLの磁化方向は、印加される磁界H(EA)およびH(HA)の和が、図5に示されるアステロイド特性線の外側の領域に達する場合においてのみ新たに書換えることができる。すなわち、印加されたデータ書込磁界がアステロイド特性線の内側の領域に相当する強度である場合には、自由磁化層VLの磁化方向は変化しない。
アステロイド特性線に示されるように、自由磁化層VLに対して磁化困難軸方向の磁界を印加することによって、磁化容易軸に沿った磁化方向を変化させるのに必要な磁化しきい値を下げることができる。図5に示すように、データ書込時の動作点は、デジット線DLとビット線BLとの両方に所定のデータ書込電流を流したときに、MTJメモリセルの記憶データ、すなわちトンネル磁気抵抗素子TMRの磁化方向を書換えられるように設計される。
図5に例示された動作点では、データ書込対象であるMTJメモリセルにおいて、磁化容易軸方向のデータ書込磁界は、その強度がHWRとなるように設計される。すなわち、このデータ書込磁界HWRが得られるように、ビット線BLまたはデジット線DLを流されるデータ書込電流の値が設計される。一般的に、データ書込磁界HWRは、磁化方向の切換えに必要なスイッチング磁界HSWと、マージン分ΔHとの和で示される。すなわち、HWR=HSW+ΔHで示される。
トンネル磁気抵抗素子TMRに一旦書込まれた磁化方向、すなわちMTJメモリセルの記憶データは、新たなデータ書込が実行されるまでの間不揮発的に保持される。各メモリセルの電気抵抗は、厳密には、トンネル磁気抵抗素子TMR、アクセストランジスタATRのオン抵抗、およびその他の寄生抵抗の和であるが、トンネル磁気抵抗素子TMR以外の抵抗分は記憶データによらず一定であるので、以下においては、記憶データに応じた2種類の正規メモリセルの電気抵抗についても、RmaxおよびRminで示し、両者の差をΔR(すなわち、ΔR=Rmax−Rmin)と示すものとする。
なお、図2のメモリマットMAT1,MAT2に配置されるダミーメモリセルDMCの各々は、予め書込まれた電気抵抗RmaxおよびRminの中間の電気抵抗値に固定的に設定される。
再び図2を参照して、メモリマットMAT1,MAT2に共通に設けられ、ゲートスイッチGSW1,GSW2を介してビット線BL1,/BL1と電気的に接続される読出データバスRDB,/RDBが設けられる。読出データバスRDB,/RDBは、読出データバス対を構成する。
ゲートスイッチGSW1において、読出スイッチRS1は、データ読出時において列デコーダ25の列選択指示である読出列選択信号RCSL1に応答してビット線BL1の一端側と読出データバスRDBとを電気的に接続する。また、ゲートスイッチGSW2において、読出スイッチRS2は、データ読出時において列デコーダ25の列選択指示である読出列選択信号RCSL1に応答してビット線/BL1の一端側と読出データバス/RDBとを電気的に接続する。
また、読出データバスRDB,/RDBに生じる通過電流差に応じた読出データを検知するセンスアンプ部SAと、センスアンプ部SAの入力ノードと、読出データバスRDB,/RDBとの接続関係を切替可能なスイッチRDBSWとを設ける。
図6は、本発明の実施の形態1に従うセンスアンプ部SAの回路構成図である。
図6を参照して、本発明の実施の形態1に従うセンスアンプ部SAは、電源供給ノードN0に電源電圧Vccを供給するための電圧供給ユニット90と、ノードN0とノードN1との間に配置され、そのゲートがノードN1と電気的に結合されるトランジスタQP1と、電源電圧Vccの供給を受けるノードN3とセンスノード/SNとの間に配置され、そのゲートがノードN1と電気的に結合されるトランジスタQP2と、ノードN3とノードN6との間に配置され、そのゲートがノードN1と電気的に結合されるトランジスタQP3と、ノードN0とノードN2との間に配置され、そのゲートがノードN2と電気的に結合されるトランジスタQP5と、ノードN3とセンスノードSNとの間に配置され、そのゲートがノードN2と電気的に結合されるトランジスタQP6と、ノードN3とノードN4との間に配置され、そのゲートがノードN2と電気的に結合されるトランジスタQP7と、センスノード/SNとノードN5との間に配置され、そのゲートがセンスノード/SNと電気的に結合されるトランジスタQN1と、ノードN4とノードN5との間に配置され、そのゲートがセンスノード/SNと電気的に結合されるトランジスタQN2と、ノードN6とノードN5との間に配置され、そのゲートがセンスノードSNと電気的に結合されるトランジスタQN3と、センスノードSNとノードN5との間に配置され、そのゲートがセンスノードSNと電気的に結合されるトランジスタQN4と、ノードN5に接地電圧GNDを供給するための電圧供給ユニット91とを含む。
また、センスノードSN,/SNと接続されて、センスノードSN,/SNに伝達されたセンスデータSOUT,/SOUTの差をさらに増幅して読出データRDTを出力するアンプ50をさらに含む。
また、ノードN1と読出データバスRDBとの間に配置され、そのゲートはVref発生回路40によって生成される基準電圧Vrefの入力を受けるトランジスタQV1と、ノードN2と読出データバス/RDBとの間に配置され、そのゲートは基準電圧Vrefの入力を受けるトランジスタQV2とを含む。これに伴い、トランジスタQV1およびQV2は、読出データバスRDB,/RDBを基準電圧以下に維持する。
また、後述するが、センスアンプ部SAのオフセットの極性を判断するためのテスト回路も設けられている。具体的には、テスト回路は、読出データバスRDBと接地電圧GNDとの間に設けられたテストトランジスタT1と、読出データバス/RDBと接地電圧GNDとの間に設けられたテストトランジスタT2とを含む。テストトランジスタT1,T2は、テスト時においてそれぞれテスト信号SATE(「H」レベル)の入力を受けて読出データバスRDB,/RDBの電圧レベルを接地電圧GNDにプルダウンする。
電圧供給ユニット90は、電源電圧VccとノードN0との間に配置されたトランジスタQPSを含み、そのゲートは、行デコーダ20からデータ読出時に「L」レベルに活性化される制御信号/SAEの入力を受ける。また、電圧供給ユニット91は、接地電圧GNDとノードN5との間に配置されたトランジスタQNSとを含み、そのゲートは、行デコーダ20からデータ読出時に「H」レベルに活性化される制御信号SAEの入力を受ける。この制御信号SAEおよび/SAEの入力に伴い、センスアンプSAが活性化される。なお、制御信号SAEおよび/SAEは、一例としてコントロール回路5からデータ読出時に出力されるものとする。
ここで、トランジスタQP1〜QP7およびQPSは、一例としてPチャンネルMOSトランジスタとする。また、トランジスタQN1〜QN4,QNS,QV1およびQV2は、一例としてNチャンネルMOSトランジスタとする。なお、本例においては、トランジスタQP1〜QP7の各トランジスタサイズは等しいものとする。また、トランジスタQN1〜QN4の各トランジスタサイズは等しいものとする。
また、トランジスタQP1〜QP3は、カレントミラー回路を構成し、それぞれ同一の動作電流(ミラー電流)を供給しようとする。また、トランジスタQP5〜QP7は、カレントミラー回路を構成し、それぞれ同一の動作電流を供給しようとする。また、トランジスタQN1およびQN2は、カレントミラー回路を構成し、同一の動作電流(ミラー電流)を供給しようとする。また、トランジスタQN3およびQN4は、カレントミラー回路を構成し、同一の動作電流を供給しようとする。本例においては、各トランジスタサイズは等しいものとして説明したが、トランジスタサイズを調整することにより、上記の動作電流量を調整することも可能である。具体的には、カレントミラー回路を構成するトランジスタのサイズ比に応じた動作電流が供給される。以下においても同様である。
なお、トランジスタQP2は、センスノード/SNにノードN1を流れる動作電流と同一の動作電流を供給するとともに、トランジスタQP7,QN1,QN2は、センスノード/SNからノードN2に流れる動作電流と同一の動作電流を供出する。
一方、トランジスタQP6は、センスノードSNにノードN2を流れる動作電流と同一の動作電流を供給するとともに、トランジスタQP3,QN3,QN4は、センスノードSNからノードN1に流れる動作電流と同一の動作電流を供出する。
本発明の実施の形態1に従うセンスアンプ部SAは、読出データバスRDB,/RDBを基準電圧以下に維持するとともに読出データバスRDB,/RDBに生じる通過電流差に応じた電圧差をセンスノードSN,/SNに生じさせる。
ここで、このセンスアンプ部SAのセンス動作について説明する。
一例として、読出データバスRDB,/RDBにそれぞれ通過電流IaおよびIbが流れた場合について説明する。そうすると、上述したようにトランジスタQP1〜QP3は、カレントミラー回路を構成するため、トランジスタQP2およびQP3は、トランジスタQP1を流れる通過電流Iaと同一の動作電流をセンスノード/SNおよびノードN6にそれぞれ供給しようとする。また、同様のタイミングにおいて、トランジスタQP6およびQP7においても、トランジスタQP5に流れる通過電流Ibと同一の動作電流をセンスノードSNおよびノードN4にそれぞれ供給しようとする。一方、上述したようにトランジスタQN1およびQN2もカレントミラー回路を構成するため、トランジスタQN1は、トランジスタQN2と同一の動作電流Ibをセンスノード/SNから接地電圧と接続されたノードN5に供給しようとする。また、上述したようにトランジスタQN3およびQN4もカレントミラー回路を構成するため、トランジスタQN4は、トランジスタQN3と同一の動作電流IaをセンスノードSNから接地電圧GNDと接続されたノードN5に供給しようとする。
そうすると、センスノードSNには、トランジスタQP6により動作電流Ibが供給されようとするが、トランジスタQN4は、トランジスタQN3と同一の動作電流IaでセンスノードSNから供出しようとする。一方、センスノード/SNにはトランジスタQP2により動作電流Iaが供給されようとするが、トランジスタQN1は、トランジスタQN3と同一の動作電流Ibでセンスノード/SNから供出しようとする。
このためカレントミラー回路により読出データバスRDB,/RDBを通過する通過電流に応じたミラー電流を生じさせるとともに、生成されたミラー電流の電流差を電圧差に変換してセンスノードSN,/SNに出力される。たとえば動作電流Ia>Ibの場合にはセンスノードSN,/SNの電圧レベルはそれぞれ「L」レベルおよび「H」レベルに変換される。一方、動作電流Ib>Iaの場合には、センスノードSN,/SNの電圧レベルは、それぞれ「H」レベルおよび「L」レベルに変換される。
そして、アンプ50において、このセンスノードSN,/SNの電圧レベルであるセンス出力SOUT,/SOUTをさらにアンプ50で増幅して読出データRDTが生成される。
なお、本発明の実施の形態1に従うセンスアンプ部SAを動作させる動作電流はメモリセルの記憶データに応じたメモリセル電流に相当するためセンスアンプ部SAの増幅動作に伴う動作電流は極めて小さいものとなる。これによりデータ読出における消費電力を低減したセンスアンプ部SAを実現することが可能となる。
上記においては、例えばメモリマットMAT1,MAT2におけるデータ読出を実行する1つのセンスアンプ部SAについて説明したが、本願においては、複数のセンスアンプ部SAが設けられた構成において、複数のセンスアンプ部SAのオフセットばらつきを抑制する方式について説明する。
図7は、本発明の実施の形態に従う複数のセンスアンプ部を説明する図である。
図7を参照して、ここでは、一例としてセンスアンプ部SA1,SA2が設けられている。図2のメモリマットMAT1,MAT2において、奇数列に対応するビット線対に対応して、センスアンプ部SA1が設けられ、偶数列に対応するビット線対に対応してセンスアンプ部SA2が設けられた場合が示されている。たとえば、メモリマットMAT1,MAT2における奇数列であるビット線BL1,/BL1についてはセンスアンプ部SA1を用いたデータ読出が実行されるものとする。また、次の偶数列であるビット線BL2,/BL2についてはセンスアンプ部SA2を用いたデータ読出が実行されるものとする。
また、各センスアンプ部に対応してスイッチRDBSWが設けられる。具体的には、センスアンプ部SA1,SA2にそれぞれ対応してスイッチRDBSW1,RDBSW2(総称して、スイッチRDBSWとも称する)がそれぞれ設けられる。
図8は、本発明の実施の形態1に従うスイッチRDBSWの回路構成図である。
図8を参照して、本発明の実施の形態1に従うスイッチRDBSWは、トランジスタNT1〜NT4を含む。
トランジスタNT1は、読出データバスRDBのメモリマット側と読出データバスRDBのセンスアンプ部側との間に設けられ、そのゲートは、切替信号S1j(j:自然数)の入力を受ける。なお、ここでは、読出データバスRDB,/RDBのメモリマット側を読出データバスRDBj(mat),RDBj(mat)と標記している。また、読出データバスRDBj,/RDBjのセンスアンプ部側を読み出しデータバスRDBj(SA),/RDBj(SA)と標記している。
トランジスタNT2は、読出データバスRDBjのメモリマット側RDBj(mat)と読出データバス/RDBjのセンスアンプ部側/RDBj(SA)との間に設けられ、そのゲートは切替信号/S1jの入力を受ける。トランジスタNT3は、読出データバス/RDBjのメモリマット側/RDBj(mat)と読出データバスRDBjのセンスアンプ部側RDBj(SA)との間に設けられ、そのゲートは、切替信号/S1j(j:自然数)の入力を受ける。トランジスタNT4は、読出データバス/RDBjのメモリマット側/RDBj(mat)と読出データバス/RDBjのセンスアンプ部側/RDBj(SA)との間に設けられ、そのゲートは、切替信号S1jの入力を受ける。
ここで、切替信号S1j,/S1jがそれぞれ「H」レベルおよび「L」レベルである場合には、読出データバスRDBjのメモリマット側RDBj(mat)と読出データバスRDBjのセンスアンプ部側RDBj(SA)とが電気的に接続される。また、読出データバス/RDBjのメモリマット側/RDBj(mat)と読出データバス/RDBのセンスアンプ部側/RDBj(SA)とが電気的に接続される。
一方、切替信号S1j,/S1jがそれぞれ「L」レベルおよび「H」レベルである場合には、読出データバスRDBjのメモリマット側RDBj(mat)と読出データバス/RDBjのセンスアンプ部側/RDBj(SA)とが電気的に接続される。また、読出データバス/RDBjのメモリマット側/RDBj(mat)と読出データバスRDBjのセンスアンプ部側RDBj(SA)とが電気的に接続される。すなわち、切替信号に応じてセンスアンプ部SAの入力ノードと読出データバスRDB,/RDBとの接続関係が切り替る。
上述したように製造プロセスのばらつき等によって、トランジスタの駆動能力あるいはトランジスタのしきい値電圧の電気的特性が設定した値から外れてしまうため差動増幅を行なうセンスアンプ部には、入力信号が入力されなくてもある一方方向に偏った出力が得られるオフセットが生ずる。
図9は、本願の複数のセンスアンプ部SAのオフセットの分布を説明する図である。
たとえば、テスト時において、テストトランジスタT1,T2に制御信号SATE(「H」レベル)を入力すると、制御信号SATEに応答してテストトランジスタT1,T2がオンする。これに伴い、読出データバスRDB,/RDBは、接地電圧GNDである0Vにプルダウンされる。この場合に、センスアンプ部SAを動作させた場合には、トランジスタQV1,QV2を介して与えられるノードN1,N2の電圧レベルは共に同電位である。したがって、センスアンプ部SAの差動増幅によりセンスノードSN,/SNは同電位となることが期待される。すなわち、センスノードSN,/SNは共に同電位の所定の電位に設定された状態を維持していることが望ましい。
しかしながら、製造プロセスのばらつき等によって所定の電位から一定の幅にオフセットを有することになる。すなわち、所定の電位を基準として正方向あるいは負方向の極性を有することになる。
そうすると、たとえば、センスアンプ部SAのセンスノードSN,/SNと接続される入出力制御回路30内の図示しない増幅回路等を介した出力データDOUTのデータレベルは、センスアンプ部SAが正方向あるいは負方向の極性を有するために「0」あるいは「1」として出力されることになる。それゆえ、センスアンプ部SAのオフセットばらつきによりデータ読出マージンに影響がでてくることになる。
図10は、データ読出時におけるデータ読出マージンを説明する図である。
ここでは、横軸がメモリセルのセル抵抗値に対応し、縦軸がその分布状況に対応している。
図10に示されるようにメモリセルMCの高抵抗状態Rmaxと、低抵抗状態Rminの分布状況が示されている。そして、一般的には、ダミーメモリセルDMCの抵抗値をこの高抵抗Rmaxと、低抵抗状態Rminの中間値に設定することによりデータ読出マージンを確保することが行なわれている。
しかしながら、理想的なダミーメモリセルDMCを設計した場合であっても上記のオフセットばらつきにより基準の抵抗値Rrefからオフセット+σSA〜−σSAの範囲で見かけ上ダミーメモリセルDMCの抵抗値Rrefが変動する可能性がでてくる。
いいかえるならば、メモリデバイスの複数のセンスアンプ部SAが全体として2σSAの範囲内でばらつきが生じる可能性があるためデータ読出マージンを十分に確保することが難しくなる可能性がある。
本実施の形態においては、メモリデバイスの複数のセンスアンプ部SAの極性をいずれか一方に揃えることとする。具体的には、センスアンプ部SAの入力ノードと読出データバスRDB,/RDBとの接続関係を上述した切替信号S1j,/S1jにより切り替える。
これにより、例えば読出データバスRDB,/RDBとがトランジスタQV1,QV2を介する入力ノードN1,N2とそれぞれ接続されている場合に+の極性である場合にはその関係を切り替える。すなわち、読出データバスRDB,/RDBは、トランジスタQV2,QV1を介して入力ノードN2,N1とそれぞれ接続するならば−の極性とすることができる。
なお、この切替信号S1j,/S1jは、外部から入力されるようにすることも可能であるし、たとえばコントロール回路5から出力されるようにすることも可能である。具体的には、テスト時に各センスアンプ部SAに設けられたテストトランジスタT1,T2に対して制御信号SATE(「H」レベル)を入力し、その出力結果をコントロール回路5に入力することにより各センスアンプ部SAについて、出力結果に応じた切替信号S1j,/S1jを生成するようにしても良い。なお、制御信号SATEは、テスト時において所定のコマンド入力に応答してコントロール回路5から出力されるものとする。また、テスト時においてもデータ読出時と同様にセンスアンプ部SAに対して、制御信号SAE,/SAEが入力されることとし、データ読出が実行されてアンプ50からセンスアンプ部SAの極性を示す読出データRDTが出力されるものとする。
図11は、メモリデバイスにおいて、複数のセンスアンプ部SAの極性を負の側に揃えた場合を説明する図である。
図11に示されるように、切替信号S1j,/S1jに応じて複数のセンスアンプ部SAのうちの+の極性のセンスアンプ部の接続を切り替えて−の極性のセンスアンプ部SAとした場合の分布が示されている。なお、ここでは、センスアンプ部SAが負方向の極性を有するためにデータレベル「0」として出力されることになる。
図12は、本発明の実施の形態に従うデータ読出時におけるデータ読出マージンを説明する図である。
ここでは、横軸がメモリセルのセル抵抗値に対応し、縦軸がその分布状況に対応している。
図12に示されるようにメモリセルMCの高抵抗状態Rmaxと、低抵抗状態Rminの分布状況が示されている。上記で説明した方式により複数のセンスアンプ部SAの極性を一方側とすることにより、理想的なダミーメモリセルDMCを設計した場合、上記のオフセットばらつきにより基準の抵抗値Rrefからオフセット−σSAの範囲で見かけ上ダミーメモリセルDMCの抵抗値Rrefが変動する。すなわち、メモリデバイスの複数のセンスアンプ部SAについて、全体としてσSAの範囲内にばらつきを抑えることが可能となる。したがって、メモリデバイス全体として、複数のセンスアンプ部SAにおけるデータ読出マージンを向上させることが可能となる。
(実施の形態2)
実施の形態2においては、さらに全体としてメモリデバイスの複数のセンスアンプ部SAのデータ読出マージンを向上させる方式について説明する。
図13は、本発明の実施の形態2に従うデータ読出時におけるデータ読出マージンを説明する図である。
図12で説明した、例えばダミーメモリセルDMCの抵抗値Rrefを1/2σSAだけ+側にシフトさせれば、図13に示されるように全体として最大オフセットばらつきを1/2σSAに抑えることが可能となり、簡易な方式でデータ読出マージンを十分に確保することが可能となる。
図14は、本発明の実施の形態2に従うダミーメモリセルDMC#の構成図である。
図14を参照して、本発明の実施の形態2に従うダミーメモリセルDMC#は、抵抗値Rrefに設定されたトンネル磁気抵抗素子TMRと、アクセストランジスタATRとの間に調整抵抗部15を設けた構成である。具体的には、トンネル磁気抵抗素子TMRとアクセストランジスタATRとの間にトランジスタ16が設けられ、そのゲートに制御電圧Vadが与えられる。調整抵抗部15は、制御電圧Vadに応じて抵抗値が変化する。
本発明の実施の形態2においては、この制御電圧Vadを調整することによりダミーメモリセルDMC#の基準となる基準抵抗をRef+1/2σSAに設定する。
これに伴い、上述したように簡易にメモリデバイスの複数のセンスアンプ部SAについて、全体としてσSAの範囲内にばらつきを抑えるとともに、最大オフセットばらつきを1/2σSAに抑えてデータ読出マージンを向上させることが可能となる。
(実施の形態2の変形例)
上記の実施の形態2においては、ダミーメモリセルの抵抗値を調整して最大オフセットばらつきを1/2σSAに抑える方式について説明したが、別の方式に従って最大オフセットばらつきを抑制する方式について説明する。
図15は、本発明の実施の形態2の変形例に従うセンスアンプ部SAおよびその周辺回路を説明する図である。
図15(a)に示されるようにセンスアンプ部SAとスイッチ部RDBSWとの間にさらに調整抵抗部15を設ける。
図15(b)は、調整抵抗部15を説明する図である。
図15(b)に示されるように調整抵抗部15は、スイッチRDBSWとセンスアンプ部SAとの入力ノードとの間に設けられたトランジスタ16を含み、そのゲートは制御電圧Vadの入力を受ける。制御電圧Vadの入力電圧レベルを変化させることにより調整抵抗部15の抵抗値が変化する。
図16は、本発明の実施の形態2の変形例に従う切替信号を生成する回路構成図である。
図16を参照して、ここでは、各スイッチRDBSWに対応して、プログラム素子60と、切替信号生成回路70とが設けられる。
プログラム素子60に予めプログラムされたスイッチRDBSWに対応するセンスアンプ部SAの極性を示すプログラム情報が格納されているものとする。そして、プログラム素子60からプログラム情報が切替信号生成回路70に出力される。
切替信号生成回路70は、プログラム素子60からのプログラム情報およびアドレスRA0に基づいて切替信号S1j,/S1jを生成する。
図17は、本発明の実施の形態2の変形例に従うプログラム素子60を説明する図である。
図17を参照して、本発明の実施の形態2の変形例に従うプログラム素子60は、ヒューズ61と、インバータ62と、抵抗63とを含む。
抵抗63は、電源電圧VccとノードNdとの間に設けられる。また、ノードNdと接地電圧GNDとの間には電気的に切断可能なヒューズ61が設けられる。インバータ62は、ノードNdに伝達された信号を反転してプログラム信号Invjとして出力する。
たとえば、ヒューズ61が切断されない場合には、ノードNdの電圧レベルは、「L」レベルに設定される。したがって、プログラム信号Invjは「H」レベルに設定される。一方、ヒューズ61が切断された場合には、ノードNdの電圧レベルは、「H」レベルに設定される。したがって、プログラム信号Invjは「L」レベルに設定される。
したがって、たとえばプログラム信号Invjを「L」レベルに設定した場合にはセンスアンプ部SAの極性を反転させ、プログラム信号Invjを「H」レベルに設定した場合には、センスアンプ部SAの極性を変更しないように設定するものとする。
図18は、本発明の実施の形態2の変形例に従う切替信号生成回路70の回路構成図である。
図18を参照して、切替信号生成回路70は、EX−NOR回路72と、インバータ73とを含む。
EX−NOR回路72は、プログラム信号Invjの入力と、アドレスRA0との入力を受けて、排他的論理NOR演算を実行して、その出力結果を切替信号S1jとする。また、インバータ73は、切替信号S1jを反転して反転信号である切替信号/S1jを生成する。
本例においては、たとえばアドレスRA0が「H」レベルの場合に図2で説明したアクセス対象となるメモリマットMAT1が対応付けられているものとする。また、アドレスRA0が「L」レベルの場合にアクセス対象となるメモリマットMAT2が対応付けられているものとする。
そうすると、たとえばメモリマットMAT1がアクセス対象である場合に、プログラム信号Invjが「L」レベルすなわちセンスアンプ部SAの極性を変更するように指示された場合には、切替信号S1j,/S1jは、それぞれ「L」レベルおよび「H」レベルに設定される。これにより、メモリマットMAT1の選択メモリセルMCと接続されたメモリマット側の読出データバスRDB(mat)は、読出データバス/RDBのセンスアンプ側/RDB(SA)と電気的に接続される。一方、メモリマットMAT2のダミーメモリセルDMCと接続されたメモリマット側の読出データバス/RDB(mat)は、読出データバスRDBのセンスアンプ側RDB(SA)と電気的に接続される。すなわち、接続関係が入れ替わることになる。
一方、プログラム信号Invjが「H」レベルすなわちセンスアンプ部SAの極性を変更しないように指示した場合には、切替信号S1j,/S1jはそれぞれ「H」レベルおよび「L」レベルに設定される。これにより、メモリマットMAT1の選択メモリセルMCと接続されたメモリマット側の読出データバスRDB(mat)は、読出データバスRDBのセンスアンプ側RDB(SA)と電気的に接続される。一方、メモリマットMAT2のダミーメモリセルDMCと接続されたメモリマット側の読出データバス/RDB(mat)は、読出データバスRDBのセンスアンプ側/RDB(SA)と電気的に接続される。すなわち、接続関係が入れ替わらない。
一方で、メモリマットMAT2がアクセス対象である場合、すなわち、アドレスRA0が「L」レベルである場合にプログラム信号Invjが「L」レベルすなわちセンスアンプ部SAの極性を変更するように指示された場合には、切替信号S1j,/S1jは、それぞれ「H」レベルおよび「L」レベルに設定される。したがって、メモリマットMAT1のダミーメモリセルDMCと接続されたメモリマット側の読出データバスRDB(mat)は、読出データバスRDBのセンスアンプ側RDB(SA)と電気的に接続される。一方、メモリマットMAT2のメモリセルMCと接続されたメモリマット側の読出データバス/RDB(mat)は、読出データバスRDBのセンスアンプ側/RDB(SA)と電気的に接続される。すなわち、接続関係が入れ替わらない。
一方、プログラム信号Invjが「H」レベルすなわちセンスアンプ部SAの極性を変更しないように指示した場合には、切替信号S1j,/S1jはそれぞれ「L」レベルおよび「H」レベルに設定される。したがって、メモリマットMAT1のダミーメモリセルDMCと接続された読出データバスRDB(mat)と読出データバス/RDBのセンスアンプ側/RDB(SA)とが電気的に接続され、メモリマットMAT2の選択メモリセルMCと接続された読出データバス/RDB(mat)と読出データバスRDBのセンスアンプ側RDB(SA)とが電気的に接続された状態となっている。
したがって、本例のスイッチ回路RDBSWにおいては、アドレスRA0とセンスアンプ部SAの極性に基づいて一方側および他方側と接続される選択メモリセルMCおよびダミーメモリセルDMCとの接続関係が常に同じ関係となるように切り替えられている。
すなわち、本例においては、ダミーメモリセルDMCが常に調整抵抗部15と接続されるように設定される。これに伴い、上述したように調整抵抗部15において、制御電圧Vadを調整して、調整抵抗部の抵抗値を1/2σSAに設定する。そうすると、ダミーメモリセルDMCの基準となる基準抵抗はRef+1/2σSAに設定される。
これに伴い、上述したように簡易にメモリデバイスの複数のセンスアンプ部SAについて、全体としてσSAの範囲内にばらつきを抑えるとともに、最大オフセットばらつきを1/2σSAに抑えてデータ読出マージンを向上させることが可能となる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3においては、上記の実施の形態で説明したのとは異なるメモリアレイの構成について説明する。
図19は、本発明の実施の形態3に従うメモリアレイおよびその周辺回路を説明する図である。
図19を参照して、本発明の実施の形態3に従うメモリアレイは、複数のメモリマットMAT#を含む。各メモリマットMAT#は、行列状に集積配置されたメモリセルMCを含む。
ここでは、いわゆるフォールディッド(折り返し)ビット線型のメモリアレイ構成が示されている。ここでは、複数のメモリマットのうちの単一のメモリマットMAT#が一例として示されている。また、各メモリマットMAT#に対応して読出データバスRDB,/RDB、スイッチRDBSWおよびセンスアンプ部SAが設けられているものとする。
具体的なメモリマットMAT#の構成としては、互いに相補のビット線BL,/BLでビット線対を形成する。そして、選択されたビット線対と読出データバスRDB,/RDBとが読出スイッチRS,/RSを介して電気的に結合される。本例においては、一例として、ビット線対を形成するビット線BL1,/BL1は、読出スイッチRS1,/RS1を介して読出データバスRDB,/RDBと電気的に結合される場合が示されている。また、ビット線BL2,/BL2は、読出スイッチRS2,/RS2を介して読出データバスRDB,/RDBと電気的に結合される場合が示されている。なお、簡略化しているがワード線WLとビット線BLとの交点付近においては上述したメモリセルMCが設けられているものとする。メモリセルの接続関係等については、図2で説明したのと同様であるのでその詳細な説明は繰り返さない。
たとえば、ワード線WL1およびビット線BL1に対応するメモリセルMCがアクセスされた場合には、選択されたメモリセルMCとビット線BL1とが電気的に結合される。また、奇数番目のワード線WL1の活性化に伴い、ワード線DWLoが活性されてビット線/BL1とダミーメモリセルDMCとが電気的に結合する。
一方、ワード線WL2とビット線/BL1に対応するメモリセルMCがアクセスされた場合には、選択されたメモリセルMCとビット線/BL1とが電気的に結合される。また、偶数番目のワード線WL2の活性化に伴い、ワード線DWLeが活性化されてビット線BL1とダミーメモリセルDMCとが電気的に結合される。
このビット線BLあるいは相補のビット線/BLに対応するメモリセルへのアクセスの切替はアドレスRA0で実行されるものとする。
この構成においても、上述したようにスイッチRDBSWにおいて、極性に応じた読出データバスRDB,/REBとセンスアンプSAの入力ノードとの切替が可能である。
したがって、実施の形態1で説明したのと同様の方式に従って、切替信号S1j,/S1jに基づいてセンスアンプSAの極性を切り替ることにより、メモリデバイスの複数のセンスアンプ部SAについて、全体としてσSAの範囲内にばらつきを抑えることが可能となるため全体としてメモリデバイスの複数のセンスアンプ部SAにおけるデータ読出マージンを向上させることが可能となる。
(実施の形態3の変形例)
図20は、本発明の実施の形態3の変形例に従うメモリアレイおよびその周辺回路を説明する図である。
図20を参照して、本例においてメモリアレイ11は、行列状に集積配置されたメモリセルMCを含む。
メモリアレイ11は、メモリセル行に対応して設けられた複数のワード線WLと、メモリセル列に対応して設けられた複数のビット線BLとを含む。ここでは、代表的に一例として、正規のメモリセルに対応して設けられたワード線WL1,WL2と、ダミーメモリセルに対応して設けられたワード線DWLoおよびDWLeとが示されている。また、ビット線BL1〜BL4が示されている。
また、2組の読出データバスRDB1,/RDB1と、RDB2,/RDB2とが設けられる。読出データバスRDB1,/RDB1と、ビット線BL1,BL2とは、読出スイッチRS1,RS2をそれぞれ介して電気的に結合される。また、読出データバスRDB2,/RDB2と、ビット線BL3,BL4とは、読出スイッチRS3,RS4をそれぞれ介して電気的に結合される。
読出データバスRDB1,/RDB1は、センスアンプ部SA1と電気的に結合されるとともに、読出データバスRDB1,/RDB1とセンスアンプ部SA1との間には、さらに、スワップ回路DSW1と、スイッチRDBSW1とが設けられる。
また、読出データバスRDB2,/RDB2は、センスアンプ部SA2と電気的に結合されるとともに、読出データバスRDB2,/RDB2とセンスアンプ部SA2との間には、さらに、スワップ回路DSW2と、スイッチRDBSW2とが設けられる。また、読出データバス/RDB1の所定のノードNpと、読出データバス/RDB2の所定のノードNqとが電気的に結合されている。
図21は、本発明の実施の形態3の変形例に従うスワップ回路DSWの回路構成図である。
図21を参照して、本発明の実施の形態3の変形例に従うスワップ回路DSWは、トランジスタNT5〜NT8を含む。
これらのトランジスタNT5〜NT8の接続関係については、図8で説明したスイッチRDBSWと同様であるのでその詳細な説明は省略する。具体的な動作については、たとえば、アドレスRA0,/RA0がそれぞれ「H」レベルおよび「L」レベルである場合には、読出データバスRDBのメモリアレイ側RDB(ma)と読出データバスRDBのセンスアンプ部側RDB(SA)とが電気的に接続される。また、読出データバス/RDBのメモリアレイ側/RDB(ma)と読出データバス/RDBのセンスアンプ部側/RDB(SA)とが電気的に接続される。
一方、アドレスRA0,/RA0がそれぞれ「L」レベルおよび「H」レベルである場合には、読出データバスRDBのメモリマット側RDB(ma)と読出データバス/RDBのセンスアンプ部側/RDB(SA)とが電気的に接続される。また、読出データバス/RDBのメモリマット側/RDB(ma)と読出データバスRDBのセンスアンプ部側RDB(SA)とが電気的に接続される。すなわち、アドレス信号に応じてセンスアンプ部SAの入力ノードと読出データバスRDB,/RDBとの接続関係が切り替るように設定されている。
図22は、図21のメモリアレイ11におけるデータ読出を説明する図である。
図22を参照して、本例においては、ワード線WL1およびビット線BL1,BL3に対応するメモリセルが選択された場合について説明する。なお、この場合には、アドレスRA0,/RA0は「H」レベルおよび「L」レベルであるものとする。したがって、スワップ回路DSW1,DSW2においては、特に接続関係は切り替らない。
これに伴い、アクセスされた選択メモリセルと読出データバスRDB1,RDB2とがそれぞれ電気的に結合される。
また、奇数番目のワード線WL1の活性化に伴い、ワード線DWLoも活性化されるものとする。
これに伴い、ビット線BL2,BL4に対応するダミーメモリセルDMCと読出データバス/RDB1,/RDB2とがそれぞれ電気的に結合される。ここで、ビット線BL2,BL4に対応するダミーメモリセルDMCが有するトンネル磁気抵抗素子TMRの電気抵抗はRminおよびRmaxにそれぞれ設定されているものとする。
そうすると、ビット線BL2,BL4に対応するダミーメモリセルDMCが有するトンネル磁気抵抗素子TMRには、電気抵抗RminおよびRmaxに応じた通過電流ImaxおよびIminがそれぞれ流れる。
一方で、ノードNpおよびノードNqは互いに電気的に結合された状態であるためノードNpおよびノードNqには、この通過電流ImaxおよびIminの和の半分の値である同一の基準電流であるIref(=1/2(Imax+Imin))がそれぞれ供給される。
したがって、この基準電流Irefと、正規のメモリセルの通過電流Isとを比較することにより上記で説明していたのと同様のデータ読出が可能である。
本例の構成においては、ダミーメモリセルのトンネル磁気抵抗素子TMRの電気抵抗RmaxとRminの中間抵抗であるRrefに設定する必要がなく、簡易に基準電流Irefを生成することができる。
一方、例えば、ワード線WL2およびビット線BL2,BL4に対応するメモリセルが選択された場合について説明する。この場合には、アドレスRA0,/RA0は、「L」レベルおよび「H」レベルに設定される。したがって、スワップ回路DSW1,DSW2において、その接続関係は切り替った状態である。
ワード線WL2の活性化に伴い、対応する選択メモリセルと、読出データ線/RDB1,/RDB2とが電気的に結合される。また、偶数番目のワード線WL2の活性化に伴い、ワード線DWLeが活性化される。これに伴い、ワード線DWLeに対応するダミーメモリセルと読出データバスRDB1,RDB2とが電気的に結合される。
ここで、上述したようにスワップ回路DSW1,DSW2において、接続関係が切り替っているためダミーメモリセルDMCは、ノードNpおよびNqとそれぞれ電気的に結合される。
したがって、ビット線BL1,BL3には、上述したようにトンネル磁気抵抗素子TMRの抵抗値に応じた電流ImaxおよびIminが流れる。したがって、ノードNpおよびNqには、基準電流Irefが流れる。
これに伴い、上記と同様に基準電流Irefと通過電流Isとの比較によりデータ読出を実行可能である。
そして、本例においては、上述したセンスアンプ部SAの極性を反転させるためのスイッチRDBSW1,RDBSW2がさらに設けられている。
したがって、本願構成においても実施の形態1で説明したのと同様の方式に従って、切替信号S1j,/S1jに基づいてセンスアンプ部SAの極性を切り替えることにより、メモリデバイスの複数のセンスアンプ部SAについて、全体としてσSAの範囲内にばらつきを抑えることが可能となるため全体としてメモリデバイスの複数のセンスアンプ部SAにおけるデータ読出マージンを向上させることが可能となる。
(実施の形態4)
本実施の形態4においては、複数のセンスアンプ部SAの極性を示す情報をメモリアレイから読み出して、それに基づいて切替信号S1j,/S1jを生成する方式について説明する。
図23は、本発明の実施の形態4に従うメモリアレイ10#と、その周辺回路を説明する図である。
図23を参照して、本発明の実施の形態3に従うメモリアレイ10#は、正規のメモリセルが集積配置されたメモリアレイMAと、正規のメモリセルと同様のメモリセルを有する、複数のセンスアンプ部SAの極性を示す情報が格納されているプログラムアレイPMAとを含む。
なお、本発明の実施の形態3においては、予め上述した極性を判別するためのテストが実行されているものとする。そして、テスト結果に基づいて複数のセンスアンプ部SAの極性を変更するかどうかの判断がなされてその判断結果としてプログラムアレイPMAに情報として格納(データ書込)されているものとする。メモリセルのデータ書込については、上記したのと同様であるのでその詳細な説明は省略する。
また、たとえば、プログラムアレイPMAとしては、正規メモリアレイMAと同様にメモリセルを集積配置した内のメモリアレイ10#の所定領域をプログラムアレイPMA領域として割り当てることも可能である。このように1つのメモリアレイ10#の一部分を用いてプログラムアレイPMAとすることにより、独立にプログラムアレイPMAを設ける必要がなく、コスト的な面および面積効率の面で効果がある。あるいは、特別なプログラムアレイを設けた構成とすることも可能である。
また、周辺回路として、複数のセンスアンプ部SA等が含まれている読出回路系35と、プログラムレジスタラッチ回路60#と、切替信号生成回路70とを含む。
本実施の形態3においては、電源投入時にコントロール回路5がプログラムアレイPMAをアクセスして複数のセンスアンプ部SAの極性を変更するかどうかの情報のデータ読出を実行するものとする。なお、プログラムアレイPMAには、複数のセンスアンプ部SAに対応する複数のプログラムセルが設けられているものとする。そして、電源投入後のデータ読出により複数のプログラムセルから格納されている複数のセンスアンプ部SAの極性を変更するか否かの情報である複数のプログラムデータが読み出されるものとする。
具体的には、上述した複数のセンスアンプ部SAのうちの少なくとも1つを用いてプログラムアレイPMAに格納された複数のプログラムデータが読み出されるものとする。
読出回路系35は、当該データ読出により読み出されたプログラムデータをプログラムレジスタラッチ回路60#に入力する。プログラムレジスタラッチ回路60#は、読出回路系35から与えられるプログラムデータを格納してプログラム信号Invjとして出力する。
切替信号生成回路70は、実施の形態2において説明したようにプログラム信号InvjおよびアドレスRA0の入力に基づいて切替信号S1j,/S1jを生成して読出回路系の対応するセンスアンプ部SAに対応して設けられたスイッチRDBSWに入力される。
そして、対応するスイッチRDBSWにおいて、複数のセンスアンプ部SAのうちの対応するセンスアンプ部SAの極性が切替信号S1j,/S1jに従って切り替えられる。
本実施の形態においては、メモリアレイ10#のメモリセルを用いて複数のセンスアンプ部SAの極性を示す情報を格納するため図17で説明したようなヒューズ素子を新たに設ける必要がなく、簡易に切替信号を生成することが可能である。また、ヒューズ素子の場合には、固定的にプログラムデータが確定してしまう可能性があるが、本願実施の形態においては、プログラムセルのデータを書き換えれば変更可能である点でも自由度が高く、制御性に優れる。
(実施の形態4の変形例)
上記の実施の形態4においては、プログラムアレイについても上記で説明したのと同様のメモリセルを用いた場合について説明したが、本実施の形態4の変形例においては、極性情報のデータ読出に関しては、通常の正規のメモリセルよりもデータ読出マージンを十分に確保しつつ実行する場合について説明する。
図24は、本発明の実施の形態4の変形例に従うプログラムアレイと、その周辺回路を説明する図である。
図24を参照して、本発明の実施の形態4の変形例に従うプログラムアレイPMAは、行列状に集積配置された複数のメモリセルMCを有する。
図19で説明したメモリマットと異なる点は、メモリセルが隣接するワード線WLおよび隣接するビット線BLにおいて交互に配置された構成であるが、図24に示されるプログラムアレイは、複数のワード線および複数のビット線において交差する部分に全てのメモリセルが配置された構成である。
そして、本発明の実施の形態4に従うプログラムアレイにおけるメモリセルMCUは、ワード線WLを共通とし、互いに相補の関係にあるビット線BL,/BLに対応する2つのメモリセルMCを有している。そして、2つのメモリセルMCは互いに相補のプログラムデータを有するように設定される。たとえば、一方のメモリセルが高抵抗状態Rmaxである場合には、他方のメモリセルは、低抵抗状態Rminである。
これに伴い、相補のビット線BL,/BLを用いたデータ読出を実行した場合、基準電流を用いた時と比較して、高抵抗状態Rmaxと低抵抗状態Rminとの比較に基づいてデータ読出が実行されるため十分な読出データマージンを確保することが可能となり、センスアンプ部SAの極性を変更する前の状態であってもプログラムデータの信頼性を補償することができる。
なお、上記においては、メモリセルにトンネル磁気抵抗素子を含むMRAMデバイスを一例として説明してきたが、これに限られずOUMデバイス、フラッシュメモリデバイス等種々の不揮発性記憶装置に同様に適応可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 MRAMデバイス、5 コントロール回路、10,10#,11 メモリアレイ、15 調整抵抗部、20 行デコーダ、25 列デコーダ、30 入出力制御回路、50 アンプ。