JP2007011216A - フレネルレンズ - Google Patents

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    • G02B19/0009Condensers, e.g. light collectors or similar non-imaging optics characterised by the optical means employed having refractive surfaces only

Abstract

【課題】 フレネルレンズにおいて、入射光を均一に調整する。
【解決手段】 各輪帯領域RZ内に形成された各台形状回折格子12は、各輪帯ピッチRpに合わせて底辺長さを設定した底辺12aと、外周側に向けて傾斜した傾斜面(12b)を有し且つ入射光Lに対して特定次数の回折光を回折して所定の集光位置に集光させる第1回折格子部12bと、底辺12aに平行な上辺12c及び内周側に向けて傾斜した傾斜面12dを有し且つ第1回折格子部12bと異なる回折次数に入射光Lを回折して特定次数以外の回折光を発生させると共に入射光Lに対して光透過率を調整する第2回折格子部12eとを備えてなり、底辺12aを高さ基準にして各台形状回折格子12の高さHを、各輪帯領域RZがそれぞれ要求する光透過率になるように各輪帯領域RZごとに可変させたことを特徴とするフレネルレンズ10を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、光透過性を有する円盤状の光学基板上に、複数の輪帯領域が中心から外周側に向かって各輪帯ピッチを除々に狭めて設定され、且つ、各輪帯領域内に各台形状回折格子が形成されたフレネルレンズであって、各台形状回折格子の底辺側から入射した入射光が上辺側に出射する際に、各台形状回折格子の高さを各輪帯領域ごとに可変させることで、各輪帯領域ごとに入射光に対する光透過率を調整して、内周部及び外周部での光量分布を均一化できるように構成したフレネルレンズに関するものである。
最近、回折光学素子の一種であるフレネルレンズは、非球面レンズと組み合わせることにより、光学的な収差を小さな値に設定できる等の理由から、光ディスク装置の光ピックアップや、光通信装置の光学系に多用されている。
この種のフレネルレンズの一例として直角三角形状の回折格子を有するフレネルレンズを、ガラス材を用いて金型により加熱圧縮成形するか、又は、透明樹脂材を用いて金型により射出成形して作製する場合に、フレネルレンズ用の金型をダイヤモンド工具により切削加工して作製する技術的思想が開示されている(非特許文献1)。
光技術コンタクト Vol.26、No3(1988)、P208〜212
図14(a),(b)は従来例として直角三角形状の回折格子を有するフレネルレンズを示した平面図,縦断面図、
図15は図14に示した従来のフレネルレンズを金型により成形する際に、フレネルレンズ用の金型をダイヤモンド工具により切削加工して作製する状態を模式的に示した縦断面図、
図16は従来のフレネルレンズに、中央部の光束は光強度が強く、且つ、外周部の光束は光強度が弱いレーザー光を入射させた状態を模式的に示した図である。
図14(a),(b)に示したように、従来のフレネルレンズ100は、光透過性を有するガラス材や透明樹脂材などを用いた円盤状の光学基板(Optical Base Plate)OBP上に、複数の輪帯領域(Ring Zone)RZが中心0を中心にしてリング状の同心円を描き、且つ、中心0から外周側に向かって各輪帯領域RZが各輪帯ピッチを除々に狭めて設定されていると共に、各輪帯領域RZ内には直角三角形状の回折格子101がそれぞれ形成されている。この際、上記した回折格子101は、光学基板OBP上で入射光となるレーザー光Lが入射する側に仮想に設定した底辺101aと、この底辺101aと対向して入射光回折面となる傾斜面101bと、位相折り返しポイント面となる垂直面101cとに囲まれて直角三角形状に形成されている。
そして、各輪帯領域RZ内に形成された各回折格子101の回折効果を利用してレンズ機能を持たせている。
ところで、上記した従来のフレネルレンズ100を例えば光ディスク装置(図示せず)のピックアップの回折光学素子として用いるような場合には、素子としての小型化と、フレネルレンズ100に入射させるレーザー光のビームパワーを有効利用するために高い回折効率との双方が要求されている。
これらの要求を実現するために、従来のフレネルレンズ100は、前述したように、ガラス材を用いて金型により加熱圧縮成形するか、又は、透明樹脂材を用いて金型により射出成形して作製されているが、この際、図15に示したように、フレネルレンズ用の金型150が、ダイヤモンド工具151により金属製金型母材上で仮想に設定した底辺150aと、この底辺150aに対向した傾斜面150bと、垂直面150cとに囲まれて直角三角形状に切削加工して作製されている。
具体的には、図15に示したように、フレネルレンズ用の金属製金型母材を回転させながらダイヤモンド工具151の先端に取り付けたダイヤモンドバイト151aを移動させて直角三角形状の回折格子パターンを刻んでおり、回折格子101{図14(b)}の位相分布を直線近似する方法によって、加工時間を短縮できること、切削加工面が良好な表面粗さに保てること等のメリットが得られる。
ここで、フレネルレンズ用の金型150において、一つの輪帯領域分の位相形状は略直角三角形であり、フレネルレンズ100の入射光回折面となる傾斜面101b{図14(b)}と対応した傾斜面150bは輪帯ピッチにおける切削最高高さから最小高さまでを結んで略直線状になっていると共に、フレネルレンズ100の位相折り返しポイント面となる垂直面101c{図14(b)}と対応した垂直面150cは金型水平方向に対して略垂直に立ち上がる形状になっている。
そして、ダイヤモンド工具151の先端に取り付けたダイヤモンドバイト151aが切削加工面と平行となる際、切削加工面が鏡面状になるので、ダイヤモンドバイト151aを傾斜させて傾斜面150bを所定の傾斜角を持って切削加工する一方、ダイヤモンドバイト151aを略垂直に起立させて垂直面150cを略垂直に切削加工することで、フレネルレンズ用の金型150が作製されている。
この後、作製したフレネルレンズ用の金型150を用いて、上記した従来のフレネルレンズ100をガラス材又は透明樹脂材により成形している。
ところで、光ピックアップ等の光源に使用されている半導体レーザー(図示せず)は光強度分布を持っており、図16に示した如く、従来のフレネルレンズ100に、半導体レーザーから出射したレーザー光Lを不図示のコリメータレンズで平行光に変換して入射させた時に、一般的に、適宜な位置で断面した時の断面積が略円形であるレーザー光Lの光束の中央部は光強度が強く(光量が大きく)、且つ、外周部の光束は光強度が弱い(光量が小さい)傾向がある。このように不均一な光強度分布(光量分布)を持ったレーザー光Lの光束を従来のフレネルレンズ100に入射させて集光した場合、レンズ外周部の光強度が、中央部と比較して弱くなるために、レンズの口径が小さくなった状態と等価な現象となる。このため、レンズの開口数(NA)が低下し、集光スポットが本来のレンズ設計と比較して、大きくなるといった現象が起き、光学特性の劣化が発生し、問題となっている。
そこで、本発明では、レーザー光を集光するフレネルレンズに、集光機能の他に、レーザー光源の光強度分布(光量分布)を調整する機能を備え、フレネルレンズへの入射光を均一に調整することで、フレネルレンズの中央部と外周部での光量分布を均一とし、前述のNA低下を抑制し、集光スポットの劣化を防止することができる構造形態のフレネルレンズが望まれている。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、請求項1記載の発明は、光透過性を有する光学基板上に複数の輪帯領域が中心から外周側に向かって各輪帯ピッチを除々に狭めて設定され、且つ、各輪帯領域内に各台形状回折格子が形成されたフレネルレンズであって、
前記各台形状回折格子は、前記光学基板上で入射光が入射する側に前記各輪帯ピッチに合わせて底辺長さを設定した底辺と、前記底辺を透過した前記入射光が出射する側に外周側に向けて傾斜した傾斜面を有し且つ前記入射光に対して特定次数の回折光を回折して所定の集光位置に集光させる第1回折格子部と、前記底辺を透過した前記入射光が出射する側にこの底辺に平行な上辺及び内周側に向けて傾斜した傾斜面を有し且つ前記第1回折格子部と異なる回折次数に前記入射光を回折して特定次数以外の回折光を発生させると共に前記入射光に対して光透過率を調整する第2回折格子部とを備えてなり、
前記底辺を高さ基準として前記各台形状回折格子の高さを、前記各輪帯領域がそれぞれ要求する光透過率になるように前記各輪帯領域ごとに可変させたことを特徴とするフレネルレンズである。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のフレネルレンズにおいて、
前記光学基板上でレンズ最外周部の前記輪帯領域内に形成される前記台形状回折格子は、前記上辺の長さをゼロに設定して三角形状回折格子に成したことを特徴とするフレネルレンズである。
更に、請求項3記載の発明は、請求項1記載のフレネルレンズにおいて、
前記光学基板上でレンズ中心部の前記輪帯領域内に形成される前記台形状回折格子は、内周側に向けて傾斜した前記第2回折格子部の前記傾斜面の角度を前記底辺に対して直角に設定したことを特徴とするフレネルレンズである。
請求項1記載のフレネルレンズによると、とくに、光学基板上で中心から外周側に向かって各輪帯ピッチを除々に狭めて設定した各輪帯領域内に形成された各台形状回折格子は、各輪帯ピッチに合わせて底辺長さを設定した底辺と、外周側に向けて傾斜した傾斜面を有する第1回折格子部と、底辺と平行な上辺及び内周側に向けて傾斜した傾斜面を有する第2回折格子部とを備え、底辺を高さ基準として各台形状回折格子の高さを、各輪帯領域がそれぞれ要求する光透過率になるように各輪帯領域ごとに可変させているので、本発明に係るフレネルレンズを例えば光ピックアップに適用した時に、フレネルレンズに入射する入射光に光量分布があっても、入射光に対して光量分布を均一に補正して、この入射光を所定の集光位置に集光さることができるので、これにより劣化のない集光スポットを得ることができる。更に、本発明に係るフレネルレンズは、入射光の光強度分布を均一化するのみでなく、組み合わせられる光学系の特性に合わせて、任意な光透過率を設定し、任意な光透過光量分布を得ることができる。
また、請求項2記載のフレネルレンズによると、とくに、光学基板上でレンズ最外周部の輪帯領域内に形成される台形状回折格子は、上辺の長さをゼロに設定して三角形状回折格子に成したため、レンズ最外周部で要求される光透過率を高い値に設定できる。
更に、請求項3記載のフレネルレンズによると、とくに、光学基板上でレンズ中心部の輪帯領域内に形成される台形状回折格子は、内周側に向けて傾斜した第2回折格子部の傾斜面の角度を底辺に対して直角に設定したため、このフレネルレンズ用の金型を作製する際に、レンズ中心部では第2回折格子部の傾斜面を切削加工することなく、第1回折格子部の傾斜面と第2回折格子部の上辺とを切削加工すれば良いので、レンズ中心部での台形状回折格子を容易に作製できる。
以下に本発明に係るフレネルレンズの一実施例について図1〜図13を参照して詳細に説明する。
本発明に係るフレネルレンズは、例えば、不図示の光ディスク装置の光ピックアップに取り付けられた非球面を有する対物レンズと組み合わせて適用されている。そして、光ピックアップ内でレーザー光源から出射した不均一な光強度分布(光量分布)を有する光束をフレネルレンズに入射させた時に、フレネルレンズで均一な光強度分布(光量分布)を有する光束に補正して、対物レンズ側に出射できるように構成されている。
図1(a),(b)は本発明に係るフレネルレンズを示した上面図,縦断面図、
図2は本発明に係るフレネルレンズを使用した時に、光学系の光路を説明するための図、
図3は本発明に係るフレネルレンズを使用した時に、光学系の光強度分布及び光透過率を図2中の位置X1〜X3に対応して示した図である。
図1(a),(b)に示した如く、本発明に係るフレネルレンズ10は、光透過性を有するガラス基板を用いた円盤状の光学基板(Optical Base Plate)OBP上に、複数の輪帯領域(Ring Zone)RZが中心0を中心にしてリング状の同心円を描き、中心0から外周側に向かって各輪帯ピッチを除々に狭めて設定されている。
また、フレネルレンズ10の各輪帯領域RZ内には、各台形状回折格子12が各輪帯ピッチに合わせて中心0から外周側に向かって形成されている。
尚、図1(a),(b)中において、フレネルレンズ10のレンズ最外周部の輪帯領域内では、台形状回折格子12に代えて三角形状回折格子11が形成されているが、これについては後で述べる。
そして、フレネルレンズ10の各輪帯領域RZ内に形成された各台形状回折格子12は、光学基板OBP上で入射光となるレーザー光Lが入射する側に仮想に設定した底辺12aがその底辺長さを各輪帯ピッチに合わせて設定され、且つ、底辺12aを透過したレーザー光Lが出射する側に第1回折格子部12bが外周側に向けて傾斜した傾斜面(12b)を有して形成されていると共に、底辺12aを透過したレーザー光Lが出射する側に第2回折格子部12eが底辺12aに平行な上辺12c及び内周側に向けて傾斜した傾斜面12dを有して形成されている。
この際、各台形状回折格子12中の第1回折格子部12bは、輪帯領域RZ内に入射した入射光に対して特定次数の回折光として例えば1次回折光を回折して所定の集光位置(焦点位置)に集光させるレンズ集光作用を備えている。即ち、各台形状回折格子12中の底辺12aと第1回折格子部12bとが成す角が各輪帯ピッチに応じて内周側から外周側に向かうにつれて大きくなり、これに伴って各第1回折格子部12bに平行に入射したレーザー光Lは各第1回折格子部12bに応じて入射角が変化するのでこれに応じて屈折角も異なることにより所定の集光位置(焦点位置)に集光させることができる。
一方、各台形状回折格子12中の第2回折格子部12e(=12c+12d)は、第1回折格子部12bと異なる回折次数に入射光を回折して特定次数以外(1次回折光以外)の回折光を発生させ、且つ、入射光に対して光透過率を調整する作用を備えている。
従って、各台形状回折格子12中の第1回折格子部12bは1次回折光回折面となり、一方、第2回折格子部12e(=12c+12d)は1次回折光以外の回折光への回折面及び位相折り返しポイント面となる。
更に、フレネルレンズ10の各輪帯領域RZ内に形成された各台形状回折格子12は、底辺12aを高さ基準としてこの底辺12aから第2回折格子部12eの上辺12cの高さH(H,H,H,H,……,H 但し、n:0以上の正の整数)を、各輪帯領域RZがそれぞれ要求する光透過率になるように各輪帯領域RZごとに可変させており、内周側から外周側に向かうにつれて高さHが徐々に高くなっているが、これについては後で詳述する。
ここで、フレネルレンズ10において、複数の輪帯領域RZを、光学基板OBPの中心0から外周側に向かって順にRZ,RZ,RZ,RZ,……,RZ(但し、n:0以上の正の整数)と設定した場合に、まず、光学基板OBPの中心0を中心としてn番目の輪帯領域RZに対応するレンズ半径(輪帯半径)Rを下記の数1より求めることができる。
Figure 2007011216
この数1中で、Rはn番目のレンズ半径であり、λは入射光の波長であり、入射光として波長λが0.4μmのレーザー光を用いている。また、f1は各台形状回折格子12中の第1回折格子部12bによる1次回折光の焦点距離であり、この実施例ではf1=20mmに設定されている。また、dは回折次数であり、この実施例では第1回折格子部12bによる1次回折光を対象にしているのでd=1である。
従って、光学基板OBPの中心0を中心としてRZ,RZ,RZ,RZ,……,RZに対応してレンズ半径R,R,R,R,……,Rが求められる。
次に、光学基板OBPの中心0を含む輪帯領域RZの輪帯ピッチRpは、下記の数2より求めることができる。
Figure 2007011216
次に、上記したn=0の場合を除外して、n番目の輪帯ピッチRpは、下記の数3より求めることができる。
Figure 2007011216
従って、数2及び数3から、レンズ中心部の輪帯領域RZのみが輪帯ピッチRpを半径にして円形に設定されるものの、輪帯領域RZ,RZ,RZ,……,RZは、輪帯ピッチRp,Rp,Rp,……,Rpの各ピッチ幅でリング状に設定されている。
そして、フレネルレンズ10のレンズ半径の最大値に対応するnの最大値を例えば140に設定した場合に、nを0〜140の範囲で順次可変しながらλ=0.4μm,f1=20mm,d=1を数1に代入してレンズ半径Rを計算し、この後、数2及び数3により、例えば、輪帯領域RZと対応したレンズ半径Rが光学基板OBPの中心0を含んだ0μm近傍(RZ),500μm(RZ15),1000μm(RZ62),レンズ最外周部に位置する1500μm(RZ140)における輪帯ピッチRpをそれぞれ求めると、126.5μm(Rp),16.1μm(Rp15),8.0μm(Rp62),5.4μm(Rp140)が得られ、以下、ここで得られたレンズ半径R及び輪帯ピッチRpの各値を使用して説明する。
尚、実施例のフレネルレンズ10を設計する場合には、全ての輪帯領域RZ(n=0〜140)に対応したレンズ半径R及び輪帯ピッチRpを求めれば良い。
次に、上記構成による本発明に係るフレネルレンズ10を使用するにあたって、図2に示したように、位置X1を入射光となるレーザー光Lと対応した位置とし、また、位置X2をフレネルレンズ10と対応した位置とし、また、位置X3を出射光と対応した位置とし、更に、位置X4を出射光の集光位置とした場合に、レーザー光源(図示せず)から出射したレーザー光Lをコリメータレンズ(図示せず)で平行光に変換して、適宜な位置で断面した時の断面形状が略円形であるレーザー光Lの平行光をフレネルレンズ10の一方の面から入射させ、他方の面上で複数の輪帯領域RZ内にそれぞれ形成した各台形状回折格子12中の第1,第2回折格子部12b,12e(=12c+12d)により回折させてから出射させた時に、とくに、第1回折格子部12bで回折された1次回折光が光軸K上で焦点距離f1に対応した所定の集光位置に集光され、且つ、第2回折格子部12e(=12c+12d)で回折された1次回折光以外の回折光が第1回折格子部12bとは異なる回折位置に回折されるようになっている。
ここで、図3中で点線を用いて示した如く、断面形状が略円形であるレーザー光Lの平行光をフレネルレンズ10に入射した時に、図2に示した位置X1における入射光束の光強度分布は光軸Kを中心にして対称であると仮定した場合、半導体レーザーの特性により、中央部の光強度を100%とすると、レンズ半径が500μm,1000μm,1500μmでは光強度がそれぞれ、97.5%,90.0%,77.5%に低下しており、中央部が凸状に突出した凸型の光強度分布特性となっている。
このように中央部が凸型の光強度分布を持った入射光束を、先に図16を用いて説明したように従来のフレネルレンズ100で集光すると、レンズ外周部の光量が中央部と比較して小さくなるために、レンズの口径が小さくなった状態と等価な現象となり、レンズの開口数(NA)が低下し、集光スポットが本来のレンズ設計と比較して、大きくなるといった現象が起き、光学特性の劣化が発生する。
この問題を解決する為に、図2中の位置X2におけるフレネルレンズ10上での光束の光透過率分布において、図3中で実線を用いて示したように、レンズ半径が0μm,500μm,1000μm,1500μmで必要な光透過率が、それぞれ77.5%, 79.5%, 86.1%, 100%になるように設定し、即ち、位置X1における凸型の光強度分布特性に対して反転させて、位置X2で中央部が凹状にへこんだ凹型の光透過率分布特性になるように逆補正している。
この設定により、入射光がフレネルレンズ10を透過して出射した時に、図2に示した位置X3における出射光の光強度分布は、図3中で一点鎖線を用いて示したように、入射光量とフレネルレンズ透過率との積となり、その結果フラットなものとなる。
これにより、フレネルレンズ10の外周部の光量が、中央部と略等しくなるので、レンズの口径は変化しない状態と等価になり、レンズの開口数(NA)は変化せず、集光スポットが本来のレンズ設計と比較して、大きくなるといった現象が発生しなくなる。
但し、出射光の光強度分布がフラットになった際、全体の光量は低下するが、高輝度レーザー等の、より光量の大きいレーザー光源を使用すれば、光量の低下は防止できる。
次に、本発明に係るフレネルレンズ10において、各輪帯領域RZ(RZ,RZ,RZ,RZ,……,RZ)内で各台形状回折格子12を各輪帯ピッチRp(Rp,Rp,Rp,Rp,……,Rp)に合わせて中心0から外周側に向かって形成した時に、後述するように各台形状回折格子12中の第2回折格子部12eの傾斜面12dへの切削角度をダイヤモンド工具の最大切削角度(例えば75°)に設定した上で、底辺12aを高さ基準として各台形状回折格子12の高さHを、各輪帯領域RZがそれぞれ要求する光透過率になるように各輪帯領域RZごとに可変させて、フレネルレンズ10上で図3中で実線を用いて示したような位置X2における凹型の光透過率分布が得られるように補正する構造及び方法について、図4〜図13を用いて説明する。
図4は本発明に係るフレネルレンズにおいて、一つの輪帯領域内に形成した台形状回折格子の高さを説明するために拡大して示した図であり、(a)は参考例となる三角形状回折格子が直角三角形である場合の高さを示し、(b)は参考例となる三角形状回折格子中の第2回折格子部に対してダイヤモンド工具の最大切削各角度を例えば75°に設定した場合の高さを示し、(c)は台形状回折格子の高さを示した図、
図5は本発明に係るフレネルレンズにおいて、一つの輪帯領域内に形成した台形状回折格子の高さと1次回折光回折効率との関係を示した図、
図6は本発明に係るフレネルレンズにおいて、レンズ半径1500μmにおける輪帯ピッチ5.4μm内での三角形状回折格子の高さを示した図、
図7は本発明に係るフレネルレンズにおいて、レンズ半径1500μmにおける輪帯ピッチ5.4μm内での三角形状回折格子の回折光強度を示した図、
図8は本発明に係るフレネルレンズにおいて、レンズ半径1000μmにおける輪帯ピッチ8.0μm内での台形状回折格子の高さを示した図、
図9は本発明に係るフレネルレンズにおいて、レンズ半径1000μmにおける輪帯ピッチ8.0μm内での台形状回折格子の回折光強度を示した図、
図10は本発明に係るフレネルレンズにおいて、レンズ半径500μmにおける輪帯ピッチ16.1μm内での台形状回折格子の高さを示した図、
図11は本発明に係るフレネルレンズにおいて、レンズ半径500μmにおける輪帯ピッチ16.1μm内での台形状回折格子の回折光強度を示した図、
図12は本発明に係るフレネルレンズにおいて、レンズ半径0μm近傍における輪帯ピッチ126.5μm内での台形状回折格子の高さを示した図、
図13は本発明に係るフレネルレンズにおいて、レンズ半径0μm近傍における輪帯ピッチ126.5μm内での台形状回折格子の回折光強度を示した図である。
図4(a)〜(c)中において、横軸に一つの輪帯ピッチRpを示し、縦軸に位相差λを示した場合、本発明に係るフレネルレンズ10では、前述したように、一つの輪帯領域RZ内に輪帯ピッチRpに合わせて台形状回折格子12が形成されているが、図4(a)では上記した台形状回折格子12に対して参考例となる三角形状回折格子(11)が直角三角形である場合を示し、図4(b)ではフレネルレンズ用の金型の製作性を考慮した参考例となる三角形状回折格子11を示し、図4(c)では図4(b)に示した三角形状回折格子11を略台形状に変形した台形状回折格子12を示している。
まず、図4(a)に示したように、一つの輪帯ピッチRp内に形成された三角形状回折格子(11)が直角三角形である場合に、底辺11aから直角三角形の頂点までの高さHは、一般的に下記の数4より求めることができる。
Figure 2007011216
この数4中で、Hは直角三角形状の回折格子(11)の高さ、λは光源の波長、dは回折次数で1以上の整数、kはフレネルレンズ10の屈折率である。
上記した直角三角形状の回折格子(11)中の第1回折格子部11bは、1次回折構造の回折格子を使用しているので、λを0.40μm、dを1、kを1.46とすると、直角三角形状の回折格子(11)の高さHは0.869μmとなり、この直角三角形状の回折格子(11)の高さHは入射光の1波長λ分の位相差を有することになり、且つ、直角三角形状の回折格子(11)の1次回折光回折効率は100%となる。
ところで、前述したように、フレネルレンズ10をガラス材を用いて金型で成形する場合に、フレネルレンズ用の金型を作製するにあたって、ダイヤモンド工具の先端形状からの加工限界、あるいは成形時の型抜きを考慮し、直角三角形の90°部分の角度を、図4(b)に示したように90°よりも小さい角度で例えば75°にダイヤモンド工具の最大切削角度を設定する場合がある。
この場合に、三角形状回折格子11中で底辺11aと第2回折格子部11cとが成す角が例えば75°となり、この時に最大回折効率が得られる三角形状回折格子11の高さH’(=H)は、底辺11aから第1,第2回折格子部11b,11cが交わる頂点までの高さ、言い換えると、底辺11aを高さ基準とした時の三角形状回折格子11の高さになり、この時の高さH’(=H)は図4(a)で示した直角三角形の高さHよりも当然低くなっている。この際、三角形状回折格子11中の第2回折格子部11cに対するダイヤモンド工具の切削角度が小さくなると、三角形状回折格子11の高さH’(=H)は低くなる。
また、図4(b)に示した三角形状回折格子11において、底辺11aと対向して外周側に向かって傾斜させた傾斜面を有する第1回折格子部11bは、入射光に対して1次回折光のみを回折して、この1次回折光を光軸K(図1,図2)上で所定の集光位置に集光する機能を備えているものであり、一方、底辺11aと対向して内周側に向かって傾斜させた傾斜面を有する第2回折格子部11cは、入射光に対して1次回折光以外の回折光を回折して第1回折格子11とは異なる回折位置に回折する機能を備えているものである。
また、各輪帯領域RZごとに輪帯ピッチRpの値を正規化して1.00と設定した場合に、図4(a)に示した直角三角形の回折格子(11)では一つの輪帯ピッチRp内に第1回折格子部11bのみが占有している一方、図4(b)に示した三角形状回折格子11では一つの輪帯ピッチRp内に第1回折格子部11bと第2回折格子部11cとが(1.00−α):αの占有比率でそれぞれ占有しており、この時に、αは0から0.1以内の所定値に設定される。
そして、各輪帯領域RZ内の1次回折光回折効率は、図4(b)に示した三角形状回折格子11の位相分布をフーリエ変換することによって算出されることが一般に行われていおり、第2回折格子部11cへの最大切削角度を例えば75°に設定した場合には、1次回折光回折効率が91.9%となる。
次に、図4(b)に示した三角形状回折格子11を、図4(c)に示したような略台形状の台形状回折格子12に変形することが可能であり、本発明では三角形状回折格子11を台形状回折格子12に変形する技術的思想を採用して、各輪帯領域RZ内に輪帯ピッチに合わせて形成した各台形状回折格子12の高さHを、各輪帯領域RZがそれぞれ要求する光透過率になるように各輪帯領域RZごとに可変させている。
即ち、図4(c)に示した如く、一つの輪帯ピッチRp内に形成した台形状回折格子12は、1次回折光を回折する第1回折格子部12bが外周側に向けて底辺12aに対してθ傾斜した傾斜面(12b)を有し、且つ、1次回折光以外を回折する第2回折格子部12eが底辺12aに平行な上辺12c及び内周側に向けて底辺12aに対してθ傾斜した傾斜面12dを有していると共に、底辺12aから上辺12cまでの高さがHに設定されている。
この際、台形状回折格子12は、底辺12aと上辺12cとが平行であり、高さHが低いほど上辺12cの長さが長くなり、各輪帯領域RZごとに第2回折格子部12eの高さH、即ち、台形状回折格子12の高さHを変化させることにより1次回折光回折効率を変化させることができる。
そして、各輪帯領域RZ内の1次回折光回折効率も、図4(c)に示した台形状回折格子12の位相分布をフーリエ変換することによって算出されることが一般に行われており、この台形状回折格子12の高さHと1次回折光回折効率との関係を図5に示している。
この図5は台形状回折格子12の第2回折格子部12eの傾斜面12dに対するダイヤモンド工具の最大切削角度を例えば75.0°にした上で、横軸に台形状回折格子12の高さHの相対値を示し、縦軸に1次回折光回折効率(%)を示している。この際、図5中では、台形状回折格子12の高さHの相対値の最大値1.00が0.833μmの高さに対応しているので、相対値を0.65から1.00まで変化させる場合には台形状回折格子12の高さHを0.541μmから0.833μmまで変化させることになる。
この際、台形状回折格子12の高さHの相対値が1.00(0.833μm)の時には、先に図4(b)を用いて説明した三角形状回折格子11と1次回折光回折効率(%)が等しいので等価となり、言い換えると、台形状回折格子12の上辺12cの長さがゼロになった場合である。
一方、台形状回折格子12の高さHの相対値が1.00よりも小さい時には、上辺12cの長さがゼロより大きくなるので、図4(c)に示した台形状回折格子12の形状になる。
この図5より、台形状回折格子12の第2回折格子部12eの傾斜面12dに対するダイヤモンド工具の切削角度を例えば75.0°に設定し、且つ、台形状回折格子12の高さHの相対値を0.65, 0.80, 0.90, 1.00と変化させた時に、1次回折光回折効率は、それぞれ61.6%, 84.3%, 90.8%, 91.9%となり、台形状回折格子12の高さHを変化させた場合に連続的に1次回折光回折効率を制御できることがわかる。
そして、図5のように、台形状回折格子12の高さHと1次回折光回折効率の関係をテーブルとして持つことにより、逆に、1次回折光回折効率、すなわちフレネルレンズ10の必要な光透過率に対応して台形状回折格子12の高さHを求めることができる。
ここで、本発明に係るフレネルレンズ10に対してレンズ半径が0μm,500μm,1000μm,1500μmで必要な光透過率は、前述したように、それぞれ77.5%, 79.5%, 86.1%, 100%であるが、フレネルレンズ用の金型製作の容易性、型抜きの容易性を考慮した場合に、上記したレンズ半径1500μmにおける輪帯ピッチ5.4μmの場合でダイヤモンド工具の最大切削角度を例えば75°に設定した時に得られた1次回折光回折効率91.9%を基準の補正値に設定して、レンズ半径が0μm,500μm,1000μmでもレンズ半径1500μmの場合を基準にして補正し、即ち、レンズ半径が0μm,500μm,1000μm,1500μmで必要な光透過率77.5%, 79.5%, 86.1%, 100%に対して補正値0.919をかけて補正し、それぞれ、71.2%, 73.0%,79.1%, 91.9%を必要な補正光透過率としても、フレネルレンズ10(図1)に対して目的である光透過量の光量分布への均一化を図ることができる。
以下、上記のように補正した場合に、一つの輪帯領域RZのレンズ半径Rと対応した輪帯ピッチRp内で台形状回折格子12の高さHを求める具体例について順を追って説明する。
まず、図6に示した如く、フレネルレンズ10(図1)の光学基板OBP上において、前述したように、レンズ最外周部に位置する輪帯領域RZ140と対応したレンズ半径1500μmにおける輪帯ピッチRp140は5.4μmであり、この輪帯ピッチRp140内では、フレネルレンズ10に対して要求される光透過率はこれと等価である1次回折光回折効率が100%となるものの、フレネルレンズ用の金型を作製する時に金型作製を容易にするために輪帯ピッチRp140内でダイヤモンド工具の最大切削角度を例えば75°に設定すると、前述したように補正した後の1次回折光回折効率は91.9%となる。
上記から、レンズ半径1500μmにおける輪帯ピッチRp140内でダイヤモンド工具の最大切削角度を例えば75°に設定した場合に、必要な補正光透過率は前述したように91.9%であるので、図5に示した特性曲線中の1次回折光回折効率91.9%の値から台形状回折格子の高さHが相対値で1.00であると読み取れ、且つ、この相対値1.00に対して台形状回折格子の高さHは0.833μmであるものの、この場合に先の図4(b)を用いて説明したように1次回折光回折効率が91.9%になる場合に三角形状回折格子11の形状となるために、台形状回折格子12の上辺12cの長さがゼロとみなせば良い。
従って、レンズ半径1500μmにおける輪帯ピッチRp140内で91.9%の1次回折光回折効率が得られる三角形状回折格子11の形状は、底辺11aの長さが5.4μmであり、底辺11aと第1回折格子部11bとの成す角が9.1°であり、底辺11aと第2回折格子部11cとの成す角はダイヤモンド工具の最大切削角度75°であり、底辺11aから第1,第2回折格子部11b,11cが交差する頂点までの高さは0.833μmとなる。
この時、5.4μmの輪帯ピッチRp140に対して第1回折格子部11bの占有比率が0.959、第2回折格子部11cの占有比率が0.041と算出され、即ち、前記したαの値が0.041となる。
この際、レンズ半径1500μmにおける輪帯ピッチ5.4μm内での回折次数における回折光強度を図7に示す。図7中で横軸は−9次から+9次までの次数を示し、縦軸は最大値を255として規格化された回折光強度を示す。この図7から明らかなように、回折光の91.9%がレンズ集光を担う+1次の次数に集中している。
次に、図8に示した如く、フレネルレンズ10(図1)の光学基板OBP上において、前述したように、輪帯領域RZ62と対応したレンズ半径1000μmにおける輪帯ピッチRp62は8.0μmであり、且つ、輪帯領域RZ62内で要求される台形状回折格子12の必要な補正光透過率は前述したように79.1%である。この場合、図5に示した特性曲線中の1次回折光回折効率79.1%の値から台形状回折格子12の高さHが相対値で略0.76であると読み取れるので、この相対値略0.76に対応して台形状回折格子12の高さHは0.633μmである。
従って、レンズ半径1000μmにおける輪帯ピッチRp62内で79.1%の1次回折光回折効率が得られる台形状回折格子12の形状は、底辺12aの長さが8.0μmであり、底辺12aと第1回折格子部12bとの成す角が6.2°であり、底辺12aと第2回折格子部12eの傾斜面12dとの成す角はダイヤモンド工具の最大切削角度75°であり、底辺12aから上辺12cまでの高さは0.633μmとなる。
この際、レンズ半径1000μmにおける輪帯ピッチ8.0μm内での回折次数における回折光強度を図9に示す。この図9で明らかなように、メインの+1次の回折光の他に、0次、+2次、+3次、及び、−1次、−2次、−3次の高次光が僅かに存在し、これらが、集光位置とは異なる方向に入射光を回折し、輪帯ピッチ8.0μm内での光透過率を下げている。
次に、図10に示した如く、フレネルレンズ10(図1)の光学基板OBP上において、前述したように、輪帯領域RZ15と対応したレンズ半径500μmにおける輪帯ピッチRp15は16.1μmであり、且つ、輪帯領域RZ15内で要求される台形状回折格子12の必要な補正光透過率は前述したように73.0%である。この場合、図5に示した特性曲線中の1次回折光回折効率73.0%の値から台形状回折格子12の高さHが相対値で略0.71であると読み取れるので、この相対値略0.71に対応して台形状回折格子12の高さHは0.592μmである。
従って、レンズ半径500μmにおける輪帯ピッチRp15内で73.0%の1次回折光回折効率が得られる台形状回折格子12の形状は、底辺12aの長さが16.1μmであり、底辺12aと第1回折格子部12bとの成す角が3.1°であり、底辺12aと第2回折格子部12eの傾斜面12dとの成す角はダイヤモンド工具の最大切削角度75°であり、底辺12aから上辺12cまでの高さは0.592μmとなる。
この際、レンズ半径500μmにおける輪帯ピッチ16.1μm内での回折次数における回折光強度を図11に示す。この図11で明らかなように、メインの+1次の回折光の他に、0次、+2次、+3次、及び、−1次、−2次、−3次の高次光が図9の場合よりも多く存在し、これらが、集光位置とは異なる方向に入射光を回折し、輪帯ピッチ16.1μm内での光透過率を下げている。
次に、図12に示した如く、フレネルレンズ10(図1)の光学基板OBP上において、前述したように、輪帯領域RZと対応したレンズ半径0μm近傍における輪帯ピッチRpは126.5μmであり、且つ、輪帯領域RZ内で要求される台形状回折格子12の必要な補正光透過率は前述したように71.2%である。この場合、図5に示した特性曲線中の1次回折光回折効率71.2%の値から台形状回折格子12の高さHが相対値で略0.701であると読み取れるので、この相対値略0.701に対応して台形状回折格子12の高さHは0.584μmである。
従って、レンズ半径0μm近傍における輪帯ピッチRp内で71.2%の1次回折光回折効率が得られる台形状回折格子12の形状は、底辺12aの長さが126.5μmであり、底辺12aと第1回折格子部12bとの成す角が0.4°であり、底辺12aと第2回折格子部12eの傾斜面12dとの成す角をダイヤモンド工具の最大切削角度75°に設定しても良いが、このレンズ中心部では第2回折格子部12の傾斜面12dによる位相折り返しポイント面を削除しても光透過率の性能に影響を与えないために、レンズ中心部を中心にして左右の上辺12cを平坦に接続することで第2回折格子部12の傾斜面12dの角度を底辺12aに対して仮想的に直角(90°)に設定していると共に、底辺12aから上辺12cまでの高さは0.584μmとなる。
上記により、フレネルレンズ用の金型を作製する時に、レンズ中心部では第2回折格子部12eの傾斜面12dによる位相折り返しポイント面が削除されているために、第2回折格子部12eの傾斜面12dに対するダイヤモンド工具の切削角度は存在せず、これに伴って第2回折格子部12eの傾斜面12dを切削加工することなく、第1回折格子部12bの傾斜面(12b)と第2回折格子部12eの上辺12cとを切削加工すれば良いので、レンズ中心部での台形状回折格子12を容易に作製できる。
この際、レンズ半径0μm近傍における輪帯ピッチ126.5μm内での回折次数における回折光強度を図13に示す。この図13で明らかなように、メインの+1次の回折光の他に、0次、+2次、+3次、及び、−1、−2次、−3次の高次光が図11の場合よりも僅かに多く存在し、これらが、集光位置とは異なる方向に入射光を回折し、輪帯ピッチ126.5μm内での光透過率を下げている。
以上のように、全ての輪帯領域RZ(但し、n=0〜140)に対応してレンズ半径R及び輪帯ピッチRpを求めて、各輪帯領域RZ内で各輪帯ピッチRpに対応して形成した各台形状回折格12の必要な光透過率(補正光透過率)を求め、各台形状回折格12の高さHを各輪帯ピッチRpごとに求めれば良い。
上述したように、本発明に係るフレネルレンズ10では、各輪帯領域RZと対応した各輪帯ピッチRp内に各台形状回折格子12を各輪帯ピッチRpに合わせて形成した際、各台形状回折格子12中の第2回折格子部12eの傾斜面12dへの切削角度をダイヤモンド工具の最大切削角度(例えば75°)に設定した上で、底辺12aを高さ基準として各台形状回折格子12の高さHを、各輪帯領域RZがそれぞれ要求する光透過率になるように各輪帯領域RZごとに可変させているので、本発明に係るフレネルレンズ10を例えば光ピックアップに適用した時に、フレネルレンズ10に入射する入射光に光量分布があっても、入射光に対して光量分布を均一に補正して、この入射光を所定の集光位置に集光さることができるので、これにより劣化のない集光スポットを得ることができる。
尚、上記した実施例では、台形状回折格子12中の第1回折格子部12bに、1次回折構造を使用しているが、この回折次数に限定されるものでなく、2次、3次等、より高次な回折構造でも同様な機能を備えることができる。
また、本発明に係るフレネルレンズ10の用途は、実施例で挙げた、入射光の光強度分布を均一化するのみでなく、組み合わせられる光学系の特性に合わせて、任意な光透過率を設定し、任意な光透過光量分布を得ることができる。
(a),(b)は本発明に係るフレネルレンズを示した上面図,縦断面図である。 本発明に係るフレネルレンズを使用した時に、光学系の光路を説明するための図である。 本発明に係るフレネルレンズを使用した時に、光学系の光強度分布及び光透過率を図2中の位置X1〜X3に対応して示した図である。 本発明に係るフレネルレンズにおいて、一つの輪帯領域内に形成した台形状回折格子の高さを説明するために拡大して示した図であり、(a)は参考例となる三角形状回折格子が直角三角形である場合の高さを示し、(b)は参考例となる三角形状回折格子中の第2回折格子部に対してダイヤモンド工具の最大切削各角度を例えば75°に設定した場合の高さを示し、(c)は台形状回折格子の高さを示した図である。 本発明に係るフレネルレンズにおいて、一つの輪帯領域内に形成した台形状回折格子の高さと1次回折光回折効率との関係を示した図である。 本発明に係るフレネルレンズにおいて、レンズ半径1500μmにおける輪帯ピッチ5.4μm内での三角形状回折格子の高さを示した図である。 本発明に係るフレネルレンズにおいて、レンズ半径1500μmにおける輪帯ピッチ5.4μm内での三角形状回折格子の回折光強度を示した図である。 本発明に係るフレネルレンズにおいて、レンズ半径1000μmにおける輪帯ピッチ8.0μm内での台形状回折格子の高さを示した図である。 本発明に係るフレネルレンズにおいて、レンズ半径1000μmにおける輪帯ピッチ8.0μm内での台形状回折格子の回折光強度を示した図である。 本発明に係るフレネルレンズにおいて、レンズ半径500μmにおける輪帯ピッチ16.1μm内での台形状回折格子の高さを示した図である。 本発明に係るフレネルレンズにおいて、レンズ半径500μmにおける輪帯ピッチ16.1μm内での台形状回折格子の回折光強度を示した図である。 本発明に係るフレネルレンズにおいて、レンズ半径0μm近傍における輪帯ピッチ126.5μm内での台形状回折格子の高さを示した図である。 本発明に係るフレネルレンズにおいて、レンズ半径0μm近傍における輪帯ピッチ126.5μm内での台形状回折格子の回折光強度を示した図である。 (a),(b)は従来例として直角三角形状の回折格子を有するフレネルレンズを示した平面図,縦断面図である。 図14に示した従来のフレネルレンズを金型により成形する際に、フレネルレンズ用の金型をダイヤモンド工具により切削加工して作製する状態を模式的に示した縦断面図である。 従来のフレネルレンズに、中央部の光束は光強度が強く、且つ、外周部の光束は光強度が弱いレーザー光を入射させた状態を模式的に示した図である。
符号の説明
10…本発明に係るフレネルレンズ、
11…三角形状回折格子、
11a…底辺、11b…第1回折格子部、11c…第2回折格子部、
12…台形状回折格子、12a…底辺、
12b…第1回折格子部(第1回折格子部の傾斜面)、
12c…第2回折格子部の上辺、12d…第2回折格子部の傾斜面、
12e…第2回折格子部、
OBP…光学基板、0…光学基板の中心、
K…光軸、L…入射光(レーザー光)、
RZ(RZ,RZ,RZ,RZ,……,RZ)…輪帯領域、
(R,R,R,R,……,R)…レンズ半径、
Rp(Rp,Rp,Rp,Rp,……,Rp)…輪帯ピッチ。

Claims (3)

  1. 光透過性を有する光学基板上に複数の輪帯領域が中心から外周側に向かって各輪帯ピッチを除々に狭めて設定され、且つ、各輪帯領域内に各台形状回折格子が形成されたフレネルレンズであって、
    前記各台形状回折格子は、前記光学基板上で入射光が入射する側に前記各輪帯ピッチに合わせて底辺長さを設定した底辺と、前記底辺を透過した前記入射光が出射する側に外周側に向けて傾斜した傾斜面を有し且つ前記入射光に対して特定次数の回折光を回折して所定の集光位置に集光させる第1回折格子部と、前記底辺を透過した前記入射光が出射する側にこの底辺に平行な上辺及び内周側に向けて傾斜した傾斜面を有し且つ前記第1回折格子部と異なる回折次数に前記入射光を回折して特定次数以外の回折光を発生させると共に前記入射光に対して光透過率を調整する第2回折格子部とを備えてなり、
    前記底辺を高さ基準として前記各台形状回折格子の高さを、前記各輪帯領域がそれぞれ要求する光透過率になるように前記各輪帯領域ごとに可変させたことを特徴とするフレネルレンズ。
  2. 前記光学基板上でレンズ最外周部の前記輪帯領域内に形成される前記台形状回折格子は、前記上辺の長さをゼロに設定して三角形状回折格子に成したことを特徴とする請求項1記載のフレネルレンズ。
  3. 前記光学基板上でレンズ中心部の前記輪帯領域内に形成される前記台形状回折格子は、内周側に向けて傾斜した前記第2回折格子部の前記傾斜面の角度を前記底辺に対して直角に設定したことを特徴とする請求項1記載のフレネルレンズ。
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