JP2007010390A - 表面検査装置及び表面検査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 基板上の欠陥を検出するための画像処理フィルタの最適な組み合わせを、容易に特定することができる表面検査装置及び表面検査方法を提供する。
【解決手段】 本発明の表面検査装置10において、ウエハ11の欠陥を検出するために最適な画像処理フィルタの組み合わせを決定する組み合わせ決定部18は、所定の欠陥情報を含んだウエハ11の教師画像を記憶する教師画像記憶部と、メモリMに記憶されている異なる複数の画像処理フィルタを任意の組み合わせで複数個生成する画像処理フィルタ群生成部と、教師画像記憶部に記憶されている教師画像と、画像処理フィルタ群生成部で生成された画像処理フィルタの組み合わせ情報に基づいた画像処理後の処理画像との類似度を算出する類似度算出部と、所定条件を満足したときに、類似度算出部により算出された類似度が最も高い画像処理フィルタの組み合わせを最適な画像処理フィルタの組み合わせとして特定する特定部とを備えて構成される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体回路素子や液晶表示素子の製造工程において、基板の表面を検査する表面検査装置及び表面検査方法に関する。
従来、半導体回路素子や液晶表示素子の製造工程では、基板(ウエハやプレート)の表面に形成された繰り返しパターンの検査が行われる。この表面検査は目視観察でも行えるが、検査結果にばらつきが生じやすいため、近年では基板の表面検査を自動化することが検討されている。
自動化された従来の表面検査装置は、基板の表面に検査用の照明光を照射し、そのとき基板上の繰り返しパターンから発生する回折光または反射光に基づいて基板の像を撮像し、得られた基板画像を自動的に画像処理して表面検査を行うものである。このような表面検査装置では、一般に、画像の明暗差(コントラスト差)により、繰り返しパターンの欠陥箇所が特定される。
そして、このような表面検査装置では、装置条件(例えば、基板のチルト角や基板に対する照明光量など)を自動的に変更しながら撮像を行い、得られた複数の画像に基づいて、最適な装置条件(以下、「最適条件」と称する)を得ている(例えば、特許文献1参照)。しかし、基板上の繰り返しパターンは複数種類あるため、上記の従来の表面検査装置では、最適条件として多数の候補(以下、「最適候補条件」と称する)が得られてしまうことがある。このような場合、多数の最適候補条件の下で複数回検査を行うことになるため、全体の処理時間が長くなる。
そこで、最近の表面検査装置では、照明等を工夫して撮像した1枚の画像から基板の表面検査を行うことや、或いは、照明の波長や光量等を替えて撮像した複数の画像から1枚の画像を合成し、この1枚の合成画像から基板の検査を行うことができたりする仕組みが考えられている。1枚の画像を元に基板の検査をする場合、例えば、欠陥の特徴を強調するため、複数の画像処理フィルタを使用した処理(以下、画像フィルタ処理と称する)が行われる。画像フィルタ処理では、検出したい欠陥の種類や大きさなどに合わせて、種類や構成数及び実行順序など画像処理フィルタの組み合わせを工夫し、検査対象の画像の中から欠陥のある部分を選択的に検出し、欠陥検出の精度を上げている。
特開2002−162368号公報
しかしながら、従来、画像処理フィルタの組み合わせは、人が経験に基づいて行っていた。このため、フィルタの組み合わせ作成者への負担が大きく、その作成にも大いに時間がかかるという問題があった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、遺伝的アルゴリズムを用いることにより、基板上の欠陥を検出するための画像処理フィルタの最適な組み合わせを、容易に特定することができる表面検査装置及び表面検査方法を提供することを目的とする。
このような目的を達成するため、本発明の表面検査装置は、被検物体を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された撮像画像から前記被検物体の欠陥を検出するための画像処理フィルタを複数種類記憶するフィルタ記憶手段と、前記フィルタ記憶手段に記憶された前記画像処理フィルタを読み出し、前記被検物体の欠陥を検出するために最適な画像処理フィルタの組み合わせを決定する組み合わせ決定手段と、前記撮像画像に対して前記組み合わせ決定手段により決定された前記最適な画像処理フィルタの組み合わせに基づいて画像処理を施す欠陥検出手段とを備え、前記組み合わせ決定手段は、所定の欠陥情報を含んだ前記被検物体の教師画像を記憶する教師画像記憶手段と、前記フィルタ記憶手段に記憶されている異なる複数の前記画像処理フィルタを任意の組み合わせで複数個生成する画像処理フィルタ群生成手段と、前記教師画像記憶手段に記憶されている前記教師画像と、前記生成手段で生成された前記画像処理フィルタの組み合わせ情報に基づいた画像処理後の処理画像との類似度を算出する類似度算出手段と、所定条件を満足したときに、前記類似度算出手段により算出された類似度が最も高い前記画像処理フィルタの組み合わせを、前記最適な画像処理フィルタの組み合わせとして特定する特定手段とを備えて構成される。
また、本発明の表面検査方法は、撮像手段により撮像された被検物体の撮像画像から前記被検物体の欠陥を検出するための互いに異なる複数の画像処理フィルタを読み出し、前記被検物体の欠陥を検出するために最適な画像処理フィルタの組み合わせを決定する組み合わせ決定工程と、前記撮像画像に対して前記組み合わせ決定工程において決定された前記最適な画像処理フィルタの組み合わせに基づいて画像処理を施す欠陥検出工程とを備え、前記組み合わせ決定工程は、前記複数の画像処理フィルタを任意の組み合わせで、前記画像処理フィルタの組み合わせを複数個生成する染色体群生成工程と、前記教師画像と、前記画像処理フィルタの組み合わせ情報に基づいた画像処理後の処理画像との類似度を算出する類似度算出工程と、所定条件を満足したときに、前記類似度算出工程において算出された類似度が最も高い前記画像処理フィルタの組み合わせを、前記最適な画像処理フィルタの組み合わせとして特定する特定工程とを備えて構成される。
以上説明したように、本発明の表面検査装置及び表面検査方法によれば、基板上の欠陥を検出するための画像処理フィルタの最適な組み合わせを、容易に特定することができる。
以下、図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明に係る表面検査装置10は、図1に示すように、被検物体であるウエハ11を保持するホルダ12と、ホルダ12上のウエハ11の表面に照明光L1を照射する照明光学系13と、照明光L1が照射されたウエハ11の表面からの回折光L2を受光する受光光学系14と、画像処理装置15とで構成される。
表面検査装置10は、半導体回路素子の製造工程において、ウエハ11の表面に形成された繰り返しパターンの欠陥検査を自動的に行うための装置である。繰り返しパターンとは、周期的に繰り返される線配列形状の回路パターンのことである。ウエハ11の表面には、複数のチップがxy方向に配置されていて、各々のチップには、同様の繰り返しパターンが形成されている。
表面検査装置10のホルダ12には、不図示のチルト機構が設けられる。このため、ホルダ12は、チルト機構によって、ウエハ11の表面を通る軸Ax1のまわりに所定の角度範囲(例えば、20°〜75°)内でチルト可能である。
表面検査装置10の照明光学系13は、光源21とライトガイド22と凹面反射鏡23とで構成された偏心光学系である。光源21は、放電ランプ24と波長選択フィルタ25とニュートラルデンシティ(ND)フィルタ26とで構成される。
上記構成の照明光学系13において、光源21からの光は、ライトガイド22と凹面反射鏡23とを介して、ウエハ11の表面全体に照射される(照明光L1)。照明光L1は、ウエハ11上の任意の点に到達する光束の中心線が光軸O1に略平行な光束である。照明光L1の入射角(θi−T)は、ウエハ11の表面に垂直な軸Ax2と光軸O1との間の角度に相当する。
このようにして照明光L1が照射されると、ウエハ11の表面に形成された繰り返しパターンからは、後述する回折の条件にしたがって、回折光L2が発生する。回折光L2の強度は、繰り返しパターンの欠陥箇所と正常箇所とで異なる。回折光L2の回折角(θr+T)は、ウエハ11の表面に垂直な軸Ax2と回折光L2の進行方向との間の角度に相当する。ちなみに、回折光L2を発生させる繰り返しパターンの直線方向は、ホルダ12の軸Ax1に略平行である。
ここで、回折の条件は、照明光L1の波長λ及び入射角(θi−T)とし、回折光L2の回折角(θr+T)及び回折次数nとし、繰り返しパターンのピッチpとしたとき、次式(1)で表すことができる。
sin(θi−T) − sin(θr+T)
= nλ/p …(1)
式(1)において、入射角(θi−T)及び回折角(θr+T)は、ウエハ11の表面に垂直な軸Ax2を基準として入射側に見込む角度方向をプラス、反射側に見込む角度方向をマイナスとする。回折次数nは、n=0の0次回折光(正反射光)を基準として入射側に見込む角度方向をプラス、反射側に見込む角度方向をマイナスとする。
このような式(1)からも分かるように、チルト角Tを変化させることにより、照明光L1の入射角(θi−T)をチルト角Tに応じて変化させることができ、結果として、回折光L2の回折角(θr+T)も変化させることができる。
表面検査装置10の受光光学系14は、回折光L2を受光する光学系であり、凹面反射鏡27と、CCDカメラ28とで構成された偏心光学系である。
CCDカメラ28は、その撮像面が凹面反射鏡23の焦点面と略一致するように配置される。また、CCDカメラ28の撮像面には複数の画素が2次元的に配列されており、CCDカメラ28は、この撮像面に形成されたウエハ11の撮像画像を光電変換して画像信号を生成し、画像処理装置15に出力する。
すなわち、上記構成の受光光学系14において、ウエハ11の表面の繰り返しパターンから発生した回折光L2は、凹面反射鏡23を介して集光され、CCDカメラ28の撮像面上に到達する。CCDカメラ28の撮像面上には、回折光L2によるウエハ11の像(ウエハ回折像)が形成される。CCDカメラ28は、ウエハ回折像を撮像して、画像信号を画像処理装置15に出力する。ここで、回折光L2の強度は、ウエハ11の表面の繰り返しパターンの欠陥箇所と正常箇所とで異なる。このため、CCDカメラ28の撮像面に形成されるウエハ回折像には、繰り返しパターンの欠陥箇所と正常箇所とに起因する明暗差(コントラスト差)が生じることになる。本実施形態の表面検査装置10では、この明暗差を利用して、被検物体の欠陥を検出する。
画像処理装置15は、制御部16と、条件決定部17と、組み合わせ決定部18と、欠陥検出部19と、メモリMとで構成される。
制御部16は、ホルダ12(ウエハ11)の軸Ax1まわりのチルト制御、NDフィルタ26による光量の調整制御、波長選択フィルタ25による波長の選択制御等を行う。すなわち、CCDカメラ28がウエハ回折像を撮像する際の装置条件(例えば、ホルダ12のチルト角T、照明の波長、光量等)を設定する手段である。
本実施形態では、制御部16及び後述の条件決定部17により設定された装置条件毎にCCDカメラ28による撮像を行い、撮像された複数の画像を(論理和演算等を用いて)1枚の画像に合成し、この1枚の合成画像に対してウエハ11の表面検査を行う。制御部16は、このような合成画像の作成を行う。
さらに、制御部16は、CCDカメラ28から得られるウエハ回折像の画像信号を所定ビット(例えば8ビット)のディジタル画像に変換し、メモリMに記憶させる。さらに、上記の装置条件や検査用の合成画像も合わせてメモリMに記憶させる。
メモリMは、制御部16からのディジタル画像及びそのときの装置条件(チルト角T)が記憶される。なお、このように記憶されたディジタル画像は、ウエハ11の最適な装置条件の決定時には条件決定部17に、ウエハ11の欠陥検出時には欠陥検出部19に出力される。
さらに、メモリMは、CCDカメラ28から得られたウエハ回折像(撮像画像)から該ウエハ11の欠陥を検出するための画像処理フィルタを複数種類記憶する。具体的には、近傍画素(例えば、3×3画素)の平均演算フィルタ、近傍画素の最大値を取るフィルタ(以下、最大値フィルタ)、輪郭を抽出するフィルタ(以下、輪郭抽出フィルタ)、濃度の反転処理を行うフィルタ(以下、反転フィルタ)等を記憶する。各画像処理フィルタには、図2に具体例を示すように、平均演算フィルタには1、最大値フィルタには2、輪郭抽出フィルタには3、反転フィルタには4というように、それぞれ重複しないように画像処理フィルタID(識別子)が付されている。これら識別子は、上記したように、遺伝的アルゴリズムを適用する際の遺伝子として利用される。
条件決定部17は、メモリMに記憶されたウエハ11のディジタル画像を順次に取り込み、ディジタル画像毎に、CCDカメラ28がウエハ回折像を撮像する際の最適な際定数の装置条件(例えば、ホルダ12のチルト角T、照明の波長、光量等)を決定する。なお、条件決定部17における装置条件の具体的な決定方法については、公知技術と同様であるため、ここでの説明及び図示を省略する。
組み合わせ決定部18は、メモリMに記憶された複数種類の画像処理フィルタを読み出し、遺伝的アルゴリズムを使用して、CCDカメラ28から得られたウエハ回折像(撮像画像)からウエハ11の欠陥を検出するために最適な画像処理フィルタの組み合わせを決定する。
ここで、遺伝的アルゴリズムとは、組み合わせ決定部18において、最適解を求める手法の一つであり、染色体を構成する遺伝子の組み合わせを遺伝的操作(基本的には、評価、選択(淘汰)、交叉、突然変異の操作)を繰り返す手法であり、生物の進化過程をモデルとした計算手法である。
組み合わせ決定部18は、教師画像記憶部と、画像処理フィルタ群生成部と、類似度算出部と、選択部と、交叉部と、突然変異部と、論理和結合部と、移動回転部と、特定部とで構成される。
教師画像記憶部は、例えば、デフォーカスによる膜厚ムラ、パターン形状の異常及びキズ等、所定の欠陥情報が明白なウエハ11の教師画像を予め記憶する。
画像処理フィルタ群生成部は、メモリMに記憶されている複数種類の画像処理フィルタを1次元配列している画像処理フィルタ群を複数個生成する。そして、複数個の画像処理フィルタ群は、それぞれの群を構成する画像処理フィルタの個数がランダムに決められ、各群のフィルタ配列が各種生成される。具体的には図2に示すように、画像処理フィルタ群を構成する画像処理フィルタにフィルタID(識別子)を付し、このフィルタIDを遺伝子に見立て、これらを1次元配列してなる画像処理フィルタ群を染色体に見立て、次に説明する各種処理を遺伝的アルゴリズムにより処理する。
ここで、染色体は、遺伝的アルゴリズムにおいて解、すなわち最適な画像処理フィルタの組み合わせを示す画像処理フィルタ群を表すものであり、図2に示すように遺伝子としての組み合わせという形で構成される。本実施形態では、画像処理フィルタIDを遺伝子とし、画像処理フィルタの実行順序を遺伝子の並び順で表現している。例えば、図2に示す染色体では、フィルタIDが3,4,6,11,13,2の画像処理フィルタが、この並び順で実行される旨を表している。
類似度算出部は、教師画像記憶部に記憶されている教師画像と、画像処理フィルタ生成部で生成された複数個の画像処理フィルタ群それぞれの画像処理フィルタの組み合わせ情報に基づいた画像処理後の各処理画像との類似度(適応度)を算出する。なお、本実施形態において類似度は、教師画像と処理画像との画素単位の差の絶対値(残差)の総和であり、この値が小さくなるほど類似度は高くなる。但し、類似度の算出方法は、これに限定されるものではない。
選択部は、画像処理フィルタ群生成部で生成された複数個の画像処理フィルタ群のうち、類似度算出部により算出された類似度が高いものほど選択される確率が高くなるように、画像処理フィルタ群の選択をする(いわゆる、適応度比例戦略)。このような構成により、類似度の高いつまり優位性の高い染色体(=画像処理フィルタ群)が、次世代に残る可能性が高くなる。
交叉部は、図3に概念図を示すように、選択部により選択された2つの画像処理フィルタ群(図中ではA,B)間で、交叉点をN個(Nは1以上の整数。本実施形態では、図3に示すようにN=1の一点交叉方式を採る)ランダムに選んでその前後で双方の画像処理フィルタ群を入れ替える、交叉処理を行う。
突然変異部は、図4に概念図を示すように、画像処理フィルタ群(図中ではA1)をランダムに抽出し、この画像処理フィルタ群の画像処理フィルタ(フィルタIDの一部)の一部を変える(図中では左から2番目のフィルタID「11」から「8」に変更)、突然変異処理を行う。また、突然変異部は、この突然変位処理を実行するか否かを、ランダムな処理により決定する。
移動回転部は、図5に概念図を示すように、複数の画像処理フィルタ群からいずれか1つの画像処理フィルタ群(図中では染色体A2)を抽出し、この画像処理フィルタ群における所定の位置で画像処理フィルタ(図中では先頭のフィルタID「3」とフィルタID「10」の後に移動)を移動・回転処理を行う。なお、移動回転部は、遺伝子をいくつ、どの位置に移動・回転させるかを全てランダムに決定する。また、移動回転部は、この移動・回転処理を実行するか否かをランダムに決定する。
特定部は、所定条件を満足したときに、類似度算出部により算出された類似度が最も高い画像処理フィルタ群を、最適な画像処理フィルタの組み合わせとして特定する。
なお、本実施形態では、特定部は、類似度算出部により算出された類似度が閾値を超えたときに、上記所定条件を満足したとして、この閾値を超えた類似度を有する画像処理フィルタ群を、最適な画像処理フィルタの組み合わせとして特定する。
また、特定部は、予め指定された世代数分の染色体が生成されたときに、上記所定条件を満足したとして、類似度が最も高い染色体が示す画像処理フィルタの組み合わせを、最適な画像処理フィルタの組み合わせとして特定する。
欠陥検出部19は、メモリMに記憶されているCCDカメラ28から得られたウエハ回折像(撮像画像)を取り込んで、組み合わせ決定部18により決定された最適な画像処理フィルタの組み合わせに基づいて画像処理を施し、画像の明暗によって、ウエハ11の膜厚ムラ、パターンの形状の異常、キズ等、ウエハ11の欠陥を検出する。なお、この結果は、アナログ画像に変換され、例えばCRT等で構成される画像表示部20に表示される。
次に、本発明に係る表面検査装置10を用いた表面検査方法について、図6に示すフローチャートを用いて説明する。
本発明に係る表面検査方法は、被検物体であるウエハ11の撮像画像を制御部16に入力し(入力工程)、ウエハ11の欠陥を検出するために最適な画像処理フィルタの組み合わせを遺伝的アルゴリズムを用いて特定する(ステップS21〜S28)。
入力工程は、主に制御部16及び条件決定部17により行われる。具体的には、入力工程は、ウエハ11がホルダ12上に固定されると、制御部16はホルダ12の制御を行い、条件決定部17により決定された装置条件(例えば、ホルダ12のチルト角度T)を変化させながら、CCDカメラ28によりウエハ11の回折像を1枚撮像し、撮像した画像を制御部16に入力する。なお、条件決定部17により決定された複数の装置条件(例えば、上記のホルタ12のチルト角度Tに、照明の波長や光量等を組み合わせた条件)毎に撮像し、これら撮像した複数の画像から1枚の画像を合成し、制御部16に読み込む構成とすることもできる。
最適な画像処理フィルタの組み合わせを特定する工程は、主に制御部16及び組み合わせ検出部18により行われ、図6に示すように、ステップS21〜S31から構成される。
ステップS21の教師画像読込工程では、教師画像記憶部に予め記憶されている所定の欠陥情報を含んだウエハ11の教師画像を、制御部16に読み込む。
ステップS22の画像処理フィルタ群生成工程では、画像処理フィルタ群生成部により、ランダムに決められた個数の画像処理フィルタを持つ画像処理フィルタ群を複数個生成する。
ステップS23の類似度算出工程では、類似度算出部により、教師画像記憶部に記憶されている教師画像と、ステップS22で生成されたそれぞれの画像処理フィルタ群により処理された処理画像との類似度をそれぞれ算出する。
ステップS24の選択工程では、選択部により以下の処理を行う。図7に示す画像処理フィルタ群生成部で生成されたN個の画像処理フィルタ群の類似度(初回はステップS23の類似度算出工程による類似度、初回以降はステップS28の類似度算出工程による類似度)から、まずは最大類似度を示す画像処理フィルタ群を選択する。その後、(N−1)個の画像処理フィルタ群の類似度に基づき、ルーレット選択される割合(確率)を決定する。すなわち、図7に示すように、類似度が高いほど、ルーレット選択される確率が高くなるように決定される。そこで、(N−1)回のルーレット選択が行われるが、類似度に応じて選択確率の高い画像処理フィルタ群と選択確率の低い画像処理フィルタ群とがあることから、重複して選択されるものや全く選択されないものが出現する。このように、ステップS24では、最大類似度を示す1個の画像処理フィルタ群と、(N−1)個のルーレット選択された画像処理フィルタ群とが選択される。
ステップS25の交叉工程では、交叉部により、選択工程S24において選択されたN個の画像処理フィルタ群のうち、6〜7割程度の画像処理フィルタ群を使い、2つの画像処理フィルタ群間で交叉処理(図3参照)を行う。
ステップS26の突然変異工程では、突然変異部により、選択工程S24において選択されたN個の画像処理フィルタ群のうち、0.1割程度の画像処理フィルタ群を抽出し、それぞれの画像処理フィルタ群に所定の確率で突然変異処理(図4参照)を行う。
ステップS27の移動回転工程では、移動回転部により、選択工程S24において選択されたN個の画像処理フィルタ群のうち、2〜3割程度の画像処理フィルタを抽出し、それぞれの画像処理フィルタ群における所定の位置で画像処理フィルタの移動・回転処理(図5参照)を行う。
ステップS28の類似度算出工程は、上記のステップS23の類似度算出工程と同様である。
ステップS301〜S303の特定工程では、特定部により、ステップS301の所定条件を満足したときに、類似度算出工程S28において算出された類似度が最も高い画像処理フィルタ群が示す画像処理フィルタの組み合わせを、最適な画像処理フィルタの組み合わせとして特定する。
ここで、類似度算出工程S28において算出された類似度が閾値を超えたと判定された場合は、ステップS303に進む。
一方、ステップS301で、類似度算出工程S28において算出された類似度が閾値を超えたと判定されなかった場合は、予め指定された世代数に達したか否かを判定する(ステップS302)。ここで、予め指定された世代数に達した場合は、ステップS303に進む。一方、ステップS302で、予め指定された世代数に達しなかった場合は、世代を次世代に切り替え(ステップS31)、ステップS24の選択工程に進む。
ステップS303では、ステップS24〜S27の処理を経て生成されたN個の画像処理フィルタ群のうち、ステップS28で求められた類似度が、最も高い画像処理フィルタ群が示す画像処理フィルタの組み合わせを、最適なフィルタの組み合わせとして特定し、組み合わせ決定工程S2を終了する。なお、このステップS303にステップS301から来た場合は、閾値を超えた類似度を有する画像処理フィルタ群が、最も高い類似度を有する画像処理フィルタ群となり、この画像処理フィルタ群が示す画像処理フィルタの組み合わせが、最適な画像処理フィルタの組み合わせと特定される。
以上のような本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば適宜改良可能である。
例えば、本実施形態の組み合わせ決定工程S2では、ステップS25の交叉工程、ステップS26の突然変異工程、ステップS27の移動回転工程のいずれか1つを実行した後に、別の工程を実行するなど、各工程の処理に基づいて別の工程を実行するなども可能である。このように構成することで、画像処理フィルタ群の多様化を図ることができる。
また、本実施形態では、ウエハ11の表面からの回折光L2を用いて検査を行う例を示したが、ウエハ11の表面からの散乱光を用いて検査を行うようにしても良いし、ウエハ11の表面からの回折光L2と散乱光との両方を用いて検査を行うようにしても良い。
また、本実施形態で用いた表面検査装置10とは構成が異なる表面検査装置に本発明を適用しても良い。例えば、固定されたホルダに対して、照明光学系及び受光光学系が可動であり、照明光学系及び受光光学系を移動させることで、ホルダをチルトさせるのと同様の効果を得られる表面検査装置に適用しても良い。
本発明に係る表面検査装置の構成を示す図である。 染色体の構成を説明する図である。 交叉処理の概念図である。 突然変異処理の概念図である。 移動回転処理の概念図である。 本発明に係る表面検査方法の組み合わせ工程の流れを示すフローチャートである。 上記ルーレット処理時の選択確率について説明する図である。
符号の説明
10 表面検査装置 11 ウエハ 12 ホルダ
13 照明光学系 14 受光光学系 15 画像処理装置
16 制御部 17 条件決定部 18 欠陥検出部
19 欠陥検出部 21 光源 22 ライトガイド
23,27 凹面反射鏡
24 放電ランプ 25 波長選択フィルタ
26 ニュートラルデンシティフィルタ 28 CCDカメラ
M メモリ

Claims (6)

  1. 被検物体を撮像する撮像手段と、
    前記撮像手段により撮像された撮像画像から前記被検物体の欠陥を検出するための画像処理フィルタを複数種類記憶するフィルタ記憶手段と、
    前記フィルタ記憶手段に記憶された前記画像処理フィルタを読み出し、前記被検物体の欠陥を検出するために最適な画像処理フィルタの組み合わせを決定する組み合わせ決定手段と、
    前記撮像画像に対して前記組み合わせ決定手段により決定された前記最適な画像処理フィルタの組み合わせに基づいて画像処理を施す欠陥検出手段とを備え、
    前記組み合わせ決定手段は、
    所定の欠陥情報を含んだ前記被検物体の教師画像を記憶する教師画像記憶手段と、
    前記フィルタ記憶手段に記憶されている異なる複数の前記画像処理フィルタを任意の組み合わせで複数個生成する画像処理フィルタ群生成手段と、
    前記教師画像記憶手段に記憶されている前記教師画像と、前記生成手段で生成された前記画像処理フィルタの組み合わせ情報に基づいた画像処理後の処理画像との類似度を算出する類似度算出手段と、
    所定条件を満足したときに、前記類似度算出手段により算出された類似度が最も高い前記画像処理フィルタの組み合わせを、前記最適な画像処理フィルタの組み合わせとして特定する特定手段とを備えることを特徴とする表面検査装置。
  2. 前記特定手段は、前記類似度算出手段により算出された類似度が閾値を超えたときに、この閾値を超えた類似度を有する前記画像処理フィルタの組み合わせを、前記最適な画像処理フィルタの組み合わせとして特定することを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
  3. 前記特定手段は、予め指定された所定数の前記画像処理フィルタの組み合わせ群が生成されたときに、類似度が最も高い前記画像処理フィルタの組み合わせを、前記最適な画像処理フィルタの組み合わせとして特定することを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
  4. 撮像手段により撮像された被検物体の撮像画像から前記被検物体の欠陥を検出するための互いに異なる複数の画像処理フィルタを読み出し、前記被検物体の欠陥を検出するために最適な画像処理フィルタの組み合わせを決定する組み合わせ決定工程と、
    前記撮像画像に対して前記組み合わせ決定工程において決定された前記最適な画像処理フィルタの組み合わせに基づいて画像処理を施す欠陥検出工程とを備え、
    前記組み合わせ決定工程は、
    前記複数の画像処理フィルタを任意の組み合わせで、前記画像処理フィルタの組み合わせを複数個生成する染色体群生成工程と、
    前記教師画像と、前記画像処理フィルタの組み合わせ情報に基づいた画像処理後の処理画像との類似度を算出する類似度算出工程と、
    所定条件を満足したときに、前記類似度算出工程において算出された類似度が最も高い前記画像処理フィルタの組み合わせを、前記最適な画像処理フィルタの組み合わせとして特定する特定工程とを備えることを特徴とする表面検査方法。
  5. 前記特定工程は、前記類似度算出工程において算出された類似度が閾値を超えたときに、この閾値を超えた類似度を有する前記画像処理フィルタの組み合わせを、前記最適な画像処理フィルタの組み合わせとして特定することを特徴とする請求項4に記載の表面検査装置。
  6. 前記特定工程は、予め指定された所定数の前記画像フィルタ組み合わせ群が生成されたときに、類似度が最も高い前記画像処理フィルタの組み合わせを、前記最適な画像処理フィルタの組み合わせとして特定することを特徴とする請求項4に記載の表面検査方法。
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