JP2007009366A - ポリエステル極細繊維の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】延伸加工、混繊加工、延伸仮撚加工が可能な紡糸配向したポリエステル極細マルチフィラメント糸のラージパッケージを安定して製造する方法を提供すること。
【解決手段】ポリエステルを溶融紡糸し、紡出した糸条を一対のゴデットローラーを用いて2500〜3500m/分の速度で引取ることにより、単糸繊度が0.2〜0.5dtex、単糸総数が100本以上、及び総繊度が75dtex以下で、且つ複屈折率が0.03〜0.06のマルチフィラメント糸を製造するに際し、第1ゴデットローラーの表面速度(V1)と第2ゴデットローラーの表面速度(V2)、及びワインダーの巻取速度(Vw)と巻取チューブへの初期巻取速度(Vwf)をそれぞれ下記式(1)、(2)を同時に満足するように設定する。
(1)1.00≦V2/V1<1.10
(2)1.00≦Vw/Vwf<1.03
【選択図】なし
【解決手段】ポリエステルを溶融紡糸し、紡出した糸条を一対のゴデットローラーを用いて2500〜3500m/分の速度で引取ることにより、単糸繊度が0.2〜0.5dtex、単糸総数が100本以上、及び総繊度が75dtex以下で、且つ複屈折率が0.03〜0.06のマルチフィラメント糸を製造するに際し、第1ゴデットローラーの表面速度(V1)と第2ゴデットローラーの表面速度(V2)、及びワインダーの巻取速度(Vw)と巻取チューブへの初期巻取速度(Vwf)をそれぞれ下記式(1)、(2)を同時に満足するように設定する。
(1)1.00≦V2/V1<1.10
(2)1.00≦Vw/Vwf<1.03
【選択図】なし
Description
本発明は、延伸加工、混繊加工、延伸仮撚加工が可能な紡糸配向したポリエステル極細マルチフィラメント糸のラージパッケージを安定して製造する方法に関するものである。
近年、高速紡糸を応用して、単糸繊度が1dtex以下の極細フィラメントからなるポリエステルマルチフィラメント糸を製造する方法が提案されている。例えば特開平8−284015号公報には、単糸繊度が1.0デニール未満ポリエステル極細繊維を製造するに際し、第1ゴテットローラーの速度(V1)と第2ゴテットローラーの速度(V2)、及び巻取速度(Vw)をそれぞれ所定の比率に設定する方法が開示されている。
確かに、このような極めて限定された条件の範囲でポリエステルの溶融紡糸を行えば、単糸繊度が1.0デニール未満のポリエステル極細繊維を得ることができる。しかしながら、上記のような極めて限定された紡糸条件下においては、得られる糸条の単糸総数が多い場合、或いは得られる糸条の総繊度が小さい場合、走行糸条とゴテットローラーおよび糸導規制ガイドなどとの摩擦抵抗が大きくなるので、ポリエステル極細繊維のラージパッケージを安定して製造することが困難となるという問題があった。
特開平8−284015号公報
本発明は、上記従来技術を背景になされたもので、その目的は、延伸加工、混繊加工、延伸仮撚加工が可能な紡糸配向したポリエステル極細マルチフィラメント糸のラージパッケージを安定して製造する方法を提供することにある。
上記目的は、ポリエステルを溶融紡糸し、紡出した糸条を一対のゴデットローラーを用いて2500〜3500m/分の速度で引取ることにより、単糸繊度が0.2〜0.5dtex、単糸総数が100本以上、及び総繊度が75dtex以下で、且つ複屈折率が0.03〜0.06のマルチフィラメント糸を製造するに際し、第1ゴデットローラーの表面速度(V1)と第2ゴデットローラーの表面速度(V2)、及びワインダーの巻取速度(Vw)と巻取チューブへの初期巻取速度(Vwf)をそれぞれ下記式(1)、(2)を同時に満足するように設定することを特徴とするポリエステル極細マルチフィラメント糸の製造方法により達成できる。
(1)1.00≦V2/V1<1.10
(2)1.00≦Vw/Vwf<1.03
(1)1.00≦V2/V1<1.10
(2)1.00≦Vw/Vwf<1.03
本発明によれば、延伸加工、混繊加工、延伸仮撚加工が可能な紡糸配向したポリエステル極細マルチフィラメント糸のラージパッケージを安定して製造する方法が提供されるので、各種衣料用途等に極めて有用である。
以下本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明でいうポリエステルとは、繰り返し単位としてエチレンテレフタレートが85モル%以上、好ましくは95モル%以上を占めるポリエステルである。テレフタル酸成分および/またはエチレングリコール成分以外の成分を少量(通常は、テレフタル酸成分に対して15モル%以下)共重合したものであってもよい。これらのポリエステルには、公知の添加剤、例えば、顔料、染料、艶消し剤、防汚剤、蛍光増白剤、難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、滑剤等を含んでもよい。
本発明でいうポリエステルとは、繰り返し単位としてエチレンテレフタレートが85モル%以上、好ましくは95モル%以上を占めるポリエステルである。テレフタル酸成分および/またはエチレングリコール成分以外の成分を少量(通常は、テレフタル酸成分に対して15モル%以下)共重合したものであってもよい。これらのポリエステルには、公知の添加剤、例えば、顔料、染料、艶消し剤、防汚剤、蛍光増白剤、難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、滑剤等を含んでもよい。
本発明に用いるポリエステルの固有粘度(35℃のオルソ−クロロフェノール溶液を溶媒として使用し測定)は、通常衣料用布帛素材として使用されるポリエステルと同じ程度の固有粘度0.45〜0.70のもので良いが、単糸繊度が0.2〜0.5dtexである極細マルチフィラメント糸の溶融紡糸には、固有粘度0.50〜0.67の範囲のものを用いるのが望ましい。
ペレット状となした前記のポリエステルを常法で乾燥し、スクリュウ押出機を備えた通常の溶融紡糸設備で溶融し、該ポリエステルの融点(Tm)よりも40〜70℃高い温度に加熱し、紡糸パック内にて濾過して、100個以上の吐出孔を穿設した紡糸口金から吐出する。濾過する際の濾過層内の滞留時間は、該ポリエステル溶融物が冷却固化された後の固有粘度(ηf)が0.55〜0.65、より好ましくは0.58〜0.63となるようにするのが望ましい。また、吐出孔1孔当りの断面積は7×10−5〜2×10−4cm2、該吐出孔の長さ(L)と直径(D)との比(以下L/Dと称する)は4〜10の範囲および吐出孔1孔当りの吐出量は0.06〜0.20g/minの範囲が、吐出ポリマー流を安定にする上で望ましい。
次いで、吐出されたポリマー流は、冷却されないように保温された雰囲気中を通過後、クロスフロー式紡糸筒からの冷却風(温度は約25℃が好ましい)で冷却され、メタリングノズル式の給油集束装置などのガイドで油剤が付与されつつ、フィラメント束として集束され、インターレースノズルを通して交絡が付与され、第1ゴテットローラー、第2ゴテットローラーに引取られ、巻取機でパッケージとして連続的に巻き取られる。
この際、本発明においては、巻取後の単糸繊度が0.2〜0.5dtex、単糸総数が100本以上、及び総繊度が75dtex以下で、且つ複屈折率が0.03〜0.06のマルチフィラメント糸を、巻き取り速度を2500〜3500m/分として、第1ゴテットローラーと第2ゴテットローラー間で糸条を加熱することなく巻き取る場合において、第1ゴテットローラーの速度(V1)と第2ゴテットローラーの速度(V2)が(1)式を、巻取速度(Vw)と巻取チューブへの初期巻取速度(Vwf)が(2)式を満足するものとすることが必要である。
(1)1.00≦V2/V1<1.10
(2)1.00≦Vw/Vwf<1.03
(1)1.00≦V2/V1<1.10
(2)1.00≦Vw/Vwf<1.03
以下に、本発明における上記必須条件の作用効果を(1)、(2)の順に説明する。先ず上記条件が(1)式を満足しない場合、即ち第2ゴテットローラーの速度(V2)が第1ゴテットローラーの速度(V1)に対して、1.0倍未満の場合は、走行糸条とゴテットローラーおよび糸導規制ガイドなどとの摩擦抵抗が大きくなり、ゴテットローラー上での糸揺れにより単糸フィラメント切れによる毛羽が発生するうえ、糸条がローラー間で緩み過ぎ、第1ゴテットローラーや第2ゴテットローラーに糸条が巻き付き、断糸が多発する。一方、該比率が1.1倍以上の場合、繊維内の歪を緩和させることが出来なくなり、得られるポリエステル極細繊維パッケージの巻き姿が著しく悪くなるうえ、得られるポリエステル極細繊維を延伸加工、混繊加工、延伸仮撚加工して得られた加工糸の均染性は劣悪なものとなり、使用に耐えないものとなる。
次に、上記条件が(2)式を満足しない場合、即ち巻取速度(Vw)が巻取チューブへの初期巻取速度(Vwf)に対して、1.0倍未満の場合は、糸条が第2ゴテットローラーと巻取機間で緩み、第2ゴテットローラーや巻取機に糸条が巻き付き、断糸が多発したり、切替時にミスが多発し、操業性が著しく悪化する。一方、該比率が1.03倍以上の場合、繊維内の歪が顕著となり、得られるポリエステル極細繊維パッケージの巻き姿が著しく悪くなるうえ、得られるポリエステル極細繊維を延伸加工、混繊加工、延伸仮撚加工して得られた加工糸の均染性は劣悪なものとなり、使用に耐えないものとなる。
かくして得られるポリエステル極細マルチフィラメント糸は、以下に示す物性を有している。
複屈折率(Δn):0.03〜0.06
イブネスU%:0.8%以下
密度:1.345〜1.360g/cm3
温水(65℃):収縮率:25〜55%
最大点強度:2.0〜3.0cN/dtex、破断伸度:90〜150%
一次降伏応力:0.35〜0.70cN/dtex
熱応力ピーク値:0.1〜0.2cN/dtex
熱応力ピーク温度:使用したポリエステル重合体のガラス転移温度(Tg)より0〜10℃高い。
複屈折率(Δn):0.03〜0.06
イブネスU%:0.8%以下
密度:1.345〜1.360g/cm3
温水(65℃):収縮率:25〜55%
最大点強度:2.0〜3.0cN/dtex、破断伸度:90〜150%
一次降伏応力:0.35〜0.70cN/dtex
熱応力ピーク値:0.1〜0.2cN/dtex
熱応力ピーク温度:使用したポリエステル重合体のガラス転移温度(Tg)より0〜10℃高い。
このような物性を有するポリエステル極細マルチフィラメント糸は、延伸加工、混繊加工、延伸仮撚加工が可能であり、得られた延伸糸、混繊糸、仮撚加工糸は優れた均染性と糸物性を有している。
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。なお、実施例における各物性は次の方法で測定した。
(1)固有粘度
オルソクロロフェノールを溶媒として使用し35℃で測定した。
オルソクロロフェノールを溶媒として使用し35℃で測定した。
(2)複屈折率(Δn)
オリンパスBH−2偏光顕微鏡を使用し、コンペンセーター法により単糸のレターデーションと糸径を測定し、複屈折率を求めた。
オリンパスBH−2偏光顕微鏡を使用し、コンペンセーター法により単糸のレターデーションと糸径を測定し、複屈折率を求めた。
(3)イブネス(U%)
イブネスU%測定器を用いて、糸速:100m/分、チャートスピード:100mm/2.5分、フルスケール:±12.5%に設定し、連続3分間(糸長300m)糸長方向の繊度斑を測定し、平均値を測定試料のイブネスU%とした。
イブネスU%測定器を用いて、糸速:100m/分、チャートスピード:100mm/2.5分、フルスケール:±12.5%に設定し、連続3分間(糸長300m)糸長方向の繊度斑を測定し、平均値を測定試料のイブネスU%とした。
(4)密度
密度が1.276〜1.416の範囲内になるように調整したn−ヘプタン/四塩化炭素混合液を使用し、密度勾配管法により測定した。
密度が1.276〜1.416の範囲内になるように調整したn−ヘプタン/四塩化炭素混合液を使用し、密度勾配管法により測定した。
(5)温水(65℃)収縮率
試料を拘束状態で、65℃温水中で、30分間熱処理した時の収縮量を測定し、試料長に対するパーセントで温水(65℃)収縮率とした。
試料を拘束状態で、65℃温水中で、30分間熱処理した時の収縮量を測定し、試料長に対するパーセントで温水(65℃)収縮率とした。
(6)最大点強度、破断点伸度、一次降伏応力
(株)島津製作所製引張試験機テンシロンを用いて、試料長20cm、伸長率20%/minにて伸長試験を行い、得られた荷伸曲線から最大点強度、破断伸度および一次降伏応力を求めた。
(株)島津製作所製引張試験機テンシロンを用いて、試料長20cm、伸長率20%/minにて伸長試験を行い、得られた荷伸曲線から最大点強度、破断伸度および一次降伏応力を求めた。
(7)熱応力ピーク値、熱応力ピーク温度
カネボウエンジニアリング(株)製熱応力測定器(タイプKE−11)を用い、綛状にした試料に0.029cN/dtexの初荷重をかけた後、2.3℃/minの速度で昇温し、発生する応力をチャート上に記録し、熱応力ピーク温度及び熱応力ピーク値を求めた。なお、熱応力値はチャートから読み取った応力(cN)を繊度(dtex)で除して(cN/dtex)で表した。
カネボウエンジニアリング(株)製熱応力測定器(タイプKE−11)を用い、綛状にした試料に0.029cN/dtexの初荷重をかけた後、2.3℃/minの速度で昇温し、発生する応力をチャート上に記録し、熱応力ピーク温度及び熱応力ピーク値を求めた。なお、熱応力値はチャートから読み取った応力(cN)を繊度(dtex)で除して(cN/dtex)で表した。
(8)紡糸断糸
実施例の条件で、8錘建ての溶融紡糸機を1週間連続運転し、人為的あるいは機械的要因に起因する断糸を除き、その間に発生した断糸回数を記録し、1日当たりの断糸回数を計算し、紡糸断糸とした。
実施例の条件で、8錘建ての溶融紡糸機を1週間連続運転し、人為的あるいは機械的要因に起因する断糸を除き、その間に発生した断糸回数を記録し、1日当たりの断糸回数を計算し、紡糸断糸とした。
(9)捲き姿
得られたパッケージ(10kg捲)の捲き姿を目視で次の基準で判定した。
レベル1:端面の膨らみがなく良好。
レベル2:端面の膨らみが少し認められる。
レベル3:端面の膨らみが大きく、実用として使用出来ない。
得られたパッケージ(10kg捲)の捲き姿を目視で次の基準で判定した。
レベル1:端面の膨らみがなく良好。
レベル2:端面の膨らみが少し認められる。
レベル3:端面の膨らみが大きく、実用として使用出来ない。
(10)自動切り替え断糸
パッケージ重量を10kg捲とし、6糸条巻の巻取機にて、各条件につき10回ずつ自動切り替えを実施し、その糸切れ回数で自動切り替え断糸とした。
パッケージ重量を10kg捲とし、6糸条巻の巻取機にて、各条件につき10回ずつ自動切り替えを実施し、その糸切れ回数で自動切り替え断糸とした。
(11)加工糸均染性
加工糸試料を12ゲージ丸編機で30cm長の筒編みとし、染料(テラシールブルーGFL)を用い、100℃、40min染色し、均染性を検査員が目視にて下記基準で格付けした。
レベル1:均一に染色されており、染斑がほとんど認められない。
レベル2:縞状の染斑が少し認められる。
レベル3:縞状の斑が一面に認められる。
加工糸試料を12ゲージ丸編機で30cm長の筒編みとし、染料(テラシールブルーGFL)を用い、100℃、40min染色し、均染性を検査員が目視にて下記基準で格付けした。
レベル1:均一に染色されており、染斑がほとんど認められない。
レベル2:縞状の染斑が少し認められる。
レベル3:縞状の斑が一面に認められる。
[実施例1〜3、比較例1〜2]
固有粘度が0.64で酸化チタンを0.3重量%含有したポリエチレンテレフタレートを140℃で5時間乾燥した後、スクリュー式押出機を装備した溶融紡糸設備にて溶融し、315℃に保たれたスピンブロックに導入し、冷却固化されたポリエチレンテレフタレートの固有粘度(ηf)が0.61となるような滞留時間とし、紡糸パックで濾過し、断面積が1.8×10−4cm2、L/Dが6.0の吐出孔が144個穿設された紡糸口金から、吐出孔1孔当りの吐出量0.14g/min量で吐出した。次いで、吐出されたポリマー流を、紡糸口金面から30mmの間の雰囲気が300℃に保たれたホットゾーンを通過せしめ、クロスフロー式紡糸筒からの25℃の冷却風で冷却し、紡糸口金面から420mmの位置(集束長)に設置されたメタリングノズル式給油ガイドで油剤を付与しつつ、フィラメント束として集束した。
固有粘度が0.64で酸化チタンを0.3重量%含有したポリエチレンテレフタレートを140℃で5時間乾燥した後、スクリュー式押出機を装備した溶融紡糸設備にて溶融し、315℃に保たれたスピンブロックに導入し、冷却固化されたポリエチレンテレフタレートの固有粘度(ηf)が0.61となるような滞留時間とし、紡糸パックで濾過し、断面積が1.8×10−4cm2、L/Dが6.0の吐出孔が144個穿設された紡糸口金から、吐出孔1孔当りの吐出量0.14g/min量で吐出した。次いで、吐出されたポリマー流を、紡糸口金面から30mmの間の雰囲気が300℃に保たれたホットゾーンを通過せしめ、クロスフロー式紡糸筒からの25℃の冷却風で冷却し、紡糸口金面から420mmの位置(集束長)に設置されたメタリングノズル式給油ガイドで油剤を付与しつつ、フィラメント束として集束した。
引き続きインターレースノズルを通して交絡を付与し、表面速度が3000m/minで回転している第1ゴデットローラーで引き取り、次いで第2ゴデットローラーで引き取り、ワインダーにて巻取ってポリエステル極細マルチフィラメントパッケージ(単糸繊度0.48dtex)を得た。この時の第1ゴデットローラーの表面速度(V1)と、第2ゴデットローラーの表面速度(V2)の速度比、紡糸断糸、捲き姿を表1に示す。尚、この際のワインダーの巻取速度(Vw)と巻取チューブへの初期巻取速度(Vwf)との速度比は1.01とした。
該ポリエステル極細マルチフィラメントパッケージを、帝人製機(株)製HTS−15V延伸仮撚加工機に掛け、厚み9mm、直径58mmのウレタンディスクを仮撚具として、延伸倍率1.60、D(ディスク回転速度)/Y(糸速度)=1.70、ヒーター温度前半部350℃、後半部230℃、加工速度650m/minの条件にて、延伸同時仮撚加工を実施した。
得られた加工糸の均染性を各々表1に示す。なお、比較例1においては、延伸仮撚加工に供する量のポリエステル極細マルチフィラメントパッケージが得られなかった。
得られた加工糸の均染性を各々表1に示す。なお、比較例1においては、延伸仮撚加工に供する量のポリエステル極細マルチフィラメントパッケージが得られなかった。
表1から明らかなように、実施例1〜3においては、安定してポリエステル極細マルチフィラメント糸を紡糸することが出来た。第1ゴデットローラーの表面速度(V1)と、第2ゴデットローラーの表面速度(V2)の速度比V2/V1が本発明の範囲外の比較例1では、糸条がローラー間で緩み過ぎ、第1ゴテットローラーや第2ゴテットローラーに糸条が巻き付き、断糸が多発し、連続して紡糸運転を行うことができなかった。また、第1ゴデットローラーの表面速度(V1)と、第2ゴデットローラーの表面速度(V2)の速度比V2/V1が本発明の範囲外の比較例2では、得られるポリエステル極細繊維を延伸仮撚加工して得られた加工糸の均染性は劣悪なものとなり、使用に耐えないものとなった。
[実施例4〜6、比較例3〜4]
実施例2において、ワインダーへの巻取速度(Vw)と巻取チューブへの初期巻取速度(Vwf)の速度比Vw/Vwfを各々表2に示すように変更する以外は実施例2と同じ方法、条件でポリエステル極細マルチフィラメントパッケージを得た。この時の紡糸断糸、捲き姿、自動切り替え断糸、得られたポリエステル極細マルチフィラメント糸を延伸仮撚加工して得られた加工糸の加工糸均染性を表2に示す。
実施例2において、ワインダーへの巻取速度(Vw)と巻取チューブへの初期巻取速度(Vwf)の速度比Vw/Vwfを各々表2に示すように変更する以外は実施例2と同じ方法、条件でポリエステル極細マルチフィラメントパッケージを得た。この時の紡糸断糸、捲き姿、自動切り替え断糸、得られたポリエステル極細マルチフィラメント糸を延伸仮撚加工して得られた加工糸の加工糸均染性を表2に示す。
表2から明らかなように、実施例4〜6においては、安定してポリエステル極細マルチフィラメント糸を紡糸することが出来た。ワインダーへの巻取速度(Vw)と巻取チューブへの初期巻取速度(Vwf)の速度比Vw/Vwfが本発明の範囲外の比較例3では、糸条が第2ゴテットローラーと巻取機間で緩み、第2ゴテットローラーや巻取機に糸条が巻き付き、断糸が多発し、連続して紡糸運転を行うことができなかった。また、ワインダーへの巻取速度(Vw)と巻取チューブへの初期巻取速度(Vwf)の速度比Vw/Vwfが本発明の範囲外の比較例4では、得られるポリエステル極細繊維を延伸仮撚加工して得られた加工糸の均染性は劣悪なものとなり、使用に耐えないものとなった。
本発明によれば、延伸加工、混繊加工、延伸仮撚加工が可能な紡糸配向したポリエステル極細マルチフィラメント糸のラージパッケージを安定して製造する方法が提供されるので、各種衣料用途等に極めて有用である。
Claims (1)
- ポリエステルを溶融紡糸し、紡出した糸条を一対のゴデットローラーを用いて2500〜3500m/分の速度で引取ることにより、単糸繊度が0.2〜0.5dtex、単糸総数が100本以上、及び総繊度が75dtex以下で、且つ複屈折率が0.03〜0.06のマルチフィラメント糸を製造するに際し、第1ゴデットローラーの表面速度(V1)と第2ゴデットローラーの表面速度(V2)、及びワインダーの巻取速度(Vw)と巻取チューブへの初期巻取速度(Vwf)をそれぞれ下記式(1)、(2)を同時に満足するように設定することを特徴とするポリエステル極細マルチフィラメント糸の製造方法。
(1)1.00≦V2/V1<1.10
(2)1.00≦Vw/Vwf<1.03
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2005191802A JP2007009366A (ja) | 2005-06-30 | 2005-06-30 | ポリエステル極細繊維の製造方法 |
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