JP2007008809A - 混合希土類塩及びセリウム系研摩材用原料 - Google Patents
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Abstract
【解決課題】 研摩材製造において焙焼温度が比較的低温であっても焼結可能であり、異常粒成長のおそれのない研摩材用原料を提示すること。
【解決手段】 本発明は、セリウム系希土類炭酸塩とセリウム系希土類酸化物とを混合してなり、1000℃で1時間加熱した場合の強熱減量が乾燥重量基準で0.05〜5.0%である混合希土類塩、及び、この混合希土類塩を主成分とし、1000℃で1時間加熱した場合の強熱減量が乾燥重量基準で0.05〜5.0%であるセリウム系研摩材原料である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、酸化セリウムを主成分とするセリウム系研摩材用原料およびその製造方法に関し、更に、この原料を用いた研摩特性に優れるセリウム系研摩材に関する。
セリウム系研摩材は、種々のガラス材料の研摩に用いられており、特に近年では、ハードディスク等の磁気記録媒体用ガラス、液晶ディスプレイ(LCD)のガラス基板といった電気・電子機器で用いられるガラス材料の研摩にも用いられており、その応用分野が広がっている。
このセリウム系研摩材は、主成分である酸化セリウム(CeO2)の粒子と他の希土類金属酸化物の粒子とからなり、全希土酸化物含有量に対する酸化セリウム含有量の割合によって高セリウム研摩材と低セリウム研摩材とに分類されているが、その製造工程に大差はない。即ち、いずれのセリウム系研摩材を製造する場合であっても、まず原料を粉砕し、その後に化学処理(湿式処理)を施す。これは、フッ素成分を添加してセリウム系研摩材の高い切削性を確保するためであると共に、後の焙焼工程時に異常粒成長の原因となるナトリウム等のアルカリ金属を除去するためである。そして、化学処理後、原料を濾過、乾燥し、その後高温で加熱して焙焼することで原料粒子同士を焼結し、これを再度粉砕して分級することにより、所望の粒径、粒度分布を有する研摩材を製造している。
ここで、セリウム系研摩材の製造のために用いられる原料としては、従来は、バストネサイトと呼ばれる希土鉱石を選鉱したバストネサイト精鉱という天然原料を使用することが多かったが、最近ではバストネサイト鉱や比較的安価な中国産複雑鉱を化学処理することにより、希土類金属濃度を富化したセリウム系希土類炭酸塩(以下、炭酸希土とも称する)、又は、この炭酸希土を予め高温で仮焼することにより得られるセリウム系希土類酸化物(以下、酸化希土とも称する)を原料とすることが多くなっている。
ところで、研摩材として十分な切削性を確保するためには、焙焼工程において原料粒子を焼結させ適度な大きさの研摩粒子を製造することが重要である。そのため、上記炭酸希土及び酸化希土を原料として製造する場合においては、焙焼温度を1000℃近傍と比較的高温域に設定するのが通常である。これは、いずれの原料を適用するにしても、かかる温度範囲でなければ、原料粒子の十分な焼結を生じさせることができないことが経験的に明らかとなっているからである。
しかしながら、焙焼温度を高くすることは、焼結を促進するという効果がある一方で異常粒成長の要因でもある。この異常粒成長により粗大粒子が生ずると、それが最終製品である研摩材中に混入するおそれがある。このような粗大粒子は、傷の原因となることから、できるだけその含有率を低減させる必要がある。従来は、焙焼後の分級工程の調製により行なわれていたが、粗大粒子の濃度を低くしようとするあまり分級条件を厳密にすることは研摩材の生産効率を低下させそのコスト上昇の要因ともなる。
従って、粗大粒子の混入を抑制し、且つ、生産効率を確保するためには、焙焼工程における焙焼温度をできるだけ低くして異常粒成長を抑制できるようにすることが望ましいといえる。
そこで、本発明は、研摩材製造において焙焼温度が比較的低温であっても焼結可能であり、異常粒成長のおそれのない研摩材用原料を製造する方法を提示することを課題とする。そして、この方法により製造される研摩材用原料及びこれにより製造される高品位の研磨面を形成可能なセリウム系研摩材を提供することを課題とする。
かかる課題を解決すべく、本発明者らは、鋭意研究を行い、上記した炭酸希土及び酸化希土を原料とした際の焙焼時の焼結機構につき検討した。本発明者らによれば、炭酸希土及び酸化希土について高温での焙焼が必要な理由としては以下のようなものが考えられる。
まず、炭酸希土については、図1に示すようなものである。原料として搬入される炭酸希土は、炭酸希土粒子が結束した粗大な凝集体よりなる。そして、この炭酸希土を原料とした研摩材の製造工程では、まず原料を破砕するが、この炭酸希土の凝集体は結束力が強く、また、湿式粉砕における炭酸希土のスラリーの粘土は酸化希土のそれに比べて非常に高いため、粉砕効率が低く、これを完全に微粒にすることは困難である。したがって、粉砕後の微粒炭酸希土の中に部分的に粗大粒子が残留した状態になる。
粉砕後、原料はフッ化処理されるが、このフッ化処理においては、炭酸希土中のCO3がフッ素と交換され、炭酸希土はフッ化炭酸希土となり、これに伴い粗大粒子の破壊が生ずる。しかし、フッ化処理で添加されるフッ素の量は最終製品のフッ素濃度との関係で制限されており、粗大粒子の破壊は十分にはなされない。
フッ化処理された炭酸希土は焙焼される。このとき炭酸希土中の炭酸成分がCO2として放出され、これにより炭酸希土粒子が密度の低い多孔質の形骸粒子となる。また焙焼中の炭酸希土中には粗大粒子が多く残留しており、多くの粗大な形骸粒子が生成される。形骸粒子であること及び粒子が粗大であることはいずれも焼結速度を遅くする要因であるため、粗大な形骸粒子は焼結速度が極めて遅く、高温でなければ焼結が進行しない。このような理由から炭酸希土を原料として研摩材を製造する際、焙焼温度を高温にする必要があると考えられる。
一方、酸化希土の焼結機構を図示すると図2のようになる。上記のように、酸化希土は炭酸希土を高温で仮焼したものである。酸化希土の原料である炭酸希土は図1と同様に粗大粒子を形成しており、これを仮焼すると、炭酸成分が放出して原料が形骸粒子化する。形骸粒子は脆く仮焼中に受ける衝撃によって徐々に崩壊してより微粒になり、この微粒の炭酸希土はさらなる加熱により酸化が進んで酸化希土となる。
また、この仮焼では、生成した酸化希土粒子同士が焼結して凝集体を形成する。この酸化希土の凝集体は結束力が強く、その後粉砕されるものの、その一部が凝集体として残留する。このような酸化希土についてフッ化処理を行っても、凝集体の内部までフッ化されることなく中心部の酸化希土粒子は酸化物のままとなる。
このようなフッ化の不均一は、その後の焙焼時における焼結に対して悪影響を与える。即ち、かかるフッ化が不均一になされた凝集体は、焙焼工程下における加熱、衝撃により崩壊するがこれによりフッ化が十分なされた酸化希土粒子とフッ化されていない又はフッ素濃度の低い酸化希土粒子とが混在した状態となる。そして、前者は速やかに焼結するが、後者は焼結速度が遅く相当高温下でなければ十分な焼結速度が得られない。このような理由から酸化希土を原料として研摩材を製造する際には、焙焼温度を高温にする必要があると考えられる。
本発明者らは、以上のような炭酸希土及び酸化希土の焼結機構を考慮し、焙焼時に形骸粒子を存在させず、且つ、フッ化処理を均一に行うことができる原料を製造する方法として、酸化希土と同様に粉砕前の炭酸希土を仮焼し、この仮焼によって炭酸希土から酸化希土への変化が部分的に生ずるようにすることで、上記課題を解決可能であると考えた。このような部分的仮焼の過程を図3に示す。
この部分的仮焼は酸化希土の製造方法と同様、炭酸希土を仮焼するものであるから、仮焼初期において炭酸希土粒子に生ずる変化は酸化希土を製造する過程において生ずる変化と同様である。つまり、炭酸成分がCO2として放出され、炭酸希土粒子が形骸粒子となり崩壊して微粒の炭酸希土を形成する。そして、これら炭酸希土の微粒子は酸化され、加熱時間の経過に伴い粒子中の酸化物の割合が増加する。本発明に係る部分的仮焼は、炭酸希土の全てが酸化希土となる前に仮焼を中止して、原料を構成する粒子を酸化物炭酸塩とからなる混合希土とするものである。
この部分的仮焼により形成された混合希土粒子は、その後の粉砕及びフッ化処理によって残留した形骸粒子が破壊されることで、更に微粒子化される。また、フッ化処理においては、酸化希土とは異なり凝集体が存在していないので、均一にフッ化される。その結果、仮焼においては形骸粒子やフッ化の不十分な粒子のような焼結を妨げる要因がないので、比較的低温においても焼結が進行する。
このように、本発明者らが提唱する部分的仮焼によれば、炭酸希土及び酸化希土が有する、高温でなければ焼結が生じがたいという問題を生じさせることのない研磨材用原料が製造可能である。
ところで、この部分的仮焼においては、如何に炭酸希土を適度に酸化させて混合希土とするかが肝要である。加熱が過度であると、炭酸希土が完全に酸化希土になって上述のように不均一にフッ化されるおそれがあり、その一方で加熱が不足すると、十分な形骸粒子の破壊が生じず、いずれも原料としては焼結性に問題がある。本発明者らは、このような部分的仮焼を行って研摩材用原料を製造するにあたり差異的な条件を見出すべく鋭意検討を行う中で、本願請求項1に記載の発明を相当するに至った。
即ち、本願請求項1に記載の発明は、セリウム系希土類炭酸塩を600℃〜900℃で仮焼するセリウム系研摩材用原料の製造方法である。
この範囲の仮焼温度で仮焼すると、炭酸希土から炭酸成分が適度に放出されて酸化希土が生成される。即ち、900℃より高温にすると酸化希土の凝集体が生成されるおそれがある。また、形骸粒子の破壊は400℃以上であれば起こるが、600℃より低温では強熱減量1%以下にするのは困難である。
そして同様に炭酸希土から適度に炭酸成分を放出させる観点から、請求項2に記載のように、600℃〜750℃で部分的仮焼を行うにあたっては、仮焼時間をy1時間〜y2時間とするのが好ましい。y1およびy2は次の式により定まる。
また、750℃〜900℃で部分的仮焼を行うにあたっては、仮焼時間をy3時間〜y4時間とするのが好ましい。y3およびy4は次式により定まる。
このように仮焼時間を定めたのは、鋭意研究を進める中で、仮焼時間が長いほど焼結が進んで酸化希土粒子同士の凝集体が形成されるおそれが高くなること、また仮焼時間があまりに短いと十分な仮焼の効果を得られないことを見出したからである。なお、600℃〜750℃で部分的仮焼を行う際の仮焼時間の条件として、請求項3に記載のように、4時間〜70時間という条件を用いてもよく、また750℃〜900℃で部分的仮焼を行う際の仮焼時間の条件として、請求項5に記載のように、1時間〜40時間という条件を用いてもよい。これらの条件を用いると、請求項2又は請求項4に記載の条件を用いた場合と同様に好ましい結果が得られ、しかも仮焼時間をより簡便に定めることができる。
本発明により製造された原料は、従来のセリウム系研摩材の製造工程にそのまま適用でき、粉砕及びフッ化処理を行った際、より粗大粒子が少なくなる上、より均一にフッ化される。これにより焙焼工程の焙焼温度を低くすることができる。
またセリウム系研摩材用原料の強熱減量(以下、LOI(Loss On Ignition)ともいう。)という物性に着目し、強熱減量と仮焼条件(仮焼温度及び仮焼時間)との関係を検討した結果、請求項6に記載のように、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法により製造されたセリウム系研摩材用原料を1000℃で1時間加熱した場合の強熱減量が乾燥重量基準で0.05%〜5.0%であると、炭酸希土から炭酸成分が適度に放出されており、しかも酸化希土の凝集体が生成されておらず、十分に形骸粒子が破壊されていることを期待できることが判った。また、セリウム系研摩材用原料の強熱減量がこの範囲であれば、焙焼時の焼結性に優れる上に、原料運搬時の利便性に優れると共に最終製品である研摩材の生産性が向上する。
強熱減量とは、対象物を強熱した際の重量減少率をいう。セリウム系研摩材用原料において、この強熱減量が高いということは、焙焼される原料重量が同じでも焙焼後に得られる最終製品の重量が少なく、生産性が悪いということを意味する。この強熱減量の値は、炭酸希土は約30%、また酸化希土は0%であることが判っている。従って、本発明においてLOIの値は炭酸希土と酸化希土の存在比率を間接的に表示する指標ともいえる。なお、本発明において強熱減量を1000℃で1時間加熱した後に測定することにしたのは、希土塩の場合、500℃以上の加熱で強熱減量の値が安定し始めることが実験的に確認されており、1000℃での加熱が最も安定的な指標として適用可能であるという考えに基づくものである。
上述のように本発明にかかる研摩材用原料は比較的低温で焙焼しても十分な焼結速度にて焼結可能である。そこで、請求項7に記載の発明は、この原料を粉砕しフッ化処理を行った後、フッ化処理後のセリウム系研摩材用原料を700℃〜1000℃で焙焼する工程を有するセリウム系研摩材の製造方法とした。このように低温で焙焼することにより、異常粒成長を抑制し、傷発生のない高品位の研摩面が形成可能なセリウム系研摩材を製造することができる。
なお、このセリウム系研摩材の製造方法においては、焙焼工程前にフッ化処理を行うが、このフッ化処理はフッ化アンモニウムを用いて行うのが好ましい。フッ化処理についてはフッ酸も適用可能であるが、フッ化アンモニウムはフッ化反応が緩やかに進行するので、原料中にフッ素をより均一に分布させることができる。これにより、より低温での焙焼が可能となる。
以上説明したように本発明によれば、研摩材製造において焙焼温度が比較的低温であっても焼結可能な研摩材用原料を製造することができる。そして、この研摩材用原料によれば、異常粒成長による粗大粒子の混入もなく、高品位の研摩面を形成可能なセリウム系研摩材を製造することができる。
以下、本発明の好適な実施の形態を説明する。
第1実施形態:全希土酸化物含有率(以下、TREOという)が69.5%(酸化セリウム含有率/TREO=58%)の炭酸希土3kgを電気炉により、650℃で48時間仮焼することでセリウム系研摩材用原料を製造した。そして、この際のLOIを測定した。
LOIの測定は次のように行った。予め重量を測定したるつぼに研摩材用原料を入れその重量を測定した後、電気炉中で1000℃、1時間加熱した後乾燥雰囲気下で放冷した。放冷後るつぼの重量を測定し、下記計算式に従いLOIの値を求めた。その結果、本実施形態により製造された研摩材用原料のLOIは0.2%であった。
次に、この研摩材用原料2kgと純水2l(リットル)とを、直径5mmの鋼製の粉砕媒体(ボール)12kgが充填された湿式ボールミルにて5時間粉砕し、平均粒径(マイクロクラット法D50(累積50%粒径))が1μmの粉体からなるスラリーとした。平均粒径は粒度分布測定装置(製品名:マイクロトラック、日機装社製)を用いて測定した。その後、このスラリーに濃度1mol/lのフッ化アンモニウム溶液を添加し、純水で洗浄後濾過してケーキを得た。次に、このケーキを乾燥後、920℃で2時間焙焼して再度粉砕した後、分級してセリウム系研摩材を得た。
第2〜第6実施形態:第1実施形態で用いた炭酸希土と同様の炭酸希土を仮焼温度及び仮焼時間だけを変え、それ以外は第1実施形態と同様の条件でセリウム系研摩材を製造した。また、仮焼によって得られた研摩材用原料についてLOIの値を測定した。各実施形態における仮焼温度、仮焼時間および得られた研摩材用原料のLOIの測定値は、第2実施形態では650℃、12時間および3.2%、第3実施形態では750℃、24時間および0.1%、第4実施形態では750℃、6時間および3.0%、第5実施形態では850℃、12時間および0.1%、そして第6実施形態では850℃、3時間および2.9%であった。
第1および第2比較例:各実施形態で用いた炭酸希土と同様の炭酸希土を仮焼温度及び仮焼時間だけを変え、それ以外は各実施形態と同様の条件でセリウム系研摩材を製造した。また、仮焼によって得られた研摩材用原料のLOIの値を測定した。仮焼温度はいずれの比較例とも1000℃であり、この温度で第1比較例では2時間仮焼した。LOIの値は0.1%であった。また第2比較例では0.5時間仮焼した。LOIの値は3.0%であった。
第3比較例:各実施形態で用いた炭酸希土と同様の炭酸希土を仮焼して製造した研摩材用原料(酸化希土)を用いてセリウム系研摩材を製造した。仮焼条件は、電気炉によって1000℃で5時間仮焼するというものであった。また、仮焼によって得られた研摩材用原料のLOIの値は、0.05%未満であった。なお、得られた研摩材用原料からセリウム系研摩材を製造する際の条件は、焙焼温度を980℃とした以外は各実施形態と同様であった。
第4比較例:各実施形態で用いた炭酸希土と同様の炭酸希土そのもの(LOIは30%)を研摩材用原料として用いてセリウム系研摩材を製造した。この炭酸希土からセリウム系研摩材を製造する際の条件は、焙焼温度を含めて比較例3と同様である。
そして、各実施形態及び比較例により得られたセリウム系研摩材について研摩試験を行い、研摩値の測定および研摩面の状態評価(傷評価)を行った。研摩試験では、高速研摩試験機を試験装置として用い、65mmφの平面パネル用ガラスを被研摩材とし、このガラスをポリウレタン製の研摩パッドを用いて研摩した。研摩試験では、まず研摩材を水に分散させてスラリー濃度が10重量%の研磨材スラリーを調製した。研摩条件は、調製した研摩材スラリーを5ml/minの速度で供給し、研摩面に対する圧力を15.7kg/cm2に設定し、研摩試験機の回転速度を1000rpmに設定するというものであった。研摩後のガラス材料は、純水で洗浄し無塵状態で乾燥させた。
この研摩試験における研摩値は、研摩前後のガラス重量を測定することにより求められたガラス重量の減量を基に求められた値である。傷についての評価は、研摩面の状態を評価したものであり、研摩表面の傷の有無および研磨材粒子の研摩面への残存の有無を基準として行ったものである。具体的には、研摩後のガラスの表面に30万ルクスのハロゲンランプを照射し、反射法にてガラス表面を観察して、傷の程度(大きさ)を見極めて点数化し、100点満点からの減点方式にて評価点を定めた。また、研摩値と傷の評価点とに基づく総合評価をした。これは、各実施形態や比較例によって製造されたセリウム系研摩材の品質を簡便に、かつ相対的に把握できるようにするものであり、総合評価に用いたしきい値(例えば、総合評価BとCとを分ける基準である研摩値102)は絶対的基準ではない。試験の結果を次の表に示す。
この結果から解るように、各実施形態により得られたセリウム系研摩材の研摩値はいずれも良好であった。また研摩面での傷発生が少なく、研摩面も優れていることが判った。特に第1実施形態から第4実施形態により得られたセリウム径研摩材の傷発生が少ないことから、仮焼温度は800℃以下がより好ましいことが解った。一方、第1、第2及び第3比較例の方法により得られた各セリウム系研摩材については、研摩値は良好であったが、傷評価は各実施形態と比較して劣っていた。これは、各実施形態の仮焼温度と比較して高温である1000℃という温度で仮焼したため、焼結が進んで異常粒成長が生じ、その後粉砕をしたが粗大粒子が残ったと考えられる。なお、仮焼時間が長いほど焼結が進み、傷評価が低下する傾向にあることが解った。また、第4比較例の方法により得られたセリウム系研摩材については、傷評価は良好であったが、研摩値は各実施形態と比較して劣っていた。炭酸希土は粉砕効率が低く、粗大粒子を含んだ状態で焙焼される。したがって、焙焼における焼結速度が遅く、焙焼の際に原料粒子が適度な大きさまで成長しなかったと考えられる。
Claims (2)
- セリウム系希土類炭酸塩とセリウム系希土類酸化物とを混合してなり、1000℃で1時間加熱した場合の強熱減量が乾燥重量基準で0.05〜5.0%である混合希土類塩。
- セリウム系希土類炭酸塩とセリウム系希土類酸化物との混合希土類塩を主成分とし、1000℃で1時間加熱した場合の強熱減量が乾燥重量基準で0.05〜5.0%であるセリウム系研摩材原料。
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