JP2007008086A - 樹脂成形品、その成形方法及び成形装置 - Google Patents

樹脂成形品、その成形方法及び成形装置 Download PDF

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Akifumi Suzuki
章文 鈴木
Hideaki Nagasawa
英昭 長澤
Tatsuo Masuda
起夫 増田
Akihiro Sugimura
明弘 杉村
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Abstract

【課題】 内径のばらつきが小さく、安定した成形品ができる樹脂成形品の成形方法及び成形装置を提供する。
【解決手段】 フロントブラケットの成形方法は、固定金型21、可動金型22及び副可動金型27によって形成されたキャビティC内に溶融樹脂Jを充填するとともに、キャビ
ティC内に充填した溶融樹脂Jをスクイズピン31にて押圧してフロントブラケットを成
形するようにした。このとき、溶融樹脂Jの充填に基づくキャビティCの内圧(実圧力)
を圧力センサPSにて検知し、実圧力が予め定めた基準圧力になった時、スクイズピン31にて、キャビティC内に充填した溶融樹脂Jを押圧するようにした。
【選択図】 図2

Description

本発明は、樹脂成形品、その成形方法及び成形装置に関する。
従来、自動車の空調ダクトには、ブロアモータが設けられている。このブロアモータは、モータ騒音の低減を図るために、各部分を合成樹脂で成形することが提案されている(例えば、特許文献1。)。また、近年、この種のモータにおいて、モータを構成する各部材を可能な限り合成樹脂で成形するようにして、更なる軽量化、製造コストの低減を図っている。
ところで、特許文献1に示すフロントブラケット(エンドブラケット)も合成樹脂で成形することが行われている。フロントブラケットは、出力軸を回転可能に支持する軸受を収容する部材であるため、軸受収容部は真円度が保持される必要がある。
そこで、金型を使ってエンドブラケットを成形する際、溶融樹脂が充填されるキャビティ内であって、特に真円度を保ちたい部分(軸受と当接する部分)に、円筒状の補助キャビティを設け、その補助キャビティにも溶融樹脂を充填する。そして、溶融樹脂を充填した後予め定めた時間にスクイズピンによって、補助キャビティに充填した溶融樹脂を押圧(スクイズ)することによって、真円度の高い内径を有するフロントブラケットを成形するようにしていた。
特開平5−49208号公報
しかしながら、上記した溶融樹脂を充填した後予め定めた時間にスクイズピンによって、充填した溶融樹脂を押圧(スクイズ)しても、ひけが発生していた。従って、真円度の高い内径が要求される成形品において、内径のばらつきが小さく、安定した成形品が望まれる。
本発明者は、いくら予め定めたタイミングでスクイズを開始しても、スクイズを開始する時点でのキャビティ内の圧力にばらつきがあり、これが原因でひけが発生したりしなかったりすることを見出した。
本発明は、前述した上記問題点を解消するためになされたものであって、その目的は、内径のばらつきが小さく、安定した成形品ができる樹脂成形品の成形方法及び成形装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、金型によって形成されたキャビティ内に溶融樹脂を充填するとともに、前記キャビティ内に充填した前記溶融樹脂をスクイズピンにて押圧して樹脂成形品を成形する樹脂成形品の成形方法において、前記溶融樹脂の充填に基づく前記キャビティの内圧を検知し、同内圧が予め定めた基準圧力になった時、前記スクイズピンにて、前記キャビティ内に充填した前記溶融樹脂を押圧するようにした。
請求項2に記載の発明は、金型によって形成されたキャビティ内に溶融樹脂を充填するとともに、前記キャビティ内に充填した前記溶融樹脂をスクイズピンにて押圧して樹脂成
形品を成形する樹脂成形品の成形装置において、前記キャビティの内圧を検知する圧力検知手段と、前記キャビティの内圧と予め定めた基準圧力とを比較する比較手段と、前記比較手段が前記キャビティの内圧が前記基準圧力になったと判断したとき、前記スクイズピンを押圧駆動させる制御手段とを備えた。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の樹脂成形品の成形装置において、前記金型は、固定金型、可動金型、副可動金型よりなり、各金型にて、軸受を収容支持する軸受収容部を有する樹脂成形品の前記キャビティを形成する。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の樹脂成形品の成形方法にて形成された。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の樹脂成形品において、前記樹脂成形品は、モータの出力軸を回転可能に支持する軸受を収容支持する軸受収容部を有するブラケットである。
請求項1及び請求項4の発明によれば、キャビティの内圧が予め定めた基準内圧になった時に、スクイズピンにてキャビティ内に充填した溶融樹脂を押圧するようにした。つまり、常に、キャビティの内圧が基準内圧になった時から、キャビティ内への更なる溶融樹脂の充填が行われることから、一定の圧力下で樹脂成形品が成形されるため、内径のばらつきの原因となるひけを好適に抑制することができ、内径のばらつきが小さく安定した樹脂成形品ができる。
請求項2の発明によれば、キャビティの内圧と予め定めた基準内圧を比較し、キャビティの内圧が基準内圧になったと判断した時に、制御手段によってスクイズピンを駆動し、キャビティ内に充填した溶融樹脂を押圧するようにした。つまり、常に、キャビティの内圧が基準内圧になった時から、キャビティ内への更なる溶融樹脂の充填が行われることから、一定の圧力下で樹脂成形品が成形されるため、内径のばらつきの原因となるひけを好適に抑制することができ、内径のばらつきが小さく安定した樹脂成形品ができる。
請求項3の発明によれば、固定金型、可動金型、副可動金型により、軸受を収容支持する軸受収容部を有する樹脂成形品のキャビティを形成するようにした。従って、軸受を収容支持する軸受収容部を有する樹脂成形品を一定の圧力下で成形することができるため、内径のばらつきの原因となるひけを好適に抑制することができ、内径のばらつきが小さく安定した軸受収容部を有する樹脂成形品ができる。
請求項5の発明によれば、モータの出力軸を回転可能に支持する軸受を収容支持する軸受収容部を有するブラケットが成形されるようにした。従って、軸受を収容支持する軸受収容部を有するブラケットを一定の圧力下で成形することができるため、内径のばらつきが小さく安定した軸受収容部を有するブラケットができる。
以下、本発明をブロアモータのフロントブラケットの成形方法に具体化した一実施形態を図1〜図5に従って説明する。
図1に示すように、ブロアモータ1は、有底筒状のヨーク2を有し、そのヨーク2の内周面にはマグネット3が固着されている。また、有底筒状のヨーク2の底面には、凹部4が形成され、その凹部4には、下部軸受5が嵌合取着されている。ヨーク2の開口部側には、樹脂成形品及びブラケットとしてのフロントブラケット6が配設されている。
フロントブラケット6は合成樹脂で成形され、その中央部分に貫通孔7が形成されている。フロントブラケット6には、その貫通孔7が中心位置にくるように軸受収容部8が形
成され、その軸受収容部8には軸受としての上部軸受9が嵌合取着されている。軸受収容部8は、上部軸受9を収容する部材であるため、その内周面8aは上部軸受9の外周面9aとの当接面としての内径φが高い真円度を有するように成形されている。
下部及び上部軸受5,9は、出力軸10を回転可能に支持され、その上端部がフロントブラケット6から上方に突出形成され、ヨーク2に設けたマグネット3と相対向する位置には電機子11が設けられ、その電機子11の上側に整流子12が設けられ、整流子12はフロントブラケット6に囲まれるように配置されている。
前記出力軸10の先端部には、ファン13が固着されている。ファン13は、フロントブラケット6を覆うように形成された椀状の底面13aに立設されたフィン13bとから構成されている。ファン13は、ブロアモータ1(出力軸10)の回転とともに回転して、矢印で示すように、上方から側方に空気を流す。
次に、前記したフロントブラケット6の成形装置20について図2及び図3に従って説明する。
図2において、成形装置20は、金型を構成する固定金型21、金型を構成する可動金型22及び駆動機構23を備えている。
固定金型21は、2つのブロック21a,21bよりなり、そのブロック21aにランナ21cが形成され、ブロック21bにゲート21dが形成されている。そして、固定金型21のランナ21c、ゲート21dを介して、溶融樹脂Jが、キャビティC内に注入されることによって、フロントブラケット6が形成される。
可動金型22は、駆動機構23にて固定金型21に対して(図2において左右方向に)移動されるようになっている。可動金型22は、金型本体22aとベースブロック22bよりなり、金型本体22aとベースブロック22bが一体的に固設され可動金型22を形成している。そして、可動金型22が固定金型21と当接した(型締めされた)とき、固定金型21と可動金型22との間にフロントブラケット6を成形するためのキャビティCが形成される。そして、型締めされた状態で、固定金型21のランナ21c、ゲート21dを介して、溶融樹脂JがキャビティC内に充填されることによって、フロントブラケット6が形成される。
駆動機構23は筒状のガイドブロック25を備えている。ガイドブロック25は収容室26が形成され、その収容室26は右側(固定金型21側)が開放され、左側が底壁25aにて閉塞されている。
ガイドブロック25の収容室26には、右側から可動金型22(ベースブロック22b)、第1、第2、第3可動プレートP1,P2,P3が図2において左右方向に摺動可能にそれぞれ配設されている。
可動金型22(ベースブロック22b)は、その左側面に第1〜第3可動プレートP1〜P3及び底壁25aを貫通して配設された複数(図2では2本)の第1駆動ロッドR1の先端が連結されている。第1駆動ロッドR1は、第1〜第3可動プレートP1〜P3及び底壁25aに対して線軸方向に摺動可能に貫通し、第1ロッドアクチュエータ59(図4参照)に基づいて、可動金型22を左右方向に摺動させる。従って、可動金型22が、ガイドブロック25に対して摺動すると、可動金型22は固定金型21に対して接離する。
第1可動プレートP1は、可動金型22(ベースブロック22b)の左方に配設されて
いる。第1可動プレートP1は、その左側面に第2、第3可動プレートP2,P3及び底壁25aを貫通して配設された複数(図2では2本)の第2駆動ロッドR2の先端が連結固定されている。第2駆動ロッドR2は、第2、第3可動プレートP2,P3及び底壁25aに対して軸線方向に摺動可能に貫通し、第2ロッドアクチュエータ60(図4参照)に基づいて、第1可動プレートP1を左右方向に摺動させる。
また、第1可動プレートP1の右側面には、可動金型22を貫通して配設された複数(図2では2本)のエジェクタピンEPが固設されている。各エジェクタピンEPは、可動金型22に対して軸線方向に摺動可能に貫挿されている。そして、エジェクタピンEPは、可動金型22に対して相対移動することによって、エジェクタピンEPの先端面が可動金型22の面と面一になったり、先端面が可動金型22の面から突出するようになっている。
そして、エジェクタピンEPは、キャビティC内に溶融樹脂Jを充填している時には、エジェクタピンEPの先端面が可動金型22の面と面一となるように配置(セット位置)される。また、エジェクタピンEPは、キャビティC内に充填された溶融樹脂Jが固化してフロントブラケット6が成形され、固定金型21に対して可動金型22を離間させたとき、フロントブラケット6を可動金型22から剥がすように、エジェクタピンEPの先端面を可動金型22の面から突出する。
第1可動プレートP1の右側面であって、複数のエジェクタピンEPの内の一つのエジェクタピンEPの基端面と当接するように、圧力検知手段としての圧力センサPSが配設されている。圧力センサPSは、固定金型21と可動金型22とで形成されたキャビティC内に溶融樹脂Jが充填されることによって、前記エジェクタピンEPの先端面が受ける圧力を、同エジェクタピンEPを介して検出する。つまり、圧力センサPSは、キャビティC内に充填される溶融樹脂Jの充填圧、言い換えるとキャビティCの内圧を検出する。
第2可動プレートP2は、第1可動プレートP1の左側に配設されている。第2可動プレートP2の左側面には、第3可動プレートP3及び底壁25aを貫通して配設された複数(図2では2本)の第3駆動ロッドR3の先端が連結固定されている。第3駆動ロッドR3は、第3可動プレートP3及び底壁25aに対して軸線方向に摺動可能に貫通し、第3ロッドアクチュエータ61(図4参照)に基づいて、第2可動プレートP2を左右方向に摺動させる。
また、第2可動プレートP2は、その右側面の中央に金型を構成する副可動金型27の基端が連結固定されている。副可動金型27は、可動金型22から固定金型21側に突出して、固定金型21と可動金型22とともにキャビティCを形成する。
副可動金型27は、筒状可動ブロック28とセンターピン29とから構成されている。筒状可動ブロック28は、その基端が第2可動プレートP2に固着され、第1可動プレートP1及び可動金型22を摺動可能に貫挿されている。筒状可動ブロック28は、大径部28aと小径部28bを有し、大径部28aが第1可動プレートP1を摺動し、小径部28bが可動金型22を摺動する。
センターピン29は、筒状可動ブロック28の内側であって一定の間隔おいてその基端部29aが第2可動プレートP2に固着され、先端部29bが小径部28bから突出形成されている。また、センターピン29は、ヒータ30が内設されている。ヒータ30は、金型21,22,27の温度調整を行うようになっている。
筒状可動ブロック28とセンターピン29との間には、スクイズピン31が摺動可能に
配設されている。スクイズピン31は円筒状であって、その基端部にフランジ31aが形成されている。スクイズピン31は、その基端面がセンターピン29の基端部29aと当接して、副可動金型27に対してそれ以上の左方への移動が規制されるようになっている。また、スクイズピン31は、そのフランジ31aの右側面が筒状可動ブロック28の大径部28aと小径部28bとの間に形成された段差面28cと当接して、副可動金型27に対してそれ以上の右方への移動が規制されるようになっている。そして、スクイズピン31の基端面がセンターピン29の基端部29aと当接しているとき、スクイズピン31は、図2に示したように、その先端面が筒状可動ブロック28の先端面より左方に没した(待機位置という)に配置される。また、フランジ31aが段差面28cと当接し係合しているとき、スクイズピン31は、図3に示すように、その先端面がセンターピン29と面一となる位置(スクイズ位置という)に配置される。従って、固定金型21、可動金型22、副可動金型27によって形成されるキャビティCの容積は、スクイズピン31が待機位置からスクイズ位置に移動することによって小さくなる。
スクイズピン31のフランジ31aの複数箇所(図2では2箇所)に、連結ロッド32の先端が連結されている。連結ロッド32は、第2可動プレートP2を摺動可能に貫挿され、基端部が第3可動プレートP3の右側面に連結固定されている。第3可動プレートP3は、その左側面に底壁25aを貫通して配設された複数(図2では1本)の第4駆動ロッドR4の先端が連結固定されている。第4駆動ロッドR4は、底壁25aに対して線軸方向に摺動可能に貫通し、第4ロッドアクチュエータ62(図4参照)に基づいて、第3可動プレートP3を左右方向に摺動させる。従って、第4駆動ロッドR4は第3可動プレートP3を左右方向に移動させることによって連結ロッド32を介してスクイズピン31を左右方向に移動、即ち、待機位置とスクイズ位置との間を移動させる。
次に、上記のように構成した成形装置20の電気的構成について図4に従って説明する。
成形装置20は、制御回路51を備えている。制御回路51は、比較手段及び制御手段を構成する中央処理装置(CPU)51a、ROM51b、RAM51cを備えている。ROM51bは、成形装置20がフロントブラケット6を形成するための制御プログラム等が記憶され、CPU51aは、制御プログラムに従って溶融樹脂Jを射出する射出装置54、第1〜第4駆動ロッドR1〜R4を駆動制御するための処理を行う。また、ROM51bには、基準圧力Pkが予め記憶されている。基準圧力Pkは、ユーザによって、成形する製品や使用する溶融樹脂Jの材質に応じて変更可能な値であって、内径φのばらつきの原因となる製品のひけの発生を抑制することができる圧力である。なお、基準圧力Pkは予め試験、実験等で求めた値であって、本実施形態では例えば50MPaに設定している。また、RAM51cは、CPU51aが演算処理した演算結果等を一時記憶する。
制御回路51は、入力装置52、圧力センサPSと電気的に接続されている。入力装置52はスタートスイッチ、停止スイッチ、データ入力キー等を有し、制御回路51(CPU51a)にスタート信号、停止信号、データ等を出力する。圧力センサPSは、その時々のキャビティCの内圧としての実圧力Pnを検出し、制御回路51(CPU51a)にその実圧力Pnの検出信号を出力する。
また、制御回路51は、射出装置駆動回路53と電気的に接続されている。射出装置駆動回路53は、制御回路51(CPU51a)からの制御信号に基づいて溶融樹脂JをキャビティC内に充填する射出装置54を駆動制御する駆動信号を同射出装置54に出力する。
さらに、制御回路51は、第1〜第4ロッド駆動回路55〜58と電気的に接続されている。第1〜第4ロッド駆動回路55〜58は、それぞれに対応する第1〜第4ロッドア
クチュエータ59〜62と接続され、制御回路51(CPU51a)からの制御信号に基づいて駆動信号を第1〜第4ロッドアクチュエータ59〜62に出力する。第1〜第4ロッドアクチュエータ59〜62は、それぞれに対応する第1〜第4駆動ロッドR1〜R4を作動するアクチュエータであって、駆動信号に基づいて第1〜第4駆動ロッドR1〜R4を左右方向に移動させる。
次に、上記のように構成した成形装置20の作用を、図5に従って説明する。図5は、制御回路51の処理動作を示すフローチャートである。
今、入力装置52のスタートスイッチをオンすると(ステップS1でYES)、CPU51aは第1〜第4ロッド駆動回路55〜58に制御信号を出力し、第1〜第4ロッドアクチュエータ59〜62を介して第1〜第4駆動ロッドR1〜R4を作動させて型締めを行う(ステップS2)。
つまり、第1駆動ロッドR1を駆動させて可動金型22を固定金型21に当接する。また、第3駆動ロッドR3を駆動させ第2可動プレートP2を移動させて、副可動金型27を成形位置に配置する。さらに、第2駆動ロッドR2を駆動させ第1可動プレートP1を移動させて、エジェクタピンEPをセット位置に配置する。さらにまた、第4駆動ロッドR4を駆動させ第3可動プレートP3を移動させて、スクイズピン31を待機位置に配置する。以上の動作で、型締めが完了して、固定金型21、可動金型22及び副可動金型27にてキャビティCが形成される。
型締めが完了すると、CPU51aは射出装置駆動回路53に制御信号を出力し、射出装置駆動回路53を介して射出装置54を作動させ溶融樹脂JをキャビティC内に射出する(ステップS3)。この時、CPU51aは、溶融樹脂Jが充填されることによってキャビティC内の実圧力Pnが基準圧力Pkに到達したかどうかをチェックしながら(ステップS4)、射出装置54を作動させ溶融樹脂JをキャビティC内に射出する。
やがて、キャビティC内に溶融樹脂Jの充填が進みキャビティC内の実圧力Pnが基準圧力Pkに到達すると(ステップS4でYES)、CPU51aは第4駆動ロッドR4を駆動させて第3可動プレートP3及び連結ロッド32を右方に移動させ、スクイズピン31をスクイズ位置に配置してスクイズ工程を実行する(ステップS5)。つまり、スクイズピン31は、溶融樹脂Jの固化の進行速度に関係なく、キャビティC内の実圧力Pnが基準圧力Pkになると、スクイズ工程が実行される。
スクイズピン31が待機位置からスクイズ位置に移動すると、キャビティCの容積が、その移動した分だけ小さくなる。その結果、容積が小さくなった分、キャビティCに充填されていた溶融樹脂Jは、高圧にキャビティCに充填される。
スクイズ工程が完了すると、CPU51aは射出装置54によるキャビティCへの溶融樹脂Jの射出を終了してキャビティCに充填された溶融樹脂Jが硬化される(ステップS6)。溶融樹脂Jが硬化してフロントブラケット6が成形されると、CPU51aは第1〜第4駆動ロッドR1〜R4を駆動させて、可動金型22、副可動金型27、エジェクタピンEPを固定金型21に対して左方に移動させて型開きを行う(ステップS7)。
続いて、CPU51aは、可動金型22、副可動金型27、エジェクタピンEPが固定金型21から離間すると、第2駆動ロッドR2を駆動させて第1可動プレートP1を右方へ移動させて、エジェクタピンEPを可動金型22から突出させて、可動金型22からフロントブラケット6を分離させて(ステップS8)、フロントブラケット6の成形が終了する。
次に、本実施形態の効果を以下に記載する。
(1)本実施形態によれば、キャビティCの実圧力Pnが予め定めた基準圧力Pkに達した時に、スクイズピンにてキャビティC内に充填した溶融樹脂を押圧するようにした。つまり、常に、キャビティCの実圧力Pnが基準圧力Pkになった時から、キャビティC内への更なる溶融樹脂Jの充填が行われることから、一定の圧力下でフロントブラケット6が成形されるため、内径φのばらつきの原因となるひけを好適に抑制することができ、内径φのばらつきが小さく安定したフロントブラケット6ができる。
(2)本実施形態によれば、固定金型21、可動金型22、副可動金型27によって、軸受を収容支持する軸受収容部8を有する樹脂成形品のキャビティCを形成するようにした。従って、軸受収容部8を有するフロントブラケット6が一定の圧力下で成形されるため、内径φのばらつきが小さく安定した軸受収容部8を有するフロントブラケット6ができる。
なお、上記実施形態は、以下の態様に変更してもよい。
・上記実施形態における第1〜第4駆動ロッドR1〜R4の本数に特に制限はない。
・上記実施形態では、可動金型22にスクイズピン31やエジェクタピンEP等を配設したが、スクイズピン31やエジェクタピンEPを同様の機能を有するように固定金型21に配設してもよい。また、スクイズピン31は、固定金型21及び可動金型22の両方に設けて実施してもよい。また、固定金型21と可動金型22は、相対移動可能な一対の金型であれば、例えば、共に駆動されるものとしてもよい。
・上記実施形態では、基準圧力Pkを50MPaに設定したが、基準圧力Pkを樹脂材料や成形条件に応じて適宜変更して実施してもよい。
・上記実施形態では、各種金型(固定金型21,可動金型22,副可動金型27)の温度調整をヒータ30によって行ったが、温度調整が可能であれば特に制限はない。また、ヒータ30を設けないように実施してもよい。
・上記実施形態では、ブロアモータ等で使用されるフロントブラケット6を成形するための樹脂成形品の成形装置20及び成形方法に具体化したが、他の樹脂成形品を成形するための成形装置や成形方法に具体化してもよい。すなわち、本実施形態におけるフロントブラケット6とは全く異なる形状の樹脂成形品を成形するための成形装置や成形方法に具体化してもよい。
本実施の形態の成形装置によって成形される樹脂成形品が使用されたブロアモータを説明するための模式断面図。 本実施の形態の成形装置及び成形方法を説明するための模式断面図。 本実施の形態の成形装置及び成形方法を説明するための模式断面図。 本実施の形態の成形装置の電気的構成を説明するためのブロック図。 本実施の形態の制御回路51の処理動作を説明するためのフローチャート図。
符号の説明
C…キャビティ、J…溶融樹脂、Pk…基準圧力、Pn…キャビティの内圧としての実圧力、PS…圧力検知手段としての圧力センサ、1…モータとしてのブロアモータ、10…出力軸、6…樹脂成形品及びブラケットとしてのフロントブラケット、8…軸受収容部、9…軸受としての上部軸受、20…樹脂成形品の成形装置、21…金型を構成する固定金型、22…金型を構成する可動金型、27…金型を構成する副可動金型、51a…比較手段及び制御手段を構成するCPU。

Claims (5)

  1. 金型によって形成されたキャビティ内に溶融樹脂を充填するとともに、前記キャビティ内に充填した前記溶融樹脂をスクイズピンにて押圧して樹脂成形品を成形する樹脂成形品の成形方法において、
    前記溶融樹脂の充填に基づく前記キャビティの内圧を検知し、同内圧が予め定めた基準圧力になった時、前記スクイズピンにて、前記キャビティ内に充填した前記溶融樹脂を押圧するようにしたことを特徴とする樹脂成形品の成形方法。
  2. 金型によって形成されたキャビティ内に溶融樹脂を充填するとともに、前記キャビティ内に充填した前記溶融樹脂をスクイズピンにて押圧して樹脂成形品を成形する樹脂成形品の成形装置において、
    前記キャビティの内圧を検知する圧力検知手段と、
    前記キャビティの内圧と予め定めた基準圧力とを比較する比較手段と、
    前記比較手段が前記キャビティの内圧が前記基準圧力になったと判断したとき、前記スクイズピンを押圧駆動させる制御手段と
    を備えたことを特徴とする樹脂成形品の成形装置。
  3. 請求項2に記載の樹脂成形品の成形装置において、
    前記金型は、固定金型、可動金型、副可動金型よりなり、各金型にて、軸受を収容支持する軸受収容部を有する樹脂成形品の前記キャビティを形成することを特徴とする樹脂成形品の成形装置。
  4. 請求項1に記載の樹脂成形品の成形方法にて形成された樹脂成形品。
  5. 請求項4に記載の樹脂成形品において、
    前記樹脂成形品は、モータの出力軸を回転可能に支持する軸受を収容支持する軸受収容部を有するブラケットであることを特徴とする樹脂成形品。
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