(重要物預かり機100の概要)
まず、本実施例に係る重要物預かり機の概要について説明する。図1は、本実施例に係る重要物預かり機100の概要を説明するための説明図である。この重要物預かり機100は、主として銀行、郵便局などの金融機関に設置される装置であり、ATM(ATM:Automatic tellers Machine)などが設置されている場所に設置することもできる。
図1に示すように、この重要物預かり機100は、顧客が所有するカセット200の受け入れ又は排出を行うカセット受渡口120と、顧客に対するガイダンスの表示及びカセット番号の受け付けを行う後述する表示操作部130(図5)と、顧客の生体情報に基づく認証処理を行う生体情報認証部140と、カセット受渡口120に挿入されたカセット200をカセット番号に対応するカセット収納部300まで搬送するカセット搬送装置400と、カセット200を収納する複数のカセット収納部300とを有する。
ここで、カセット200を収納するカセット収納部300の位置は、カセット番号に対応してそれぞれ予め設定されており、具体的には、各カセット収納部300に付与されるアドレス番号を、カセット200に付与される4桁のカセット番号と対応付けて記憶部350内のカセット収納テーブル352に格納している。このため、カセット番号を取得できれば、カセット収納テーブル352を参照してカセット収納部300のアドレス情報が特定される。なお、この記憶部350には、かかるカセット収納テーブル352とともに、カセット番号と顧客の生体情報である静脈情報とを対応付けて記憶する顧客情報登録テーブル351が格納されている。
顧客が、この重要物預かり機100に重要物を預け入れる場合には、まず表示操作部130上に表示された「預け入れ」を指示選択し、カセット受渡口120へカセット200を挿入する。すると、リーダライタ401がこのカセット200に付設されたIDタグから4桁のカセット番号を読み出し、読み出したカセット番号に対応するカセット収納部300をカセット収納テーブル352を参照して特定し、特定したカセット収納テーブル352までカセット200が搬送される。なお、かかるリーダライタ401は、無線通信によりIDタグ230からのカセット番号等の読み出し又はIDタグ230へのデータの書き込みを行う装置である。
一方、顧客が、この重要物預かり機100に重要物を取り出す場合には、まず表示操作部130上に表示された「取り出し」を指示選択するとともに、この表示操作部130上に表示されたガイダンスにしたがって4桁のカセット番号を入力して、生体情報認証部140に手をかざす。すると、この4桁のカセット番号に対応する登録生体情報(静脈情報)が顧客情報登録テーブル351から取り出され、生体情報認証部140により取得された顧客の入力生体情報(静脈情報)と照合して認証される。その結果、両者が同一人の生体情報(静脈情報)であると判定された場合には、カセット収納テーブル352を参照してカセット番号に対応するカセット収納部300を特定し、特定したカセット収納部300に収納されたカセット200がカセット受渡口120から排出される。
このように、本実施例に係る重要物預かり機100では、カセット200に付設したIDタグ230内にカセット番号を格納するとともに、装置内部の顧客情報登録テーブル351に登録生体情報を記憶しておき、このIDタグ230内のカセット番号を利用して当該カセット200の収納位置を特定して効率良く収納を行えるようにするとともに、顧客情報登録テーブル351に記憶した登録生体情報を利用して当該カセットを取り出そうとする顧客の正当性を認証することとしている。なお、登録生体情報を装置内部の顧客情報登録テーブル351に記憶するのではなく、IDタグ230内に格納することもできる。
(カセット200の構成)
次に、図1に示した重要物預かり機100の預入対象となるカセット200について説明する。図2は、図1に示したカセット200の蓋を閉めた状態を示す斜視図であり、図3は、カセット200の蓋を開けた状態を示す斜視図である。
図2及び図3に示すように、カセット200は、上部ケース210の一側縁と下部ケース220の一側縁とを開閉自在に接合して、薄厚状のカバン型に形成されている。このため、このカセット200の内部には、顧客が重要物預かり機100に預ける物品を収納することができる。
ここでは、顧客の預金通帳(○△銀行)と印鑑をカセット200の内部に収納した場合を示しているが、このカセット200には、銀行の預金通帳や印鑑以外にも顧客が重要物としている物品(他の銀行の通帳、有価証券、証書類、パスポート、キャッシュカード、鍵など)を適宜収納することもできる。
図2及び図3に示すように、カセット200の下部ケース220には、非接触型のRFID(Radio Frequency Identification)タグ230(以下、単に「IDタグと言う」)が取り付けられている。このIDタグ230は、データを記憶するメモリ231を内在するICチップとアンテナ部により形成されており、このメモリ231内には、図4に示すように、カセット番号、銀行コード、支店コード及び機体番号が格納されている。なお、このIDタグ230の配設位置は、図示した位置に限定されるものではなく、下部ケース220の他の位置や上部ケース210に配設することもできる。
このカセット番号とは、すでに説明したように10進数を4桁並べた0000〜9999までのカセットを一意に識別するユニークな番号であり、ここでは「××××」で示している。このカセット番号は、顧客にカセットを発行する際に空き番号の中から顧客が任意に選択することができる。この空き番号については、この重要物預かり機100又は管理装置160で管理しており、新たなカセットを発行する都度このカセットのカセット番号が空き番号から削除される。ただし、この重要物預かり機100では、個人認証については静脈情報を用いておりカセット番号にセキュリティを依存しているわけではないので、過度に同じカセット番号を発行さえしなければ、異なる顧客に複数のカセット番号を発行することもできる。
銀行コードは、顧客の取引銀行の銀行コードであり、ここでは「ABSXXX」である場合を示しており、支店コードは、取引銀行の支店を特定する支店コードであり、ここでは「H20×××」である場合を示している。機体番号は、重要物預かり機100が複数台配設される場合の各装置の号機番号であり、ここでは「1」である場合を示している。なお、この号機番号に代えて重要物預かり機100の製造番号(ロット番号等)を用いることもできる。
なお、本実施例では、IDタグ230内にカセット番号等を格納することとしたが、このIDタグ230を用いる代わりにカセット番号等の情報を有するバーコードをカセット200に貼付することもできる。この場合には、リーダライタ401はバーコードリーダとする必要がある。ただし、バーコードは、保持できる情報量に制約があるため、情報の一部のみをバーコードに持たせ、残部を装置内部に保持させることもできる。
また、図2及び図3に示すように、下部ケース220の側面の2箇所に、一対のピン240が設けられており、このピン240は、カセット搬送装置400の把持機構部440の把持アーム422と係合自在の形状に構成されている。顧客がカセット200を預け入れる場合には、この一対のピン240と一対の把持アーム422とが互いに係合し把持することで、カセット200を本体部110内に引き込むことができる。
また、図3に示すように、カセット200の上部ケース210のほぼ中央位置にはロック爪211が設けられている。このロック爪211は、カセット200の上部ケース210を閉じた際に施錠を行う施錠機構であり、この施錠機構は、施錠キー250の番号(4桁の暗証番号)を組み合わせにより、適宜、カセット200の施錠/解錠が行われる。したがって、このカセット200内に入れた預金通帳などの重要物は、この施錠機構により厳重に保管されることとなる。
(重要物預かり機100の全体構成の詳細)
次に、本実施例に係る重要物預かり機100の外観及び内部構成について説明する。図5は、本実施例に係る重要物預かり機100の外観を示す斜視図であり、図6は、図5に示した重要物預かり機100をZ1方向から見た断面図であり、図7は、図5に示した重要物預かり機100をY1方向から見た断面図である。以下では、図5〜図7を参照しながら、重要物預かり機100の外観及び内部構成について詳細に説明する。
図5に示すように、この重要物預かり機100は、銀行などに配設されるATMとほぼ同様のコンソール型の外観を有し、この重要物預かり機100を構成する本体部110(筐体)の前面には、カセット200の受け入れ及び排出を行うカセット受渡口120と、顧客へのガイダンス表示及びカセット番号等の入力の受け付けを行うタッチパネル式の表示操作部130と、顧客の生体情報の取得及び認証処理を行う生体情報認証部140とがそれぞれ配設されている。
また、図5〜図7に示すように、本体部110の内部には、カセット200を収納するための複数のカセット収納部300が設けられている。ここでは、Z方向に40個のカセット収納部300が重畳された収納群がX方向に左右2列で配置され、またY方向に5個の収納群が配置され、合計400個のカセット収納部300が配設されている。
また、図6に示すように、X方向に分離された左右2列の収納群の間には、カセット200を搬送するためのカセット搬送装置400が設けられている。このカセット搬送装置400は、カセット200の預け入れを行う場合には、カセット受渡口120が受け入れたカセット200を把持してY方向に移動して該当する収納群まで移動した後、図7に示すZ方向に移動して該当するカセット収納部300の位置まで進み、その位置で必要な回動を行って当該カセット収納部300内にカセット200を収納する。
一方、カセット200の取り出しを行う場合には、該当するカセット収納部300の位置まで進んでリーダライタ401でカセット番号を読み取り、該当するカセット200であるか否か(カセット200の入れ替えが行われていないか)の認証を行うとともに、顧客情報登録テーブル351に記憶した登録生体情報と入力生体情報とを照合して正当な顧客であるか否かの認証を行う。その結果、認証が成功した場合には、当該カセット200を把持してカセット受渡口120まで移動し、該カセット200をカセット受渡口120から排出する。なお、かかるカセット搬送装置400は、後述する第1駆動モータ510〜第5駆動モータ550により駆動される。
カセット受渡口120は、顧客によるカセット200の挿入及び顧客によるカセット200の取り出しを行う際の窓口となる受入/排出口であり、カセット200を預け入れる場合には、顧客によってカセット受渡口120に挿入されたカセット200がカセット搬送装置400により把持される。また、カセット200を取り出す場合には、カセット搬送装置400がこのカセット受渡口120にカセット200を押し込み、顧客がカセット受渡口120からカセット200を取り出し得る状態にする。
また、このカセット受渡口120の開口位置には、開閉自在に構成されたシャッタ121が設けられている。このシャッタ121は通常閉じられているが、表示操作部130上で「預け入れ」が選択された場合には、シャッタ121が開閉可能な状態となり、顧客がカセット200でシャッタ121を押し込むと該カセット200が内部に取り込まれる。また、表示操作部130上で「取り出し」が選択された場合にも、開閉可能な状態となり、カセット搬送装置400がこのカセット受渡口120にカセット200を押し込むと、シャッタ121が解放され、顧客の取り出し可能な位置までカセット200が排出される。なお、シャッタ121の開閉については、いたずら防止対策として顧客にカセット番号を入力させ、登録されたカセット番号が存在する場合にのみシャッタ121を開くようにしても良い。
表示操作部130は、後述する各種ガイダンス表示や操作ボタンの選択操作を受け付けるタッチパネル式の液晶表示器等のデバイスで形成される。記憶部350は、ハードディスク装置等の二次記憶媒体であり、顧客に関する情報を登録した顧客情報登録テーブル351と、カセット200が収納されたカセット収納部300のアドレス番号とカセット番号とを対応付けて記憶したカセット収納テーブル352とが格納されている。
ここで、この顧客情報登録テーブル351には、カセット番号に対応付けて顧客の登録生体情報が格納されている。この登録生体情報は、カセット200の登録時に顧客から取得した生体情報である。なお、ここでは静脈を撮像した静脈画像データを登録生体情報とした場合を説明するが、この静脈画像データを画像処理した特徴量を登録生体情報とすることもできる。
また、この重要物預かり機100には、銀行内部に配設されたサーバ装置などの管理装置160と接続されている。この管理装置160では、(1)顧客が新たにカセット200を購入契約する際に重要物預かり機100を遠隔操作して、カセット番号、顧客の生体情報(静脈情報)及び顧客情報を顧客情報登録テーブル351に登録させるとともに、カセット番号とカセット収納部300の位置の関連付けデータをカセット収納テーブル352に追加登録させる。また、(2)重要物預かり機100の記憶部350内に記憶した顧客情報登録テーブル351及びカセット収納テーブル352をバックアップするとともに、(3)重要物預かり機100からカセット200の預け入れ状況及び取り出し状況(利用日時や利用回数)に係るデータを受信してその一覧表示等を行う。
なお、ここでは説明の便宜上詳細な説明を省略したが、この重要物預かり機100には、顧客との取り引き状況(預け入れ履歴や取り出し履歴)を印字するプリンタ等を設けることができ、特に顔を生体情報として用いて顔認証を行う場合には、CCDカメラなどの撮影カメラが設けられる。
(重要物預かり機100の駆動機構)
次に、図6及び図7を参照しつつ重要物預かり機100の駆動機構を説明する。重要物預かり機100は、第1駆動モータ510、第2駆動モータ520、第3駆動モータ530、第4駆動モータ540及び第5駆動モータ550という5つの駆動モータを有する。これら第1駆動モータ510〜第5駆動モータ550には、ステッピングモータなどを使用することができる。
第1駆動モータ510は、カセット搬送装置400をZ方向(図7の上下方向)に昇降移動させる駆動モータであり、本体部110の最下部位置に据置される(図7)。第2駆動モータ520は、カセット搬送装置400をY方向(図6の上下方向)に向けて移動させる駆動モータであり、カセット搬送装置400を両側から支持するフレーム部113のY方向上部位置(図6の上方位置)に配設される。第3駆動モータ530は、カセット搬送装置400の一部をなす移送トレイ部420をX方向(図6、図7の左右方向)に移動させる駆動モータであり、カセット搬送装置400の内部に設けられている。
第4駆動モータ540は、カセット200を把持するためにカセット搬送装置400の一部をなす把持機構部440の把持アーム422を回動させる駆動モータであり、第5駆動モータ550は、カセット搬送装置400の一部をなす後述する回動機構部450を駆動させる駆動モータである。この第5駆動モータ550により回動機構部450を作動させると、回動トレイ部410が時計回り(後述する図10−1のN方向)又は反時計回り(後述する図10−1のN’方向)に回動するため、回動トレイ部410の向きを左右いずれか一方のカセット収納部300側に対向させることができる。
(カセット搬送装置400)
次に、図6、図7、図8及び図9−1を参照して、カセット搬送装置400の構成及び機能について説明する。このカセット搬送装置400は、すでに説明したように、カセット受渡口120(図5)から挿入されたカセット200を予め設定されたカセット収納部300の位置まで搬送するとともに、顧客が入力したカセット番号に対応するカセット収納部300からカセット200を取り出してカセット受渡口120まで搬送する。
このカセット搬送装置400は、水平方向に複数列配設されたカセット収納部300の列と列の間を移動し、かつ、各列のカセット収納部300に対してカセット200を出し入れ可能に形成している。また、このカセット搬送装置400には、カセット200を把持する回動トレイ部410を設け、この回動トレイ部410を回動して各列のカセット収納部300に対向するよう構成している。列ごとに回動トレイ部410を設けなくても各列のカセット収納部300にカセット200を収納できようにするためである。さらに、このカセット搬送装置400は、上下方向に複数個積層されたカセット収納部300に対してカセット200を出し入れ可能に形成している。上下及び水平方向の3次元的に大量のカセット200を収納可能とするためである。
このカセット搬送装置400には、カセット200を把持した状態で該カセット200を搬送する回動トレイ部410が設けられている。この回動トレイ部410を形成する部位のうち、図9−1に示した把持機構部440がカセット200を把持する部位であり、図8及び図9−1に示した回動機構部450が把持したカセット200をカセット収納部300方向に回動させる部位である。
ここで、この回動機構部450により回動トレイ部410を回動させる機構について説明すると、図8に示すように、この回動トレイ部410の下部には回動プーリ553が固設されており、この回動プーリ553のほぼ中央に設けられた軸部は、移送トレイ部420に対して回動自在とされている。また、この回動プーリ553とプーリ552の間には駆動ベルト554が張架されており、かかる回動プーリ553、プーリ552及び駆動ベルト554により回動機構部450が形成される。このため、第5駆動モータ550が回転すると、回動機構部450の一部をなすプーリ552が回転し、この回転力が駆動ベルト554を介して回動プーリ553に伝わるので、最終的に回動プーリ553と固設された回動トレイ部410が回動することになる。
このように、このカセット搬送装置400は、回動機構部450によって回動トレイ部410を回転させるわけであるが、該カセット搬送装置400には、この回動機構部450とともに移送トレイ部420が設けられている。この移送トレイ部420は、回動トレイ部410をX方向に移動させるものである。
ここで、この移送トレイ部420により回動トレイ部410をX方向に移動させる機構を説明すると、図8に示すように、カセット搬送装置400の一部をなす移送トレイ部420の固定板452は、移動ベルト532に連結されており、この移動ベルト532は、第3駆動モータ530の駆動に応答して移動する。また、この移送トレイ部420に形成された一対の挿通孔には一対の移動ロッド451が挿通されている。このため、第3駆動モータ530が駆動を開始すると、この駆動力はプーリ531、移動ベルト532を介して固定板452に伝達され、これによりカセット搬送装置400の回動トレイ部410は、一対の移動ロッド451に支持されながら図8に示すX方向に移動制御されることになる。
このように、このカセット搬送装置400は、回動トレイ部410以外に移送トレイ部420が設けられているが、これらの回動トレイ部410及び移送トレイ部420をZ方向(図7の上下方向)に昇降移動させる昇降移動部430を有する。なお、かかる昇降移動部430による昇降移動は、すでに説明したように第1駆動モータ510の駆動により行われる。
(把持機構部440)
次に、図9−1及び図9−2を参照して回動トレイ部410に設けられた把持機構部440についてさらに詳細に説明する。図9−1は、カセット200を挿入する前の把持機構部440の状態を示しており、図9−2は、カセット200を挿入した後の把持機構部440の状態を示している。
図9−1に示すように、回動トレイ部410の一端側(図9−1の左側)には、第4駆動モータ540が設けられており、この第4駆動モータ540の駆動により把持機構部440が作動する。かかる把持機構部440は、回動トレイ部410のほぼ中央位置に設けられた互いに噛合する一対の中間ギヤ421a及び421bと、カセット200を掴むための一対の把持アーム422と、これら把持アーム422の支軸423が固設された一対の回動ギヤ424a及び424bとにより構成されている。同図に示すように、中間ギヤ421aは回動ギヤ424aに噛合され、中間ギヤ421bは回動ギヤ424bに噛合されている。また、第4駆動モータ540の駆動軸に固設されたプーリ425と中間ギヤ421に固設されたプーリ426との間には、ベルト427が張架されている。
この把持機構部440において、第4駆動モータ540が駆動されると、この駆動力はプーリ425及びベルト427を介して、プーリ426から中間ギヤ421aに伝達される。これにより、一対の中間ギヤ421がそれぞれ回転し、これら中間ギヤ421a及び421bとそれぞれ噛合している回動ギヤ424a及び424bにも駆動力が伝達される。
そして、回動ギヤ424a及び424bが回動を開始すると、これに伴って一対の把持アーム422が内側に向けて回動するため、この把持アーム422の先端部に形成された鉤部は、カセット200に設けた2箇所のピン240と係合する。これにより、カセット200を確実に掴むことができ、そのまま所定の位置までカセット200を移動させることができる。
具体的に説明すると、カセット200を把持機構部440により把持する場合、第4駆動モータ540を時計方向(図9−2の実線矢印方向)に回転させる。これにより、プーリ425及び中間ギヤ421aが時計方向に回転するため、この中間ギヤ421aと噛合された回動ギヤ424aは、反時計方向に向けて回動を開始する。これにより把持アーム422が内側に偏奇するため、この把持アーム422の鉤部はピン240と係合され、これによりカセット200を把持することができる。
また、中間ギヤ421aの回動に伴い、この中間ギヤ421aと噛合された中間ギヤ421bが反時計方向に回転するため、この中間ギヤ421bと噛合された回動ギヤ424bが時計方向に回動する。これにより、把持アーム422についても内側に偏奇し、この偏奇に伴い把持アーム422の鉤部をピン240に係合させることができる。一方、把持機構部440による把持動作を解除する場合には、第4駆動モータ540を反時計方向に回転させることになる。
以上説明したように、カセット搬送装置400に備えた把持機構部440の作動により、カセット受渡口120から挿入されたカセット200並びにカセット収納部300内に収納されたカセット200を把持することができる。
(回動機構部450の構成および機能)
次に、図10−1〜図10−3を参照して回動トレイ部410に設けられた回動機構部450の構成及び機能をさらに詳細に説明する。図10−1は、カセット搬送装置400に設けられた回動トレイ部410によるカセット200の把持時点の状態を示す図であり、図10−2は、図10−1に示す回動トレイ部410をほぼ90度時計方向(図10−1のN方向)に回動させた図であり、図10−3は、図10−1に示した回動トレイ部410をほぼ90度反時計方向(図10−1のN′方向)に回動させた図である。
図10−1に示すカセット200がカセット受渡口120に所在するカセットである場合には、回動トレイ部410によるカセット200の把持時点では、この回動トレイ部410がカセット受渡口120側を向いている。したがって、このカセット200をいずれかのカセット収納部300に収納するためには、該回動トレイ部410及びカセット200を左右いずれか90度に回動する必要がある。
そして、図10−2に示すように、回動トレイ部410を90度時計方向(図10−1のN方向)に回動させる場合には、第5駆動モータ550を時計方向に駆動した駆動力を用いることになる。すなわち、第5駆動モータ550の駆動軸551にはプーリ552が固設されており、また回動トレイ部410を構成する底板部のほぼ中央部には回動プーリ553が固設されており、この回動プーリ553とプーリ552とに駆動ベルト554が張架されている。したがって、第5駆動モータ550を時計方向に駆動すると、この回転駆動力が、プーリ552から駆動ベルト554を介して回動プーリ553に伝達されるため、回動プーリ553は時計方向に回動する。このため、この回動プーリ553に固定された回動トレイ部410も同方向(時計方向)に回動する。
一方、図10−3に示すように、回動トレイ部410を90度反時計方向(N′方向)に90°回動させる場合には、第5駆動モータ550を反時計方向に駆動した駆動力を用いることになる。すなわち、第5駆動モータ550を反時計方向(N′方向)に駆動すると、この回転駆動力が、プーリ552から駆動ベルト554を介して回動プーリ553に伝達されるため、回動プーリ553が反時計方向に回動する。このため、この回動プーリ553に固定されている回動トレイ部410も同方向(反時計方向)に回動する。
このように、本実施例では、回動機構部450の作動によってカセット搬送装置400の向きを回動させ、これによりカセット受渡口120に挿入されたカセット200を90度回動させてカセット収納部300に収納するとともに、カセット収納部300に収納したカセット200を90度回動させてカセット受渡口120から排出することとしている。
(重要物預かり機100の内部構成および機能の詳細)
次に、重要物預かり機100の内部構成についてさらに詳細に説明する。図11は、重要物預かり機100の内部構成を示す機能ブロック図であり、図12は、顧客情報登録テーブル351の一例を示す図である。また、図13は、カセット収納テーブル352の一例を示す図である。
図11に示すように、重要物預かり機100は、扉開閉検知センサ111と、顧客検知センサ112と、表示操作部130と、生体情報認証部140と、記憶部350と、搬送駆動制御部444とが主制御部600に接続された構成となる。
扉開閉検知センサ111は、重要物預かり機100の本体部110の一部をなす扉の開閉を検知するセンサであり、顧客検知センサ112は、重要物預かり機100に接近する顧客(人体)を検知するセンサである。本実施例では、この顧客検知センサ112により顧客が検知された場合に、表示操作部130が点灯し、カセット200の預入操作又は取出操作を可能としている。
表示操作部130は、タッチパネル式の液晶表示器により形成される表示デバイス及び入力デバイスであり、後述するカセット200の預け入れ又は取り出しを行う際の顧客に対するガイダンス表示を行うとともに、預け入れボタン131、取り出しボタン132の選択操作並びにテンキー133によるカセット番号の入力操作を受け付ける。
また、ここではその詳細な説明を省略するが、係員がこの表示操作部130に対して所定の操作を行って「カセット番号検索モード」に移行すれば、かかる表示操作部130の操作によって顧客がカセット200のカセット番号を忘れた場合にカセット番号を検索することもできる。なお、この表示操作部130の制御等は、主制御部600に組み込まれた図示しないドライバソフトウェアにより行われる。
搬送駆動制御部444は、カセット搬送装置400の搬送を制御する制御部であり、駆動機構をなす第1駆動モータ510〜第5駆動モータ550がそれぞれ接続されている。この搬送駆動制御部444では、これら第1駆動モータ510〜第5駆動モータ550の駆動を制御することにより、カセット搬送装置400の移動方向を制御している。
生体情報認証部140は、カセット200の取り出し時に顧客から静脈情報(入力生体情報)を取得するとともに、取得した入力静脈情報を顧客情報登録テーブル351に記憶された登録済みの静脈情報(登録生体情報)と照合して、該顧客がカセット200の正当な持ち主であるか否かを認証処理する処理部である。
この生体情報認証部140は、生体情報取得部141と、生体情報登録部142と、生体情報判定部143とを有する。生体情報取得部141は、新たなカセット200の登録時又はカセット200の取り出し時に顧客の静脈情報を生体情報として取得する処理部であり、具体的には、顧客の掌又は指の静脈に係る画像を撮像してこの画像を静脈情報すなわち生体情報とする。
生体情報登録部142は、新たなカセット200の登録時に該カセット200を所持する顧客の登録生体情報を顧客情報登録テーブル351に格納する登録処理を行う。具体的には、表示操作部130上で所定の操作が行われると「生体情報登録モード」に移行し、この生体情報登録モード下で所定の操作がなされると、生体情報取得部141により顧客の静脈情報が取得され、この静脈情報が登録生体情報として顧客情報登録テーブル351に記憶される。ただし、管理装置160のリモート制御によって、同様に顧客の静脈情報を取得し、この静脈情報を登録生体情報として顧客情報登録テーブル351に記憶することもできる。また、静脈情報の画像自体を登録生体情報とするだけではなく、この画像から抽出した特徴量を登録生体情報とすることもできる。
生体情報判定部143は、カセット200の取り出し操作を行う顧客から取得した入力生体情報と顧客情報登録テーブル351に記憶された登録生体情報とを照合して、該顧客がカセット200の正当な持ち主であるか否かを判定する処理部である。なお、かかる照合処理にはいかなる照合技術を採用しても良い。なお、本実施例では、静脈情報を生体情報として用いた場合を示したが、顔、指紋、掌紋、声紋、虹彩他の身体的特徴や行動的特徴を生体情報として用いることもできるが、かかる場合にはこれらの生体情報を取得するための生体情報取得部141を用いる必要がある。
次に、主制御部600について説明する。主制御部600は、重要物預かり機100を全体制御する制御部であり、顧客情報登録部610と、取出許可判定部620と、精査判定部630とを有する。
顧客情報登録部610は、重要物預かり機100を利用する顧客の個人情報を利用契約時に登録する処理部であり、図12に示すように、顧客が購入又はレンタルしたカセット200のカセット番号、登録生体情報、顧客の取引銀行の銀行コード並びに契約先の支店コード及び利用ログが個人情報として顧客の氏名に対応付けて顧客情報登録テーブル351に登録される。
利用ログの欄には、重要物預かり機100を利用した日付や利用回数などが記憶される。なお、この顧客情報登録テーブル351には、基本的には契約した顧客本人の登録生体情報が記憶されるが、代理人についての登録生体情報等を併せて記憶することもできる。顧客本人だけではなく、その家族等が重要物を取り出す場合が考えられるからである。
取出許可判定部620は、生体情報判定部143による判定結果に基づいて、カセット200の取り出し可否を判定する処理部であり、生体情報判定部143による入力生体情報と登録生体情報の照合結果が同一人のものである場合には、取出操作を行った顧客が正規の顧客であるとみなしてカセット200の取り出しが許可され、両者が同一人のものでない場合には取り出しが許可されない。
精査判定部630は、各カセット収納部300の位置を特定する位置情報に関連付けて記憶されたカセットの識別情報(カセット番号)と、各カセット収納部300内に収納されたカセット200のIDタグ230に記憶された識別情報(カセット番号)とを照合して、両者の識別情報(カセット番号)が一致するかを判定する処理部である。
例えば、第三者が重要物預かり機100の扉を開けてカセット収納部300に収納されていたカセット200の位置を入れ換えた場合には、このカセット200を取り出すと、このカセット200が正当な顧客でない他の顧客に受け渡されてしまい、重要物預かり機100としての機能を発揮し得なくなってしまう。このため、本実施例では、図11に示した扉開閉検知センサ111による検知により、扉が開閉されたことを検知した場合に、精査判定部630により上記判定を行うようにしている。
図12のカセット収納テーブル352を参照して説明すると、例えば、カセット収納部300の位置情報を示すアドレス番号(「000X001」)に収納されるカセット200のカセット番号が「0123」であるにもかかわらず、カセット200の入れ換えなどにより、このカセット収納部300にカセット番号が「0124」のカセット200が収納されている場合には、上記精査判定部630による判定処理を行うことにより、かかるカセット200の入れ換えの事実が判明する。具体的には、「アドレス番号「000X001」に収納されたカセット200と、アドレス番号「000X002」に収納されたカセット200はそれぞれ本来のカセット収納部300に収納されるべきものではない」、「両者の間でカセット200が入れ替えられている」ことが判明する。
そして、複数のカセット収納部300の中からカセット番号が「0123」であるカセット200が収納されているカセット収納部300の位置およびカセット番号が「0124」であるカセット200が収納されているカセット収納部300の位置を探索するとともに、この探索により見つけた2つのカセット200をそれぞれ正しい収納位置(アドレス番号「000X001」および「000X002」の位置)に収納する作業を行うこととなる。
以上説明したように、重要物預かり機100の扉の開閉がある際には、精査判定部630による判定処理を行うことにより、複数のカセット収納部300のそれぞれに収納されたカセット200の収納位置が正しいか否かを精査することができるため、例えば、第3者によりカセット200の入れ換え操作などがあった場合でも、カセット番号に対応したカセット200の位置を正確に判定することができる。このため、正当でない顧客がカセット200を誤って取り出す事態を未然に防止することができる。
次に、カセット収納テーブル352の一例について説明する。図13に示すように、このカセット収納テーブル352には、カセット番号とカセット収納部300のアドレス番号とが一対一に対応付けられている。このため、カセット番号が分かるとカセット収納部300のアドレスが判明することになる。
カセット200を預け入れる場合には、このカセット200のIDタグ230にカセット番号が記憶されているので、リーダライタ401でカセット番号を読み取ってカセット収納テーブル352を参照すれば、当該カセット200を収納するカセット収納部300の位置が判明することになる。また、カセット200を取り出す場合には、顧客がカセット番号を入力するので、入力されたカセット番号をもとにカセット収納テーブル352を参照すれば、当該カセット200を収納するカセット収納部300の位置が判明することになる。
また、このカセット収納テーブル352には、カセット番号ごとにフラグが設けられている。このフラグは、未使用のカセット200がカセット収納部300に収納されている場合には「00」となり、登録済みのカセット200がカセット収納部300に収納されている場合には「01」となり、カセット200の取り出し中である場合には「02」となり、登録外のカセット200がカセット収納部300に収納されている場合には「FF」となり、登録されたカセット200が行方不明である場合には「FE」となる。なお、ここでは説明の便宜上図示省略したが、上記以外に顧客の氏名、登録日時、前回の利用日時、利用回数等を記憶することもできる。
(カセットの預け入れ処理)
次に、カセット200の預け入れ処理手順について説明する。図14は、カセット200の預け入れ処理手順を示すフローチャートであり、図15−1〜図15−4は、預け入れ操作時に表示操作部130上に表示されるガイダンス表示の一例を示す図である。
図14に示すように、まず顧客検知センサ112により顧客の存在を検知したか否かを判定し(ステップS101)、顧客を検知した場合には(ステップS101肯定)、表示操作部130上に図15−1に示した預け入れ/取り出し選択画面135(預け入れボタン131及び取り出しボタン132を含む)を表示する(ステップS102)。なお、顧客の存在を検知しない場合には(ステップS101否定)、そのまま顧客検知センサ112による検知待ちの状態となる。
そして、顧客による取り出しボタン132の押下操作がなされたならば(ステップS103肯定)、後述するカセット200の取出処理に移行し、顧客による預け入れボタン131の押下操作がなされたならば(ステップS104肯定)、ステップS105以降に示すカセット200の預け入れ処理に移行する。なお、取り出しボタン132及び預け入れボタン131の押下操作がなされない場合には(ステップS103否定かつS104否定)、ステップS102に移行して入力待ちの状態となる。
そして、顧客による預け入れボタン131の押下操作がなされた場合には(ステップS104肯定)、カセット200をカセット受渡口120にセットするよう顧客に要求する図15−2に示すセット画面を表示操作部130上に表示する(ステップS105)。ここでは、このセット画面において「カセットをセットしてください。」という文字列と画像を表示している。
そして、顧客によりカセット200がカセット受渡口120にセットされたならば、このカセット200を受け入れ(ステップS106)、リーダライタ401がこのカセット200に付設されたIDタグ230からカセット番号を読み取る(ステップS107)。
その後、カセット収納テーブル352を参照しつつこのカセット番号に対応するカセット収納部300の位置を特定し(ステップS108)、特定したカセット収納部300の位置まで当該カセット200を搬送するよう搬送駆動制御部444に指示して(ステップS109)、カセット搬送装置400によるカセット200の搬送を開始させる。
このカセット200の搬送時には、表示操作部130上に図15−3に示す収納中画面を表示させる(ステップS110)。ここでは「収納中です。しばらくお待ちください。」という文字列と、現時点での収納段階を示す画像を表示している。そして、カセット搬送装置400によるカセット200の搬送により該カセット200の収納を完了したならば(ステップS111肯定)、図15−4に示す収納完了画面を表示操作部130上に表示させる(ステップS112)。ここでは、「画面をお確かめになり確認を押してください。」という文字と、顧客名、収納日時等を示す文字列が表示された場合を示している。
(カセット取り出し処理)
次に、カセット200の取り出し処理手順について説明する。図16は、カセット200の取り出し処理手順を示すフローチャートであり、図17−1〜図17−4は、表示操作部130に表示されるガイダンス表示の一例を示す図である。
すでに説明したように、図14のステップS103において取り出しボタン132の押下が検知された場合に(ステップS103肯定)、かかるカセット200の取り出し処理に移行する。
図16に示すように、まず図17−1に示したカセット番号入力要求画面が表示操作部130上に表示される(ステップS201)。ここでは、表示操作部130上に表示したテンキー133を用いて4桁のカセット番号(例えば「0123」)を入力する例を示している。また、この画面上には、顧客による入力誤りを考慮して入力し直しボタン134をも設けている。
そして、かかるテンキー133によるカセット番号の入力待ちの状態で(ステップS202否定)、カセット番号の入力を受け付けたならば(ステップS202肯定)、入力されたカセット番号が適正なものであるか否かが判定される(ステップS203)。具体的には、入力されたカセット番号がカセット収納テーブル352に登録されていない場合には、該当するカセット200が収納されていないことになる。その結果、カセット番号が適正でない場合には(ステップS203否定)、カセット番号の再入力を顧客に促す再入力指示画面(図示省略)を表示操作部130に表示して(ステップS204)ステップS202に移行する。
これに対して、カセット番号が適正である場合には(ステップS203肯定)、図17−2に示す生体情報入力画面を表示操作部130上に表示して(ステップS205)、顧客に対して生体情報の入力を促す。本実施例では、掌の静脈情報を生体情報として利用しているので「手を置いてください。」という文字列と対応する画像を表示している。
そして、生体情報を受け付けるまでは(ステップS206否定)、ステップS205に移行して待ち状態となり、生体情報を受け付けたならば(ステップS206肯定)、カセット番号に対応する登録生体情報を顧客情報登録テーブル351から読み出し(ステップS207)、読み出した登録生体情報と顧客から取得した入力生体情報を照合して生体情報認証処理を行う(ステップS208)。
かかる生体情報認証処理の結果、顧客が適正でないと判定された場合には(ステップS209否定)、エラー表示を行って(ステップS215)処理を終了し、顧客が適正であると判定された場合には(ステップS209肯定)、カセット収納テーブル352を参照してカセット番号からカセット収納部300の位置を特定し(ステップS210)、特定したカセット収納部300に所在するカセット200をカセット受渡口120まで搬送するよう搬送駆動制御部444に指示する(ステップS211)。
そして、カセット200の取り出し処理が終了するまで(搬送を完了するまで)の間は、図17−3に示す取出中画面を表示操作部130上に表示する(ステップS212〜S213)。ここでは、「取出中です。しばらくお待ちください。」という文字列とその画像を表示している。
一方、カセット200の取り出しを完了したならば(ステップS213肯定)、図17−4に示す受取指示画面を表示操作部130上に表示して(ステップS214)処理を終了する。ここでは、「カセットをお受け取りください。」という文字列とその画像を表示している。
(ユーザー管理設定)
次に、新規の顧客を登録する場合の登録要領について説明する。新規の顧客を登録する場合には、まず係員が所定の操作を行って重要物預かり機100をユーザー管理設定モードに移行させ、表示操作部130に表示された係員操作画面上で新規登録ボタン(図示せず)を選択し、新たに登録するカセット番号や顧客及び代理人の生体情報を顧客情報登録テーブル351に登録する。なお、新たに登録するカセット200としては、カセット収納部300に収納された未使用のカセット200を使用する。
上述してきたように、本実施例では、複数のカセット200をそれぞれ収納する整列状態で配列された複数のカセット収納部300と、カセット200に対して係脱自在に形成され、係合したカセットをカセット受渡口120とカセット収納部300との間で搬送するカセット搬送装置400と、カセット200のIDタグ230からカセット番号を読み取るリーダライタ401と、IDタグ230に記憶されたカセット番号と該カセット200が収納されるカセット収納部300の位置情報とを対応付けて記憶する記憶部350とを設け、記憶部350に記憶されたカセット収納部300の位置情報に基づいてカセット搬送装置400によるカセット200の搬送を制御するよう構成したので、金融機関の係員等の第三者を介在させなくとも、顧客の重要物を収納したカセット200を所定のカセット収納部300に収納できるとともに、このカセット収納部300から顧客自らが適時当該カセット200を取り出すことができ、もって重要物の管理に係る人的労力及び管理コストを低減することができる。
また、本実施例では、カセット受渡口120からカセット200を受け入れた場合に、当該カセット200のIDタグ230からカセット番号を読み取り、読み取ったカセット番号に対応するカセット収納部300の位置を特定し、特定した位置のカセット収納部300までカセット200を搬送制御するよう構成したので、カセット200が収納されるカセット収納部300の位置がその都度変動することがなく、あらかじめ登録されたカセット収納部300の位置に常にこのカセット200を収納することができるため、重要物が収納されたカセットが何らかの原因で紛失する事態を未然に防止し、もって効率的かつ厳正な重要物管理を行うことができる。
また、本実施例では、所定のカセット番号を有するカセット200の取出指示を受け付けた場合に、このカセット番号に対応するカセット収納部300の位置を特定し、特定した位置のカセット収納部300に収納したカセット200をカセット受渡口120まで搬送制御するよう構成したので、本来の顧客以外の顧客にカセット200を受け渡す事態を未然に防止し、もって効率的かつ厳正な重要物管理を行うことができる。
また、本実施例では、カセット搬送装置400は、水平方向に複数列配設されたカセット収納部300の列と列の間を移動し、かつ、各列のカセット収納部300に対してカセット200を出し入れ可能に形成したので、カセット収納部300を複数列とした場合であっても各カセット収納部300にカセット200を収納できるため、1台の装置内に多数のカセット200を収納することが可能となる。
また、本実施例では、カセット搬送装置400には、カセット200を把持する回動トレイ部410を設け、この回動トレイ部410を回動して各列のカセット収納部300に対向するよう構成したので、列ごとに回動トレイ部410を設けなくても各列のカセット収納部300にカセット200を収納することができるため、装置の小型化並びにコストの低減を図ることができる。
また、本実施例では、カセット搬送装置400は、上下方向に複数個積層されたカセット収納部300に対してカセット200を出し入れ可能に形成したので、上下方向若しくは上下及び水平方向の3次元的に大量のカセットを収納することができる。
なお、本実施例では、顧客の生体情報を装置内部に保持する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、IDタグ230内に顧客の生体情報を保持する場合にも適用することができる。
また、本実施例では、表示操作部130上で預け入れが選択された場合に、カセット受渡口120に付設されたシャッタが開閉自在となる場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、カセット受渡口120に新たなリーダライタを設け、カセット200がカセット受渡口120に近接された時点でこのカセット200に付設されたIDタグ230からカードリーダがカセット番号を読み取り、適正なカセット番号である場合にのみシャッターを開放するよう構成することもできる。かかる構成を採用すると、適正なカセット200のみを円滑に装置内部に受け付けることができる。