以下に添付図面を参照して、本発明に係る顧客物品預入機の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1及び図2は、本発明の実施の形態である顧客物品預入機を概念的に示したもので、銀行や郵便局等の金融機関(以下、代表して単に「銀行」という)において顧客の物品、例えば預金通帳、印鑑、有価証券、各種証書、パスポート、キャッシュカード、鍵等の重要物品を預かる顧客物品預入機100を例示している。
顧客物品預入機100は、図1に示すように、その機器本体101が、銀行に設置されるATM(Automatic Tellers Machine)とほぼ同様の外観を呈するもので、機器本体101の前面にカセット受渡口102を備えるとともに、カセット受渡口102よりも下方となる高さ位置において手前側に台状に突出する部位の上面に表示操作部103及び認証情報入力部104を備えている。
カセット受渡口102は、機器本体101の内部と外部とを連通する開口であり、通常時にはシャッタ105によって閉塞された状態にある一方、後述のカセット(収容箱)200が授受される場合には適宜開放されるものである。表示操作部103は、タッチパネル式の液晶表示器によって構成した表示デバイス及び入力デバイスであり、顧客物品預入機100の操作に関するガイダンス表示を行う一方、画面上に表示したボタンやキーが押圧操作された場合にその入力操作を受け付ける機能を有している。認証情報入力部104は、顧客の生体情報を認証情報として取得するためのものである。生体情報としては指紋、掌紋、声紋、虹彩等の身体的特徴や行動的特徴が挙げられるが、本実施の形態では、顧客の掌または指の静脈に係る画像を生体情報として撮像するものを例示している。
また、上記顧客物品預入機100の機器本体101には、図1〜図4に示すように、その内部にカセット収納ラック300及びカセット搬送装置400が設けてある。
カセット収納ラック300は、複数のカセット収納域301を画成するためのラック状部材である。本実施の形態では、上下方向に40段、奥行き方向に5列、合計200個のカセット収納域301を有したカセット収納ラック300を左右に1つずつ配設することにより、機器本体101の内部に400個のカセット収納域301を画成している。カセット収納ラック300のカセット収納域301には、それぞれにアドレス番号が付与してあるとともに、それぞれの内部にカセット200が収納してある。アドレス番号は、それぞれのカセット収納域301の位置を一意に特定するための識別情報である。
カセット200は、顧客が重要物品を収納するための収容箱である。本実施の形態では、図6−1及び図6−2に示すように、上部ケース201と下部ケース202とを備え、これらのケース201,202を互いに一側縁部を介して開閉可能に接続した薄型直方状の密閉式カセット200を例示している。各カセット200には、上部ケース201と下部ケース202とを互いに閉成した状態に保持するための施錠機構210が設けてある。本実施の形態では、鍵を要せず、複数のダイヤルを予め設定した位置にセットした場合に解錠することができる一方、上部ケース201と下部ケース202とを閉成した状態で複数のダイヤルの位置を変更した場合にロック爪211に係合して施錠することのできる施錠機構210を適用している。
それぞれのカセット200には、一対の係合ピン220及び非接触型のRFID(Radio Frequency Identification)タグ230が設けてある。係合ピン220は、それぞれカセット200の側面に形成した凹部221に配設したもので、互いに間隔を置いた位置にカセット200の上下方向に沿って延在している。RFIDタグ(以下、「IDタグ230」という)は、図7に示すように、タグメモリ231を内在したICチップ部232と、電波を入出力するアンテナ部233とを有したもので、リーダライタ機器を近接させた場合に、ICチップ部232のIC制御部234が適宜動作し、非接触の状態でタグメモリ231に対して情報の読み書きを行うことが可能である。
IDタグ230のタグメモリ231は、後述する登録処理を行った顧客の情報をカセット番号に対応付けて記憶するものである。本実施の形態では、図8に示すように、IDタグ230のタグメモリ231にカセット番号、機体番号、銀行コード、支店コード、カセット側欠損生体情報を記憶するようにしている。カセット番号は、複数用意したカセット200を一意に特定するために予め設定した識別情報であり、本実施の形態では4桁の数字によって構成してある。機体番号は、顧客物品預入機100を一意に特定するための識別情報である。銀行コード及び支店コードは、登録処理を行う場合に必要となる登録要項の一部であり、顧客の取引銀行を特定するための記号である。カセット側欠損生体情報は、後述する認証情報登録部118によって生成・記憶された情報である。
カセット搬送装置400は、図3〜図5、図9−1及び図9−2に示すように、カセット受渡口102とカセット収納ラック300の各カセット収納域301との間においてカセット200を搬送するためのもので、機器本体101の内部においてカセット収納ラック300の相互間となる部位に配設してある。図3及び図4に示すように、本実施の形態のカセット搬送装置400は、カセット搬送台401を備えて構成してある。
カセット搬送台401は、カセット200を搭載した状態で走行可能に構成したもので、ベース402の上面に移送トレイ403及びスライド駆動部404を備えている。移送トレイ403は、一対のスライド用ロッド405を介してカセット搬送台401にスライド可能に支持してあり、カセット搬送台401に対して左右方向(図3中の左右方向)にスライドすることが可能である。スライド駆動部404は、スライド用駆動ベルト406とスライド用モータ407とを備えて構成してある。スライド用駆動ベルト406は、一対のプーリ408,409の間に巻回したもので、その中間部が固定板410を介して移送トレイ403に連結してある。スライド用モータ407は、一方のプーリ408を回転駆動することにより、スライド用駆動ベルト406の中間部をスライド用ロッド405の延在方向に沿って往復移動させることが可能である。
移送トレイ403には、回転トレイ411が設けてあるとともに、回転トレイ411との間に回転駆動部412が設けてある。回転トレイ411は、支持軸413を介して移送トレイ403に回転可能に支持してあり、上下方向(図3中の紙面に直交する方向)に沿った軸心回りに回転することが可能である。回転駆動部412は、回転用モータ414と回転用駆動ベルト415とを備えて構成してある。回転用モータ414は、その駆動軸が移送トレイ403に向けて支持軸413と平行となる態様で回転トレイ411に取り付けてある。回転用駆動ベルト415は、移送トレイ403に固定したプーリ416と、回転用モータ414の駆動軸に取り付けたプーリ417との間に巻回してある。
回転トレイ411には、一対の係合アーム418、アーム駆動部419及びリーダライタ部420が設けてある。
係合アーム418は、それぞれの先端部に鉤状部418aを有する一方、それぞれの基端部に連係用ギア421を有したもので、個々の基端部を介して回転トレイ411に揺動可能に配設してある。これら一対の係合アーム418は、図9−1に示すように、先端部を互いに離隔する方向に向けて揺動させた場合にそれぞれの鉤状部418aを回転トレイ411の側面から突出しない位置に配置させる一方、図9−2に示すように、カセット200において係合ピン220を設けた側面(以下、「係合側面」という)を回転トレイ411の側面に当接させた状態で、先端部を互いに近接する方向に向けて揺動させた場合には回転トレイ411の側面からそれぞれの鉤状部418aを突出させ、各鉤状部418aをカセット200の係合ピン220に係合させることによって回転トレイ411にカセット200を保持することが可能である。尚、図9−2に示す状態から再び先端部を互いに離隔する方向に向けて係合アーム418を揺動させれば、カセット200の係合ピン220との係合状態を解除すること、つまり回転トレイ411に対するカセット200の保持状態を解除することができる。
アーム駆動部419は、一対の駆動ギア422と係合用モータ423と係合用駆動ベルト424とを備えて構成してある。駆動ギア422は、互いに歯合するとともに、それぞれが一方の係合アーム418の連係用ギア421に歯合しており、一対の係合アーム418を互いに近接する方向、もしくは互いに離隔する方向に連動させるものである。係合用モータ423は、その駆動軸が駆動ギア422の回転軸と平行となる態様で回転トレイ411に取り付けてある。係合用駆動ベルト424は、係合用モータ423の駆動軸に取り付けたプーリ425と一方の駆動ギア422に設けたプーリ426との間に巻回してある。
リーダライタ部420は、各カセット200に設けたIDタグ230との間において無線通信を行い、IC制御部234を介してIDタグ230のタグメモリ231に記憶した情報の読み出し、あるいはタグメモリ231に対して情報の書き込みを行うためのものである。
また、上記カセット搬送装置400には、図3及び図4に示すように、往復機構部430と昇降機構部440とが設けてある。
往復機構部430は、上述したカセット搬送台401を奥行き方向(図3において上下方向)に沿って移動させるもので、一対の昇降フレーム431を備えている。昇降フレーム431は、カセット収納ラック300の相互間において最も手前側となる位置及び最も奥側となる位置に配置したもので、互いの間に一対の往復用ロッド432を備えている。往復用ロッド432は、機器本体101の奥行き方向に沿って互いに平行に延在するもので、ベース402を介してカセット搬送台401を移動可能に支持している。また、往復機構部430には、往復用モータ433及び往復用駆動ベルト434が設けてある。往復用モータ433は、駆動軸の軸心を左右方向に向けた状態で一方の昇降フレーム431に取り付けてある。往復用駆動ベルト434は、往復用モータ433の駆動軸に取り付けたプーリ435と、他方の昇降フレーム431に取り付けたプーリ436との間に巻回したもので、その中間部がカセット搬送台401のベース402に連結してある。
昇降機構部440は、カセット搬送台401を往復機構部430とともに上下方向に沿って移動させるもので、一対の昇降用ロッド441と昇降用モータ442と昇降用駆動ベルト443とを備えている。昇降用ロッド441は、機器本体101の内部において最も手前側となる位置及び最も奥側となる位置に互いに平行となる態様で上下方向に沿って延設したもので、それぞれ昇降フレーム431を移動可能に支持している。昇降用モータ442は、駆動軸の軸心を奥行き方向に向けた状態で機器本体101の内部においてカセット収納ラック300の最下段よりも下方となる位置に取り付けてある。昇降用駆動ベルト443は、昇降用モータ442の駆動軸に連係したプーリ444と機器本体101の内部においてカセット収納ラック300の最上段部に取り付けたプーリ445との間に巻回したもので、その中間部が一方の昇降フレーム431に連結してある。
ここで、上記のように構成したカセット搬送装置400では、昇降用モータ442を駆動すると、昇降用駆動ベルト443の中間部が機器本体101に対して上下方向に移動するため、これに連結した昇降フレーム431が上下方向に沿って移動することになり、往復用ロッド432を介して支持したカセット搬送台401をカセット収納ラック300の相互間において上下方向に沿って移動させることができる。
一方、往復用モータ433を駆動すると、往復用駆動ベルト434の中間部が昇降フレーム431に対して奥行き方向に移動するため、これに連結したカセット搬送台401を奥行き方向に沿って移動させることができる。これにより、昇降用モータ442及び往復用モータ433を適宜駆動すれば、カセット収納ラック300に画成したすべてのカセット収納域301、さらにはカセット受渡口102に対してカセット搬送台401を移動させることが可能となる。
さらに、カセット搬送台401においてスライド用モータ407を駆動すると、スライド用駆動ベルト406の中間部がベース402に対して左右方向にスライドするため、これに連結した移送トレイ403を左右方向に沿って移動させることが可能となる。
一方、回転用モータ414を駆動すると、その回転が回転用駆動ベルト415を通じて移送トレイ403に固定したプーリ416に伝達されるため、移送トレイ403に対して回転トレイ411を適宜方向に所望の角度だけ回転させることが可能となる。これにより、スライド用モータ407及び回転用モータ414を適宜駆動すれば、カセット搬送台401のベース402に対して移送トレイ403を左右方向の任意の位置に配置させることができるとともに、回転トレイ411に設けた一対の係合アーム418を前後左右任意の方向に対向させることが可能となる。
従って、上記カセット搬送装置400によれば、スライド用モータ407、回転用モータ414、係合用モータ423、往復用モータ433及び昇降用モータ442を適宜駆動することにより、カセット受渡口102とカセット収納ラック300の各カセット収納域301との間においてカセット200を搬送することが可能となる。
図10は、顧客物品預入機100の機能的な構成の一例を示すブロック図である。同図に示すように、顧客物品預入機100は、上述した構成の他、扉開検知センサ110、人物検知センサ111、カセット搬送駆動部112、主制御部113を備えている。
扉開検知センサ110は、機器本体101に設けた図示せぬ扉が開操作された場合にOPEN信号を出力し、かつその状態を保持するセンサである。人物検知センサ111は、機器本体101の前面に顧客や銀行の係員等の人物が接近している場合にのみON信号を出力するセンサである。これら扉開検知センサ110から出力されたOPEN信号及び人物検知センサ111から出力されたON信号は、それぞれ主制御部113に与えられることになる。
カセット搬送駆動部112は、搬送指示が与えられた場合に、カセット搬送装置400のスライド用モータ407、回転用モータ414、係合用モータ423、往復用モータ433及び昇降用モータ442に対して適宜駆動信号を与えることにより、搬送指示に応じてカセット200の搬送を行うものである。
主制御部113は、予め記憶部114に記憶したプログラム及びデータに基づいて、表示操作部103、認証情報入力部104、扉開検知センサ110、人物検知センサ111、カセット搬送駆動部112、リーダライタ部420の動作を統括的に制御するものである。記憶部114は、ハードディスク装置等の不揮発性二次記憶媒体であり、主制御部113のためのプログラムや初期データの他、顧客情報登録テーブル120とカセット収納テーブル130とが記憶してある。
顧客情報登録テーブル120は、顧客の情報をカセット番号に対応付けて記憶するものである。本実施の形態では、図11に示すように、カセット番号、銀行コード、支店コード、顧客の氏名、顧客の利用ログ、機器側欠損生体情報を顧客情報登録テーブル120に記憶するようにしている。利用ログは、顧客物品預入機100を利用した場合にその日付や利用回数等の利用状況情報が適宜記憶される部分である。機器側欠損生体情報は、後述の認証情報登録部118によって生成・記憶された情報である。
カセット収納テーブル130は、上述したカセット収納域301のアドレス番号をカセット番号に対応付けて記憶するものである。本実施の形態では、図12に示すように、カセット番号及びアドレス番号に加え、状態フラグをカセット収納テーブル130に記憶するようにしている。状態フラグは、カセット番号に対応するカセット200の状態を示すものであり、例えば、収納されているカセット200が未登録のものである場合「00」、収納されているカセット200が登録されたものである場合「01」、カセット200が取り出し中である場合「02」と記憶するようにしている。また、図12には示していないが、後述する精査判定部116により、収納されているカセット200が登録されたものでないと判定された場合には「FF」と記憶し、また登録されたカセット200が行方不明である場合には「FE」と記憶するようにしている。
この主制御部113は、図10に示すように、顧客認証部(照合手段)115、精査判定部116、規則設定部117、認証情報登録部118、認証情報復元部119を備えている。
顧客認証部115は、2つの生体情報が与えられた場合にこれらを照合して認証を行うものである。
精査判定部116は、カセット搬送台401のリーダライタ部420を通じて読み出したカセット番号、つまりカセット収納域301に収納されたカセット200のタグメモリ231に記憶されているカセット番号が与えられた場合に、このカセット番号と、カセット収納域301のアドレス番号をキーとしてカセット収納テーブル130から特定されるカセット番号とを照合するものである。
規則設定部117は、後述の認証情報登録部118及び認証情報復元部119から顧客の識別情報が与えられた場合に、当該識別情報を基準として欠損部生成規則を設定し、これを認証情報登録部118及び認証情報復元部119に返送するものである。本実施の形態では、顧客ごとに個別となるカセット200のIDタグ230に設定された識別情報(以下、「タグID」という)を基準として規則設定部117が欠損部生成規則を設定するようにしている。
図13は、規則設定部117で設定する欠損部生成規則を説明するための説明図である。以下、この図を適宜参照しながら、欠損部生成規則の設定方法について具体的に説明する。
まず、規則設定部117では、タグIDが与えられると、このタグIDから2桁のサム値を算出する処理を行う(SQ1)。例えば、与えられたタグIDを先頭から1バイトずつ4つのデータに分割し、それぞれを合計して2桁のサム値を算出すれば良い。
次いで、算出したサム値の1桁目に規定値を加算することによって分割ブロック数を算出し(SQ2)、さらに分割ブロック数によって決定される各ブロックのデータ長を基数として設定する処理を行う(SQ3)。分割ブロック数とは、同一のデータ長を有したブロックとして顧客の生体情報を分割するための数である。剰余部分のブロックについては分割ブロック数に含んでいない。規定値は、サム値の1桁目が「0」であった場合にも確保することのできる分割ブロック数の最低値であり、予め任意の値に設定してある。
最後に、上述のサム値と基数との剰余演算からブロック分割データ長を算出する処理を行う(SQ4)。ブロック分割データ長とは、顧客の生体情報を複数のブロックに分割した後、さらにそれぞれのブロックを分割するための分割位置を示すものである。
以上により、規則設定部117においては、タグIDが与えられると、「分割ブロック数」及び「ブロック分割データ長」が算出され、この算出結果が欠損部生成規則として設定されることになる。
より具体的に説明すると、以下のとおりである。尚、以下の説明においては、認証情報入力部104を通じて入力された顧客の生体情報が128バイトのデータ長を有するものとし、またタグIDは「0x12319A3B」(「0x」は16進数であることを示す)であり、4バイトのデータ長(例えば、製造メーカの固有値(2バイト)+タグ固有値(2バイト))を有するものとする。また、規定値としては予め「0x05」が設定されているものとする。
まず、規則設定部117では、タグID「0x12319A3B」が与えられると、「0x12」+「0x31」+「0x9A」+「0x3B」を実施し、「0x18」というサム値を算出する。
次いで、算出したサム値「0x18」の1桁目である「0x08」に規定値「0x05」を加算することにより「0x08」+「0x05」→「0x0D」、つまり10進数で「13」という分割ブロック数を得る。さらに顧客の生体情報が128バイトであるから128/13=9…11により基数「9」を得る。
最後に、上述のサム値「0x18」が10進数で「24」であるから、剰余演算24%9からブロック分割データ長「6」を算出する。
つまり、タグID「0x12319A3B」が与えられた場合、規則設定部117においては「分割ブロック数=13」、「基数=9」及び「ブロック分割データ長=6」という欠損部生成規則が設定されることになる。
図10に示した認証情報登録部118は、認証情報入力部104を通じて入力された顧客の生体情報が与えられた場合、規則設定部117に対して顧客の識別情報を与える一方、規則設定部117から欠損部生成規則が与えられた場合には、この欠損部生成規則に従って生体情報から2つの欠損生体情報を生成し、一方の欠損生体情報をカセット側欠損生体情報として顧客の識別情報に対応付けてIDタグ230のタグメモリ231に記憶させ、他方の欠損生体情報を機器側欠損生体情報として顧客の識別情報に対応付けて機器本体101の記憶部114に記憶させるものである。
上述の分割ブロック数、基数及びブロック分割データ長による欠損部生成規則が与えられた場合、認証情報登録部118は、顧客の生体情報を分割ブロック数に従ってブロックに分割した後、それぞれのブロックをブロック分割データ長で示される位置でさらに分割し、各ブロックにおいて分割した先頭部分をカセット200のタグメモリ231に記憶させる一方、残余部分を機器本体101の記憶部114に記憶させる処理を行う。
つまり、タグIDが「0x12319A3B」の場合には、図14に示すように、128バイトの生体情報を、それぞれが9バイトのデータ長を有した13個のブロックと、11バイトのデータ長を有した1個の残余部分とに分割した後、さらに13個のブロックそれぞれを6:3に分割し、前半部分をカセット側欠損生体情報としてIDタグ230のタグメモリ231に記憶させる一方、13個のブロックの後半部分及び11バイトのデータ長を有した残余部分をそれぞれ機器側欠損生体情報として機器本体101の記憶部114に記憶させることになる。それぞれの欠損生体情報に対応付ける顧客の識別情報としては、本実施の形態の場合、顧客ごとに個別となるカセット200の識別情報であるカセット番号となる。
ここで、上記のようにして構成されたカセット側欠損生体情報及び機器側欠損生体情報は、それぞれが欠損部分を有したものであり、単独では顧客の生体情報を復元し得ない無意味なものとなる。しかしながら、カセット側欠損生体情報及び機器側欠損生体情報は、それぞれの欠損部分が相互に補完関係にあり、互いに結合した場合にはすべての情報が揃うため、顧客の生体情報を復元することが可能なものである。
認証情報復元部119は、顧客の識別情報とともにカセット200の取出要求が与えられた場合、顧客の識別情報に基づいてカセット200のタグメモリ231及び機器本体101の記憶部114からそれぞれ該当する欠損認証情報を読み出し、さらに規則設定部117に対して顧客の識別情報を与える一方、規則設定部117から欠損部生成規則が与えられた場合に、この欠損部生成規則に従って2つの欠損認証情報から顧客の生体情報を復元するものである。
上述の分割ブロック数、基数及びブロック分割データ長による欠損部生成規則が与えられた場合、認証情報復元部119は、カセット番号に基づいてカセット200のタグメモリ231に記憶されたカセット側欠損生体情報及び機器本体101の記憶部114に記憶された機器側欠損生体情報を読み出した後、カセット側欠損生体情報をブロック分割データ長に従って複数のブロックに分割する一方、機器側欠損生体情報を(基数)−(ブロック分割データ長)で示されるデータ長に従って複数のブロックに分割し、カセット側欠損生体情報のブロックと機器側欠損生体情報のブロックとを交互に配置して生体情報を復元する。機器側欠損生体情報に残余部分が存在する場合にはこれを最後に付加する。
つまり、タグIDが「0x12319A3B」の場合には、図14に示す模式図を逆にたどることにより、カセット側欠損生体情報を、6バイトのデータ長を有した13個のブロックに分割する一方、機器側欠損生体情報を、3バイトのデータ長を有した13個のブロックと11バイトのデータ長を有した残余部分とに分割し、それぞれを交互に配置して結合すれば、カセット側欠損生体情報及び機器側欠損生体情報から顧客の生体情報が復元されることになる。
図15は、顧客物品預入機100の主制御部113が実施するメイン処理の内容を示すフローチャート、図16は、図15に示した登録処理の詳細内容を示すフローチャート、図17は、図15に示した預入処理の詳細内容を示すフローチャート、図18は、図15に示した取出処理の詳細内容を示すフローチャートである。
以下、これらのフローチャートを適宜参照しながら、本実施の形態に係る顧客物品預入機100の運用方法について説明する。尚、顧客物品預入機100のカセット搬送台401は、待機状態においてカセット搬送駆動部112からの駆動信号により、カセット受渡口102を介して機器本体101の外部からカセット200を授受することのできる位置に配置されているものとする。
(メイン処理)
図15に示すように、まず顧客物品預入機100の主制御部113は、扉開検知センサ110からOPEN信号が出力されたか否か、つまり扉開検知センサ110を介して機器本体101の扉が開操作されたか否かを判断する(ステップS10)。OPEN信号が出力されていない場合(ステップS10否定)、主制御部113は、後述するステップS100の精査処理を経ることなく手順をステップS20に進める。
これに対してOPEN信号が出力されていた場合(ステップS10肯定)、主制御部113は、精査判定部116を介して精査処理を実施し(ステップS100)、その後に手順をステップS20に進める。
ステップS20において主制御部113は、人物検知センサ111からON信号が出力されているか否か、つまり機器本体101の前面に人物が接近したか否かを判断する。ON信号が出力されていない場合、つまり機器本体101の前面に顧客や銀行の係員等の人物が存在しないと判断した場合には、後述の処理を経ることなく今回の処理を終了する(ステップS20否定)。
一方、人物検知センサ111からON信号が出力されている場合(ステップS20肯定)、主制御部113は、図19−1に示すように、表示操作部103に操作選択画面を表示し(ステップS30)、その後、人物検知センサ111からON信号が出力されなくなるまでの間、操作入力待ちの状態となる(ステップS20〜ステップS60)。
操作入力待ちの状態において銀行の係員が登録モード操作を行った場合(ステップS60肯定)には顧客の登録処理が行われ(ステップS200)、また表示操作部103に表示された預入ボタンが押圧操作された場合(ステップS40肯定)には預入処理が行われ(ステップS300)、また表示操作部103に表示された取出ボタンが押圧操作された場合(ステップS50肯定)には取出処理が行われる(ステップS400)。以降、上述した処理が、所定のサイクルタイムで繰り返し実施されることになる。
(精査処理)
ステップS100において顧客物品預入機100の主制御部113が実行する精査処理は、上述したように、実際にカセット収納域301に収納されたカセット200のIDタグ230に記憶されているカセット番号をカセット搬送台401のリーダライタ部420によって読み出し、この読み出したカセット番号とカセット収納域301のアドレス番号をキーとしてカセット収納テーブル130から特定されるカセット番号とを照合するとともに、その処理結果を主制御部113に与えるものであり、カセット収納域301に正しいカセット200が収納されているか否かを主制御部113によって認識することができるようになる。
従って、例えば第三者によりカセット200の入れ換え操作が行われた場合においても、機器本体101の扉が開操作されるたびに精査処理が実施されるため、この入れ換え操作を容易に、かつ確実早期に認識することができるようになり、後述する取出処理において他人のカセット200が誤って取り出される事態を未然に防止することができるようになる。尚、精査処理の結果、カセット200とカセット収納域301とが整合していない場合には、銀行の係員にその旨報知することが好ましい。
(登録処理)
ステップS200において顧客物品預入機100の主制御部113が実施する登録処理は、顧客物品預入機100を利用しようとする顧客を登録する場合に行うもので、ステップS60において登録処理を選択する場合の操作を含めて銀行の係員の立ち会いの下に行われることを前提としている。
図16に示すように、登録処理において顧客物品預入機100の主制御部113は、まず、表示操作部103に登録要項を入力する旨の表示及び入力キーの表示を行い(ステップS201)、その後、取り消し操作が行われるまでの間、表示操作部103の入力キーを通じた登録要項の入力待ちとなる(ステップS202、ステップS203)。尚、入力する登録要項のうちカセット番号に関しては、登録済みのものと重複しないように、登録済みカセット番号の入力を拒否する、あるいは未登録のもののみを選択させる等、適宜処理を施しておくことが好ましい。
登録要項のすべてが入力されると(ステップS202肯定)、主制御部113は、次に表示操作部103に生体情報を入力する旨の表示を行い(ステップS204)、その後、認証情報入力部104を通じた生体情報の入力待ちとなる(ステップS205)。
認証情報入力部104を通じて生体情報を取得すると(ステップS205肯定)、主制御部113は、表示操作部103に登録処理中画面を表示し(ステップS206)、その後、先に入力された登録要項に含まれるカセット番号をキーとして記憶部114に記憶したカセット収納テーブル130から該当するカセット200のカセット収納域301を特定するとともに(ステップS207)、その状態フラグを「00」から「02」に書き換える(ステップS208)。
さらに、主制御部113は、カセット搬送駆動部112を通じてカセット搬送台401を適宜駆動し、特定したカセット収納域301に収納されているカセット200をカセット受渡口102まで搬送する処理を行う(ステップS209)。
この間、主制御部113は、リーダライタ部420を通じてカセット200のタグIDを読み出し、規則設定部117を介して欠損部生成規則を設定する処理を行う(ステップS210)。さらに認証情報登録部118を介して生体情報から欠損部生成規則に従って2つの欠損生体情報を生成し、カセット搬送台401に搭載したカセット200のタグメモリ231にリーダライタ部420を通じてカセット番号、銀行コード、支店コード及びカセット側欠損生体情報を書き込む処理を行う一方(ステップS211)、記憶部114に記憶した顧客情報登録テーブル120の新たなフィールドに顧客の情報として顧客の氏名、カセット番号、銀行コード、支店コード及び機器側欠損生体情報を書き込む処理を行う(ステップS212)。
カセット搬送台401によって搬送されたカセット200がカセット受渡口102を通じて機器本体101の外部から取出可能状態となると(ステップS213肯定)、主制御部113は、表示操作部103に登録処理終了及びカセット200の受け取り指示画面を表示し(ステップS214)、その後、手順をリターンさせる。
この結果、登録処理を実施した顧客に対してカセット受渡口102からカセット200を提供することができるようになる。このカセット200は、顧客に販売する形で運用しても良いし、貸与する形で運用しても構わない。
ここで、上述した顧客物品預入機100においては、機器本体101に対してカセット200が搬出可能であるため、機器本体101から取り出したカセット200をそのまま顧客が自宅に持ち帰ることができる等、その取り扱い性の点で有利となる。特に、本実施の形態においては、施錠機構210を有したカセット200を適用しているため、防犯上の問題が招来される虞れもない。
さらに、機器本体101から搬出可能に構成されたカセット200に対してはそのIDタグ230のタグメモリ231にカセット側欠損生体情報のみを記憶させるようにしているため、換言すれば、タグメモリ231に記憶させるカセット側欠損生体情報が欠損部分を有したものであり、単独では顧客の生体情報を復元し得ない無意味な情報であるため、仮に顧客がカセット200を紛失・廃棄した場合、あるいはカセット200が盗難にあった場合にも、顧客の個人情報である生体情報がそのまま流出することもない。また銀行において不要となったカセット200を廃棄する場合にも、タグメモリ231に記憶されたカセット側欠損生体情報の消去作業が必須ではなくなり、廃棄作業の容易化を図ることが可能になる。
尚、登録処理の途中において取り消し操作を行った場合には(ステップS203肯定)、それまでに入力された情報を破棄した後(ステップS215)、手順がリターンされることになる。
(預入処理)
ステップS300において顧客物品預入機100の主制御部113が実行する預入処理は、上述の登録処理を行った顧客がカセット200の内部に重要物品を収納した後、これを機器本体101の内部に収納させた場合に行うものである。
図17に示すように、預入処理において顧客物品預入機100の主制御部113は、まず、図19−2に示すように、表示操作部103にカセット200の挿入指示画面を表示し(ステップS301)、その後、取り消し操作が行われるまでの間、カセット受渡口102へのカセット200の挿入待ちとなる(ステップS302、ステップS303)。
顧客によってカセット受渡口102にカセット200が挿入されると(ステップS302肯定)、主制御部113は、カセット搬送台401のリーダライタ部420を通じてカセット200のタグメモリ231に記憶されているカセット番号を読み出し(ステップS304)、ステップS304で読み出したカセット番号をキーとして記憶部114のカセット収納テーブル130からカセット収納域301を特定する処理を行う(ステップS305)。
次いで主制御部113は、カセット収納テーブル130において該当する状態フラグを「02」から「01」に書き換え(ステップS306)、その後にカセット搬送駆動部112を通じてカセット搬送台401を駆動することにより、カセット受渡口102に挿入されたカセット200を機器本体101の内部に引き込み、該当するカセット収納域301まで搬送してこれを収納する処理を行う(ステップS307)。
この間、主制御部113は、図19−3に示すように、表示操作部103にカセット200を収納中である旨の表示を行い(ステップS308)、その後にカセット200の収納完了待ちとなる(ステップS309)。カセット200の収納が完了すると(ステップS309肯定)、図19−4に示すように、表示操作部103に収納完了画面を表示し(ステップS310)、その後に手順をリターンさせる。
この結果、カセット200に重要物品を収納した状態で預入処理を行えば、銀行の係員を介在させることなくカセット200を機器本体101の内部に容易に収納することが可能となる。
(取出処理)
ステップS400において顧客物品預入機100の主制御部113が実行する取出処理は、上述の預入処理を行った顧客のカセット200を機器本体101の外部に取り出す場合に行うものである。
図18に示すように、取出処理において顧客物品預入機100の主制御部113は、まず、図20−1に示すように、表示操作部103にカセット番号入力要求画面及びテンキーを表示し(ステップS401)、その後、取り消し操作が行われるまでの間、表示操作部103のテンキーを通じた4桁の数字、つまりカセット番号の入力待ちとなる(ステップS402、ステップS403)。
顧客によって4桁の数字が入力されると(ステップS402肯定)、主制御部113は、入力された数字がカセット番号として適正なものであるか否かを判断する処理を行う(ステップS404)。具体的には、顧客によって入力された4桁の数字に該当するカセット番号がカセット収納テーブル130に存在し、かつカセット番号に関連付けて記憶された状態フラグが「01」である場合にこのカセット番号は適正なものであると判断する(ステップS404肯定)。
カセット番号が適正なものであった場合、主制御部113は、図20−2に示すように、表示操作部103に生体情報を入力する旨の表示を行い(ステップS405)、その後、取り消し操作が行われるまでの間、認証情報入力部104を通じた生体情報の入力待ちとなる(ステップS406、ステップS407)。
これに対して入力された4桁の数字がカセット番号としてカセット収納テーブル130に存在しない場合、あるいはカセット収納テーブル130に存在するがカセット番号に関連付けて記憶された状態フラグが「01」以外である場合には、このカセット番号は適正なものでないと判断する(ステップS404否定)。この場合、主制御部113は、顧客に対して適正なカセット番号の再入力を促すべく手順をステップS401にリターンさせる。
ステップS406において認証情報入力部104を通じて入力された生体情報(以下、「入力生体情報」という)が与えられると(ステップS406肯定)、主制御部113は、ステップS404において適正であると判断したカセット番号をキーとして記憶部114のカセット収納テーブル130からカセット収納域301を特定する処理を行い(ステップS408)、このカセット収納テーブル130の機器側欠損生体情報を読み出す処理を行う(ステップS409)。
その後、主制御部113は、カセット搬送駆動部112を通じてカセット搬送台401を駆動することにより、特定したカセット収納域301に収納されたカセット200のタグメモリ231からタグID及びカセット側欠損生体情報をリーダライタ部420によって読み出し(ステップS410)、さらにタグIDから規則設定部117を通じて欠損部生成規則を設定する処理を行う(ステップS411)。
次いで主制御部113は、カセット側欠損生体情報と先に読み出した機器側欠損生体情報とから欠損部生成規則に従って認証情報復元部119を通じて生体情報を復元する処理を実施し(ステップS412)、その後、この復元した生体情報(以下、「復元生体情報」という)とステップS406において取得した入力生体情報とから顧客認証部115を通じて認証処理を行う(ステップS413)。
認証処理の結果、入力生体情報と復元生体情報とが相違するものであると判定した場合(ステップS414否定)、主制御部113は、表示操作部103にエラー表示を行い(ステップS415)、その後に手順をリターンさせる。
一方、入力生体情報と復元生体情報とが同一のものであると判定した場合(ステップS414肯定)、主制御部113は、記憶部114に記憶したカセット収納テーブル130から該当する状態フラグを「01」から「02」に書き換え(ステップS416)、その後、カセット収納域301に収納されたカセット200をカセット受渡口102まで搬送する処理を行う(ステップS417)。
この間、主制御部113は、図20−3に示すように、表示操作部103に取出中画面を表示し(ステップS418)、カセット搬送台401によって搬送されたカセット200がカセット受渡口102を通じて機器本体101の外部から取出可能状態となると(ステップS419肯定)、図20−4に示すように、表示操作部103に受取指示画面表示を行い(ステップS420)、その後に手順をリターンさせる。
この結果、取出処理を実施すれば、銀行の係員を介在させることなくカセット受渡口102から顧客の所有するカセット200を取り出し、その内部に収納した重要物品を受け取ることができるようになる。
以上説明したように、上記顧客物品預入機100によれば、登録要項及び生体情報を登録した顧客のカセット200を受け入れて機器本体101の内部に収納する一方、カセット番号及び生体情報が入力された場合には、この生体情報の認証処理を行った後に適正な顧客のカセット200を特定し、特定したカセット200を機器本体101の外部から取出可能状態とするため、銀行の係員等の第三者を介在させなくとも、顧客自らが重要物品を収納したカセット200を預け入れたり、取り出すことができるようになる。
従って、重要物品の管理に係る人的労力及び管理コストを低減することができるため、より多くの顧客が重要物品を預け入れることが可能となる。この場合、機器本体101に対してカセット200が搬出可能であるため、機器本体101から取り出したカセット200をそのまま自宅に持ち帰ることができる等、その取り扱い性の点で有利となる。特に、本実施の形態においては、施錠機構210を有したカセット200を適用しているため、防犯上の問題が招来される虞れもない。
しかも、上記顧客物品預入機100によれば、顧客の生体情報から対となる欠損生体情報を生成し、一方の欠損生体情報をカセット200のタグメモリ231に記憶させる一方、他方の欠損生体情報を機器本体101の記憶部114に記憶させるようにしているため、仮に、不要となったカセット200を顧客が廃棄した場合にも、一方の欠損生体情報のみが外部に流出するに留まり、顧客の生体情報が完全な状態で外部に漏洩する事態を招来する虞れがない。また、銀行において不要となったカセット200を廃棄する場合にも、タグメモリ231に記憶されたカセット側欠損生体情報の消去作業が必須ではなくなり、廃棄作業の容易化を図ることが可能になる。
さらに、上記顧客物品預入機100では、顧客に関連付けたカセット200を識別するためのカセット番号を基準として欠損部生成規則を設定し、この欠損部生成規則に従って欠損生体情報の生成を行うようにしているため、顧客ごとに欠損部生成規則も異なることになり、カセット側欠損生体情報が流出したとしても顧客の生体情報を復元することがより困難となる。
尚、上述した実施の形態では、認証情報として顧客の生体情報を用いるようにしているが、必ずしも生体情報である必要はなく、顧客を認識することのできる情報であればその他の認証情報を適用することができる。
また、上述した実施の形態では、顧客の認証情報から、互いに重複しない態様で欠損認証情報を生成する認証情報登録手段を例示しているが、つまり生体情報を二つの欠損認証情報に分割する認証情報登録手段を例示しているが、必ずしもこれに限定されず、相互に補完関係にあれば、重複する部分を有した欠損認証情報を生成するようにしても構わない。また、顧客ごとに個別となるカセット番号に基づいて欠損部生成規則を設定しているが、直接顧客を識別することのできる情報に基づいて欠損部生成規則を設定することも可能である。
さらに、上述した実施の形態では、収容箱に対して欠損認証情報をそのまま記憶させるようにしているが、欠損認証情報に暗号化処理を施せば、収容箱に記憶させた欠損認証情報を第三者に対してより無意味なものとすることができる。
図21は、収容箱に記憶させる欠損認証情報に暗号化処理を施すようにした変形例となる顧客物品預入機の機能的な構成を示すブロック図である。この図21に示す変形例の顧客物品預入機100′は、実施の形態で示した顧客物品預入機100と同様に、銀行や郵便局等の金融機関において顧客の物品、例えば預金通帳、印鑑、有価証券、各種証書、パスポート、キャッシュカード、鍵等の重要物品を預かるもので、収容箱であるカセット200′が開検知センサ235を備える点、及びICチップ部232′のIC制御部234′が暗号処理部236を備える点で、上述した実施の形態の顧客物品預入機100と異なる。尚、実施の形態と同様の構成に関しては、同一の符号を付してそれぞれの詳細説明を省略する。
開検知センサ235は、カセット200′の上部ケースと下部ケースとが開成された場合にこれを検知するものである。開検知センサ235の検知結果は、ICチップ部232′のIC制御部234′に与えられることになる。暗号処理部236は、開検知センサ235によってカセット200′が開成されたことを検知した場合、タグメモリ231に記憶されたカセット側欠損生体情報を読み出し、これに暗号化処理を施した後、再びタグメモリ231に記憶させるものである。暗号処理部236が施す暗号化処理としては、例えば、タグメモリ231から読み出したカセット側欠損生体情報の先頭に予め設定したシフトデータを追加するとともに、カセット側欠損生体情報の最後尾に更新履歴を示す履歴データを追加する程度のもので良い。
こうした暗号処理部236を備えた顧客物品預入機100′によれば、カセット200′のタグメモリ231に記憶させたカセット側欠損生体情報が暗号化されているため、さらには、カセット200′を開成するたびにカセット側欠損生体情報が更新されることになるため、第三者に対してより無意味なものとなり、顧客がカセット200′を紛失・廃棄した場合、あるいはカセット200′が盗難にあった場合にも、顧客の個人情報である生体情報が外部に漏洩する事態をより確実に防止することができるようになる。
カセット側欠損生体情報の復号化に関しては、ICチップ部232′の暗号処理部236において行っても良いし、カセット側欠損生体情報そのものが復元化するための情報を有しているため、機器本体101の主制御部113において認証情報復元部119が生体情報を復元する際に実施するようにしても構わない。
尚、カセット側欠損生体情報に施す暗号化処理は、上述したものに限らず、その他の処理であってももちろん構わない。