[1]電子写真感光体の製造方法:
本発明の電子写真感光体の製造方法は、少なくとも、浸漬塗布法により円筒状基材に塗膜形成処理を施す塗膜形成工程を含む。当該工程を経て製造される電子写真感光体は、その塗膜構成の種類により、塗膜に電荷発生物質及び電荷輸送物質を含む単層型のものと、塗膜が電荷発生層と電荷輸送層からなる積層型に大別されるが、本発明は特に限定されるものではない。
電荷発生層および電荷輸送層は、浸漬塗布法により円筒状基材に塗膜形成処理を施す塗膜形成工程を経て形成される。当該塗膜形成工程を経た後の円筒状基材の端部には、画像形成には関与しない余剰塗膜が残留している。そこで、通常、電荷発生層および電荷輸送層がそれぞれ形成された後で、少なくとも一方の端部に形成された当該余剰塗膜に対し、有機溶剤を用いてこれを除去する余剰塗膜除去処理を施す。このようにして製造した電子写真感光体を電子写真方式に用いた場合、ハーフトーンの色むらをはじめとした画質欠陥を生じてしまう。
そして、余剰塗膜除去処理を施す際の円筒状基材の画像形成領域端部の有機溶剤の蒸気濃度を3%以下とする。有機溶剤の蒸気濃度が3%を超えると、電子写真感光体を電子写真方式に用いた場合、画質欠陥(ハーフトーンのむら)が発生してしまう。有機溶剤の好ましい蒸気濃度は、1%以下である。画像形成領域端部については、後述する。
余剰塗膜除去処理としては、余剰塗膜が形成された領域に有機溶剤を供給する処理、あるいは、余剰塗膜が形成された領域を有機溶剤で湿潤した部材で施されることが好ましい。具体的には後述するが、溶媒を余剰塗膜に吹き付ける方法、スポンジ等に溶剤を湿潤させて拭きとる方法、ブラシやブレードで溶媒を供給しながら拭き取る方法等が挙げられる。
有機溶剤の蒸気濃度を3%以下とするための手段としては、有機溶剤の蒸気を排気する排気処理を適用することが好ましい。当該排気処理に関しては後述する。また、排気処理は、余剰塗膜が形成された領域よりも鉛直方向の下方側で施されることが好ましい。
ここで、電子写真感光体の感光層である電荷発生層および電荷輸送層について説明し、さらに、下引き層や円筒状基材について説明する。
電子写真感光体の電荷発生材料としては、公知の電荷発生材料を特に制限なく使用することができるが、中でも金属及び無金属フタロシアニン顔料が好ましく用いられ、特定の結晶を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、チタニルフタロシアニンが特に好ましく用いられる。
電荷発生層において好ましく用いられる電荷発生材料は、公知の方法で製造される顔料結晶を、自動乳鉢、遊星ミル、振動ミル、CFミル、ローラーミル、サンドミル、及びニーダー等を用いて機械的に乾式粉砕するか、乾式粉砕後、溶剤と共にボールミル、乳鉢、サンドミル、及びニーダー等を用いて湿式粉砕処理を行うことによって製造することができる。
湿式粉砕処理において使用される溶剤は、芳香族類(トルエン、クロロベンゼン等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等)、脂肪族アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、脂肪族多価アルコール類(エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等)、芳香族アルコール類(ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等)、エステル類(酢酸エステル、酢酸ブチル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、ジメチルスルホキシド、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、又はこれらの数種の混合系、あるいは水とこれら有機溶剤との混合系が挙げられる。これら溶剤の使用量は、顔料結晶1質量部に対して1〜200質量部、好ましくは10〜100質量部が望ましい。
また、湿式粉砕処理における処理温度は、0℃以上で溶剤の沸点以下、好ましくは10〜60℃である。また、粉砕の際に食塩、ぼう硝等の磨砕助剤を用いてもよい。磨砕助剤は、顔料に対して0.5〜20倍、好ましくは1〜10倍(いずれも質量換算値)用いればよい。さらに、公知の方法で製造される顔料結晶について、アシッドペースティング又はアシッドペースティングと前述したような乾式粉砕又は湿式粉砕との組み合わせによって結晶制御することもできる。アシッドペースティングに用いる酸としては、硫酸が好ましく、この硫酸の濃度は70〜100%、好ましくは95〜100%の濃度のものが使用される。この濃硫酸の量は、顔料結晶の質量に対して、1〜100倍、好ましくは3〜50倍(いずれも質量換算値)の範囲に設定される。
また、溶解温度は、−20〜100℃、好ましくは0〜60℃の範囲に設定される。結晶を酸から析出させる際の溶剤としては、水、或いは水と有機溶剤の混合溶剤を任意の量で使用できる。析出させる温度については特に制限はないが、発熱を防ぐために、氷等で冷却することが好ましい。これらの電荷発生材料は、加水分解性基を有する有機金属化合物又はシランカップリング剤で被覆処理してもよい。かかる被覆処理によって電荷発生材料の分散性や電荷発生層用塗布液の塗布性が向上し、平滑で分散均一性の高い電荷発生層2を容易に且つ確実に成膜することができ、その結果、カブリやゴースト等の画質欠陥が防止され、画質維持性を向上させることができる。また、電荷発生層用塗布液の保存性も著しく向上するので、ポットライフの延長の点でも効果的であり、感光体のコストダウンも可能となる。上記加水分解性基を有する有機金属化合物は、下記一般式(I)で表される化合物である。
Rp−M−Yq・・・一般式(I)
なお、上記一般式(I)中、Rは有機基を表し、Mはアルカリ金属以外の金属原子又はケイ素原子を表し、Yは加水分解性基を表し、p及びqはそれぞれ1〜4の整数であり、pとqとの和はMの原子価に相当する。
一般式(I)中、Rで表される有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアリールアルキル基、スチリル基等のアリールアルケニル基、フリル基、チエニル基、ピロリジニル基、ピリジル基、イミダゾリル基等の複素環残基等が挙げられる。
これらの有機基は1または2種以上の各種の置換基を有していてもよい。また、一般式(I)中、Yで表される加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、シクロヘキシルオキシ基、フェノキシ基、ベンジロキシ基等のエーテル基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、ベンゾイルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、ベンジロキシカルボニル基等のエステル基、塩素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。また、一般式(I)中、Mはアルカリ金属以外であれば特に制限されるものではないが、好ましくはチタン原子、アルミニウム原子、ジルコニウム原子又はケイ素原子である。
当該電子写真感光体においては、上記の有機基や加水分解性の官能基を置換した有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物、さらにはシランカップリング剤が好ましく用いられる。
上記シランカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
これらの中でも、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランがより好ましい。
また、上記の有機金属化合物及びシランカップリング剤の加水分解生成物も使用することができる。この加水分解生成物としては、上記一般式(I)で示される有機金属化合物のM(アルカリ金属以外の金属原子又はケイ素原子)に結合するY(加水分解性基)やR(有機基)に置換する加水分解性基が加水分解したものが挙げられる。なお、有機金属化合物及びシランカップリング剤が加水分解性基を複数含有する場合は、必ずしも全ての官能基を加水分解する必要はなく、部分的に加水分解された生成物であってもよい。
これらの有機金属化合物及びシランカップリング剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。上記の加水分解性基を有する有機金属化合物及び/又はシランカップリング剤(以下、単に「有機金属化合物」という)を用いてフタロシアニン顔料を被覆処理する方法としては、フタロシアニン顔料の結晶を整える過程で該フタロシアニン顔料を被覆処理する方法、フタロシアニン顔料を結着樹脂に分散する前に被覆処理する方法、フタロシアニン顔料の結着樹脂への分散時に有機金属化合物を混合処理する方法、フタロシアニン顔料の結着樹脂への分散後に有機金属化合物で更に分散処理する方法等が挙げられる。
より具体的には、顔料の結晶を整える過程で予め被覆処理する方法としては、有機金属化合物と結晶が整う前のフタロシアニン顔料とを混合した後加熱する方法、有機金属化合物を結晶が整う前のフタロシアニン顔料に混合し機械的に乾式粉砕する方法、有機金属化合物の水または有機溶剤中の混合液を結晶が整う前のフタロシアニン顔料に混合し湿式粉砕処理方法等が挙げられる。
また、フタロシアニン顔料を結着樹脂に分散する前に被覆処理する方法としては、有機金属化合物、水又は水と有機溶剤との混合液、並びにフタロシアニン顔料を混合して加熱する方法、有機金属化合物をフタロシアニン顔料に直接噴霧する方法、有機金属化合物をフタロシアニン顔料と混合する方法等がある。また、分散時に混合処理する方法としては、分散溶剤に有機金属化合物、フタロシアニン顔料、結着樹脂を順次添加しながら混合する方法、これらの電荷発生層2形成成分を同時に添加し混合する方法等が挙げられる。フタロシアニン顔料を結着樹脂中に分散した後に有機金属化合物で更に分散処理する方法としては、例えば溶剤で希釈した有機金属化合物を分散液に添加し攪拌しながら分散する方法が挙げられる。
かかる分散処理の際、より強固にフタロシアニン顔料に付着させるために、触媒として硫酸、塩酸、トリフルオロ酢酸等の酸を添加してもよい。これらの中でも、フタロシアニン顔料の結晶を整える過程で予め被覆処理する方法、又はフタロシアニン顔料を結着樹脂に分散する前に被覆処理する方法が好ましい。電荷発生層に用いる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができる。また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択することもできる。
好ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸との重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂を挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。電荷発生材料と結着樹脂との配合比(質量比)は、10:1〜1:10の範囲が好ましい。
電荷発生層は、例えば、電荷発生材料及び結着樹脂を含む塗布液の塗布により形成される。塗布液の溶媒としては、結着樹脂を溶解することが可能であれば特に制限なく使用することができ、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独で又は2種以上混合して用いることができる。電荷発生材料及び結着樹脂を溶媒に分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法を用いることができるが、この際、分散によって電荷発生材料の結晶型が変化しない条件で行うことが好ましい。また、この分散の際、電荷発生材料を好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.15μm以下の粒子サイズにすることが有効である。
次に、電荷輸送層について説明する。電荷輸送層は、電荷輸送材料及び結着樹脂を含んで構成されるものである。電荷輸送層に用いる電荷輸送材料としては、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチルフェニル)アミニル−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体等の正孔輸送物質;クロラニル、ブロアントラキノン等のキノン系化合物、テトラアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物等の電子輸送物質;あるいは上記化合物から水素原子等を除いた残基を主鎖又は側鎖に有する重合体等が挙げられる。
これらの電荷輸送材料は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。電荷輸送層に用いる結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリアリレート、ポリエステル樹脂、ビスフェノールAタイプ或いはビスフェノールZタイプ等のポリカーボネート樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリスルホン、ポリアクリルアミド、ポリアミド、塩素ゴム等の絶縁性樹脂、およびポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の有機光導電性ポリマー等が挙げられる。これらの結着樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
電荷輸送層の形成に使用される溶媒としては、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤;メタノール、エタノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤;アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤;あるいはこれらの混合溶剤等を用いることができる。
塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、スプレー塗布法、ロールコータ塗布法、グラビアコータ塗布法等が挙げられる。また、電荷輸送層の膜厚は一般に5〜60μmであり、好ましくは10〜50μmの範囲に設定される。表面の耐擦性および電荷保持性能の点から上記範囲が好適に選択される。
ここで、電荷発生層および電荷輸送層を形成するための好ましい装置の態様を説明する。
図3は多本同時浸漬塗布装置の一例を示すものであり、円筒状基材を塗布液槽から引上げ途中の状態を示すものである。塗布液114を貯留するリザーバータンク115から供給配管116を通してポンプ117によって圧送され、フィルター118を介して塗布液槽119内に供給される。
布液槽119は槽内塗布液流速均一性を得るために下部にメッシュ120を挿入してある。塗布液槽119内に供給された塗布液はオーバーフローし、塗布液槽119の上端周辺に設けられた塗布液受け槽121で補集されオーバーフロー管122の上部127に流出し塗布液受けタンク115に回収される。この浸漬塗布装置を用いて浸漬塗布を行う場合、円筒状基材123が塗布液槽119に浸漬され、その後、引き上げられた時、塗布液槽液面124を一定に保持する目的で、常にオーバーフローするように塗布液を循環する。さらに、オーバーフロー管122の途中に溶剤蒸気を排出する排出口126が設けられているが、排出口126は、塗布液槽液面124より低い位置に設けられているのが好ましい。排出口126から強制的に溶剤蒸気を吸引する事で膜厚ムラを抑制する。
排出口はAからエアーを供給し、Bから排出することでC吸引室が減圧になり、溶剤蒸気を強制的に排出する即ち、エアーエジェクター効果を利用し排出するものである。手段としては、電動式またはエアー式真空ポンプ等の利用でも問題ないが、微細な圧力コントロールが必要なため、エアーエジェクター方式を採用することが好ましい。Cの真空度を表示する圧力計128を具備するのが好ましい。エアーエジェクター効果を利用し排出された溶剤蒸気は配管130を通り、リザーバータンク115に排出される。その際、溶剤蒸気冷却機129及び132にて冷却され、有機溶剤蒸気の飽和蒸気圧が下がり、有機溶剤が凝集する。溶剤蒸気冷却機129には冷却温度を測定する温度計131を具備するのが好ましい。凝集した有機溶剤は配管130を伝わり、重力によってリザーバータンク115内の塗液114に混ざる。
溶剤蒸気を冷却する手段として、ここでは冷却水を配管130に接触させる方法を記載したが、本発明はこれに限られたものではない。また、本例では排出された溶剤蒸気を配管130を通してリザーバータンク115につないでいるが、別の装置に繋いでも良い。また、リザーバータンク115内の圧力が高くならないように、エアー抜き機構134を設けた方が好ましい。
ここでは溶剤蒸気制御機構にてエアーエジェクター効果を利用しているが、従来の技術を用いることもできる。ただし、エアーエジェクター効果を利用した方が溶媒蒸気冷却機129の表面に接触する溶剤蒸気が常にリフレッシュされるため、溶剤蒸気を凝集させる効率があがり好ましい。
塗布液槽119の上部には、外部のエアー流れの影響を防止するためのフード125を具備している。ここで、排出口126を設けない場合や、排出口126を塗布液槽液面124より高い箇所に設定した場合は、円筒状基材123に形成される塗布膜から蒸発する溶剤蒸気、及び塗布液槽液面124より蒸発する溶剤蒸気は、外部のエアー流れに影響を受けないようフード125を具備していることも影響し、円筒状基材周辺に滞留する。厚膜塗布では更に塗布膜からの蒸発溶剤蒸気量が増加するため、自然排出では溶剤蒸気の排出不足が発生し、円筒状基材123に形成される塗布膜の指触乾燥速度ムラを発生させる。しかしながら、本態様では、溶剤蒸気を排出する排出口126に強制的に吸引する手段を具備する事で、すなわち、円筒状基材周辺の指触乾燥領域の溶剤蒸気を均一に且つ、厚膜塗布時でも優れ、膜厚ムラの少ない電子写真感光体を得ることが可能となる。
ここで、強制的に吸引する場合は、吸引する箇所がオーバーフロー管の途中にあることが好ましいが、その他の箇所でも円筒状基材周辺の溶剤蒸気を均一に排出することができるよう吸引条件が設定できれば問題無い。
電子写真感光体に使用する円筒状基材としては、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄などの導電性金属、その他に、表面に金属を蒸着するか導電粉を分散した塗膜を形成するなどにより、導電化処理されたプラスチックや紙等の筒状のものを用いることができる。基材の表面には、予め鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニング、着色処理等の処理を施したものを用いることが好ましい。表面処理により基材表面を粗面化することで、レーザビームのような可干渉光源を用いた場合に発生しうる感光体内での干渉光による木目状の濃度斑を防止することができる。
下引層は、積層構造を有する感光層の帯電の際に、導電性支持体から感光層への電荷の注入を阻止するとともに、感光層を導電性支持体に対して一体的に接着保持せしめる接着層としての作用を有するものである、また、下引層は、場合によっては導電性支持体の光の反射防止作用等示すことができる。かかる効果を有し、高画質な画像を維持する観点から、本発明にかかる電子写真感光体は、下引層を備えていることが好ましい。
下引層の材料としては、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子樹脂化合物、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等が挙げられる。また、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂等を用いることができる。これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることができる。中でも上層(例えば、電荷発生層2)形成用塗布液に含まれる溶剤に不溶な樹脂が好ましく用いられ、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。更に、ジルコニウムキレート化合物、シランカップリング剤は残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ないなど性能上優れている。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。
ジルコニウムキレート化合物としては、例えば、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
チタニウムキレート化合物としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物としては、例えば、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
下引層中には、当該下引層を厚膜化するために、導電性物質等の金属酸化物を含有させると良い。金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫等が挙げられるが、所望の感光体特性が得られるのであれば、公知のいかなるものでも使用することができる。下引層を厚膜化、特に15μm以上の膜厚にすることにより、基体表面上の異物等の隠蔽効果が増し、上層に塗布する電荷発生層等の表面性向上につながる。
上記金属酸化物には表面処理を施すことができる。表面処理を施すことで、抵抗値の制御、分散性制御、感光体特性向上を図ることができる。表面処理剤としては、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いることができる。これらの化合物は単独あるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることができる。中でもシランカップリング剤は残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ない、画質特性に優れるなど性能上優れている。
シランカップリング剤、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物の例としては前述した例と同じ物質が挙げられる。
表面処理方法は公知の方法であればいかなる方法でも使用可能であるが、乾式法あるいは湿式法を用いることができる。乾式法により表面処理を施す場合、金属酸化物微粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、シランカップリング剤を直接又は有機溶媒に溶解させて滴下し、それらの混合物を乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることによって、均一な表面処理が行われる。シランカップリング剤の滴下及び混合物の噴霧は、使用する溶剤の沸点以下の温度で行うことが好ましい。滴下又は噴霧を溶剤の沸点以上の温度で行うと、均一に攪拌される前に溶剤が蒸発し、シランカップリング剤が局部的に凝集して均一な処理ができにくくなる傾向がある。このようにして表面処理された金属酸化物粒子について、更に100℃以上で焼き付けを行うことができる。焼き付けは所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で実施できる。
湿式法としては、金属酸化物微粒子を溶剤中に攪拌、超音波、サンドミルやアトライター、ボールミル等を用いて分散し、シランカップリング剤溶液を添加して、攪拌又は分散した後、溶剤を除去することで均一に処理される。溶剤は蒸留により留去することが好ましい。なお、ろ過による除去方法では未反応のシランカップリング剤が流出しやすく、所望の特性を得るためのシランカップリング剤量をコントロールしにくくなる傾向がある。溶剤除去後には更に100℃以上で焼き付けを行うことができる。焼き付けは所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で実施できる。湿式法においては金属酸化物微粒子含有水分除去法として表面処理に用いる溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法等を用いることもできる。
下引層中の金属酸化物微粒子に対するシランカップリング剤の量は、所望の電子写真特性が得られる量であればいかなる量でも用いることができる。また、下引層中に用いられる金属酸化物微粒子と樹脂との割合は、所望の電子写真特性が得られる割合であれば任意に設定できる。
下引層中には、光散乱性の向上等の目的により、各種の有機もしくは無機微粉末を混合することができる。かかる微粉末の好ましい例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料や、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料としての無機顔料や、テフロン(登録商標)樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子等が挙げられる。これらの微粉末の粒径は、0.01〜2μmであることが好ましい。微粉末は必要に応じて添加される成分であるが、添加する場合の配合量は、下引層1に含まれる固形分に対して、質量比で10〜80質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましい。
また、下引層の形成に用いられる塗布液(下引層形成用塗布液)には、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加物を用いることができる。添加物としては、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送性物質、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料等が挙げられる。
下引層形成用塗布液を調製するに際し、前述の導電性物質や光散乱物質等の微粉末を混入させる場合には、樹脂成分を溶解した溶液中に微粉末を添加して分散処理が行うことが好ましい。微粉末を樹脂中に分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等の方法を用いることができる。
[2]余剰塗膜除去装置:
本発明の余剰塗膜除去装置の一例を、図1に示す。塗膜(不図示)が形成された円筒状基材10を支持する支持手段15と、支持体手段15により円筒状基材10の少なくとも一方の端部が挿脱可能で、少なくとも一方の端部に形成された余剰塗膜を除去する余剰塗膜除去手段としての端部塗膜除去部材20と、を具備する。
支持手段15は、円筒状基材10の上端部10bの内壁に当接し円筒状基材10を支持する支持体14と、支持体14に設けられ浸漬塗布法により塗膜を形成した円筒状基材10を該円筒状基材10の軸心方向に略鉛直方向に支持して保持する支持軸16とを有する。また、塗膜除去手段には、円筒状基材10の下端部10aに接触し余剰塗膜を除去する端部塗膜除去部材20と、端部塗膜除去部材20が載置された基台22と、基台22を支持するとともに回転モータ(不図示)の駆動により回動可能な回転軸24とを有する。
さらに、円筒状基材の余剰塗膜除去装置100には、円筒状基材10の下端部10aの余剰塗膜を除去するために用いた端部塗膜除去部材20に含浸された溶剤を回収する使用済み溶剤回収槽30と、使用済み溶剤回収槽30に設けられ排出口32から排出される使用済み溶剤を(配管51を通じて)貯留する溶剤貯留槽34と、溶剤貯留槽34から溶剤を送液する送液ポンプ36と、送液ポンプ36からの送液流量を調整する流量計(不図示)と、基台22と回転軸24とを貫通して設けられ、送液される溶剤を余剰塗膜除去部材20に供給する溶剤流路26とが設けられている(有機溶剤供給手段)。なお、溶剤中の異物を除くためのフィルターを適宜設けても良い。
上記支持軸16は、円筒状基材10の軸心方向に沿って鉛直方向に複数回往復運動することができるように支持されている。また、支持軸16を回転可能に支持してもよく、かかる場合、円筒状基材10を該円筒状基材10の軸中心に回転させることができる。
溶剤貯留槽34に貯留される溶剤は、円筒状基材10に形成する塗膜を溶解な能な溶剤であれば、いかなる溶剤も用いることができるが、例えば、テトラヒドロフラン(THF)が好適である。
次に、上記円筒状基材の端部塗膜除去装置100の動作について、図1を用いて以下に説明する。
支持体14により支持され、浸漬法により塗膜(例えば、電荷発生層および電荷輸送層)が形成された円筒状基材10を、支持軸16を用いて該円筒状基材10の軸心方向に鉛直に移動させ、端部塗膜除去部材20に接触させる。このとき、円筒状基材10の下端部10aの内面塗膜高さより高い位置まで、端部塗膜除去部材20を、円筒状基材10の内面に接触させる。
また、溶剤蒸気排出口50を開いて、円筒状基材の画像形成領域端部の有機溶剤の蒸気濃度を3%以下とし、好ましくは1%以下とする。蒸気濃度を3%以下とするには、溶剤蒸気排出口50の開放量を調整したり、溶剤蒸気排出口50を複数設けそれらのいくつかを開くなどすればよい。ここで、「画像形成領域端部の有機溶剤の蒸気濃度」の測定領域とは、特に、余剰塗膜が除去される端部側(画像形成領域下端)で、画像形成領域(図1におけるA)と非画像形性領域(図1におけるB)との境界部分で、円筒状基材の外表面より3〜10mmの領域をいう。
なお、有機溶剤蒸気濃度はニューリー・インスツルメンツ株式会社製高性能ガス質量分析装置を用いて余剰塗膜除去時の電子写真感光体の画像下端領域の空気を吸引して測定することができる。また、画像形成領域とは、電子写真プロセスにて画像形成に実質的に寄与する領域で、用いる円筒状基材の大きさ、電子写真感光体として用いられる画像形成装置、画像形成プロセスにより異なるため、一概に言えないが、図1における円筒状基材10の両端部から基材の長手方向全長の1.0〜10.0%程度の範囲を除いた領域をいう。
一方、端部塗膜除去部材20には、溶剤貯留槽34より送液ポンプ36、流量計を介して所定量の溶剤が溶剤流路26を通して送液される。これにより、端部塗膜除去部材20に溶剤が含浸される。この溶剤が含浸された端部塗膜除去部材20は、回転モータの駆動により回転軸24が回転し、この回転軸24の回転によって基台22が回転することにより回転する。この端部塗膜除去部材20が回転することによって、円筒状基材10の下端部10aの余剰塗膜を除去することができる。なお、溶剤が十分に端部塗膜除去部材20に含浸されていれば、塗膜除去中に溶剤を供給する必要はない。
ここで、支持軸16を用いて円筒状基材10を複数回端部塗膜除去部材20の上述した所定の位置に往復移動させ、端部塗膜除去部材20を回転させながら余剰塗膜を除去してよい。
一方、端部塗膜除去部材20に含浸された溶剤は、円筒状基材10の下端部10aに接触して塗膜を溶解したのち、使用済み溶剤回収槽30に回収される。また、使用済み溶剤回収槽30に回収された使用済み溶剤は、排出口32を介して溶剤貯留槽34に送液され、再度送液ポンプ36、流量計38、溶剤流路26を介して端部塗膜除去部材20に送液され、複数回循環することとなる。すなわち、端部塗膜除去装置100は循環流路を備えていることになる。
なお、使用済み溶剤中の塗料量が所定値を超えた場合には、溶剤貯留槽34から一部使用済み溶剤を抜き取り新たな溶剤が補充されることが望ましい。また、限外ろ過装置(日本ポール株式会社製)や減圧加熱蒸留装置(FORMECO社製)にて使用済み溶剤を再生し、再利用してもよい。
溶剤蒸気排出口50は、円筒状基材の余剰塗膜除去時の画像領域最下端の位置よりも低い位置に設置されることが好ましい。これにより、溶剤蒸気濃度をより低く制御することができる。溶剤蒸気排出口50の最上部と、円筒状基材の余剰塗膜除去時の画像領域最下端(図面上、下側の符号Bで表される領域の最上部)との距離Xが、10〜1000mmであることが好ましく、20〜200mmであることがより好ましい。距離Xが10〜1000mmであることで、溶剤蒸気の排出が良好となり、円筒状基材の周りの溶剤蒸気濃度を本発明の範囲に制御することを容易にすることができる。
本発明の余剰塗膜除去装置の他の実施態様を図2に示す。なお、図2中、図1と同一符号のものは、同一の作用効果を示すため、説明を省略する。
図2に示す余剰塗膜除去装置200は、溶剤蒸気排出口50にエアーエジェクター機能を付与した以外は、図1に示す余剰塗膜除去装置と同様である。すなわち、溶剤蒸気排出口50はDからエアーを供給し、Eから排出することで吸引室Fが減圧になり、溶剤蒸気を強制的に排出する。即ち、エアーエジェクター効果を利用し排出するものである。手段としては、電動式またはエアー式の真空ポンプ等の利用でも問題ないが、微細な圧力コントロールが必要なため、エアーエジェクター方式を採用することが好ましい。図2に示したように、溶剤蒸気排出口50から強制的に溶剤蒸気を吸引する事で、有機溶剤蒸気濃度をより確実に3%以下とすることができる。
吸引室Fの真空度を表示する圧力計を具備するのが好ましい。図2に示したようにエアーエジェクター効果を利用し排出された溶剤蒸気は配管52を通り、溶剤貯留槽34に排出される。その際、溶剤蒸気冷却機53にて冷却され、有機溶剤蒸気の飽和蒸気圧が下がり、有機溶剤が凝集する。溶剤蒸気冷却機53には冷却温度を測定する温度計を具備することが好ましい。
凝集した有機溶剤は配管を伝わり、重力によって溶剤貯留槽34内の液中に混ざる。溶剤蒸気を冷却する手段として、ここでは冷却水を配管52に接触させる方法を記載したが、本発明はこれに限られたものではない。また、本例では排出された溶剤蒸気を、配管を通して溶剤貯留槽34につないでいるが、別の装置に繋いでも良い。また、リザーバータンク内の圧力が高くならないように、エアー抜き機構を設けた方が好ましい。ここでは、溶剤蒸気制御機構にてエアーエジェクター効果を利用しているが、従来の技術を用いることもできる。ただし、エアーエジェクター効果を利用した方が溶媒蒸気冷却機の表面に接触する溶剤蒸気が常にリフレッシュされるため、溶剤蒸気を凝集させる効率があがり好ましい。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、下記記載で、「部」とは「質量部」を意味する。
[実施例1]
(基材)
1mm厚×30mmφ×327.5mmLのアルミニウムパイプ(円筒状基材)にダイヤモンドバイトを用いた鏡面旋盤により鏡面切削加工を行い、表面粗さ(Ra(JIS B0601に規定されている中心線平均粗さ):0.02μm、Rmax:0.2μm)の平滑面に仕上げた。
(洗浄処理)
次に、循環型処理装置にて、電気分解アルカリ性水を用いて基材を洗浄(電気分解アルカリ性水処理)した。処理槽に供給・循環される電気分解アルカリ性水としては、水以外のイオンを3.4wt%含む原液(商品名:ルミックEKO−13AL、日本電子アクティブ社製)を、イオン交換水にて3倍に希釈したもの(pH11)を用いた。電気分解アルカリ性水の原液を希釈するためのイオン交換水としては、比抵抗5(MΩ・cm)のものを用いた。また、電気分解アルカリ性水の温度は35℃に設定され、上下揺動回数15回/minで、30sec間、基材を洗浄した。なお、処理槽で照射した超音波の周波数は133kHzであった。
また、使用済み電気分解アルカリ性水に含まれる油分は、油水分離装置として超極細繊維フィルター(商品名:ユーテックTH、旭化成社製)を用いて分離した。次に、濯ぎ処理を行った。濯ぎ処理に用いた循環型濯ぎ装置における濯ぎ槽では、比抵抗5(MΩ・cm)のイオン交換水を使用した。また、イオン交換水の温度は35℃に設定された。また、濯ぎ処理の際には、上下揺動回数15回/minで、30sec間、基材を濯いだ。なお、濯ぎ槽で照射した超音波の周波数は133kHzであった。最後に、水切り処理を行った。水切り処理に用いた循環型水切り装置における水切り槽では、比抵抗5(MΩ・cm)のイオン交換水を、液温50℃に設定して使用した。基材を水切り槽25b内に30sec浸漬した後、300mm/minで引き上げた。その後、露点が10℃以下の60℃の熱風で乾燥した。
(下引き層用塗液の作製)
一方、酸化亜鉛(平均粒子径70nm:テイカ社製試作品)100重量部をトルエン500重量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM603:信越化学社製)1.5重量部を添加して2時間攪拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、150℃で2時間焼き付けを行って表面処理が施された酸化亜鉛を得た。次に、表面処理を施した酸化亜鉛60重量部、硬化剤(ブロック化イソシアネート スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)15重量部、及びブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)15重量部をメチルエチルケトン85重量部に溶解し、この溶液38重量部とメチルエチルケトン25重量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散処理を行い、分散液を得た。得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005重量部を添加し、下引き層形成用塗布液を得た。
(下引き層の塗布)
この塗布液を浸漬塗布槽の手前の配管が内径21mmであり循環フィルタ−の目開きが絶対濾過精度で25μmであるフィルタ−を含む浸漬塗布循環機内で循環した。この浸漬塗布槽に円筒状基材60本を一度に浸漬後毎分320mmの引き上げ速度にて塗布し、図1に示した拭き取り装置を用い、以下の条件にて端部余剰塗膜除去を行った。図1に示す画像領域際下端の有機溶剤蒸気濃度は3.2%であった。溶剤はTHF(テトラヒドロフラン)を用い、図1に示すように溶剤供給を行った。内面塗膜除去部材として多孔性スポンジ(発泡率15%)、外面塗膜除去部材は用いなかった。
・1回当たりの端部拭取時間 :5s
・端部拭き取り回数(往復移動回数) :3回
・スポンジ外径(溶剤含有状態) :31mm
・円筒状基材内面軸心方向接触長さ(h):10mm
・溶剤蒸気排出口開閉 :閉
・円筒状基材の余剰塗膜除去時に有機溶剤
の余剰塗膜除去部への供給 :有
その後、170℃、40分の乾燥硬化を行い平均膜厚20μmの下引き層を形成した。
(電荷発生層用塗液の作製)
次に、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体(VMCH、ユニオンカーバイド社製)4部を酢酸−n−ブチル100部に溶解させた溶液とII型クロロガリウムフタロシアニン結晶4部を混合し、ガラスビーズとともに、12時間ダイノーミルで分散し、酢酸−n−ブチルで希釈して固形分濃度7.0重量%の電荷発生層形成用塗布液を調製した。
(電荷発生層の塗布)
この塗布液を浸漬塗布循環機内で循環した。この浸漬塗布槽に円筒状基材60本を一度に浸漬後毎分180mmの引き上げ速度にて塗布し、図1に示した拭き取り装置を用い、以下の条件にて端部余剰塗膜除去を行った。図1に示す画像領域下端の有機溶剤蒸気濃度は0.3%であった。溶剤としてはTHF(テトラヒドロフラン)を用い、図1に示すように溶剤供給を行った。内面塗膜除去部材として多孔性スポンジ(発泡率15%)、外面塗膜除去部材は用いなかった。
・1回当たりの端部拭取時間 :5s
・端部拭き取り回数(往復移動回数) :1回
・スポンジ外径(溶剤湿潤状態) :31mm
・円筒状基材内面軸心方向接触長さ(h) :10mm
・溶剤蒸気排出口開閉 :開
・画像領域最下端と溶剤蒸気排出口との距離X:150mm
・円筒状基材の余剰塗膜除去時に有機溶剤の
余剰塗膜除去部への供給 :無
その後、100℃で10分間加熱乾燥し、0.25μm厚の電荷発生層を形成した。
(電荷輸送層用塗液の作製)
次に、下記式(1)で表される化合物2重量部、下記式(2)で表される高分子化合物(粘度平均分子量:39,000)3重量部をテトラヒドロフラン15部/トルエン5部の混合溶剤に溶解させて電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
(電荷輸送層の塗布)
この塗布液を浸漬塗布循環機内で循環した。この浸漬塗布槽に円筒状基材60本を一度に浸漬後毎分150mmの引き上げ速度にて塗布し、図1に示した拭き取り装置を用い、以下の条件にて端部余剰塗膜除去を行った。図1に示す画像領域際下端の有機溶剤蒸気濃度は1.5%であった。溶剤はTHF(テトラヒドロフラン)を用い、図1に示すように溶剤供給を行った。内面塗膜除去部材として多孔性スポンジ(発泡率15%)、外面塗膜除去部材は用いなかった。
・1回当たりの端部拭取時間 :5s
・端部拭き取り回数(往復移動回数) :3回
・スポンジ外径(溶剤含有状態) :31mm
・円筒状基材内面軸心方向接触長さ(h) :10mm
・溶剤蒸気排出口開閉 :開
・画像領域最下端と溶剤蒸気排出口との距離X:150mm
・円筒状基材の余剰塗膜除去時に有機溶剤の
余剰塗膜除去部への供給 :有
その後、135℃で40分間加熱乾燥し、37μm厚の電荷発生層を形成し電子写真感光体を60本得た。
[実施例2〜3および比較例1〜2]
電荷発生層の塗布で発生する余剰塗膜除去条件及び電荷輸送層の塗布で発生する余剰塗膜条件を下記表1のように変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を得た。
(評価)
得られた電子写真感光体を富士ゼロックス社製DocuPrint C626PSを評価マシン用に改造した装置にて絵取り評価した。ハーフトーンでの色むら発生有無を絵取り初期時と2000枚プリント後の2パターンで行った。結果を下記表2に示す。
表2の結果より、電荷発生層および電荷輸送層をそれぞれ形成し、それらの形成後に余剰塗膜を除去した実施例は、いずれも余剰塗膜を効率よく除去できていて、ハーフトーンでの色むらが発生しなかった。
[実施例4]
電荷発生層および電荷輸送層の形成およびそれらの後の余剰塗膜除去処理を下記の通りとした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を12本作製した。
(電荷発生層用塗液の作製)
次に、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体(VMCH、ユニオンカーバイド社製)4部を酢酸−n−ブチル100部に溶解させた溶液とII型クロロガリウムフタロシアニン結晶4部を混合し、ガラスビーズとともに、12時間ダイノーミルで分散し、酢酸−n−ブチルで希釈して固形分濃度7.0重量%の電荷発生層形成用塗布液を調製した。
(電荷発生層の塗布)
この塗布液を浸漬塗布循環機内で循環した。この浸漬塗布槽に円筒状基材12本を一度に浸漬後毎分180mmの引き上げ速度にて塗布し、図2に示した拭き取り装置を用い、以下の条件にて端部余剰塗膜除去を行った。図2に示す画像領域際下端の有機溶剤蒸気濃度は0.3%であった。溶剤はTHF(テトラヒドロフラン)を用い、図2に示すように溶剤供給を行った。内面塗膜除去部材として多孔性スポンジ(発泡率15%)、外面塗膜除去部材は用いなかった。
・1回当たりの端部拭取時間 :5s
・端部拭き取り回数(往復移動回数) :1回
・スポンジ外径(溶剤含有状態) :31mm
・円筒状基材内面軸心方向接触長さ(h) :10mm
・溶剤蒸気排出口開閉 :開
・画像領域最下端と溶剤蒸気排出口との距離X:150mm
・円筒状基材の余剰塗膜除去時に有機溶剤の余剰塗膜除去部への供給:無
図2における吸引室Fの真空度は圧力計で管理し、−5kPaとなる様エアー流れの量(エジェクターエアー量)を調整し決定した。ここでの圧力(真空度)は塗布液物性、膜厚ムラ目標値等を考慮し任意に設定するパラメーターであるが、好ましくは。−0.1kPa〜−20kPaに設定されることが望ましい。溶剤蒸気冷却機の冷却水の温度は10℃に設定した。ここでの冷却水の温度は、溶媒の凝集、再生量を考慮し任意に設定するパラメーターであるが、20℃以下に設定されることが望ましい。その後、100℃で10分間加熱乾燥し、0.25μm厚の電荷発生層を形成した。
(電荷輸送層用塗液の作製)
次に、上記式(1)で表される化合物2重量部、上記式(2)で表される高分子化合物(粘度平均分子量:39,000)3重量部をテトラヒドロフラン15部/トルエン5部の混合溶剤に溶解させて電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
(電荷輸送層の塗布)
この塗布液を浸漬塗布循環機内で循環した。この浸漬塗布槽に円筒状基材12本を一度に浸漬後毎分150mmの引き上げ速度にて塗布し、図2に示した拭き取り装置を用い、以下の条件にて端部余剰塗膜除去を行った。図2に示す画像領域際下端の有機溶剤蒸気濃度は1.5%であった。溶剤はTHF(テトラヒドロフラン)を用い、図2に示すように溶剤供給を行った。内面塗膜除去部材として多孔性スポンジ(発泡率15%)、外面塗膜除去部材は用いなかった。
・1回当たりの端部拭取時間 :5s
・端部拭き取り回数(往復移動回数) :3回
・スポンジ外径(溶剤含有状態) :31mm
・円筒状基材内面軸心方向接触長さ(h) :10mm
・溶剤蒸気排出口開閉 :開
・画像領域最下端と溶剤蒸気排出口との距離X:150mm
・円筒状基材の余剰塗膜除去時に有機溶剤の余剰塗膜除去部への供給:有
図2における吸引室Fの真空度は圧力計で管理し、−5kPaとなる様エアー流れの量(エジェクターエアー量)を調整し決定した。ここでの圧力(真空度)は塗布液物性、膜厚ムラ目標値等を考慮し任意に設定するパラメーターであるが、好ましくは。−0.1kPa〜−20kPaに設定されることが望ましい。溶剤蒸気冷却機の冷却水の温度は10℃に設定した。ここでの冷却水の温度は、溶媒の凝集、再生量を考慮し任意に設定するパラメーターであるが、20℃以下に設定されることが望ましい。その後、135℃で40分間加熱乾燥し、37μm厚の電荷輸送層を形成し電子写真感光体を12本得た。
実施例1と同様の評価を行ったところ、実施例4の電子写真感光体も実施例1と同様に、余剰塗膜を効率よく除去できていて、ハーフトーンでの色むらが発生しなかった。また、本実施例では、他の実施例よりも溶剤蒸気の大気への排出を抑制することができた。
[実施例5]
電荷輸送層の塗布において、図3に示す装置を用いた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を14本作製した。
上記電荷輸送層の塗布方法は、塗布液を図3の多本同時浸漬塗布装置を用いて塗布するもので、円筒状基材を塗布液から引き上げる速度は150mm/minとし、同時塗布本数は14本とした。この時の塗液温度は27.5℃とした。排出口126の位置としては、図3に示す液受け槽からの距離eを600mm、塗布液槽液面から排出口中央部までの高低差gを300mmとした。また、オーバーフロー管の径は、内径44.6mmφ、排出口の径fは内径15mmφとした。図3における吸引室Cの真空度は圧力計28で管理し、−5kPaとなる様エアー流れの量(エジェクターエアー量)を調整決定した。
溶剤蒸気冷却機129の冷却水の温度は10℃に設定した。ここでの冷却水の温度は、溶媒の凝集、再生量を考慮し任意に設定するパラメーターであるが、20℃以下に設定されることが望ましい。
塗布した円筒状基体は風乾した後、乾燥機に入れ、135℃において、40分間加熱乾燥し、実施例1と同様にして、膜厚32μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作製した。その時の14本それぞれの膜厚ムラ値を観察したところ、塗布膜上端から20mm、50mm、160mm、300mmのそれぞれの箇所の円周方向16点(22.5°間隔)、合計64点の膜厚値の最大値と最小値との差が0.95μmと小さく、膜厚ムラが非所に少ないことが確認できた。また、実施例1と同様の評価を行ったところ、実施例1と同様に、余剰塗膜を効率よく除去できていて、ハーフトーンでの色むらが発生しなかった。