JP2004101628A - 電子写真感光体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】経時変化によりゲル化せず、成膜性、密着性が良好である中間層塗工液を用い、耐久試験及び環境変動によっても電位が安定し、ポジやネガゴーストが発生しない電子写真感光体を提供する。
【解決手段】中間層が有機樹脂とジルコニウム化合物、アルミニウム化合物により成る。
有機樹脂=(ポリアミド、ヒドロキシアルキルセルロース)
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は経時変化によりゲル化せず、ポットライフが良く、成膜性、密着性が良好である電子写真感光体の作製方法及び長波長嶺域において十分な高感度を有し、低湿度環境においても感度変化が小さく、電位が安定し、ポジ及びネガの両ゴーストが発生しない電子写真感光体及び該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真感光体は、基本的には帯電及び光を用いた露光により潜像を形成する感光層と、その感光層を設けるための導電性支持体からなっている。
【0003】
しかし、導電性支持体上に直接感光層を形成した場合、導電性支持体表面の汚れ,形状や性状の不均一,粗さはそのまま感光層の成膜ムラとなって現れ、その結果得られる画像に白抜け,黒点,濃度ムラなどが発生するという問題が生じる。さらに、導電性支持体との密着性確保、感光層の電気的破壊の保護、感光層へのキャリア注入性の改良等のために直ちに感光層を塗布形成するよりも、導電性支持体と感光層の間に中間層を設けることが行われてきた。
【0004】
中間層を形成する材料として例えばポリアミド(特開昭46−47344号公報、特開昭52−25638号公報および特開昭58−95351号公報)、ポリエステル(特開昭52−20836号公報および特開昭54−26738号公報)、ポリウレタン(特開昭49−10044号公報および特開昭53−89435号公報)、カゼイン(特開昭55−103556号公報)、ポリペプチド(特開昭53−48523号公報)、ポリビニルアルコール(特開昭52−100240号公報)、ポリビニルピロリドン(特開昭48−30936号公報)、酢酸ビニル−エチレン共重合体(特開昭48−26141号公報)、無水マレイン酸エステル重合体(特開昭52−10138号公報)、ポリビニルプチラール(特開昭57−90639号公報および特開昭58−106549号公報)、第四級アンモニウム塩含有重合体(特開昭51−126149号公報および特開昭56−60448号公報)などが知られている。
【0005】
しかし、これら樹脂は多くの場合、吸湿性が高く、外界の湿度により抵抗値も大きく変化し、樹脂単独で中間層を形成した場合、残留電位の増加や低温低湿下、高温高湿下の環境における感光体の電気特性の変動が生じ、画像欠陥の改善も十分でなかった。特に低湿度環境下では、中間層の抵抗が高くなることで感光体の感度が大幅に低下する。
【0006】
そこで、抵抗値が環境変化に依存しにくい樹脂として、架橋性の樹脂を中間層に用いる提案もなされている。例えばメラミン樹脂を用いる例(特開平4−22966号公報,特公平4−31576号公報、特公平4−31577号公報)、フェノール樹脂を用いる例(特開平3−48256号公報)、エポキシ樹脂を用いる例(特開昭52−121325号公報)などが知られている。しかし、これらの方法も抵抗値の環境依存性は比較的小さいが、絶対値が高く残留電位上昇の原因となったり、繰り返し使用の際に環境依存性が大きくなっていくなどの問題が生じる。
【0007】
また、特開昭61−94057号公報には有機金属化合物を用いることが、また特開平2−189559号公報にはジルコニウムとシラン化合物の混合物よりなる硬化膜が好ましいことが開示されている。これら無機系の中間層を用いた場合、高温高湿、低温低湿などの環境においても電気特性は比較的安定し、抵抗値も残留電位を大幅に上昇させることはないとなっている。また特開平7−281469公報には導電性支持体からのホール注入阻止や密着性向上のため、シラン化合物及びジルコニウム化合物にセルロース樹脂を添加した例が報告され、特開平2−124673公報及び特開平5−273777公報には、上記硬化膜のクラックを減少させるためにブチラール樹脂をジルコニウム及びシランの無機成分に対して5〜25wt%の範囲で添加することで塗工液がゲル化する事なく電位が安定し、画像欠陥のない感光体を作製している。
【0008】
上記のように、中間層により導電性支持体の欠陥などに起因する感光体の特性低下、白抜け、黒点などの画像欠陥防止や耐久及び環境変動における感度の低下を防ぐ検討が行われてきた。しかし、以下に述べるように、電荷発生層にフタロシアニン顔料を用いた場合、その高感度故に、低湿度環境での感度低下や画像欠陥が大きく、これまで報告されてきた中間層では充分な特性を発揮できていない。
【0009】
現在電子写真装置に用いられている光源は半導体レーザーが主流であり、感光体中の電荷発生層に用いる電荷発生材料もその半導体レーザーの発振波長の790nm前後という比較的長波長に感度を持つ材料が検討されている。その中でも長波長光に対して感度を有する、アルミクロルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、オキシバナジルフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、マグネシウムフタロシアニンおよびオキシチタニウムフタロシアニンなどの各種金属フタロシアニンあるいは無金属フタロシアニンについて多くの研究がなされている。
【0010】
また、このうち多くのフタロシアニン化合物は様々な結晶形を有することが知られており、例えば無金属フタロシアニンではα型、β型、γ型、δ型、ε型、x型およびτ型などがあり、銅フタロシアニンではα型、β型、γ型、δ型、ε型およびx型などがあることが一般的に知られている。その他、結晶形の違いが電子写真特性(感度や耐久時の電位安定性等)や塗料化した場合の塗料特性にも大きな影響を与えることも一般に知られている。
【0011】
特に長波長の光に対して高い感度を有するオキシチタニウムフタロシアニンやクロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンに関しても上述のごとく無金属フタロシアニンや銅フタロシアニンなど、他のフタロシアニンと同様に多くの結晶形が存在する。例えば、オキシチタニウムフタロシアニンに関しては、特開昭59−49544号公報(USP4,444,861)、特開昭59−166959号公報、特開昭61−239248号公報(USP4,728,592)、特開昭62−67094号公報(USP4,664,997)、特開昭63−366号公報、特開昭63−116158号公報、特開昭63−198067号公報および特開昭64−17066号公報、クロロガリウムフタロシアニンに関しては、特開平1−221459号公報、特開平5−98181号公報、特開平5−194523号公報、特開平5−247361号公報、特開平6−73303号公報、特開平7−53891号公報および特開平7−207171号公報、ヒドロキシガリウムフタロシアニンに関しては、特開平5−236007号公報、特開平5−279591号公報、特開平6−93203号公報、特開平6−279698号公報および特開平7−53892号公報などに各々、異なる結晶型が開示されている。
【0012】
上記、オキシチタニウムフタロシアニンやクロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンは高感度ではあるが、環境変化が大きく、特に低湿環境での感度が低下するという問題が発生しやすい。この低湿環境下での感度低下を防ぐために、例えば、エチレングリコールやキノン化合物を電荷発生層中に含有させる方法(特開平6−1924号公報、特開平6−118678号公報)、フタロシアニンに水酸基やアルコキシ基を導入する例(特開平5−257307号公報、特開平6−35214号公報)、アルキレンジオール類を感光体中に含ませる例(特開平5−313389号公報)など電荷発生層を改良する方法が開示されている。また、中間層によって低湿環境下の特性を向上する報告もなされており、ヒドラゾン化合物、イミグゾール、ポリオール、インダンジオン誘導体などを含有する中間層が記載されている(特開昭61−80158号公報、特開昭61−204640号公報、特開平5−158266、特開平9−244279)。
【0013】
また、一方でオキシチタニウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンを電荷発生層に用いた電子写真感光体は非常に高感度であり、かつ赤外領域にまで感度を有しているが、高感度ゆえ励起された分子及び発生キャリアーの絶対数が多く、帯電一露光を繰り返す電子写真プロセスにおいて電荷分離を起こさない励起種、電子、ホールなどが感光体中に残存しやすく、一種のメモリーとして電位変動を起こし易いという欠点がある。
【0014】
現在プリンターでよく使用されている暗部電位部分を非現像部とし明部電位部分を現像部分とする負帯電現像プロセス(いわゆる反転現像系)を用いた場合についてメモリーが画像に与える現象を説明する。
【0015】
例えば露光時に発生した電子が中間層内や感光層と中間層の界面に残存し、次の露光時に発生キャリアー数が減少すると、前プリント時に光が当たった印字部分の感度が遅くなり次プリント時に全面黒画像を取ると、印字部分が白く浮き出る、いわゆるネガゴースト現象が顕著に現れてしまう。このネガゴーストは感光体を暗所に放置した後などプリント初期の段階で多く見られる現象である。
【0016】
逆に、前プリント時に光が当たった印字部分の感度が速くなり次プリント時に全面黒画像を取ると、印字部分が黒く浮き出る、いわゆるポジゴースト現象が起こる場合もある。
【0017】
このポジゴーストの例では、露光時に感光層にホールが残存し、次の露光時に発生するホールと合わせ感度自体が速くなる時に発生したり、残存している励起種が次の帯電時に電荷分離を起こし帯電電位が低下する場合などがある。またポジゴーストはプリント枚数が多くなる程顕著になる傾向である。前述のネガゴーストとあわせ、感光体によっては初期段階においてはネガゴーストが発生しプリントを続けていくとポジゴーストに変化していく感光体や初期からポジゴーストが発生する感光体など様々である。ネガ、ポジ両ゴーストの発生メカニズムは非常に複雑であり詳細は不明であるが、感光層と直接接している中間層によってそのゴーストの発生は大きく変化する。ゴースト低減の提案として、中間層に多環キノン、ペリレンなどを含有させた例(特開平8−146639公報)、メタロセン化合物と電子吸引性化合物、メラミン樹脂を用いた例(特開平10−73942)、金属酸化物微粒子とシランカップリング剤を用いた例(特開平8−22136)、シランカップリング剤で表面処理した金属酸化物微粒子を用いた例(特開平9−258469)などが知られている。
【0018】
また上記ゴースト現象は、導電性の支持体上に直接感光層を形成した場合に比較し、中間層を用いた感光体において特に発現しやすい。つまり、前述したように、導電性支持体の欠陥に起因する感光体の特性低下、白抜けや黒点の防止、耐久及び環境変動における感度の低下を防ぐ為に用いられた中間層が逆に新たなゴーストという画像欠陥を招いていると考えられる。
【0019】
筆者らの検討によれば、これまでに公報で開示された中間層及びその塗工液は下記4つの特性の一部は改善されているが、いずれかの特性を犠牲にしているという欠点があった。1.経時変化によりゲル化せず、ポットライフが良く、2.成膜性、密着性が良好であり、3.低湿度環境下においても感度が変化せず、4.ポジ及びネガの両ゴーストが発生しない。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、経時変化によりゲル化せず、ポットライフが良く、成膜性、密着性が良好である中間層塗工液を用い、長波長領域において十分な高感度を有し、耐久試験及び環境変動によっても電位が安定し、ポジ及びネガの両ゴーストが発生しない電子写真感光体を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、導電性支持体上に、中間層、感光層を積層してなる電子写真用感光体において、中間層が有機樹脂と下記一般式ので表されるジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、もしくは有機樹脂とジルコニウムアルコキサイド、アルミニウムアルコキサイド及び下記一般式(II)で示される化合物より生成する重合体からなることで上記目的を達成できることを見いだした。
【0022】
式(I)(RO)m−M−Ln
(Mはジルコニウム、アルミニウムいずれかを示し、Rは水素もしくはアルキル基を、Lは有機基を示しm、nが複数の場合はそれぞれ異なっても良く、m>0、n>0である)
【外3】
Figure 2004101628
【0023】
(R、Rはアルキル基、水酸基、アルコキシ基のいずれかを示し、それぞれ異なっても良い。R3はアルキレン基を示す)
【0024】
【発明の実施の形態】
式(I)中のLで示した有機基としてはアセチルアセトン、2,4−へブタンジオンなどのβ‐ジケトン類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル、アセト酢酸ブチルなどのケトエステル類、乳酸、酢酸、サリチル酸、リンゴ酸などのヒドロキシカルボン酸類、乳酸メチル、乳酸エチル、サリチル酸エチル、リンゴ酸エチルなどのヒドロキシカルボン酸エステル類、ジエチレングリコール、オクタンジオール、ヘキサンジオールなどのグリコール類、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどのケトアルコール類から水素や水酸基が一部抜け、ジルコニウムやアルミニウムと結合したものが好ましい特性を与える。
【0025】
例えば、カルボン酸基を持つ酢酸などはエステル結合でジルコニウム、アルミニウムと結合し、β−ジケトンなどは共有結合及び配位結合でキレート化合物の状態になっていると考えられる。
【0026】
式(I)で示したジルコニウム化合物の例としてはジルコニウムトリn‐ブトキサイドペンタンジオネート、ジルコニウムジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、ジルコニウムトリイソプロポキサイドペンタンジオネート、ジルコニウムジイソプロポサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、ジルコニウムトリn−ブトキサイドエチルアセトアセテート、ジルコニウムジ−n−ブトキサイド(ビスエチルアセトアセテート)、ジルコニウムトリn−ブトキサイドメチルアセトアセテート、ジルコニウムジ−n−ブトキサイド(ビスメチルアセトアセテート)、ジルコニウムジイソプロポキサイドビス(2,2,6,6,−テトラメチル−3,5,−へプタンジオネート)、ジルコニウムビス(トリエタノールアミン)ジ−n−ブトキサイド、ジルコニウムラクテート、メタクリレートジルコニウムブトキサイド、ステアリレートジルコニウムブトキサイド、イソステアレートジルコニウムブトキサイド等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0027】
また式(I)のアルミニウム化合物の例として、アルミニウムブトキサイドビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムジイソプロポキサイドエチルアセトアセテート、アルミニウムヘキサフルオロペンタンジオネート、アルミニウムペンタンジオネート、メタクリル酸アルミニウムなどである。
【0028】
本発明ではジルコニウムアルコキサイドやアルミニウムアルコキサイド及び一般式(II)の化合物の両者を用いることで、一般式(I)で示したジルコニウム化合物やアルミニウム化合物の代わりとなる。
【0029】
アルコキサイドとしては、ジルコニアやアルミニウムにメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、など炭素数1以上のアルコキシ基が4つ結合したものであり、それぞれ異なっても良い。ジルコニウムアルコキサイドの例としては、ジルコニウムテトラメトキサイド、ジルコニウムテトラエトキサイド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキサイド、ジルコニウムテトラ−t−ブトキサイド、ジルコニウム2−エチルへキシオキサイド、ジルコニウムイソプロポキサイド、ジルコニウムトリブトキシイソプロポキサイド等が挙げられ、アルミニウムアルコキサイドの例としてはアルミニウムブトキサイド、アルミニウムエトキサイド、アルミニウムイソプロポキサイド、アルミニウムフエノキサイド等が挙げられる。
【0030】
式(II)で示される化合物の例としては、アセチルアセトン、2−4−へプタンジオン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル、アセト酢酸ブチル、乳酸、酢酸、サリチル酸、リンゴ酸、乳酸メチル、乳酸エチル、サリチル酸エチル、リンゴ酸エチル、ジエチレングリコール、オクタンジオール、ヘキサンジオール、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0031】
また、ジルコニウム化合物とアルミニウム化合物のモル比がジルコニウム/チタニウム=30/70〜95/5である場合、良好な電子写真特性を示す。
【0032】
有機樹脂としては、いかなるものでも良いが、溶解性、体積抵抗率の環境変動、画像などの点から、セルロース樹脂とポリアミド樹脂が好ましい特性を与える。特に、セルロース樹脂としてはヒドロキシァルキルセルロースが、ポリアミド樹脂としてはナイロン6−66−610−12の4元ナイロン共重合体及びN−メトキシメチル化ナイロンが好ましい。また、ジルコニウム化合物とアルミニウム化合物の総量に対する有機樹脂の比率は、有機樹脂/(ジルコニウム化合物+アルミニウム化合物)=1/99〜50/50である。樹脂が上記の割合以上であると吸湿性の影響が大きくなり、環境変動に対して感光体特性が大きく依存すると共にポジゴーストが発生し、逆に樹脂の割合が小さい場合には塗工時にムラが生じやすく密着性も低下する。
【0033】
これらの樹脂は単独でも、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
本発明で示しているように、有機樹脂と式(I)で示したジルコニウム化合物及びアルミニウム化合物の混合や、ジルコニウムアルコキサイド、アルミニウムアルコキサイド、水、式(II)で示した化合物の好ましい混合比よりなる溶工液を用い形成された中間層は、低湿環境でも感度低下が無く、ひいては白抜け、黒ポチなどの画像特性、密着性が良好であり、導電性の支持体表面の影響を受けず、さらには高感度で電荷発生量の多いオキシチタニルフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンを用いてもゴーストが発生しない感光体を提供できる。
【0035】
本発明におけるオキシチタニウムフタロシアニンのX線回折パターンは、図1に示すようにブラッグ角(2θ±0.2°)の9.0°、14.2°、23.9°および27.l°の位置に強いピークを示す。上記ピークはピーク強度の強い上位4点をとったものであり、主要なピークとなっている。
【0036】
図1のX線回折図において特徴的なことは、上記4点のピークのうち、27.l°のピークが1番強く、9.0°のピークが2番目に強い。また、17.9°の位置に上記4点より弱いピークさらに弱いピークが13.3°の位置にある。また10.5°〜13.0°、14.8°〜17.4°および18.2°〜23.2°の範囲には実質的にピークがない。なお、本発明においてX線回折のピーク形状は、製造時における条件の相違によってまた測定条件等によって、僅かではあるが異なり、例えば各ピークの先端部はスプリットする場合もありうる。図1の場合には、8.9°のピークの山は9.4°付近に、また14.2°のピークの山は14.1°付近に別のスプリットしたピークが見られる。
【0037】
本発明の用いられるオキシチタニウムフタロシアニンの構造は
【外4】
Figure 2004101628
【0038】
で表される。
【0039】
ただし、X、X、X、およびXはClまたはBrを表しa、b、c、dは0〜4の整数である。
【0040】
また本発明のおける、クロロガリウムフタロシアニンは、CuKαのX線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)が7.4°、16.6°、25.5°および28.2°に強いピークを有し以下の構造で示される。
【外5】
Figure 2004101628
【0041】
ただし、Y、Y、Y、およびYはClまたはBrを表しe、f、g、hは0〜4の整数である。
【0042】
また、本発明に用いられるヒドロキシガリウムフタロシアニンは、CuKαのX線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)が7.4°および28.2°に強いピークを有する結晶型であり、以下の構造で示される。
【外6】
Figure 2004101628
【0043】
ただし、Z、Z、Z、およびZはClまたはBrを表しi、j、k、lは0〜4の整数である。
【0044】
本発明における導電性支持体はその表面を適度に荒らした支持体が用いられ、具体的にはアルミニウム及びアルミニウム合金をホーニング処理した支持体もしくはアルミニウム及びアルミニウム合金上に導電性金属酸化物及び結着樹脂からなる導電性皮膜を有する支持体を用いることが必要である。
【0045】
近年は特にレーザービームを応用したプリンター、LED、液晶シャッターを応用したプリンター等の開発が盛んに行われているが、導電性支持体表面が平滑面である場合、レーザー光の干渉と云われる現象を生じ、画像上に所謂干渉縞を生ずる。この干渉縞を防止する為に、各種の技術が検討されているが、最も有効な技術の一つとして、支持体を粗面化する方法が挙げられる。また、粗面化によって導電性支持体の表面積が増加し中間層との間に充分な接着強度が得やすく、良好な耐久性能も得られる。本発明においては、樹脂量を変化させることで密着性はコントロールできるが、干渉縞を防止するためには導電性支持体が粗面化されていることが必要であり、上記の加工をした支持体を用いることで白抜けやゴーストなどが発生せず画像品質を維持したまま干渉縞の発生を抑制できる。
【0046】
ホーニング処理としては、乾式及び湿式での処理方法があるがいずれを用いてもよい。
【0047】
湿式ホーニング処理は、水等の液体に粉末状の研磨剤を懸濁させ、高速度で導電性支持体表面に吹き付けて粗面化する方法であり、表面粗さは吹き付け圧力、速度、研磨剤の量、種類、形状、大きさ、硬度、比重及び懸濁温度等により制御することができる。同様に、乾式ホーニング処理は、研磨剤をエアーにより、高速度で導電性支持体表面に吹き付けて粗面化する方法であり、湿式ホーニング処理と同じように表面粗さを制御することができる。これら湿式または乾式ホーニング処理に用いる研磨剤としては、炭化ケイ素、アルミナ、鉄、ガラスビーズ等の粒子があげられる。
【0048】
また支持体を加工せずに、導電性金属酸化物及び結着樹脂からなる導電性皮膜をアルミニウムやアルミニウム合金の支持体に塗布し導電性支持体とし干渉縞を防ぐ方法もある。この場合、導電性皮膜中にはフィラーとして、導電性微粒子からなる粉体を含有する。この方法では導電性微粒子を皮膜中に分散させることでレーザー光を乱反射させ干渉縞を防ぐと共に塗布前の支持体の傷や突起などを隠蔽する効果もある。微粒子には酸化チタン、硫酸バリウムなどが用いられ、必要によってはこの微粒子に酸化錫などで導電性被覆層を設けることにより、フィラーとして適切な比抵抗としている。導電性微粒子粉体の比抵抗は0.1〜1000Ωcm、更には1〜1000Ωcmが好ましい。本発明において、粉体比抵抗は三菱油化製の抵抗測定装置ロレスタAP(Loresta Ap)を用いて測定した。測定対象の粉体は、500kg/cmの圧力でかためてコイン状のサンプルとして上記測定装置に装着した。微粒子の平均粒径は0.05〜1.0μm、更には0.07〜0.7μmが好ましい。本発明において、微粒子の平均粒径は遠心沈降法により測定した値である。フィラーの含有量は、導電性皮膜層に対して1.0〜90重量%、更には5.0〜80重量%が好ましい。被覆層には、必要に応じてフッ素あるいはアンチモンを含有してもよい。
【0049】
本発明の導電性皮膜に用いられる結着樹脂としては、例えばフェノール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド酸、ポリビニールアセタール、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂あるいはポリエステルなどが好ましい。これらの樹脂は単独でも、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの樹脂は、支持体に対する接着性が良好であると共に、本発明で使用するフィラーの分散性を向上させ、かつ成膜後の耐溶剤性が良好である。上記樹脂の中でも特にフェノール樹脂、ポリウレタン及びポリアミド酸が好ましい。
【0050】
導電性皮膜は、例えば浸漬あるいはマイヤーバー等による溶剤塗布で形成することができる。導電性皮膜の厚みは0.1〜30μm、更には0.5〜20μmが好ましい。また、導電性皮膜の体積抵抗率は1013Ωcm以下、更には1012Ωcm以下1010Ωcm以上が好ましい。本発明において、体積抵抗率はアルミニウム板上に測定対象の導電性皮膜を塗布し、更にこの皮膜上に金の薄膜を形成して、アルミニウム板と金薄膜の両電極間を流れる電流値をpAメーターで測定して求めた。導電性皮膜には、被覆層を有する硫酸バリウム微粒子からなる粉体以外に、酸化亜鉛や酸化チタン等の粉体からなるフィラーを含有してもよい。更に、表面性を高めるためにレベリング剤を添加してもよい。
【0051】
次に、本発明に用いる電子写真感光体の感光層について説明する。
【0052】
本発明の感光層としての光導電層の構成は、電荷発生物質と電荷輸送物質の両方を含有する単層型、あるいは電荷発生層と電荷輸送層を別々に積層した積層型がある。
【0053】
以下に、積層型の感光体について説明する。
【0054】
積層型の感光体の構成としては、導電性支持体や中間層上に電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層したものと、逆に電荷輸送層、電荷発生層の順に積層したものが有る。
【0055】
積層型感光体の電荷輸送層は主鎖または側鎖にビフェニレン・アントラセン・ピレン・フェナントレン等の構造を有する多環芳香族化合物、インドール・カルバゾール・オキサジアゾール・ピラゾリン等の合窒素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、等の電荷輸送物質を成膜性を有する樹脂に溶解させた塗工液を用いて形成される。
【0056】
このような成膜性を有する樹脂としてはポリエステル、ポリカーボネートポリスチレン、ポリメタクリル酸エステル、ポリアリレート等があげられる。電荷輸送層の厚さは5〜40μm、好ましくは10〜30μmである。
【0057】
感光層の電荷発生層は電荷発生物質である本発明のオキシチタニウムフタロシアニンやクロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンなどを適当なバインダー樹脂溶液とともに分散し塗布・乾燥することによって得られる。なお電荷発生層は、バインダー樹脂を用いずに蒸着によって設けることもできる。ここで用いられるバインダー樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、塩化ビニリデン・アクリロニトリル共重合体樹脂などが挙げられる。このような電荷発生層の膜厚は、5μm以下、好ましくは0.01〜3μmである。
【0058】
また、本発明における感光層の表面に傷・摩耗等の機械的な損傷を防止する意味で保護層を設けることも可能である。
【0059】
保護層を構成する材料としては例えば、ポリエステル・ポリアクリレート・ポリエチレン・ポリスチレン・ポリブタジエン・ポリカーボネート・ポリアミド・ポリプロピレン・ポリイミド・ポリアミドイミド・ポリサルホン・ポリアクリルエーテル・ポリアセタール・ナイロン・フェノール・アクリル・シリコーン・エポキシ・ユリア・アリル・アルキッド・ブチラール・フェノキシ・ホスファゼン等の樹脂またはアクリル変性エポキシ・アクリル変性ウレタン・アクリル変性ポリエステル樹脂等の熱硬化型樹脂や光硬化型樹脂等が用いられる。保護層の膜厚としては0.2〜10μm程度が適当である。
【0060】
以上の各層に用いられる樹脂中にはクリーニング性・耐摩耗性等の改善のためにポリ四フッ化エチレン・ポリフッ化ビニリデン・フッ素系グラフトポリマー・シリコーン系グラフトポリマー・フッ素系ブロックポリマー・シリコーン系ブロックポリマー・シリコーン系オイル潤滑剤を含有させてもよい。
【0061】
又、保護層の抵抗制御の目的で導電性酸化スズ・導電性酸化チタン等の粉体を分散させてもよい。
【0062】
さらに、耐候性を向上させる目的で、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加物を加えてもよい。
【0063】
本発明に依る電子写真感光体は電子写真複写機・レーザービームプリンター・等のほかCRTプリンター・LEDプリンター・液晶プリンター・ファクシミリ・レーザー製版等の電子写真応用技術に広く用いることができる。
【0064】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0065】
(実施例1)
外径φ30.0mm、内径φ28.5mm、長さ260mmのアルミニウムシリンダー(JISA3003材)をホーニング処理し、超音波水洗浄したものを導電性支持体とした。
【0066】
次にイソプロパノール320重量部(以下部)に水11部を加えた後、ジルコニウムテトラnブトキサイドの85%ブタノール溶液(関東化学社製)27部(0.06mol)及びアルミニウムイソプロポキサイド(アズマックス社製)28部(0.14mol)を滴下した。式(II)で示した化合物としてアセチルアセトン20部をメタノール200部に加えた溶液をさらに滴下した後、ヒドロキシプロピルセルロース(東京化成工業社製)の10重量%メタノール液57部を混合して得た中間層塗布液をアルミシリンダー基体上に浸漬塗布し、120℃で15分加熱して0.3umの中間層を形成した。
【0067】
次に、電荷発生材料として図1の結晶パターンを有するオキシチタニウムフタロシアニン顔料4重量部、ポリビニルプチラール樹脂(商品名:BX−1、積水化学工業株式会社製)3重量部、シクロヘキサノン34重量部からなる混合液をサンドミルで8時間分敬した後、テトロヒドロフラン60重量部を加えて電荷発生層用の分散液を調合した。この分散液を中間層上に浸溝塗布し、95℃で10分間加熱乾燥して0.25umの電荷発生層を形成した。
【0068】
次に、下記構造式で示されるトリアリルアミン化合物40重量部とビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂50重量部をモノクロルベンゼン400重量部に溶解した溶液を前記電荷発生層上に浸溝塗布し、110℃の雰囲気中で1時間加熱乾燥し厚さ25μmの電荷輸送層を形成し電子写真感光体を作製し実施例1とした。
【外7】
Figure 2004101628
【0069】
(実施例2)
中間層の塗布液のジルコニウムテトラnブトキサイドの85%ブタノール溶液を45部(0.1mol)、アルミニウムイソプロポキサイドを21部(0.1mol)とし、ヒドロキシプロピルセルロースの10重量%メタノール液を66部とした以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例2とした。
【0070】
(実施例3)
中間層の塗布液のジルコニウムテトラnブトキサイドの85%ブタノール溶液を63部(0.14mol)、アルミニウムイソプロポキサイドを12部(0.06mol)とし、ヒドロキシプロピルセルロースの10重量%メタノール液を73部とした以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例3とした。
【0071】
(実施例4)
中間層の塗布液のジルコニウムテトラnブトキサイドの85%ブタノール溶液を86部(0.19mol)、アルミニウムイソプロポキサイドを2部(0.01mol)とし、ヒドロキシプロピルセルロースの10重量%メタノール液を84部とした以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例4とした。
【0072】
(比較例1)
中間層の塗布液のジルコニウムテトラnブトキサイドの85%ブタノール溶液を18部(0.04mol)、アルミニウムイソプロポキサイドを33部(0.16mol)とし、ヒドロキシプロピルセルロースの10重量%メタノール液を54部とした以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、比較例1とした。
【0073】
(比較例2)
中間層の塗布液のアルミニウムイソプロポキサイドを用いず、ジルコニウムテトラnブトキサイドの85%ブタノール溶液のみを60部とした以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、比較例2とした。
【0074】
以上の実施例1〜実施例4および比較例1、比較例2に関して、光量及び帯電設定を変えられる様に改造したヒューレット・パッカード(株)社製プリンターLaserJet4000に、作製した感光体を設置し暗部電位及び露光部電位を常温常室(23℃、50%Rh)、低温低湿(15℃、10%Rh)で測定した結果を表1に示した。
【0075】
【表1】
Figure 2004101628
【0076】
表1でわかるように、アルミニウム化合物の割合が大きい場合には常温常室での暗部電位が低く、環境変化による暗部電位および露光部電位の変化も大きい。また、ジルコニウム化合物のみの場合には、アルミニウム化合物を含有した感光体に比べ露光部電位の変化が大きくなった。
【0077】
また、以下の実施例5〜34および比較例3〜11に関して碁盤の目状に切り込みを入れた後、マイラーテープを張り付け剥離試験を行った。マイラーテープ上に残った感光層が3%未満の場合を◎、5%未満の場合○、10%未満の場合を△、10%以上の場合を×として表2の密着性の項目にその結果を示した。
【0078】
また光量及び帯電設定を変えられる様に改造したヒューレット・パッカード(株)社製プリンターLaserJet4000に、作製した感光体を設置し暗部電位及び露光部電位を常温常室(23℃、50%Rh)低温低湿(15℃、10%Rh)で測定し、画像評価を行った結果、及び5000枚プリント後に同様な評価を行った結果を表2(常温常湿結果)、表3(低温低湿結果)に示した。表3の露光部電位の項目のカツコ内は、常温常湿での露光部電位との差を示している。なお白抜け及び黒ポチの画像評価及びゴーストの評価は、全く見られなかった場合には◎、多少観察されるが実用に耐えうる場合○、問題視される可能性がある場合△、使用不可である場合は×とした。
【0079】
また液安定性として、用いた中間層液を固形分濃度が変化しないように、2週間大気中で循環させた後の状態を観察し、作製時と変化無ければ○、粘度が20%以上増加していた場合を△、ゲル化が観測された場合を×とし、表2に記した。
【0080】
(実施例5)
中間層の塗布液のジルコニウムテトラnブトキサイドの85%ブタノール溶液を63部、アルミニウムイソプロポキサイドを12部とし、セルロース樹脂溶液を7.2部とした以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例5とした。
【0081】
(実施例6)
中間層の塗布液のセルロース樹脂溶液を80部とした以外は実施例5と同様に電子写真感光体を作製し、実施例6とした。
【0082】
(実施例7)
アセチルアセトンの代わりにアセト酢酸エチル26部を加え、電荷輸送層の膜厚を13umとした以外は実施例5と同様に電子写真感光体を作製し、実施例7とした。
【0083】
(実施例8)
中間層の塗布液のセルロース樹脂溶液を280部とした以外は実施例5と同様に電子写真感光体を作製し、実施例8とした。
【0084】
(実施例9)
ジルコニウムテトラ−n−ブトキサイドの代わりにジルコニウムジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4,−ペンタンジオネート)(チッソ社製)の60%ブタノール液を100部、アルミニウムイソプロポキサイドの代わりにアルミニウムジイソプロポキサイドエチルアセトアセテート17部、セルロース樹脂溶液を300部とし、アセチルアセトンを加えなかった以外は実施例5と同様に電子写真感光体を作製し、実施例9とした。
【0085】
(実施例10)
中間層の塗布液のセルロース樹脂溶液を650部とした以外は実施例5と同様に電子写真感光体を作製し、実施例10とした。
【0086】
(実施例11〜16)
酸化スズで形成された被覆層を有する硫酸バリウム微粒子からなる粉体(P−1、三井金属工業(株)、被覆率50重量%、粉体比抵抗700Ωcm)120部とレゾール型フェノール樹脂(商品名ブライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、固形分70%)70部と2−メトキシ−1−プロパノール100部とからなる溶液を約20時間ボールミルで分散し、導電性粒子樹脂分散層用塗布液を調製した(この塗布液に含有するフィラーの平均粒径は0.22μmであった)。この液を外径Φ29.92mm、内径◎28.5mm、長さ260mmのアルミニウムシリンダー上に浸潰コーティング法によって塗布し、140℃で30分間加熱硬化することにより、膜厚15μmの導電性粒子樹脂分散層を形成し、これを導電性支持体とした。導電性支持体を上記のように変え、ヒドロキシプロピルセルロースの代わりにナイロン6−66−610−12の4元ナイロン共重合体、アミランCM8000(東レ社製)を用いた以外は実施例5〜10と同様に電子写真感光体を作製し実施例11〜16とした。
【0087】
(実施例17〜22)
ヒドロキシプロピルセルロースの代わりにN−メトキシメチル化ナイロン(トレジンEF−30T,帝国化学産業製)を用いた以外は実施例5〜10と同様に電子写真感光体を作製し実施例17〜22とした。
【0088】
(実施例23〜28)
電荷発生材料として、以下の製造例1に従って合成したクロロガリウムフタロシアニン結晶4部、ポリビニルプチラール樹脂(商品名:BX−1,積水化学工業株式会社製)2重量部、テトラヒドロフラン34重量部からなる混合液をサンドミルで8時間分散した後、酢酸プチル60重量部を加えて電荷発生層用の分散液を調合した。この分散液を電荷発生層の塗工液とし、中間層上に浸漬塗布し、95℃で10分間加熱乾燥して0.2umの電荷発生層を形成した以外は実施例11〜実施例16と同様に感光体を作製し実施例23〜28とした。
【0089】
o−フタロジニトリル73g、三塩化ガリウム25g、α−クロルナフタレン400mlを窒素雰囲気下200℃で6時間反応させた後、130℃で生成物をろ過した。得られた生成物をN,N′−ジメチルホルムアミドを用いて130℃で1時間分散洗浄した後、ろ過し、メタノールで洗浄後乾燥し、クロロガリウムフタロシアニンを55g得た。
【0090】
ここで得られたクロロガリウムフタロシアニン10gを1mmΦのガラスビーズ450gと共にミリング処理を室温(22℃)下、24時間行った。ベンジルアルコール300gを加え再びミリング処理を20時間行った。このクロロガリウムフタロシアニンのX線回折における回折角2θ±0.2°は7.4°、16.6°、25.5°および28.2°に強いピークを有していた。
【0091】
(実施例29〜34)
電荷発生材料を下記の製造例2に従って合成したヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶7部をポリビニルプチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学社製)4部をテトラヒドロフラン100部に溶解した液に添加し、1mmΦのガラスビーズを用いたサンドミルで6時間分散し、これに100部の酢酸ブチルを加えて、希釈した。この分散液を電荷発生層の塗工液とし、中間層上に塗布した後、100℃で10分間乾燥して、膜厚0.25μmの電荷発生層を形成した以外は実施例実施例11〜実施例16と同様に感光体を作製し実施例29〜34とした。
【0092】
o−フタロジニトリル73g、三塩化ガリウム25g、α−クロルナフタレン400mlを窒素雰囲気下200℃で5時間反応させた後、130℃で生成物をろ過した。得られた生成物をN,N′−ジメチルホルムアミドを用いて130℃で2時間分散洗浄した後、ろ過し、メタノールで洗浄後乾燥し、クロロガリウムフタロシアニンを40g得た。
【0093】
ここで得られたクロロガリウムフタロシアニン15gを10℃の濃硫酸450gに溶解させ、氷水2300g中に攪拌下に滴下して再析出させて濾過した。2%アンモニア水で分散洗浄後、イオン交換水で十分に水洗した後、濾別、乾燥して低結晶性のHOGaPcを13g得た。次に得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン10g、N,N′−ジメチルホルムアミド300gを1mm◎のガラスビーズ450gと共にミリング処理を室温(22℃)下、6時間行った。
【0094】
この分散液により固形分を取り出し、メタノール、次いで水で十分に洗浄、乾燥してヒドロキシガリウムフタロシアニン9.2gを得た。このHOGaPcのX縁回折における回折角2θ±0.2°は7.4°、28.2°に強いピークを有していた。
【0095】
実施例5〜34の中間層塗工液は液安定性も良く、電子写真感光体とした場合にも、高感度でありながら基体との密着性が良好であり、環境変化や耐久試験によらず白抜け、黒ポチが無く、ゴーストも発生しない特性を有している事が分かった。
【0096】
(比較例3)
中間層の塗布液のセルロース樹脂溶液を用いなかった以外は実施例5と同様に電子写真感光体を作製し、比較例3とした。
【0097】
結果、表2に示したように密着性が劣り、低温低湿でネガゴーストが顕著であった。
【0098】
(比較例4)
中間層の塗布液のセルロース樹脂溶液を1000部とした以外は実施例5と同様に電子写真感光体を作製し、比較例4とした。
【0099】
結果、表2、表3に示したように低温低湿環境での耐久後のゴーストが顕著であり、高温高湿においても黒ポチが増加していることがわかった。
【0100】
(比較例5)
中間層の塗布液のアセチルアセトンを用いなかった以外は実施例6と同様に塗布液を作製したが、1時間後にはゲル化し感光体作製はできなかった。
【0101】
(比較例6)
中間層の塗布液の樹脂としてポリアミド樹脂の代わりにブチラール樹脂(エスレックスBM−S、積水化学社製)を用いた以外は実施例12と同様に電子写真感光体を作製し、比較例6とした。
【0102】
結果、表2、表3に示したように低温低湿環境でのネガゴースト、高温高湿においてポジゴーストが顕著であった。
【0103】
(比較例7)
中間層の塗布液の水を用いなかった以外は実施例12と同様に電子写真感光体を作製し、比較例7とした。
【0104】
結果、表2、表3に示したように密着性が多少劣ると共に、低温低湿環境でのネガゴースト、高温高湿においてポジゴーストが顕著であった。また3週間ほどでゲル化してしまった。
【0105】
(比較例8)
中間層の塗布液に3−アミノプロピルトリメトキシシランを8部加えた以外は実施例18と同様に電子写真感光体を作製し、比較例8とした。
【0106】
結果、表2、表3に示したようにネガゴーストが顕著であった。
【0107】
(比較例9)
中間層の塗布液のジルコニウムテトラnブトキサイドに変えてジルコニウムテトラアセチルアセトネートを、アルミニウムイソプロポキサイドに変えてアルミニウム2,4−ペンタンジオネート加え、アセチルアセトンを用いなかった以外は実施例12と同様に電子写真感光体を作製し、比較例9とした。
【0108】
結果、表2、表3に示したようにネガゴーストが顕著であった。
【0109】
(比較例10)
電荷発生層の塗布液の電荷発生材料としてχ型無金属フタロシアニンを用いた以外は実施例12と同様に電子写真感光体を作製し、比較例10とした。
【0110】
結果、表2、表3に示したように感度が低く、黒ポチ、ネガゴーストが顕著であった。
【0111】
(比較例11)
電荷発生層の塗布液の電荷発生材料としてε型銅フタロシアニンを用いた以外は実施例12と同様に電子写真感光体を作製し、比較例11とした。
【0112】
結果、表2、表3に示したように感度が低く、黒ポチ、ネガゴーストが顕著であった。
【0113】
【表2】
Figure 2004101628
【0114】
【表3】
Figure 2004101628
【0115】
【発明の効果】
以上の結果より、本発明の電子写真感光体は高感度でありながら導電性支持体との密着性が良好であり、低湿環境下においても感度変化が少なく、耐久試験によらず白抜け、黒ポチが無く、ゴーストも発生しない特性を有している事が分かった。
【図面の簡単な説明】
【図1】X線回析図。

Claims (18)

  1. 導電性支持体上に、中間層、感光層を積層してなる電子写真用感光体において、中間層が有機樹脂と下記一般式ので表されるジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、もしくは有機樹脂とジルコニウムアルコキサイド、アルミニウムアルコキサイド及び下記一般式(II)で示される化合物より生成する重合体からなることを特徴とする電子写真感光体。
    式(I)(RO)m−M−Ln
    (Mはジルコニウム、アルミニウムいずれかを示し、Rは水素もしくはアルキル基を、Lは有機基を示しm、nが複数の場合はそれぞれ異なっても良く、m>0、n>0である)
    【外1】
    Figure 2004101628
    (R、Rはアルキル基、水酸基、アルコキシ基のいずれかを示し、それぞれ異なっても良い。Rはアルキレン基を示す)
  2. 中間層のジルコニウムとアルミニウムのモル比がジルコニウム/アルミニウム=30/70〜95/5であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
  3. 中間層の有機樹脂がセルロース樹脂であることを特徴とする請求項1及び請求項2記載の電子写真感光体。
  4. 中間層のセルロース樹脂がヒドロキシアルキルセルロースであることを特徴とする請求項1から請求項3記載の電子写真感光体。
  5. 中間層の有機樹脂がポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1及び請求項2記載の電子写真感光体。
  6. 中間層のポリアミド樹脂がナイロン6−66−610−12の4元ナイロン共重合体である請求項1から請求項2及び請求項5記載の電子写真感光体。
  7. 中間層のポリアミド樹脂がN−メトキシメチル化ナイロンである請求項1から請求項2及び請求項5記載の電子写真感光体。
  8. 中間層のジルコニウム化合物とアルミニウム化合物の総量に対する有機樹脂の比率が、有機樹脂/(ジルコニウム化合物+アルミニウム化合物)=1/99〜50/50であることを特徴とする請求項1から請求項7記載の電子写真感光体。
  9. 感光層が、CuKαのX線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)が9.0°、14.2°、23.9°および27.l°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニンを含有することを特徴とする請求項1から請求項8記載の電子写真感光体。
  10. 感光層が、CuKαのX線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)が7.4°、16.6°、25.5°および28.2°に強いピークを有する結晶形のクロロガリウムフタロシアニンを含有することを特徴とする請求項1から請求項8記載の電子写真感光体。
  11. 感光層が、CuKαのX線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)が7.4°および28.2°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニンを含有することを特徴とする請求項1から請求項8記載の電子写真感光体。
  12. 導電性支持体上に、中間層、感光層を積層してなる電子写真用感光体の製造方法において、中間層を形成する溶液が有機樹脂、水及び下記一般式(I)で表されるジルコニア化合物、アルミニウム化合物、もしくは有機樹脂、水、ジルコニウムアルコキサイド、アルミニウムアルコキサイド及び下記一般式(II)で示される化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
    式(I)(RO)m−M−Ln
    (Mはジルコニウム、アルミニウムいずれかを示し、Rは水素もしくはアルキル基を、Lは有機基を示しm、nが複数の場合はそれぞれ異なっても良く、m>0、n>0である)
    【外2】
    Figure 2004101628
    (R、Rはアルキル基、水酸基、アルコキシ基のいずれかを示しそれぞれ異なっても良い。Rはアルキレン基を示す)
  13. 中間層を形成する溶液中のジルコニウムとアルミニウムのモル比がジルコニウム/アルミニウム=30/70〜95/5であることを特徴とする請求項12記載の電子写真感光体の製造方法。
  14. 中間層を形成する溶液中において、ジルコニウム化合物とアルミニウム化合物の総量に対する有機樹脂の比率が、有機樹脂/(ジルコニウム化合物+アルミニウム化合物)=1/99〜50/50であることを特徴とする請求項12から請求項13記載の電子写真感光体の製造方法。
  15. 請求項12記載の式(I)で示したnがジルコニウムの場合n<4、アルミニウムの場合n<3であることを特徴とする電子写真用感光体の製造方法。
  16. 請求項12記載の式(II)で示した有機化合物のモル数がジルコニウムアルコキサイドとアルミニウムアルコキサイドの合計モル数の4等量未満であることを特徴とする電子写真用感光体の製造方法。
  17. 請求項1から19のいずれか記載の電子写真感光体、及び帯電手段、現像手段及びクリーニング手段からなる群より選ばれた少なくとも一つの手段を一体に支持し、電子写真装置に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  18. 請求項1から20のいずれか記載の電子写真感光体、帯電手段、像露光手段、現像手段及び転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
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